特許第6357703号(P6357703)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357703
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】ドア開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/614 20150101AFI20180709BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20180709BHJP
   B60J 5/10 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   E05F15/614
   B60J5/04 C
   B60J5/10 K
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-100897(P2014-100897)
(22)【出願日】2014年5月14日
(65)【公開番号】特開2015-218450(P2015-218450A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2017年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一幸
【審査官】 秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−82019(JP,A)
【文献】 特開2005−204468(JP,A)
【文献】 特開2005−336857(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0042465(US,A1)
【文献】 実開平4−5515(JP,U)
【文献】 実開昭59−98108(JP,U)
【文献】 特開2009−228735(JP,A)
【文献】 特開2013−11309(JP,A)
【文献】 特開2009−19699(JP,A)
【文献】 特開2008−101708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00−15/79
B60J 5/00− 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、前記モータの動力が伝達される出力軸と、基端部を介して前記出力軸の外周部に結合され、かつ先端部がドアに連係されたアームと、を備え、前記モータの駆動により前記アームを介して前記ドアを開閉移動させるドア開閉装置であって、
前記出力軸および前記アームにそれぞれセレーションを形成し、
前記出力軸は、軸心上にネジ穴を有し、
前記アームの基端部に当接した状態で前記ネジ穴にボルトを螺合することにより前記セレーションを介して前記出力軸に前記アームを圧入したことを特徴とするドア開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のバックドアやスライドドア等のドアには、手動による開閉に加え、ドア開閉装置によって開閉が可能となるように構成されたものがある(たとえば、特許文献1を参照。)。また、手動による開閉をドア開閉装置がアシストし、操作者の負担を軽減するものがある。
【0003】
ドア開閉装置としては、例えば電動モータと、減速機構を介して電動モータの動力が伝達される出力軸と、出力軸から径方向に突出し、先端部が車両のドアに連結されたアームとを備えて構成されている。このドア開閉装置では、電動モータの駆動により出力軸が回転すると、出力軸を中心としてアームが旋回することになり、車両本体に設けられたドアを開方向又は閉方向に移動させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−082019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなドア開閉装置には、ドアの開閉動作時におけるモータの動力の損失が少ないこと、すなわち出力効率が高いことが求められる。特に、出力軸とアームとの結合に機械的ガタがあると、出力効率が大幅に劣化するため、出力軸とアームとの結合の機械的ガタが小さいことが求められる。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、出力効率の高いドア開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るドア開閉装置は、モータと、前記モータの動力が伝達される出力軸と、基端部を介して前記出力軸の外周部に結合され、かつ先端部がドアに連係されたアームと、を備え、前記モータの駆動により前記アームを介して前記ドアを開閉移動させるドア開閉装置であって、前記出力軸および前記アームにそれぞれセレーションを形成し、前記出力軸は、軸心上にネジ穴を有し、前記アームの基端部に当接した状態で前記ネジ穴にボルトを螺合することにより前記セレーションを介して前記出力軸に前記アームを圧入したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、出力軸とアームとの間の機械的なガタがほぼゼロとなるため、出力効率の高いドア開閉装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施の形態のドア開閉装置をバックドアの開閉に用いる場合の設置例を示す模式図である。
図2図2は、本実施の形態のドア開閉装置をバックドアの開閉に用いる場合の設置例を示す模式図である。
図3図3は、本実施の形態のドア開閉装置の構成を示す模式図である。
図4図4は、図3のドア開閉装置の出力軸の軸心に沿った断面図である。
図5図5は、図3のドア開閉装置における第1の遊星歯車機構の構成を示す分解斜視図である。
図6図6は、図3のドア開閉装置におけるセンサ機構の構成を示す分解斜視図である。
図7図7は、図3のドア開閉装置における第2の遊星歯車機構、第3の遊星歯車機構、およびアームの構成を示す分解斜視図である。
図8図8は、図7の出力軸の断面図および側面図である。
図9図9は、図7のアームスペーサの断面図および側面図である。
図10図10は、図7のボルトの断面図および側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照して本発明に係るドア開閉装置の実施の形態を説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0012】
(実施の形態)
まず、本実施の形態のドア開閉装置を車両に設置した場合の設置例を説明する。本実施の形態のドア開閉装置は、四輪自動車等の車両において車両本体の後端開口に設けた上方ヒンジのバックドアを開閉するためのものである。図1、2は、本実施の形態のドア開閉装置をバックドアの開閉に用いる場合の設置例を示す模式図である。図1はバックドアが閉の状態、図2はバックドアが開の状態を表す。また、図1(a)、図2(a)は、車両後方の全体図を表し、図1(b)、図2(b)は、それぞれ図1(a)、図2(a)の部分拡大図である。
【0013】
図3は、本実施の形態のドア開閉装置の構成を示す模式図である。ドア開閉装置1は、図3に示すように、モータ2と、出力軸3と、減速機構4と、アーム9とを備え、これらが出力軸3の軸心に沿って連結されている。また、減速機構4は、図3に示すように、第1の遊星歯車機構5と、センサ機構6と、第2の遊星歯車機構7と、第3の遊星歯車機構8とを備える。なお、モータ2とセンサ機構6とには、車載電源から電力が供給されている。
【0014】
本実施の形態のドア開閉装置1は、図1、2に示すように、出力軸3の軸心が車両100の幅方向に水平となる状態で車両100の天井に固定されている。そして、ドア開閉装置1のアーム9には、開閉部材としてのロッドRの一端が接続されている。また、ロッドRの他端には開閉部材としてのヒンジ102が接続されている。ヒンジ102の一端は、ブラケットB3により車両100の天井に固定されている。また、ヒンジ102の他端は、バックドア101に固定されている。
【0015】
つぎに、本発明の実施の形態に係るドア開閉装置1の具体的構成について図3および図4〜7を参照して説明する。図4は、図3のドア開閉装置の出力軸の軸心に沿った断面図である。図5は、図3のドア開閉装置における第1の遊星歯車機構の構成を示す分解斜視図である。図6は、図3のドア開閉装置におけるセンサ機構の構成を示す分解斜視図である。図7は、図3のドア開閉装置における第2の遊星歯車機構、第3の遊星歯車機構、およびアームの構成を示す分解斜視図である。
【0016】
モータ2は、ドアを開閉する動力を発生させるものであり、収容部としての筒状のモータケース201内に図示しない回転子や電磁石等が収容されている。電磁石は、車載電源に接続し給電される。ボルトV5を螺合された出力軸3は、ドアを開閉する動力を出力するものであり、減速機構4を介してモータ2の回転軸に接続している。出力軸3には、出力軸3から出力された動力により、出力軸3を中心として旋回するアーム9が取り付けられている。アーム9には、ロッドRおよび図1、2のヒンジ102が接続される。
【0017】
減速機構4は、モータ2の動力を減速して出力軸3に伝達するものであり、モータ2側から第1の遊星歯車機構5、センサ機構6、第2の遊星歯車機構7、第3の遊星歯車機構8の順に出力軸3の軸心に沿って並んでいる。
【0018】
第1の遊星歯車機構5は、図5に示すように、モータ2から入力された動力を減速して出力する第1の減速機構である。第1の遊星歯車機構5は、第1のサンギア501、第1のプラネタリーギア502、第1のプラネタリーキャリア503、回転可能な第1のリングギア504を備え、これらを収容部材としての筒状のギアケース510に収容してユニット化している。第1のプラネタリーキャリア503は、ギアケース510に嵌合されて固定されている。ギアケース510は、外周面に設けた固定用耳部510aとモータケース201とを図示しないネジによりネジ止めすることで、モータケース201に固定されている。また、ギアケース510は、ドア開閉装置1を車両本体又はドアに固定するための固定手段としてのブラケットB1を有している。第1のリングギア504には、センサ機構6を構成するマグネットシャフト604がセレーション結合されている(図4参照)。
【0019】
第1のサンギア501は、モータ2の駆動により回転するようにモータ2と接続され、第1のサンギア501が回転すると、第1のプラネタリーギア502が自転する。第1のプラネタリーギア502が自転すると、第1のプラネタリーキャリア503が固定されていることにより、第1のリングギア504が回転する。さらに、第1のリングギア504が回転すると、第1のリングギア504に接続したマグネットシャフト604が回転する。その結果、第1のサンギア501に入力された動力は、マグネットシャフト604から減速されて出力される。
【0020】
センサ機構6は、図6に示すように、ドア開閉装置1の駆動状況を検出するための機構である。センサ機構6は、ブレーキブッシュ601、ウェーブワッシャー602、ブレーキカバー603、マグネットシャフト604、マグネットリング605、カラー606、トレランスリング607、GMR(Giant Magneto Resistance effect)センサ608、ブッシュ609を備え、これらをセンサケース610、620内に収容してユニット化している。センサケース610、620は、外周面に設けた固定用耳部610a、620aとモータケース201とをボルトV1でネジ止めすることで、モータケース201に固定されている。
【0021】
ブレーキブッシュ601は、ウェーブワッシャー602を介してブレーキカバー603に装着されている。マグネットシャフト604は、マグネットリング605を嵌着され固定する。マグネットリング605は、平板リング状の部材であって、周回りに沿ってS極とN極とが交互に配置するよう着磁されている。GMRセンサ608は、センサケース620に固定されている。マグネットシャフト604は、出力軸3側に設けられた凹部にカラー606を挿通され、さらにカラー606の内側に波型形状の凹凸を持つトレランスリング607を挿通される。そして、トレランスリング607の内側に第2の遊星歯車機構7を構成する第2のサンギア702(図4参照)を挿通することにより、マグネットシャフト604と第2のサンギア702とが、トレランスリング607により押圧されて締結される。また、ブッシュ609は、センサケース620と第2のサンギア702との隙間を埋めている。
【0022】
マグネットシャフト604は、第1の遊星歯車機構5の第1のリングギア504から入力される動力により回転する。マグネットシャフト604が回転すると、マグネットシャフト604とマグネットリング605とは一体となって回転する。マグネットリング605が回転すると、GMRセンサ608がマグネットリング605からの磁束密度を検出してパルス信号を発生する。このように発生したパルス信号をパルスセンサによって検出することにより、ドア開閉装置1の駆動状況、特に回転速度および回転方向を検出することができる。また、マグネットシャフト604が回転すると、マグネットシャフト604と締結された第2のサンギア702が回転する。
【0023】
2段の遊星歯車機構で構成された第2の遊星歯車機構7および第3の遊星歯車機構8は、図7に示すように、センサ機構6を介して第1の遊星歯車機構5から入力された動力を減速して出力する第2の減速機構である。
【0024】
この2段の遊星歯車機構は、リングギアカバー701、第2のサンギア702、第2のプラネタリーギア703、ピン704、第2のプラネタリーキャリア705、第3のサンギア801、第3のプラネタリーギア802、ピン803、第3のプラネタリーキャリア804、スペーサ805、ブッシュ806を備え、これらをギアケース710、810からなる筒状の収容部材に収容してユニット化している。なお、ギアケース710は、内側に第2のリングギア710bを備え、第2のリングギア710bは第2の遊星歯車機構7および第3の遊星歯車機構8の双方のリングギアとして機能する。
【0025】
リングギアカバー701は、ギアケース710に嵌合される。第2のサンギア702は、マグネットシャフト604に締結されている。第2のプラネタリーギア703は、ピン704により第2のプラネタリーキャリア705に回転可能に支持されている。第3のサンギア801は、第2のプラネタリーキャリア705にセレーション結合されている。第3のプラネタリーギア802は、ピン803により第3のプラネタリーキャリア804に回転可能に支持されている。第3のプラネタリーキャリア804には、ドア開閉装置1の出力軸3が接続している。スペーサ805は、ギアケース710とギアケース810との隙間を埋め、ブッシュ806は、ギアケース810と出力軸3との隙間を埋める。ギアケース710は、外周面に設けた固定用耳部710aとセンサケース620とをボルトV2によりネジ止めすることで、センサケース620に固定されている。さらに、ギアケース810は、外周面に設けた固定用耳部810aとギアケース710とをボルトV3によりネジ止めすることで、ギアケース710に固定されている。ギアケース810には、ドア開閉装置1を車両本体又はドアに固定するための固定手段としてのブラケットB2がボルトV4によりに固定されている。
【0026】
第2のサンギア702がマグネットシャフト604の動力により回転すると、第2のプラネタリーギア703が自転する。第2のプラネタリーギア703が自転すると、ギアケース710内に形成された第2のリングギア710bは回転しないため、第2のプラネタリーキャリア705が回転する。第2のプラネタリーキャリア705が回転すると、第2のプラネタリーキャリア705に接続された第3のサンギア801が回転する。
【0027】
第3のサンギア801が回転すると、第3のプラネタリーギア802が自転する。第3のプラネタリーギア802が自転すると、ギアケース710内に形成された第2のリングギア710bは回転しないため、第3のプラネタリーキャリア804が回転する。第3のプラネタリーキャリア804が回転すると、第3のプラネタリーキャリア804に接続された出力軸3が回転する。その結果、第2のサンギア702に入力された動力は、出力軸3から減速されて出力される。
【0028】
なお、この第2の遊星歯車機構7および第3の遊星歯車機構8は、第2のサンギア702と第3のプラネタリーキャリア804(ドア開閉装置1における出力軸3)とが出力軸3の軸心上で回転するよう構成している。
【0029】
出力軸3は、たとえば円筒状の形状を有する。図8は、図7の出力軸の断面図および側面図である。出力軸3は、図8に示すように、モータ2と反対側の端部の外周部に雄セレーション3aを有する。また、出力軸3は、モータ2と反対側の端部の出力軸3の軸心上にネジ穴3bを有する。すなわち、出力軸3のモータ2と反対側の端部は、管状であり、管の外周部に雄セレーション3aが形成され、管の内周部にネジ穴3bが形成されている。
【0030】
アーム9は、アーム部材901、アームスペーサ902、クッション903、シャフトロッドAを備える。アーム9は、基端部を介して出力軸3の外周部に結合され、かつ先端部がロッドRおよびヒンジ102を介してドアに連係される。アーム9は、出力軸3の動力をロッドRおよびヒンジ102に伝達する。
【0031】
アーム部材901は、基端部に環状部材であるアームスペーサ902を溶接により固設される。図9は、図7のアームスペーサの断面図および側面図である。アームスペーサ902は、環の内側に雌セレーション902aを有する。また、アーム部材901には、クッション903を介してシャフトロッドAが接続されている。さらに、シャフトロッドAには、図示しないクリップによりロッドRが接続される。
【0032】
図10は、図7のボルトの断面図および側面図である。ボルトV5は、ネジV5aを有する。そして、アームスペーサ902を固設されたアーム部材901の基端部に当接した状態で出力軸3のネジ穴にボルトV5を螺合することによりアーム9を出力軸3に圧入する。すなわち、出力軸3の雄セレーション3aとアーム部材901に固設されたアームスペーサ902の雌セレーション902aとを介して出力軸3にアーム9が圧入される。その結果、出力軸3とアーム9との間の機械的なガタがほぼゼロとなる。
【0033】
つぎに、本実施の形態のドア開閉装置1の動作について説明する。ドア開閉装置1は、図1、2に示すように、バックドア101の開閉動作を行う。まず、ドア開閉装置1のモータ2が、車載電源から所定の周波数(PWM周波数)、所定のデューティー比のパルス電流を入力されると、モータ2はそのデューティー比に応じた回転数で回転駆動する。このとき、パルス電流のデューティー比を大きくするとモータ2の回転数は大きくなり、デューティー比を小さくするとモータ2の回転数は小さくなる。これによりモータ2はPWM制御される。駆動したモータ2の動力は減速機構4を介して出力軸3に伝達され、出力軸3が回転する。そして、出力軸3が回転すると、図1、2に示すように、出力軸3を中心としてアーム9が旋回することになり、ロッドR、ヒンジ102が連動して回転しバックドア101を開閉動作する。なお、バックドア101を開動作するか閉動作するかによってモータ2の回転方向が切り替えられる。モータ2の回転方向の切り替えは、パルス電流を流す方向を切り替えることによって実現される。
【0034】
ここで、ドア開閉装置1は、出力効率の高いドア開閉装置であることが好ましい。特に、ドア開閉装置1において、出力軸3とアーム9との結合に機械的ガタがあると、出力効率の大幅な劣化の原因となる。そこで、本実施の形態のドア開閉装置1においては、出力軸3およびアーム9にそれぞれセレーションを形成し、これらのセレーションを介して出力軸3にアーム9を圧入した。その結果、出力軸3とアーム9との間の機械的ガタがほぼゼロとなり、出力効率の高いドア開閉装置が実現される。
【0035】
さらに、本実施の形態のドア開閉装置1は、出力軸3とアーム9との機械的ガタがほぼゼロであるため、ドアの開閉動作時にこの結合部がガタつかず動作時の作動音が小さいという効果を奏する。また、本実施の形態のドア開閉装置1は、機械的ガタが原因で故障または経年劣化することが抑制され、長期信頼性が高いという効果も奏する。
【0036】
以上のように、本実施の形態に係るドア開閉装置1は、出力効率の高いドア開閉装置である。
【0037】
なお、第1の遊星歯車機構5、第2の遊星歯車機構7、第3の遊星歯車機構8は、上述したような構成に限らず、他の構成であってもよい。たとえば、遊星歯車機構を構成する部品のうち、どの部品を固定し、どの部品を回転可能とするかは適宜設計することができる。また、モータ2に接続する減速機構は、遊星歯車機構に限らず、サイクロイド減速機構であってもよく、平歯車を用いた減速機構を用いてもよい。また、減速機構は3段に限られず、0〜2段、または4段以上の複数段であってもよい。
【0038】
また、ドア開閉装置1はクラッチ機構を備えていてもよい。クラッチ機構は、たとえば電磁クラッチであるが、他の構成であってもよい。また、ドア開閉装置1はブレーキ機構を備えていてもよい。ブレーキ機構は、たとえばスプリング式であるが、他の構成であってもよい。
【0039】
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 ドア開閉装置
100 車両
101 バックドア
102 ヒンジ
2 モータ
201 モータケース
3 出力軸
3a 雄セレーション
3b ネジ穴
4 減速機構
5 第1の遊星歯車機構
501 第1のサンギア
502 第1のプラネタリーギア
503 第1のプラネタリーキャリア
504 第1のリングギア
510、710、810 ギアケース
510a、610a、620a、710a、810a 固定用耳部
6 センサ機構
601 ブレーキブッシュ
602 ウェーブワッシャー
603 ブレーキカバー
604 マグネットシャフト
605 マグネットリング
606 カラー
607 トレランスリング
608 GMRセンサ
609、806 ブッシュ
610、620 センサケース
7 第2の遊星歯車機構
701 リングギアカバー
702 第2のサンギア
703 第2のプラネタリーギア
704、803 ピン
705 第2のプラネタリーキャリア
710b 第2のリングギア
8 第3の遊星歯車機構
801 第3のサンギア
802 第3のプラネタリーギア
804 第3のプラネタリーキャリア
805 スペーサ
9 アーム
901 アーム部材
902 アームスペーサ
902a 雌セレーション
903 クッション
A シャフトロッド
B1、B2、B3 ブラケット
R ロッド
V1、V2、V3、V4、V5 ボルト
V5a ネジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10