特許第6357933号(P6357933)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357933
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】エンジン駆動式空気調和装置の室外機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/40 20110101AFI20180709BHJP
   F24F 1/44 20110101ALI20180709BHJP
   F24F 1/12 20110101ALI20180709BHJP
   F24F 1/48 20110101ALI20180709BHJP
【FI】
   F24F1/40
   F24F1/44
   F24F1/12
   F24F1/48
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-141475(P2014-141475)
(22)【出願日】2014年7月9日
(65)【公開番号】特開2016-17708(P2016-17708A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年6月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100155767
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 憲志
(72)【発明者】
【氏名】豊田 健嗣
【審査官】 石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−071200(JP,A)
【文献】 実開平01−144720(JP,U)
【文献】 特開2003−343882(JP,A)
【文献】 特開2000−104952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/40
F24F 1/12
F24F 1/44
F24F 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切り板によって仕切られた下段にエンジンと前記エンジンにより駆動される冷媒圧縮機とを含む機械類を収容する機械室を有し、前記仕切り板によって仕切られた上段に前記冷媒圧縮機で圧縮された冷媒を利用して熱交換を行う熱交換器を収容する熱交換器室を有する本体ケーシングと、
前記本体ケーシングの前記仕切り板に貫通形成された換気口を通じて前記機械室から流出した空気を前記熱交換器室に逃がすための換気ユニットと、
を備える、エンジン駆動式空気調和装置の室外機であって、
前記換気ユニットは、
前記仕切り板の上面に取付けられる底部に前記換気口と連通する流入開口が設けられた有底箱状のベース部材と、
前記ベース部材の上方から当該ベース部材の全体を覆うように被らせられて前記ベース部材の枠部の外壁面との間に前記熱交換器室に連通する排気口を形成する蓋状のカバー部材と、
前記ベース部材の前記枠部と前記カバー部材とで挟み込まれるように設けられ、前記ベース部材との間で前記流入開口及び前記排気口のそれぞれに連通する換気流路を区画形成する吸音部材と、
を含み、
前記換気ユニットの前記ベース部材に設けられた前記流入開口は、前記仕切り板の前記換気口に連通する一方で、前記機械室に収容された前記機械類のうち前記機械室から前記熱交換器室側へと突出する構成要素を収容するための収容空間を兼ねている、エンジン駆動式空気調和装置の室外機。
【請求項2】
請求項1に記載の、エンジン駆動式空気調和装置の室外機であって、
前記換気ユニットは、前記ベース部材の内部空間に前記底部から上方に延出する延出壁を備える、エンジン駆動式空気調和装置の室外機。
【請求項3】
請求項2に記載の、エンジン駆動式空気調和装置の室外機であって、
前記換気ユニットの前記ベース部材は、前記延出壁の上縁面が前記吸音部材に当接するように構成され、前記延出壁によって前記換気流路が区画形成される、エンジン駆動式空気調和装置の室外機。
【請求項4】
請求項3に記載の、エンジン駆動式空気調和装置の室外機であって、
前記換気ユニットの前記ベース部材は、前記底部が平面視で四角形であり、前記流入開口が前記底部を対角線方向に延在する長穴であるとともに、前記流入開口を挟んでその両側にそれぞれ前記換気流路が区画形成されるように前記延出壁が前記流入開口の開口縁から上方に延出する構成である、エンジン駆動式空気調和装置の室外機。
【請求項5】
請求項1からのうちのいずれか一項に記載の、エンジン駆動式空気調和装置の室外機であって、
前記換気ユニットの吸音部材は、前記ベース部材の前記底部の延在平面に沿って延在する平板状に構成され、当該吸音部材の板厚方向について前記ベース部材の前記枠部と前記カバー部材とで挟み込まれる、エンジン駆動式空気調和装置の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンにより駆動されるエンジン駆動式空気調和装置の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1には、エンジン駆動式空気調和装置の室外機(室外ユニット)の一例が開示されている。この室外機には、機械室と熱交換器室とを仕切る仕切り板に換気ユニット(換気ボックス)が設けられている。換気ユニットは、エンジンを含む機械類が収容された機械室で発生した熱を熱交換器が収容された熱交換器室へと逃がすとともに、熱交換器室から機械室への水の浸入を防ぐ機能を果たす。この換気ユニットの内部には、エンジンから発生する騒音等が室外機の外部に漏れ出すのを防ぐための吸音材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−281097号公報
【発明の概要】
【0004】
ところで、この種の室外機では、近年、エンジン等の機械類の運転出力が高まる傾向にあり機械類から発生する騒音が室外機の外部に漏れ出すことが問題視されている。そこで、室外機に設けられる換気ユニットの設計に際しては、高出力の機械類を用いても当該機械類から発生する騒音が室外機の外部に漏れ出し難い消音性能に優れた構造を実現したいという要請が高い。また、換気ユニットの製品コストや構成要素の組付け性等を考慮して、換気ユニットの構造の簡素化を図りたいという要請がある。これらの要請に対して、特許文献1に開示の換気ユニットは、吸音材による消音効果は期待できると推測されるものの、吸音材の構造が複雑化しており換気ユニットの構造の簡素化を図るのに限界がある。
【0005】
(発明が解決しようとする課題)
そこで本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、エンジン駆動式空気調和装置の室外機において、消音性能に優れ且つ構造が簡素化された換気ユニットを提供することである。
【0006】
(課題を解決するための手段)
上記目的を達成するため、本発明に係るエンジン駆動式空気調和装置の室外機は、本体ケーシング及び換気ユニットを備えている。本体ケーシングは、仕切り板によって仕切られた下段に機械室を有し、仕切り板によって仕切られた上段に熱交換器室を有する。機械室は、エンジンとエンジンにより駆動される冷媒圧縮機とを含む機械類を収容する収容空間として構成される。熱交換器室は、冷媒圧縮機で圧縮された冷媒を利用して熱交換を行う熱交換器を収容する収容空間として構成される。換気ユニットは、本体ケーシングの仕切り板に貫通形成された換気口を通じて機械室から流出した空気を熱交換器室に逃がすための機能を有するものであり、ベース部材、カバー部材及び吸音部材を含む。ベース部材は、仕切り板の上面に取付けられる底部に換気口と連通する流入開口が設けられた有底箱状の部材として構成される。カバー部材は、ベース部材の上方から当該ベース部材の全体を覆うように被らせられてベース部材の枠部の外壁面との間に熱交換器室に連通する排気口を形成する蓋状の部材として構成される。吸音部材は、ベース部材の枠部とカバー部材とで挟み込まれるように設けられ、ベース部材との間で流入開口及び排気口のそれぞれに連通する換気流路を区画形成する。そして、換気ユニットのベース部材に設けられた流入開口は、仕切り板の換気口に連通する一方で、機械室に収容された機械類のうち機械室から熱交換器室側へと突出する構成要素を収容するための収容空間を兼ねている。
【0007】
上記構成の換気ユニットによれば、機械室から仕切り板の換気口及びベース部材の流入開口を通じてベース部材の内部空間に流入した空気を換気通路を経由させて排気口から熱交換器室へ流出させることができる。空気は換気通路を流れる過程で吸音部材に接触することによって吸音される。この場合、ベース部材と吸音部材とによって換気通路が区画形成されるため、ベース部材及び吸音部材の寸法を適宜に選択することによって、所望の消音性能を得るのに必要な換気通路の容積を確保することができる。従って、消音性能に優れた換気ユニットを提供することができる。一方で、カバー部材をベース部材に被せて吸音部材を挟み込む構造、及び吸音部材を利用して換気流路を形成する構造を採用することによって、換気ユニットにおける消音構造を簡素化することができる。また、換気ユニットのベース部材に設けられた流入開口が、仕切り板の換気口に連通する一方で、機械室に収容された機械類のうち機械室から熱交換器室側へと突出する構成要素を収容するための収容空間を兼ねるので、機械室の機械類の構成要素を熱交換器室側に突出させる構造を簡素化できる。
【0008】
上記構成の室外機では、換気ユニットは、ベース部材の内部空間に底部から上方に延出する延出壁を備えるのが好ましい。この場合、延出壁は消音用の壁となり、枠部との協働によってベース部材の内部空間を水平方向に伝わる音を二重に遮断することができる。従って、ベース部材の内部空間からベース部材の外部へと伝わる音のレベルを抑えることが可能になる。
【0009】
上記構成の室外機では、換気ユニットのベース部材は、延出壁の上縁面が吸音部材に当接するように構成され、この延出壁によって換気流路が区画形成されるのが好ましい。この場合、消音用の延出壁を利用して換気流路を区画形成することができるため部品点数が増えるのを抑えるのに有効である。
【0010】
上記構成の室外機では、換気ユニットのベース部材は、底部が平面視で四角形であり、流入開口が底部を対角線方向に延在する長穴であるとともに、流入開口を挟んでその両側にそれぞれ換気流路が区画形成されるように延出壁が流入開口の開口縁から上方に延出する構成であるのが好ましい。この場合、各換気流路をベース部材の底部の対角線方向に延在させることによって、各換気流路の長さや容積が極力大きくなるように設定することができる。その結果、各換気流路を流れる空気が吸音部材に接触する時間を増やすことができ消音性能が高まる。
【0012】
上記構成の室外機では、換気ユニットの吸音部材は、ベース部材の底部の延在平面に沿って延在する平板状に構成され、当該吸音部材の板厚方向についてベース部材の枠部とカバー部材とで挟み込まれるのが好ましい。これにより、吸音部材の構造が簡素化されるとともに吸音部材を容易に組付けることができる。また、換気ユニットの高さ方向寸法を小さく抑えるのに効果的である。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、エンジン駆動式空気調和装置の室外機において、消音性能に優れ且つ構造が簡素化された換気ユニットを提供できることとなった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、エンジン駆動式空気調和装置の室外機10の概略構成を示す図である。
図2図2は、図1中の換気ユニット40の構成を示す分解斜視図である。
図3図3は、図2中の換気ユニット40のベース部材50が仕切り板12に取付けられた状態を示す斜視図である。
図4図4は、図2中の換気ユニット40のベース部材50の平面図である。
図5図5は、換気ユニット40の図4中のA−A線についての断面構造を示す図である。
図6図6は、図2中のベース部材50の内部空間における空気流れを示す図である。
図7図7は、図4中のベース部材50の内部空間における空気流れを示す図である。
図8図8は、図1中の換気ユニット40の変更例である換気ユニット140の構成を示す分解斜視図である。
図9図9は、図8中のベース部材150の内部空間における空気流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1には、エンジンにより駆動される冷媒圧縮機を備えるエンジン駆動式空気調和装置(ガスヒートポンプ式空調装置)の室外機10の概略構成が示されている。尚、図1及びその他の図面において、矢印D1が室外機10の高さ方向(以下、「第1方向」ともいう)を示しており、矢印D2が室外機10の幅方向(以下、「第2方向」ともいう)を示しており、矢印D3が室外機10の奥行方向(以下、「第3方向」ともいう)を示している。
【0017】
室外機(室外ユニット)10は、図示省略された1又は複数の室内機(室内ユニット)に接続されており、当該室内機に空調用の冷媒を循環供給するように構成されている。この室外機10の本体ケーシング11は、平板状に構成された仕切り板12によって上段及び下段の空間部分に区画されている。本体ケーシング11のうち水平面に沿って延在する仕切り板12によって仕切られた下段は、エンジン(典型的には、ガスを燃料とするガスエンジン)、このエンジンにより駆動される冷媒圧縮機(コンプレッサ)及びこれらの機器に関連する配管類等を含む機械類20を収容するための機械室13として構成される。一方で、本体ケーシング11のうち仕切り板12によって仕切られた上段は、エンジン駆動式の冷媒圧縮機で圧縮された冷媒を利用して熱交換を行う熱交換器30を収容するための熱交換器室14として構成される。また、この本体ケーシング11では、熱交換器室14の上部に熱交換器30での排熱処理を行うための排熱ファン31が設けられている。この本体ケーシング11が本発明の「本体ケーシング」に相当する。
【0018】
室外機10の運転中において、機械室13の内部はエンジンの作動により高温となる。この対策として、本体ケーシング11の仕切り板12に、機械室13と熱交換器室14とを連通させるための換気口12aが貫通形成されている。この場合、室外機10の運転とともに排熱ファン31が駆動されることによって空気の上向流が形成されると、機械室13内の空気(「熱気」ともいう)が仕切り板12の換気口12aを通じて熱交換器室14側に吸い上げられ、当該空気が室外機10の外に放出される。仕切り板12の換気口12aには、機械室13から換気口12aを通じて流出した空気を排気口41を通じて熱交換器室14に逃がす一方(図1中の矢印F参照)で、熱交換器室14から機械室13内への水の浸入を防ぐための換気ユニット40が設けられている。この換気ユニット40が本発明の「換気ユニット」に相当する。
【0019】
図2の分解斜視図に示されるように、換気ユニット40は、ベース部材(土台)50、カバー部材60及び吸音部材70を用いて構成されている。これら3つの部材50,60,70が一体的に組み付けられることによって、平面視が四角形である換気ユニット40が形成される。この換気ユニット40を必要に応じて仕切り板12に複数設けることもできる。
【0020】
ベース部材50は、仕切り板12に換気口12aの周囲を取り囲むように取付けられる有底箱状の部材として構成される。このベース部材50が本発明の「ベース部材」に相当する。本実施の形態では、このベース部材50は平面視で四角形となるように構成されている。このベース部材50は、第2方向D2及び第3方向D3によって規定される水平面上に延在し仕切り板12のうち換気口12aに対応した上面12bにシール材(図示省略)を介して取付けられる水平板状の底部51と、底部51から第1方向D1に延出する縦壁を有する枠部52と、を備えている。このベース部材50では、底部51及び枠部52によって内部空間が区画形成される。
【0021】
底部51には、仕切り板12への取付けのための貫通孔51aが複数設けられている。これより、底部51の各貫通孔51aにネジ(図示省略)を挿通させて、このネジを仕切り板12に締め付けることによって、ベース部材50を仕切り板12に取付けることができる。枠部52の外壁面52cには、底部51の延在方向に沿って延出し且つ貫通孔52bが形成された延出片52aが複数設けられている。
【0022】
カバー部材60は、ベース部材50の上方から当該ベース部材50の全体を覆うように被せられる蓋状の部材として構成される。このカバー部材60は、第2方向D2及び第3方向D3によって規定される水平面上に延在する天板部61と、天板部61の周囲に設けられたフランジ状の鍔部62と、を備えている。このカバー部材60が本発明の「カバー部材」に相当する。本実施の形態では、このカバー部材60は、平面視で四角形となり、且つカバー部材60の鍔部62の外形寸法がベース部材50の底部51の外形寸法を上回るように構成されている。これにより、カバー部材60は、ベース部材50に被せられるようにしてベース部材50に固定される。
【0023】
カバー部材60の鍔部62には、ベース部材50の各延出片52aの貫通孔52bに対応した位置に配置される貫通孔62aが設けられている。このため、貫通孔62a及び貫通孔52bにネジ(図示省略)を挿通させて締め付けることによって、カバー部材60の鍔部62とベース部材50の延出片52aとを固定することができる。また、このカバー部材60は、ベース部材50に固定された状態で、互いに対向する鍔部62の内壁面とベース部材50の枠部52の外壁面52cとの間に、熱交換器室14に連通する排気口41を形成する。
【0024】
吸音部材70は、平面視が四角形であり、所定の板厚を有し、且つベース部材50の底部51の延在平面に沿って水平方向に延在する平板状に構成されている。この吸音部材70の外形は、ベース部材50の枠部52の外形寸法と同一、或いは枠部52の外形寸法を若干上回るように寸法設定されている。従って、吸音部材70は、枠部52上に載置されることによって枠部52との接触部分を容易にシールすることができる。この吸音部材70は、吸音率(物質に入射したエネルギーから反射したエネルギーを引いて入射エネルギーで割った値)が相対的に大きい材料、典型的には軟質性のウレタンフォーム、ガラスウール等の多孔質材料からなる。この吸音部材70が本発明の「吸音部材」に相当する。
【0025】
この吸音部材70によれば、エンジン等の機械類20から発生する騒音が室外機10の外部に漏れ出すのをその消音性能(「吸音性能」ともいう)によって阻止することができる。また、吸音部材70を平板状に構成することによって吸音部材70の構造が簡素化される。この吸音部材70は、ベース部材50にカバー部材60が固定された状態で、当該吸音部材70の板厚方向についてベース部材50の枠部52とカバー部材60とで挟み込まれるように設けられる。この吸音部材70の四角形の4つの辺のうちの1つには切欠き状の凹部71が設けられている。ベース部材50の内部空間は、吸音部材70の凹部71のみにおいて排気口41に連通している。
【0026】
上記構成のベース部材50の底部51は、仕切り板12の換気口12aに連通するように開口形成された流入開口53と、この流入開口53の開口縁から上方に延出する延出壁54と、を備えている。
【0027】
図3及び図4が参照されるように、ベース部材50の流入開口53は、平面視が四角形の底部51を対角線方向に長尺状に延在する長穴として構成されている。この流入開口53は、仕切り板12の換気口12aの空気をベース部材50内へ流入させるための開口部分である。
【0028】
ところで、室外機10及び熱交換器室14について上下方向の寸法規制がある場合、この寸法規制の要請に応えるために機械類20の構成要素を熱交換器室14側に突出させる構造を採用することができる。この場合、機械類20の構成要素が仕切り板12に干渉しないように仕切り板12に当該構成要素の突出部に応じた形状の開口を設けるのが有効である。
【0029】
そこで、本実施の形態では、機械類20のうち機械室13から熱交換器室14側に突出する構成要素である吸気ホース21の突出部22を、機械室13から仕切り板12の換気口12a及び底部51の流入開口53を通じてベース部材50の内部空間に突出させる構造を採用している。即ち、流入開口53は、機械室13から空気を流入させるために換気口12aに連通する一方で、吸気ホース21を収容するための収容空間を兼ねている。従って、機械室13の機械類20の構成要素を熱交換器室14側に突出させる構造を簡素化できる。この目的のために、ベース部材50の流入開口53は、突出部22の平面視での外径寸法を上回る断面積で底部51に開口形成されている。この場合、吸気ホース21は、吸気ダクト23から導入された吸気をエンジンに供給するために、吸気ダクト23とエンジンとを接続する接続管として構成されている。
【0030】
ベース部材50の延出壁54は、底部51から枠部52の縦壁に沿って上方(第1方向D1)に延出する平板状の壁部分であり、平面視が略U字状に形成されている。この延出壁54が本発明の「延出壁」に相当する。この延出壁54は、流入開口53を通じて機械室13からベース部材50の内部空間に伝わった音と干渉することにより、当該音がベース部材50の外部に漏れ出すのを阻止する機能を果たす。即ち、この延出壁54は、枠部52の縦壁との協働によって、ベース部材50の内部空間を水平方向に伝わる音を二重に遮断することができる。一方で、ベース部材50の内部空間を上下方向に伝わる音は前述のように吸音部材70によって吸音される。その結果、吸音部材70とベース部材50の延出壁54とを組み合わせることによって、エンジン等の機械類20から発生する騒音が室外機10の外部に漏れ出すのを防止する消音性能を高めることができる。
【0031】
上記構成の換気ユニット40の場合、ベース部材50を仕切り板12の取付けた後、ベース部材50に対して吸音部材70及びカバー部材60を取付けることによって、3つの部材50,60,70が一体的に組み付けられた組付け状態が形成される。この組付けでは、枠部52上に吸音部材70が載置された状態のベース部材50にカバー部材60が被せられてもよいし、或いは天板部61の内面に吸音部材70が貼り付けられ状態のカバー部材60がベース部材50に被せられてもよい。いずれの場合でも、吸音部材70が平板状に構成されているため、吸音部材70を容易に組付けることができ、また換気ユニット40の高さ方向寸法を小さく抑えるのに効果的である。
【0032】
図5に示されるように、この組付け状態では、吸音部材70は、ベース部材50とカバー部材60との間をシールするシール性能(気密性能)を有する。この場合、吸音部材70の下面70aは、ベース部材50の底部51との間で流入開口53及び排気口41のそれぞれに連通する換気流路55を区画形成する。具体的に説明すると、上下方向については吸音部材70の下面70aが枠部52の上縁面52e及び延出壁54の上縁面54aのそれぞれに当接して押し付けられることによって、吸音部材70の下面70aとベース部材50の底部51の上面51bとによって換気流路55が区画形成される。また、水平方向については枠部52の内壁面52dと延出壁54の外壁面54bとによって換気流路55が区画形成される。その結果、吸音部材70によって換気流路55の所望のシール性能が確保される。
【0033】
換気流路55は、流入開口53を挟んでその両側にそれぞれ区画形成され、各換気流路55が一方では流入開口53の流入領域53aに連通し、且つ他方では排気口41に連通している。この場合、流入開口53の流入領域53aは、換気流路55に実質的に空気を流入させるための流入口であり、流入開口53の各部位のうち開口縁から延出壁54が延出していない部位によって形成されている。従って、各換気流路55は、機械室13から仕切り板12の換気口12a及びベース部材50の流入開口53(流入領域53a)を通じてベース部材50の内部空間に流入した空気を、吸音部材70の凹部71及び排気口41を経て熱交換器室14まで流出させる機能を果たす(図5中の白抜き矢印参照)。この場合、流入領域53aは、ベース部材50の底部51のうち吸音部材70の凹部71から離間した部位(流入開口53の一方の端部)に設定されるのが好ましい。これにより、流入領域53aから凹部71を通って排気口41に至る換気流路55の距離を極力延ばすことが可能になる。
【0034】
尚、図5が参照されるように、本実施の形態の換気ユニット40では、カバー部材60の鍔部62の下縁面62bよりも上方にベース部材50の枠部52の上縁面52eが位置するように構成されている。即ち、カバー部材60の鍔部62とベース部材50の枠部52とが水平方向について互いに重なり合うように構成されている。この構成によれば、排気口41が上向きに開口しておらず、またカバー部材60自体がベース部材50との間からの水の浸入を防止する防止壁となるため、水の浸入を防止するための構造の簡素化を図ることができる。
【0035】
ここで、本実施の形態の換気ユニット40の作用効果を図6及び図7を参照しつつ詳細に説明する。尚、これらの図面では、ベース部材50の換気流路55を通る空気の流れを明確に説明するために、便宜上、カバー部材60の記載を省略している。
【0036】
上記構成の換気ユニット40は、室外機10の運転時に排熱ファン31が駆動されることによって作動する。換気ユニット40の作動状態において、機械室13の空気は、排熱ファン31の吸引作用によって流入開口53の流入領域53aを通じてベース部材50内に流入し、更に、流入開口53の両側の各換気流路55を経由した後に排気口41を通じて熱交換器室14へと流出する。このとき、機械室13の空気は、換気ユニット40を経て熱交換器室14に排気される一方で、換気ユニット40の各換気流路55を通過する過程で吸音される。ここで、図6及び図7に示されるように、換気ユニット40の一方の換気流路55では矢印R1で示すような空気流れが形成され、換気ユニット40の他方の換気流路55では矢印R2で示すような空気流れが形成される。
【0037】
各換気流路55は、図7が参照されるように、平面視が概ね三角形であり、ベース部材50の底部51の対角線方向に長尺状に延在する空間として構成されている。従って、各換気流路55の流路幅は、流入領域53aから排気口41に向かうにつれて徐々に拡張された後に徐々に縮小される。このとき、空気は各換気流路55を流れる過程で吸音部材70の下面70aに接触することによって吸音される。この場合、ベース部材50と吸音部材70とによって各換気通路55が区画形成されるため、ベース部材50及び吸音部材70の寸法を適宜に選択することによって、所望の消音性能を得るのに必要な換気通路55の容積を確保することができる。従って、消音性能に優れた換気ユニット40を提供することができる。特に、各換気流路55をベース部材50の底部51の対角線方向に延在させることによって、各換気流路55の長さや容積が極力大きくなるように設定することができる。その結果、各換気流路55を流れる空気が吸音部材70に接触する時間を増やすことができ消音性能が高まる。一方で、カバー部材60をベース部材50に被せて吸音部材40をカバー部材60とベース部材50の枠部52とで挟み込む構造、及び吸音部材70を利用して換気流路55を形成する構造を採用することによって、換気ユニット40における消音構造を簡素化することができる。
【0038】
また、上記構成の換気ユニット40によれば、ベース部材50の内部に設けられた延出壁54が消音用の壁となり、枠部52の縦壁との協働によってベース部材50の内部空間を水平方向に伝わる音を二重に遮断することができる。従って、ベース部材50の内部空間からベース部材50の外部へと伝わる音のレベルを抑えることが可能になる。また、消音用の延出壁54を利用して換気流路55を区画形成することができるため部品点数が増えるのを抑えるのに有効である。
【0039】
上記構成の換気ユニット40では、機械類20の構成要素である吸気ホース21の突出部22をベース部材50の流入開口53に収容する収容構造について記載したが、本発明にかかる換気ユニットはこのような収容構造を必須とするものではない。図2に示される換気ユニット40に代えて、例えば図8示される換気ユニット140を採用することもできる。
【0040】
図8に示される換気ユニット140は、ベース部材150の構造についてのみ換気ユニット40と相違しており、その他の構成要素の構造については換気ユニット40と同様である。具体的に説明すると、換気ユニット140のベース部材150は、底部51の各部位のうち吸音部材70の凹部71から離間した部位に流入開口153を備えている。この流入開口153は、ベース部材50に設けられた流入開口53とは異なり、平面視が四角形の底部51の4つの辺のうちの1つに沿って延在する長穴である。また、ベース部材150は、ベース部材50に設けられた延出壁54のような部位を備えていない。従って、ベース部材150の内部空間の全体が換気流路55となる。
【0041】
この換気ユニット140の場合、図9に示されるように、流入開口53を通じてベース部材150の内部空間に流入した空気は、第3方向D3に沿って概ね直線的に吸音部材70の凹部71に向けて流れた後に排気口41を通じて熱交換器室14に排気される。この換気ユニット140では、ベース部材50のうち吸音部材70の凹部71から最も遠い位置にある辺の近傍に流入開口53が設けられるのが好ましい。その結果、換気流路55を流れる空気が吸音部材70に接触する時間を増やすことができ消音性能が高まる。
【0042】
この場合も、前述の換気ユニット40の用いる場合と同様に、消音性能に優れ且つ構造が簡素化された換気ユニット140を提供することができる。尚、この換気ユニット140では、ベース部材150の内部空間に前述の延出壁54のように、消音のための第1の機能と換気流路55を区画形成する第2の機能との両機能を兼ね備える壁部分を設ける構成や、第1の機能及び第2の機能のうちのいずれか一方の機能のみを有する壁部分を設ける構成を採用することもできる。
【0043】
本発明は、上記の典型的な実施形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0044】
上記の実施形態の換気ユニット40では、ベース部材50の底部51の対角線方向に1つの流入開口53及び2つの換気流路55がそれぞれ延在する場合について記載したが、本発明では、流入開口53及び換気流路55のそれぞれの数、延在方向、形状などを必要に応じて適宜に設定することができる。
【0045】
上記実施の形態では、換気ユニット40,140とその構成要素であるベース部材50,150、カバー部材60及び吸音部材70がいずれも平面視で四角形となる場合について記載したが、本発明ではこれらの各要素の平面視での形状は四角形に限るものではなく、その他の形状、例えば多角形、円形、楕円形などを適宜に採用することもできる。
【符号の説明】
【0046】
10…エンジン駆動式空気調和装置の室外機、11…本体ケーシング、12…仕切り板、12a…換気口、12b…上面、13…機械室、14…熱交換器室、20…機械類、21…吸気ホース、22…突出部、23…吸気ダクト、30…熱交換器、31…排熱ファン、40,140…換気ユニット、41…排気口、50,150…ベース部材、51…底部、51a…貫通孔、51b…上面、52…枠部、52a…延出片、52b…貫通孔、52c…外壁面、52d…内壁面、52e…上縁面、53,153…流入開口、54…延出壁、54a…上縁面、54b…外壁面、55…換気流路、60…カバー部材、61…天板部、62…鍔部、62a…貫通孔、70…吸音部材、70a…下面、71…凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9