【文献】
Ludwig Winkel(TSCH),IEEE Std 802.15.4e-D0.01/r5, IEEE 802.15-09/0604r6,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.15/dcn/09/15-09-0604-06-004e-ieeestd802-15-4e-d0-x.pdf>,2010年 3月 8日,第7.3.29.1.1節
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記延長必要性判定部は、データ信号に挿入されているシーケンス番号の連続性を確認し、過去のデータ信号の受信失敗の有無を判定することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
受信側無線通信装置の受信待機状態に合わせて、ウェイクアップパケットを送信した後、データ信号を送信する送信側無線通信装置と、受信周期毎に間欠的に生じる起動時間の間だけスリープ状態から受信待機状態に変化して、ウェイクアップパケットに続いて、データ信号を受信し、データ信号の受信時に受信応答信号を対向する上記送信側無線通信装置に返信する上記受信側無線通信装置とを有する無線通信システムにおいて、
上記受信側無線通信装置として、請求項1又は2に記載の無線通信装置を適用したことを特徴とする無線通信システム。
【背景技術】
【0002】
例えば、センサネットワークを構成するノードは、省電力通信を行うようになされている。省電力通信の代表的な方法として受信ノードが間欠動作する方法があり、例えば、CSL(Coordinated sampled listening)は、この受信ノードの間欠動作方法を採用している通信規格である(非特許文献1参照)。
【0003】
図8は、CSLによるデータ通信動作の概略を示すタイミングチャートである。
【0004】
受信周期(CSLPeriod)、最大受信周期(CSLMaxPeriod)、起動時間を各ノードに予め設定しておく。最大受信周期は、送信ノード側から見ればウェイクアップパケットの繰り返し送信時間となっている。また、起動時間は、受信ノードがウェイクアップしている受信待機時間になっている。
【0005】
データを送信しようとする送信ノードSは、まず、非同期送信モードでデータの送信動作を実行する。非同期送信モードの動作は、以下のようなものである。ウェイクアップパケットを最大受信周期の間、受信ノードRに向けて繰り返し送信する。ウェイクアップパケットには、データ送信までの残り時間を表すランデブー時間(RZTime)を記述する。ランデブー時間は、ウェイクアップパケットを送信するごとに減少することになる。最大受信周期の間だけウェイクアップパケットを繰り返し送信したならば、引き続き、データ信号をノードRに送信する。
【0006】
ノードRは、1受信周期の内、起動時間だけ受信待機状態となり、それ以外の時間は受信動作を行わないスリープ状態となっている。
【0007】
ノードRが受信待機状態W2において、ノードSからのウェイクアップパケットWU3を受信すれば、そのパケットWU3中のランデブー時間を取得する。そして、ランデブー時間の直前まで受信動作を停止させ、ランデブー時間の直前になると受信待機状態W3にしてノードSからのデータ信号D1を受信する。
【0008】
ノードRは、データ信号D1を受信すれば受信応答信号ACK1をノードSに返送する。受信応答信号ACK1には、受信周期と、受信タイミングのずれ(受信待機状態W2及びW3間の時間と、受信周期とのずれ)を表すフェーズ(CSLPhase)を挿入する。
【0009】
ノードSは、ノードRから受信応答信号ACK1を受信しなければ、次のデータ送信時も再び非同期送信モードでノードRに対しウェイクアップパケットを繰り返し送信した後にデータ送信を行う。
【0010】
ノードSは、ノードRから受信応答信号ACK1を受信すれば同期送信モードになる。ノードSは、受信応答信号ACK1中の受信周期、フェーズを保持し、ノードRとの同期の補正を行う。そして、ノードSは、ノードRへの次のデータ送信時に、補正後の送信タイミングでウェイクアップパケットWU6を送信する。このような同期送信モードが確立されている間のウェイクアップパケットWU6の送信は、2ノードS及びR間のタイマのクロック精度差等を考慮して行うもので、最大受信周期に比べ大幅に短い時間STだけ実行する(
図8では1パケットのみ送信するように記載しているが、その短時間STの間に複数パケットを繰り返し送信しても良い)。
【0011】
同期通信モードでも、受信応答信号ACKが受信ノードRから返送されなければ、送信ノードSは非同期送信モードに遷移し、次のデータ送信時に非同期送信モードでの送信動作を行う。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(A)第1の実施形態
以下、本発明による無線通信装置、無線通信装置の同期方法、無線通信プログラム及び無線通信システムの第1の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0026】
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、送信ノード若しくは受信ノードとなる、第1の実施形態の無線通信装置の構成を示すブロック図である。
【0027】
第1の実施形態の無線通信装置は、RF受信部やRF送信部を除いた部分をハードウェアで構成することも可能であり、また、CPUが実行するソフトウェア(無線通信プログラム)とCPUとで実現することも可能であるが、いずれの実現方法を採用した場合であっても、機能的には
図1で表すことができる。
【0028】
図1において、無線通信装置10は、RF受信部11、データ解析部12、制御部13、起動時間変更部14、受信タイミング制御部15、送信タイミング制御部16、データ生成部17及びRF送信部18で構成する。
【0029】
RF受信部11は、ウェイクアップパケットやデータ信号パケット(以下、データ信号と呼ぶ)や受信応答信号パケット(以下、受信応答信号と呼ぶ)等の無線パケットを受信するものである。
【0030】
データ解析部12は、受信した無線パケットや、その無線パケットに挿入されているデータを解析し、適宜、解析結果を制御部13に与えるものである。データ解析部12は、受信した無線パケットが自ノード宛であるか否かを解析する。また、データ解析部12は、自ノード宛である場合には、無線パケットがウェイクアップパケット、データ信号、受信応答信号など、どのような種類のパケットかを解析し、パケット種類に応じて、受信した無線パケットから必要な情報を取り出し、パケット種類や取り出した情報等を制御部13へ与えるものである。
【0031】
制御部13は、データ信号、制御信号(ウェイクアップ信号や受信応答信号等)を送受信するための制御を行うものである。制御部13は、データ信号や制御信号を受信する毎に、受信タイミング制御部15に通知する。また、制御部13は、起動時間変更部14に受信時刻情報を入力する。さらに、制御部13は、必要に応じて、受信情報を送信タイミング制御部16に入力する。制御部13は、送信データがある場合は、データ生成部17にデータと付加情報(宛先等)を渡し、送信タイミング制御部16に送信データがあることを通知する。
【0032】
起動時間変更部14は、第1の実施形態で特徴となる機能部である。起動時間変更部14には、予め基本起動時間Trpb、付加起動時間Trpaが設定されている。起動時間Trp(Trpb、若しくは、Trpb+Trpa)は、当該無線通信装置10が無線パケットの受信を待ち受けている時間であり、この起動時間Trpの間に到着したパケットのみを受信できる。例えば、RF受信部11は、起動時間Trpの間に受信可能とされ、それ以外の時間ではスリープ状態に制御され、省電力を達成するようになされている。基本起動時間Trpbは、起動時間Trpの初期値である。付加起動時間Trpaは、受信待ち時間を基本起動時間Trpbより長くするときの延長時間である。付加起動時間Trpaの付加を行った際には、合計時間Trpb+Trpaが起動時間Trpとなる。
【0033】
また、起動時間変更部14は、パケット受信間隔を判定し、その判定結果に応じて、付加起動時間Trpaを付加するか否かを決定するものである。起動時間変更部14は、例えば、制御部13からの情報を基に、送信元ノード毎に所定時間内の受信パケット数を計測し、受信パケット数が閾値を上回っていれば付加起動時間を付加すると判定し、起動時間Trpを付加時間Trpaだけ延長された時間Trpb+Trpaにし、受信パケット数が閾値以下であれば付加起動時間を付加しないと判定し、起動時間Trpを基本起動時間Trpbとする。起動時間変更部14は、起動時間Trpを変更したとき(延長したとき、若しくは、延長を止めたとき)には、受信タイミング制御部15に変更した起動時間Trpを通知する。
【0034】
受信タイミング制御部15は、RF受信部11をオンオフ制御するためのタイミングを決定するものである。受信タイミング制御部15には予め受信周期Tpが設定されている。また、受信タイミング制御部15は、起動時間変更部14から通知された起動時間Trpも保持する。受信タイミング制御部15は、受信周期Tpごとに、RF受信部11をオン状態し、オン状態の開始時点から起動時間Trpが経過すればRF受信部11をオフ状態にする。受信タイミング制御部15は、当該無線通信装置10が内蔵する図示しないタイマのクロックに基づいて起動時間を計時する。
【0035】
送信タイミング制御部16は、同期送信モードでのデータ送信用の送信タイミングを決定するものである。送信タイミング制御部16には、予め基本送信周期Ts及び最大受信周期(ウェイクアップパケット送信時間)Tmpが設定されている。基本送信周期Tsは、受信タイミング制御部15に設定する受信周期Tpと同一のものであっても良い。最大受信周期Tmpは、この間に繰り返し送信するウェイクアップパケットの少なくとも1つが受信ノードに到達することを保証できるように、受信周期Tpと同一若しくは受信周期Tpより僅かに長い時間に選定される。
【0036】
送信タイミング制御部16は、データ信号の送信に対する受信応答信号ACKを受信できたか否かでデータ送信先のノードとの同期判定を行う。送信タイミング制御部16は、同期がとれていると判定した場合には、受信応答信号ACKの情報を用いてデータ送信先ノードへのデータ送信タイミングを補正する。送信タイミング制御部16は、例えば、データ信号を送信した時点から受信応答信号ACKを受信した時点までの時間を2ノード間の往復伝搬時間(RTT)としてとらえ、伝搬時間を考慮してデータ送信タイミングを補正する。
【0037】
送信タイミング制御部16は、基本送信周期Tsと、同期通信の確立有無情報を用いて、RF送信部18に、ウェイクアップパケット若しくはデータ信号の送信命令を出す。なお、送信タイミング制御部16は、制御部13から指示されたときに直ちにRF送信部18に受信応答信号の送信命令を出す。
【0038】
データ生成部17は、送信データにヘッダ等を付加してデータ信号を生成してRF送信部18に渡すものである。
【0039】
RF送信部18は、生成されたデータ信号やウェイクアップ信号や受信応答信号を、送信タイミング制御部16からの命令タイミングで無線送信するものである。
【0040】
第1の実施形態の無線通信システムは、図示は省略するが、
図1に示す構成を有する無線通信装置10を複数台配置したものであり、任意の2つの無線通信装置10、10間で無線通信を行うものである。
【0041】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態の無線通信装置10の受信に関連する動作を、図面を参照しながら説明する。以下の説明において、無線通信装置を適宜「ノード」と呼ぶこととする。
【0042】
なお、送信側のノード(以下、符号10Sを用いる)のデータ送信動作は、従来の無線通信装置のデータ送信動作と同様である。また、受信側のノード(以下、符号10Rを用いる)におけるウェイクアップパケットを受信した後、データ信号を受信する点は、従来と同様である。第1の実施形態は、データ信号を受信した後に起動時間Trpを見直す動作を行う点が従来と異なっており、以下、この動作を中心的に説明する。
【0043】
図2は、受信ノード10Rのデータ受信動作(データ受信方法)を示すフローチャートである。
【0044】
受信タイミング制御部15は、保持している受信周期Tp及び起動時間Trpに基づいて、RF受信部11をオンオフ制御し、受信周期Tpごとに、RF受信部11をオン状態に変化させ、その開始時点から起動時間Trpの間だけオン状態を継続させ、起動時間Trpが経過すればオフ状態にする(ステップS100、S101、S108、S109)。なお、起動時間Trpの間でも、ウェイクアップパケットを受信したならば、受信タイミング制御部15は、データ信号の受信直前までRF受信部11をオフ状態にさせるようにしても良い。
【0045】
RF受信部11は、オン状態のときには、パケットが他ノードから到来するのを待ち受け、パケットが到来すると受信して、パケット内のデータ(パケットそのものであっても良い)などをデータ解析部12に与える(ステップS103)。上述したように、RF受信部11は、パケットが到来することなく、オン状態の継続時間が起動時間Trpとなった場合にはオフ状態にする(ステップS108)。
【0046】
データ解析部12は、RF受信部11から与えられたデータを解析し、解析結果に応じた情報を制御部13へ与える(ステップS104)。データ解析部12は、受信パケットがウェイクアップパケットの場合には、パケット中のランデブー時間Trzを抽出して制御部13に与え、受信パケットがデータ信号の場合には、抽出したデータと、受信時刻やシーケンス番号等のヘッダ情報を制御部13に与える。ランデブー時間Trzが与えられた制御部13の動作は、従来と同様であり、その説明は省略する。
図2のフローチャートもこの場合の流れを省略している。
【0047】
制御部13は、データ信号の受信時に所定情報が与えられた際には、起動時間変更部14に、受信時刻や送信元ノードアドレス等の受信情報を与えて起動時間の見直し動作を指示し、このとき、起動時間変更部14は、制御部13から与えられた受信時刻やシーケンス番号や送信元ノードアドレス等の受信情報と、内部で保持している情報から、今回の送信元ノードについて起動時間Trpの見直し動作を行う(ステップS105、S106)。第1の実施形態の場合、起動時間Trpの見直しは、データ受信間隔に基づく見直しと、データ信号の欠落に基づく見直しとでなる。起動時間変更部14は、過去の所定時間内の受信パケット数(データ信号のパケットを計数対象としている)から平均データ受信間隔を算出し(他の算出方法を適用しても良い)、算出した平均データ受信間隔が予め定められている閾値以下か否かを判定し、平均データ受信間隔が閾値以下の場合には起動時間Trpを変更する(ステップS107)。また、起動時間変更部14は、保存されている直近のシーケンス番号と今回のシーケンス番号の連続性に基づいて、データ信号に欠落があるか否かを判定し、欠落があると起動時間Trpを変更する(ステップS107)。なお、今回のシーケンス番号は、次の判定時における直近のシーケンス番号として利用できるように保存される。起動時間変更部14は、算出した平均データ受信間隔が閾値より長く、データ信号に欠落もない場合には、オン状態の継続時間が起動時間Trpになるのを待ち受ける処理に移行する(ステップS108)。
【0048】
平均データ受信間隔が閾値以下の場合は、送信元ノードのクロック周期が当該ノードのクロック周期より短い場合に相当する。すなわち、両ノードのクロック周期の相違により、両ノードが正しくCSLの手順を実行しても、データ信号を受信できない状態にやがてなる可能性が高い場合であり、起動時間を延長することとした。一方、送信元ノードのクロック周期が当該ノードのクロック周期より長い場合は、受信ノード(当該ノード)における受信が後側にずれるが、後側のずれではウェイクアップパケットを受信できることがほとんどであり、ランデブー時間に基づいた調整を受信ノードが実行することができ、2ノード間のクロック精度の差はほとんど問題とはならない。但し、上述した閾値より大きい値の第2の閾値と平均データ受信間隔とを比較し、平均データ受信間隔が第2の閾値以上の場合(送信元ノードのクロック周期が当該ノードのクロック周期より長い場合)にも、起動時間を基本起動時間に付加時間を追加して延長させるようにしても良い。
【0049】
また、データ信号に欠落が生じる場合は、通信路に障害がないのであれば、両ノードのクロック周期の相違に基づく欠落であるので、起動時間を延長することとした。
【0050】
以上のような場合に起動時間Trpを延長し(ステップS107)、その後のデータ信号を受信できる可能性を高めるようにしている。
【0051】
起動時間Trpを延長すると、受信タイミング制御部15によるオン状態の継続時間が起動時間Trpになるのを待ち受ける処理に移行する(ステップS108)。
【0052】
なお、ステップS105において、平均データ受信間隔を求める代りに、直近のデータ受信間隔を求めて閾値と比較するようにしても良い。後述する
図3は、この変形例の場合を示している。また、2ノードのクロック精度の差を捉えられる他の指標を算出し、閾値と比較するようにしても良い。以上のような閾値との比較を複数種類行って、起動時間Trpを延長するか否か判定するようにしても良い。
【0053】
また、ステップS105やS106による判定処理を、送信元ノードからのデータ信号の到来頻度が高いときのみ行うようにしても良い。例えば、所定時間内に到来したパケット数が、閾値パケット数を越えることを条件にしてステップS105やS106による判定処理を行うようにしても良い。起動時間Trpとして、基本起動時間Trpbではなく、基本起動時間Trpbに付加時間Trpaを付加した時間Trpb+Trpaを適用することは、付加時間Trpaだけスリープ時間が短くなり、省電力化の度合いを弱めることになるので、送信元ノードからのデータ信号の到来頻度が高いときのみ、起動時間Trpを延長させるようにしても良い。
【0054】
起動時間Trpを、基本起動時間Trpbに付加時間Trpaを付加して延長した後に基本起動時間Trpbに戻す方法は、限定されるものではない。例えば、平均データ受信間隔が閾値を越えるように変化した場合に基本起動時間Trpbに戻すようにしても良い。また例えば、その送信元ノードからのデータ信号が、受信周期の所定倍の期間内に1つの受信できなくなった場合に戻すようにしても良い。さらに例えば、データ受信間隔が10周期以上というように、データ受信間隔が閾値以上になれば基本起動時間に戻すようにしても良い。
【0055】
第1の実施形態の無線通信システムでは、受信ノードが上述のように起動時間Trpを適宜変更しながらデータ信号を受信する。
【0056】
図3は、受信ノード10Rにおける起動時間Trpが変化する第1の動作例を示すタイミングチャートである。
図3は、受信ノード10Rの起動時間変更部14に、受信周期Tpの2倍の時間内にデータ信号を受信することを1条件として、起動時間Trpを長くするという設定にしているものとする。この条件は、データ信号の到来頻度に係る条件であり、具体的な変更判断は、上述したステップS105(やS106)の方法による。なお、この条件を満たすだけで起動時間Trpを長くする変更を行うようにしても良い。
【0057】
送信ノード10Sは、受信ノード10Rにおける
図3における1番目、5番目、7番目、9番目の起動時間r1、r5、r7、r9のタイミングでデータ信号を送信しているとする。
【0058】
5番目の起動時間r5でのデータ信号s2の受信時には、前の1番目の起動時間r1でのデータ信号s1の受信時から4受信周期だけ経っているので、6番目以降の起動時間r6、…として基本起動時間Trpbを継続する。
【0059】
7番目の起動時間r7でのデータ信号s3の受信時には、前の5番目の起動時間r5でのデータ信号s2の受信時から2受信周期だけ経っているので、起動時間の変更条件を満たすならば、8番目以降の起動時間r8、…として、基本起動時間Trpbに付加時間Trpaを追加した時間Trpb+Trpaに変更する。例えば、付加時間Trpaの追加は、基本起動時間Trpbの前後それぞれに付加時間Trpaの半分の時間を追加する方法を採用する。
【0060】
9番目の起動時間r9でのデータ信号s4の受信時には、
図3で塗り潰している付加時間Trpaだけ起動時間Trpが長くなっているので、5番目や7番目の起動時間r5、r7で受信できていなかったウェイクアップパケットが受信できる確率が高くなる。
図3の9番目の起動時間r9は、延長していなければデータ信号s4を受信できない場合を示しており、このように、起動時間を延長することにより、データ信号を受信できる確率は当然に高くなる。また、
図3では受信応答信号ACKを省略しているが、データ信号を受信できる確率が高くなって送信ノード10Sとの間で同期がとれやすくなっているので、送信ノード10Sがデータ信号の再送を行う確率が減少する。
【0061】
例えば、上述したように、データ受信間隔が10周期以上になれば起動時間Trpを基本起動時間Trpbに戻す。
【0062】
2ノード間のクロック精度の差等により、データ受信間隔が2受信周期程度でも同期ずれが起こることがあるので、このように起動時間Trpを広げることでウェイクアップパケットやデータ信号を受信し易くなる。
【0063】
図4は、受信ノード10Rにおける起動時間Trpが変化する第2の動作例を示すタイミングチャートである。
図4は、データ信号の欠落に基づいて起動時間を延長する場合を示している。
【0064】
送信ノード10Sは、受信ノード10Rにおける
図4における1番目、4番目、6番目、9番目の起動時間r1、r4、r6、r9のタイミングでデータ信号を送信し、受信ノード10Rでは、起動時間r4のタイミングを考慮して送信されたデータ信号s2を受信できなかったとする。また、
図4の例では、データ送信(データ受信)に失敗しても、次のデータ送信時に非同期送信モードにするのではなく、データ送信が複数回(例えば3回以上)失敗した後に非同期送信モードに変化させるようになっているとする。
図4におけるs1〜s4は「データ信号」を表すと共に「シーケンス番号」をも表しているものとして説明する。
【0065】
受信ノード10Rは、1番目の起動時間r1で受信したデータ信号s1のシーケンス番号s1を記録しておく。
【0066】
4番目の起動時間r4を考慮して送信されたデータ信号s2は、受信ノード10Rに到達しない。そのため、受信ノード10Rが記録しているシーケンス番号s1は継続して記録されている。
【0067】
6番目の起動時間r6で受信したデータ信号s3のシーケンス番号はs3である。記録しているシーケンス番号はs1であるので、前回受信したデータ信号以降に送信されているデータ信号が欠落している(受信できなかった)と判定する。その結果、受信ノード10Rは、7番目以降の起動時間r7、…を、基本起動時間Trpbに付加時間Trpaを追加した時間Trpb+Trpaに変更する。
【0068】
9番目の起動時間r9で受信したデータ信号s4のシーケンス番号はs4であって、記録しているシーケンス番号s3との差は1であるので、前回受信したデータ信号s3以降に送信されているデータ信号が欠落していないと判定する。
【0069】
データ信号の欠落により延長した起動時間を基本起動時間Trpbへ戻す方法は、データ受信間隔に基づいて延長した起動時間を基本起動時間Trpbへ戻す方法と同じあっても異なっていても良い。例えば、上述したデータ受信間隔が10周期以上になれば起動時間Trpを基本起動時間Trpbに戻すという方法を適用することができる。
【0070】
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
【0071】
第1の実施形態によれば、2ノード間のクロック精度の差等により、データ信号の受信失敗の恐れが強い場合や失敗があった場合には、受信ノードの起動時間を長くするようにしたので、2ノード間のクロック精度の差等があっても、パケットを受信し易くなり同期送信モードを維持し易くなる。
【0072】
また、第1の実施形態によれば、送信ノードによる再送を減少させることができるので、ネットワーク効率を上げることができるようになる。なお、起動時間の延長によりデータ信号の受信確率を高くできるので、同期通信中にウェイクアップパケットの送信回数を減少させてもデータ信号を受信させることができ、このようにした場合には、ウェイクアップパケットを減少させることにより、ネットワーク効率を上げることができる。例えば、M個(Mは2以上の整数)毎のデータ信号のうち、最初のデータ信号の送信時にのみ先立ってウェイクアップパケットを送信するようにしても良い。
【0073】
さらに、第1の実施形態によれば、同期ずれが発生したと検知したときに受信ノードの起動時間を長くしたので同期外れが少なくなり、非同期送信モードの動作機会、言い換えると、ウェイクアップパケットの送信回数を減少させることができる。
【0074】
(B)第2の実施形態
次に、本発明による無線通信装置、無線通信装置の同期方法、無線通信プログラム及び無線通信システムの第2の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0075】
(B−1)第2の実施形態の構成
図5は、送信ノード若しくは受信ノードとなる、第2の実施形態の無線通信装置の構成を示すブロック図であり、第1の実施形態に係る
図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。
【0076】
図5において、第2の実施形態の無線通信装置10Aは、RF受信部11、データ解析部12、制御部13A、受信タイミング制御部15A、送信タイミング制御部16A、データ生成部17及びRF送信部18に加え、ウェイクアップパケット追加送信判定部19を有する。第2の実施形態の無線通信装置10Aは、第1の実施形態の無線通信装置10とは異なり、起動時間変更部14を備えていない。
【0077】
第2の実施形態の送信構成は、第1の実施形態の送信構成にウェイクアップパケット追加送信判定部19を追加したものである。
【0078】
ウェイクアップパケット追加送信判定部19は、通常のデータ送信前のウェイクアップパケットの送信以外にウェイクアップパケットを追加送信させるか否かを判定し、ウェイクアップパケットを追加送信させる場合に、送信タイミング制御部16Aにウェイクアップパケットの送信を指示するものである。ウェイクアップパケット追加送信判定部19は、CSLの同期送信モードにおける一般的なウェイクアップパケット及びデータ信号の連続的な送信時に、受信ノードからの応答確認信号ACKが、データ信号の送信時点から所定時間以内に到達したかを確認し、所定時間以内に到達しないと認識したときに直ちに、ウェイクアップパケットを追加送信させるものである。追加させるウェイクアップパケットには、次の送信タイミングでデータ信号を送信する時刻に係るランデブー時間が挿入されている。
【0079】
第2の実施形態の無線通信装置10Aにおける受信構成、すなわち、RF受信部11、データ解析部12、制御部13A内の受信制御構成及び受信タイミング制御部15Aは、概ねCSLに従った一般的なデータ受信動作を実行するものである。但し、制御部13A内の受信制御構成は、追加送信されたウェイクアップパケットの受信時には、挿入されているランデブー時間に基づいて、次の送信タイミングで送信されるデータ信号を受信すべく、次の起動時間を延長する命令を受信タイミング制御部15Aに指示する。以下では、起動時間を延長する場合を説明するが、追加送信されたウェイクアップパケットに挿入されているランデブー時間に基づいて、起動時間のタイミングをずらすようにしても良い。
【0080】
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、第2の実施形態の無線通信装置10Aの送信に関連する動作を、図面を参照しながら説明する。第1の実施形態では起動時間の延長を受信ノードが自律的に行っていたが、この第2の実施形態では、受信ノードにおける起動時間の延長を、送信ノードの動作で促すようにしていることを特徴としている。
【0081】
図6は、第2実施形態での送信ノード10Sの動作を示すフローチャートである。
【0082】
送信ノード10Sは、受信ノード10Rに対して、データを送信しようとする際には先立ってウェイクアップパケットを連続的に送信する(ステップS201)。送信ノード10Sは、受信ノード10Rと同期がとれている場合には(同期送信モードの場合には)、受信ノード10Rの起動時間Trp以内の時間、同期がとれていない場合には(非同期送信モードの場合には)、最大受信周期Tmpの時間だけ送信する。
【0083】
送信ノード10Sは、受信ノード10Rに対して、上述のようにウェイクアップパケットを所定の時間だけ連続して送信したならばデータ信号を送信する(ステップS202)。
【0084】
送信ノード10Sは、受信ノード10Rに対してデータ信号を送信すると、予め定まっている所定時間内に受信応答信号ACKが受信ノード10Rから返信されたか否かを確認する(ステップS203)。
【0085】
送信ノード10Sは、受信応答信号ACKが受信した場合には、ステップs201に戻り、受信ノード10Rの次若しくはその後の起動時間を考慮したウェイクアップパケットの送信に移行する。
【0086】
これに対して、送信ノード10Sは、所定時間内に受信応答信号ACKを受信できないと判定した場合には、受信ノード10Rの今回の起動時間を考慮して直ちにウェイクアップパケットを追加送信し(ステップS204)、その後、上述したステップS201に移行する。追加送信するウェイクアップパケットに挿入するランデブー時間は、送信ノード10Sで計算している、受信ノード10Rの次の起動時間でデータ信号を受信できるようにする(次の起動時間と同期する)送信までの待ち時間である。
【0087】
ウェイクアップパケットの追加送信時間は特に限定されないが、例えば、基本起動時間Trpbの間だけウェイクアップパケットを連続して送信する。
【0088】
受信ノード10Rでは、追加送信されたウェイクアップパケットに挿入されているランデブー時間に基づいて、次の起動時間を長くする。
【0089】
図7は、送信ノード10Sが受信ノード10Rの起動時間を広げさせる動作例である。
【0090】
送信ノード10Sは、受信ノード10Rにおける3番目の起動時間r3を考慮した送信タイミングs2のデータの送信動作時において、ウェイクアップパケット及びデータ信号を順次送信した。しかし、2ノード間のクロック精度の差により、受信ノード10Rから見て送信タイミングが早く、受信ノード10Rはウェイクアップパケットもデータ信号も受信できず、当然に、受信応答信号(ACK)パケットを返信しない。送信ノード10Sは、受信応答信号が返信されてこないと判定したときには、ウェイクアップパケットを繰り返し送信する。この際に送信されるウェイクアップパケットのランデブー時間には、次の送信タイミングs3におけるデータ信号の送信時刻までの時間が記述される。
【0091】
追加送信されたウェイクアップパケットの送信タイミングは当初の送信タイミングより遅く、送信ノード10Sが考慮した起動時間r3で受信ノード10Rが受信し、受信ノード10Rは、ウェイクアップパケット中のランデブー時間を参照し、このランデブー時間でデータを受信できるように、次の4番目の起動時間r4を延長する。この際の延長は、基本起動時間の前側のみに行うようにしても良く、また、基本起動時間の前側及び後側の双方に行うようにしても良い。
図7は、後者の場合を示している。
【0092】
送信ノード10Sは、受信ノード10Rにおける4番目の起動時間を考慮した送信タイミングにおいて、ウェイクアップパケット及びデータ信号を送信するが(新たなデータ信号の送信であっても良く、また、送信が失敗したデータ信号の再送であっても良い)、データ信号の送信は、予めランデブー時間で受信ノード10Rに通知していた時刻に行う。
【0093】
そのため、受信ノード10Rは、4番目の延長した起動時間r4内でデータ信号を受信でき、受信応答信号を返信する。
【0094】
送信ノード10Sは、受信応答信号を受信すると、そのパケット中の受信周期やフェーズを基に、受信ノード10Rへの送信タイミングを補正する。
【0095】
以上のようなシーケンスにより、データ信号の送信失敗が生じてもその後、同期送信モードを継続したまま通信を適切に行うことができる。
【0096】
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によっても、2ノード間のクロック精度の差等により、データ信号の受信失敗の恐れが強い場合や失敗があった場合には、受信ノードの起動時間を長くするようにしたので、2ノード間のクロック精度の差等があっても、パケットを受信し易くなり同期送信モードを維持し易くなる。
【0097】
具体的には、第2の実施形態によれば、受信応答信号が返らず送信エラーとなれば、データ信号の送信後にもウェイクアップパケットを送信し、受信ノードにおける次回の起動時間を延長させるようにしたので、次回の起動時間においてウェイクアップパケットやデータ信号を検知できる確率が高くなり、同期送信モードを維持できる確率が高くなる。その結果、ネットワーク効率を上げることが期待できる。
【0098】
(C)他の実施形態
上記各実施形態の説明においても種々変形実施形態に言及したが、さらに、以下に例示するような変形実施形態を挙げることができる。
【0099】
上記各実施形態の説明で用いたブロック図(
図1、
図5)は、同期通信に必要な最小限の機能を記述したものであり、無線通信装置は、同期通信機能以外の機能の実行構成を備えていても良いことは勿論である。
【0100】
上記各実施形態では、起動時間の延長が1段階であるものを示したが、2段階以上であっても良い。例えば、平均データ受信間隔と比較する閾値を2つ設け、平均データ受信間隔が大きい方の閾値以下で小さい方の閾値より大きいときの延長時間を、平均データ受信間隔が小さい方の閾値以下のときの延長時間より短くするようにしても良い。
【0101】
上記各実施形態では、無線通信装置がデータ信号の送信構成も受信構成も備えるものを示したが、受信専用の無線通信装置や送信専用の無線通信装置を構築しても良い。
【0102】
上記説明では、センサネットワークを構成するノードに言及したが、本発明による無線通信装置の用途は、センサネットワークに限定されるものではない。