特許第6358079号(P6358079)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6358079蓄電装置モジュールにおける弾性部材の厚み調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6358079
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】蓄電装置モジュールにおける弾性部材の厚み調整方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20180709BHJP
【FI】
   H01M2/10 E
   H01M2/10 S
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-263092(P2014-263092)
(22)【出願日】2014年12月25日
(65)【公開番号】特開2016-122622(P2016-122622A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2017年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】山口 祐良
(72)【発明者】
【氏名】守作 直人
(72)【発明者】
【氏名】寺林 治
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩生
(72)【発明者】
【氏名】加藤 崇行
【審査官】 小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−026703(JP,A)
【文献】 特開2010−198933(JP,A)
【文献】 特開2016−119149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に配列された複数の蓄電装置ユニットと、前記複数の蓄電装置ユニットを複数組のボルト及びナットにより前記蓄電装置ユニットの配列方向の両側から拘束する1対の拘束部材と、前記拘束部材と前記蓄電装置ユニットとの間に配置された弾性部材とを備えた蓄電装置モジュールを準備する工程と、
前記拘束部材と前記蓄電装置ユニットとに挟まれると共に前記弾性部材の厚みを設定する厚み設定部を有する治具を準備する工程と、
前記拘束部材と前記蓄電装置ユニットとの間に前記厚み設定部を配置し、その状態で前記厚み設定部が前記拘束部材と前記蓄電装置ユニットとに挟持されるように前記ボルト及び前記ナットを締め付ける工程と、
前記ボルト及び前記ナットを締め付ける工程を実施した後、前記ボルト及び前記ナットの一方を他方に対して緩める方向に所定回転数分だけ回転させ、その状態で前記拘束部材と前記蓄電装置ユニットとの間から前記厚み設定部を取り出す工程とを含むことを特徴とする蓄電装置モジュールにおける弾性部材の厚み調整方法。
【請求項2】
前記ボルト及び前記ナットを締め付ける工程では、前記弾性部材の上方及び下方における前記拘束部材と前記蓄電装置ユニットとの間に前記厚み設定部をそれぞれ配置することを特徴とする請求項1記載の蓄電装置モジュールにおける弾性部材の厚み調整方法。
【請求項3】
前記治具を準備する工程では、前記弾性部材の上方及び下方において前記拘束部材と前記蓄電装置ユニットとに挟まれる2つの前記厚み設定部と、前記2つの厚み設定部を繋ぐ接続部とを有する前記治具を準備することを特徴とする請求項2記載の蓄電装置モジュールにおける弾性部材の厚み調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置モジュールにおける弾性部材の厚み調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、電池セルとこの電池セルを保持する電池ホルダとを有する積層体と、積層体の両側に配置された1対のエンドプレートと、積層体とエンドプレートとの間に配置され、積層方向に弾性を有する弾性部材とを備えた電池モジュールが開示されている。このような電池モジュールでは、積層体、弾性部材及びエンドプレートを積層した後に、積層方向に荷重を印加することにより、弾性部材が圧縮されて変形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−81056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の電池モジュールにおいては、弾性部材の厚みが設計値となるように弾性部材を圧縮する必要がある。しかし、上記従来技術のように荷重を印加して弾性部材を圧縮する場合には、弾性部材の厚みがばらつきやすくなるため、弾性部材の厚みを設計値の範囲内に収めることが困難である。
【0005】
本発明の目的は、弾性部材の厚みを所望の範囲内に収めることができる蓄電装置モジュールにおける弾性部材の厚み調整方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る蓄電装置モジュールにおける弾性部材の厚み調整方法は、一方向に配列された複数の蓄電装置ユニットと、複数の蓄電装置ユニットを複数組のボルト及びナットにより蓄電装置ユニットの配列方向の両側から拘束する1対の拘束部材と、拘束部材と蓄電装置ユニットとの間に配置された弾性部材とを備えた蓄電装置モジュールを準備する工程と、拘束部材と蓄電装置ユニットとに挟まれると共に弾性部材の厚みを設定する厚み設定部を有する治具を準備する工程と、拘束部材と蓄電装置ユニットとの間に厚み設定部を配置し、その状態で厚み設定部が拘束部材と蓄電装置ユニットとに挟持されるようにボルト及びナットを締め付ける工程と、ボルト及びナットを締め付ける工程を実施した後、ボルト及びナットの一方を他方に対して緩める方向に所定回転数分だけ回転させ、その状態で拘束部材と蓄電装置ユニットとの間から厚み設定部を取り出す工程とを含むことを特徴とする。
【0007】
このような弾性部材の厚み調整方法においては、まず拘束部材と蓄電装置ユニットとの間に治具の厚み設定部を配置する。このとき、弾性部材の厚みの設計値よりも僅かに小さい幅寸法を有する厚み設定部を使用する。そして、厚み設定部が拘束部材と蓄電装置ユニットとに挟持されるようにボルト及びナットを締め付ける。すると、弾性部材の厚みが厚み設定部の幅寸法と等しくなる。その後、ボルト及びナットの一方を他方に対して緩める方向に所定回転数分だけ回転させ、その状態で拘束部材と蓄電装置ユニットとの間から厚み設定部を取り出す。このとき、所定回転数としては、ボルト及びナットの一方を回転させた後に弾性部材の厚みが設計値範囲を外れないような回転数に設定する。これにより、弾性部材の厚みを所望の範囲内に収めることができる。
【0008】
ボルト及びナットを締め付ける工程では、弾性部材の上方及び下方における拘束部材と蓄電装置ユニットとの間に厚み設定部をそれぞれ配置してもよい。この場合には、弾性部材の上部及び下部の厚みを均等にすることができる。従って、弾性部材の厚み調整を高精度に行うことができる。
【0009】
治具を準備する工程では、弾性部材の上方及び下方において拘束部材と蓄電装置ユニットとに挟まれる2つの厚み設定部と、2つの厚み設定部を繋ぐ接続部とを有する治具を準備してもよい。この場合には、治具を蓄電装置ユニットの配列方向及び高さ方向に垂直な方向に移動させることで、2つの厚み設定部を弾性部材の上方及び下方における拘束部材と蓄電装置ユニットとの間に同時に配置することができる。従って、弾性部材の厚み調整を行う際の手間を軽減することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、弾性部材の厚みを所望の範囲内に収めることができる蓄電装置モジュールにおける弾性部材の厚み調整方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る弾性部材の厚み調整方法が適用される蓄電装置モジュールとして電池モジュールを示す上視平面図である。
図2図1に示された電池モジュールのゴム部材にゴム厚み調整用治具が支持された状態を示す斜視図である。
図3図2に示された電池モジュールをゴム厚み調整用治具の断面と共に示す側面図である。
図4図2に示されたゴム厚み調整用治具を用いてゴム部材の厚みを調整する工程の手順を示すフローチャートである。
図5】ゴム部材に加える荷重とゴム部材の厚みとの関係を表すグラフである。
図6】加圧拘束によりゴム部材の厚み調整を実施したときの結果と、定寸拘束によりゴム部材の厚み調整を実施したときの結果とを比較して表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1は、一実施形態に係る弾性部材の厚み調整方法が適用される蓄電装置モジュールとして電池モジュールを示す上視平面図である。図1において、電池モジュール1は、一方向に配列された複数(ここでは7つ)の蓄電装置ユニットとしての電池ユニット2から構成される電池ユニット群3と、この電池ユニット群3の両側に配置された1対のエンドプレート4とを備えている。
【0014】
電池ユニット2は、蓄電装置としての二次電池5と、この二次電池5を保持する電池ホルダ6とを有している。本実施形態では、二次電池5はリチウムイオン二次電池である。二次電池5は、直方体状を呈している。
【0015】
二次電池5の上部には、正極端子7及び負極端子8が設けられている。隣り合う2つの二次電池5は、正極端子7及び負極端子8が互いに逆向きとなるように配置されている。そして、隣り合う2つの二次電池5の正極端子7及び負極端子8同士がバスバー9を介して接続されている。なお、電池ユニット群3の上方には、バスバーカバー10が配置されている(図2参照)。
【0016】
電池ホルダ6は、樹脂からなっている。電池ホルダ6は、二次電池5を取り囲むように収容する枠体部11を有している。枠体部11の上端部及び下端部には、後述するボルト16のネジ部16aが挿通されるボルト挿通孔を有するボルトガイド部12が複数(ここでは2つ)ずつ設けられている。
【0017】
一方のエンドプレート4と電池ユニット群3を構成する複数の電池ユニット2のうち一端側に位置する電池ユニット2との間には、中間板13及びゴム部材15が電池ユニット2の配列方向に並ぶように配置されている。中間板13は、電池ユニット2に隣接して配置されている。ゴム部材15は、エンドプレート4に隣接して配置されている。
【0018】
エンドプレート4は、複数の電池ユニット2を複数組(ここでは4組)のボルト16及びナット17により電池ユニット2の配列方向の両側から拘束する拘束部材である。エンドプレート4は、剛性の高い金属(例えば鉄)からなっている。ナット17は、ゴム部材15側においてボルト16と螺合する。
【0019】
ゴム部材15は、二次電池5の膨張を吸収するための弾性部材である。ゴム部材15は、図2に示されるように、平面視矩形の平板状を呈している。ゴム部材15は、二次電池5に対応する高さ位置に配置されている。ゴム部材15は、エンドプレート4、ボルト16及びナット17により一定量だけ電池ユニット2の配列方向に圧縮された状態で組み付けられる。このため、ゴム部材15の厚みAは、精度良く調整される必要がある。なお、ゴム部材15の厚みAは、ゴム部材15における電池ユニット2の配列方向の寸法である。
【0020】
そこで、本実施形態に係る弾性部材の厚み調整方法においては、図2及び図3に示されるようなU字形のゴム厚み調整用治具20を用いて、定寸拘束によってゴム部材15の厚みAを調整する。
【0021】
ゴム厚み調整用治具20は、ゴム部材15の厚みAを設定する2つの厚み設定部21,22と、これらの厚み設定部21,22の一端部同士を繋ぐ接続部23とを有している。厚み設定部21,22は、何れも断面矩形の棒状を呈している。なお、厚み設定部21,22の形状としては、特に断面矩形状には限られず、断面円形状(円柱状)等であってもよい。
【0022】
厚み設定部21は、ゴム部材15の上面と電池ホルダ6の枠体部11の上端部に設けられたボルトガイド部12に案内されるボルト16との間のスペースに配置されると共に、エンドプレート4と電池ユニット2とに挟まれる。厚み設定部22は、ゴム部材15の下面と電池ホルダ6の枠体部11の下端部に設けられたボルトガイド部12(図示せず)に案内されるボルト16との間のスペースに配置されると共に、エンドプレート4と電池ユニット2とに挟まれる。なお、図2では、エンドプレート4は省略してある。
【0023】
厚み設定部21,22の幅寸法Bは等しい。このとき、厚み設定部21,22の幅寸法Bは、ゴム部材15の厚み目標値よりも僅かに小さくなっている。具体的には、厚み設定部21,22の幅寸法Bは、後述するようにエンドプレート4と電池ユニット2との間から厚み設定部21,22を取り出す際に、ボルト16に対してナット17を緩める方向に回転させる量(後述の所定回転数)に対応する寸法だけゴム部材15の厚み目標値よりも小さくなっている。ゴム部材15の厚み目標値は、例えばゴム部材15の厚みAの設計値範囲の中心値である。厚み設定部21の高さ寸法は、厚み設定部22の高さ寸法よりも大きい。厚み設定部21,22間の距離は、ゴム部材15の高さ寸法とほぼ等しい。
【0024】
接続部23には、長円形状の貫通孔23aが形成されている。接続部23における貫通孔23aに対して厚み設定部21,22の先端の反対側に位置する壁部は、取っ手24を構成している。このように接続部23に取っ手24を設けることにより、ゴム厚み調整用治具20が使いやすくなる。
【0025】
図4は、ゴム厚み調整用治具20を用いてゴム部材15の厚みAを調整する工程の手順を示すフローチャートである。図4において、まずゴム部材15の厚み調整が済んでいない電池モジュール1を準備する(工程S1)。このとき、ゴム部材15の厚みAは、厚み設定部21,22の幅寸法Bよりも大きくなっている。また、ゴム厚み調整用治具20を準備する(工程S2)。
【0026】
続いて、図2及び図3に示されるように、電池モジュール1を支持装置25に支持した状態で、ゴム厚み調整用治具20を電池ユニット2の幅方向(電池ユニット2の配列方向及び高さ方向に垂直な方向)に移動させることで、ゴム部材15の上方におけるエンドプレート4と電池ユニット2との間に厚み設定部21を配置すると共に、ゴム部材15の下方におけるエンドプレート4と電池ユニット2との間に厚み設定部22を配置する。詳細には、厚み設定部21,22をエンドプレート4と中間板13との間に配置する(工程S3)。このとき、厚み設定部21,22間の距離はゴム部材15の高さ寸法とほぼ等しいため、ゴム厚み調整用治具20はゴム部材15に支持された状態となる。
【0027】
そして、その状態で、厚み設定部21,22がエンドプレート4と電池ユニット2とに挟持されるように、各組のボルト16及びナット17を締め付ける(工程S4)。このとき、電池ユニット2は、中間板13を介してエンドプレート4と協働して厚み設定部21,22を挟持する。このため、厚み設定部21,22は、エンドプレート4及び中間板13に接触した状態となる。これにより、ゴム部材15が圧縮されて、ゴム部材15の厚みAが厚み設定部21,22の幅寸法Bと等しくなる。
【0028】
その後、各ナット17を各ボルト16に対して緩める方向(締め付ける方向とは逆の方向)に予め決められた所定回転数分だけ回転させる(工程S5)。これにより、厚み設定部21,22とエンドプレート4及び中間板13との間には、僅かな隙間が形成される。また、ゴム部材15の厚みAが厚み設定部21,22の幅寸法Bよりも僅かに大きくなる。このとき、所定回転数は、ナット17を緩める方向に回転させた後にゴム部材15の厚みAが設計値範囲を超えないようにする回転数、例えば半回転または1回転に設定されている。
【0029】
そして、ゴム厚み調整用治具20を電池ユニット2の幅方向に移動させることで、エンドプレート4と電池ユニット2との間から厚み設定部21,22を取り出す。詳細には、厚み設定部21,22をエンドプレート4と中間板13との間から取り出す(工程S6)。これにより、電池モジュール1におけるゴム部材15の厚み調整が終了する。
【0030】
ところで、ボルト16及びナット17によりゴム部材15に対して荷重を加える加圧拘束によって、ゴム部材15の厚み調整を行う場合には、ゴム部材15の厚みAを設計値範囲内に収めることが困難である。その理由は、以下の通りである。
【0031】
図5は、ゴム部材15に加える荷重とゴム部材15の厚みAとの関係を表したグラフである。図5に示されるグラフにおいて、横軸はゴム部材15の厚みAを示し、縦軸はゴム部材15に加える荷重を示している。ゴム部材15に加える荷重が大きくなるほど、ゴム部材15の厚みAが小さくなる。
【0032】
このようなゴム特性において、ゴム部材15の厚みAの設計値範囲Hが存在する領域では、ゴム部材15に加える荷重を少し変えると、ゴム部材15の厚みAが大きく変動する。このため、ゴム部材15の厚みAがばらつきやすくなり、結果的にゴム部材15の厚みAが設計値範囲Hを外れてしまう。
【0033】
図6(a)は、5つの電池モジュール1のサンプルについて、加圧拘束によりゴム部材15の厚み調整を3回ずつ実施したときの結果を表したグラフである。図6(a)から分かるように、厚み調整を実施した何れについても、ゴム部材15の厚みAが設計値範囲Hを外れている。
【0034】
図6(b)は、4つの電池モジュール1のサンプルについて、ゴム厚み調整用治具20を用いた定寸拘束によってゴム部材15の厚み調整を3回ずつ実施したときの結果を表したグラフである。図6(b)から分かるように、厚み調整を実施した何れについても、ゴム部材15の厚みAが設計値範囲H内に収まっている。
【0035】
以上のように本実施形態にあっては、まずエンドプレート4と電池ユニット2との間に、ゴム厚み調整用治具20の厚み設定部21,22を配置する。このとき、厚み設定部21,22は、ゴム部材15の厚み目標値よりも僅かに小さい幅寸法Bを有している。そして、厚み設定部21,22がエンドプレート4と電池ユニット2とに挟持されるようにボルト16及びナット17を締め付ける。すると、ゴム部材15の厚みAが厚み設定部21,22の幅寸法Bと等しくなる。その後、ナット17をボルト16に対して緩める方向に所定回転数分だけ回転させ、その状態でエンドプレート4と中間板13との間から厚み設定部21,22を取り出す。このとき、所定回転数は、ナット17を緩める方向に回転させた後にゴム部材15の厚みAが設計値範囲を外れないようにする回転数に設定されている。これにより、ゴム部材15の厚みAを所望の範囲内に収めることができる。その結果、電池モジュール1の品質を向上させることが可能となる。
【0036】
また、ゴム部材15の上方及び下方におけるエンドプレート4と電池ユニット2との間に厚み設定部21,22をそれぞれ配置することにより、ゴム部材15の上部及び下部の厚みを均等にすることができる。従って、ゴム部材15の厚み調整を高精度に行うことができる。
【0037】
さらに、ゴム厚み調整用治具20は、厚み設定部21,22と、これらの厚み設定部21,22を繋ぐ接続部23とを有している。このため、ゴム厚み調整用治具20を電池ユニット2の幅方向に移動させることで、厚み設定部21,22をゴム部材15の上方及び下方におけるエンドプレート4と電池ユニット2との間に同時に配置することができる。従って、ゴム部材15の厚み調整を行う際の手間を軽減することができる。
【0038】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、厚み設定部21,22及び接続部23を有するU字形のゴム厚み調整用治具20を使用しているが、使用するゴム厚み調整用治具としては、特にそれに限られず、例えば厚み設定部を構成する2つの部品からなっていてもよい。この場合には、ゴム厚み調整用治具の構造を簡素化することができる。
【0039】
また、厚み設定部を構成する部品は、1つだけであってもよい。この場合、ゴム部材15の上方におけるエンドプレート4と電池ユニット2との間のみに、厚み設定部を構成する部品を配置してもよいし、或いはゴム部材15の下方におけるエンドプレート4と電池ユニット2との間のみに、厚み設定部を構成する部品を配置してもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、厚み設定部21,22がエンドプレート4と電池ユニット2とに挟持されるようにボルト16及びナット17を締め付けた後、ナット17をボルト16に対して緩める方向に所定回転数分だけ回転させているが、特にその方法には限られず、ボルト16をナット17に対して緩める方向に所定回転数分だけ回転させてもよい。
【0041】
さらに、上記実施形態では、電池ユニット群3とゴム部材15との間に中間板13が配置されているが、そのような中間板13は特に無くてもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、エンドプレート4と電池ユニット2との間にゴム部材15が配置されているが、膨張吸収用の弾性部材の材料としては、特にゴムには限られず、例えばプラスチック等であってもよい。
【0043】
さらに、上記実施形態では、蓄電装置ユニットの蓄電装置がリチウムイオン二次電池等の二次電池であるが、本発明は、特にそのような二次電池には限られず、例えば電気二重層キャパシタまたはリチウムイオンキャパシタ等の蓄電装置を備えた蓄電装置モジュールにも適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1…電池モジュール(蓄電装置モジュール)、2…電池ユニット(蓄電装置ユニット)、4…エンドプレート(拘束部材)、15…ゴム部材(弾性部材)、16…ボルト、17…ナット、20…ゴム厚み調整用治具、21…厚み設定部、22…厚み設定部、23…接続部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6