特許第6357709号(P6357709)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357709
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】高変圧比のDC−DCコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20180709BHJP
【FI】
   H02M3/155 W
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-519762(P2017-519762)
(86)(22)【出願日】2015年5月7日
(65)【公表番号】特表2017-521041(P2017-521041A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(86)【国際出願番号】CN2015078441
(87)【国際公開番号】WO2016000489
(87)【国際公開日】20160107
【審査請求日】2017年3月8日
(31)【優先権主張番号】201410310090.4
(32)【優先日】2014年6月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516060783
【氏名又は名称】▲陽▼光▲電▼源股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Sungrow Power Supply Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(74)【代理人】
【識別番号】100120411
【弁理士】
【氏名又は名称】島野 公利
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼彦虎
(72)【発明者】
【氏名】胡兵
(72)【発明者】
【氏名】朱瑞林
(72)【発明者】
【氏名】薛▲麗▼英
【審査官】 佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第101867314(CN,A)
【文献】 特開平03−169255(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2009−0044137(KR,A)
【文献】 特開2011−010519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのDC-DCコンバータ本体を含む、高変圧比のDC-DCコンバータであって、
前記2つのDC-DCコンバータ本体は、入力が並列に接続され、出力が直列に接続され
前記2つのDC-DCコンバータ本体は、いずれも昇降圧DC-DCコンバータであり、
1つの前記昇降圧DC-DCコンバータは、直流電源の両端に直列に接続される第1のインダクタと第1のパワースイッチ管、及び前記第1のパワースイッチ管の両端に並列に接続される第1の直列接続分岐を含み、前記第1の直列接続分岐は、互いに直列に接続される第2のパワースイッチ管と、第1のキャパシタと、第2のキャパシタとを含み、
他の1つの前記昇降圧DC-DCコンバータは、前記直流電源の両端に直列に接続される第2のインダクタと第3のパワースイッチ管、及び前記第3のパワースイッチ管の両端に並列に接続される第2の直列接続分岐を含み、前記第2の直列接続分岐は互いに直列に接続される第4のパワースイッチ管と、前記第2のキャパシタと、第3のキャパシタとを含み、
前記第1のインダクタは前記直流電源の正極に接続され、前記第2のインダクタは前記直流電源の負極に接続されることを特徴とする高変圧比のDC-DCコンバータ。
【請求項2】
前記第1のパワースイッチ管と、前記第2のパワースイッチ管と、前記第3のパワースイッチ管と、前記第4のパワースイッチ管とは、いずれもMOS又はIGBTであることを特徴とする請求項に記載の高変圧比のDC-DCコンバータ。
【請求項3】
2つのDC-DCコンバータ本体を含む、高変圧比のDC-DCコンバータであって、
前記2つのDC-DCコンバータ本体は、入力が並列に接続され、出力が直列に接続され、
前記2つのDC-DCコンバータ本体は、いずれも昇圧DC-DCコンバータであり、
1つの前記昇圧DC-DCコンバータは、直流電源の両端に直列に接続される第1のインダクタと第1のパワースイッチ管、及び前記第1のパワースイッチ管の両端に並列に接続される第1の直列接続分岐を含み、前記第1の直列接続分岐は互いに直列に接続される第1のダイオードと、第1のキャパシタと、第2のキャパシタとを含み、
他の1つの前記昇圧DC-DCコンバータは、前記直流電源の両端に直列に接続される第2のインダクタと第2のパワースイッチ管、及び前記第2のパワースイッチ管の両端に並列に接続される第2の直列接続分岐を含み、前記第2の直列接続分岐は互いに直列に接続される第2のダイオードと、前記第2のキャパシタと、第3のキャパシタとを含み、
前記第1のインダクタは前記直流電源の正極に接続され、前記第2のインダクタは前記直流電源の負極に接続されることを特徴とする高変圧比のDC-DCコンバータ。
【請求項4】
前記第1のパワースイッチ管と前記第2のパワースイッチ管とは、いずれもMOS又はIGBTであることを特徴とする請求項に記載の高変圧比のDC-DCコンバータ。
【請求項5】
2つのDC-DCコンバータ本体を含む、高変圧比のDC-DCコンバータであって、
前記2つのDC-DCコンバータ本体は、入力が並列に接続され、出力が直列に接続され、
前記2つのDC-DCコンバータ本体は、1つの昇降圧DC-DCコンバータと1つの昇圧DC-DCコンバータとを含み、
前記昇降圧DC-DCコンバータは、直流電源の両端に直列に接続される第1のインダクタと第1のパワースイッチ管、及び前記第1のパワースイッチ管の両端に並列に接続される第1の直列接続分岐を含み、前記第1の直列接続分岐は互いに直列に接続される第2のパワースイッチ管と、第1のキャパシタと、第2のキャパシタとを含み、
前記昇圧DC-DCコンバータは、前記直流電源の両端に直列に接続される第2のインダクタと第3のパワースイッチ管、及び前記第2のインダクタの両端に並列に接続される第2の直列接続分岐を含み、前記第2の直列接続分岐は互いに直列に接続される第4のパワースイッチ管と第3のキャパシタとを含み、
ここで、前記第1のキャパシタと、前記第2のキャパシタと、前記第3のキャパシタとが直列に接続して分圧し、
前記第1のインダクタは前記直流電源の正極に接続され、前記第2のインダクタは前記直流電源の負極に接続されることを特徴とする高変圧比のDC-DCコンバータ。
【請求項6】
前記第1のパワースイッチ管と、前記第2のパワースイッチ管と、前記第3のパワースイッチ管と、前記第4のパワースイッチ管とは、いずれもMOS又はIGBTであることを特徴とする請求項に記載の高変圧比のDC-DCコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2014年6月30日に中国専利局に提出した、出願番号が201410310090.4であって、発明の名称が「高変圧比のDC-DCコンバータ」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は援用により本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は電力電子技術分野に関し、より具体的には、高変圧比のDC-DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術は、一般的に、隔離手段を採用して太陽光発電システムにおいて広範囲の光起電力アレイ出力電圧を実現しする。即ち、絶縁変圧器を介してシステムにおけるDC-DCコンバータの昇圧比を向上する。
【0004】
しかしながら、絶縁変圧器に存在するリーケージインダクタンス(leakage inductance)エネルギーは、スイッチ電圧オーバーシュート、電磁妨害等の一連の問題を引き起こし、極大なセキュリティリスクが存在し、更に、前記絶縁変圧器の導入は必ず余分なエネルギー損失をもたらし、前記DC-DCコンバータのエネルギー変換効率を低減してしまう。
【0005】
従って、如何に前記DC-DCコンバータの高い昇圧比と、高い安全信頼性と、高いエネルギー変換効率とを兼ね備えるかの問題は、当業者が解決すべき課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに鑑み、本出願は、DC-DCコンバータの昇圧比を向上させるとともに、前記DC-DCコンバータの高い安全信頼性と高いエネルギー変換効率とを保証する高変圧比のDC-DCコンバータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
2つのDC-DCコンバータ本体を含む、高変圧比のDC-DCコンバータであって、前記2つのDC-DCコンバータ本体は、入力が並列に接続され、出力が直列に接続される。
【0008】
ここで、前記2つのDC-DCコンバータ本体は、いずれも昇降圧DC-DCコンバータである。
【0009】
ここで、1通りの前記昇降圧DC-DCコンバータは、直流電源の両端に直列に接続される第1のインダクタと第1のパワースイッチ管、及び前記第1のパワースイッチ管の両端に並列に接続される第1の直列接続分岐を含み、前記第1の直列接続分岐は、互いに直列に接続される第2のパワースイッチ管と、第1のキャパシタと、第2のキャパシタとを含み、
他の1通りの前記昇降圧DC-DCコンバータは、前記直流電源の両端に直列に接続される第2のインダクタと第3のパワースイッチ管、及び前記第3のパワースイッチ管の両端に並列に接続される第2の直列接続分岐を含み、前記第2の直列接続分岐は互いに直列に接続される第4のパワースイッチ管と、前記第2のキャパシタと、第3のキャパシタとを含む。
【0010】
ここで、前記第1のパワースイッチ管と、前記第2のパワースイッチ管と、前記第3のパワースイッチ管と、前記第4のパワースイッチ管とは、いずれもMOS又はIGBTである。
【0011】
ここで、前記2つのDC-DCコンバータ本体は、いずれも昇圧DC-DCコンバータである。
【0012】
ここで、1通りの前記昇圧DC-DCコンバータは、直流電源の両端に直列に接続される第1のインダクタと第1のパワースイッチ管、及び前記第1のパワースイッチ管の両端に並列に接続される第1の直列接続分岐を含み、前記第1の直列接続分岐は互いに直列に接続される第1のダイオードと、第1のキャパシタと、第2のキャパシタとを含み、
他の1通りの前記昇圧DC-DCコンバータは、前記直流電源の両端に直列に接続される第2のインダクタと第2のパワースイッチ管、及び前記第2のパワースイッチ管の両端に並列に接続される第2の直列接続分岐を含み、前記第2の直列接続分岐は互いに直列に接続される第2のダイオードと、前記第2のキャパシタと、第3のキャパシタとを含む。
【0013】
ここで、前記第1のパワースイッチ管と前記第2のパワースイッチ管とは、いずれもMOS又はIGBTである。
【0014】
ここで、前記2つのDC-DCコンバータ本体は、1つの昇降圧DC-DCコンバータと1つの昇圧DC-DCコンバータとを含む。
【0015】
ここで、前記昇降圧DC-DCコンバータは、直流電源の両端に直列に接続される第1のインダクタと第1のパワースイッチ管、及び前記第1のパワースイッチ管の両端に並列に接続される第1の直列接続分岐を含み、前記第1の直列接続分岐は互いに直列に接続される第2のパワースイッチ管と、第1のキャパシタと、第2のキャパシタとを含み、
前記昇圧DC-DCコンバータは、前記直流電源の両端に直列に接続される第2のインダクタと第3のパワースイッチ管、及び前記第2のインダクタの両端に並列に接続される第2の直列接続分岐を含み、前記第2の直列接続分岐は互いに直列に接続される第4のパワースイッチ管と第3のキャパシタとを含み、
ここで、前記第1のキャパシタと、前記第2のキャパシタと、前記第3のキャパシタとを並列に接続して分圧する
【0016】
前記第1のパワースイッチ管と、前記第2のパワースイッチ管と、前記第3のパワースイッチ管と、前記第4のパワースイッチ管とは、いずれもMOS又はIGBTである。
【発明の効果】
【0017】
上記の技術案から分かるように、本出願では、2つのDC-DCコンバータ本体は、入力が並列に接続され、出力が直列に接続されることにより、高変圧比のDC-DCコンバータを得て、当該高変圧比のDC-DCコンバータの入力電圧が何れか一つのDC-DCコンバータ本体の入力電圧と等しく、その出力電圧が2つのDC-DCコンバータ本体の出力電圧の和と等しいことで、DC-DCコンバータの高い変圧比を実現する。なお、本出願は、絶縁変圧器を介して昇圧比を向上させる必要がないので、余分なエネルギー損失をもたらさず、且つリーケージインダクタンスエネルギーによるセキュリティリスクが存在しない。
本出願の実施態様又は従来技術における技術案をより明確に説明するために、以下で実施態様又は従来技術の記述において使用する必要がある図面を簡単に紹介する。もちろん、以下に記述の図面は本出願の幾つかの実施態様に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力をしない前提で、これらの図面に応じて他の図面を得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本出願の実施態様が開示する高変圧比のDC-DCコンバータの回路トポロジー図である。
図2a】本出願の実施態様が開示する高変圧比のDC-DCコンバータが順方向に昇圧する際に対応する4種の作動モード(モード1)での電流の流れの模式図である。
図2b】本出願の実施態様が開示する高変圧比のDC-DCコンバータが順方向に昇圧する際に対応する4種の作動モード(モード2)での電流の流れの模式図である。
図2c】本出願の実施態様が開示する高変圧比のDC-DCコンバータが順方向に昇圧する際に対応する4種の作動モード(モード3)での電流の流れの模式図である。
図2d】本出願の実施態様が開示する高変圧比のDC-DCコンバータが順方向に昇圧する際に対応する4種の作動モード(モード4)での電流の流れの模式図である。
図3】本出願の実施態様が開示する高変圧比のDC-DCコンバータの太陽光発電システムの構成模式図である。
図4】本出願の実施態様が開示する他の高変圧比のDC-DCコンバータ回路トポロジー図である。
図5a】本出願の実施態様が開示する他の高変圧比のDC-DCコンバータの回路トポロジー図である。
図5b】本出願の実施態様が開示する他の高変圧比のDC-DCコンバータの回路トポロジー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
援用と明確のために、以下で使用する技術名詞、短縮語又は略語のまとめは以下の通りである。
MOS:Metal Oxide Semiconductor FET、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ。
IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ。
【0020】
以下、本出願の実施態様における図面と組み合わせて、本出願の実施態様における技術案を明確かつ完全に記述するが、明らかに、記述する実施態様は本出願の実施態様の一部に過ぎず、実施態様の全てではない。本出願における実施態様に基づいて、当業者が創造的な労力をしない前提で得られる全ての他の実施態様は、本出願の保護範囲に属する。
【0021】
本出願の実施態様は、DC-DCコンバータの昇圧比を向上させるとともに、前記DC-DCコンバータの高い安全信頼性と高いエネルギー変換効率とを保証する、入力が並列に接続されるとともに出力が直列に接続される2つのDC-DCコンバータ本体を含む高変圧比のDC-DCコンバータを提供する。
【0022】
2つのDC-DCコンバータ本体は、入力が並列に接続されるとともに出力が直列に接続される回路接続関係を満足するので、このように構成して得られた前記高変圧比のDC-DCコンバータは、その入力電圧が何れか一つのDC-DCコンバータ本体の入力電圧と等しく、その出力電圧が2つのDC-DCコンバータ本体の出力電圧の和と等しく、それにより高い変圧比を有する。更に、この解決案は絶縁変圧器を介してシステムが要求する高昇圧比に達する必要がないので、余分なエネルギー損失をもたらさず、かつリーケージインダクタンスエネルギーによるセキュリティリスクが存在せず、DC-DCコンバータの高いエネルギー変換効率と高い安全信頼性とを保証する。
【0023】
本実施態様に記載の高変圧比のDC-DCコンバータは、複数の回路トポロジーにより実現可能であり、当業者の理解と応用を容易にするために、以下、その中の3種の回路トポロジーについて詳述する。
【0024】
解決案1において、前記高変圧比のDC-DCコンバータを構成するのに要する2つのDC-DCコンバータ本体は、いずれも昇降圧DC-DCコンバータである。
【0025】
図1を参照すると、第1の前記昇降圧DC-DCコンバータは、直流電源DCの両端に直列に接続されている第1のインダクタLと第1のパワースイッチ管QH1、及び第1のパワースイッチ管QH1の両端に並列に接続されている第1の直列接続分岐を含み、前記第1の直列接続分岐は互いに直列に接続されている第2のパワースイッチ管QH2と、第1のキャパシタCと、第2のキャパシタCとを含み、
第2の前記昇降圧DC-DCコンバータは、直流電源DCの両端に直列に接続されている第2のインダクタLと第3のパワースイッチ管QL1、及び第3のパワースイッチ管QL1の両端に並列に接続されている第2の直列接続分岐を含み、前記第2の直列接続分岐は互いに直列に接続されている第4のパワースイッチ管QL2と、第2のキャパシタCと、第3のキャパシタCとを含む。
【0026】
この2つの昇降圧DC-DCコンバータは、いずれもエネルギー双方向伝達を実現可能な双方向DC-DCコンバータであり(その順方向はいずれも昇圧DC-DCコンバータであり、対応する昇圧パワースイッチ管はそれぞれ第1のパワースイッチ管QH1と第3のパワースイッチ管QL1であり、その逆方向はいずれも降圧DC-DCコンバータであり、対応する降圧パワースイッチ管はそれぞれ第2のパワースイッチ管QH2と第4のパワースイッチ管QL2である)、両者は直流電源DCと第2のキャパシタCを共用し、入力が並列に接続されるとともに出力が直列に接続される関係を満足する。したがって、形成される前記高変圧比のDC-DCコンバータも高昇降圧比の双方向DC-DCコンバータである。
【0027】
前記高昇降圧比の双方向DC-DCコンバータの順方向が昇圧DC-DCコンバータである場合には、4種の作動モードがあり、具体的には、以下の通りである。
モード1)第1のパワースイッチ管QH1と第3のパワースイッチ管QL1がいずれもオンにされた際に、第1のインダクタLと第2のインダクタLがエネルギーを蓄積する。対応する電流の流れは図2aに示された通りである。
モード2)第1のパワースイッチ管QH1がオフにされ、第3のパワースイッチ管QL1がオンにされた際に、第1の昇降圧DC-DCコンバータが順方向に昇圧し、第2のインダクタLがエネルギーを蓄積する。対応する電流の流れは図2bに示された通りである。
モード3)第1のパワースイッチ管QH1と第3のパワースイッチ管QL1がいずれもオフにされた際に、2つの昇降圧DC-DCコンバータが順方向に昇圧する。対応する電流の流れは図2cに示された通りである。
モード4)第1のパワースイッチ管QH1がオンにされ、第3のパワースイッチ管QL1がオフにされた際に、第1のインダクタLがエネルギーを蓄積し、第2の昇降圧DC-DCコンバータが順方向に昇圧する。対応する電流の流れは図2dに示された通りである。
【0028】
上記の4種の作動モードに基づいて、前記高昇降圧比の双方向DC-DCコンバータが順方向に昇圧する際に、その昇圧比=VC1+VC2+VC3/VDCとなり、ここで、低圧側電圧VDCは直流電源DCの両端電圧であり、高圧側電圧VC1+VC2+VC3は第1のキャパシタCと、第2のキャパシタCと、第3のキャパシタCとの三つの分圧キャパシタの電圧の総和であるということが推定できる。当該昇圧比は、前記第1の昇降圧DC-DCコンバータの昇圧比(VC1+VC2/VDC)と前記第2の昇降圧DC-DCコンバータの昇圧比(VC2+VC3/VDC)よりも高くなる。
【0029】
同様の理由により、前記高昇降圧比の双方向DC-DCコンバータは、逆方向が降圧DC-DCコンバータである場合にも、同様に4種の作動モードがあり、その降圧比=VC1+VC2+VC3/VDCとなる。当該降圧比は、前記第1の昇降圧DC-DCコンバータの降圧比(VC1+VC2/VDC)と前記第2の昇降圧DC-DCコンバータの降圧比(VC2+VC3/VDC)よりも高くなる。
【0030】
このように、本解決案1は、従来の双方向DC-DCコンバータの昇降圧比を明らかに向上させ、従来技術に存在する問題を解決する。なお、説明を追加する必要があるのは、本解決案1において、第1のパワースイッチ管QH1と、第3のパワースイッチ管QL1と、第2のパワースイッチ管QH2と、第4のパワースイッチ管QL2とは、一致してMOS又はIGBTを採用してもよいが、これに限定されない。
【0031】
なお、本解決案1における直流電源DCは、蓄電池であってもよく、前記高昇降圧比の双方向DC-DCコンバータがエネルギーの双方向流れを実現できるので、直流電源DCが蓄電池である場合に、電池の充放電を実現でき、当該直流電源DCは太陽電池PVであってもよく(図3に示すように)、この場合、電池の放電のみを実現できる、本解決案1が太陽光発電システムに応用される場合に、単に光起電力インバータINVERTERを前記高昇降圧比の双方向DC-DCコンバータの出力側に接続させれば、太陽光発電システムにおいて広範囲の光起電力アレイ出力電圧を満足することができる。
【0032】
解決案2:前記高変圧比のDC-DCコンバータを構成するのに要する2つのDC-DCコンバータ本体は、いずれも昇圧DC-DCコンバータである。
【0033】
図4を参照すると、第1の前記昇圧DC-DCコンバータは、直流電源DCの両端に直列に接続されている第1のインダクタLと第1のパワースイッチ管QH1、及び前記第1のパワースイッチ管QH1の両端に並列に接続されている第1の直列接続分岐を含み、前記第1の直列接続分岐は、互いに直列に接続されている第1のダイオードQH2と、第1のキャパシタCと、第2のキャパシタCとを含み、
第2の前記昇圧DC-DCコンバータは、直流電源DCの両端に直列に接続されている第2のインダクタLと第2のパワースイッチ管QL1、及び前記第2のパワースイッチ管QL1の両端に並列に接続されている第2の直列接続分岐を含み、前記第2の直列接続分岐は、互いに直列に接続されている第2のダイオードQL2と、第2のキャパシタCと、第3のキャパシタCとを含む。
【0034】
この2つの昇圧DC-DCコンバータは、いずれもエネルギー順方向流れのみを実現できるDC-DCコンバータであり(その対応する昇圧パワースイッチ管はそれぞれ第1のパワースイッチ管QH1と第2のパワースイッチ管QL1である)、両者が直流電源DCと第2のキャパシタCとを共用し、入力が並列に接続されるとともに出力が直列に接続される関係を満足し、それに応じて、構成して得られた前記高変圧比のDC-DCコンバータも高昇圧比の一方向のDC-DCコンバータであり、その昇圧比=VC1+VC2+VC3/VDCとなり、ここで、低圧側電圧VDCが直流電源DCの両端電圧であり、高圧側電圧VC1+VC2+VC3が第1のキャパシタCと、第2のキャパシタCと、第3のキャパシタCとの三つの分圧キャパシタの電圧の総和である。
【0035】
C1+VC2+VC3/VDCが前記第1の昇圧DC-DCコンバータの昇圧比(VC1+VC2/VDC)と前記第2の昇圧DC-DCコンバータの昇圧比(VC2+VC3/VDC)よりも高いので、本解決案2は従来の一方向のDC-DCコンバータの昇圧比を明らかに向上させ、従来技術に存在する問題を解決する。なお、前記高昇圧比の一方向DC-DCコンバータの作動原理は解決案1が開示する高昇降圧比の双方向DC-DCコンバータが順方向に昇圧する際の作動原理と同じであるので、ここで重複しない。また、本解決案2における第1のパワースイッチ管QH1と第2のパワースイッチ管QL1は同様に一致してMOS又はIGBTを採用してもよい。
【0036】
解決案3:前記高変圧比のDC-DCコンバータを構成するのに要する2つのDC-DCコンバータ本体は1つの昇降圧DC-DCコンバータと1つの昇圧DC-DCコンバータとを含む。
【0037】
図5aを参照すると、前記昇降圧DC-DCコンバータは、直流電源DCの両端に直列に接続されている第1のインダクタLと第1のパワースイッチ管QH1、前記第1のパワースイッチ管QH1の両端に並列に接続されている第1の直列接続分岐を含み、前記第1の直列接続分岐は互いに直列に接続されている第2のパワースイッチ管QH2、第1のキャパシタCと、第2のキャパシタCとを含み、
前記昇圧DC-DCコンバータは、直流電源DCの両端に直列に接続されている第2のインダクタLと第3のパワースイッチ管QL1、前記第2のインダクタLの両端に並列に接続されている第2の直列接続分岐を含み、前記第2の直列接続分岐は、互いに直列に接続されている第4のパワースイッチ管QL2と第3のキャパシタCとを含み、
ここで、第1のキャパシタCと、第2のキャパシタCと、第3のキャパシタCとを直列に接続して分圧する。
【0038】
前記昇降圧DC-DCコンバータは双方向DC-DCコンバータであり、順方向を昇圧DC-DCコンバータ(対応する昇圧パワースイッチ管は第1のパワースイッチ管QH1である)としてもよく、上記2つのDC-DCコンバータは直流電源DCを共用し、且つ第1のキャパシタCと、第2のキャパシタCと、第3のキャパシタCとが互いに直列に接続されるので、入力が並列に接続されるとともに出力が直列に接続される関係を満足し、それに応じて、構成して得られた前記高変圧比のDC-DCコンバータは昇圧DC-DCコンバータとして直接に応用されてもよく、その昇圧比=VC1+VC2+VC3/VDCとなり、ここで、低圧側電圧VDCが直流電源DCの両端電圧であり、高圧側電圧VC1+VC2+VC3は第1のキャパシタCと、第2のキャパシタCと、第3のキャパシタCとの三つの出力分圧キャパシタの電圧の総和である。
【0039】
C1+VC2+VC3/VDCが前記昇降圧DC-DCコンバータの昇圧比(VC1+VC2/VDC)と前記昇圧DC-DCコンバータの昇圧比(VC3/VDC)よりも高いので、本解決案3は従来の一方向のDC-DCコンバータの昇圧比を明らかに向上させ、従来技術に存在する問題を解決する。また、本解決案3における第1のパワースイッチ管QH1と、第3のパワースイッチ管QL1と、第2のパワースイッチ管QH2と、第4のパワースイッチ管QL2とは、一致してMOS又はIGBTを採用してもよいが、これに限定されない。
【0040】
なお、本解決案3は、図5bに示す回路トポロジーを用いて実現されてもよく、図5bに示す回路の上半分が前記昇圧DC-DCコンバータであり、下半分が前記昇降圧DC-DCコンバータであり、図5aに示す回路の上半分が前記昇降圧DC-DCコンバータであり、下半分が前記昇圧DC-DCコンバータであり、両者の作動原理が完全に同じである。
【0041】
上記をまとめると、本出願は2つのDC-DCコンバータ本体の入力が並列に接続され、出力が直列に接続されることにより、高変圧比のDC-DCコンバータを得て、当該高変圧比のDC-DCコンバータの入力電圧が何れかの通りのDC-DCコンバータ本体の入力電圧と等しく、その出力電圧が2つのDC-DCコンバータ本体の出力電圧の和と等しいことで、DC-DCコンバータの高い変圧比を実現する。また、本出願は絶縁変圧器を介して広い昇圧比に達する必要がないので、余分なエネルギー損失をもたらさず、且つリーケージインダクタンスエネルギーによるセキュリティリスクが存在しない。
【0042】
開示された実施態様に対する上記の説明は、当業者が本出願を実現又は使用できるようにする。これらの実施態様の多種の修正は当業者にとって自明であり、本文に定義される一般的原理は本出願の実施態様の精神又は範囲を逸脱しない場合に、他の実施態様に実現されることができる。従って、本出願の実施態様は本文に示されたこれらの実施態様に限定されず、本文が開示する原理と新規性特点と一致する最も広い範囲に符合するべきである。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3
図4
図5a
図5b