特許第6357929号(P6357929)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357929
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】信頼度判断方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/14 20060101AFI20180709BHJP
   G06K 19/06 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   G06K19/14
   G06K19/06 093
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-139526(P2014-139526)
(22)【出願日】2014年7月7日
(65)【公開番号】特開2016-18311(P2016-18311A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 大介
【審査官】 梅沢 俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−338669(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/145533(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/098136(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/14
G06K 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末の撮影部によって撮影された撮影画像から検出され、情報を提示するための第2の領域を含む第1のマーカに、公証機関により発行された前記第1のマーカの提供主体を識別するための第1の領域が含まれるか否かを前記ユーザ端末のマーカ認識部が判断して判断結果を得ることと、
前記ユーザ端末の判断部が、前記判断結果に基づいて、前記第1のマーカの信頼度を判断することと、を含む、
信頼度判断方法。
【請求項2】
前記判断部は、前記第1のマーカが前記第1の領域を含まない場合に、前記第1の領域を含む第2のマーカと前記第1のマーカとの整合性に基づいて、前記第1のマーカの信頼度を判断する
請求項1に記載の信頼度判断方法。
【請求項3】
前記判断部は、前記第2のマーカに含まれる前記第1の領域が示す前記第2のマーカの提供主体と、前記第1のマーカが示す前記第1のマーカの提供主体との整合性に基づいて、前記第1のマーカの信頼度を判断する、
請求項に記載の信頼度判断方法。
【請求項4】
前記判断部は、前記第2のマーカの提供主体と前記第1のマーカの提供主体とが同一である場合には、前記第1のマーカの信頼度が高いと判断する、
請求項に記載の信頼度判断方法。
【請求項5】
前記第2のマーカは、前記撮影により前記第1のマーカと同時に読み取られたマーカである、
請求項2〜4のいずれか一項に記載の信頼度判断方法。
【請求項6】
前記第1の領域は、前記第1のマーカの提供主体を識別するための第1のベンダ情報を含み、前記第2の領域は、前記第2のマーカの提供主体を識別するための第2のベンダ情報を含み、
前記判断部は、前記第1のベンダ情報と前記第2のベンダ情報とが同一であるか否かによって、前記第2のマーカの提供主体と前記第1のマーカの提供主体とが同一であるか否かを判断する、
請求項2〜5のいずれか一項に記載の信頼度判断方法。
【請求項7】
前記第1のマーカに前記第1の領域が含まれる場合、前記第1の領域は、前記第2の領域の外周を囲むように配置される、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の信頼度判断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体、マーカの形成方法、及び信頼度判断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バーコードや二次元バーコードなど、線やドットの配列を用いて、文字列などの情報が記録されたマーカが開発されている。また、例えばカメラなどによりマーカに記録されている情報が読み取られた際に、マーカに対応する情報を画面に表示させる技術も開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、画像においてAR(Argumented Reality)マーカが配置されている位置に、ARマーカに紐付いているCG画像を合成して表示する技術が記載されている。また、特許文献2には、カメラによって撮影された撮影画像からARマーカ像を見つけ出し、そしてARマーカに対応するCGオブジェクトについて、カメラが現在撮影している撮影画像において、そのカメラ視野内での見え方を計算し、撮影画像に合成する技術が記載されている。また、特許文献3には、例えばARマーカの背面から撮影を行った場合であっても、ARマーカの正面からARマーカの現在の向きまでの回転角度を算出することにより、ARマーカに対応する仮想オブジェクトの正面が撮影方向に向くように仮想オブジェクトを回転させて実画像に重畳表示させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−164157
【特許文献2】特開2013−171523
【特許文献3】特開2013−186691
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の技術では、ユーザに提供されるマーカの信頼性が低い。例えば、上記の技術では、ある提供主体により提供されたマーカと、当該提供主体になりすました第三者により提供されたマーカとをユーザが区別することができない。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、提供されるマーカの信頼性を向上させることが可能な、新規かつ改良された信頼度判断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ユーザ端末の撮影部によって撮影された撮影画像から検出され、情報を提示するための第2の領域を含む第1のマーカに、公証機関により発行された前記第1のマーカの提供主体を識別するための第1の領域が含まれるか否かを前記ユーザ端末のマーカ認識部が判断して判断結果を得ることと、前記ユーザ端末の判断部が、前記判断結果に基づいて、前記第1のマーカの信頼度を判断することと、を含む、信頼度判断方法が提供される。前記判断部は、前記第1のマーカが前記第1の領域を含まない場合に、前記第1の領域を含む第2のマーカと前記第1のマーカとの整合性に基づいて、前記第1のマーカの信頼度を判断してもよい。
【0014】
前記判断部は、前記第2のマーカに含まれる前記第1の領域が示す前記第2のマーカの提供主体と、前記第1のマーカが示す前記第1のマーカの提供主体との整合性に基づいて、前記第1のマーカの信頼度を判断してもよい。
【0015】
前記判断部は、前記第2のマーカの提供主体と前記第1のマーカの提供主体とが同一である場合には、前記第1のマーカの信頼度が高いと判断してもよい。
【0016】
前記第2のマーカは、前記撮影により前記第1のマーカと同時に読み取られたマーカであってもよい。
前記第1の領域は、前記第1のマーカの提供主体を識別するための第1のベンダ情報を含み、前記第2の領域は、前記第2のマーカの提供主体を識別するための第2のベンダ情報を含み、前記判断部は、前記第1のベンダ情報と前記第2のベンダ情報とが同一であるか否かによって、前記第2のマーカの提供主体と前記第1のマーカの提供主体とが同一であるか否かを判断してもよい。
前記第1のマーカに前記第1の領域が含まれる場合、前記第1の領域は、前記第2の領域の外周を囲むように配置されてもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、提供されるマーカの信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態によるマーカの一例を示した説明図である。
図2】同実施形態による情報処理システムの構成例を示した説明図である。
図3】同実施形態によるマーカの形成の流れを示した説明図である。
図4】同実施形態によるパブリックマーカ40が貼られた看板を示した説明図である。
図5】同実施形態によるプライベートマーカ30が貼られた容器を示した説明図である。
図6】同実施形態による管理サーバ50の構成を示した機能ブロック図である。
図7】同実施形態によるデータベース524の構成例を示した説明図である。
図8】同実施形態によるベンダ情報テーブル600の構成例を示した説明図である。
図9】同実施形態による問い合わせ履歴テーブル602の構成例を示した説明図である。
図10】同実施形態によるユーザ端末10の構成を示した機能ブロック図である。
図11】同実施形態によるマーカの検出例を示した説明図である。
図12】同実施形態によるマーカの信頼度の判定方法の一例を示した説明図である。
図13】同実施形態によるマーカの検出例を示した説明図である。
図14】同実施形態によるマーカの信頼度判定時における動作の一部を示したシーケンス図である。
図15】同実施形態によるマーカの信頼度判定時における動作の一部を示したシーケンス図である。
図16】本発明の変形例によるマーカの一例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
また、以下に示す項目順序に従って当該「発明を実施するための形態」を説明する。
1.背景
2.実施形態の詳細な説明
2−1.マーカの構成
2−2.情報処理システムの構成
2−3.マーカの信頼度の判定処理
2−4.効果
3.変形例
【0021】
<<1.背景>>
本発明は、一例として「2.実施形態の詳細な説明」において詳細に説明するように、多様な形態で実施され得る。最初に、本発明の特徴を明確に示すために、本発明を創作するに至った背景について説明する。
【0022】
従来、ナビゲーションやコミュニケーションなどを目的として、マーカ読み取り型拡張現実システム(ARシステム)が開発されている。このARシステムでは、実環境における対象物体に貼られたマーカをユーザに読み取らせることにより情報を取得させ、そして、取得した情報を対象物体に重畳して表示することを可能とする。
【0023】
現状では、多くのARシステムは、サービスベンダごとに独立して構築されているが、将来、ARシステムの普及に伴い、複数のARシステムが共通のマーカを利用することが想定される。そして、このような場合には、例えばマーカの重複やなりすましなどの、マーカの真正性に関する問題が生じ得る。ここで、マーカの重複の問題とは、例えば、別々のシステムで利用されるマーカが意図せずに同じ情報を持つことにより、あるシステムで提示すべき情報が別のシステムで提示されてしまうことである。また、マーカのなりすましの問題とは、例えば、悪意のある第三者が、あるシステムで利用されるマーカを偽造することにより、当該システムで想定される情報とは異なる情報をユーザに提示してしまうことである。
【0024】
これらの問題を解決する方法として、例えば複数のARシステムで利用されるマーカを共通の体系で管理する方法が考えられる。しかしながら、マーカは複数のシステムで用いられたり、または複数の用途で用いられ得るので、マーカを一括して管理することは、管理組織にとって負担が大きく、マーカの普及の阻害要因となり得る。
【0025】
そこで、上記事情を一着眼点にして本発明による媒体を創作するに至った。本発明による媒体は、提供されるマーカの信頼性を向上させることが可能である。以下、このような本発明の実施形態について順次詳細に説明する。
【0026】
<<2.実施形態の詳細な説明>>
<2−1.マーカの構成>
まず、本実施形態によるマーカの構成について図1を参照して説明する。本実施形態によるマーカの種類は、パブリックマーカ40、およびプライベートマーカ30の2種類である。なお、パブリックマーカ40は、本発明におけるマーカの一例である。また、プライベートマーカ30は、本発明における第2の領域の一例である。
【0027】
[2−1−1.パブリックフレーム20]
パブリックフレーム20は、本発明における第1の領域の一例である。このパブリックフレーム20は、後述するパブリックフレーム管理局2により、パブリックマーカ40の提供主体であるサービスベンダ4に対して発行される領域である。ここで、パブリックフレーム管理局2は、本発明における公証機関の一例である。また、サービスベンダ4は、本発明における、マーカの提供主体の一例である。
【0028】
パブリックフレーム20は、例えば画像である。また、パブリックフレーム20には、パブリックフレーム20が発行されたサービスベンダ4を一意に識別するための情報(以下、ベンダ情報と称する)が暗号化されて記録される。また、パブリックフレーム20に記録されている情報は、後述するユーザ端末10が有するカメラなどにより読み取り可能である。また、パブリックフレーム20は、例えば紙幣の印刷に用いられる技術などにより、複製が困難なように生成される。なお、図1では、パブリックフレーム20が枠の形である例を示したが、かかる例に限定されず、パブリックフレーム20は、他の形であってもよい。
【0029】
[2−1−2.プライベートマーカ30]
プライベートマーカ30は、サービスベンダ4により形成されるマーカである。このプライベートマーカ30は、例えば画像である。また、プライベートマーカ30は、サービスベンダ4のベンダ情報、および例えばサービスベンダ4がユーザに提示することを希望する情報を含む。例えば、プライベートマーカ30は、サービスベンダ4が管理するWEBサーバのURL(Uniform Resource Locator)などのリンク情報を含む。また、プライベートマーカ30は、所定のサービスを利用するための利用コードなどをさらに含んでもよい。なお、プライベートマーカ30に記録されている情報は、カメラなどにより読み取り可能である。
【0030】
[2−1−3.パブリックマーカ40]
パブリックマーカ40は、パブリックフレーム20が発行されたサービスベンダ4により、パブリックフレーム20およびプライベートマーカ30が合成されたマーカである。より具体的には、パブリックマーカ40は、パブリックフレーム20に記録されている情報と、プライベートマーカ30に記録されている情報とが別々に読み取り可能なように、パブリックフレーム20およびプライベートマーカ30が合成されたマーカである。
【0031】
例えば、図1の右図に示したように、パブリックマーカ40は、プライベートマーカ30の外周を囲むようにパブリックフレーム20が配置されることにより形成される。または、パブリックマーカ40は、プライベートマーカ30の内部に設けられた隙間に、例えば正方形として形成されたパブリックフレーム20が配置されることにより、形成されてもよい。または、パブリックフレーム20およびプライベートマーカ30に互いに異なる色が設定され、かつ、プライベートマーカ30と同じ領域にパブリックフレーム20が重畳されることにより、パブリックマーカ40は形成されてもよい。
【0032】
このパブリックマーカ40は、パブリックフレーム管理局2により個々のサービスベンダ4に対応付けて発行されたパブリックフレーム20を有するので、マーカを提供したサービスベンダ4の真正性を担保できる。このため、マーカの重複やなりすましが生じることを防止できる。
【0033】
なお、パブリックフレーム20、プライベートマーカ30、またはパブリックマーカ40は、例えば紙やプラスチックフィルムなどの媒体に表示されることが可能である。例えば、パブリックフレーム20、プライベートマーカ30、またはパブリックマーカ40は、これらの媒体に印刷されてもよいし、または、例えばレーザー光線等が照射されることにより、上記の媒体に表示されてもよい。
【0034】
<2−2.情報処理システムの構成>
以上、本実施形態によるマーカの構成について説明した。次に、本実施形態による情報処理システムの構成について図2を参照して説明する。
【0035】
図2は、本実施形態による情報処理システムの構成を示した説明図である。図2に示したように、本実施形態による情報処理システムは、パブリックフレーム管理局2、サービスベンダ4、コード管理局6、通信網8、およびユーザ端末10を含む。
【0036】
[2−2−1.パブリックフレーム管理局2]
パブリックフレーム管理局2は、例えばサービスベンダ4からの申請に応じて、パブリックフレーム20をサービスベンダ4に対して発行する機関である。例えば、パブリックフレーム管理局2は、サービスベンダ4を認証した場合に、パブリックフレーム20をサービスベンダ4に対して発行する。また、パブリックフレーム管理局2は、基本的には、パブリックフレーム20を有料でサービスベンダ4に対して発行する。
【0037】
また、パブリックフレーム管理局2は、例えばパブリックフレーム20の発行時などに、パブリックフレーム20を発行したサービスベンダ4のベンダ情報と、当該パブリックフレーム20に記録されている暗号化されたベンダ情報とを、後述するコード管理局6に通知する。
[2−2−2.サービスベンダ4]
サービスベンダ4は、プライベートマーカ30を形成する主体であり、例えば企業などである。また、図3に示したサービスベンダ4a、4bのように、パブリックフレーム管理局2によりパブリックフレーム20を発行されたサービスベンダ4は、発行されたパブリックフレーム20と、自ら形成したプライベートマーカ30と、を合成することにより、パブリックマーカ40を形成することも可能である。
【0038】
(2−2−2−1.マーカの適用例)
ここで、図4および図5を参照して、パブリックマーカ40、またはプライベートマーカ30の適用例について説明する。例えば、サービスベンダ4は、図4に示したように、パブリックマーカ40を看板42に貼り付ける。そして、パブリックマーカ40をユーザにユーザ端末10などで読み取らせることにより、サービスベンダ4は、各種の情報をユーザに提供したり、所定のサービスを利用させることができる。図4に示した例では、パブリックマーカ40がユーザ端末10で読み取られることにより、例えばARシステムのように、看板42に記載されている「腕時計」を紹介するための画像や文字列がユーザ端末10に重畳表示される。なお、パブリックマーカ40の代わりに、プライベートマーカ30が看板42に貼り付けられてもよい。
【0039】
または、サービスベンダ4は、例えば、図5に示したように、倉庫や工場などで用いられる、製品などが格納された容器44にプライベートマーカ30を貼り付ける。そして、従業員が所持するユーザ端末10にプライベートマーカ30を読み取らせることにより、サービスベンダ4は、容器44の中に格納されている物体に関する情報を従業員に提供することができる。これにより、従業員は、容器44の中に格納されている物体に関する、例えば製造番号、製造年月日、製造会社などの情報を知ることができ、生産管理などの用途に利用することができる。
【0040】
なお、プライベートマーカ30の代わりに、パブリックマーカ40が容器44に貼り付けられてもよいし、または、複数の容器44のうち一部の容器44にパブリックマーカ40が貼り付けられ、残りの容器44にプライベートマーカ30が貼り付けられてもよい。
【0041】
[2−2−3.コード管理局6]
コード管理局6は、パブリックフレーム20が発行されたサービスベンダ4のベンダ情報と、パブリックフレーム20に記録されている暗号化されたベンダ情報と、を対応づけて管理する機関である。このコード管理局6は、管理サーバ50を有する。
【0042】
ここで、図6を参照して、管理サーバ50の機能構成について詳細に説明する。図6に示したように、管理サーバ50は、制御部500、通信部520、および記憶部522を有する。
【0043】
(2−2−3−1.制御部500)
制御部500は、管理サーバ50に内蔵される例えばCPU(Central Processing Unit)、およびRAM(Random Access Memory)などのハードウェアを用いて、管理サーバ50の動作を全般的に制御する。また、図6に示したように、制御部500は、データベース管理部502、および送信制御部504を有する。
【0044】
(2−2−3−2.データベース管理部502)
データベース管理部502は、後述する記憶部522に記憶されるデータベース524に対して、例えばデータの抽出、登録、更新、または削除などの操作を行う。
【0045】
−データベース524
ここで、図7を参照して、データベース524の構成例について説明する。図7に示したように、データベース524は、例えばベンダ情報テーブル600、および問い合わせ履歴テーブル602を有する。
【0046】
−−ベンダ情報テーブル600
次に、図8を参照して、ベンダ情報テーブル600の構成例について説明する。図8に示したように、ベンダ情報テーブル600は、例えば、ベンダID6000、および暗号化ベンダID6002が対応づけて記録される。ここで、ベンダID6000には、パブリックフレーム20が発行された各サービスベンダ4のベンダ情報が記録される。また、暗号化ベンダID6002には、各パブリックフレーム20に記録されている暗号化されたベンダ情報が記録される。
【0047】
例えば、図8の1レコード目に示したデータは、ベンダ情報が「1000」であるサービスベンダ4に対して発行されたパブリックフレーム20には、(暗号化されたベンダ情報として)「A5ZD31」が記録されていることを示している。
【0048】
−−問い合わせ履歴テーブル602
問い合わせ履歴テーブル602は、後述するように、ユーザ端末10から管理サーバ50に対してなされた、サービスベンダ4の同一性に関する問い合わせの履歴を管理するためのテーブルである。ここで、図9を参照して、問い合わせ履歴テーブル602の構成例について説明する。図9に示したように、ベンダ情報テーブル600は、例えば、ユーザID6020、プライベートマーカのベンダID6022、プライベートマーカの識別情報6024、パブリックマーカのベンダID6026、および判定結果6028が対応づけて記録される。
【0049】
ここで、ユーザID6020には、問い合わせを行ったユーザの識別情報が記録される。また、プライベートマーカのベンダID6022には、該当のユーザによる問い合わせに含まれる、プライベートマーカ30に記録されているベンダ情報が記録される。また、プライベートマーカの識別情報6024には、プライベートマーカ30に記録されている例えばリンク情報や利用コードなど、プライベートマーカ30を識別するための情報が記録される。また、パブリックマーカのベンダID6026には、該当のユーザによる問い合わせに含まれる、パブリックフレーム20に記録されているベンダ情報が記録される。また、判定結果6028には、プライベートマーカのベンダID6022の値が示すサービスベンダ4と、パブリックマーカのベンダID6026の値が示すサービスベンダ4とが同一であるか否かの判定結果が記録される。
【0050】
(2−2−3−3.送信制御部504)
送信制御部504は、例えば制御部500により判定された、サービスベンダ4の同一性に関する判定結果などの各種情報をユーザ端末10へ通信部520に送信させる。
【0051】
(2−2−3−4.通信部520)
通信部520は、通信網8を介して、通信網8に接続される装置との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部520は、送信制御部504の制御により、サービスベンダ4の同一性に関する判定結果をユーザ端末10へ送信する。また、通信部520は、サービスベンダ4の同一性に関する問い合わせをユーザ端末10から受信する。
【0052】
(2−2−3−5.記憶部522)
記憶部522は、例えばデータベース524など、各種データを記憶する。
【0053】
[2−2−4.通信網8]
通信網8は、通信網8に接続されている装置から送信される情報の有線、または無線の伝送路である。例えば、通信網8は、電話回線網、インターネット、衛星通信網などの公衆回線網や、Ethernet(登録商標)を含む各種のLAN、WAN(Wide Area Network)などを含む。また、通信網8は、IP−VPN(Internet Protocol−Virtual Private Network)などの専用回線網を含んでもよい。
【0054】
[2−2−5.ユーザ端末10]
ユーザ端末10は、ユーザが所持する携帯型の端末である。ここで、図10を参照して、ユーザ端末10の機能構成について詳細に説明する。図10に示したように、ユーザ端末10は、制御部100、通信部120、撮影部122、入力部124、および出力部126を有する。
【0055】
(2−2−5−1.制御部100)
制御部100は、ユーザ端末10に内蔵される例えばCPU、およびRAMなどのハードウェアを用いて、ユーザ端末10の動作を全般的に制御する。また、図10に示したように、制御部100は、マーカ検出部102、マーカ認識部104、問い合わせ部106、判断部108、および出力制御部110を有する。
【0056】
(2−2−5−2.マーカ検出部102)
マーカ検出部102は、例えば後述する撮影部122により撮影された撮影画像、または後述する通信部120により受信される撮影画像に含まれるマーカ、つまりプライベートマーカ30またはパブリックマーカ40を検出する。
【0057】
(2−2−5−3.マーカ認識部104)
マーカ認識部104は、マーカ検出部102により検出されたマーカの種類を認識する。より具体的には、マーカ認識部104は、検出されたマーカがパブリックフレーム20を有するか否かを確認することにより、検出されたマーカがパブリックマーカ40であるか、あるいはプライベートマーカ30であるかを認識する。
【0058】
さらに、マーカ認識部104は、検出されたマーカに記録されているベンダ情報を読み取ることが可能である。例えば、マーカ認識部104は、検出されたパブリックマーカ40に含まれるパブリックフレーム20を所定のルールに従って文字列に変換することにより、パブリックフレーム20に記録されている(暗号化された)ベンダ情報を読み取る。また、マーカ認識部104は、検出されたプライベートマーカ30を所定のルールに従って文字列に変換することにより、プライベートマーカ30に記録されているベンダ情報を読み取る。
【0059】
(2−2−5−4.問い合わせ部106)
−問い合わせ例1
問い合わせ部106は、マーカ認識部104により認識されたプライベートマーカ30のサービスベンダ4と、マーカ認識部104により認識されたパブリックマーカ40のサービスベンダ4との同一性の問い合わせを管理サーバ50へ通信部120に送信させる。この問い合わせは、例えば、プライベートマーカ30に含まれるベンダ情報、プライベートマーカ30に記録されている例えばリンク情報などの、プライベートマーカ30を識別するための情報、およびパブリックマーカ40のパブリックフレーム20に含まれるベンダ情報を含む。
【0060】
例えば、問い合わせ部106は、プライベートマーカ30のサービスベンダ4と、当該プライベートマーカ30と同時に読み取られたパブリックマーカ40のサービスベンダ4との同一性の問い合わせを管理サーバ50へ通信部120に送信させる。なお、プライベートマーカ30とパブリックマーカ40とが同時に読み取られる場合の例としては、例えば図11に示したような、プライベートマーカ30とパブリックマーカ40とが一枚の撮影画像に含まれるように同時に撮影される場合などが挙げられる。
【0061】
図11は、パブリックマーカ40とプライベートマーカ30とが同時に撮影された撮影画像の例(撮影画像60)を示した説明図である。上述したように、パブリックマーカ40に含まれるパブリックフレーム20は、複製することが困難である。従って、パブリックマーカ40のサービスベンダ4とプライベートマーカ30のサービスベンダ4との同一性が確認された場合には、プライベートマーカ30のサービスベンダ4が真正であることが保証される。そして、当該プライベートマーカ30は、重複やなりすましの恐れがほとんどなく、信頼度は高いと推測される。
【0062】
−問い合わせ例2
また、問い合わせ部106は、自端末が過去に行った、サービスベンダ4の同一性に関する問い合わせの履歴を取得するための要求を管理サーバ50へ通信部120に送信させることも可能である。
【0063】
(2−2−5−5.判断部108)
判断部108は、マーカ検出部102により検出されたマーカの信頼度を判断する。例えば、判断部108は、管理サーバ50から受信される、問い合わせ部106による問い合わせに対する判定結果に基づいて、検出されたプライベートマーカ30の信頼度を判断する。
【0064】
ここで、図12を参照して、上記の機能についてより詳細に説明する。図12に示したように、例えば、検出されたマーカがパブリックマーカ40であることがマーカ認識部104により認識された場合には、判断部108は、当該マーカの信頼度を例えば「6」など、最も高く判断する。
【0065】
また、パブリックマーカ40と同時にプライベートマーカ30が読み取られ、かつ、当該パブリックマーカ40のパブリックフレーム20に含まれるベンダ情報が示すサービスベンダ4と、プライベートマーカ30に含まれるベンダ情報が示すサービスベンダ4とが同一であるという判定結果が管理サーバ50から受信された場合には、判断部108は、当該プライベートマーカ30の信頼度を例えば「5」など、2番目に高く判断する。
【0066】
また、検出されたプライベートマーカ30が過去にパブリックマーカ40と同時に読み取られたことがあり、かつ、その際にパブリックマーカ40に含まれるベンダ情報が示すサービスベンダ4と、プライベートマーカ30に含まれるベンダ情報が示すサービスベンダ4とが同一であると1回以上判定されていた場合には、判断部108は、当該プライベートマーカ30の信頼度を例えば「4」など、3番目に高く判断する。
【0067】
また、パブリックマーカ40と同時にプライベートマーカ30が読み取られ、かつ、当該パブリックマーカ40のパブリックフレーム20に含まれるベンダ情報が示すサービスベンダ4と、プライベートマーカ30に含まれるベンダ情報が示すサービスベンダ4とが異なるという判定結果が管理サーバ50から受信された場合には、判断部108は、当該プライベートマーカ30の信頼度を例えば「3」など、4番目に高く判断する。
【0068】
また、検出されたプライベートマーカ30が過去にパブリックマーカ40と同時に読み取られたことがあり、かつ、その際にパブリックマーカ40に含まれるベンダ情報が示すサービスベンダ4と、プライベートマーカ30に含まれるベンダ情報が示すサービスベンダ4とが異なると判定されていた場合には、判断部108は、当該プライベートマーカ30の信頼度を例えば「2」など、5番目に高く判断する。
【0069】
また、例えば図13に示したように、プライベートマーカ30が単独で読み取られ、かつ当該プライベートマーカ30が過去にパブリックマーカ40と同時に読み取られたことが全くない場合には、判断部108は、当該プライベートマーカ30の信頼度を例えば「1」など、最も低く判断する。
【0070】
(2−2−5−6.出力制御部110)
出力制御部110は、判断部108による判断結果に基づいて、情報を出力部126に出力させる。例えば、出力制御部110は、検出されたマーカの信頼度など、判断部108による判断結果を出力部126に出力させてもよい。または、出力制御部110は、判断部108により判断されたマーカの信頼度が所定の閾値以上である場合にのみ、例えばリンク情報や利用コードなど、当該マーカに含まれる情報を出力部126に出力させてもよい。
【0071】
(2−2−5−7.通信部120)
通信部120は、通信網8を介して、通信網8に接続される装置との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部120は、問い合わせ部106の制御により、プライベートマーカ30のサービスベンダ4と、当該プライベートマーカ30と同時に読み取られたパブリックマーカ40のサービスベンダ4との同一性の問い合わせを管理サーバ50へ送信する。また、通信部120は、サービスベンダ4の同一性に関する判定結果を管理サーバ50から受信する。
【0072】
(2−2−5−8.撮影部122)
撮影部122は、ユーザの操作に応じて外環境を撮影し、そして、静止画像または動画像として記録する。
【0073】
(2−2−5−9.入力部124)
入力部124は、例えばタッチパネル、ボタン、マイクロフォン、またはスイッチなどにより構成される。この入力部124は、ユーザによるユーザ端末10に対する各種の入力操作を受け付ける。例えば、入力部124は、ユーザによる、サービスベンダ4の同一性に関する問い合わせの操作などを受け付ける。
【0074】
(2−2−5−10.出力部126)
出力部126は、例えば表示装置、または音声出力装置などにより構成される。この出力部126は、出力制御部110の制御に従って、各種情報を表示画面に表示したり、または、音声により出力する。
【0075】
<2−3.マーカの信頼度の判定処理>
以上、本実施形態による情報処理システムの構成について説明した。続いて、本実施形態によるマーカの信頼度の判定処理の流れについて説明する。
【0076】
図14は、マーカの信頼度の判定処理の流れの一部を示したシーケンス図である。図14に示したように、まず、ユーザ端末10の制御部100は、(プライベートマーカ30がパブリックマーカ40と同時に読み取られたか否かを識別するために用いられる)同時読み取りフラグの初期値を「FALSE」に設定する(S101)。
【0077】
続いて、ユーザ端末10の撮影部122は、例えばユーザの操作に応じて外環境を撮影する。そして、マーカ検出部102は、撮影された撮影画像に含まれるマーカを検出する(S102)。
【0078】
続いて、マーカ認識部104は、マーカ検出部102により検出されたマーカがパブリックマーカ40であるか否かを判定する(S103)。検出されたマーカがパブリックマーカ40であると判定された場合には(S103:Yes)、判断部108は、当該マーカの信頼度を「6」と判定する(S104)。そして、ユーザ端末10は、処理を終了する。
【0079】
一方、検出されたマーカがパブリックマーカ40ではない、つまりプライベートマーカ30であると判定された場合には(S103:No)、次に、判断部108は、当該マーカがパブリックマーカ40と同時に読み取られたか否かを判断する(S105)。当該マーカがパブリックマーカ40と同時に読み取られていない場合には(S105:No)、ユーザ端末10は、後述するS121の動作を行う。
【0080】
一方、当該マーカがパブリックマーカ40と同時に読み取られた場合には(S105:Yes)、問い合わせ部106は、当該マーカのサービスベンダ4と、同時に読み取られたパブリックマーカ40のサービスベンダ4との同一性の問い合わせを管理サーバ50へ通信部120に送信させる(S106)。
【0081】
その後、管理サーバ50の制御部500は、S106で受信された問い合わせに含まれるプライベートマーカ30に記録されているベンダ情報が示すサービスベンダ4と、パブリックフレーム20に記録されているベンダ情報が示すサービスベンダ4とが同一であるか否かを、ベンダ情報テーブル600を参照することにより判定する。次に、データベース管理部502は、ユーザ端末10のユーザIDと対応づけて判定結果を問い合わせ履歴テーブル602に記録する。そして、送信制御部504は、判定結果をユーザ端末10へ通信部520に送信させる(S107)。
【0082】
その後、ユーザ端末10の判断部108は、S107で受信された判断結果がサービスベンダ4が同一であることを示す場合には(S108:Yes)、当該プライベートマーカ30の信頼度を「5」と判定する(S110)。そして、ユーザ端末10は、処理を終了する。
【0083】
一方、S107で受信された判断結果がサービスベンダ4が同一ではないことを示す場合には(S108:No)、まず、制御部100は、同時読み取りフラグの値を「TRUE」に変更する(S109)。そして、ユーザ端末10は、後述するS121の動作を行う。
【0084】
次に、図15を参照して、S121以降の動作について説明する。まず、ユーザ端末10の問い合わせ部106は、自端末が過去に行った、サービスベンダ4の同一性の問い合わせ履歴の取得要求を管理サーバ50へ通信部120に送信させる(S121)。
【0085】
その後、管理サーバ50の制御部500は、S121で受信された取得要求に基づいて、問い合わせ履歴テーブル602から当該ユーザの問い合わせ履歴を抽出する。そして、送信制御部504は、抽出された問い合わせ履歴をユーザ端末10へ通信部520に送信させる(S122)。
【0086】
その後、ユーザ端末10の判断部108は、S122で受信された問い合わせ履歴に基づいて、当該プライベートマーカ30が以前パブリックマーカ40と同時に読み取られたた否かを判定する(S123)。当該プライベートマーカ30が以前パブリックマーカ40と同時に読み取られたことが全くない場合には(S123:No)、判断部108は、当該マーカの信頼度を「1」と判定する(S124)。そして、ユーザ端末10は、処理を終了する。
【0087】
一方、当該プライベートマーカ30が以前パブリックマーカ40と同時に読み取られたことがある場合には(S123:Yes)、判断部108は、次に、当該プライベートマーカ30に含まれるベンダ情報が示すサービスベンダ4と、以前同時に読み取られたパブリックマーカ40に含まれるベンダ情報が示すサービスベンダ4とが同一であると判定されたことがあるか否かを確認する(S125)。サービスベンダ4が同一であると判定されたことがある場合には(S125:Yes)、判断部108は、当該プライベートマーカ30の信頼度を「4」と判定する(S126)。そして、ユーザ端末10は、処理を終了する。
【0088】
一方、サービスベンダ4が同一であると判定されたことが全くない場合には(S125:No)、判断部108は、次に、同時読み取りフラグの値が「TRUE」であるか否かを判定する(S127)。同時読み取りフラグの値が「TRUE」である場合には(S127:Yes)、判断部108は、当該プライベートマーカ30の信頼度を「3」と判定する(S128)。そして、ユーザ端末10は、処理を終了する。
【0089】
一方、同時読み取りフラグの値が「FALSE」である場合には(S127:No)、判断部108は、当該プライベートマーカ30の信頼度を「2」と判定する(S129)。そして、ユーザ端末10は、処理を終了する。
【0090】
<2−4.効果>
[2−4−1.効果1]
以上説明したように、本実施形態による情報処理システムでは、パブリックマーカ40およびプライベートマーカ30の2種類のマーカが提供される。パブリックマーカ40は、サービスベンダ4に対応付けて発行されたパブリックフレーム20を有するので、マーカを提供するサービスベンダ4の真正性を担保できる。また、プライベートマーカ30は、例えばパブリックフレーム20を発行するためのコストが不要であるので、パブリックマーカ40よりも低コストで形成することが可能である。このため、サービスベンダ4は、提供するマーカの種類を例えば提供するサービスごとに選択することにより、マーカの提供主体(サービスベンダ4)の真正性を担保することと、マーカの提供に伴うコストの軽減とのバランスを図ることができる。その結果、多くのサービスベンダ4により本実施形態によるマーカが利用され、マーカが広く普及することが期待できる。
【0091】
例えば、実環境に情報を重畳して出力させるARシステムのようなサービスでは、サービスベンダ4は、パブリックマーカ40のみを提供する。これにより、例えば悪意のある第三者により不利益のある情報がユーザに提示されることを防止できるなど、マーカの重複やなりすましの問題が生じることを防止できる。
【0092】
また、生産管理システムでは、仮に全ての製品にパブリックマーカ40を貼付する場合には、パブリックフレーム20を同数発行してもらうためのコストが必要であり、コストが大きく、現実的ではない。このため、サービスベンダ4は、例えば一つの管理単位である個数の製品のうち一つの製品にだけパブリックマーカ40を貼付し、残りの製品に対してはプライベートマーカ30を貼付する。これにより、当該管理単位に含まれる製品に関して、ユーザはまずパブリックマーカ40を読み取り、その後、プライベートマーカ30を読み取ることにより、当該管理単位に含まれる各製品のサービスベンダ4の同一性について信頼性高く確認できる。このように、サービスベンダ4は、例えば第三者によるマーカのなりすましが生じにくいと想定される場面などでは、自らが発行したパブリックマーカ40とプライベートマーカ30とを紐付けて利用することにより、マーカのコストを軽減しつつ、マーカの提供主体の真正性を担保することが可能となる。
【0093】
また、例えば信頼性を求めない用途であったり、特定施設内における閉じたサービスやゲームアプリケーションなどでは、例えば信頼度が「2」または「1」と判断されるような、信頼度の低いプライベートマーカ30が提供されても、特に支障が生じないと考えられる。そこで、このような場面では、サービスベンダ4は、プライベートマーカ30のみを提供することにより、パブリックフレーム20を発行するコストを節約することができる。また、サービスベンダ4は低コストでマーカを提供することができるので、マーカの普及が促進することが期待できる。
【0094】
なお、上述した「マーカの信頼度の判定処理」によれば、例えば、悪意のある人物により偽造されたプライベートマーカ30の信頼度が高く判定される場面も想定される。より具体的には、悪意のある人物が、まず、看板などに貼られているパブリックマーカ40に含まれるプライベートマーカ30からベンダ情報を読み取り、そして、読み取ったベンダ情報を含むようにプライベートマーカ30を作成(偽造)する。そして、当該人物が、偽造したプライベートマーカ30を、上記のパブリックマーカ40の近くに貼り付ける。このケースでは、他のユーザが、偽造されたプライベートマーカ30を上記のパブリックマーカ40と同時に読み取った場合には、当該プライベートマーカ30の信頼度が「5」と(かなり高く)判定される。
【0095】
しかし、このように判定されるとしても、サービスベンダ4の運用、またはユーザ端末10の制御次第で、例えば、偽造されたプライベートマーカ30が世の中に蔓延するなどといった悪影響を防止することが可能である。例えば、サービスベンダ4は、信頼度が「5」と判定されるプライベートマーカ30の適用場面を、当該サービスベンダ4の管理下における生産管理の場面など、第三者によるマーカのなりすましが生じにくい場面に限定すればよい。または、ユーザ端末10は、信頼度が「5」と判定された場合であっても、当該プライベートマーカ30に含まれるリンク情報を確認し、そして、リンク情報に対する接続の可否を判断してもよい。このため、本実施形態によるマーカや、マーカに対応するサービスの普及が妨げられることはないと考えられる。
【0096】
[2−4−3.効果3]
また、ユーザは、読み取ったマーカの信頼度に応じて、利用するサービスを選択することも可能である。
【0097】
例えば、ユーザ端末10により読み取られたプライベートマーカ30の信頼度が「5」であると判断された場合は、当該プライベートマーカ30のサービスベンダ4は、同時に読み取られたパブリックマーカ40のサービスベンダ4と同一であることが保証される。このため、ユーザは、例えば当該プライベートマーカ30に記録されているリンク情報などの情報は信頼性が高いと判断でき、当該情報を安心して利用することができる。
【0098】
また、プライベートマーカ30の信頼度が「3」であると判断された場合は、当該プライベートマーカ30のサービスベンダ4は、同時に読み取られたパブリックマーカ40のサービスベンダ4とは異なることが確認できる。このため、ユーザは、例えば当該プライベートマーカ30に記録されているリンク情報などの情報を利用しないことにより、当該プライベートマーカ30を介して不利益な情報が提供されることを予防することができる。なお、同時に読み取られたパブリックマーカ40は、当該プライベートマーカ30の近くに位置しているので、ユーザは、このパブリックマーカ40を利用することにより、当該プライベートマーカ30が貼られている位置の位置情報を概ね特定することは可能である。そして、ユーザは、特定した位置情報を他のアプリケーションにおいて利用することができる。
【0099】
[2−4−4.効果4]
また、本実施形態によるパブリックフレーム管理局2は、パブリックフレーム20を発行したサービスベンダ4に関する情報のみを管理すればよい。このため、仮にマーカが大量に普及したとしても、パブリックフレーム管理局2が管理する情報量が大きくなり過ぎることを防止できる。
【0100】
[2−4−5.効果5]
また、本実施形態によるコード管理局6は、パブリックフレーム20が発行されたサービスベンダ4のベンダ情報と、パブリックフレーム20に記録されている暗号化されたベンダ情報と、の対応関係を管理すればよく、例えば、個々のサービスベンダ4が提供する情報については関知する必要がない。
【0101】
[2−4−6.効果6]
また、コード管理局6は、全てのユーザからの問い合わせ履歴を問い合わせ履歴テーブル602に一元的に管理している。このため、ユーザからの問い合わせが増えるにつれて、コード管理局6は、例えば提供されているプライベートマーカ30の信頼性や、(パブリックフレーム20が発行されていない)サービスベンダ4の信頼性などをより正確に評価することが可能となる。また、コード管理局6は、評価した値をユーザに提供することにより、ユーザ全体で共有することが可能となる。
【0102】
<<3.変形例>>
なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0103】
例えば、上記の説明では、パブリックフレーム管理局2が一つだけ設けられる例について説明したが、かかる例に限定されない。パブリックフレーム管理局2は、複数設けられることが可能であり、かつ、階層構造で構成されることも可能である。例えば上位のパブリックフレーム管理局2aは国内の地方自治体に対応づけてパブリックフレーム20aを発行してもよい。また、下位のパブリックフレーム管理局2bは、各地方自治体内のサービスベンダ4に対応づけてパブリックフレーム20bを発行してもよい。
【0104】
そして、パブリックマーカ40は、複数のパブリックフレーム20を有するマーカとして形成されることが可能である。図16は、この変形例によるパブリックマーカ40の構成例を示した説明図である。なお、図16に示したパブリックフレーム20aは、パブリックフレーム管理局2aにより発行されるパブリックフレーム20の一例であり、また、パブリックフレーム20bは、パブリックフレーム管理局2bにより発行されるパブリックフレーム20の一例である。
【0105】
例えば、図16の右図に示したように、パブリックマーカ40は、プライベートマーカ30の外周において、例えばパブリックフレーム20bが内側に、パブリックフレーム20aが外側にそれぞれ配置されることにより、形成されることが可能である。
【0106】
この変形例によれば、パブリックフレーム管理局2が複数設けられ、かつ、各々が管理する情報が区別されるので、一つのパブリックフレーム管理局2が管理する情報量を本実施形態と比較して減少させることが可能となる。
【符号の説明】
【0107】
2 パブリックフレーム管理局
4 サービスベンダ
6 コード管理局
8 通信網
10 ユーザ端末
20 パブリックフレーム
30 プライベートマーカ
40 パブリックマーカ
50 管理サーバ
100 制御部
102 マーカ検出部
104 マーカ認識部
106 問い合わせ部
108 判断部
110 出力制御部
120 通信部
122 撮影部
124 入力部
126 出力部
500 制御部
502 データベース管理部
504 送信制御部
520 通信部
522 記憶部
524 データベース
600 ベンダ情報テーブル
602 問い合わせ履歴テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16