特許第6357977号(P6357977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6357977
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】自動発券機
(51)【国際特許分類】
   G07B 5/00 20060101AFI20180709BHJP
   G07B 1/00 20060101ALI20180709BHJP
   G07F 1/02 20060101ALI20180709BHJP
   G07F 9/10 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   G07B5/00 Z
   G07B5/00 101
   G07B1/00 A
   G07F1/02 105A
   G07F9/10 C
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-172060(P2014-172060)
(22)【出願日】2014年8月26日
(65)【公開番号】特開2016-45897(P2016-45897A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069615
【弁理士】
【氏名又は名称】金倉 喬二
(72)【発明者】
【氏名】金子 武
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 俊貴
【審査官】 森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−133785(JP,A)
【文献】 特開2007−048034(JP,A)
【文献】 実開平02−130069(JP,U)
【文献】 特開2006−244322(JP,A)
【文献】 特開2002−092717(JP,A)
【文献】 特開平01−251190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 5/00 − 5/12
G07B 1/00 − 1/08
G07F 9/00 − 9/10
G07F 7/00 − 7/12
G07F 1/00 − 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筺体と、
前記筐体の前面に形成された開口部と、
前記開口部の奥側に配置され、媒体の挿入および/もしくは排出を行う媒体取扱口と、を備え、
前記開口部に、前記媒体取扱口の前方に切欠き部が形成されたパネルを設け、
前記切欠き部の上端部を山形状に形成すると共に、前記上端部の上部に山形状の溝を形成し
前記溝の上部に面取を設けたことを特徴とする自動発券機。
【請求項2】
請求項1に記載の自動発券機において、
前記面取は、前記溝の底部から前面に向って上方に傾斜する斜面であることを特徴とする自動発券機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の自動発券機において、
前記切欠き部の上端部の中央部に逃げ部を設けたことを特徴とする自動発券機。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の自動発券機において、
前記切欠き部の上側の端面に、薄板部を形成したことを特徴とする自動発券機。
【請求項5】
請求項に記載の自動発券機において、
前記薄板部は、前記端面の前面側に形成されていることを特徴とする自動発券機。
【請求項6】
請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の自動発券機において、
前記パネルは、透明な樹脂材料で形成されていることを特徴とする自動発券機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車の駅等に設置され、乗車券や座席指定券、特急券等の券類を発券する自動発券機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の駅等に設置される自動発券機は、2枚の側壁部と前面壁部、底面部により区切られた空間である操作開口部を装置の前面に設け、その前面壁部にカード挿入口や発券口等を設けて、切符や定期券等を発券している(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−198480号公報(段落0002、0016−0018、第1図、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、自動発券機の操作開口部の前面壁部にカード挿入口や発券口等が直接開口しているため、その自動発券機を特急券等の購入用に駅のホーム等の屋外に設置した場合には、降雨時に、精算のための乗車券の挿入時や発券された特急券等の取出時、カードの挿入、取出時に、特急券やカード等の媒体が濡れてしまうという問題がある。このことは、自動発券機を屋根のないホーム等に設置した場合に、特に問題になる。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、自動発券機を駅のホーム等の屋外に設置した場合であっても、特急券やカード等の媒体の濡れを防止する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、筺体と、前記筐体の前面に形成された開口部と、前記開口部の奥側に配置され、媒体の挿入および/もしくは排出を行う媒体取扱口と、を備え、前記開口部に、前記媒体取扱口の前方に切欠き部が形成されたパネルを設け、前記切欠き部の上端部を山形状に形成すると共に、前記上端部の上部に山形状の溝を形成し、前記溝の上部に面取を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
これにより、本発明は、上方から前面を伝って開口部に落ちてくる雨水が媒体取扱口に流れ込んで、媒体取扱口上に落下することを防止することができ、媒体の挿入、排出、取出時に媒体が濡れてしまうことを防止することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例1の自動発券機の外観を示す説明図
図2】実施例1のカード取扱部を示す説明図
図3】実施例1のパネルを示す説明図
図4】実施例2のパネルを示す説明図
図5】実施例3のパネルを示す説明図((a)正面図、(b)A−A断面の拡大図)
図6】実施例3の作用を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、図面を参照して本発明による自動発券機の実施例について説明する。
【実施例1】
【0009】
以下に、図1ないし図3を用いて本実施例の自動発券機について説明する。
図1において、1は自動発券機であり、駅のホームに設置され、顧客に列車の乗車券や座席指定券、定期券、各種の予約券等の媒体としての券類を発行する機能等を有している。本実施例の自動発券機は、顧客が所持する媒体としてのカードで料金の支払い等を行うカード専用の自動発券機である。
2は操作表示部であり、自動発券機1の筐体3の前面に設けられ、LCD等の表示画面とタッチパネル等の入力手段との組合せで構成されており、表示画面に各種の選択画面や顧客の処置を促す画面等を表示すると共に、入力手段により顧客からの入力を受付ける機能等を有している。
【0010】
4は筐体3の前面板の一部であるフロント扉であり、自動発券機1の保守等を行う係員が、券類の用紙の補充やジャム等の不具合の発生時等にメンテナンス等を行うために開閉する。
5は媒体取扱部としての券類取扱部であり、フロント扉4の前面側に設けられた矩形の開口部5aの奥側の高さ方向の中央部には、料金精算用の乗車券の挿入や、発行した特急券等を排出する媒体取扱口としての券類挿入排出口が設けられており、券類挿入排出口から挿入された顧客の券類の磁気ストライプ等に記録されている乗車区間や有効期限、発行日等の券類情報を読み書きする機能や、顧客に発券する券類に券類情報や注意事項等を印刷して排出する機能等を有している。
【0011】
6は媒体取扱部としてのカード取扱部であり、フロント扉4の前面側に設けられた矩形の開口部6aから挿入された顧客のICカードやクレジットカード等のカードのICチップや磁気ストライプ等に記録されている現金残高や顧客の口座の口座情報等のカード情報を読み書きする機能等を有している。
なお、券類取扱部5は、取扱う媒体が異なる以外はカード取扱部6と同等の構成を有しているので、以下の説明においては、カード取扱部6についてのみ説明する。
【0012】
カード取扱部6は、図2に示すように、開口部6aの奥側の高さ方向の中央部に、顧客のカードの挿入や排出を行う媒体取扱口としてのカード挿入排出口10が設けられており、そのカード挿入排出口10は、顧客のカードを筐体3の内部へ取込むと共に読取等の処理後のカードを排出するカード入出穴11と、顧客のカードを載置して当該カードをカード入出穴11へ導くと共にカード入出穴11から排出されたカードを載置して顧客に取出させるためのステージ12と、ステージ12の両側の側端に立設されたガイド板13等で構成される。
【0013】
また、ステージ12の上方には、ステージ12上のカードの視認性および操作性を確保するために、開口部6aの上端から奥側に向かって下側に傾斜する傾斜面15が設けられ、ステージ12の下方には、ステージ12を支持するために、開口部6aの下端から奥側に向かって上側に傾斜する斜面を有する支持台16が設けられており、開口部6aの周囲には、枠体17が設けられている。
このように、本実施例のカード挿入排出口10は、フロント扉4の前面から突出しない位置に配置されているので、ステージ12が真上から押されて破損することはなく、また操作する顧客がステージ12の角等に手等を引掛けて怪我等の傷害を与えることもない。
【0014】
本実施例のカード取扱部6のカード挿入排出口10の前方には、図3に示すように、開口部6aの前面側に枠体17に替えて、枠体17と同等の外径形状を有するパネル20が設けられている。
このパネル20は、鋼板等の金属材料で形成された、開口部6aの上部側に設けられた傾斜面15を覆う板状部材であって、その下部側には、ステージ12の下側が枠体17の内側の開口と同等の幅に矩形状に切欠かれた切欠き部21が形成されている。
【0015】
また、切欠き部21には、ステージ12上のカードの視認性および操作性を向上させるために、その上端部を、上側に凸の山形状に切欠かいた山形部22が形成され、その山形部22の頂部である中央部には、カードの挿入、取出時に指等が当たることを防止するために、上側に凸の円弧状に切欠かいた逃げ部23が形成されている。
つまり、本実施例の切欠き部21は、下部側の矩形状の切欠き、山形部22および逃げ部23で構成されている。
【0016】
このように、本実施例では、フロント扉4のカード取扱部6の開口部6aに、その上部側を覆いカード挿入排出口10の前方に切欠き部21を形成したパネル20を設けたので、上方からフロント扉4の前面を伝って開口部6aに落ちてくる雨水が、媒体取扱口であるカード挿入排出口10に流れ込んで、ステージ12上等に落下することを防止することができ、媒体であるカードの挿入、排出、取出時に、カードが濡れてしまうことを防止することができる。
また、切欠き部21の上端部を山形状に切欠いた山形部を設けたので、ステージ12上のカードの視認性および操作性を向上させることができる。
【0017】
更に、山形部22の中央部を、円弧状に切欠いた逃げ部23を設けたので、カードの挿入、取出時に指等が当たることを防止して、カードの挿入、取出時における操作性を更に向上させることができる。
更に、本実施例のカード取扱部6には、例えば、雨よけの庇等のフロント扉4の前面から突出する部分がないので、ステージ12が上から押されて破損することを防止することができ、操作する顧客がステージ12の角等に手等を引掛けて怪我等の傷害を与えることを防止することができる。
【実施例2】
【0018】
以下に、図4を用いて本実施例の自動発券機について説明する。なお上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例のカード取扱部6の開口部6aの上部側を覆うパネル20には、図4に示すように、切欠き部21の上端部に形成された山形部22および逃げ部23の上部に、山形部22および逃げ部23の形状に沿った山形状の溝30が形成されている。
【0019】
この溝30は、パネル20の前面を掘り込んで形成された有底の溝であって、雨水により形成される水滴の大きさが直径0.5〜4mm程度であるため、その深さは2mm以上に形成され、その溝幅は3mm以上、5mm以下に形成されており、溝30の上方からフロント扉4の前面を伝って落ちてくる雨水を捕捉しステージ12上から側方に導いて下方に落下させる機能を有している。
【0020】
このように、本実施例では、切欠き部21の上端部に形成された山形部22および逃げ部23の上部に山形状の溝30を設けたので、上記実施例1と同様の効果に加えて、上方からフロント扉4の前面を伝って開口部6aに落ちてくる雨水を溝30で捕捉しステージ12上から側方に導いて下方に落下させることが可能になり、雨水が媒体取扱口であるカード挿入排出口10に流れ込んで、ステージ12上等に落下することを防止することができ、媒体であるカードの挿入、排出、取出時に、カードが濡れてしまうことを防止することができる。
【実施例3】
【0021】
以下に、図5および図6を用いて本実施例の自動発券機について説明する。なお上記実施例1および実施例2と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例のカード取扱部6の開口部6aの上部側を覆うパネル20には、図5に示すように、上方からフロント扉4の前面を伝って開口部6aに落ちてくる雨水の、溝30による捕捉をより容易に行うために、溝30の上部の端面の前面側に、雨水を溝30の底部に導くための、底部から前面側に向かって上方に傾斜する斜面である面取40が設けられている(図5(b)参照)。
【0022】
また、パネル20の切欠き部21の上端部に形成された山形部22および逃げ部23の上側の端面には、図5(b)に示すように、筐体3の内部側に、端面から筐体3の内部側に向かって上方に傾斜する斜面である面取41aが設けられ、その上側の端面の前面側に薄板部41bが形成されている。
このような薄板部41bを設けることによって、水滴の大きさと落下角度が同一の場合に、図6(a)に示す厚板の場合に比べて、先端が薄い薄板の方が水平方向の移動距離が短くなり、水滴をほぼ真下に落下させることが可能になる。
【0023】
このようになるのは、先端が薄い薄板の方が、水滴が落下するときの端面との表面張力が小さくなるからである。
なお、面取41aにより形成する薄板部41bは、山形部22および逃げ部23の上部の端面の全体に設けるようにしてもよいが、少なくとも、切欠き部21の上部の端面のステージ12の上方の領域に形成すれば足りる。
【0024】
このように、本実施例では、切欠き部21の上部の端面の前面側に薄板部41bを設けたので、上記実施例2と同様の効果に加えて、上方からパネル20の前面を伝って切欠き部21に落ちてくる雨水を、筺体3の内部の方向ではなく真下に落下し易くすることが可能になり、雨水が媒体取扱口であるカード挿入排出口10に流れ込んで、ステージ12上等に落下することを防止することができ、媒体であるカードの挿入、排出、取出時に、これらの媒体が濡れてしまうことを防止することができる。
【0025】
なお、上記各実施例においては、パネル20は鋼板等の金属材料で形成するとして説明したが、パネル20を、ポリカーボネートやアクリル等の透明な樹脂材料で形成するようにしてもよい。このようにすれば、カード等の媒体の挿入、排出、取出時における視認性を更に向上させることができる。
また、上記各実施例においては、パネル20は枠体17に替えて設けるとして説明したが、下部側の矩形状の切欠きを枠体17のままとし、上部側に山形部22および/もしくは逃げ部23からなる切欠き部を形成したパネルを設けるようにしてもよく、枠体17の上部側の内側面に山形部22および/もしくは逃げ部23からなる切欠き部を形成したパネルを嵌め込むようにしてもよい。
【0026】
更に、上記各実施例においては、媒体取扱口は、媒体であるカードや券類の挿入および排出を行うとして説明したが、媒体である紙幣の挿入のみを行う紙幣挿入口や、媒体である乗車券等の券類の排出のみを行う券類排出口を備えた自動発券機に適用しても上記と同様の効果を得ることができる。要は、媒体の挿入もしくは排出またはその両方を行う媒体取扱口に本発明のパネル20を設ければ、その媒体の濡れを防止することができる。
【0027】
更に、上記各実施例においては、自動発券機1はカード専用の自動発券機であるとして説明したが、紙幣や硬貨による料金の支払いを可能にした自動発券機に本発明を適用しても同様の効果を得ることができる。この場合において、媒体取扱部としての紙幣取扱部や硬貨取扱部を設けるときは、その紙幣の紙幣挿入排出口や硬貨の挿入口および硬貨の払出口に上記各実施例で説明したパネル20を設ければ、媒体である紙幣や硬貨の濡れを防止することができる。
【0028】
更に、上記各実施例においては、自動発券機1は、駅のホームに設置するとして説明したが、駐車場に設置される駐車券の自動発券機や、セルフ式のガソリンスタンド等に設置され顧客に領収書等を排出する自動発券機等に本発明を適用すれば、上記と同様の効果を得ることができる。この場合に、当該自動発券機が、紙幣や硬貨の媒体取扱部を備えているときは、前記と同様に、紙幣等の媒体取扱口に本発明のパネル20を設ければ、紙幣や硬貨の濡れを防止することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 自動発券機
2 操作表示部
3 筐体
4 フロント扉
5 券類取扱部
5a、6a 開口部
6 カード取扱部
10 カード挿入排出口
11 カード入出穴
12 ステージ
13 ガイド板
15 傾斜面
16 支持台
17 枠体
20 パネル
21 切欠き部
22 山形部
23 逃げ部
30 溝
40、41a 面取
41b 薄板部
図1
図2
図3
図4
図5
図6