特許第6357790号(P6357790)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧 ▶ 三菱電機照明株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6357790-点灯装置および照明器具 図000002
  • 特許6357790-点灯装置および照明器具 図000003
  • 特許6357790-点灯装置および照明器具 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357790
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】点灯装置および照明器具
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20180709BHJP
   H05B 37/02 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   H02M3/155 B
   H02M3/155 K
   H05B37/02 J
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-23436(P2014-23436)
(22)【出願日】2014年2月10日
(65)【公開番号】特開2015-154502(P2015-154502A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2017年1月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】福田 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】小野瀬 康隆
【審査官】 栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0151825(US,A1)
【文献】 特開平09−294368(JP,A)
【文献】 特開平08−168255(JP,A)
【文献】 特開2011−130543(JP,A)
【文献】 特開2004−297985(JP,A)
【文献】 特開2009−189158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が電源の高電位側に接続されるインダクタと、
前記インダクタの他端に接続されるスイッチング素子と、
一端が前記スイッチング素子と前記インダクタとの接続点に接続され、他端に向けて電流を流す整流素子と、
前記整流素子の他端に一端が接続し前記電源の低電位側に他端が接続される平滑コンデンサと、
前記平滑コンデンサの両端の電圧を検出する出力電圧検出手段と、
前記スイッチング素子の制御端子に制御信号を供給する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、前記出力電圧検出手段で検出した電圧が閾値未満であるときは前記制御信号のオン時間幅および周期を固定する制御を実行し、前記出力電圧検出手段で検出した電圧が前記閾値以上となったら前記制御信号のオン時間幅および周期の少なくとも一方が可変であり且つ前記閾値を目標値とするフィードバック制御に切り替える点灯装置。
【請求項2】
前記電源の電圧の大きさを検出する入力電圧検出手段を備え、
前記制御回路は、前記出力電圧検出手段で検出した電圧が前記閾値未満であるとき、前記入力電圧検出手段が検出した前記電圧の大きさに応じて、前記オン時間幅の固定値を可変に設定する請求項1に記載の点灯装置。
【請求項3】
前記オン時間幅の固定値は、負荷の電力消費による前記平滑コンデンサの電荷消費量を超える充電量で前記平滑コンデンサを充電するオン時間幅に設定される請求項2に記載の点灯装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記平滑コンデンサの両端電圧を立上げる起動時に前記オン時間幅および前記周期を固定する請求項1〜3のいずれか1項に記載の点灯装置。
【請求項5】
発光素子と、
前記発光素子を点灯させる点灯装置と、
を備え、
前記点灯装置は、
一端が電源の高電位側に接続されるインダクタと、
前記インダクタの他端に接続されるスイッチング素子と、
一端が前記スイッチング素子と前記インダクタとの接続点に接続され、他端に向けて電流を流す整流素子と、
前記整流素子の他端に一端が接続し前記電源の低電位側に他端が接続される平滑コンデンサと、
前記平滑コンデンサの両端の電圧を検出する出力電圧検出手段と、
前記スイッチング素子の制御端子に制御信号を供給する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、前記平滑コンデンサを充電する起動時に前記出力電圧検出手段で検出した電圧が閾値未満であるときは前記制御信号のオン時間幅および周期を固定する制御を実行し、前記出力電圧検出手段で検出した電圧が前記閾値以上となったら前記制御信号のオン時間幅および周期の少なくとも一方が可変であり且つ前記閾値を目標値とするフィードバック制御に切り替える照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯装置および照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特開2009−189158号公報に開示されているように、起動時に出力平滑コンデンサを充電するようにフィードバック制御を行う照明用電源装置が知られている。この従来技術にかかる電源装置は、力率改善回路に接続した平滑コンデンサを充電する起動時(長時間の停止後の起動時のみならず、再起動時も含む)に、先ず第1電圧を目標値とするフィードバック制御で平滑コンデンサを充電し、その後さらに大きな正規の目標電圧である第2電圧を目標値とするフィードバック制御で平滑コンデンサを充電するように、平滑コンデンサの出力電圧をスイッチング素子のオンデューティ比にフィードバックしている。このような二段階の目標値設定により出力電圧のオーバーシュートを小さく抑制することを図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−189158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では結局のところ第2目標値での充電中においてもフィードバック制御を実施しているので、オーバーシュートを小さく抑えることに限界があるという問題があった。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、平滑コンデンサを充電する際に出力電圧のオーバーシュートを抑制することのできる点灯装置および照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる点灯装置は、一端が電源の高電位側に接続されるインダクタと、前記インダクタの他端に接続されるスイッチング素子と、一端が前記スイッチング素子と前記インダクタとの接続点に接続され、他端に向けて電流を流す整流素子と、前記整流素子の他端に一端が接続し前記電源の低電位側に他端が接続される平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの両端の電圧を検出する出力電圧検出手段と、前記スイッチング素子の制御端子に制御信号を供給する制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記出力電圧検出手段で検出した電圧が閾値未満であるときは前記制御信号のオン時間幅および周期を固定する制御を実行し、前記出力電圧検出手段で検出した電圧が前記閾値以上となったら前記制御信号のオン時間幅および周期の少なくとも一方が可変であり且つ前記閾値を目標値とするフィードバック制御に切り替える。

【0007】
本発明にかかる照明器具は、発光素子と、前記発光素子を点灯させる点灯装置と、を備え、前記点灯装置は、一端が電源の高電位側に接続されるインダクタと、前記インダクタの他端に接続されるスイッチング素子と、一端が前記スイッチング素子と前記インダクタとの接続点に接続され、他端に向けて電流を流す整流素子と、前記整流素子の他端に一端が接続し前記電源の低電位側に他端が接続される平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの両端の電圧を検出する出力電圧検出手段と、前記スイッチング素子の制御端子に制御信号を供給する制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記出力電圧検出手段で検出した電圧が閾値未満であるときは前記制御信号のオン時間幅および周期を固定する制御を実行し、前記出力電圧検出手段で検出した電圧が前記閾値以上となったら前記制御信号のオン時間幅および周期の少なくとも一方が可変なフィードバック制御に切り替える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電圧が閾値未満であるときは制御信号のオン時間幅および周期を固定とし電圧が閾値以上となったらフィードバック制御に切り替えるので、平滑コンデンサを充電する際に出力電圧のオーバーシュートを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態にかかる点灯装置および照明器具を示す回路図である。
図2】本発明の実施の形態にかかる点灯装置の動作を示すタイムチャートである。
図3】本発明の実施の形態にかかる点灯装置の制御信号波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態にかかる点灯装置1および照明器具100を示す回路図である。照明器具100は、点灯装置1およびこれにより点灯させられるLEDモジュール27を備えている。点灯装置1は、図示しないスイッチを介して正極入力端子および負極入力端子に接続する。点灯装置1は、昇圧チョッパ回路である力率改善回路2と、バックコンバータ回路3とを備えている。点灯装置1の正極入力端子および負極入力端子は交流電源7に接続され、その交流電圧は整流回路8により整流されて直流電圧となり、力率改善回路2およびバックコンバータ回路3を用いてLEDモジュール27へ供給すべき直流電流が生成される。LEDモジュール27は、複数のLED素子26を備えている。なお、LED素子に代えて有機EL素子を設けた有機ELモジュールを設けても良い。
【0011】
力率改善回路2は、ダイオードブリッジである整流回路8と、コンデンサ9と、インダクタ(コイル)10と、MOSFETであるスイッチング素子11と、ダイオード14と、平滑コンデンサ17を備えている。コンデンサ9は、一端が整流回路8の高電位側に接続し、他端が整流回路8の低電位側に接続している。インダクタ(コイル)10は、一端が整流回路8の高電位側に接続される。このインダクタ10の他端に、スイッチング素子11が接続される。ダイオード14は、アノード端子がスイッチング素子11とインダクタ10との接続点に接続される。平滑コンデンサ17は、正極がダイオード14のカソード端子に接続し、負極が整流回路8の低電位側に接続している。
【0012】
力率改善回路2は、平滑コンデンサ17に並列に接続される抵抗15および抵抗16の直列回路を備えている。平滑コンデンサ17の両端電圧が抵抗15、16を用いて分圧され制御回路40に入力される。また、コンデンサ9の両端電圧を分圧する抵抗31、32の直列回路も設けられ、分圧された電圧は制御回路40に入力される。制御回路40の制御回路部40aは、これらの入力値に基づいてスイッチング素子11をオンオフするための制御信号をスイッチング素子11のゲートに駆動信号を与える。
【0013】
バックコンバータ回路3はMOSFETからなるスイッチング素子18とダイオード21の直列回路を備えており、この直列回路が力率改善回路2の平滑コンデンサ17と並列に接続されている。バックコンバータ回路3は、チョークコイル22、平滑コンデンサ23、および抵抗24の直列回路を備えており、この直列回路がダイオード21に並列に接続されている。抵抗24は、LEDモジュール27に流れるLED電流を検出するためのものである。バックコンバータ回路3は、いわゆる非絶縁型の降圧コンバータである。LED電流を検出する抵抗24からの検出電圧が制御回路40に入力され、制御回路40の制御回路部40bはこの検出電圧に基づいて、LED素子に流れる電流が一定電流になるようにバックコンバータ回路3のスイッチング素子18をオンオフする。
【0014】
図2は、点灯装置1の動作を示すタイムチャートである。図3は、点灯装置1の制御信号波形を示す図であり、スイッチング素子11を駆動させるための制御信号の固定オン時間幅tonおよび固定周期Tが模式的に図示されている。制御回路部40aは、平滑コンデンサ17の両端電圧を立上げる起動時に、抵抗15、16の分圧回路で検出した電圧が目標値VPFC未満であるときは制御信号のオン時間幅tonおよび周期Tを固定する。図2の期間T1は、このような制御が行われている。その後、制御回路部40aは、平滑コンデンサ17の両端電圧が目標値VPFC以上となったらフィードバック制御に切り替えて公知の力率改善回制御(PFC制御)、好ましくは臨界モードPFC制御を実施する。図2の期間T2はフィードバック制御の実施中である。このように目標値VPFCは、制御内容をフィードバック制御へと切り替えるための閾値である。フィードバック制御は制御信号のオン時間幅tonおよび周期Tの少なくとも一方が可変であり、平滑コンデンサ17の両端電圧を目標値VPFCに一致させるように抵抗15、16の分圧回路で検出した電圧値を制御信号にフィードバックするものである。力率改善回路で行うべきフィードバック制御は各種公知技術を必要に応じて採用すればよい。
【0015】
交流電源7の交流電圧実効値(あるいは振幅)が大きいほど整流回路8が出力する直流電圧すなわち力率改善回路2への入力電圧が大きくなり、入力電圧が大きいほどスイッチング素子11をオンしたときの電圧波形の立上がりが急になる。そこで、期間T1すなわち目標値VPFC未満であるときは、抵抗31、32の分圧回路で検出した電圧の大きさに応じて制御回路40がオン時間幅tonの固定値を可変に設定することが好ましい。具体的には、図3(a)、(b)に示すように、抵抗31、32の分圧回路で検出した電圧が小さいほどオン時間幅tonを長めの値に設定することが好ましい。例えば、交流電源7がAC100Vである場合のオン時間幅ton100を、交流電源7がAC200Vである場合のオン時間幅ton200よりも大きくする(つまり、ton100>ton200)。交流電源7がAC200Vである場合のオン時間幅ton200は、交流電源7がAC242Vである場合のオン時間幅ton242と同じかそれよりも大きくする(つまり、ton200≧ton242)。それぞれの入力電圧ごとに異なる値でオン時間幅が固定された制御信号が、期間T1の間、スイッチング素子11に供給される。
【0016】
図2の期間T1において固定されたオン時間幅tonが短すぎると、負荷すなわちLEDモジュール27の電力消費による平滑コンデンサ17の電荷消費に起因して、目標電圧VPFCに到達するまでに長時間がかかってしまう。そこで、オン時間幅tonの固定値は、負荷すなわちLEDモジュール27の電力消費による平滑コンデンサ17の電荷消費量を超える充電量で平滑コンデンサ17を充電するオン時間幅に設定されることが好ましい。
【符号の説明】
【0017】
1 点灯装置、2 力率改善回路、3 バックコンバータ回路、7 交流電源、8 整流回路、9 コンデンサ、10 インダクタ、11 スイッチング素子、14 ダイオード、15 抵抗、16 抵抗、17 平滑コンデンサ、18 スイッチング素子、21 ダイオード、22 チョークコイル、23 平滑コンデンサ、24 抵抗、26 素子、27 モジュール、31、32 抵抗、40 制御回路、40a 制御回路部、40b 制御回路部、100 照明器具
図1
図2
図3