特許第6357815号(P6357815)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357815
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】毛髪化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/42 20060101AFI20180709BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20180709BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20180709BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20180709BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   A61K8/42
   A61K8/34
   A61K8/37
   A61K8/365
   A61Q5/12
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-50835(P2014-50835)
(22)【出願日】2014年3月13日
(65)【公開番号】特開2015-174831(P2015-174831A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2017年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124349
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 圭啓
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】小田 義士
【審査官】 松本 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−271036(JP,A)
【文献】 特開2000−086452(JP,A)
【文献】 特開2013−116859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)式1で示されるアミドアミンを0.5〜6質量%、(B)炭素数14〜24の直鎖のアルコールを6〜20質量%、(C)式2で示される分岐のアルコールを0.5〜4質量%、(D)炭素数12〜22の直鎖または分岐の脂肪酸と硬化ヒマシ油とから得られるエステル化合物を0.3〜3質量%、(E)炭素数2〜6のα−ヒドロキシ酸を0.3〜3質量%含有する毛髪化粧料。
【化1】
(式中、RCOは炭素数14〜24の直鎖のアシル基を表し、Rは炭素数1〜3の直鎖のアルキル基を表し、xは1〜3の値である。)
【化2】
(式中、Rは炭素数8〜12の直鎖のアルキル基を表し、Rは炭素数5〜9の直鎖のアルキル基を表す。)
【請求項2】
さらに、(F)トリポリヒドロキシ脂肪酸ジペンタエリスリチルを0.1〜2質量%含有する請求項1に記載の毛髪化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダメージを受けた毛髪に塗布した際に滑らかな感触が得られ、すすぎ時や乾燥後の指通りに優れ、また乾燥後は毛髪に潤いやハリ・コシ感があり、自然な艶感を与え、かつ、毛髪のうねりを改善して、まとまりが持続する毛髪化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛髪は、紫外線、シャンプーやブラッシングによる摩擦、ドライヤーによる熱等によって日々ダメージを受けている。さらに、ヘアスタイリングの多様化により、ヘアカラーリングやパーマネントウェーブ等の化学処理が日常化され、毛髪はより一層ダメージを受けやすい状況となっている。ダメージを受けた毛髪は、キューティクルが部分的に剥離や欠損した状態となり、指通りの悪化、潤いや艶の低下を引き起こす。さらに、ダメージが進行して、コルテックスが流出し、毛髪内部に歪みや空洞が生じると、ハリ・コシの低下や髪のうねりによりまとまりが悪くなり、毛髪の感触や風合いが損なわれてしまう。
【0003】
毛髪の感触や風合いを維持または回復させるために、ヘアリンスやヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアマスク等の毛髪化粧料が使用されている。通常、これらの化粧料は、カチオン性界面活性剤と高級アルコールと水から形成されるゲル状の乳化物に、炭化水素、エステル油、動植物油などの油性成分やシリコーンが適宜配合されて構成されている。中でも、毛髪表面を柔らかくするカチオン性界面活性剤と、毛髪に指通りや艶を与えるシリコーンは多くの毛髪化粧料で汎用されている。
【0004】
カチオン性界面活性剤の主なものとして、毛髪を柔らかくする効果の高い第四級アンモニウム塩が挙げられる。しかし、環境意識の高まりから、第四級アンモニウム塩に代わり、生分解性を有するアミドアミンを配合する方法が提案されている。
【0005】
特許文献1には、特定のアミドアミン、エステル化合物、脂肪族アルコール、有機酸を含有する毛髪化粧料が開示されている。この化粧料では、塗布時や乾燥直後の感触が良いものの、ハリ・コシ感の付与やうねりを改善する効果において不十分であった。
【0006】
特許文献2には、シリコーンを含有する毛髪化粧料が開示されている。シリコーンは、表面張力が低く潤滑性に優れるので、毛髪表面を薄く均一に伸展し、乾燥後に良好な指通りや艶を毛髪に与えるだけでなく、うねりを改善することができる。
しかしながら、シリコーンを含有する毛髪化粧料は、不自然な艶感を与える傾向にあり、また繰り返し使用することで、毛髪表面にシリコーンが蓄積(ビルドアップ)し、毛髪のボリュームを低下させ、ハリ・コシが得られない傾向にある。さらに、ダメージを受けた毛髪の表面は、親水性が高くなっているので、シリコーンがなじみにくく、十分な効果が得られないという問題があった。特許文献2の毛髪化粧料においても、指通りや潤いを付与する効果は有するものの、自然な艶感やハリ・コシ感については満足のいくものではなかった。
また、消費者の嗜好の多様化に伴い、シリコーンを含有しない毛髪化粧料に対する需要が高まっている。ところが、毛髪化粧料にシリコーンを含有しなかった場合、塗布時に滑らかな感触が得られず、乾燥後の指通りが不十分となり易く、毛髪化粧料として満足のいくものは得られ難かった。
【0007】
そこで、シリコーンを含有せず、塗布時に滑らかな感触が得られ、乾燥後の指通りが良い毛髪化粧料が提案されている。例えば、特許文献3には、アミドアミン系第3級カチオン界面活性剤、アルキルもしくはアルケニルグリセリルエーテルを含有する毛髪保護用組成物が開示されている。
しかしながら、この組成物では、指通りは十分とは言えず、また自然な艶感の付与やうねりを改善する効果において満足のいくものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−343860号公報
【特許文献2】特開2013−43849号公報
【特許文献3】特開2009−242297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑み、ダメージを受けた毛髪に塗布した際に滑らかな感触が得られ、すすぎ時や乾燥後の指通りに優れ、また乾燥後は毛髪に潤いやハリ・コシ感があり、自然な艶感を与え、かつ、毛髪のうねりを改善して、まとまりが持続する毛髪化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定のアミドアミン、直鎖アルコール、特定の分岐アルコール、特定のエステル化合物、およびα−ヒドロキシ酸を含有する毛髪化粧料が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、(A)式1で示されるアミドアミンを0.5〜6質量%、(B)炭素数14〜24の直鎖のアルコールを6〜20質量%、(C)式2で示される分岐のアルコールを0.5〜4質量%、(D)炭素数12〜22の直鎖または分岐の脂肪酸と硬化ヒマシ油とから得られるエステル化合物を0.3〜3質量%、(E)炭素数2〜6のα−ヒドロキシ酸を0.3〜3質量%含有する毛髪化粧料である。
【化1】
(式中、RCOは炭素数14〜24の直鎖のアシル基を表し、Rは炭素数1〜3の直鎖のアルキル基を表し、xは1〜3の値である。)
【化2】
(式中、Rは炭素数8〜12の直鎖のアルキル基を表し、Rは炭素数5〜9の直鎖のアルキル基を表す。)
【0012】
本発明の毛髪化粧料は、さらに、(F)トリポリヒドロキシ脂肪酸ジペンタエリスリチルを0.1〜2質量%含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の毛髪化粧料によれば、ダメージを受けた毛髪に塗布した際に滑らかな感触が得られ、すすぎ時や乾燥後の指通りに優れ、また乾燥後は毛髪に潤いやハリ・コシ感があり、自然な艶感を与え、かつ、毛髪のうねりを改善して、まとまりが持続するといった効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明の毛髪化粧料は、下記(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、および(E)成分を含有し、さらに(F)成分を含有し得る。以下、各成分について説明する。
なお、本明細書において記号「〜」を用いて規定された数値範囲は「〜」の両端(上限および下限)の数値を含むものとする。例えば「2〜5」は2以上5以下を表す。
【0015】
〔(A)成分〕
本発明で用いられる(A)成分は、上記の式1で示されるアミドアミンである。
式中、RCOは、炭素数14〜24、好ましくは16〜22の直鎖のアシル基を表す。Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、好ましくはメチル基、エチル基である。xは1〜3の値であり、好ましくは2〜3である。
【0016】
式1で示されるアミドアミンとしては、例えば、ミリスチン酸ジメチルアミノエチルアミド(RCO=炭素数14の直鎖のアシル基、R=メチル基、x=2)、ミリスチン酸ジエチルアミノエチルアミド(RCO=炭素数14の直鎖のアシル基、R=エチル基、x=2)、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド(RCO=炭素数16の直鎖のアシル基、R=メチル基、x=3)、パルミチン酸ジエチルアミノプロピルアミド(RCO=炭素数16の直鎖のアシル基、R=エチル基、x=3)、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド(RCO=炭素数18の直鎖のアシル基、R=メチル基、x=3)、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド(RCO=炭素数18の直鎖のアシル基、R=エチル基、x=2)、アラキジン酸ジメチルアミノエチルアミド(RCO=炭素数20の直鎖のアシル基、R=メチル基、x=2)、アラキジン酸ジエチルアミノエチルアミド(RCO=炭素数20の直鎖のアシル基、R=エチル基、x=2)、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミド(RCO=炭素数22の直鎖のアシル基、R=メチル基、x=3)、ベヘン酸ジエチルアミノエチルアミド(RCO=炭素数22の直鎖のアシル基、R=エチル基、x=2)等が挙げられる。中でも、滑らかな感触やすすぎ時の良好な指通りの点で、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドが好ましい。
(A)成分は1種類を単独で、または2種類以上を併せて用いることができる。
【0017】
(A)成分の含有量は、毛髪化粧料中に0.5〜6質量%であり、好ましくは1〜5質量%であり、さらに好ましくは2〜4質量%である。0.5質量%未満では、すすぎ時の指通りや潤いが不十分となることがあり、6質量%を超えると、滑らかな感触が得られ難く、乾燥後の指通りやハリ・コシ感が不十分となることがある。
【0018】
〔(B)成分〕
本発明で用いられる(B)成分は、炭素数14〜24、好ましくは16〜22の直鎖のアルコールである。例えば、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール等や、これらの混合物であるセトステアリルアルコールや水添ナタネ油アルコール等が挙げられる。
(B)成分は1種類を単独で、または2種類以上を併せて用いることができ、組成物の保存安定性の点で、アルコールの平均炭素数が16〜18となるように組み合わせることが好ましい。
【0019】
(B)成分の含有量は、毛髪化粧料中に6〜20質量%であり、好ましくは8〜18質量%であり、さらに好ましくは10〜14質量%である。6質量%未満では、滑らかな感触が得られ難く、潤いが不十分となることがあり、また安定した組成物を調製することが難しくなることがある。20質量%を超えると、滑らかな感触や自然な艶感が得られ難く、うねりの改善が不十分となることがある。
【0020】
〔(C)成分〕
本発明で用いられる(C)成分は、式2で示される分岐のアルコールである。
式中Rは炭素数8〜12、好ましくは10〜12の直鎖のアルキル基を表す。Rは炭素数5〜9、好ましくは5〜7の直鎖のアルキル基を表す。
式2で示される分岐のアルコールとしては、例えば、2−ヘキシルデシルアルコール(R=炭素数8の直鎖のアルキル基、R=炭素数5の直鎖のアルキル基)、2−オクチルデシルアルコール(R=炭素数8の直鎖のアルキル基、R=炭素数7の直鎖のアルキル基)、2−オクチルドデシルアルコール(R=炭素数10の直鎖のアルキル基、R=炭素数7の直鎖のアルキル基)、2−ヘキシルドデシルアルコール(R=炭素数10の直鎖のアルキル基、R=炭素数5の直鎖のアルキル基)、2−オクチルテトラデシルアルコール(R=炭素数12の直鎖のアルキル基、R=炭素数7の直鎖のアルキル基)、2−デシルテトラデシルアルコール(R=炭素数12の直鎖のアルキル基、R=炭素数9の直鎖のアルキル基)等が挙げられる。これらの中でも、滑らかな感触を与えつつ、パサつきを与え難い点で、2−オクチルデシルアルコール、2−オクチルドデシルアルコールが好ましい。
(C)成分は1種類を単独で、または2種類以上を併せて用いることができる。
【0021】
(C)成分の含有量は、毛髪化粧料中に0.5〜4質量%であり、好ましくは0.8〜3質量%であり、さらに好ましくは1〜2質量%である。0.5質量%未満では、自然な艶感が得られ難く、うねりの改善が不十分となることがあり、4質量%を超えると、乾燥後の指通りやハリ・コシ感が不十分となることがある。
【0022】
〔(D)成分〕
本発明で用いられる(D)成分は、炭素数12〜22、好ましくは12〜18の直鎖または分岐の脂肪酸と、ヒマシ油を水素添加して得られる硬化ヒマシ油とのエステル化合物である。炭素数12〜22の直鎖または分岐の脂肪酸は、飽和脂肪酸が好ましい。
かかるエステル化合物としては、例えば、モノラウリン酸硬化ヒマシ油、モノミリスチン酸硬化ヒマシ油、モノパルミチン酸硬化ヒマシ油、モノステアリン酸硬化ヒマシ油、モノイソステアリン酸硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0023】
(D)成分のエステル化合物は、融点が好ましくは40〜50℃であり、さらに好ましくは42〜48℃である。エステル化合物の融点が40℃未満では、すすぎ時と乾燥時の指通りが不十分になることがある。また、融点が50℃を超えると、滑らかな感触が得られ難くなる場合がある。(D)成分は1種類を単独で、または2種類以上を併せて用いることができる。(D)成分の具体的な製品として、例えば、高級アルコール工業株式会社製「リソカスタMIS」(融点45℃)が挙げられる。
【0024】
(D)成分の含有量は、毛髪化粧料中に0.3〜3質量%であり、好ましくは0.5〜2.5質量%であり、さらに好ましくは1〜2質量%である。0.3質量%未満では、すすぎ時の指通りやハリ・コシ感が不十分となることがあり、3質量%を超えると、滑らかな感触が得られ難く、すすぎ時の指通りやうねりの改善が不十分となることがある。
【0025】
〔(E)成分〕
本発明で用いられる(E)成分は、α位に水酸基を有し、炭素数が2〜6のα−ヒドロキシ酸である。α−ヒドロキシ酸におけるカルボキシル基の数は1〜3であり、好ましくは1である。
α−ヒドロキシ酸としては、例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。中でも、滑らかな感触と指通りの点で、乳酸が好ましい。
(E)成分は1種類を単独で、または2種類以上を併せて用いることができる。
【0026】
(E)成分の含有量は、毛髪化粧料中に0.3〜3質量%であり、好ましくは0.5〜2.5質量%であり、さらに好ましくは1〜2質量%である。0.3質量%未満では、滑らかな感触や自然な艶感が得られ難く、すすぎ時の指通りや潤いが不十分となることがあり、3質量%を超えると、乾燥後の指通りが不十分となることがある。
【0027】
本発明の毛髪化粧料は、さらに下記の(F)成分を含有していてもよい。(F)成分を含有することにより、さらに十分な潤いやハリ・コシ感を得ることが可能である。
【0028】
〔(F)成分〕
本発明で用いられる(F)成分は、トリポリヒドロキシ脂肪酸ジペンタエリスリチルであり、ジペンタエリスリトールとポリヒドロキシ脂肪酸とから得られるトリエステルである。ポリヒドロキシ脂肪酸としては、例えば、炭素数12〜24のポリヒドロキシ脂肪酸が挙げられる。
トリポリヒドロキシ脂肪酸ジペンタエリスリチルとしては、例えば、トリポリヒドロキシラウリン酸ジペンタエリスリチル、トリポリヒドロキシミリスチン酸ジペンタエリスリチル、トリポリヒドロキシパルミチン酸ジペンタエリスリチル、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリポリヒドロキシベヘン酸ジペンタエリスリチル等が挙げられる。中でも、乾燥後の指通りや艶の付与の点で、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルが好ましく、具体的な製品として、日清オイリオ株式会社製「サラコスWO−6」が挙げられる。
【0029】
本発明の毛髪化粧料が(F)成分を含有する場合の含有量は、毛髪化粧料中に0.1〜2質量%が好ましく、さらに好ましくは0.2〜1.6質量%であり、特に好ましくは0.3〜1.2質量%である。(F)成分の含有量を上記範囲とすることにより、さらに十分な潤いやハリ・コシ感が得られ、またすすぎ時の指通りや自然な艶感がさらに良好となることが期待できる。
【0030】
本発明の毛髪化粧料は、通常の方法に従って、上記(A)成分〜(D)成分、場合によりさらに(F)成分と水とを混合することで調製することができる。また、本発明の毛髪化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧料に常用されている他の成分を配合することができる。
本発明の毛髪化粧料は、ヘアトリートメント、ヘアコンディショナー、ヘアリンス、ヘアパック等に適用することができる。
【実施例】
【0031】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の「%」は「質量%」を意味する。
【0032】
〔実施例1〜13および比較例1〜11〕
毛髪化粧料として、表1に示す成分を用いて通常の方法に従いヘアトリートメントを調製し、下記の方法によりヘアトリートメントの評価を行った。その結果を表1に示す。
なお、表中の記号は下記の商品を示す。
※1:「リソカスタMIS」(高級アルコール工業株式会社製、融点45℃)
※2:「サラコスWO−6」(日清オイリオ株式会社製)
【0033】
(1)塗布時の感触
20名の女性(24〜61才)をパネラーとし、洗髪後の濡れた毛髪に各ヘアトリートメント5gを塗布し、なじませた時の感触について下記の基準で評価した。
2点:滑らかな感触を得た場合。
1点:やや滑らかな感触を得た場合。
0点:滑らかな感触が得られなかった場合。
【0034】
20名の合計点を求め、以下のように判定した。
◎:合計点が35点以上である。;塗布時の感触に優れるヘアトリートメントである。
○:合計点が30点以上、35点未満である。;塗布時の感触が良いヘアトリートメントである。
△:合計点が20点以上、30点未満である。;塗布時の感触がやや悪いヘアトリートメントである。
×:合計点が20点未満である。;塗布時の感触が悪いヘアトリートメントである。
【0035】
(2)すすぎ時の指通り
20名の女性(24〜61才)をパネラーとし、洗髪後の濡れた毛髪に各ヘアトリートメント5gを塗布し、すすぎ時の感触について下記の基準で評価した。
2点:すすぎ時の毛髪の指通りがとても良好であると感じた場合。
1点:すすぎ時の毛髪の指通りがまあまあであると感じた場合。
0点:すすぎ時の毛髪がきしみ、指通りが悪いと感じた場合。
【0036】
20名の合計点を求め、以下のように判定した。
◎:合計点が35点以上である。;すすぎ時の指通りが非常に良好なヘアトリートメントである。
○:合計点が30点以上、35点未満である。;すすぎ時の指通りが良好なヘアトリートメントである。
△:合計点が20点以上、30点未満である。;すすぎ時の指通りがやや悪いヘアトリートメントである。
×:合計点が20点未満である。;すすぎ時の指通りが悪いヘアトリートメントである。
【0037】
(3)乾燥後の指通り
20名の女性(24〜61才)をパネラーとし、洗髪後の濡れた毛髪に各ヘアトリートメント5gを塗布し洗い流して、ドライヤーで乾燥させた直後の感触について下記の基準で評価した。
2点:乾燥後の毛髪の指通りがとても良好であると感じた場合。
1点:乾燥後の毛髪の指通りがまあまあであると感じた場合。
0点:乾燥後の毛髪がきしみ、指通りが悪いと感じた場合。
【0038】
20名の合計点を求め、以下のように判定した。
◎:合計点が35点以上である。;乾燥後の指通りが非常に良好なヘアトリートメントである。
○:合計点が30点以上、35点未満である。;乾燥後の指通りが良好なヘアトリートメントである。
△:合計点が20点以上、30点未満である。;乾燥後の指通りがやや悪いヘアトリートメントである。
×:合計点が20点未満である。;乾燥後の指通りが悪いヘアトリートメントである。
【0039】
(4)潤い
20名の女性(24〜61才)をパネラーとし、洗髪後の濡れた毛髪に各ヘアトリートメント5gを塗布し洗い流して、ドライヤーで乾燥させた直後の感触について下記の基準で評価した。
2点:毛髪がとても潤っていると感じた場合。
1点:毛髪がやや潤っていると感じた場合。
0点:毛髪がパサつき、全く潤っていないと感じた場合。
【0040】
20名の合計点を求め、以下のように判定した。
◎:合計点が35点以上である。;毛髪に潤いを付与できるヘアトリートメントである。
○:合計点が30点以上、35点未満である。;毛髪に潤いをやや付与できるヘアトリートメントである。
△:合計点が20点以上、30点未満である。;毛髪に潤いを付与しにくいヘアトリートメントである。
×:合計点が20点未満である。;毛髪に潤いを付与できないヘアトリートメントである。
【0041】
(5)ハリ・コシ感
20名の女性(24〜61才)をパネラーとし、洗髪後の濡れた毛髪に各ヘアトリートメント5gを塗布し洗い流して、ドライヤーで乾燥させた直後の感触について下記の基準で評価した。
2点:毛髪にとてもハリ・コシ感があると感じた場合。
1点:毛髪にハリ・コシ感があると感じた場合。
0点:毛髪にハリ・コシ感が無いと感じた場合。
【0042】
20名の合計点を求め、以下のように判定した。
◎:合計点が35点以上である。;毛髪にハリ・コシ感を付与できるヘアトリートメントである。
○:合計点が30点以上、35点未満である。;毛髪にハリ・コシ感をやや付与できるヘアトリートメントである。
△:合計点が20点以上、30点未満である。;毛髪にハリ・コシ感を付与しにくいヘアトリートメントである。
×:合計点が20点未満である。;毛髪にハリ・コシ感を付与できないヘアトリートメントである。
【0043】
(6)自然な艶
20名の女性(24〜61才)をパネラーとし、洗髪後の濡れた毛髪に各ヘアトリートメント5gを塗布し洗い流して、ドライヤーで乾燥させた直後の様子について下記の基準で評価した。
2点:毛髪にとても艶があると感じた場合。
1点:毛髪にやや艶があると感じた場合。
0点:毛髪に全く艶がないと感じた場合。
【0044】
20名の合計点を求め、以下のように判定した。
◎:合計点が30点以上であり、かつ、0点を評価したパネラーがいない。;毛髪に艶を付与できるヘアトリートメントである。
○:合計点が30点以上であり、かつ、0点を評価したパネラーが2人以下である。;毛髪に艶をやや付与できるヘアトリートメントである。
△:合計点が20点以上、30点未満である。;毛髪に艶を付与しにくいヘアトリートメントである。
×:合計点が20点未満である。;毛髪に艶を付与できないヘアトリートメントである。
【0045】
(7)うねりの改善
20名の女性(24〜61才)をパネラーとし、洗髪後の濡れた毛髪に各ヘアトリートメント5gを塗布し洗い流して、ドライヤーで乾燥させた後、12時間経過した時の感触について下記の基準で評価した。
2点:毛髪のうねりを改善でき、その効果が持続したと感じた場合。
1点:毛髪のうねりを改善できるが、その効果が持続しなかったと感じた場合。
0点:毛髪のうねりを改善できなかったと感じた場合。
【0046】
20名の合計点を求め、以下のように判定した。
◎:合計点が35点以上である。;毛髪のうねりの改善に優れるヘアトリートメントである。
○:合計点が30点以上、35点未満である。;毛髪のうねりを改善できるヘアトリートメントである。
△:合計点が20点以上、30点未満である。;毛髪のうねりの改善がやや不十分なヘアトリートメントである。
×:合計点が20点未満である。;毛髪のうねりの改善が不十分なヘアトリートメントである。
【0047】
【表1】
【0048】
表1に示された結果より、本発明の毛髪化粧料に係る実施例1〜13のヘアトリートメントは、いずれも毛髪に塗布した際に滑らかな感触が得られ、すすぎ時や乾燥後の指通りに優れ、また乾燥後は毛髪に潤いやハリ・コシ感があり、自然な艶感を与え、かつ、毛髪のうねりを改善して、まとまりが持続することがわかる。
また、(F)成分を配合した実施例2、8〜11、13では、潤い、およびハリ・コシ感が他の実施例よりもさらに優れていることがわかる。
【0049】
他方、比較例1〜11では十分な性能が得られていない。
すなわち、比較例1では、(D)成分が配合されていないことから、すすぎ時の指通り、およびハリ・コシ感の付与が不十分であった。
比較例2では、(C)成分が配合されていないことから、自然な艶の付与、およびうねりの改善が不十分であった。
比較例3では、(D)成分の含有量が本発明の規定の上限値を超えていることから、塗布時の感触、すすぎ時の指通り、およびうねりの改善が不十分であった。
比較例4では、(A)成分に代えて、分岐のアシル基を有するアミドアミンが配合されていることから、すすぎ時の指通りが悪く、また塗布時の感触、乾燥後の指通り、潤い、ハリ・コシ感の付与、およびうねりの改善が不十分であった。
比較例5では、(D)成分に代えて、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ脂が配合されていることから、すすぎ時の指通りが悪く、またハリ・コシ感の付与、およびうねりの改善が不十分であった。
【0050】
比較例6では、(C)成分に代えて、(C)成分とは異なるアルコールが配合されていることから、潤いが悪く、塗布時の感触、すすぎ時および乾燥時の指通り、ハリ・コシ感、自然な艶の付与、およびうねりの改善が不十分であった。
比較例7では、(B)成分の含有量が本発明の規定の上限値を超えていることから、塗布時の感触、自然な艶の付与、およびうねりの改善が悪かった。
比較例8では、(D)成分に代えて、(D)成分とは異なる成分(ワセリン)が配合されていることから、塗布時の感触、すすぎ時の指通り、およびうねりの改善が不十分であった。
比較例9では、(C)成分の含有量が本発明の規定の上限値を超えていることから、乾燥時の指通り、およびハリ・コシ感の付与が不十分であった。
比較例10では、(B)成分の含有量が本発明の規定の下限値を下回っていることから、塗布時の感触が悪く、潤いが不十分であった。
比較例11では、(E)成分が配合されていないことから、すすぎ時の指通りが悪く、また塗布時の感触、潤い、および自然な艶の付与が不十分であった。