特許第6357888号(P6357888)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357888
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】カップ式自動販売機
(51)【国際特許分類】
   G07F 13/00 20060101AFI20180709BHJP
【FI】
   G07F13/00 101
   G07F13/00 B
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-115586(P2014-115586)
(22)【出願日】2014年6月4日
(65)【公開番号】特開2015-230537(P2015-230537A)
(43)【公開日】2015年12月21日
【審査請求日】2017年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161562
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 朗
(72)【発明者】
【氏名】有村 充
(72)【発明者】
【氏名】西川 洋平
(72)【発明者】
【氏名】畔柳 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 修一
【審査官】 永安 真
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−126279(JP,U)
【文献】 特開2010−257014(JP,A)
【文献】 特開2003−187320(JP,A)
【文献】 特開2002−260088(JP,A)
【文献】 特開2002−157643(JP,A)
【文献】 特開平09−050577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を貯留する水リザーバと、氷を製氷する製氷部を有するとともに前記製氷部内の水位が前記水リザーバの水位と同一となるように前記水リザーバにパイプを介して連繋されて水リザーバから水が供給されるオーガ式製氷機および前記水リザーバから水ポンプを介して水が供給される貯湯タンクを備え、前記貯湯タンクから飲料調理位置まで配管された飲料調理用のパイプに接続された給湯バルブを開くことにより供給される温水により飲料を調整して販売に供する飲料供給装置において、前記オーガ式製氷機の製氷部内の水を前記水ポンプの上流側に導く態様でオーガ式製氷機と水ポンプとの間を配管接続し、前記水リザーバに貯留された水およびオーガ式製氷機内の水を、水ポンプを介して貯湯タンクに供給したうえで前記給湯バルブを開いて前記貯湯タンクから飲料調理位置まで配管された飲料調理用のパイプを介して貯湯タンク内の温水を排水することを特徴とする飲料供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料供給装置において、水リザーバに貯留された水を前記貯湯タンクに供給して排水する際、前記給湯バルブを開いて前記貯湯タンクから飲料調理位置まで配管された飲料調理用のパイプを介して貯湯タンク内の温水を排水することを特徴とする飲料供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載の飲料供給装置において、飲料供給装置は、昇降モータを有する昇降機構によりカップ内に入り込むように下降およびカップ内からカップの外に出るように上昇する攪拌羽根を有し、前記貯湯タンクから給湯バルブを介して供給される温水により飲料を調整する際に前記攪拌羽根を下降させてカップ内の飲料を攪拌する飲料攪拌手段を備え、水リザーバに貯留された水を前記貯湯タンクを介して排水する際に前記飲料攪拌手段の攪拌羽根を下降させ、前記給湯バルブを開いて前記貯湯タンクから飲料攪拌手段まで配管された飲料調理用のパイプを介して供給される温水により攪拌羽根を洗浄することを特徴とする飲料供給装置。
【請求項4】
請求項2に記載の飲料供給装置において、飲料供給装置は、コーヒー引き豆と前記貯湯タンクから給湯バルブを介して供給される温水によりコーヒー液を抽出するコーヒーブリュアを備え、水リザーバに貯留された水を前記貯湯タンクに供給して排水する際に前記給湯バルブを開いて前記貯湯タンクからコーヒーブリュアまで配管された飲料調理用のパイプを介して供給される温水によりコーヒーブリュアを洗浄することを特徴とする飲料供給装置。
【請求項5】
請求項2に記載の飲料供給装置において、飲料供給装置は、粉末原料と前記貯湯タンクから給湯バルブを介して供給される温水とを攪拌・混合して飲料を調整するミキシングボウルを備え、水リザーバに貯留された水を前記貯湯タンクに供給して排水する際に前記給湯バルブを開いて前記貯湯タンクからミキシングボウルまで配管された飲料調理用のパイプを介して供給される温水によりミキシングボウルを洗浄することを特徴とする飲料供給装置。
【請求項6】
請求項1に記載の飲料供給装置において、貯湯タンクはオーバーフローパイプを備え、水リザーバに貯留された水を前記貯湯タンクに供給して排水する際、給湯バルブを閉じた状態で前記オーバーフローパイプから排水し、水リザーバに貯留された水の排水後に給湯バルブを開いて貯湯タンクの水位を所定の水位となすことを特徴とする飲料供給装置。」
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水道から供給された水を貯留する水リザーバを有するカップ式自動販売機などの飲料供給装置における水タンクの排水に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のコールド飲料およびホット飲料を販売するカップ式自動販売機(飲料供給装置)は、筐体内に水道から供給された水を貯留する水リザーバを備え、この水リザーバからカップ内若しくはミキシングボウルに供給される水を冷却する冷却水槽、前記水リザーバとパイプを介して連繋されて水リザーバから水が供給されるオーガ式製氷機および前記水リザーバから水ポンプを介して水が供給される貯湯タンクが設けられており、コールド飲料を販売する際には水リザーバから冷却水槽を介して所望の温度に冷却した冷水をカップ内に吐出するとともにオーガ式製氷機に貯留された氷片をカップ内に供給するように構成され、ホット飲料を販売する際には貯湯タンクにより所望の温度に加熱した温水をカップ内若しくはミキシングボウルに吐出するように構成されている。前記水リザーバに貯留された水および水リザーバとオーガ式製氷機とを連繋するパイプ内に貯留する水は、時間経過とともに残留塩素(殺菌効果)が減少して細菌が増殖する環境となることから定期的に排水する(入れ替える)必要がある。このため、水リザーバおよび水リザーバとオーガ式製氷機とを連繋するパイプ内に貯留された水の排水手段として水リザーバとオーガ式製氷機とを連繋するパイプに手動で開閉する水抜きバルブを設け、ルートマンが水抜きバルブを開閉して水リザーバおよびパイプ内に貯留された水を排水した後、水リザーブ内に水道水を供給するものが開発された。しかしながら、手動の水抜きバルブを設けたものではルートマンの作業が増加するとともに水抜きバルブの開閉を忘却して水リザーバに貯留された水の入れ替えが行われない虞がある。そのため、前記手動の水抜きバルブを電磁バルブに代えて水リザーバに貯留された水の入れ替えを自動で行うことが考えられたが、水リザーバからの排水を廃棄してしまうのでは無駄が生じる。そこで、水リザーバからの排水を廃棄する無駄をなくすため、水リザーバからオーガ式製氷機に至るパイプ内の排水を冷却水槽に供給するものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2598150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特許文献1に開示された発明においては、水リザーバに貯留された水および水リザーバとオーガ式製氷機とを連繋するパイプ内の水を自動的に排水するとともに水リザーバからの排水を冷却水槽に供給するので、前記排水を有効利用することができる点で優れている。しかしながら、特許文献1に開示された発明においては冷却水槽の水位が低下した場合に水リザーバに貯留された水を所定量だけ供給するように構成されており、水リザーバに貯留された水を完全に入れ替えることができない点で改良すべき課題を有する。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、飲料供給装置の構成部品を利用して水リザーバに貯留された水の入れ替えが可能な飲料供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者らは上記課題を解決するため種々検討した結果、貯湯タンクにおいては常に所望の温度に加熱された熱温水が蓄えられているため殺菌効果があり、貯湯タンクからカップ内若しくはミキシングボウルに至るパイプにおいても所望の温度に加熱された熱温水が流れるたびに殺菌されという理由から貯湯タンク若しくは貯湯タンクからカップ内若しくはミキシングボウルに至るパイプに貯留された熱温水の入れ替えを自動的に行うことは実施されていなかったことに着目し、次に示すとおりに貯湯タンクを介して水リザーバに貯留された水の入れ替えを行うに至ったものである。
【0007】
すなわち、上記目的を達成するために請求項1にかかる発明は、水を貯留する水リザーバと、氷を製氷する製氷部を有するとともに前記製氷部内の水位が前記水リザーバの水位と同一となるように前記水リザーバにパイプを介して連繋されて水リザーバから水が供給されるオーガ式製氷機および前記水リザーバから水ポンプを介して水が供給される貯湯タンクを備え、前記貯湯タンクから飲料調理位置まで配管された飲料調理用のパイプに接続された給湯バルブを開くことにより供給される温水により飲料を調整して販売に供する飲料供給装置において、前記オーガ式製氷機の製氷部内の水を前記水ポンプの上流側に導く態様でオーガ式製氷機と水ポンプとの間を配管接続し、前記水リザーバに貯留された水およびオーガ式製氷機内の水を、水ポンプを介して貯湯タンクに供給したうえで前記給湯バルブを開いて前記貯湯タンクから飲料調理位置まで配管された飲料調理用のパイプを介して貯湯タンク内の温水を排水することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の飲料供給装置において、水リザーバに貯留された水を前記貯湯タンクに供給して排水する際、前記給湯バルブを開いて前記貯湯タンクから飲料調理位置まで配管された飲料調理用のパイプを介して貯湯タンク内の温水を排水することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に記載の飲料供給装置において、飲料供給装置は、昇降モータを有する昇降機構によりカップ内に入り込むように下降およびカップ内からカップの外に出るように上昇する攪拌羽根を有し、前記貯湯タンクから給湯バルブを介して供給される温水により飲料を調整する際に前記攪拌羽根を下降させてカップ内の飲料を攪拌する飲料攪拌手段を備え、水リザーバに貯留された水を前記貯湯タンクを介して排水する際に前記飲料攪拌手段の攪拌羽根を下降させ、前記給湯バルブを開いて前記貯湯タンクから飲料攪拌手段まで配管された飲料調理用のパイプを介して供給される温水により攪拌羽根を洗浄することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、請求項2に記載の飲料供給装置において、飲料供給装置は、コーヒー引き豆と前記貯湯タンクから給湯バルブを介して供給される温水によりコーヒー液を抽出するコーヒーブリュアを備え、水リザーバに貯留された水を前記貯湯タンクに供給して排水する際に前記給湯バルブを開いて前記貯湯タンクからコーヒーブリュアまで配管された飲料調理用のパイプを介して供給される温水によりコーヒーブリュアを洗浄することを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に係る発明は、請求項2に記載の飲料供給装置において、飲料供給装置は、粉末原料と前記貯湯タンクから給湯バルブを介して供給される温水とを攪拌・混合して飲料を調整するミキシングボウルを備え、水リザーバに貯留された水を前記貯湯タンクに供給して排水する際に前記給湯バルブを開いて前記貯湯タンクからミキシングボウルまで配管された飲料調理用のパイプを介して供給される温水によりミキシングボウルを洗浄することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に係る発明は、請求項1に記載の飲料供給装置において、貯湯タンクはオーバーフローパイプを備え、水リザーバに貯留された水を前記貯湯タンクに供給して排水する際、給湯バルブを閉じた状態で前記オーバーフローパイプから排水し、水リザーバに貯留された水の排水後に給湯バルブを開いて貯湯タンクの水位を所定の水位となすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に係る飲料供給装置のように、水を貯留する水リザーバと、氷を製氷する製氷部を有するとともに前記製氷部内の水位が前記水リザーバの水位と同一となるように前記水リザーバにパイプを介して連繋されて水リザーバから水が供給されるオーガ式製氷機および前記水リザーバから水ポンプを介して水が供給される貯湯タンクを備え、前記貯湯タンクから飲料調理位置まで配管された飲料調理用のパイプに接続された給湯バルブを開くことにより供給される温水により飲料を調整して販売に供する飲料供給装置において、前記オーガ式製氷機の製氷部内の水を前記水ポンプの上流側に導く態様でオーガ式製氷機と水ポンプとの間を配管接続し、前記水リザーバに貯留された水およびオーガ式製氷機内の水を、水ポンプを介して貯湯タンクに供給したうえで前記給湯バルブを開いて前記貯湯タンクから飲料調理位置まで配管された飲料調理用のパイプを介して貯湯タンク内の温水を排水すること、若しくは本発明の請求項6に係る飲料供給装置のように、貯湯タンクはオーバーフローパイプを備え、水リザーバに貯留された水を前記貯湯タンクに供給して排水する際、給湯バルブを閉じた状態で前記オーバーフローパイプから排水し、水リザーバに貯留された水の排水後に給湯バルブを開いて貯湯タンクの水位を所定の水位となすことにより、水リザーバに貯留された水の入れ替えを飲料供給装置の構成部品である貯湯タンクを介して行うことができるので、コストの上昇を招くことなく水リザーバに貯留された水の衛生状態を維持することが可能なことは勿論のこと、水リザーバと貯湯タンクとを連繋するパイプ内に貯留された水も排水することができるので、水リザーバと貯湯タンクとを連繋するパイプ内における衛生状態を維持することか可能となるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明の請求項2に係る飲料供給装置によれば、請求項1に記載の飲料供給装置において、水リザーバに貯留された水を前記貯湯タンクに供給して排水する際、前記給湯バルブを開いて前記貯湯タンクから飲料調理位置まで配管された飲料調理用のパイプを介して貯湯タンク内の温水を排水することにより、給湯バルブおよび飲料調理位置まで配管されたパイプ内に貯留する温水を排水して殺菌が増殖するのを抑制することができるものである。
【0015】
また、本発明の請求項3に係る飲料供給装置によれば、請求項2に記載の飲料供給装置において、飲料供給装置は、昇降モータを有する昇降機構によりカップ内に入り込むように下降およびカップ内からカップの外に出るように上昇する攪拌羽根を有し、前記貯湯タンクから給湯バルブを介して供給される温水により飲料を調整する際に前記攪拌羽根を下降させてカップ内の飲料を攪拌する飲料攪拌手段を備え、水リザーバに貯留された水を前記貯湯タンクに供給して排水する際に飲料攪拌手段の攪拌羽根を下降させ、前記給湯バルブを開いて前記貯湯タンクから飲料攪拌手段まで配管された飲料調理用のパイプを介して供給される温水により攪拌羽根を洗浄することにより、水リザーバの入れ替えと同時に飲料攪拌手段の攪拌羽根の洗浄を行うことができるものである。
【0016】
また、本発明の請求項4に係る飲料供給装置によれば、請求項2に記載の飲料供給装置において、飲料供給装置は、コーヒー引き豆と前記貯湯タンクから給湯バルブを介して供給される温水によりコーヒー液を抽出するコーヒーブリュアを備え、水リザーバに貯留された水を前記貯湯タンクに供給して排水する際に前記給湯バルブを開いて前記貯湯タンクからコーヒーブリュアまで配管された飲料調理用のパイプを介して供給される温水によりコーヒーブリュアを洗浄することにより、給湯バルブおよびコーヒーブリュアまで配管されたパイプ内に貯留する温水を排水して殺菌が増殖するのを抑制することができるものである。
【0017】
また、本発明の請求項5に係る飲料供給装置によれば、請求項2に記載の飲料供給装置において、飲料供給装置は、粉末原料と前記貯湯タンクから給湯バルブを介して供給される温水により飲料を調整するミキシングボウルを備え、水リザーバに貯留された水を前記貯湯タンクに供給して排水する際に前記給湯バルブを開いて前記貯湯タンクからミキシングボウルまで配管された飲料調理用のパイプを介して供給される温水によりミキシングボウルを洗浄することにより、水リザーバの入れ替えと同時にミキシングボウルを洗浄することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態にかかる飲料供給装置(カップ式自動販売機)の模式図である。
図2図1の飲料供給装置(カップ式自動販売機)の制御構成を示す制御ブロック図である。
図3図1の飲料供給装置(カップ式自動販売機)の制御方法を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係る飲料供給装置を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る飲料供給装置としてのカップ式自動販売機100の模式図である。ここで、図1に示すカップ式自動販売機100は、飲料調理位置まで移送される途中においてカップC内に供給された各種粉末原料(例えば、クリーム、コーヒー、砂糖など)原料、若しくは焙煎コーヒー豆から抽出されるとともに飲料調理位置に移送されたカップ内に供給されらレギュラーコーヒー飲料と、飲料調理位置においてカップ内に吐出される温水とを攪拌混合して飲料を調整するカップ内ミキシング方式の自動販売機であるが、飲料供給装置は実施の形態のカップ式自動販売機に限られるものではない。
【0020】
図1に示したカップ式自動販売機100は、前面が開口した販売機本体(不図示)内に収容された水リザーバ1、オーガ式製氷機2、貯湯タンク3、コーヒー豆キャニスター4、粉末原料キャニスター5、カップ供給機構6、カップ搬送機構7、飲料攪拌装置8、パウダートレイ9、廃液バケツ10などを備え、販売機本体の前面開口に開閉自在に取付けられた扉(不図示)に設けられた自動開閉扉を有する取出口11を備えている。
【0021】
前記水リザーバ1は、給水バルブV1の開閉により水道管から供給された水を貯留するものであり、貯留した水位に応じて上下動するフロートに連動して水位を検出する給水センサS1と異常検出センサS2が設けられている。給水センサS1は、水リザーバ1に貯留された水の上限水位を検出するマイクロスイッチからなり、水リザーバ1に貯留された水位の上昇によりマイクロスイッチのアクチュエータがばねの付勢力に抗して回動してスイッチを押圧するとオン信号を出力し、水リザーバ1に貯留された水位の低下によりマイクロスイッチのアクチュエータがばねの付勢力により回動してスイッチから離隔するとオフ信号を出力するものである。異常検出センサS2は、水リザーバ1に貯留された水の下限水位(異常)を検出するマイクロスイッチからなり、水リザーバ1に貯留された水位が下限水位まで低下するとマイクロスイッチのアクチュエータがばねの付勢力に抗して回動してスイッチを押圧するとオン信号を出力し、水リザーバ1に貯留された水位が下限水位よりも上昇するとマイクロスイッチのアクチュエータがばねの付勢力により回動してスイッチから離隔するとオフ信号を出力するものである。前記給水バルブV1は、給水センサS1のオン・オフ信号に基づいてバルブの開閉が制御されるように構成され、給水センサS1からオフ信号によりバルブを開いて給水を開始し、給水センサS1のオン信号によりバルブを閉じて給水を停止する。このような給水バルブV1の開閉動作によって水リザーバ1に貯留される水が上限水位であって所定の範囲の水位に保たれる。なお、異常検出センサS2は、断水などにより水リザーバ1に貯留された水が下限水位(異常)となった場合にオン信号を出力するものであり、このオン信号に基づいて後述するオーガ式製氷機2を強制的に停止させる。
【0022】
前記オーガ式製氷機2は、水リザーバ1よりパイプP1を介して供給された水から氷片を製氷する断熱構造の製氷部21と、製氷された氷片を簀の子上に貯氷する断熱構造の貯氷部22とから構成されている。
【0023】
製氷部21は、円筒状の製氷筒の外周面に巻装された冷凍サイクルを構成する蒸発パイプにより製氷筒内壁面に着氷させる一方、製氷筒内に配設され、かつ、減速機を介して連結された駆動モータにより回転するオーガ(スクリュー状の回転式切削刃)により製氷筒内壁面に着氷した氷をフレーク状に切削して押し上げるとともにオーガの上方に設けられた氷圧縮用の押出しヘッドにより圧縮して固形化したうえで押出しヘッドの先端部で切断してチップ状の氷片を形成するように構成され、製氷筒に巻回された蒸発パイプの周囲を断熱材で包囲することにより断熱構造として形成されている。
【0024】
製氷部21の上部に配設された貯氷部22は、製氷部21で形成された氷片を貯氷する断面円形状の断熱壁で形成されるとともに底部に氷片載置用の簀の子が敷設された貯氷室を備え、貯氷室内部に配設されるとともにオーガと同軸の回転軸の軸上に取り付けられた氷片攪拌用のアジテータにより氷片を攪拌して氷片同士が固着して大きな氷塊となるのを防止するように構成されている。貯氷室の底部には溶けた水を排水する排水口が設けられ、この排水口からパイプP2を介して溶けた水が製氷筒21下部に導入されるとともにパイプP1およびパイプP2がパイプP3を介して水ポンプPMPに接続されている。そして、貯氷室の側壁には氷片投出口(不図示)が形成され、この氷片投出口を開閉する氷搬出扉23を備えている。前記氷搬出扉23は、販売動作に連係して後述する販売制御部20b(図2参照)から出力される氷片搬出指令により駆動されるソレノイドにより開閉制御され、前記ソレノイドが駆動されて氷搬出扉23が開放すると、アジテータで攪拌されている氷片がホースHを介して飲料調理位置に移送されたカップCに供給されるように構成されている。なお、貯氷室内には貯氷量の変位に応じて上下動する氷量検出ディスクが設けられ、貯氷量が減少して氷量検出ディスクが貯氷量下限位置にまで下降すると製氷開始信号を出力する製氷開始スイッチと、製氷動作が進んで氷量検出ディスクが貯氷量上限位置まで押し上げられると製氷停止信号を出力する製氷停止スイッチとが設けられているものである。
【0025】
前記オーガ式製氷機2は、製氷機自身では水位調節機能を有していない一方、良質の氷片を製氷するには製氷筒21内の水位を適切な上限水位と下限水位の範囲内に保つ必要があるため、製氷筒21内の水位が水リザーバ1の水位と同一となるように、販売機本体内に水リザーバ1に横並びに設置されるものである。
【0026】
前記貯湯タンク3は、水ポンプPMPの駆動の駆動により水リザーバ1からパイプP4を介して供給された水を内部に設けた温度センサS5の出力に基づいてヒータ31に通電することによって所望の温度、例えば、94〜97℃に加熱して貯留するものであり、貯留した水位に応じて上下動するフロートに連動して水位を検出する給水開始センサS3と給水停止センサS4が設けられている。給水開始センサS3は、貯湯タンク3に貯留された温水の下限水位を検出するものである一方、給水停止センサS4は、貯湯タンク3に貯留された温水の上限水位を検出するものである。この給水開始センサS3および給水停止センサS4からのオン・オフ信号に基づいて水ポンプPMPの駆動が制御され、水ポンプPMPは、給水開始センサS3のオン信号により駆動されて給水を開始し、給水停止センサS4のオン信号により駆動が停止されて給水を停止する。このような水ポンプPMPの駆動制御によって貯湯タンク3に貯留され温水が所定の範囲の水位に保たれる。また、貯湯タンク3に貯留された温水は、飲料調整時に給湯バルブV2,V3を介して定量、例えば、150mlずつ吐出される。貯湯タンク3の容量は、カップ自動販売機100の仕様に応じて異なるが(例えば、500ml〜10L程度)、この実施の形態では3Lの温水を貯留可能に構成される。なお、水リザーバ1は1Lの水を貯留可能に構成されている。
前記コーヒー豆キャニスター4は、レギュラーコーヒーの原料となる焙煎されたコーヒー豆を貯蔵するものである。このコーヒー豆キャニスター4から払い出されたコーヒー豆がシュータ(不図示)を介して投入されるコーヒーミル12は、投入されたコーヒー豆を粉砕刃で所定の粒度の粉末状のコーヒー挽き豆に粉砕するものである。
【0027】
前記コーヒーミル12で粉砕されたコーヒー挽き豆が投入されるコーヒーブリュア13は、円筒形状の抽出容器,ペーパーフィルタ,フィルタブロックおよび抽出容器の上端開口を開閉するバルブ機構を備え、前記抽出容器の上下にはその内部に空気を供給するための空気導入口がそれぞれ設けられたものである。このコーヒーブリュア13でコーヒー液を抽出するには、先ず、抽出容器を下降させてその下端開口にペーパーフィルタを介してフィルタブロックを装着した後、バルブ機構で抽出容器の上端開口を開放させた状態で、抽出容器の上端開口からコーヒー挽き豆を投入するとともに貯湯タンク3の給湯バルブV2を開いてパイプP5を介して所定量の温水を供給し、次いで、バルブ機構により抽出容器の上端開口を閉鎖したうえで抽出容器の下部空気導入口から空気を供給してコーヒー挽き豆と温水との混合液を攪拌するとペーパーフィルタで濾過されたコーヒー成分を含むコーヒー液が抽出され、抽出されたコーヒー液をパイプP7を介して飲料調理位置に移送されたカップC内に注出するものである。なお、販売機本体内には滓バケツ(不図示)が設けられ、コーヒー滓やペーパーフィルタが廃棄されるように構成されている。
【0028】
前記粉末原料キャニスター5は、粉末のコーヒー原料を貯蔵するコーヒーキャニスター51、粉末のクリーム原料を貯蔵するクリームキャニスター52、粉末の砂糖原料を貯蔵する砂糖キャニスター53からなる。この粉末原料キャニスター5は、飲料販売時に利用者の好みに応じて選択されることによりそれぞれのキャニスター51〜53から粉末原料を払い出し、後述するカップ搬送機構7により移送されるカップC内に投出するものである。
【0029】
前記カップ供給機構6は、容量の異なる種類(例えば、大、中、小の3種類)のカップを種類別に多数積み重ねて収容し、飲料販売時に利用者の選択に応じた容量のカップを次に示すカップ搬送機構7に投出するものである。
【0030】
前記カップ搬送機構7は、カップ供給機構6から投出されたカップを把持するアームを備えるとともにアームに把持されたカップを粉末原料キャニスター5,飲料攪拌装置8が配置された飲料調理位置を経由して販売口11のベンドステージまで移送するものであり、粉末原料キャニスター5,飲料攪拌装置8が配置された飲料調理位置では一旦停止するように構成されている。
【0031】
飲料調理位置に配置された飲料攪拌装置8は、昇降モータを有する昇降機構によりカップC内に入り込むように下降およびカップC内からカップの外に出るように上昇するとともに攪拌モータにより回転駆動される回転軸81を有する攪拌羽根82を備えている。飲料攪拌装置8は、カップ搬送機構7により飲料調理位置までカップCが移送された際に昇降モータを駆動させて回転羽根82をカップC内に下降させる一方、前記貯湯タンク3から給湯バルブV3を介して供給される温水が回転軸81に吐出されると攪拌モータの駆動により回転羽根82を回転させてカップC内の飲料を攪拌するものである。この飲料攪拌装置8が、請求項3に記載した飲料攪拌手段に相当する。
【0032】
前記パウダートレイ9は、粉末原料やコーヒー飲料など液体が販売機本体の下部に落下するのを防止する合成樹脂の成型品になる。このパウダートレイ9は、上面が開口した浅底のトレイ本体部91と、このトレイ本体部91に連なるカップ収容部92からなり、トレイ本体部91の周縁部を販売機本体内の所定位置に掛け止めやねじ止めによって取り付けられている。トレイ本体部91は、平面形状がカップ搬送機構7により移送されるカップCの移送範囲の面積よりも一回り大きく形成され、底面がカップ収容部92に向かって傾斜するように形成されている。カップ収容部92は、下方に向けて所定の深さを有する凹状に形成され、その底部には液体を排出するための廃液口92aが設けられている。カップ収容部92は、飲料販売時に取出口11から取り出されずにベンドステージに放置されたカップCをパウダートレイ91上に落下(廃棄)させて販売機会を逸することがないようにするため、ベンドステージから廃棄される廃棄物であるカップCおよび液体を収容するものであり、また、飲料調理位置から零れ落ちる液体をも収容するものである。ベンドステージに放置されたカップCの廃棄については詳細な説明は省略するが、カップ搬送機構7を利用してベンドステージに放置されたカップCをベンドステージから脱離させてパウダートレイ91上に落下させるように構成されているものである。なお、廃液口92aは、廃液チューブ92bを介して廃液バケツ10に接続されており、カップ収容部92内に流入した液体を廃液口92aおよび廃液チューブ92bを介して廃液バケツ10に回収する。
【0033】
図2は、図1に示したカップ式自動販売機100の制御系統を示すブロック構成図である。
【0034】
図2に示すように、カップ式自動販売機100は、当該カップ式自動販売機10を統括的に制御する制御装置20を備える。制御装置20は、販売制御部20aと、水リザーバ制御部20bと、製氷機制御部20cと、貯湯タンク制御部20dと、記憶部20eと、本発明に係る水リザーバ排水制御部20fとを有する。制御装置20には、キーボードやテンキーボタン等からなる入力装置(入力手段)28と、液晶ディスプレイ等からなる表示装置29とが接続されている。
【0035】
販売制御部20aは、扉の前面に設けられた紙幣挿入口,硬貨投入口を有する金銭投入部24からの金銭の投入信号、飲料選択ボタン25からの飲料選択信号,カップ選択ボタン26からのカップ種別選択信号,粉末原料選択ボタン27からの原料選択信号などに基づき、オーガ式製氷機2、コーヒー豆キャニスター4、粉末原料キャニスター5、コーヒーミル12、コーヒーブリュア13、給湯バルブV2,V3、カップ供給機構6、カップ搬送機構7等を駆動制御し、選択された飲料の調整・販売を制御する。
【0036】
水リザーバ制御部20bは、給水センサS1からのオン・オフ信号を監視し、給水センサS1からオン信号が入力すると給水バルブV1を開いて水道管から水リザーバ1に給水を開始する。水リザーバ1への給水が進んで給水センサS1からオフ信号が入力すると給水バルブV1を閉じて水道管から水リザーバ1への給水を停止する制御を行う。このような水リザーバ制御部20bの制御により水リザーバ1に貯留される水位が一定の水位に保たれる。
【0037】
製氷機制御部20cは、オーガ式製氷機2の貯氷部22に設けられた貯氷量下限位置を検出する製氷開始スイッチSW1および貯氷量下限位置を検出する製氷停止スイッチSW2からのオン・オフ信号および水リザーバ1の下限水位を検出する異常検出センサS2からのオン・オフ信号を監視し、異常検出センサS2からのオフ信号を条件に製氷開始スイッチSW1からオン信号が入力すると製氷部21での製氷を開始すべく冷凍サイクルを構成する圧縮機を駆動するとともにオーガを回転させるべくモータを駆動して貯氷部22に氷片を貯える。製氷動作が進んで製氷停止スイッチSW2からオン信号が入力すると冷凍サイクルの圧縮機とオーガを駆動するモータを停止して製氷動作を中断する制御を行う。このような製氷機制御部20cの制御によりオーガ式製氷機2の貯氷部22の貯氷量が所定の範囲に保たれる。
【0038】
貯湯タンク制御部20dは、貯湯タンク3内に設置された温度センサS5で測定される水温に基づき、貯湯タンク3内に設置されたヒータ31を通電制御し、貯湯タンク3内に貯えられた水を所望の水温に加熱・保持する制御を行う。また、貯湯タンク制御部20dは、給水開始センサS3および給水停止センサS4を監視し、給水開始センサS3からオン信号が入力すると水ポンプPMPを駆動して給水を開始する。この給水が進んで給水停止センサS4からオン信号が入力すると水ポンプPMPの駆動を停止して給水を停止する制御を行う。このような水ポンプPMPの駆動制御によって貯湯タンク3に貯留され温水が所定の範囲の水位に保たれる。
【0039】
記憶部20eは、販売制御部20a、水リザーバ制御部20b、製氷機制御部20c、貯湯タンク制御部20dおよび後述する水リザーバ排水制御部20fにおける制御プログラムを格納したメモリ、水リザーバ1,貯湯タンク3の制御水位や貯蔵タンク3内の制御温度等の各種データを記憶したメモリであり、後述する水リザーバ排水制御部20fの制御プラグラムをも格納している。
【0040】
入力装置28は、各種の設定変更や、設定データを入力するための入力手段である。また、表示装置29は、所定の飲料の売切表示を行う売切ランプや、飲料の調理完了までの所要時間等をカウントダウン表示するカウントダウン表示器(カウントダウン表示装置)等を備えるものである。
【0041】
ここで、販売制御部20aの制御によりコーヒー飲料(ホット)として、焙煎コーヒー豆からコーヒーを抽出するレギュラーコーヒー飲料と、粉末のコーヒー原料を用いるインスタントコーヒー飲料とを調合・販売する動作について説明する。なお、以下の説明では、金銭の投入信号に基づく投入金額と商品選択信号に基づく商品金額との比較により「販売可能」と判定されたものとし、また、粉末原料入り(クリーム,砂糖入り)の飲料が選択されたものとする。
【0042】
レギュラーコーヒー飲料の販売動作では、カップ種別選択販売信号に基づきカップ供給機構6から対応する容量のカップCが、カップ供給機構6の下方に位置するカップ搬送機構7における待機位置に復帰しているアームの部位に投出される。カップ搬送機構7は、投出されたカップCをアームで把持したうえで当該カップCを粉末原料キャニスター5の下方に向けて移送を開始し、前記カップCが粉末原料キャニスター5の下方に到達した時点で一旦カップCの移送を停止する。この時点で粉末原料キャニスター5のクリームキャニスター52および砂糖キャニスター53から定量のクリームおよび砂糖の粉末原料が搬出されてカップCに投入される。カップCに粉末原料が投入されるとカップ搬送機構7は、飲料攪拌位置である飲料攪拌装置8の下方のベンドステージに向けカップCの移送を再開し、前記カップCがベンドステージ(飲料調理位置)に到達した時点で再びカップCの移送を停止する。この時点で飲料攪拌装置8は、昇降モータの駆動により攪拌羽根車82をカップC内に入り込むように下降させる。上記動作と並行してコーヒー豆キャニスター4から適量のコーヒー豆がコーヒーミル12に投入され、コーヒーミル12で挽かれたコーヒー豆がコーヒーブリュア13に投入される。そして、カップ搬送機構7によりベンドステージに移送されたカップC内に飲料攪拌装置8の攪拌羽根82が入り込んだ時点で貯湯タンク3に接続された給湯バルブV2が所定の時間だけ開かれる。給湯バルブV2が開かれると貯湯タンク3内から所定量の温水がパイプP5を介してコーヒーブリュア13に吐出され、レギュラーコーヒー飲料の抽出が行われる。抽出されたレギュラーコーヒー飲料は、パイプP7を介して飲料調理位置に移送されているカップCに注出される。カップC内にレギュラーコーヒー飲料が供給されると攪拌モータの駆動により攪拌羽根82を回転させて攪拌・混合して飲料を調整する。飲料調整後に昇降モータを逆転させて攪拌羽根82がカップCの外にでるように上昇させる。その際、給湯バルブV3を開けて回転軸81に温水を吐出することにより回転軸81と攪拌羽根82とを洗浄する。その後、カップ搬送機構7は、カップCを取出口11に向けて移送して購入者に提供したうえでアームが待機位置に復帰する。
【0043】
一方、インスタントコーヒー飲料の販売動作においては、カップ供給機構6から投出されたカップCをカップ搬送機構7のアームで把持したうえで飲料調理位置であるベンドステージに移送するまでの動作は、レギュラーコーヒー飲料の販売動作と同一であるので重複する説明は省略する。そして、カップ搬送機構7によりカップCがベンドステージまで移送されると飲料攪拌装置8は、昇降モータの駆動により攪拌羽根車82をカップC内に入り込むように下降させる。攪拌羽根82がカップC内に入り込むと同時に貯湯タンク3に接続された給湯バルブV3が所定の時間だけ開かれる。給湯バルブV3が開かれると貯湯タンク3内の温水がパイプP6を介して下降した攪拌羽根82の回転軸81に向けて吐出され、当該回転軸4を伝わりながら流れ落ちて攪拌羽根2からカップCに供給される。カップC内に所定量の温水が供給されると攪拌モータの駆動により攪拌羽根82を回転させて攪拌・混合して飲料を調整する。飲料調整後に昇降モータを逆転させて攪拌羽根82がカップCの外にでるように上昇させる。その際、給湯バルブV3を開けて回転軸81に温水を吐出することにより回転軸81と攪拌羽根82とを洗浄する。その後、カップ搬送機構7は、カップCを取出口11に向けて移送して購入者に提供したうえでアームが待機位置に復帰する。
【0044】
なお、コールド飲料を販売する場合には、前述したホット飲料を調整する際に給湯バルブV2,V3を開けて吐出される温水量よりも少量の温水を吐出させて攪拌羽根82により攪拌した後、オーガ式製氷機2の貯氷部22に設けた氷搬出扉23を開閉するソレノイドに氷片搬出指令を与えて当該氷搬出扉23を開放させることによりホースHを介して飲料調理位置に移送されたカップCに氷片を供給したうえでカップCを取出口11に向けて移送して購入者に提供するものである。したがって、この実施の形態のカップ式自動販売機100は、従来装置においてはコールド飲料販売の際に必要としていた冷却水槽(水リザーバからの水を冷却して冷水とするもの)が不要となるものである。
【0045】
さて、本発明では、水リザーバ1に貯留された水の入れ替えを飲料供給装置の構成部品である貯湯タンク3を介して行う水リザーバ排水制御部20fを備えおり、以下この水リザーバ排水制御部20fによる水リザーバ1に貯留された水の入れ替え制御を図3に示すタイムチャートを参照しつつ説明する。なお、前記水リザーバ排水制御部20fによる水リザーバ1に貯留された水の入れ替え制御は、この実施の形態では販売機会の少ない夜間、例えば、午前零時に実行され、その際には販売制御部20aが表示装置29に「販売中止」の文字を表示するとともに金銭投入部24への金銭の受付けを禁止しているものであり、図3における横軸の時刻t0が午前零時を示し、「ON」は動作中を示し、「OFF」は非動作中を示している。また、図3では時刻t0において水リザーバ1および貯湯タンク3に水および温水が上限水位まで貯留され、かつ、貯湯タンク3に貯蔵された水が所望の温度(例えば、94〜97℃)に加熱されているとともにオーガ式製氷機2の貯氷室22内に所定量の氷片が貯氷されている場合を示し、さらに貯湯タンク3からの排水は給湯バルブV2,V3を介して排水する際、給湯バルブV2からの排水によりコーヒーブリュア13を洗浄し、給湯バルブV3からの排水により飲料攪拌装置8の攪拌羽根82を洗浄する場合を例示している。すなわち、時刻t0において水リザーバ1の上限水位を検出する給水センサS1がオフであって給水バルブV1がオフしており、貯湯タンク3の下限水位を検出する給水開始センサS3がオフ,上限水位を検出する給水停止センサS4がオンであって水ポンプPMPがオフしており、オーガ式製氷機2の圧縮機がオフし、貯湯タンク3のヒータ31がオフしている。
【0046】
かかる状態で時刻t0になると、給水バルブV1、オーガ式製氷機2の圧縮機および貯湯タンク3のヒータ31を強制的にオフするとともにコーヒーブリュア13および飲料攪拌装置8を並行して動作させる。すなわち、コーヒーブリュア13では、時刻t0に至ると、その抽出容器を下げて抽出容器の上端開口を開放させる。抽出容器の上端開口が開放した時点t1で貯湯タンク3の給湯バルブV2を開いて所定量(例えば、200ml)の温水を供給する。そして、コーヒーブリュア13では、貯湯タンク3からパイプP5を介して所定量の温水が供給されると、バルブ機構により抽出容器の上端開口を閉鎖した後、抽出容器の下部空気導入口から空気を供給して温水を攪拌する。この温水の攪拌によって抽出容器内が洗浄される。次いで、前記攪拌が終了すると、抽出容器内を洗浄した洗浄液を、パイプP7を介して飲料調理位置に放出する。この場合、パイプP7を介して放出された液体は、パウダートレイ9のトレイ本体部91に落下してカップ収容部92に流入し、カップ収容部92の廃液口92aおよび廃液チューブ92bを介して廃液バケツ10に回収される。
【0047】
一方、飲料攪拌装置8では、時刻t0に至ると、回転羽根82を昇降させる昇降モータを駆動させて回転羽根82を下降させる。この回転羽根82が下降した時点t3で貯湯タンク3の給湯バルブV3を開いて温水を供給する。この場合、飲料攪拌装置8においては、貯湯タンク3からパイプP6を介して供給される温水が攪拌羽根82の回転軸81に吐出するように構成されているので、その回転軸81に吐出された温水は、当該回転軸81を介して攪拌羽根8を伝って流れ落ちる。この回転軸81および攪拌羽根8を流れ落ちる温水により回転軸81および攪拌羽根8が洗浄される。このように、回転軸81および攪拌羽根8を洗浄した洗浄水は、パウダートレイ9のトレイ本体部91に流れ落ち、カップ収容部92の廃液口92aおよび廃液チューブ92bを介して廃液バケツ10に回収される。なお、貯湯タンク3の給湯バルブV3は、後述するように水リザーバ1に貯留された水の排水が完了する時点t7まで開かれているものである。
【0048】
前述したように、貯湯タンク3の給湯バルブV2が開かれて温水が排出されると、貯湯タンク3に貯留された温水の水位が下がって貯湯タンク3の上限水位を検出する給水停止センサS4がオンからオフとなる時点t2において水ポンプPMPを強制的に駆動する。これにより水リザーバ1に貯留された水がパイプP4を介して貯湯タンク3に供給されるので水リザーバ1の水位が徐々に下がる。そして、水ポンプPMPと貯湯タンク3の給湯バルブV2,V3の流量は、この実施の形態では(水ポンプPMP)>(貯湯タンク3の給湯バルブV2,V3)と定められているので、貯湯タンク3の水位が上昇して給水停止センサS4がオンすると水ポンプPMPの駆動を一旦停止する(時点t4)。しかしながら、貯湯タンク3の給湯バルブV3が開かれて貯湯タンク3内の温水が吐出され続けることから貯湯タンク3の水位が再び下がって給水停止センサS4がオンからオフとなる時点t5において水ポンプPMPを再度駆動し、これにより貯湯タンク3の水位が上昇して給水停止センサS4がオンすると水ポンプPMPの駆動を一旦停止するような動作を繰り返す(図では点線で示す)。このように水ポンプPMPの駆動により水リザーバ1内の水位が低下して水リザーバ1の下限水位を検出する異常検出センサS2がオンする時点t6から所定時間T経過後(時点t7)に給水バルブV1を開いて水リザーバ1に水道管からの水を供給する。
【0049】
ここで、前記所定時間Tは、水リザーバ1の下限水位を検出する異常検出センサS2がオンした場合にも水リザーバ1およびパイプP1,P2,P3内に水が残留しており、この残留した水が水ポンプPMPにより貯湯タンク3に供給されるまでの時間である。したがって、給水バルブV1を開いて水リザーバ1に水道管からの水を供給する際には、水リザーバ1およびパイプP1,P2,P3内の水がすべて排水されて入れ替えられる。
【0050】
前記時点t7における貯湯タンク3の水位は成り行きであるが、図3では時点t7において上限水位に到達していない場合を示し、この場合には水ポンプPMPを、時点t7で一旦駆動停止した後、異常検出センサS2がオフとなった時点で駆動を再開したうえで給水停止センサS4がオンになるまで駆動する。
【0051】
そしてまた、時点7において貯湯タンク3の給湯バルブV3が閉じられるので、飲料攪拌装置8では、回転羽根82を昇降させる昇降モータを逆転駆動させて回転羽根82を上昇させる。また、時点t7において、貯湯タンク3の下限水位を検出する給水開始センサS3がオフであることを条件にヒータ31をオンし、また、水リザーバ1の下限水位を検出する異常検出センサS2がオフであり、オーガ式製氷機2の貯氷室内の貯氷量が貯氷量下限位置にまで下降したことを検出する製氷開始スイッチがオンであることを条件にオーガ式製氷機2の圧縮機が駆動されて製氷を開始する。
【0052】
なお、図3において、貯湯タンク3の下限水位を検出する給水開始センサS3についてはオフのままであり、オンに状態変化することはない。これは、この実施の形態では水リザーバ1と貯湯タンク3の容量が、水リザーバ1<貯湯タンク3と定められていることから、水リザーバ1内の水の入れ替えの際に貯湯タンク3内の温水がすべて排水されて空になることはないからである。水リザーバ1内の水の入れ替えと同時に貯湯タンク3内の温水をも排水して入れ替える場合には、時点t7後において水ポンプPMPの駆動を停止したうえで貯湯タンク3の給湯バルブV2,V3を開放して排水する上述した動作を、給水開始センサS3がオンに状態変化するまで繰り返した後、水ポンプPMPを駆動して水リザーバ1から貯湯タンク3に水を供給するようにすればよいものである。
【0053】
なお、前記実施の形態の係る飲料供給装置では、カップC内で飲料を攪拌するカップ内ミキシング方式のカップ式自動販売機について述べたが、図示しないミキシングボウルを用い、このミキシングボウル内で粉末原料であるコーヒー、クリーム、砂糖等と貯湯タンクから給湯バルブを介して供給される温水とを攪拌・混合して所望の飲料を調整するものにも適用することができ、この場合には水リザーバ内の水の入れ替えの際、貯湯タンクから給湯バルブを介して排水される温水によりミキシングボウルを洗浄するようにすることができる。
【0054】
また、前記実施の形態の係る飲料供給装置では、水リザーバ1内の水の入れ替えの際、貯湯タンク3から給湯バルブV2,V3を介して排水されるものについて述べたが、給湯バルブV2,V3を介して排水することなく貯湯タンク3に設けたオーバーフローパイプ30(図2参照)を介して排水することもできるものである。さらに、オーバーフローパイプ30および給湯バルブV2,V3を介して排水こともできるものである。
【0055】
前述したように、この実施の形態に係る飲料供給装置(カップ式自動販売機100)においては、水を貯留する水リザーバ1と、氷を製氷する製氷部21を有するとともに前記製氷部21内の水位が前記水リザーバ1の水位と同一となるように前記水リザーバ1にパイプP1を介して連繋され、水リザーバ1から水が供給されるオーガ式製氷機2および前記水リザーバ1から水ポンプPMPを介して水が供給される貯湯タンク3を備え、前記貯湯タンク3から飲料調理位置まで配管された飲料調理用のパイプP5,P6に接続された給湯バルブV2,V3を開くことにより供給される温水により飲料を調整して販売に供する飲料供給装置(カップ式自動販売機100)において、前記オーガ式製氷機2の製氷部21内の水を前記水ポンプPMPの上流側に導く態様でオーガ式製氷機2と水ポンプPMPとの間を配管(パイプP3)接続し、前記水リザーバ1に貯留された水およびオーガ式製氷機2内の水を、水ポンプPMPを介して貯湯タンク3に供給したうえで前記給湯バルブV2,V3を開いて前記貯湯タンク3から飲料調理位置まで配管された飲料調理用のパイプP5,P6を介して貯湯タンク3内の温水を排水すること、若しくは貯湯タンク3はオーバーフローパイプ30を備え、水リザーバ1に貯留された水を前記貯湯タンク1に供給して排水する際、給湯バルブV2,V3を閉じた状態で前記オーバーフローパイプ30から排水し、水リザーバ1に貯留された水の排水後に水ポンプPMPを駆動して貯湯タンク3の水位を所定の水位となすことにより、水リザーバ1に貯留された水の入れ替えを飲料供給装置(カップ式自動販売機100)の構成部品である貯湯タンク3を介して行うことができるので、コストの上昇を招くことなく水リザーバ1に貯留された水の衛生状態を維持することが可能なことは勿論のこと、水リザーバ1と貯湯タンク3とを連繋するパイプP4内に貯留された水も排水することができるので、水リザーバ1と貯湯タンク3とを連繋するパイプP4内における衛生状態を維持することか可能となるという効果を奏する。
【符号の説明】
【0056】
1…水リザーバ、2…オーガ式製氷機、3…貯湯タンク、4…コーヒー豆キャニスター、5…粉末原料キャニスター、6…カップ供給機構、7…カップ搬送機構、8…飲料攪拌装置(飲料攪拌手段)、9…パウダートレイ、10…廃液バケツ、20f…水リザーバ排水制御部、S1,S2…センサ、S3…給水開始センサ、S4…給水停止センサ、V1…給水バルブ、V2,V3…給湯バルブ、PMP…水ポンプ、C…カップ。
図1
図2
図3