(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記被検体の第2領域の撮影のタイミングに対して前記第2領域を前記第2表示部に表示させるタイミングを遅延させて、前記第1表示部に前記第1領域が表示されるタイミングで前記第2領域を前記第2表示部に表示させる画像遅延処理部をさらに備える、請求項1に記載のX線撮影装置。
前記被検体を撮影する際に、前記第1領域の位置情報および前記第2領域の位置情報をそれぞれ取得するとともに、取得した前記第1領域の位置情報および前記第2領域の位置情報に基づいて、前記第1表示部に前記第1領域が表示されるタイミングで前記第2領域が前記第2表示部に表示されるように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のX線撮影装置では、全ての撮影領域を撮影後、撮影した画像を合成して広範囲の領域の画像を取得するように構成されているため、撮影後に広範囲の領域の画像を表示することが可能であるものの、撮影中に撮影範囲よりも広範囲の領域の画像を表示させることが困難であった。このため、撮影中に撮影範囲よりも広範囲の領域の画像を表示することができるようにすることが望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、撮影中に撮影範囲よりも広範囲の領域の画像を表示することが可能なX線撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるX線撮影装置は、被検体にX線を照射するX線照射部と、被検体を透過したX線に基づいて被検体の撮影領域を相対的に移動させながら連続的に画像を撮影するX線撮影部と、X線撮影部による画像の撮影中に、撮影された被検体の第1領域がリアルタイムで表示される第1表示部と、被検体の第1領域より前に撮影され、第1領域に対して隣接する領域の被検体の第2領域が、第1表示部に第1領域がリアルタイムで表示されるタイミングで表示される第2表示部とを備え
、第1表示部には、第1領域の画像がリアルタイムで表示されるように構成されており、第2表示部に表示される第2領域の画像は、第1表示部に、位置が移動しながら表示される第1領域の画像の移動情報に基づいて、順次更新されるように構成されている。
【0008】
この発明の一の局面によるX線撮影装置では、上記のように、撮影された被検体の第1領域がリアルタイムで表示される第1表示部と、被検体の第1領域より前に撮影され、第1領域に対して隣接する領域の被検体の第2領域が、第1表示部に第1領域がリアルタイムで表示されるタイミングで表示される第2表示部を設け
て、第1表示部に、第1領域の画像をリアルタイムで表示するように構成し、第2表示部に表示される第2領域の画像を、第1表示部に、位置が移動しながら表示される第1領域の画像の移動情報に基づいて、順次更新するように構成する。これにより、第1領域の撮影時に、第1表示部に被検体の第1領域の画像を表示するとともに、第2表示部に、第1領域に隣接する第2領域の画像を表示することができるので、第1領域の撮影中にリアルタイムで撮影範囲よりも広範囲の領域の画像を表示することができる。なお、第1表示部および第2表示部は、別個の表示部である場合のみならず、同一の表示部内で表示領域が分割されて第1表示部と第2表示部とが形成されている場合も含む
。
【0009】
上記一の局面によるX線撮影装置において、好ましくは、被検体の第2領域の撮影のタイミングに対して第2領域を第2表示部に表示させるタイミングを遅延させて、第1表示部に第1領域が表示されるタイミングで第2領域を第2表示部に表示させる画像遅延処理部をさらに備える。このように構成すれば、第1領域よりも前に撮影された第2領域の画像を、第1領域を表示するタイミングに合わせて遅延させて表示させることができるので、第1領域の撮影中にリアルタイムで撮影範囲よりも広範囲の領域の画像を容易に表示することができる。
【0010】
上記一の局面によるX線撮影装置において、好ましくは、第1表示部は、第2表示部に対して、撮影移動方向側に隣接して配置されている。ここで、第1領域は第2領域に対して撮影移動方向側に隣接しているので、第1表示部を第2表示部に対して撮影移動方向側に配置することによって、第1領域と第2領域との位置関係に対応するように、第1表示部および第2表示部のそれぞれに第1領域の画像および第2領域の画像を表示することができる。
【0011】
上記一の局面によるX線撮影装置において、好ましくは、被検体を撮影する際に、第1領域の位置情報および第2領域の位置情報をそれぞれ取得するとともに、取得した第1領域の位置情報および第2領域の位置情報に基づいて、第1表示部に第1領域が表示されるタイミングで第2領域が第2表示部に表示されるように構成されている。このように構成すれば、第1領域の位置情報および第2領域の位置情報に基づいて、第1領域よりも前に撮影した領域の画像のうち第1領域に隣接する第2領域の画像を容易に特定することができるので、第1表示部に第1領域が表示されるタイミングで第2領域を第2表示部に容易に表示することができる。
【0012】
上記一の局面によるX線撮影装置において、好ましくは、X線撮影部は、造影剤を用いて被検体の血管を撮影するように構成されており、第1表示部に第1領域の血管が表示されるタイミングで、第2表示部に第2領域の血管が表示されるように構成されている。このように構成すれば、第1領域の撮影中に第1領域の血管に加えて第2領域の血管も同時に表示させることができるので、広範囲の領域の血管の画像を撮影中に表示することができる。
【0013】
上記一の局面によるX線撮影装置において、好ましくは、撮影した画像が記憶される記憶部をさらに備え、記憶部に記憶された第2領域の画像が、第1表示部に第1領域の画像が表示されるタイミングで第2表示部に表示されるように構成されている。このように構成すれば、記憶部に記憶された第2領域の画像を、撮影中の第1領域の画像が表示されるタイミングで容易に表示させることができる。
【0014】
上記一の局面によるX線撮影装置において、好ましくは、第1領域は、被検体の下肢の一部の領域であり、第2領域は、第1領域に隣接する被検体の下肢の一部の領域である。このように構成すれば、撮影中に撮影範囲よりも広範囲の下肢の画像を表示することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上記のように、撮影中に撮影範囲よりも広範囲の領域の画像を表示することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1を参照して、本発明の第1実施形態によるX線撮影装置100の全体構成について説明する。
【0019】
第1実施形態によるX線撮影装置100は、造影剤を用いて被検体(被撮影者(人))10の下肢(脚)の血管を撮影(撮像)するように構成されている。また、X線撮影装置100は、X線管1と、FPD(フラットパネルディテクタ)2と、撮影台3と、デジタル画像処理部4と、遅延情報計算部5と、画像遅延処理部6と、メイン表示部7と、サブ表示部8とを備えている。デジタル画像処理部4は、メモリ41を含む。なお、X線管1は、本発明の「X線照射部」の一例であり、FPD2は、本発明の「X線撮影部」の一例である。また、メイン表示部7は、本発明の「第1表示部」の一例であり、サブ表示部8は、本発明の「第2表示部」の一例である。また、メモリ41は、本発明の「記憶部」の一例である。
【0020】
X線撮影装置100は、撮影台3に仰向けに横臥(載置)された被検体10の下肢の血管を撮影するように構成されている。具体的には、撮影台3の下方に配置されたX線管1から照射され、被検体10を透過したX線を、FPD2により受像して、X線画像を撮影するように構成されている。また、血管を撮影する際に、カテーテル(図示せず)により被検体10の下肢の血管に造影剤が注入されてX線画像の撮影が行われる。これにより、X線を通しにくい造影剤の注入により、血管走行(血管形状)を鮮明に撮影することが可能である。
【0021】
X線管1は、
図1に示すように、撮影台3を挟んでFPD2と対向するように配置されている。また、X線管1は、撮影台3に横臥された被検体10にX線を照射する。
【0022】
FPD2は、X線管1により照射されて被検体10を透過したX線に基づいてX線画像を撮影するように構成されている。また、FPD2は、被検体10に対して相対移動しながら、被検体10の下肢の画像を連続的に撮影するように構成されている。FPD2は、1秒間に所定のフレーム数のX線画像を連続的に撮影するように構成されている。また、FPD2は、被検体10の下肢の付け根からつま先に向かって相対移動、または、被検体10の下肢のつま先から付け根に向かって相対移動しながら、下肢の画像を撮影するように構成されている。つまり、X線撮影の撮影移動方向は、被検体10の体軸方向に沿って略直線的となる。なお、FPD2の相対移動は、ユーザ(施術者)による操作により行ってもよいし、自動で行ってもよい。
【0023】
また、FPD2は、造影剤を用いて被検体10の血管を撮影するように構成されている。たとえば、造影剤は、ヨード造影剤が用いられる。また、FPD2は、X線を電気信号に変換するように構成されている。また、電気信号に変換されたX線の情報は、デジタル画像処理部4に送信される。
【0024】
X線管1およびFPD2は、ユーザ(施術者)から入力される撮影開始の指示に基づいてX線画像を撮影開始するように構成されている。つまり、ユーザの撮影開始の指示に基づいて、X線管1から連続的にX線を照射するとともに、FPD2によりX線画像を連続的に撮影するように構成されている。また、X線管1およびFPD2は、
図1に示すように、撮影台3に横臥された被検体10に対して相対移動可能に構成されている。具体的には、X線管1およびFPD2は、横臥された被検体10の体軸方向に移動可能に構成されている。
【0025】
ここで、第1実施形態では、
図5に示すように、FPD2により撮影されたX線画像は、メイン表示部7にリアルタイムに表示されるように構成されている。つまり、現在撮影されている被検体10の下肢の一部の領域(第1領域)のX線画像がメイン表示部7に表示される。また、第1領域より以前に撮影され、第1領域に対して隣接する被検体10の下肢の一部の領域(第2領域)のX線画像が、メイン表示部7に第1領域のX線画像が表示されるタイミングでサブ表示部8に表示される。つまり、メイン表示部7には、リアルタイムのX線画像が表示されるとともに、サブ表示部8には、過去に撮影した画像であり、メイン表示部7に表示されている領域(第1領域)に隣接する領域(第2領域)が撮影された時のX線画像が表示される。
【0026】
また、FPD2は被検体10に対して相対移動しながら、撮影を行うので、メイン表示部7に表示される第1領域の位置は、相対移動に伴って移動される。また、第1領域の位置の移動に対応して、第1領域に隣接する第2領域の位置も移動される。
【0027】
デジタル画像処理部4は、FPD2から送信されるX線の受信情報に基づいて、デジタルのX線画像を生成するように構成されている。また、デジタル画像処理部4は、生成したX線画像を画像遅延処理部6およびメイン表示部7に送信するように構成されている。また、X線画像は、メモリ41に保存(記憶)される。また、デジタル画像処理部4は、X線画像の撮影時に、撮影台3に対するX線管1およびFPD2の機械的な位置情報を取得するように構成されている。つまり、デジタル画像処理部4は、被検体10を撮影する際に、撮影する各領域(第1領域および第2領域を含む)の位置情報を取得するように構成されている。
【0028】
また、デジタル画像処理部4は、取得した位置情報に基づいて、撮影した画像の撮影台3(被検体10)に対する位置情報(座標)および撮影サイズ(撮影範囲)を算出するように構成されている。また、デジタル画像処理部4は、算出した位置情報および撮影サイズを遅延情報計算部5および画像遅延処理部6に送信するように構成されている。
【0029】
遅延情報計算部5は、デジタル画像処理部4から取得した撮影した画像の撮影台3(被検体10)に対する位置情報(座標)および撮影サイズ(撮影範囲)に基づいて、リアルタイムに表示されている第1領域の画像に隣接する第2領域を撮影した画像が撮影された時を算出するように構成されている。また、遅延情報計算部5は、第1領域の位置情報と、第1領域の撮影サイズとに基づいて、第2領域の位置情報を検出するように構成されている。また、遅延情報計算部5は、第2領域の位置情報に基づいて、第2領域が撮影された時間からサブ表示部8に表示させる時間までの遅延時間を算出するように構成されている。
【0030】
ここで、遅延時間を算出することにより、FPD2の被検体10に対する相対移動の速度が一定である場合は、常に一定の遅延時間で、第2領域のX線画像をサブ表示部8に表示することが可能である。この場合、最初に遅延時間を算出するだけで、メイン表示部7に第1領域が表示されるタイミングで第2領域をサブ表示部8に表示させることが可能である。また、撮影を連続的に行いながら、FPD2の被検体10に対する相対移動を間欠的に行う場合(移動、停止を繰り返しながら継続的に撮影する場合)、同じ位置情報を有する領域の画像が複数撮影されることになる。つまり、メイン表示部7に表示される第1領域に対応する第2領域を撮影した画像が複数存在する。この場合、サブ表示部8には、遅延時間を考慮して撮影された順で、同じ位置情報を有する第2領域の画像が順次表示される。
【0031】
画像遅延処理部6は、被検体10の第2領域の撮影のタイミングに対して第2領域をサブ表示部8に表示させるタイミングを遅延させて、メイン表示部7に第1領域が表示されるタイミングで第2領域をサブ表示部8に表示させるように構成されている。具体的には、画像遅延処理部6は、遅延情報計算部5により算出された遅延時間に基づいて、遅延時間に対応する第2領域のX線画像をメモリ41から読み出してサブ表示部8に表示させるように構成されている。
【0032】
メイン表示部7は、現在撮影されている被検体10のX線画像がリアルタイムで表示されるように構成されている。また、メイン表示部7は、サブ表示部8とは別個に(別体で)設けられている。また、
図5に示すように、メイン表示部7は、サブ表示部8に対して、撮影移動方向側に隣接して配置されている。たとえば、被検体10の下肢の付け根からつま先に向かって相対移動しながら撮影する場合は、メイン表示部7は、サブ表示部8に対して、画面上のつま先側に配置されている。また、被検体10のつま先から下肢の付け根に向かって相対移動しながら撮影する場合は、下肢の付け根からつま先に向かって相対移動する場合に対して、メイン表示部7とサブ表示部8との機能が入れ替わる。つまり、メイン表示部7とサブ表示部8との配置はそのままで、メイン表示部7が本発明の第2表示部として機能(第2領域を表示)し、サブ表示部8が本発明の第1表示部として機能(第1領域を表示)する。
【0033】
サブ表示部8は、被検体10の第1領域より前に撮影され、第1領域に対して隣接する領域の被検体10の第2領域が、メイン表示部7に第1領域が表示されるタイミングで表示されるように構成されている。具体的には、サブ表示部8は、メイン表示部7に第1領域の血管を含むX線画像が表示されるタイミングで、第2領域の血管を含むX線画像が表示されるように構成されている。
【0034】
次に、
図2を参照して、第1実施形態のX線撮影装置100による撮影および画像保存処理について説明する。
【0035】
被検体(被撮影者)10が撮影台3に仰向けに横臥(載置)されて撮影の準備が整うと、ステップS1において、nフレーム目のX線画像が撮影される。その後、ステップS2において、画像nが取得される。そして、画像nは、メモリ41に保存(記憶)される。その後、処理が終了される。
【0036】
ステップS1およびステップS2の処理と並行して、ステップS3において、撮影時の位置情報が取得される。具体的には、撮影台3(被検体10)に対するX線管1およびFPD2の機械的な位置情報が取得される。ステップS4において、取得された位置情報に基づいて、
図5に示すように、撮影した画像の撮影台3(被検体10)に対する位置情報(座標(Xn,Yn))および撮影サイズ(撮影範囲)(dXn,dYn)が算出される。その後、処理が終了する。なお、この撮影および画像保存処理は、各フレームを撮影する毎に行われる。
【0037】
図3を参照して、X線撮影装置100による画像表示処理について説明する。
【0038】
ステップS11において、メイン表示部7に表示される画像が更新されているか否かが判断される。つまり、被検体10が新たに撮影されて、メイン表示部7に表示されるX線画像が更新されたか否かが判断される。画像が更新されるまで、ステップS11の判断が繰り返される。画像が更新されていれば、ステップS12において、メイン表示部7に更新された画像n(第1領域のX線画像)を表示する制御が行われる。
【0039】
ステップS13において、サブ表示部8に表示する画像の探索が行われる。つまり、メイン表示部7に表示した被検体10の第1領域に隣接する第2領域が撮影された画像の探索が行われる。
【0040】
ステップS14において、サブ表示部8に表示される画像が更新されているか否かが判断される。つまり、ステップS13のサブ表示部8に表示する画像を探索した結果、対応する画像があったか否かが判断される。画像が更新されていれば、ステップS15に進み、画像が更新されていなければ、画像表示処理を終了する。
【0041】
ステップS15において、サブ表示部8に更新された画像m(メイン表示部7に表示される第1領域に対応する第2領域のX線画像)を表示する制御が行われる。その後、画像表示処理が終了される。なお、画像表示処理は、撮影が終了されるまで、繰り返し行われる。
【0042】
図4を参照して、画像表示処理のステップS13のサブ表示部表示画像探索処理について説明する。
【0043】
ステップS21において、サブ表示部8に表示される画像を探索するためのパラメータmを0とする。ステップS22において、|(Xn−Xm)−dXn|がΔxより小さく、かつ、|(Yn−Ym)−dYn|がΔyより小さいか否かが判断される。なお、Xnは、メイン表示部7に表示されている画像(第1領域の画像)(nフレーム目の画像)のX座標(たとえば、画像の中央のX座標)を表し、Xmは、mフレーム目の画像のX座標(たとえば、画像の中央のX座標)を表す。また、dXnは、画像のX方向の長さ(画素)を表す。また、Δxは、所定の値を表す。また、Ynは、メイン表示部7に表示されている画像(第1領域の画像)(nフレーム目の画像)のY座標(たとえば、画像の中央のY座標)を表し、Ymは、mフレーム目の画像のY座標(たとえば、画像の中央のY座標)を表す。また、dYnは、画像のY方向の長さ(画素)を表す。また、Δyは、所定の値を表す。
【0044】
たとえば、
図5に示すように、撮影移動方向がY方向のみである場合、各フレームにおける画像のX座標は、常に一定となる。この場合、ΔxをdXnより大きく設定しておけば、|(Xn−Xm)−dXn|<Δxを常に満たすことになる。また、Δyは、メイン表示部7に表示される画像(第1領域の画像)と、サブ表示部8に表示される画像(第2領域の画像)とが重なる部分(オーバーラップ)の長さとして設定されている。つまり、ステップS22では、mフレーム目の画像が、Y方向において、nフレーム目の画像(第1領域の画像)に対してΔy未満だけ重なる部分を有しているか否かが判断される。ステップS22の条件を満たさなければ、ステップS23に進み、条件を満たせば、ステップS26に進む。
【0045】
ステップS23において、m=m+1として、mが更新される。ステップS24において、mがn以上であるか否かが判断される。つまり、nフレーム目よりも前に撮影された画像を順次探索し、nフレーム目まで探索し終えたか否かが判断される。mがn未満であれば(nフレーム目まで探索し終えてなければ)、ステップS22に戻る。mがn以上であれば(nフレーム目まで探索し終えていれば)、ステップS25に進む。
【0046】
ステップS25において、サブ表示部8に表示する画像が更新されていないと判断する。その後、サブ表示部表示画像探索処理を終了する。ステップS22の条件を満たした場合、ステップS26において、サブ表示部8に表示される画像が更新されていると判断し、mフレーム目の画像をサブ表示部8に表示する画像(第2領域の画像)とする。その後、サブ表示部表示画像探索処理を終了する。
【0047】
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0048】
第1実施形態では、上記のように、被検体10の第1領域より前に撮影され、第1領域に対して隣接する領域の被検体10の第2領域が、メイン表示部7に第1領域が表示されるタイミングで表示されるサブ表示部8を設ける。これにより、第1領域の撮影時に、メイン表示部7に被検体10の第1領域の画像を表示するとともに、サブ表示部8に、第1領域に隣接する第2領域の画像を表示することができるので、第1領域の撮影中にリアルタイムで撮影範囲よりも広範囲の領域の画像を表示することができる。
【0049】
また、第1実施形態では、上記のように、被検体10の第2領域の撮影のタイミングに対して第2領域をサブ表示部8に表示させるタイミングを遅延させて、メイン表示部7に第1領域が表示されるタイミングで第2領域をサブ表示部8に表示させる画像遅延処理部6を設ける。これにより、第1領域よりも前に撮影された第2領域の画像を、第1領域を表示するタイミングに合わせて遅延させて表示させることができるので、第1領域の撮影中にリアルタイムで撮影範囲よりも広範囲の領域の画像を容易に表示することができる。
【0050】
また、第1実施形態では、上記のように、メイン表示部7を、サブ表示部8に対して、撮影移動方向側に隣接して配置する。ここで、第1領域は第2領域に対して撮影移動方向側に隣接しているので、メイン表示部7をサブ表示部8に対して撮影移動方向側に配置することによって、第1領域と第2領域との位置関係に対応するように、メイン表示部7およびサブ表示部8のそれぞれに第1領域の画像および第2領域の画像を表示することができる。
【0051】
また、第1実施形態では、上記のように、被検体10を撮影する際に、第1領域の位置情報および第2領域の位置情報をそれぞれ取得するとともに、取得した第1領域の位置情報および第2領域の位置情報に基づいて、メイン表示部7に第1領域が表示されるタイミングで第2領域がサブ表示部8に表示されるように構成する。これにより、第1領域の位置情報および第2領域の位置情報に基づいて、第1領域よりも前に撮影した領域の画像のうち第1領域に隣接する第2領域の画像を容易に特定することができるので、メイン表示部7に第1領域が表示されるタイミングで第2領域をサブ表示部8に容易に表示することができる。
【0052】
また、第1実施形態では、上記のように、FPD2は、造影剤を用いて被検体10の血管を撮影するように構成されており、メイン表示部7に第1領域の血管が表示されるタイミングで、サブ表示部8に第2領域の血管が表示されるように構成する。これにより、第1領域の撮影中に第1領域の血管に加えて第2領域の血管も同時に表示させることができるので、広範囲の領域の血管の画像を撮影中に表示することができる。
【0053】
また、第1実施形態では、上記のように、メモリ41に記憶された第2領域の画像が、メイン表示部7に第1領域の画像が表示されるタイミングでサブ表示部8に表示されるように構成する。これにより、メモリ41に記憶された第2領域の画像を、撮影中の第1領域の画像が表示されるタイミングで容易に表示させることができる。
【0054】
また、第1実施形態では、上記のように、第1領域は、被検体10の下肢の一部の領域であり、第2領域は、第1領域に隣接する被検体10の下肢の一部の領域である。これにより、撮影中に撮影範囲よりも広範囲の下肢の画像を表示することができる。
【0055】
(第2実施形態)
次に、
図6を参照して、本発明の第2実施形態によるX線撮影装置200について説明する。この第2実施形態では、メイン表示部とサブ表示部とを別個に設けた構成の上記第1実施形態とは異なり、メイン表示領域およびサブ表示領域を含む1つの表示部を設けた構成の例について説明する。
【0056】
第2実施形態によるX線撮影装置200は、造影剤を用いて被検体(被撮影者(人))10の下肢の血管を撮影(撮像)するように構成されている。また、X線撮影装置200は、X線管1と、FPD(フラットパネルディテクタ)2と、撮影台3と、デジタル画像処理部4と、遅延情報計算部5と、画像遅延処理部6と、表示部9とを備えている。デジタル画像処理部4は、メモリ41を含む。表示部9は、メイン表示領域91と、サブ表示領域92とを含む。なお、X線管1は、本発明の「X線照射部」の一例であり、FPD2は、本発明の「X線撮影部」の一例である。また、メモリ41は、本発明の「記憶部」の一例である。また、メイン表示領域91は、本発明の「第1表示部」の一例であり、サブ表示領域92は、本発明の「第2表示部」の一例である。
【0057】
ここで、第2実施形態では、メイン表示領域91およびサブ表示領域92は、表示部9の画面を複数に分割した領域にそれぞれ配置されている。たとえば、表示部9の画面を2分割した場合、一方の領域がメイン表示領域91であり、他方の領域がサブ表示領域92である。また、表示部9の画面を2以上の複数の領域に分割した場合、1つの領域にメイン表示領域91が割り当てられ、メイン表示領域91に隣接する領域にサブ表示領域92が割り当てられる。
【0058】
また、第2実施形態では、メイン表示領域91は、現在撮影されている被検体10のX線画像がリアルタイムで表示されるように構成されている。また、
図6に示すように、メイン表示領域91は、サブ表示領域92に対して、撮影移動方向側に隣接して配置されている。たとえば、被検体10の下肢の付け根からつま先に向かって相対移動しながら撮影する場合は、メイン表示領域91は、サブ表示領域92に対して、画面上のつま先側に配置されている。また、被検体10のつま先から下肢の付け根に向かって相対移動しながら撮影する場合は、下肢の付け根からつま先に向かって相対移動する場合に対して、メイン表示領域91とサブ表示領域92との位置が逆になり、メイン表示領域91は、サブ表示領域92に対して、画面上の下肢の付け根側に配置される。
【0059】
サブ表示領域92は、被検体10の第1領域より前に撮影され、第1領域に対して隣接する領域の被検体10の第2領域が、メイン表示領域91に第1領域が表示されるタイミングで表示されるように構成されている。具体的には、サブ表示領域92は、メイン表示領域91に第1領域の血管を含むX線画像が表示されるタイミングで、第2領域の血管を含むX線画像が表示されるように構成されている。
【0060】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0061】
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0062】
すなわち、第2実施形態の構成においても、上記第1実施形態と同様に、被検体10の第1領域より前に撮影され、第1領域に対して隣接する領域の被検体10の第2領域が、メイン表示領域91に第1領域が表示されるタイミングで表示されるサブ表示領域92を設けることによって、第1領域の撮影中にリアルタイムで撮影範囲よりも広範囲の領域の画像を表示することができる。
【0063】
また、第2実施形態では、上記のように、メイン表示領域およびサブ表示領域を1つの表示部に配置することによって、表示部の数を減らすことができる。また、メイン表示領域およびサブ表示領域の位置を表示部内で変更することができるので、メイン表示領域およびサブ表示領域の配置の自由度を高めることができる。
【0064】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0065】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0066】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、表示部(表示領域)が2つ設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、表示部(表示領域)は、3つ以上設けられていてもよい。この場合、1つの第1表示部に、第1領域の画像を表示し、2以上の第2表示部の各々に、第1領域または第2領域に隣接する領域の画像を表示してもよい。これにより、撮影中にさらに広範囲の領域の画像を表示することが可能である。
【0067】
また、上記第1および第2実施形態では、X線管(X線照射部)およびFPD(X線撮影部)を被検体に対して移動させる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、被検体(撮影台)をX線照射部およびX線撮影部に対して移動させてもよいし、被検体(撮影台)とX線照射部およびX線撮影部とをそれぞれ移動させてもよい。
【0068】
また、上記第1および第2実施形態では、FPD(X線撮影部)を被検体に対して被検体の体軸方向に直線的(一次元的)に相対移動させる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、X線撮影部を被検体に対して2次元的に相対移動させてもよい。
【0069】
また、上記第1および第2実施形態では、造影剤を用いて被検体の血管を撮影する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、被検体の血管以外の組織を撮影して表示してもよい。たとえば、骨や、臓器などを撮影して表示してもよい。また、本発明は造影剤を用いないX線撮影にも適用可能である。
【0070】
また、上記第1および第2実施形態では、被検体の下肢を撮影して、下肢の第1領域をメイン表示部(メイン表示領域)(第1表示部)に表示し、第1領域に隣接する下肢の第2領域をサブ表示部(サブ表示領域)(第2表示部)に表示する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、下肢以外を撮影して、第1表示部および第2表示部に表示してもよい。また、被検体は人でなくてもよい、たとえば、被検体は、人以外の生命体であってもよいし、物であってもよい。
【0071】
また、上記第1および第2実施形態では、撮影した画像の位置情報に基づいて、第1領域に隣接する第2領域の画像を特定する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2領域の画像は、画像解析により特定してもよい。たとえば、第1領域の端部の領域の画像と、一致する領域を含む画像を探索して、第2領域の画像を特定してもよい。この場合、画像同士の画素値の差分に基づいてマッチングを判定してもよい。
【0072】
また、上記第1および第2実施形態では、X線管(X線照射部)およびFPD(X線撮影部)の機械的な位置に基づいて、撮影した画像の位置情報を取得する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、被検体とともに目盛を有するガイドを撮影して、ガイドの目盛に基づいて、撮影した画像の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて、第1領域に隣接する第2領域の画像を特定してもよい。
【0073】
また、上記第1および第2実施形態では、説明の便宜上、本発明のX線撮影装置の処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。