(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、イメージセンサーなどのような光学電子機器のカバーガラスに用いられる、薄肉且つ矩形板状のガラス板からなる板状物は、周囲に浮遊するゴミや埃等の付着を防止するために、所定の板状物収納トレイ(例えば、特許文献1を参照)に複数纏めて収納された状態で、製造工程間の搬送や、客先等への出荷が行われている。
ここで、板状物収納トレイ(以下、単に「収納トレイ」と記載する)は、主に、板状物を収納するトレイ本体、および収納された板状物を保護する蓋体などにより構成される。
そして、板状物は、収納トレイへの収納または取り出しの作業の容易化や、当該板状物の有効面(平面部)の保護などの理由から、起立した状態にて収納トレイに収納されることが好ましく、このことから、トレイ本体には、板状物を挿嵌して保持するための板状物保持部が、当該板状物の挿嵌方向に沿って形成されている。
より具体的には、板状物保持部は、板状物を収納する溝部本体と、板状物の周縁部を支えるための複数の支持溝とを備えており、各々の板状物保持部の深さ寸法は、板状物の高さ寸法に比べて小さな値に設定されている。
これにより、複数の板状物は、板状物保持部を介して、起立した状態にて厚み方向に整列してトレイ本体に収納されるとともに、これらの複数の板状物は、常に、その上端部がトレイ本体から突出した状態で各々起立するようになっている。
その結果、板状物の有効面に触れることなく、左右両側の端部を把持しつつ、収納トレイに板状物を収納したり、または収納トレイより板状物を取り出したりすることが可能であり、収納トレイへの収納または取り出しの作業の容易化や、当該板状物の有効面(平面部)の保護などを図ることができる。
【0003】
このようにして、複数の板状物が纏めて収納されたトレイ本体に蓋体が被装され、その後、例えば、前記トレイ本体および蓋体をシュリンク袋に入れて、そのシュリンク袋を真空引きすることにより、複数の板状物は、収納トレイの内部において密閉された状態にて梱包され、複数の板状物の梱包体が形成される。
【0004】
ところで、トレイ本体に形成される板状物保持部においては、板状物の収納または取り出しの作業の容易化を図るために、収納トレイに収納された板状物が、トレイ本体の板状物保持部内にて僅かに動ける状態となっている。
その結果、収納トレイの搬送時等においてトレイ本体が振動すると、板状物がトレイ本体の板状物保持部内で摺動し、収納トレイと板状物の摩擦による摩耗粉や、衝撃による板状物の破損片等を発生させる要因となっていた。
【0005】
そこで、このような問題点を解決するための技術が、例えば、特許文献2〜4に開示されている。
即ち、特許文献2においては、トレイ本体(容器)と蓋体とから構成され、板状物(光学素子)を収容してなる収納トレイ(搬送トレイ)であって、トレイ本体には複数個の支持溝(凹部形状)を有する板状物保持部が形成され、前記板状物保持部は前記板状物が容易に出し入れできる寸法を有し、前記板状物の大半が前記板状物保持部に収納する構造を持ち、前記蓋体は前記トレイ本体の該板状物側から被うように被せ、前記板状物保持部に収納する該板状物を前記蓋体の内側で押える形態を有しており、前記蓋体の上面には前記板状物と接する箇所全域に少なくとも一本の内部に凸の溝を設け、前記凸部の溝により前記板状物を押し付けることを特徴とする、搬送トレイに関する技術が開示されている。
また、特許文献3においては、トレイ本体(容器)と蓋体とから構成され、板状物(光学素子)を収容してなる収納トレイ(搬送トレイ)であって、トレイ本体には複数個の支持溝(凹部形状)を有する板状物保持部が形成され、前記板状物を前記板状物保持部に収納する構造を持ち、前記蓋体は前記トレイ本体の該板状物側から被うように被せ、前記板状物保持部に収納する該板状物と前記蓋体の内側で押える形態を有しており、前記蓋体と前記トレイ本体とで保持し前記蓋体と前記板状物の間に気体入りの緩衝材を配置し、前記緩衝材により前記板状物を押し付けることを特徴とする、搬送トレイに関する技術が開示されている。
さらに、特許文献4においては、トレイ本体(容器)と蓋体とから構成され、板状物(光学素子)を収容してなる収納トレイ(搬送トレイ)であって、トレイ本体には複数個の支持溝(凹部形状)を有する板状物保持部が形成され、前記板状物保持部は前記板状物が容易に出し入れできる寸法を有し、前記板状物の大半が前記板状物保持部に収納する構造を持ち、前記蓋体は前記トレイ本体の該板状物側から被うように被せ、前記板状物保持部に収納する該板状物を前記蓋体の内側で押える形態を有していることを特徴とする、搬送トレイに関する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した特許文献2〜4の技術によれば、収納トレイの搬送時等において、収納された板状物が、トレイ本体の板状物保持部内で摺動するのを効果的に防止することが可能となり、当該摺動による摩耗粉や破損片等の発生を防止することができる。
【0008】
しかしながら、特許文献2による技術では、蓋体の上面に形成された下方(収納トレイの内部)に向かって凸形状の溝を、収納トレイに収納された複数の板状物の上端面の一部分に対して押し付けることにより、これらの板状物の摺動を防止する構成であることから、板状物の上端面における前記凸形状の溝が当接する部分に集中して応力がかかることとなり、当該板状物に対して破損片や欠損等を生じさせる恐れがあった。
また、特許文献3による技術も同様に、蓋体と、収納トレイに収納された複数の板状物との間に、一本の緩衝材を設け、当該緩衝材を板状物の上端面の一部分に対して押し付けることにより、これらの板状物の摺動を防止する構成であることから、板状物の上端面における前記緩衝材が当接する部分に集中して応力がかかることとなり、当該板状物に対して破損片や欠損等を生じさせる恐れがあった。
さらに、特許文献4による技術では、蓋体の上面の一部を、板状物の上端面に対して平面的に押し付けることから、集中して応力がかかる部分は発生しないものの、トレイ本体に対する蓋体の上下位置の規制手段が設けられていないため、蓋体の上面の一部が所定以上の圧力で板状物の上端面に押し付けられ、当該板状物に対して破損片や欠損等を生じさせる恐れがあった。
【0009】
本発明は、以上に示した現状の問題点を鑑みて成されたものであり、複数の板状物に対して破損や欠損等を生じさせることなく、堅固に梱包することが可能な板状物の梱包方
法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0011】
即ち、本発明の板状物の梱包方法は、複数の板状物を梱包する板状物の梱包方法であって、複数の板状物を起立した状態にて厚み方向に整列して保持可能なトレイ本体に前記板状物を収納する第一の工程と、前記板状物が収納された前記トレイ本体に対して前記板状物を覆うようにして前記トレイ本体に蓋体を被装し、仮梱包体を作製する第二の工程と、前記仮梱包体をシュリンク袋に収納する第三の工程と、前記シュリンク袋内を真空引きする第四の工程とを備え、前記蓋体は、天板部と、該天板部を支持する支持部とを有し、前記第二の工程において、前記支持部を、少なくとも前記トレイ本体における前記複数の板状物の整列方向の両側に当接させることにより、前記天板部が、前記複数の板状物の各々の上端部と、前記トレイ本体に対する蓋体の被装方向に離間した位置となるように、前記天板部を前記支持部により支持し、前記第四の工程において、前記天板部を前記トレイ本体側へと撓ませ、前記複数の板状物の各々の上端部と当接させることを特徴とする。
【0012】
このように、本発明においては、第二の工程にてトレイ本体に蓋体を被装した際、該蓋体の天板部が、支持部により、複数の板状物の上端部と離間して保持されるため、第四の工程にてシュリンク袋内を真空引きする際、前記支持部によって、前記天板部の前記トレイ本体側への撓み量が抑制されることとなり、前記天板部を介して、過剰な押圧力が加えられることもなく、常に一定の押圧力にて複数の板状物の上端部を各々押圧することができる。
これにより、複数の板状物に対して破損や欠損等を生じさせることなく、堅固に梱包することが可能となる。
【0013】
また、本発明の板状物の梱包方法において、前記トレイ本体は、前記複数の板状物を起立した状態にて厚み方向に複数列、且つ互いに平行に整列して保持可能であり、前記支持部は、前記トレイ本体の周囲に形成された周縁支持部と、前記天板部の中央部にて、前記トレイ本体側に突出しつつ前記複数の板状物の整列方向と平行に延出した中央部支持部と、を有し、前記周縁支持部を、前記トレイ本体の周囲と当接させるとともに、前記中央部支持部を、前記複数列の板状物の間において、前記トレイ本体と当接させることを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、蓋体の天板部は、厚み方向に整列して保持される複数の板状物に対して、少なくともその整列方向の両側方より、周縁支持部および中央部支持部を介して保持されることとなる。
よって、前述した第四の工程にてシュリンク袋内を真空引きする際においては、これらの周縁支持部および中央部支持部を支点として、これらの間隙に位置する複数の板状物に向かって、蓋体の天板部が撓むこととなり、該天板部は、複数の板状物の各々の上端部に対して、確実に当接されることとなる。
また、中央部支持部は、複数の板状物の整列方向と平行に延出しているため、天板部の過剰な撓みが抑制される。
【0015】
また、本発明の板状物の梱包方法において、前記周縁支持部は、前記トレイ本体の周囲に位置する周縁部位を有し、前記周縁部位には、下方に突出する複数の突起部が所定間隔にて配置され、前記第二の工程において、前記複数の突起部を介して、前記周縁支持部を前記トレイ本体と当接させることを特徴とする。
【0016】
このような構成によれば、周縁部位に配置される互いに隣接する突起部間の隙間を介して、トレイ本体と蓋体とからなる収納トレイの内部と外部をつなぐ間隙を確実に確保することができ、前記収納トレイ内の真空引き作業を安定して行うことができる。
【0017】
また、本発明の板状物の梱包方法において、前記トレイ本体は、周縁部に形成され水平方向に突出する縁部を有し、前記第二の工程において、前記蓋体は、周縁部に形成され水平方向に突出する縁部を有し、前記トレイ本体の縁部および前記蓋体の縁部が、互いに上下方向に対向して配置されるように前記トレイ本体に前記蓋体を被装することを特徴とする。
【0018】
このような構成によれば、例えば、不意の外力等によって、蓋体がトレイ本体側へと移動しようとしても、トレイ本体の縁部、および蓋体の縁部が互いに当接するため、このような蓋体の移動が規制される。
よって、トレイ本体に収納される複数の板状物の上端部が、蓋体の天板部によって、必要以上の押圧力にて押圧されるようなこともない。
【0019】
また、本発明の板状物の梱包方法において、前記蓋体は、0.5mm以下の厚み寸法の樹脂製部材からなることを特徴とする。
【0020】
このような構成によれば、シュリンク袋を真空引きする際における、蓋体の天板部のトレイ本体側への撓み度合いを、より適切にすることができる。
【0021】
また、本発明の板状物の梱包方法において、前記トレイ本体は、前記複数の板状物を収納する板状物保持部を有し、該板状物保持部が、下方に向かって突出する突出形状であり、前記蓋体は、前記天板部が、周囲に対して一段下がった凹部形状であり、前記第二の工程において、前記トレイ本体に前記蓋体を被装した二以上の前記仮梱包体を上下に段積みし、上段の前記板状物保持部を、下段の前記凹部形状に緩挿させることを特徴とする。
【0022】
このような構成によれば、トレイ本体と蓋体とからなる複数の収納トレイを段積みする際において、互いに水平方向への位置ズレを規制することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明における板状物の梱包方
法によれば、起立した状態にて収納された複数の板状物を、破損や欠損等を生じさせることなく、堅固に保持することが可能となり、例えば搬送時等においてトレイ本体と蓋体とからなる収納トレイ内での板状物の摺動を抑制し、摩耗粉や破損片等の発生を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[板状物収納トレイ1]
まず、本発明に係る板状物の梱包方法を具現化するための板状物収納トレイ1(以下、単に「収納トレイ1」と記載する)の構成について、
図1乃至
図4を用いて説明する。
なお、以下の説明においては便宜上、
図4の上下方向を収納トレイ1の上下方向として記述する。
また、
図2および
図3においては、矢印Aの方向を前方と規定して記述する。
【0029】
本実施形態における収納トレイ1は、
図1に示すように、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリスチレン(PS)等の樹脂製部材からなり、主に、トレイ本体10および蓋体20からなる。
【0030】
トレイ本体10は、複数の板状物W・W・・・を、各々起立した状態にて厚み方向に整列して保持し、一度に纏めて収納するためのものである。
ここで、板状物Wとしては、例えば、イメージセンサーなどのような光学電子機器のカバーガラスに用いられる、薄肉且つ矩形板状のガラス板が挙げられる。
【0031】
なお、板状物Wの構成については、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、多角形状からなる薄肉のガラス板によって構成されることとしてもよい。
また、板状物Wの材質についても、ガラスに限定されることはなく、例えば、セラミックス材料であってもよい。
【0032】
トレイ本体10は、水平方向に配置される平面状の天板部11を備え、天板部11には、断面視矩形状の複数(本実施形態においては、二本)の溝本体部12・12が、互いに平行、且つ前方(矢印Aの方向)に延出するように形成される。
【0033】
溝本体部12において、左右両側(平面視にて、溝本体部12の延出方向との直交方向の両側)の側面には、複数の支持溝12a・12a・・・が、溝本体部12の左右外側へ向かって形成される。支持溝12a・12a・・・の上下方向の長さは、溝本体部12の深さと略同じである。
【0034】
ここで、これらの支持溝12a・12a・・・は、溝本体部12の各側面において、所定間隔を有しつつ、前後方向に並設して形成される。
また、
図2に示すように、各溝本体部12において、右側面に形成される複数の支持溝12a・12a・・・と、左側面に形成される複数の支持溝12a・12a・・・とは、互いに左右方向に対向して配置される。
【0035】
そして、溝本体部12における、左右両側の一対の支持溝12a・12aに対して、板状物Wが、上方より嵌挿される。
これにより、板状物Wは、その左右両端部を一対の支持溝12a・12aによって挟持(保持)され、起立した状態にてトレイ本体10に収納される。
つまり、溝本体部12および一対の支持溝12a・12aは、板状物を挿嵌して保持するための板状物保持部となる。
【0036】
各支持溝12aの溝幅寸法(支持溝12aの内周面において、その前側面および後側面の離間寸法)は、板状物Wの厚み寸法に比べて、やや大きい。
また、
図4に示すように、左右両側の一対の支持溝12a・12aにおいて、その内周面間(右側の支持溝12aの内周面における右側面(右側の支持溝12aの底面)と、左側の支持溝12aの内周面における左側面(左側の支持溝12aの底面)との間)の離間寸法Dは、板状物Wの幅寸法Dwに比べて、やや大きい(D>Dw)。
【0037】
これらのことから、板状物Wと、一対の支持溝12a・12aとの間には隙間が生じることとなり、板状物Wの嵌挿作業が容易になる反面、収納された板状物Wが、一対の支持溝12a・12a内にて摺動し、その収納位置が十分に固定されないこととなる。
この点、本実施形態における収納トレイ1においては、後述するように、蓋体20の天板部21によって、板状物Wの上端部(上端面)を、上方より押圧することで、板状物Wは堅固に保持され、その収納位置を確実に固定される。
【0038】
また、支持溝12aの内周面における下面は、溝本体部12の下面に対して、やや上方に位置する。
これにより、一対の支持溝12a・12aによって保持された板状物Wは、その下端部(下端面)の左右両側のみをもって、支持溝12a・12aの下面と当接することとなり、当該下端部の全範囲に渡って当接されることを極力回避し、摩耗等による傷や粉塵等の発生の低減化を図ることができる。
【0039】
さらに、支持溝12aの高さ寸法Hは、板状物Wの高さ寸法Hwに比べて、短い(略半分程度である)(H<Hw)。
これにより、トレイ本体10に収納されて一対の支持溝12a・12aによって保持された板状物Wは、常に上側半分を天板部11より突出した状態となるため、これらの支持溝12a・12aに対して板状物Wを挿脱する際、板状物Wを支持する箇所を容易に確保でき、作業効率の向上化を図ることができる。
【0040】
こうして、各溝本体部12において形成される、複数組の一対の支持溝12a・12a・・・に対して、複数の板状物W・W・・・が各々嵌挿されることにより、当該複数の板状物W・W・・・は、平面を前方に向けて起立しつつ、前方に向かって一直線状に配置された状態によって、トレイ本体10に収納される。
換言すると、複数(本実施形態においては二本)の板状物保持部を介して、複数の板状物W・W・・・は、起立した状態にて厚み方向に複数列、且つ互いに平行に整列して、板状物保持部に保持される。
【0041】
なお、板状物保持部について、本実施形態においては、トレイ本体10に二本形成されることとしているが、これに限定されることはなく、例えば、一本または三本以上形成されることとしてもよい。
つまり、トレイ本体10に収納される複数の板状物W・W・・・の収納状態については、一本の単列にて配置されていてもよいし、三本以上の複数列にて配置されていてもよい。
【0042】
ところで、
図1に示すように、天板部11の周囲には、帯状の側面部13が、当該周囲に沿って下方に突出しつつ、天板部11と一体的に形成される。また、側面部13の下端部には、縁部14が、当該下端部に沿って水平方向外側に突出しつつ、側面部13と一体的に形成される。
このように、トレイ本体10は、トレイ本体10の周縁部に形成され水平方向に突出する縁部14を有している。
【0043】
次に、蓋体20について説明する。
蓋体20は、トレイ本体10に収納された複数の板状物W・W・・・が、トレイ本体10より脱落するのを防止するためのものであり、これらの板状物W・W・・・を覆うようにしてトレイ本体10に被装される。
【0044】
蓋体20は、水平方向に配置される平面状の天板部21や、トレイ本体10に被装された状態においてトレイ本体10より天板部21を支持する支持部などにより構成される。
ここで、支持部は、天板部21の左右方向の中央部にて、トレイ本体10側(下方側)に突出しつつ前方(即ち、複数の板状物W・W・・・の整列方向と平行)に延出する断面視矩形状の中央部支持部22や、後述するように、トレイ本体10の周囲と当接する周縁支持部(内側面部23、枠面部24、第一外側面部25、および第一縁部26等)などにより構成される。
なお、本実施形態においては、板状物保持部がトレイ本体10に二本形成されるために、中央部支持部22は、天板部21の左右方向の略中央に設けられているが、板状物保持部がトレイ本体10に三本形成される場合、中央部支持部22は、二つの板状物保持部間のうち、少なくとも一つの板状物保持部の間に位置するように設けられる。
【0045】
天板部21の周囲には、水平方向かつ天板部21よりも上方に位置する平面状の枠面部24が配置されている。天板部21と枠面部24とは、上下方向に延出する内側面部23により接続されている。
これにより、枠面部24は、天板部21と平行、且つ天板部21に対して一段上がった位置に配置されることとなる。
【0046】
一方、枠面部24の周囲には、帯状の第一外側面部25が、当該周囲に沿って下方に突出しつつ、枠面部24と一体的に形成される。
また、第一外側面部25の下端部には、第一縁部26が、当該下端部に沿って水平方向外側に突出しつつ、第一外側面部25と一体的に形成される。
また、第一縁部26の周囲には、帯状の第二外側面部27が、当該周囲に沿って下方に突出しつつ、第一縁部26と一体的に形成される。
さらに、第二外側面部27の下端部には、第二縁部28が、当該下端部に沿って水平方向外側に突出しつつ、第二外側面部27と一体的に形成される。
このように、蓋体20は、蓋体20の周縁部に形成され水平方向に突出する縁部である第二縁部28を有している。
【0047】
そして、
図3に示すように、第一縁部26には、第一縁部26の下面から下方に突出する複数の突起部26a・26a・・・が、所定の離間寸法を有しながら、第一縁部26の周囲に沿って配置されている。
【0048】
このような構成からなる蓋体20は、
図1に示すように、複数の板状物W・W・・・が収納されたトレイ本体10の板状物W側(上方側)に被装される。つまり、蓋体20は、トレイ本体10に対して、板状物W・W・・・が天板部11より突出する側から被装される。
この際、
図4に示すように、蓋体20の第二外側面部27の内周部に、トレイ本体10の側面部13が緩挿されることとなり、これにより、トレイ本体10に対する蓋体20の水平方向へのズレが規制される構成となっている。
【0049】
また、少なくとも、第一縁部26(より具体的には、第一縁部26の周縁部に設けられた複数の突起部26a・26a・・・)の下面が、トレイ本体10の天板部11の周囲に当接するとともに、中央部支持部22の下面がトレイ本体10の天板部11の中央部と当接することとなる。
具体的には、蓋体20がトレイ本体10に被装された状態において、トレイ本体10の天板部11の周囲に位置する第一縁部(周縁部位)26と、第一縁部(周縁部位)26に接続され天板部21の周囲を支持する内側面部23、枠面部24、および第一外側面部25と、を有する周縁支持部が、トレイ本体10の天板部11の周囲に当接するとともに、中央部支持部22が、複数列(本実施形態においては二列)の板状物W・W・・・の間においてトレイ本体10と当接することとなる。
つまり、蓋体20において天板部21を支持する支持部(周縁支持部および中央部支持部22)が、少なくともトレイ本体10にて各々整列された複数の板状物W・W・・・の整列方向の両側(左右両側)と当接することとなる。
これにより、複数の板状物W・W・・・の上端部との離間方向における、蓋体20の天板部21の位置が決定するとともに、トレイ本体10に対する蓋体20の垂直方向へのズレが規制される。
【0050】
その結果、トレイ本体10における各々の板状物保持部(溝本体部12および支持溝12a)の上方において、蓋体20の天板部21は、収納された複数の板状物W・W・・・の上端部と僅かに離間した位置に、且つ板状物W・W・・・の上端面と平行となるように支持部によって支持される。
換言すると、蓋体20は、その上下位置(トレイ本体10に対する蓋体20の被装方向における位置)が、複数の板状物W・W・・・の各々の上端部(上端面)と離間した位置となるように支持部にて支持される天板部21を有しており、複数の板状物W・W・・・の上端部(上端面)との離間方向における天板部21の位置は、第一縁部26(複数の突起部26a・26a・・・)、第一外側面部25、枠面部24、および内側面部23などからなる周縁支持部を介してトレイ本体より支持される。
【0051】
このような、複数の板状物W・W・・・が収納されたトレイ本体10に対して、蓋体20が被装された仮梱包体100Aは、後述するように複数段(例えば、本実施形態においては上下二段)に段積みされ、その後、シュリンク袋40に収納される。
【0052】
なお、本実施形態においては、真空引きによる天板部21の撓みによって、複数の板状物W・W・・・の上端部をより均等に押圧するために、蓋体20の厚み寸法を0.8mm以下、より好ましくは0.5mm以下とし、天板部21の撓み量がより適切な値となるようにしている。
【0053】
このように、本実施形態における収納トレイ1によれば、シュリンク袋40内の真空引きを行う前の状態において、蓋体20の天板部21が、支持部(周縁支持部および中央部支持部22)により複数の板状物W・W・・・の各々の上端部と離間した位置となるように支持されているため、その後のシュリンク袋40内の真空引きを行う際において、支持部によって天板部21の撓み量が抑制されることとなり、天板部21を介して過剰な押圧力が加えられることもなく、常に一定の押圧力にて複数の板状物W・W・・・の上端部が各々押圧されることとなる。
また、シュリンク袋40内を真空引きする際においては、周縁支持部(内側面部23、枠面部24、第一外側面部25、および第一縁部26等)および中央部支持部22を支点としつつ、これらの間隙に位置する複数の板状物W・W・・・に向かって、蓋体20の天板部21が撓むこととなり、天板部21は、複数の板状物W・W・・・の各々の上端部に対して、確実に当接することとなる。
【0054】
[板状物Wの梱包方法]
次に、本実施形態における収納トレイ1によって複数の板状物W・・・を梱包する際の梱包手順について、
図1、
図4、および
図5を用いて説明する。
なお、以下の説明については便宜上、
図5の上下方向を、収納トレイ1の上下方向と規定して説明する。
【0055】
先ず始めに、
図1に示すように、トレイ本体10が用意され、溝本体部12に設けられる一対の支持溝12a・12aに対して、板状物Wが、自動搭載装置または作業者の手によって、各々嵌挿される。
つまり、板状物保持部(溝本体部12および支持溝12a)に、複数の板状物W・W・・・を、起立した状態にて厚み方向に整列して保持(収納)可能なトレイ本体10に板状物W・W・・・を収納する(第一の工程)。
【0056】
その後、複数の板状物W・W・・・が収納されたトレイ本体10に対して、これらの板状物W・W・・・を覆うようにして、トレイ本体10に蓋体20を上方側(板状物W側)より被装し、仮梱包体100A(
図4を参照)を作製する(第二工程)。
なお、前述したように、第二工程において、蓋体20の支持部(周縁支持部および中央部支持部22)を、少なくともトレイ本体10における複数の板状物W・W・・・の整列方向の両側に当接させることにより、天板部21は、複数の板状物W・W・・・の各々の上端部と、トレイ本体10に対する蓋体20の被装方向に離間した位置となるように天板部21を支持部により支持する。
【0057】
ここで、蓋体20がトレイ本体10に被装された状態においては、前述したように、蓋体20の第一縁部26に形成される複数の突起部26a・26a・・・が、トレイ本体10の天板部11の周囲に当接することとなる。
よって、
図5に示すように、蓋体20は、トレイ本体10に対して、僅かに(より具体的には、突起部26aの突出寸法分だけ)持ち上げられた状態にて支持されることとなる。
その結果、トレイ本体10の天板部11と蓋体20の第一縁部26との間、トレイ本体10の側面部13と蓋体20の第二外側面部27との間、およびトレイ本体10の縁部14と蓋体20の第二縁部28との間には、ともに僅かな間隙を生じることとなり、互いに隣接する突起部26a・26a間の隙間を介して、収納トレイ1の内部(トレイ本体10および蓋体20によって囲まれた空間部)および外部をつなぐ間隙領域30が形成される。
【0058】
トレイ本体10に対して蓋体20が被装された仮梱包体100Aは、
図4に示すように、複数個(本実施形態においては2個)を一セットとして段積みされる。
ここで、前述したように、トレイ本体10においては、複数の板状物W・W・・・を保持する箇所、即ち、複数の溝本体部12・12(板状物保持部)が、下方に向かって突出しており、蓋体20においては、天板部21が、天板部21の周囲の枠面部24に対し内側面部23を介して一段下がった凹部形状となっている。
【0059】
そして、トレイ本体10の複数の溝本体部12・12(板状物保持部)は、蓋体20の凹部形状に対して嵌合可能な形状である。
よって、下段の仮梱包体100A(
図4において、実線にて示される仮梱包体100A)における蓋体20の内側面部23の内周部(凹部)に、上段の仮梱包体100A(
図4において、二点鎖線にて示される仮梱包体100A)におけるトレイ本体10の複数の溝部本体12・12(板状物保持部)を、同時に緩挿する。
これにより、下側の仮梱包体100Aおよび上側の仮梱包体100Aにおいて、互いの水平方向へのズレが規制される。
【0060】
段積みされた複数の仮梱包体100A・100Aを、シュリンク袋40内に収納する(第三工程)。
その後、シュリンク袋40の内部全体に渡って真空引きする(第四工程)。
この場合、
図5に示すように、各々の仮梱包体100Aにおいて、仮梱包体100Aの内部に存在する空気が、前述した間隙領域30を介して外部へと放出され、仮梱包体100Aの内部が真空引きされる。
その結果、
図4において、蓋体20の天板部21は下方へと撓み、起立した状態にて収納された複数の板状物W・W・・・の上端部(上端面)に対して全体的に面接触する。これにより、各板状物W・W・・・の上端面が天板部21により均等に押圧され、これらの板状物W・W・・・が収納トレイ1により堅固に保持される。
つまり、第四工程において、真空引きにより、蓋体20の天板部21をトレイ本体10側(下方側)へと撓ませ、複数の板状物W・W・・・の各々の上端部に当接させる。
【0061】
なお、仮梱包体100Aの内部に対して真空引きが行われる際において、例えば、不意の外力等によって、蓋体20の突起部26aが、トレイ本体10の天板部11より脱落したとしても、トレイ本体10の縁部14、および蓋体20の縁部(第二縁部28)が、ともに水平方向に突出し、且つ互いに上下方向に対向して配置されていることから、第二縁部28が縁部14に当接されることとなり、蓋体20がトレイ本体10に対して大きく近接方向に移動されることはない。
よって、蓋体20の天板部21が、トレイ本体10に収納される複数の板状物W・W・・・の上端部(上端面)を、必要以上の押圧力にて押圧するようなこともない。
【0062】
こうして、各仮梱包体100Aの内部に対して、十分に真空引きが行われた後、シュリンク袋は密封され、複数の板状物W・W・・・を纏めて収納した梱包体100が構築される。
【0063】
一方、こうして構築された梱包体100を開梱する際は、シュリンク袋40を開封するだけでよい。
これにより、間隙領域30を介して、周囲の空気が一斉に各収納トレイ1内に流入され、収納トレイ1の内部は常圧状態になるとともに、蓋体20の天板部21の撓み状態が水平状態に復元され、複数の板状物W・W・・・の押圧状態が開放される。