(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2送風部により形成される前記第2エアカーテン気流および前記第4送風部により形成される前記第4エアカーテン気流の少なくとも一方の、風量および風向のうちの少なくとも一方を調整することにより、前記第3物品保存領域の温度を調整するように構成されている、請求項1に記載の冷蔵倉庫。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された冷蔵倉庫では、1つの保管室(物品保存領域)に対して、1つの冷却装置が設けられているため、その分、冷蔵倉庫の構成が複雑になるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、構成が複雑になるのを抑制しながら、複数の物品保存領域を冷却することが可能な冷蔵倉庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による冷蔵倉庫は、第1物品が冷蔵保存される第1物品保存領域に冷気を供給する第1冷却装置と、第2物品が冷蔵保存される第2物品保存領域に冷気を供給する第2冷却装置と、第1冷却装置からの冷気を吸引して、第1エアカーテン気流を形成する第1送風部と、第1送風部と間隔を隔てて配置され、第1エアカーテン気流の一部を巻き込むことが可能であるとともに、第1物品保存領域と第2物品保存領域との間に設けられ第3物品が冷蔵保存される第3物品保存領域に流入する第2エアカーテン気流を形成する第2送風部とを含む、第1送風装置と、第2冷却装置からの冷気を吸引して、第3エアカーテン気流を形成する第3送風部と、第3送風部と間隔を隔てて配置され、第3エアカーテン気流の一部を巻き込むことが可能であるとともに、第3物品保存領域に流入する第4エアカーテン気流を形成する第4送風部とを含む、第2送風装置と、を備え
、第2送風部は、第2エアカーテン気流を第3物品保存領域の下方側に向かって吹き出すとともに、吹き出された第2エアカーテン気流を第3物品保存領域の上方側において吸い込むことにより、第3物品保存領域に循環流を形成するように構成されており、第4送風部は、第4エアカーテン気流を第3物品保存領域の下方側に向かって吹き出すとともに、吹き出された第4エアカーテン気流を第3物品保存領域の上方側において吸い込むことにより、第3物品保存領域に循環流を形成するように構成されている。
【0008】
この発明の一の局面による冷蔵倉庫では、上記のように、第1エアカーテン気流の一部を巻き込むことが可能であるとともに、第1物品保存領域と第2物品保存領域との間に設けられる第3物品保存領域に流入する第2エアカーテン気流を形成する第2送風部と、第3エアカーテン気流の一部を巻き込むことが可能であるとともに、第3物品保存領域に流入する第4エアカーテン気流を形成する第4送風部とを含むように構成する。これにより、第3物品保存領域に冷却装置を設けなくても、第1エアカーテン気流の一部を巻き込んだ第2エアカーテン気流と、第3エアカーテン気流の一部を巻き込んだ第4エアカーテン気流とによって、第3物品保存領域を冷却することができる。その結果、第1物品保存領域、第2物品保存領域および第3物品保存領域のそれぞれに冷却装置を設ける場合と異なり、構成が複雑になるのを抑制しながら、複数の物品保存領域を冷却することができる。また、第3物品保存領域にダクト等を設けることなく、第2エアカーテン気流と第4エアカーテン気流とが混合された冷気により第3物品保存領域を冷却することができるので、第3物品保存領域にダクト等を設ける必要がない分、構成が複雑になるのを抑制しながら、複数の物品保存領域を冷却することができる。
【0009】
上記一の局面による冷蔵倉庫において、好ましくは、第2送風部により形成される第2エアカーテン気流および第4送風部により形成される第4エアカーテン気流の少なくとも一方の、風量および風向のうちの少なくとも一方を調整することにより
、第3物品保存領域の温度を調整するように構成されている。このように構成すれば、容易に、第1エアカーテン気流の一部および第3エアカーテン気流の一部の少なくとも一方を巻き込むことができる。
【0010】
この場合、好ましくは、第3物品保存領域に設けられる温度測定部をさらに備え、温度測定部により測定された温度に基づいて、第2送風部により形成される第2エアカーテン気流および第4送風部により形成される第4エアカーテン気流の少なくとも一方の、風量および風向のうちの少なくとも一方を調整することにより
、第3物品保存領域の温度を調整するように構成されている。このように構成すれば、温度測定部により測定された温度に基づいて、容易に、第3物品保存領域の温度を一定の温度に保持することができる。
【0011】
上記一の局面による冷蔵倉庫において、好ましくは、第3物品保存領域に設けられ、第3物品保存領域に流入する第2エアカーテン気流と第4エアカーテン気流との熱交換を行う
第1熱交換部をさらに備える。このように構成すれば、第3物品保存領域に流入した第2エアカーテン気流の温度と第4エアカーテン気流の温度との温度差を小さくする(略等しくする)ことができるので、第3物品保存領域内における温度のばらつきを小さくする(略均一にする)ことができる。
【0012】
上記一の局面による冷蔵倉庫において、好ましくは、
第3物品保存領域に設けられ、第3物品保存領域に流入する第2エアカーテン気流と第4エアカーテン気流とを、冷媒によりそれぞれ冷却する
第2熱交換部をさらに備える。ここで、
第2熱交換部に冷媒が流通しない場合には、第3物品保存領域における調整可能な温度は、第1エアカーテン気流の温度と第3エアカーテン気流の温度との間の温度範囲に限られる。そこで、上記のように、第2エアカーテン気流と第4エアカーテン気流とを、冷媒によりそれぞれ冷却するように構成することにより、第1エアカーテン気流の温度と第3エアカーテン気流の温度との間の温度範囲を超えて、第3物品保存領域の温度を調整することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、上記のように、構成が複雑になるのを抑制しながら、複数の物品保存領域を冷却することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
(第1実施形態)
まず、
図1〜
図3を参照して、本発明の第1実施形態による冷蔵倉庫100について説明する。
【0017】
第1実施形態による冷蔵倉庫100は、
図1に示すように、内部空間10aが所定温度に維持された状態で互いに異なる複数種類の物品(商品)を保管することが可能な冷凍冷蔵倉庫である。具体的には、冷蔵倉庫100は、内部空間10aを有する冷蔵室10を備えている。また、内部空間10aは、冷凍食品などの物品1が冷凍保存されるための領域11と、別な食品などの物品2が冷蔵保存されるための領域12とを含む。また、内部空間10aは、領域11と領域12との間に設けられ、物品3が冷蔵保存される領域13をさらに含む。ここで、領域11は、物品1を冷凍保存するために温度T1に維持されるとともに、領域12は、物品2を冷蔵保存するために温度T2に維持されている。また、領域13は、物品3を冷蔵保存するために温度T3に維持されている。また、温度T1(たとえば、−20℃)は、温度T2(たとえば、−15℃)よりも低く、温度T3は、温度T1と温度T2との間の温度(たとえば、−18℃)(T1<T3<T2)である。なお、物品1、物品2および物品3は、それぞれ、本発明の「第1物品」、「第2物品」および「第3物品」の一例である。また、領域11、領域12および領域13は、それぞれ、本発明の「第1物品保存領域」、「第2物品保存領域」および「第3物品保存領域」の一例である。
【0018】
ここで、内部空間10aは、冷蔵室10内を物理的に仕切る(区画する)ための隔壁を設けて領域11、領域12および領域13に分割されているわけではない。すなわち、領域11および領域13の境界領域10bと、領域13および領域12の境界領域10cには、断熱性を有する隔壁やその一部が開閉可能な扉などの構造物は設けられていない。したがって、領域11、領域12および領域13のいずれかにおいて作業を行う作業者(荷役者(図示せず))は、境界領域10bおよび境界領域10cをX方向(X1方向、X2方向)に素通りすることが可能に構成されている。
【0019】
また、上述のように、冷蔵室10内において物理的な隔壁を用いて互いに仕切られていない領域11、領域12および領域13は、それぞれ、互いに異なる温度T1、温度T2および温度T3からなる冷蔵温度に保たれるように構成されている。すなわち、領域11、領域12および領域13とは、隔壁を用いることなく温度T1、温度T2および温度T3に熱的に分割されるように構成されている。
【0020】
この冷蔵室10内を熱的に分割するために、冷蔵倉庫100には、後述する冷却装置30からの冷気を吸引して、エアカーテン気流P1(以下、気流P1と呼ぶ)を形成する送風装置20(送風部20a)が設けられている。そして、送風装置20(送風部20a)は、気流P1を、冷蔵室10の床面14まで吹き下ろすように構成されている。また、送風部20aは、たとえば、クロスフローファン(気流を吸い込んだ方向に直角な方向に気流を吹き出すファン)からなる。なお、送風装置20は、本発明の「第1送風装置」の一例である。また、送風部20aは、本発明の「第1送風部」の一例である。
【0021】
これにより、境界領域10bにおいては、送風装置20(送風部20a)により形成された気流P1が冷蔵室10の床面14まで達するので、領域11と領域13との間のX方向に沿った熱移動が遮断される。なお、送風部20aは、境界領域10bのX1側に対応した天井部15の下面15aに設置されている。
【0022】
また、冷蔵倉庫100には、後述する冷却装置50からの冷気を吸引して、エアカーテン気流P3(以下、気流P3と呼ぶ)を形成する送風装置40(送風部40a)が設けられている。そして、送風装置40(送風部40a)は、気流P3を、冷蔵室10の床面14まで吹き下ろすように構成されている。また、送風部40aは、たとえば、クロスフローファンからなる。なお、送風装置40は、本発明の「第2送風装置」の一例である。また、送風部40aは、本発明の「第3送風部」の一例である。
【0023】
これにより、境界領域10cにおいては、送風装置40(送風部40a)により形成された気流P3が冷蔵室10の床面14まで達するので、領域12と領域13との間のX方向に沿った熱移動が遮断される。なお、送風部40aは、境界領域10cのX2側に対応した天井部15の下面15aに設置されている。
【0024】
また、
図1に示すように、冷蔵室10内の領域11には、送風装置20に加えて、送風機能とともに領域11を冷却して温度T1に保つ冷却機能を有する冷却装置30が設置されている。同様に、領域12には、送風装置40に加えて、送風機能とともに領域12を冷却して温度T2に保つ冷却機能を有する冷却装置50が設置されている。具体的には、冷却装置30は、送風装置20(送風部20a)における冷気循環流G1を吸い込む吸込口21aよりも上流側(X1側)に設置されるとともに、冷却装置50は、送風装置40(送風部40a)における冷気循環流G2を吸い込む吸込口41aよりも上流側(X2側)に設置されている。なお、冷却装置30および冷却装置50は、それぞれ、本発明の「第1冷却装置」および「第2冷却装置」の一例である。
【0025】
これにより、領域11においては、送風装置20(送風部20a)と冷却装置30とを運転して冷蔵室10内を熱的に分割するための気流P1を含む冷気循環流G1が形成される。また、領域12においては、送風装置40(送風部40a)と冷却装置50とを運転して冷蔵室10内を熱的に分割するための気流P3を含む冷気循環流G2が形成されるように構成されている。
【0026】
ここで、領域11における気流(冷気)の流れを説明する。
図1に示すように、領域11においては、冷却装置30により冷やされて冷却装置30の吹出口32から吹き出される冷気が天井部15の下面15aをX2方向(水平方向)に伝って送風装置20(送風部20a)の吸込口21aに吸い込まれる。冷気は向きを変えて送風装置20の送風部20aから気流P1となって斜め下方向に吹き出される。すなわち、送風部20aの吹出口22aは、吹き出される冷気が真下方向から所定角度だけ領域11側に向かう気流P1を形成するような開口形状を有している。その後、気流P1は、床面14に到達した後、向きを変えてそのほとんどが床面14をX1方向に沿って流通される。また、気流P1は、X1方向側の側壁部16a近傍を上方(Z1方向)に伝って冷却装置30の吸込口31に吸い込まれる。このように、領域11には、時計回りに大きく循環する冷気循環流G1が形成される。
【0027】
また、領域12における気流(冷気)の流れ(冷気循環流G2)は、上記領域11における気流(冷気)の流れ(冷気循環流G1)と同様である。すなわち、冷却装置50により冷やされて冷却装置50の吹出口52から吹き出される冷気が送風装置40(送風部40a)の吸込口41aに吸い込まれる。冷気は向きを変えて送風装置40の送風部40aの吹出口42aから気流P3となって斜め下方向に吹き出される。また、気流P3は、X2方向側の側壁部16b近傍を上方(Z1方向)に伝って冷却装置50の吸込口51に吸い込まれる。このように、領域12には、反時計回りに大きく循環する冷気循環流G2が形成される。
【0028】
ここで、第1実施形態では、送風装置20は、送風部20aとX2方向に間隔を隔てて配置され、気流P1の一部を巻き込むことが可能であるとともに、領域11と領域12との間に設けられ物品3が冷蔵保存される領域13に流入するエアカーテン気流P2(以下、気流P2と呼ぶ)を形成する送風部20bを含むように構成されている。なお、送風部20bは、境界領域10bのX2側に対応した天井部15の下面15aに設置されている。また、送風部20bは、たとえば、クロスフローファンからなる。なお、送風部20bは、本発明の「第2送風部」の一例である。
【0029】
また、第1実施形態では、送風装置40は、送風部40aとX1方向に間隔を隔てて配置され、気流P3の一部を巻き込むことが可能であるとともに、領域13に流入するエアカーテン気流P4(以下、気流P4と呼ぶ)を形成する送風部40bを含むように構成されている。なお、送風部40bは、境界領域10cのX1側に対応した天井部15の下面15aに設置されている。また、送風部40bは、たとえば、クロスフローファンからなる。そして、送風部20bにより形成される気流P3および送風部40bにより形成される気流P4のそれぞれの、風量を調整することにより、気流P1の一部および気流P3の一部を巻き込むことによって、領域13の温度を調整するように構成されている。なお、領域13の温度の調整の詳細な説明は、後述する。また、送風部40bは、本発明の「第4送風部」の一例である。
【0030】
ここで、領域13における気流(冷気)の流れを説明する。
図1に示すように、領域13においては、送風装置20の送風部20bから、気流P2が、斜め下方向に吹き出される。すなわち、吹出口22bは、吹き出される冷気が真下方向から所定角度だけ領域13側に向かう気流P2を形成するような開口形状を有している。その後、気流P2は、床面14に到達した後、向きを変えてそのほとんどが床面14をX2方向に沿って流通される。また、気流P2は、送風装置40の送風部40bから吹き出された気流P4と衝突(混合)して、上方(Z1方向)に移動する。その後、気流P2は、送風部20bの吸込口21bに吸い込まれる。このように、領域13には、反時計回りに大きく循環する冷気循環流G3が形成される。同様に、送風装置40の送風部40b(吹出口42b)から吹き出された気流P4が、気流P2と衝突(混合)した後、上方(Z1方向)に移動して、送風部40bの吸込口41bに吸い込まれる。このように、領域13には、時計回りに大きく循環する冷気循環流G4が形成される。
【0031】
また、冷蔵室10を平面的に見た場合、
図2に示すように、領域11と領域13との境界近傍に設置された送風装置20(送風部20a、送風部20b)は、内部空間10aを構成する一方側(Y1側)の側壁部17aから他方側(Y2側)の側壁部17bに亘って設置されている。この場合、Y方向が長手方向となった4台の送風装置20(送風部20a、送風部20b)が天井部15の下面15aにおいてY方向に沿って直線的に配置されている。また、送風装置40も、送風装置20と同様の構成を有するので、説明は省略する。
【0032】
また、領域11の側壁部16a(X1側)近傍における天井部15の下面15a下には、Y方向が長手方向となった2台の冷却装置30がY方向に直線的に配置されている。これにより、2台の冷却装置30の各々の吹出口32から吹き出された冷気が4台の送風装置20(送風部20a)の各々の吸込口21aに吸い込まれるように構成されている。なお、領域12側に設置された送風装置40および冷却装置50の台数ならびに配置構成についても、領域11側と左右対称に構成されている。
【0033】
また、冷蔵倉庫100における冷蔵室10内の温度維持を行うための制御的な構成としては、
図3に示すように、冷蔵倉庫100の外部に、コントローラ機器70が設置されている。コントローラ機器70には、統括制御部71と、送風装置制御部72と、冷却装置制御部73と、送風装置制御部74と、冷却装置制御部75とが設けられている。ここで、送風装置制御部72および74は、それぞれ、送風装置20および40の運転制御を行う機能を有している。また、冷却装置制御部73および75は、それぞれ、冷却装置30および50の運転制御を行う機能を有している。
【0034】
また、
図1および
図3に示すように、送風装置20には、送風部20aおよび送風部20bにより形成される気流P1および気流P2の温度をそれぞれ検出する温度センサ81aおよび81bが設けられている。また、送風装置40には、送風部40aおよび送風部40bにより形成される気流P3および気流P4の温度をそれぞれ検出する温度センサ82aおよび82bが設けられている。また、冷蔵室10には、領域13の温度を検出する温度センサ83が設けられている。そして、温度センサ81aおよび81bと、温度センサ82aおよび82bと、温度センサ83とは、統括制御部71に電気的に接続されている。なお、温度センサ83は、本発明の「温度測定部」の一例である。
【0035】
そして、温度センサ81aによる気流P1の温度に基づいて統括制御部71が所定の演算処理を行うとともに、演算処理結果に基づいて送風装置制御部72および冷却装置制御部73がそれぞれ指令を受ける。そして、送風装置制御部72の指令に基づいて送風装置20(送風部20a)の運転制御(ファンの回転数制御)が行われるとともに、冷却装置制御部73の指令に基づいて冷却装置30の運転制御が行われる。また、上記と同様の制御構成が領域12側にも適用される。これにより、送風装置20と冷却装置30との協調運転が行われて物品1が保存される領域11が温度T1に維持される。同様に、送風装置40(送風部40a)と冷却装置50との協調運転が行われて物品2が保存される領域12が温度T2に維持される。
【0036】
次に、
図1を参照して、領域13の温度の調整について詳細に説明する。
【0037】
第1実施形態では、温度センサ83により測定された温度に基づいて、送風装置20の送風部20bにより形成される気流P2および送風装置40の送風部40bにより形成される気流P4のそれぞれの、風量を調整することにより、領域13の温度が調整される。以下、具体的に説明する。
【0038】
(測定された温度が目標温度の場合)
温度センサ83により測定された温度が、目標温度(温度T3、たとえば、−18℃)である場合(目標温度近傍である場合)には、送風装置20の送風部20aのファンの回転数と、送風部20bのファンの回転数とを略等しくする。この場合、気流P1は領域11側に吹き出されるとともに、気流P2は領域13側に吹き出されて、互いに混合(熱交換)することは略ない。これにより、領域11と領域13とは、境界領域10bにおいて互いに断熱された状態(熱交換しない状態)となる。また、送風装置40の送風部40aのファンの回転数および送風部40bのファンの回転数も同様に、略等しくする。
【0039】
(測定された温度が目標温度よりも高い場合)
温度センサ83により測定された温度が、目標温度(温度T3、たとえば、−18℃)よりも高い場合には、送風装置20の送風部20bのファンの回転数を上昇させる。これにより、送風部20aから吹き出される比較的低温(温度T1、たとえば、−20℃)の気流P1の一部が、気流P2に巻き込まれる(混合する)。その結果、領域13内の温度が低下して、領域13内の温度が目標温度に近づけられる。
【0040】
(測定された温度が目標温度より低い場合)
温度センサ83により測定された温度が、目標温度よりも低い場合には、送風装置40の送風部40bのファンの回転数を上昇させる。これにより、送風部40aから吹き出される比較的高温(温度T2、たとえば、−15℃)の気流P3の一部が、気流P4に巻き込まれる(混合する)。その結果、領域13内の温度が上昇して、領域13内の温度が目標温度に近づけられる。このように、領域13内の温度が目標温度に保持される。すなわち、2台の冷却装置30および50により、3つの互いに異なる温度T1、T2およびT3にそれぞれ保持される領域11、領域12および領域13が冷蔵室10内に形成される。
【0041】
また、
図2に示すように、領域11側の側壁部17a(Y1側)には、開閉扉18aが設けられるとともに、領域12側の側壁部17aには、開閉扉18bが設けられている。また、領域13側の側壁部17aには、開閉扉18cが設けられている。また、冷蔵室10の外側には、物品1、物品2および3を一時的に載置する荷置場101が設けられている。荷置場101は、地面に対して所定の高さを有しており、トラック110が接車可能に構成されている。このようにして、冷蔵倉庫100は構成されている。
【0042】
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0043】
第1実施形態では、上記のように、気流P1の一部を巻き込むことが可能であるとともに、領域11と領域12との間に設けられる領域13に流入する気流P2を形成する送風部20bと、気流P3の一部を巻き込むことが可能であるとともに、領域13に流入する気流P4を形成する送風部40bとを含むように構成する。これにより、領域13に冷却装置を設けなくても、気流P1の一部を巻き込んだ気流P2と、気流P3の一部を巻き込んだ気流P4とによって、領域13を冷却することができる。その結果、領域11、領域12および領域13のそれぞれに冷却装置を設ける場合と異なり、構成が複雑になるのを抑制しながら、領域11、領域12および領域13を冷却することができる。また、領域13にダクト等を設けることなく、気流P2と気流P4とが混合された冷気により領域13を冷却することができるので、領域13にダクト等を設ける必要がない分、構成が複雑になるのを抑制しながら、領域11、領域12および領域13を冷却することができる。
【0044】
また、第1実施形態では、上記のように、送風部20bにより形成される気流P2および送風部40bにより形成される気流P4のそれぞれの、風量を調整することにより、気流P1の一部および気流P3の一部を巻き込むことによって、領域13の温度を調整する。これにより、容易に、気流P1の一部および気流P3の一部を巻き込むことができる。
【0045】
また、第1実施形態では、上記のように、領域13に設けられる温度センサ83をさらに備え、温度センサ83により測定された温度に基づいて、送風部20bにより形成される気流P2および送風部40bにより形成される気流P4のそれぞれの、風量を調整することにより、気流P1の一部および気流P3の一部を巻き込むことによって領域13の温度を調整する。これにより、温度センサ83により測定された温度に基づいて、容易に、領域13の温度を一定の温度に保持することができる。
【0046】
(第2実施形態)
次に、
図4および
図5を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、領域13に流入する気流P2と気流P4との熱交換を行う熱交換部90が設けられている。また、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を付して図示している。
【0047】
本発明の第2実施形態による冷蔵倉庫200は、
図4に示すように、冷蔵室10には、領域13に流入する気流P2と気流P4との熱交換を行う熱交換部90が設けられている。熱交換部90は、領域13に対応した天井部15の下面15aに設置されている。また、熱交換部90には、吸込口90aが設けられている。吸込口90aは、熱交換部90の下方側(Z2方向側)に設けられている。そして、熱交換部90は、吸込口90aを介して、床面14から上方に移動する気流P2および気流P4を吸い込むように構成されている。そして、熱交換部90では、吸込口90aから吸い込まれた気流P2と気流P4との間で熱交換が行われるように構成されている。これにより、気流P2の温度と気流P4の温度との温度差が小さくなる(略均一になる)。
【0048】
また、熱交換部90には、吹出口90bが設けられている。吹出口90bは、熱交換部90の側方(X1方向およびX2方向)に設けられている。そして、熱交換部90は、熱交換により互いの温度が略均一にされた気流P2および気流P4を、吹出口90bを介して、送風装置20(送風部20b)側および送風装置40(送風部40b)側に吹き出すように構成されている。
【0049】
また、熱交換部90を平面的に見た場合、
図5に示すように、熱交換部90は、Y方向に沿って、複数(第2実施形態では2台)設置されている。また、複数の熱交換部90は、互いに所定の間隔を隔ててY方向に沿って配置されている。なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0050】
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0051】
第2実施形態では、上記のように、領域13に設けられ、領域13に流入する気流P2と気流P4との熱交換を行う熱交換部90を設ける。これにより、領域13に流入した気流P2の温度と気流P4の温度との温度差を小さくする(略等しくする)ことができるので、領域13内における温度のばらつきを小さくする(略均一にする)ことができる。
【0052】
(第3実施形態)
次に、
図6を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、上記第2実施形態と異なり、熱交換部91は、冷媒が流通するように構成されている。また、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を付して図示している。
【0053】
本発明の第3実施形態による冷蔵倉庫300は、
図6に示すように、熱交換部91は、冷媒が流通する(供給される)ように構成されている。そして、熱交換部91は、領域13に流入する気流P2と気流P4との間で熱交換を行うとともに、気流P2と気流P4とを冷媒によりそれぞれ冷却するように構成されている。また、冷媒の温度は、領域11の温度T1および領域12の温度T2よりも低くなる(たとえば、−25℃)ように構成されている。
【0054】
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0055】
第3実施形態では、上記のように、熱交換部91は、冷媒が流通するように構成されており、熱交換部91を、領域13に流入する気流P2と気流P4とを、冷媒によりそれぞれ冷却するように構成する。ここで、熱交換部91に冷媒が流通しない場合には、領域13における調整可能な温度は、気流P1の温度T1と気流P3の温度T2との間の温度範囲(T1以上T2以下)に限られる。そこで、上記のように、気流P2と気流P4とを、冷媒によりそれぞれ冷却するように構成することにより、気流P1の温度T1と気流P3の温度T2度との間の温度範囲(T1以上T2以下)を超えて、領域13の温度を調整することができる。
【0056】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0057】
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、天井部の下面下に冷却装置を配置した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、冷却装置を、冷蔵室の側壁部に配置してもよい。また、冷却装置を冷蔵室の外部に配置して、冷蔵室の壁面に設けられた冷気の吸込口および吹出口から冷気の吸込みおよび吹き出しを行ってもよい。
【0058】
また、上記第1〜第3実施形態では、合計8台の送風装置(合計16台の送風部)と、合計4台の冷却装置とを用いる例について示したが、本発明はこれに限られない。送風装置の台数と冷却装置の台数との組み合わせは、上記実施形態以外の組合せであってもよい。
【0059】
また、上記第1〜第3実施形態では、冷蔵室内に互いに温度の異なる3つの領域が形成される例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、送風装置および冷却装置の数を増加させて、冷蔵室内に互いに温度の異なる3つ以上の領域を形成するようにしてもよい。
【0060】
また、上記第1〜第3実施形態では、気流P2および気流P4のそれぞれの、風量を調整することにより、領域13の温度を調整する例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、送風部20bにより形成される気流P2(送風部40bにより形成される気流P4)の風向を調整することにより、領域13の温度を調整してもよい。この場合、温度センサ83により測定された温度が、目標温度よりも高い場合には、送風部20bにより形成される気流P2が気流P1に近づくように気流P2の風向が調整される。これにより、気流P1の一部が、気流P2に巻き込まれる(混合する)。その結果、領域13内の温度が低下して、領域13内の温度が目標温度に近づけられる。また、温度センサ83により測定された温度が、目標温度よりも低い場合には、送風部40bにより形成される気流P4が気流P3に近づくように気流P4の風向が調整される。これにより、気流P4の一部が、気流P3に巻き込まれる(混合する)。その結果、領域13内の温度が上昇して、領域13内の温度が目標温度に近づけられる。
【0061】
また、上記第1〜第3実施形態では、気流P2および気流P4のそれぞれの、風量を調整することにより、領域13の温度を調整する例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、気流P2および気流P4のそれぞれの、風量および風向の両方を調整することにより、領域13の温度を調整してもよい。また、風量および風向の調整以外の方法により、領域13の温度を調整してもよい。
【0062】
また、上記第1〜第3実施形態では、測定された温度が目標温度よりも高い場合(低い場合)、領域13側の送風部20b(送風部40b)のファンの回転数を上昇させる例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、測定された温度が目標温度よりも高い場合(低い場合)、領域11側(領域12側)の送風部20a(送風部40a)のファンの回転数を上昇させてもよい。
【0063】
また、上記第2および第3実施形態では、天井部の下面下に熱交換部を配置した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、熱交換部を、冷蔵室の側壁部に配置してもよい。また、熱交換部を冷蔵室の外部に配置して、冷蔵室の壁面に設けられた冷気の吸込口および吹出口から冷気の吸込みおよび吹き出しを行ってもよい。
【0064】
また、上記第2および第3実施形態では、合計2台の熱交換部を用いる例について示したが、本発明はこれに限られない。熱交換部の台数は、2台以外の台数でもよい。