(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
《第一実施形態》
以下、本発明に係る第一実施形態について
図1及び
図2を参照して説明する。
図1に示すように、第一本実施形態の料金自動収受機100は、有料道路の料金所等に設置されている。料金自動収受機100は、走行レーンLの側部に設けられたアイランド301上に配置される。ここでは、料金自動収受機100は、走行レーンLとアイランド301との境界から建築限界として定められる所定の間隔だけ離れた位置に配置されている。そして、走行レーンL上を通行する車両400に搭乗した利用者によって操作されることで、貨幣の収受等の料金収受に関する処理を無人で行うことが可能となっている。料金自動収受機100は、料金自動収受機100の外装である筐体1と、筐体1に設けられて利用者によって操作される操作部2と、筐体1の内部で料金収受に関する処理を行う処理部3と、操作部2に形成された開口部を閉塞するシャッター部6と、操作部2に形成された開口部から誤って挿入された硬貨Cを回収する回収部7と、を備えている。
【0021】
筐体1は、鉛直方向の上下方向に延びる直方状をなしており、走行レーンLの幅方向に面する走行レーンLの側部と平行な面を前面1aとしている。筐体1は、その前面1aが走行レーンLとアイランド301との境界から建築限界として法律で定められた所定の間隔である250mm以上を離して配置されている。
【0022】
操作部2は、筐体1の前面1aに設けられて、複数の開口部である各処理口や各ボタンを通じて料金自動収受機100に対して金銭の収受、通行券・領収書のやり取りを利用者が行う際に使用される。操作部2は、走行レーンL上を通行する車両400に搭乗した運転手等の利用者により、料金自動収受機100を利用する際に操作される操作端末である。操作部2は、通行する車両400の車高に応じて利用し易いように筐体1の前面1aの鉛直方向の上段操作部2aと下段操作部2bとに一部を除き同じ構成が設けられている。
【0023】
上段操作部2a及び下段操作部2bに共通の構成として、操作部2は、アクセス用の開口部である処理口として、紙幣が挿入され、または返却する紙幣が排出される開口部である紙幣挿入口22と、通行券が挿入される開口部である通行券挿入口26と、クレジットカード等を挿入する開口部であるカード挿入口24と、領収書を外方に送り出す開口部である領収書発行口25と、を有している。また、操作部2は、硬貨Cの投入を行う開口部である硬貨投入口28と硬貨Cの受け取りを行う釣銭返却口29とを有している。そして、操作部2は、料金を表示する料金表示部21と、領収書の発行指示を受け付ける領収書発行ボタン32と、異常時等に収受員を呼び出す収受員呼び出しボタン27と、遠隔地の監視員や収受員と通話するための不図示のインターホンとを有している。
【0024】
なお、本実施形態における紙幣挿入口22は、紙幣を挿入する開口部と返却する開口部とが一体に設けられているが、この構造に限定されるものではない。例えば、紙幣が挿入される紙幣挿入口と紙幣が返却される紙幣返却口とのように、別々の開口部として設けられていてもよい。
【0025】
さらに、下段操作部2bのみの構成として、利用者が特定の利用者として上肢の不自由な身体障害者である場合に、係員に支援を求めるための入力動作が可能な身障者レバー30と、身体障害者に対する割引が適用される資格を有することを示す証明書を遠隔地の監視員や収受員に提示する証明書カメラ31とを備える。
【0026】
硬貨投入口28は、筐体1の前面1aから矩形状に開口して形成されている。硬貨投入口28には、車両400の運転手等の利用者から投入される複数の硬貨Cの受け取りを可能とするよう筐体1の前面1aから突出する籠状の硬貨受皿28aが配置されている。
【0027】
釣銭返却口29は、筐体1の前面1aから矩形状に窪んで形成されている。釣銭返却口29は、硬貨投入口28と対応していることが利用者にわかるよう硬貨投入口28の鉛直方向下側に並んで配置されている。
【0028】
ここで、操作部2に設けられている硬貨投入口28以外の他の開口部は、紙幣挿入口22、通行券挿入口26、カード挿入口24、領収書発行口25、及び釣銭返却口29等の各処理口である。これらの処理口は、硬貨Cとは異なる他の投入物を投入し、または、発行物を発行するための搬送路と接続されている。本実施形態では、
図2に示すように、硬貨投入口28以外の他の開口部として、カード挿入口24を例に挙げて説明する。
【0029】
カード挿入口24は、硬貨投入口28とは異なる他の開口部の一つである。カード挿入口24は、硬貨C以外の投入物が投入される第一開口部であり、クレジットカードが挿入される。カード挿入口24は、後述する搬送路であるカード案内路51と繋がれている。カード挿入口24は、筐体1の前面1aにおいて矩形スリット状をなして開口して形成されている。
【0030】
処理部3は、筐体1の内部に配置され、紙幣や硬貨Cの収受、釣銭の払出、通行券の受け取り、領収書の発行、係員の呼び出し等の料金自動収受機100における料金収受に関する処理を行っている。処理部3は、硬貨投入口28から投入される硬貨Cを処理し、釣銭返却口29に釣銭を払い出す硬貨処理部4を有している。また、処理部3は、カード挿入口24と対応して配置され、挿入されるクレジットカードの処理を行うカード処理部5を有している。
さらに、処理部3は、不図示の構成として、各処理口や各ボタンについても同様にそれぞれに対応する構成を有している。
【0031】
硬貨処理部4は、走行レーンL上を通行する車両400の運転手等の利用者により、硬貨投入口28に投入される硬貨Cを処理している。具体的には、硬貨処理部4は、筐体1の内部に配置され、硬貨投入口28から投入された硬貨Cを処理する硬貨処理装置41と、硬貨投入口28から投入される硬貨Cを硬貨処理装置41まで搬送する硬貨投入路42と、硬貨処理装置41から払い出された釣銭を釣銭返却口29まで搬送する釣銭案内路43とを有している。
【0032】
硬貨処理装置41は、利用者が硬貨投入口28に投入した硬貨Cを処理しており、異なる金種の硬貨Cを分類して回収するともに、必要な金額の釣銭を払い出す。硬貨処理装置41は、筐体1の内部において、硬貨投入口28やカード挿入口24よりも鉛直方向下方に配置されている。
【0033】
硬貨投入路42は、硬貨投入口28から硬貨処理装置41まで鉛直方向下方に向かって接続され、管状に形成された搬送路である。
釣銭案内路43は、硬貨処理装置41から釣銭返却口29まで鉛直方向下方に向かって接続され、管状に形成された搬送路である。
【0034】
カード処理部5は、走行レーンL上を通行する車両400の運転手等の利用者により、カード挿入口24に挿入されるクレジットカード等を処理している。具体的には、カード処理部5は、筐体1の内部に配置され、クレジットカードの読み取り等の処理を行う不図示のカード処理装置と、カード挿入口24から挿入されるクレジットカードをカード処理装置まで搬送するカード案内路51とを有している。カード処理部5では、筐体1の前面1aとの間にカード処理部5を設置するための設置隙間Aが形成されている。
【0035】
カード案内路51は、内部にクレジットカードが挿通可能なように矩形環状に形成されている。カード案内路51は、カード挿入口24から挿入されたクレジットカードを水平方向に搬送するよう、カード挿入口24から水平に延びて形成されている。カード案内路51は、カード挿入口24から設置隙間Aが形成されているために、カード挿入口24側の端部が離れて繋がれている。
【0036】
シャッター部6は、操作部2に形成された開口部である各処理口や、各処理部3を筐体1に設置する際に生じる設置隙間Aを筐体1の内部から閉塞する。シャッター部6は各処理口に設けられる。本実施形態では、カード挿入口24に設けられているシャッター部6を第一シャッター部61として例に挙げて説明する。
【0037】
第一シャッター部61は、料金自動収受機100が待機状態である場合にカード挿入口24を閉塞している。第一シャッター部61は、筐体1のカード挿入口24が形成されている内部側の面とカード案内路51の端部との間である設置隙間Aに、それぞれと離れて配置されている。第一シャッター部61は、矩形状の金属板で形成されており、鉛直上下方向に移動することで、カード挿入口24を開放させたり閉塞させたりする。また、第一シャッター部61は、鉛直上下方向に移動可能なように、カード挿入口24が形成されている筐体1の内部側の面との間に第一隙間a1、カード案内路51の端部との間に第二隙間a2がそれぞれ形成されている。
【0038】
回収部7は、開口部である各処理口に設けられ、挿入された各処理口における非対象物である硬貨Cを回収して硬貨処理部4の硬貨処理装置41に誘導する。本実施形態における回収部7は、カード挿入口24に設けられている回収部7を第一回収部71として例に挙げて説明する。
なお、ここでいう非対象物とは、投入された開口部において、本来投入されるべきでない物体をいう。例えば、第一実施形態では、非対象物とは紙幣挿入口22やカード挿入口24に挿入される硬貨Cである。
【0039】
第一回収部71は、第一隙間a1から誤って挿入された硬貨Cを回収して、硬貨処理部4に誘導する。第一回収部71は、カード挿入口24やカード案内路51よりも筐体1内において鉛直方向下側に、カード挿入口24の周辺を覆うように配置されている。本実施形態における第一回収部71は、カード挿入口24の周辺を覆う受け部71aと、受け部71aで回収した硬貨Cを硬貨処理装置41に送る硬貨シュート管71bと、受け部71a内に溜まった雨水等を排出するドレン管71cとを有している。
【0040】
受け部71aは、カード挿入口24から挿入される硬貨Cを筐体1内に落下させないよう受けるような形状をなしている。具体的には、受け部71aは、カード挿入口24を鉛直方向下方から覆うように、カード挿入口24から挿入される硬貨Cの落下軌道よりも大きく形成されている。受け部71aは、鉛直方向の深さが浅い四角錐状をなしており、カード挿入口24が形成されている筐体1の内部側の面に一方の面が接するよう配置されている。受け部71aは、底部分に硬貨シュート管71bに接続される開口が形成されている。受け部71aは、底部分がこの開口に向かって傾斜して形成されている。
【0041】
硬貨シュート管71bは、受け部71aから硬貨処理装置41まで接続され、受け部71aに落下して回収された硬貨Cを硬貨処理装置41まで滑り落として搬送する搬送路である。硬貨シュート管71bは、硬貨Cが内部を通過可能な大きさの管状に形成されている。
【0042】
ドレン管71cは、カード挿入口24から進入した雨水を筐体1の外部に排出している。ドレン管71cは、硬貨シュート管71bの途中に接続され、筐体1の外部まで延びるチューブである。ドレン管71cは、硬貨シュート管71bの鉛直方向下側に硬貨Cよりも小さく水のみを落下させるような形状の開口を介して接続されている。
【0043】
次に、上記構成の第一実施形態の料金自動収受機100の作用について説明する。
上記のような第一実施形態の料金自動収受機100は、筐体1の前面1a側に停車した車両400の運転手等の利用者により、車両400の車種に応じて筐体1の上段又は下段の通行券挿入口26に通行券が挿入される。通行券が挿入されたとき、料金自動収受機100は、その通行券の磁気情報に基づき車種、通行距離に応じた料金を計算して、料金表示部21に表示する。そして、利用者は、この料金表示部21の料金表示に従って、硬貨投入口28及び紙幣挿入口22に金銭を投入する。料金自動収受機100は、投入された金銭を算出し、この算出結果と先の料金との差額に基づき、釣銭がある場合には、その釣銭を釣銭返却口29及び紙幣挿入口22から返却する。
【0044】
特に、硬貨Cにて利用者が支払いをする場合、料金自動収受機100の硬貨投入口28に硬貨Cを利用者が投入すると、硬貨投入路42を介して硬貨Cが硬貨処理装置41に回収される。そして、釣銭が生じる場合には、硬貨処理装置41から釣銭案内路43を介して釣銭返却口29に釣銭が払い出される。
【0045】
ここで、硬貨投入口28には利用者が硬貨Cを投入し易いように籠状の硬貨受皿28aが設けられている。ところが、料金自動収受機100の利用頻度の低い一部の利用者は、籠状の硬貨受皿28aを硬貨投入口28と認識せずに、矩形スリット状をなすカード挿入口24から見える第一隙間a1を硬貨投入口28と勘違いして硬貨Cを挿入してしまう。
【0046】
カード挿入口24を介して第一隙間a1から挿入された硬貨Cは、筐体1内の第一回収部71の受け部71aに落下して回収される。受け部71aに落下した硬貨Cは、受け部71aの底部分を硬貨シュート管71bまで滑る。そして、硬貨Cは、硬貨シュート管71bを滑り落ちて硬貨処理装置41に誘導される。硬貨シュート管71bの途中にはドレン管71cが接続されているが、接続されている部分の開口が小さいため、ドレン管71cが接続されている影響を受けずに落下する。硬貨処理装置41に回収された硬貨Cは、硬貨投入口28から投入された硬貨Cと同様の処理をされて、料金自動収受機100に回収される。そして、釣銭が生じる場合には、硬貨処理装置41から釣銭案内路43を介して釣銭返却口29に釣銭が払い出される。
【0047】
上記のような料金自動収受機100によれば、硬貨投入口28とは異なるカード挿入口24のような硬貨C以外を受け付ける処理口に誤って硬貨Cが挿入されてしまった場合でも、第一回収部71の受け部71aによって筐体1内に落下させずに回収することができる。通常、硬貨投入口28以外の他の開口部、例えば、カード挿入口24及び通行券挿入口26のようなアクセス用の開口部や、筐体1の内部に配置される各処理部3とアクセス用の開口部との隙間である設置隙間A等により形成される開口部などに硬貨Cが誤って投入されてしまうと、通常の料金自動収受機では投入硬貨として取り扱うことができない。そのため、利用者としては硬貨Cを投入したにも係らず、通常の料金自動収受機では投入金額として反映されなかった。
【0048】
ところが、本実施形態の料金自動収受機100では、第一回収部71の受け部71aで回収して硬貨Cを硬貨処理部4である硬貨処理装置41まで誘導することで、利用者が硬貨投入口28に硬貨Cを投入した場合と同じ処理を行うことができる。したがって、誤って料金自動収受機100に設けられた他の処理口等に硬貨Cを挿入してしまった場合でも、硬貨Cを紛失させずに硬貨投入口28に投入された硬貨Cと同じように利用することができる。つまり、誤って使用された硬貨Cを無駄にすることなく、料金自動収受機100の利便性を向上させることができる。これにより、回収部7によって内部に硬貨Cを落下させずに回収し、硬貨投入口28とは異なるカード挿入口24のような他の開口部に硬貨Cが投入されたとしても、利用者によって投入された硬貨Cとして取り扱うことができる。したがって、料金自動収受機100においては、利用者によって誤って他の開口部に非対象物として投入された硬貨Cを硬貨投入口28に投入された硬貨Cと同様に取り扱って対応することができる。
【0049】
なお、本実施形態における回収部7は、第一回収部71のように回収された硬貨Cを硬貨処理部4である硬貨処理装置41に誘導することに限定されるものではない。即ち、回収部7は、硬貨処理部4以外に対して回収した硬貨Cを誘導してもよく、硬貨Cを筐体1の内部に落下させずに回収できればよい。例えば、回収部7で回収した硬貨Cを釣銭返却口29に対して直接誘導してもよい。具体的には、回収部7の第一回収部71の受け部71aと釣銭返却口29とを硬貨シュート管71b等で接続し、受け部71aで回収した硬貨Cを硬貨シュート管71bによって釣銭返却口29まで搬送してもよい。このような構成とすることで、利用者によって誤って他の開口部であるカード挿入口24や第一隙間a1に非対象物として投入された硬貨Cを釣銭返却口29に吐出させて、利用者に返却し、硬貨投入口28に再投入させることができる。したがって、他の開口部に投入された硬貨Cを紛失させることなく対応することができる。
【0050】
《第二実施形態》
次に、
図3及び
図4を参照して第二実施形態の料金自動収受機200について説明する。
第二実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第二実施形態の料金自動収受機200は、回収部7の構成や報知部9を有している点について、第一実施形態と相違する。
【0051】
即ち、第二実施形態の料金自動収受機200は、処理部3や回収部7等の筐体1の内部構造の配置が第一実施形態と異なっている。第二実施形態における料金自動収受機200においても、第一実施形態と同様に、硬貨投入口28以外の他の開口部として、カード挿入口24を例に挙げて説明する。
具体的には、第二実施形態における料金自動収受機200は、
図3に示すように、硬貨Cを処理する処理部3として第一実施形態の硬貨処理部4に代わって筐体1内における配置の異なる第二硬貨処理部40と、回収部7として第一回収部71に代わって構成の異なる第二回収部710とを備えている。料金自動収受機200は、他の開口部であるカード挿入口24に設けられて挿入される硬貨Cを検出する硬貨検出部8と、硬貨検出部8での検出結果に基づいて利用者に報知する報知部9とを備えている。
【0052】
第二硬貨処理部40は、硬貨処理装置41と筐体1内における配置が異なる第二硬貨処理装置410と、硬貨投入口28から投入される硬貨Cを第二硬貨処理装置410まで搬送する第二硬貨投入路420と、第二硬貨処理装置410から払い出された釣銭を釣銭返却口29まで搬送する第二釣銭案内路430とを有している。
【0053】
第二硬貨処理装置410は、第一実施形態に硬貨処理装置41と同様に、利用者が硬貨投入口28に投入した硬貨Cを処理しており、異なる金種の硬貨Cを分類して回収するともに、必要な金額の釣銭を払い出す。第二硬貨処理装置410は、筐体1の内部において、硬貨投入口28よりも鉛直方向下方に配置され、かつ、カード挿入口24よりも鉛直方向上方に配置されている。
【0054】
第二硬貨投入路420は、硬貨投入口28から第二硬貨処理装置410まで鉛直方向下方に向かって接続され、管状に形成された搬送路である。
第二釣銭案内路430は、第二硬貨処理装置410から釣銭返却口29まで鉛直方向下方に向かって接続され、管状に形成された搬送路である。
【0055】
第二回収部710は、設置隙間Aや、第一隙間a1や搬送路であるカード案内路51に投入された硬貨Cを回収する。第二回収部710は、カード挿入口24やカード案内路51よりも筐体1内において鉛直方向下側に、カード挿入口24の周辺を覆うように配置されている。本実施形態における第二回収部710は、カード案内路51に開口して形成され、硬貨Cを回収する硬貨回収口711と、硬貨回収口711で回収した硬貨Cを処理部3に誘導する誘導部712と、を有している。
【0056】
硬貨回収口711は、カード案内路51のカード挿入口24側の端部から奥に入った部分で鉛直方向下側に形成される開口である。硬貨回収口711は、クレジットカードは通過せずに、硬貨Cのみが通過可能な大きさの貫通孔として形成されている。
【0057】
誘導部712は、第一実施形態の第一回収部71にて用いたカード挿入口24の周辺を覆う受け部712aと、受け部712aで回収した硬貨Cを硬貨処理装置41に送る硬貨シュート管712bと、受け部712a内に溜まった雨水等を排出するドレン管712cとを有している。さらに、誘導部712は、第一実施形態の第一回収部71とは異なる構成として、硬貨リフター712dを有している。
【0058】
受け部712aは、カード挿入口24及び硬貨回収口711から挿入される硬貨Cを筐体1内に落下させないよう受けるような形状をなしている。具体的には、受け部712aは、カード挿入口24及び硬貨回収口711を鉛直方向下方から覆うように、カード挿入口24及び硬貨回収口711から挿入された硬貨Cの落下軌道よりも大きく形成されている。受け部712aは、鉛直方向の深さが浅い四角錐状をなしており、カード挿入口24が形成されている筐体1の内部側の面に一方の面が接するよう配置されている。受け部712aは、底部分に硬貨シュート管712bに接続される開口が形成されている。受け部712aは、底部分がこの開口に向かって傾斜して形成されている。
【0059】
硬貨シュート管712bは、受け部712aから硬貨リフター712dまで接続され、受け部712aに落下して回収された硬貨Cを硬貨リフター712dまで滑り落として搬送する搬送路である。硬貨シュート管712bは、硬貨Cが内部を通過可能な大きさの管状に形成されている。
【0060】
ドレン管712cは、カード挿入口24から進入した雨水を筐体1の外部に排出している。ドレン管712cは、硬貨シュート管712bの途中に接続され、筐体1の外部まで延びるチューブである。ドレン管712cは、硬貨シュート管712bの鉛直方向下側に硬貨Cよりも小さく水のみを落下させるような形状の開口を介して接続されている。
【0061】
硬貨リフター712dは、硬貨シュート管712bを搬送されてきた硬貨Cを鉛直方向上方の第二硬貨処理装置410まで搬送する。硬貨リフター712dは、硬貨シュート管712bを滑り落ちてきた硬貨Cを落下させることなく鉛直方向下方から鉛直方向上方に向かって搬送可能としている。具体的には、硬貨リフター712dは、図示しないモータ等によって回転するベルト等の貨幣運搬部材から構成されているコンベアである。
【0062】
なお、硬貨リフター712dは、カード挿入口24から挿入されて硬貨シュート管71bを介して搬送されてくる硬貨C以外の硬貨Cも第二硬貨処理装置410に搬送している。例えば、硬貨リフター712dは、紙幣挿入口22から挿入された硬貨Cや領収書発行口25から挿入された硬貨Cを回収する他の硬貨シュート管とも接続されており、他の処理部等の開口部から挿入された硬貨Cを第二硬貨処理装置410まで搬送している。
【0063】
硬貨検出部8は、操作部2に設けられている硬貨投入口28以外の他の開口部に設けられて、挿入される硬貨Cを検出する。本実施形態ではカード挿入口24に設けられている硬貨検出部8を第一硬貨検出部81として例に挙げて説明する。
第一硬貨検出部81は、
図4に示すように、筐体1の内部において、カード挿入口24及びカード案内路51のカード挿入口24側の端部で鉛直方向の下方に配置される近接センサである。第一硬貨検出部81は、カード挿入口24から第一隙間a1に硬貨Cが挿入されるか、カード案内路51の奥に硬貨Cが挿入されたことを検出して、検出結果を報知部9に信号として出力する。
【0064】
報知部9は、利用者に対して硬貨Cを挿入している場所が誤っていることを報知する。報知部9は、第一硬貨検出部81からの信号を受ける報知制御部91と、報知制御部91からの信号を受けて報知する報知部本体92とを有している。
報知制御部91は、第一硬貨検出部81における検出結果に基づいて報知部本体92に報知するよう信号を出力して指示を送る。
報知部本体92は、報知制御部91からの信号を受けて、ブザーを鳴らして利用者に対して警報を発する。
【0065】
なお、報知部9は警報を発することに限定されるものではなく、利用者に対して誤った開口部に硬貨Cを挿入していることを報知できればよい。例えば、報知部9は、赤色灯のような報知ランプやディスプレイに文字を表示するなと視覚的に報知してもよく、音声案内等をして報知してもよい。
【0066】
次に、上記構成の第二実施形態の料金自動収受機200の作用について説明する。
上記のような第二実施形態の料金自動収受機200では、誤ってカード挿入口24に硬貨Cが挿入されると、第一硬貨検出部81のインピーダンスが変化して硬貨Cが挿入されたことを検出する。第一硬貨検出部81は、検出結果を報知部9の報知制御部91に信号として出力する。報知制御部91は、第一硬貨検出部81から信号を受けることで、報知部本体92に報知するよう信号を出力して指示を送る。報知部本体92は、報知部本体92から信号を受けることでブザーを鳴らして利用者に対して警報を発して誤った処理口に硬貨Cを挿入していることを知らせる。
【0067】
その後、カード挿入口24から挿入された硬貨Cがカード案内路51の内部まで押し込まれてしまうと、カード案内路51に形成された硬貨回収口711から硬貨Cが落下して受け部712aに回収される。受け部712aに回収された硬貨Cは、受け部712aの底部分を硬貨シュート管712bまで滑る。そして、硬貨Cは、硬貨シュート管712bを滑り落ちて硬貨リフター712dまで搬送される。搬送されてきた硬貨Cは、硬貨リフター712dによって鉛直方向上方に配置されている第二硬貨処理装置410まで落下することなく誘導されて第二硬貨処理装置410に回収される。第二硬貨処理装置410に回収された硬貨Cは、硬貨投入口28から投入された硬貨Cと同様の処理をされて、料金自動収受機200に回収される。そして、釣銭が生じる場合には、第二硬貨処理装置410から第二釣銭案内路430を介して釣銭返却口29に釣銭が払い出される。
【0068】
また、第一シャッター部61が鉛直方向上方に移動し、カード挿入口24が開放されることで、設置隙間Aが利用者から確認し易くなるため、設置隙間Aに硬貨Cが挿入されてしまう場合もある。このような場合であっても、落下した硬貨Cは、受け部712aに回収され、硬貨回収口711から硬貨Cが落下した場合と同様に、第二硬貨処理装置410まで誘導される。
【0069】
上記のような料金自動収受機200によれば、他の開口部の一つとしてカード案内路51に繋がれた第一開口部であるカード処理口に硬貨Cが挿入されて、カード案内路51の内部まで硬貨Cが挿入されてしまっても、カード案内路51に形成された硬貨回収口711によって、カード案内路51を詰まらせることなく硬貨Cを回収することができる。そして、回収した硬貨Cを硬貨処理部4の第二硬貨処理装置410まで搬送して誘導することで、硬貨Cを紛失させずに硬貨投入口28に投入された硬貨Cと同じように利用することができる。これにより、誤ってカード挿入口24等の他の開口部から投入された硬貨Cによって、カード案内路51等の搬送路が詰まってしまい故障してしまうことを抑えることができる。
【0070】
また、他の開口部であるカード挿入口24に第一硬貨検出部81を設けて、硬貨Cが挿入されたことを検出して、報知部9によって利用者に警報等を発して誤っていることを知らせることができる。そのため、カード挿入口24のように硬貨投入口28以外の開口部から誤って硬貨Cが挿入されそうになっていることを利用者に気付かせることができる。これにより、料金自動収受機200が誤って使用されることを防止して、利便性をより向上させることができる。
【0071】
さらに、第二回収部710として第二硬貨処理装置410まで硬貨Cを搬送するために硬貨リフター712dを有することで、硬貨投入口28以外の開口部が第二硬貨処理装置410よりも鉛直方向下方に配置されていても、第二硬貨処理装置410まで誤って開口部に挿入された硬貨Cを搬送する搬送路を容易に形成することができる。即ち、第二硬貨処理部40に対して硬貨投入口28以外の開口部がどのような位置に配置されていても、誤って挿入された硬貨Cを第二硬貨処理装置410まで高い精度で搬送して回収することができる。
【0072】
なお、硬貨検出部8の代わりにカード挿入口24等の他の開口部に挿入された硬貨C以外の非対象物も検出する検出センサを有していてもよい。これにより、いたずらなどによって故意に非対象物を無理やり挿入された場合にも、報知部9から利用者に対して報知することで、故意に非対象物が挿入されることを抑制できる。
【0073】
また、硬貨検出部8は、第二実施形態の第一硬貨検出部81の近接センサのように搬送路であるカード案内路51を鉛直方向の下方に配置されるセンサに限定されるものではない。例えば、硬貨検出部8は、カード案内路51を鉛直方向の上下から挟み込んで配置され、硬貨Cが挿入されることでインピーダンスが変化し、金属等の非対象物が進入していることを検出するセンサを用いてもよい。また、硬貨検出部8は、上下から挟み込んで硬貨Cの厚みを計測することで、カード類や通行券と硬貨Cとの厚みの差を検知して非対象物を検出するセンサを用いてもよい。即ち、硬貨検出部8は、本来投入されるべき対象物と、それ以外の非対象物とを識別することができるセンサであればよい。
【0074】
さらに、第二実施形態の料金自動収受機200のように、誤って挿入された硬貨Cを回収して処理部3に誘導する誘導部712と、硬貨Cを検出する硬貨検出部8や利用者に対して報知する報知部9とを同時に有することに限定されるものではない。即ち、誘導部712のみを有する料金自動収受機200としてもよく、硬貨検出部8及び報知部9を有する料金自動収受機200としてもよい。
【0075】
具体的には、料金自動収受機200は、例えば、誘導部712のみを有し、硬貨Cだけでなく、クレジットカードや紙幣よりも小さい硬貨Cと同程度の大きさの非対象物が誤って挿入された場合に、第二硬貨処理部40の第二硬貨処理装置410まで搬送し、第二硬貨処理装置410によって判別させて利用者に対して返却させてもよい。
【0076】
また、料金自動収受機200は、硬貨検出部8や報知部9のみを有し、誘導部712を設けないことで筐体1内の構成を大きく変更しなくてもよい。このような料金自動収受機200とすることで、硬貨投入口28以外の開口部に誤って硬貨C等の金属が挿入された場合に、利用者に対して報知して、いたずらの防止や硬貨投入口28への投入を促して対応してもよい。
【0077】
《第三実施形態》
次に、
図5を参照して第三実施形態の料金自動収受機300について説明する。
第三実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第三実施形態の料金自動収受機300は、回収部7を有しない点で、第一実施形態と相違する。
【0078】
即ち、第三実施形態における料金自動収受機300は、第一実施形態と同様に、外装である筐体1と、筐体1に設けられて利用者によって操作される操作部2と、筐体1の内部で料金収受に関する処理を行う処理部3と、を有している。加えて、第三実施形態の料金自動収受機300は、開口部であるカード挿入口24に設けられて挿入される非対象物を検出する非対象物検出部800と、非対象物検出部800での検出結果も基づいて利用者に報知する報知部90とを備えている。
【0079】
非対象物検出部800は、操作部2に設けられている開口部に設けられて、挿入される非対象物を検出する。即ち、非対象物検出部800は、非対象物として、挿入されている物体がその開口部にとって本来挿入されるべきではない物体である場合に検出する。第二実施形態における非対象物としては、例えば、カード挿入口24に挿入される硬貨Cや、硬貨C以外の料金自動収受機300として本来扱わないごみ等の非対象物が挙げられる。本実施形態ではカード挿入口24に設けられている非対象物検出部800を第一非対象物検出部801として例に挙げて説明する。
【0080】
第一非対象物検出部801は、カード挿入口24から挿入されるごみ等の非対象物を検出する。本実施形態の第一非対象物検出部801は、筐体1の内部において、カード案内路51のカード挿入口24側の端部において鉛直方向下方に配置される光電センサである。具体的には、第一非対象物検出部801は、カード案内路51の外側の鉛直方向下方側に貼り付けられる回帰反射板801aと、回帰反射板801aに対向して配置されて回帰反射板801aに向かって光を投受光する第一非対象物検出部本体801bとを有している。第一非対象物検出部801は、第一非対象物検出部本体801bから出射した光を回帰反射板801aによって反射させ、反射した光を再び第一非対象物検出部本体801bが受光している。第一非対象物検出部801は、カード挿入口24から第一シャッター部61をこじ開けるように設置隙間Aに挿入された非対象物がこの光を遮り、受光する光の量が減少したことを第一非対象物検出部本体801bが検知して物体を検出する。第一非対象物検出部801は、カード挿入口24を介して第一隙間a1に紙屑等の非対象物が挿入されたことを検出して、検出結果を報知部90に信号として出力する。
【0081】
報知部90は、第一非対象物検出部801の検出結果に基づいて、利用者に対して非対象物を挿入することをやめるよう警報を発して報知する。報知部90は、第一非対象物検出部本体801bからの信号を受ける報知制御部901と、報知制御部901からの信号を受けて警報を発する報知部本体902とを有している。
報知制御部901は、第一非対象物検出部801における検出結果に基づいて報知部本体902に報知するよう信号を出力して指示を送る。
報知部本体902は、報知制御部901からの信号を受けて、音声によって非対象物の挿入を中止するよう警報を発する。
【0082】
次に、上記構成の第三実施形態の料金自動収受機300の作用について説明する。
上記のような第三実施形態の料金自動収受機300では、利用者によってカード挿入口24から第一シャッター部61をこじ開けるように設置隙間Aに紙屑等の非対象物が挿入されると、第一非対象物検出部本体801bから回帰反射板801aに向かって出射している光の一部がこの非対象物によって遮られ、回帰反射板801aによって反射して第一非対象物検出部本体801bで受光される光の量が減少する。第一非対象物検出部本体801bは、受信する光の量が減少することで非対象物を検出し、報知制御部901に非対象物を検出したとの検出結果を信号として出力する。報知制御部901は、第一非対象物検出部本体801bから信号を受けることで、報知部本体902に警報を発するよう信号を出力して指示を送る。報知部本体92は、報知部本体92から信号を受けることで音声を流して、利用者に対して非対象物の挿入を中止するよう警報を発する。
【0083】
上記のような料金自動収受機300によれば、非対象物検出部800によって開口部であるカード挿入口24から第一シャッター部61をこじ開けるように設置隙間Aに紙屑などの非対象物が誤って挿入された場合に、利用者に対して警報を発して中止するよう知らせることができる。即ち、非対象物をカード挿入口24から挿入して料金自動収受機300に対していたずらをしようとしている利用者に対して警報を発して注意喚起を行ったり、投入物である硬貨Cを投入すべきではないカード挿入口24に誤って投入しようとしている利用者に対して正規の開口部である硬貨投入口28に投入するように促したりすることができる。したがって、料金自動収受機300が誤って使用されることを防止することができる。
【0084】
なお、報知部90は、第二実施形態の報知部9と同様に、警報を発することに限定されるものではなく、利用者に対して誤った開口部に挿入すべきではない物体を挿入していることを報知できればよい。例えば、報知部90は、赤色灯のような報知ランプやディスプレイに文字を表示するなと視覚的に報知してもよく、音声案内等をして報知してもよい。
【0085】
また、非対象物検出部800は、第三実施形態のように、開口部であるカード挿入口24から第一隙間a1に非対象物が挿入された場合を検出することに限定されるものではなく、開口部から挿入された非対象物を検出できればよい。即ち、非対象物検出部800は、開口部を介して開口部に接続されてクレジットカード等の投入物や領収書等の発行物が搬送される搬送路に挿入される非対象物を検出してもよい。具体的には、非対象物検出部800は、非対象物としてカード案内路51内に挿入されるごみなどの非対象物や誤って挿入される硬貨C等を検出してもよい。
【0086】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0087】
なお、カード挿入口24は一例として説明しているに過ぎず、本発明の開口部はカード挿入口24に限定されるものではない。即ち、紙幣挿入口22、通行券挿入口26、及び領収書発行口25等の他の開口部に、同様の回収部7やシャッター部6等の構成を有していてもよい。