【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「エネルギーキャリア」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【文献】
中国電力株式会社, 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST),水島発電所2号機でのアンモニア混焼試験の実施結果および特許出願について,中国電力株式会社プレスリリース,2017年 9月 8日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アンモニア燃料を燃焼するバーナを有し前記アンモニア燃料を微粉炭と混焼させるボイラと、前記ボイラから排出される排ガスを脱硝する脱硝装置とを備える燃焼設備において、前記ボイラにおける前記アンモニア燃料の燃焼状態を判定する燃焼状態判定システムであって、
前記ボイラの出口におけるアンモニア濃度を、手分析又は常設装置により検出するアンモニア濃度検出手段と、
前記脱硝装置の入口におけるNOx濃度である脱硝入口NOx濃度を検出する第2のNOx濃度検出手段と、
前記脱硝装置の出口におけるNOx濃度である脱硝出口NOx濃度を検出する第3のNOx濃度検出手段と、
前記脱硝出口NOx濃度に基づいて前記脱硝装置に注入される、脱硝用アンモニア量を検出する脱硝用アンモニア量検出手段と、
前記アンモニア濃度、前記脱硝入口NOx濃度、前記脱硝出口NOx濃度、及び前記脱硝用アンモニア量に基づいて、前記燃焼状態を判定する判定部とを備える燃焼状態判定システム。
前記バーナから前記アンモニア燃料を注入後、注入以前に比較して、前記脱硝入口NOx濃度、前記脱硝出口NOx濃度、前記脱硝用アンモニア量に変化がなく、前記アンモニア濃度検出手段が検出した前記アンモニア濃度がゼロだった場合に、前記アンモニア燃料が完全燃焼したと前記判定部が判定する、請求項1に記載の燃焼状態判定システム。
前記バーナから前記アンモニア燃料を注入後、注入以前に比較して、前記脱硝入口NOx濃度に変化がなく、前記脱硝出口NOx濃度、前記脱硝用アンモニア量が低下し、前記アンモニア濃度検出手段が検出した前記アンモニア濃度が正の値だった場合に、未燃分アンモニア燃料が発生し、前記未燃分アンモニア燃料が、前記脱硝装置に格納された脱硝触媒と反応したと、前記判定部が判定する、請求項1又は2に記載の燃焼状態判定システム。
前記バーナから前記アンモニア燃料を注入後、前記アンモニア燃料の注入以前に比較して、前記脱硝入口NOx濃度、前記脱硝出口NOx濃度、及び、前記脱硝用アンモニア量が低下した場合に、未燃分アンモニア燃料が発生し、前記未燃分アンモニア燃料が前記ボイラ内で脱硝反応を起こしたと、前記判定部が判定する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃焼状態判定システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について各図面を参照しながら詳述する。
〔1.発明の構成〕
以下、本発明の実施形態に係る燃焼状態判定システム100の構成、及び、燃焼状態判定システム100を有する火力発電設備1の構成について説明する。
【0016】
図1は、火力発電設備1の概略図である。火力発電設備1は、アンモニアガスを燃焼可能なシステムであるが、微粉炭、油、天然ガスやBOG(boil off gas)等のアンモニアガス以外も燃焼可能な混焼発電設備1である。
【0017】
火力発電設備1は、アンモニアガス供給設備2と、アンモニアガス燃料用配管設備3と、ボイラ6と、脱硝設備90と、ガス燃料配管170を介してアンモニアガス以外のガス燃料を供給するガス燃料供給部70と、燃焼状態判定システム100と、これら全体を制御する制御部7等を備える。
【0018】
[アンモニアガス供給設備2]
アンモニアガス供給設備2は、貯蔵タンク10と、気化器20と、アキュムレータ30と、アンモニアガス吸収部80等を備える。なお、アンモニアガス吸収部80は、アンモニアガス供給設備2に設けられたブロー弁81等から出るアンモニアガスを水中に吸収する貯水槽である。
【0019】
(貯蔵タンク10)
貯蔵タンク10は、加圧されて液化された液体アンモニアを貯蔵するもので、配管110を介して気化器20に接続されている。配管110は、途中が2方向に分岐されている。分岐された一方の配管110aには、気化器起動弁11及び気化器20内の圧力を制御する気化器圧力調整弁12が上流側から順次配置されている。分岐された他方の配管110bには、気化器バイパス弁13が配置されている。
【0020】
(気化器20)
気化器20は、貯蔵タンク10から供給される液体アンモニアを加熱して気化させるものである。気化器20において液体アンモニアは、温水中に浸漬されたコイル状配管内を通って昇温されて気化され、アンモニアガスとなる。気化器20の下流側は、配管120を介してアキュムレータ30に接続されている。
配管120は、途中が2方向に分岐されている。分岐された一方の配管120aには、アキュムレータ起動弁21、アキュムレータ30内の圧力を制御するアキュムレータ圧力調整弁22が上流側から順次配置されている。分岐された他方の配管120bには、アキュムレータバイパス弁23が配置されている。
【0021】
(アキュムレータ30)
アキュムレータ30は、アンモニアガスを蓄積し、圧力を安定させる装置である。アキュムレータ30の下流側からは配管130が延びている。配管130は、2方向に分岐されている。分岐された一方の配管132は、ヘッダー40に接続されている。分岐された他方の配管131は、アンモニアガス燃料用配管設備3に接続されている。
【0022】
[ヘッダー40]
ヘッダー40の下流側には、配管140が接続され、配管140は、脱硝遮断弁41を介して脱硝設備90に接続されている。
【0023】
[脱硝設備90]
脱硝設備90において、配管140は、脱硝装置91に接続されている。脱硝装置91には、ボイラ6から、配管180を経由して燃焼で生じた排ガスが送り込まれ、脱硝遮断弁41が開いている際に、配管140から流入されたアンモニアガスを還元剤として、排ガス中の窒素酸化物が無害な窒素ガスと水とに転換される。
【0024】
[アンモニアガス燃料用配管設備3]
上述のように、アキュムレータ30から延びる配管130から分岐した配管131は、アンモニアガス燃料用配管設備3に接続されている。配管131の上流側には遮断弁31が設けられている。遮断弁31の下流側には、窒素ガス等のパージガスをアンモニアガス燃料用配管設備3に流入可能なパージ用ガス供給部37から延びるパージ配管133が、パージ弁36を介して接続されている。
【0025】
配管131におけるパージ配管133が接続されている接続部よりも下流側は、2方向に分岐されている。分岐された一方の配管131aには、圧力調整弁32が配置されている。分岐された他方の配管131bには、遮断弁33が配置されている。配管131aと配管131bとは、下流側で再度合流している。合流した配管131は、遮断弁34を介して流量計50に接続されている。
【0026】
流量計50は、配管131を流れるガスの流量を測定するものである。流量計50の下流側からは配管150が延びている。配管150は途中が2方向に分岐されている。分岐された一方の配管150aには、流量調整弁51が配置されている。分岐された他方の配管150bには、遮断弁52が配置されている。配管150aと配管150bとは、下流側で再度合流している。
【0027】
合流した配管150の下流側は、第2接続部56で2方向に分岐されている。
分岐された一方の配管は、アンモニアガス流出配管151aであり、アンモニア流出遮断弁55を介して、アンモニアガス供給設備2のアンモニアガス吸収部80に接続されている。アンモニアガス吸収部80は、上述のように貯水槽であり、アンモニアガスを水に溶解させる。
分岐された他方のアンモニアガス供給配管151bにはバーナ弁53が配置されている。配管150におけるバーナ弁53の下流側には、冷却空気が流入される冷却配管160が冷却空気弁61を介して接続されている。
なお、アンモニアガス流出配管151aは、バーナ弁53の下流で分岐していてもよい。
アンモニアガス供給配管151bの下流側は遮断弁54を介して、ガス燃料供給部70から、ボイラ6のバーナ62Aまで延びるガス燃料配管170の第1接続部72に接続されている。
【0028】
[ガス燃料供給部70]
ガス燃料供給部70には、LNG(液化天然ガス)が貯蔵されている。LNGを液化して貯蔵する場合に、外部からの自然入熱等によりLNGが気化してBOGガス(boil off gas)が発生する。本実施形態では、ガス燃料配管170は、このBOGを燃料としてバーナ62Aに送る配管である。
ガス燃料配管170は、第1接続部72の下流側においてボイラ6のバーナ62Aに接続されている。ガス燃料配管170における第1接続部72の上流側には、ガス燃料配管遮断弁71が配置される。
【0029】
[ボイラ6]
ボイラ6には、バーナ62が複数段(本実施形態では高さ方向に4段(バーナ62A,62B,62C,62D)及び複数列(本実施形態ではそれぞれの段に4つずつ)配置されている。
図2は4段のバーナ62の配置例を説明する図である。本実施形態では、4段のバーナ62A、62B、62C、62Dには、燃料として石炭貯蔵部75より石炭(微粉炭)が供給される。最上段の4つのバーナ62Aには、更に、ガス燃料が供給される。
【0030】
[バーナ62]
図2においては、バーナ62Aの各々の最外部に、上記のガス燃料配管170の先端に設けられたガスリング171が円弧状に配置され、ガスリング171から5本のバーナノズル172が分岐し、バーナノズル172の先端に噴射口173が備わる。更に、
図2において最も右側に存在するバーナ62Aの5つの噴射口173のうち1つの噴射口173から、アンモニアが噴射されることにより、アンモニアが混焼される。なお、アンモニアが噴射される噴射口は、これには限られず、他の噴射口173であってもよく、任意の個数の噴射口であってもよい。また、アンモニアが混焼されるバーナは、最も右側に存在するバーナ62Aに限られず、任意の位置の任意の個数のバーナ62Aであってよい。
【0031】
[燃焼状態判定システム100]
本発明の実施形態に係る燃焼状態判定システム100は、
図1に示す、アンモニア濃度検出部101、脱硝入口NOx濃度検出部102、脱硝出口NOx濃度検出部103、脱硝用アンモニア量検出部104、判定部105を備える。
【0032】
アンモニア濃度検出部101は、手分析又は常設装置により、ボイラ6の出口におけるアンモニア濃度を検出する。
脱硝入口NOx濃度検出部102は、脱硝装置91の入口におけるNOx濃度である脱硝入口NOx濃度を検出する。
脱硝出口NOx濃度検出部103は、脱硝装置91の出口におけるNOx濃度である脱硝出口NOx濃度を検出する。
脱硝用アンモニア量検出部104は、脱硝出口NOx濃度に基づいて、脱硝装置91に注入される脱硝用アンモニア量を検出する。
判定部105は、ボイラ6の出口におけるアンモニア濃度、脱硝入口NOx濃度、脱硝出口NOx濃度、及び脱硝装置91の入口に注入される脱硝用アンモニア量に基づいて、ボイラ6内におけるアンモニア燃料の燃焼状態を判定する。
なお、
図1に示すように、判定部105は、制御部7の構成要素として備わることが可能である。
【0033】
図3は、アンモニア濃度検出部101、脱硝入口NOx濃度検出部102、脱硝出口NOx濃度検出部103、及び脱硝用アンモニア量検出部104の具体的な設置箇所を示す。
【0034】
図3に示すように、ボイラ6は、その構成要素の一部として、バーナ62A〜62D、及び火炉63を備える。火炉63は、全体として略逆U字状をなしており、図中矢印に沿って燃焼ガスが逆U字状に移動した後、火炉63の出口は、配管180に接続されている。火炉63の下方には、上記のように、火炉63のバーナーゾーン付近で微粉炭、ガス燃料、アンモニア等を燃焼するためのバーナ62A〜62Dが配置されている。
【0035】
燃焼ガスは、火炉63から出た後、建屋壁を経由して、配管180に排ガスとして入るが、配管180中の建屋壁近傍の箇所に、ボイラ6の出口におけるアンモニア濃度を検出するアンモニア濃度検出部101が設置される。
【0036】
配管180は、略逆U字状をなしてから脱硝装置91に接続するが、脱硝装置91の入口近傍には、脱硝装置91の入口におけるNOx濃度を検出する脱硝入口NOx濃度検出部102が設置される。
【0037】
排ガスは、脱硝装置91で脱硝された後、脱硝装置91から排出され、空気予熱器に向かうが、脱硝装置91の出口近傍には、脱硝出口NOx濃度を検出する脱硝出口NOx濃度検出部103が設置される。
【0038】
脱硝出口NOx濃度検出部103が検出した脱硝出口NOx濃度に基づいて、脱硝装置91に注入されるアンモニア量が定まるが、このアンモニアは、配管180中、略逆U字状となった箇所の直前で注入される。脱硝用アンモニア量検出部104は、この注入箇所に設置される。なお、脱硝用アンモニア量検出部104の設置箇所は、これには限られない。例えば、制御部7が脱硝用アンモニア量を算出する場合には、制御部7が、自身の構成要素として脱硝用アンモニア量検出部104を備え、脱硝用アンモニア量検出部104が、脱硝用アンモニア量の算出値を検出する構成としてもよい。
【0039】
〔2.発明の動作〕
以下、一部繰り返しとなるが、
図4及び
図5を参照することにより、本発明に係る燃焼状態判定システム100の動作について詳述する。
図4は、燃焼状態判定システム100の動作を示すフローチャートであり、
図5は、この動作で用いられる判定表である。
【0040】
ステップS1において、アンモニア濃度検出部101で、手分析又は常設装置により、ボイラ6出口のアンモニア濃度を検出する。
ステップS2において、脱硝入口NOx濃度検出部102で、脱硝装置91の入口でのNOx濃度である脱硝入口NOx濃度を検出する。
ステップS3において、脱硝出口NOx濃度検出部103で、脱硝装置91の出口でのNOx濃度である脱硝出口NOx濃度を検出する。
ステップS4において、脱硝用アンモニア量検出部104で、脱硝用アンモニア量を検出する。
ステップS5において、判定部105で、ボイラ6の出口におけるアンモニア濃度、脱硝入口NOx濃度、脱硝出口NOx濃度、及び脱硝装置91の入口に注入される脱硝用アンモニア量に基づいて、
図5に記載の判定表を用いることにより、ボイラ6内におけるアンモニア燃料の燃焼状態を判定する。具体的な判定方法は、以下の通りである。
【0041】
ボイラ6出口でアンモニアが検出されず、脱硝装置91入口でのNOx濃度が通常時と変化なく、脱硝装置91出口でのNOx濃度が通常時の設定値と変化なく、脱硝用アンモニア量に変化がない場合には、
図5の判定表の第2行に示すように、判定部105は、ボイラ6内においてアンモニア燃料が完全燃焼したと判定する。更に、判定部105は、アンモニア燃料の燃焼状態の評価を高評価とする。
【0042】
ボイラ6出口でアンモニアが少量検出され、脱硝装置91入口でのNOx濃度が通常時と変化なく、脱硝装置91出口でのNOx濃度が一時的に小幅に低下し、脱硝用アンモニア量が小幅に低下した場合には、
図5の判定表の第3行に示すように、判定部105は、ボイラ6内において未燃分のアンモニア燃料が発生し、このアンモニア燃料が、脱硝装置91内の脱硝触媒と反応し、脱硝反応が発生したと判定する。更に、判定部105は、アンモニア燃料の燃焼状態の評価を中評価とする。
【0043】
ボイラ6出口でアンモニアが多量検出され、脱硝装置91入口でのNOx濃度が通常時と変化なく、脱硝装置91出口でのNOx濃度が一時的に大幅に低下し、脱硝用アンモニア量が大幅に低下した場合には、
図5の判定表の第4行に示すように、判定部105は、ボイラ6内において未燃分のアンモニア燃料が発生し、このアンモニア燃料が、脱硝装置91内の脱硝触媒と反応し、脱硝反応が発生したと判定する。更に、判定部105は、アンモニア燃料の燃焼状態の評価を低評価とする。
【0044】
ボイラ6出口でアンモニアが検出されず、脱硝装置91入口でのNOx濃度が低下し、脱硝装置91出口でのNOx濃度が一時的に低下し、また、上記のバーナ62A〜62D近傍でのNOx濃度の低下に対応して、脱硝用アンモニア量が、NOx濃度の還元分低下した場合には、
図5の判定表の第5行に示すように、判定部105は、ボイラ6内において未燃分のアンモニア燃料が発生し、このアンモニア燃料が、ボイラ6内の火炎の周りで、900℃以上の高温での無触媒脱硝反応を起こしたと判定する。更に、判定部105は、アンモニア燃料の燃焼状態の評価を高評価とする。なお、脱硝装置91入口でのNOx濃度が低下したことから、バーナ62A〜62D近傍でのNOx濃度が還元反応により低下したことが想定される。逆に言えば、バーナ62A〜62D近傍でのNOx濃度が還元反応によって低下した分、上記のように、脱硝装置91入口でのNOx濃度が低下する。
【0045】
ボイラ6出口でアンモニアが少量検出され、脱硝装置91入口でのNOx濃度が低下し、脱硝装置91出口でのNOx濃度が一時的に小幅に低下し、脱硝用アンモニア量が小幅に低下した場合には、
図5の判定表の第6行に示すように、判定部105は、ボイラ6内において未燃分のアンモニア燃料が発生し、このアンモニア燃料が、ボイラ6内の火炎の周りで、900℃以上の高温での無触媒脱硝反応を起こしたと判定する。更に、判定部105は、アンモニア燃料の燃焼状態の評価を中評価とする。なお、判定表の第5行と同様に、脱硝装置91入口でのNOx濃度が低下したことから、バーナ62A〜62D近傍でのNOx濃度が還元反応により低下したことが想定される。逆に言えば、バーナ62A〜62D近傍でのNOx濃度が還元反応によって低下した分、上記のように、脱硝装置91入口でのNOx濃度が低下する。
【0046】
ボイラ6出口でアンモニアが多量検出され、脱硝装置91入口でのNOx濃度が低下し、脱硝装置91出口でのNOx濃度が一時的に大幅に低下し、脱硝用アンモニア量が大幅に低下した場合には、
図5の判定表の第7行に示すように、判定部105は、ボイラ6内において未燃分のアンモニア燃料が発生し、このアンモニア燃料が、ボイラ6内の亜鉛の周りで、900℃以上の高温での無触媒脱硝反応を起こしたと判定する。更に、判定部105は、アンモニア燃料の燃焼状態の評価を低評価とする。なお、判定表の第5行と同様に、脱硝装置91入口でのNOx濃度が低下したことから、バーナ62A〜62D近傍でのNOx濃度が還元反応により低下したことが想定される。逆に言えば、バーナ62A〜62D近傍でのNOx濃度が還元反応によって低下した分、上記のように、脱硝装置91入口でのNOx濃度が低下する。
【0047】
なお、
図5に記載の判定表において、例えば、脱硝装置91出口でのNOx濃度が、判定表1行目に示す基準値(Base)より0〜5ppm低下した場合に、低下幅を「小」とし、5ppm以上低下した場合に、低下幅を「大」とすることが可能である。また、脱硝用アンモニア量が、判定表1行目に示す基準値(Base)より、0〜5kg/h低下した場合に、低下幅を「小」とし、5kg/h以上低下した場合に、低下幅を「大」とすることが可能である。
【0048】
〔3.発明の効果〕
上記のように、本発明においては、ボイラ6の出口におけるアンモニア濃度、脱硝装置91の入口におけるNOx濃度、脱硝装置91の出口におけるNOx濃度、及び脱硝装置91の入口に注入される脱硝用アンモニア量に基づいて、判定部105が、ボイラ6内におけるアンモニア燃料の燃焼状態を判定する。
【0049】
より具体的には、バーナ62からアンモニア燃料を注入後、注入以前に比較して、脱硝装置91の入口におけるNOx濃度、脱硝装置91の出口におけるNOx濃度、脱硝用アンモニア量に変化がなく、ボイラ6の出口において、アンモニアが検出されなかった場合に、アンモニア燃料がボイラ6内において完全燃焼したと、判定部105が判定する。
【0050】
また、バーナ62からアンモニア燃料を注入後、注入以前に比較して、脱硝装置91の入口におけるNOx濃度に変化がなく、脱硝装置91の出口におけるNOx濃度、脱硝用アンモニア量が低下し、ボイラ6の出口において、アンモニアが検出された場合に、未燃分アンモニア燃料が発生し、この未燃分アンモニア燃料が、脱硝装置91に格納された脱硝触媒と反応したと、判定部105が判定する。
【0051】
また、バーナ62からアンモニア燃料を注入後、注入以前に比較して、脱硝装置91の入口におけるNOx濃度、脱硝装置91の出口におけるNOx濃度、及び、脱硝用アンモニア量が低下した場合に、未燃分アンモニア燃料が発生し、この未燃分アンモニア燃料がボイラ6内で脱硝反応を起こしたと、判定部105が判定する。
【0052】
これにより、簡便な手法で、ボイラ6内でのアンモニア燃料の燃焼状態を判定することが可能となる。
とりわけ、ボイラ6内において、微粉炭による炎の炎色とアンモニアの炎色とは近似しているため、一定の周波数の光を検知するような火炎検知装置を用いてアンモニア燃料の燃焼状態を判定することはできない。この点、本発明によれば、火力発電所に備わる既存の装置を利用することにより、簡便に、アンモニア燃料の燃焼状態、具体的には、アンモニア燃料が酸化反応を起こしているのか、還元反応を起こしているのかを判定することが可能となる。これにより、延いては、各ボイラによって異なる石炭とアンモニアとの混焼率を最適値に設定することが可能となる。
ボイラ6出口でのアンモニア濃度、脱硝装置91入口でのNOx濃度、脱硝装置91出口でのNOx濃度、及び、脱硝装置91で用いられる脱硝用アンモニア量に基づいて、ボイラ6内のアンモニア燃料の燃焼状態を判定する。