特許第6358087号(P6358087)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6358087
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】ステータ組立方法及びステータ組立装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/06 20060101AFI20180709BHJP
   H02K 15/085 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   H02K15/06
   H02K15/085
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-266283(P2014-266283)
(22)【出願日】2014年12月26日
(65)【公開番号】特開2016-127693(P2016-127693A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】橋本 伸吾
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真吾
【審査官】 安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−038898(JP,A)
【文献】 特開2014−064347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/06
H02K 15/085
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向所定角度ごとに設けられるスロット収容部と2つの前記スロット収容部を繋ぐコイルエンド部とを有する、平角導線からなる円環状の籠状コイルを、バックヨークからそれぞれ径方向内側へ向けて延びる複数のティースと2つの前記ティースの間に形成されるスロットとを有する円環状のステータコアに装着するステータ組立方法であって、
内径側端部に軸方向に向けて空いた開口を有するガイド治具を前記スロットの軸方向外側に配置すると共に、前記ガイド治具の前記開口に前記スロット収容部と前記コイルエンド部との境界部近傍が挿入された前記籠状コイルを前記ステータコアの内径側空間に配置する配置工程と、
前記籠状コイルを、前記境界部近傍を前記開口に挿入した状態で前記ガイド治具と一緒に前記ステータコアに対して内径側から外径側へ放射状に押し出すことにより、前記コイルエンド部を介して繋がる2つの前記スロット収容部の間隔を拡大しつつ該スロット収容部を前記スロットへ挿入するコイル挿入工程と、
を備えることを特徴とするステータ組立方法。
【請求項2】
前記配置工程は、前記籠状コイルを前記ステータコアの内径側空間に配置した状態で、前記ガイド治具を前記開口に前記境界部近傍が挿入されるように前記スロットの軸方向外側に配置することを特徴とする請求項1記載のステータ組立方法。
【請求項3】
前記配置工程は、前記スロットの軸方向外側に配置された前記ガイド治具を前記籠状コイルに対して外径側から内径側へ移動させることにより、前記開口に前記ステータコアの内径側空間に配置された前記籠状コイルの前記境界部近傍を挿入することを特徴とする請求項2記載のステータ組立方法。
【請求項4】
前記コイル挿入工程による前記籠状コイルの押し出し前に、該籠状コイルの前記スロット収容部に絶縁部材を装着する絶縁部材装着工程を備え、
前記コイル挿入工程は、前記絶縁部材が装着された前記スロット収容部を前記スロットへ挿入することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項記載のステータ組立方法。
【請求項5】
前記籠状コイルは、それぞれ平角導線を複数周巻回して形成される前記スロット収容部と前記コイルエンド部とを有する複数の同芯巻きコイルが円環状に配置され、周方向に離れて配置された2つの前記同芯巻きコイル同士が前記スロット収容部の各段の平角導線が径方向に交互に並ぶように組み付けられるコイルアッセンブリであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項記載のステータ組立方法。
【請求項6】
周方向所定角度ごとに設けられるスロット収容部と2つの前記スロット収容部を繋ぐコイルエンド部とを有する、平角導線からなる円環状の籠状コイルを、バックヨークからそれぞれ径方向内側へ向けて延びる複数のティースと2つの前記ティースの間に形成されるスロットとを有する円環状のステータコアに装着するステータ組立装置であって、
前記スロットの軸方向外側に配置され、内径側端部に軸方向に向けて空いた、前記籠状コイルの前記スロット収容部と前記コイルエンド部との境界部近傍が挿入される開口を有するガイド治具と、
前記籠状コイルが前記ステータコアの内径側空間に配置され、かつ、前記境界部近傍が前記開口に挿入された状態で、前記籠状コイルが前記ステータコアに対して内径側から外径側へ放射状に押し出されることで前記スロット収容部が前記スロットへ挿入される際に、前記ガイド治具を前記ステータコアに対して内径側から外径側へ移動させるガイド移動機構と、
を備えることを特徴とするステータ組立装置。
【請求項7】
前記籠状コイルが前記ステータコアの内径側空間に配置され、かつ、前記境界部近傍が前記開口に挿入された状態で、前記籠状コイルを前記ステータコアに対して内径側から外径側へ放射状に押し出すことにより、前記スロット収容部を前記スロットへ挿入する押出手段を備えることを特徴とする請求項6記載のステータ組立装置。
【請求項8】
前記ガイド治具は、径方向に向けて延びると共に、内径側端部に周方向において前記開口を挟んで二股に分かれた脚部を有することを特徴とする請求項6又は7記載のステータ組立装置。
【請求項9】
前記ガイド治具の前記開口は、前記スロットの周方向幅以下の周方向幅を有することを特徴とする請求項6乃至8の何れか一項記載のステータ組立装置。
【請求項10】
前記籠状コイルは、それぞれ平角導線を複数周巻回して形成される前記スロット収容部と前記コイルエンド部とを有する複数の同芯巻きコイルが円環状に配置され、周方向に離れて配置された2つの前記同芯巻きコイル同士が前記スロット収容部の各段の平角導線が径方向に交互に並ぶように組み付けられるコイルアッセンブリであることを特徴とする請求項6乃至9の何れか一項記載のステータ組立装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータ組立方法及びステータ組立装置に係り、特に、平角導線からなる円環状の籠状コイルを円環状のステータコアに装着するうえで好適な方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のコイルを円環状のステータコアに装着するステータ組立方法及びステータ組立装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。ステータコアは、バックヨークからそれぞれ径方向内側へ向けて延びる複数のティースと、2つのティースの間に形成されるスロットと、を有している。また、各コイルはそれぞれ、平角導線が複数周巻回されることにより形成された同芯巻きコイルであって、上記のスロットに収容されるスロット収容部と、上記のスロット外に位置するコイルエンド部と、を有している。
【0003】
上記のステータ組立装置は、ステータコアの内径側に配置される一つの治具を備えている。この治具は、略円柱状に形成されており、外周面に各コイルのスロット収容部が挿入される複数の保持溝を有している。上記のステータ組立方法は、第1の工程と、第2の工程と、を備えている。第1の工程は、治具の各保持溝にコイルを一つずつ周方向に順次取り付ける工程である。また、第2の工程は、治具に取り付けられた各コイルをステータコアの内径側空間に配置しかつその治具の各保持溝をステータコアのスロットに径方向で対向配置させたうえで、各コイルを押出手段により内径側から外径側へ放射状に押し出して、それらの各コイルのスロット収容部をステータコアのスロットへ挿入する工程である。かかる第2の工程において各コイルのスロット収容部がスロットに挿入される際、各コイルそれぞれの周方向両側の2つのスロット収容部の間隔は徐々に拡大される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−193597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の如くコイルのスロット収容部をステータコアのスロットに挿入するうえでは、コイルのスロット収容部とコイルエンド部との境界部近傍がステータコアのティースの角部に接触して傷が付くのを防止することが必要である。そこで、コイルの上記境界部近傍に傷が付くのを防止するため、ステータコアの軸方向外側に隣接してガイド治具を配置することにより、そのガイド治具によってコイルが直接にステータコアのティースに接触するのを防止することが考えられる。しかし、コイル挿入過程においてそのガイド治具がステータコアに対して固定されたままであると、コイルの上記境界部近傍が、上記ステータコアのティースの場合と同様に、ガイド治具の角部に摺動して傷が付くおそれがある。
【0006】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、コイルを円環状のステータコアに装着する際にコイルにガイド治具との摺動に起因した傷が付くのを防止することが可能なステータ組立方法及びステータ組立装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、周方向所定角度ごとに設けられるスロット収容部と2つの前記スロット収容部を繋ぐコイルエンド部とを有する、平角導線からなる円環状の籠状コイルを、バックヨークからそれぞれ径方向内側へ向けて延びる複数のティースと2つの前記ティースの間に形成されるスロットとを有する円環状のステータコアに装着するステータ組立方法であって、内径側端部に軸方向に向けて空いた開口を有するガイド治具を前記スロットの軸方向外側に配置すると共に、前記ガイド治具の前記開口に前記スロット収容部と前記コイルエンド部との境界部近傍が挿入された前記籠状コイルを前記ステータコアの内径側空間に配置する配置工程と、前記籠状コイルを、前記境界部近傍を前記開口に挿入した状態で前記ガイド治具と一緒に前記ステータコアに対して内径側から外径側へ放射状に押し出すことにより、前記コイルエンド部を介して繋がる2つの前記スロット収容部の間隔を拡大しつつ該スロット収容部を前記スロットへ挿入するコイル挿入工程と、を備えるステータ組立方法である。
【0008】
また、本発明の一態様は、周方向所定角度ごとに設けられるスロット収容部と2つの前記スロット収容部を繋ぐコイルエンド部とを有する、平角導線からなる円環状の籠状コイルを、バックヨークからそれぞれ径方向内側へ向けて延びる複数のティースと2つの前記ティースの間に形成されるスロットとを有する円環状のステータコアに装着するステータ組立装置であって、前記スロットの軸方向外側に配置され、内径側端部に軸方向に向けて空いた、前記籠状コイルの前記スロット収容部と前記コイルエンド部との境界部近傍が挿入される開口を有するガイド治具と、前記籠状コイルが前記ステータコアの内径側空間に配置され、かつ、前記境界部近傍が前記開口に挿入された状態で、前記籠状コイルが前記ステータコアに対して内径側から外径側へ放射状に押し出されることで前記スロット収容部が前記スロットへ挿入される際に、前記ガイド治具を前記ステータコアに対して内径側から外径側へ移動させるガイド移動機構と、を備えるステータ組立装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コイルを円環状のステータコアに装着する際にコイルにガイド治具との摺動に起因した傷が付くのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施例であるステータ組立方法及びステータ組立装置を用いて組み立てが完了したステータの斜視図である。
図2】本実施例において複数の同芯巻きコイルから円環籠状のコイルアッセンブリを形成する手順を表した図である。
図3】本実施例において周方向に隣接するスロットにスロット収容部が収容される2つの同芯巻きコイルの位置関係を表した図である。
図4】本実施例のステータ組立装置が備えるガイド治具の構成図である。
図5】本実施例のステータ組立装置においてステータを組み立てる際のガイド治具の動きを表した図である。
図6】本実施例のステータ組立装置が備えるガイド移動機構によるガイド治具の動きを表した図である。
図7】本実施例のステータ組立装置が備えるガイド移動機構の構成図である。
図8】本実施例のステータ組立装置が備えるガイド移動機構の構成図である。
図9】本実施例のステータ組立装置が備える押出装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて、本発明に係るステータ組立方法及びステータ組立装置の具体的な実施の形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施例であるステータ組立方法及びステータ組立装置を用いて組み立てが完了したステータの斜視図である。図2は、本実施例において複数の同芯巻きコイルから円環籠状のコイルアッセンブリを形成する手順を表した図を示す。また、図3は、本実施例において周方向に隣接するスロットにスロット収容部が収容される2つの同芯巻きコイルの位置関係を表した図を示す。尚、図3(A)には軸中心側から見た図を、また、図3(B)には軸方向側から見た図を、それぞれ示す。
【0013】
本実施例のステータ組立装置10は、例えば三相交流モータなどの回転電機に用いられる固定子であるステータ12を組み立てる装置である。ステータ12は、回転子であるロータに対して径方向外側に所定のエアギャップを介して配置され、通電によってロータを回転させる磁界を発生する部材である。ステータ12は、ステータコア14と、ステータコイル16と、を備えている。
【0014】
ステータコア14は、中空円筒状に形成された部材である。ステータコア14の内径側には、ロータを収容するための空間(内径側空間)18が形成されている。尚、ステータコア14は、絶縁コーティングされた複数の電磁鋼板を軸方向に積層して形成されていてもよい。また、ステータコア14の径方向外側端面には、絶縁コーティングされた軟磁性体粉末を圧縮成型した材料で形成された円筒状のヨークが取り付けられていてもよい。
【0015】
ステータコア14は、円環状に形成されるバックヨーク20と、バックヨーク20の径方向内側端面から径方向内側(軸中心側)へ向けて延びるティース22と、を有している。ティース22は、バックヨーク20に対して周方向に複数(例えば、48個)設けられており、周方向に沿って等間隔で設けられている。周方向に隣接する2つのティース22の間には、ステータコイル16が保持されるスロット24が形成されている。
【0016】
ステータコア14には、ステータ12をモータケースに取り付け固定するための耳部26が設けられている。耳部26は、ステータコア14本体(具体的には、バックヨーク20)の径方向外側端面(外周面)から径方向外側へ向けて突出した山型形状に形成されている。耳部26は、周方向に離れて複数箇所(例えば3箇所)設けられている。各耳部26には、軸方向に貫通する貫通穴28が設けられている。ステータ12は、耳部26の貫通穴28を貫通するボルトがモータケースを介してナット締結されることによりモータケースに固定される。
【0017】
また、ステータコイル16は、断面が矩形状(具体的には、長方形)に形成された平角導線により構成されている。この平角導線は、導電性の高い例えば銅やアルミニウム等の金属により構成されている。尚、この平角導線の断面角部は、R加工されていてもよい。ステータコイル16は、ステータコア14に対して周方向に複数(例えば、48個)配設される。
【0018】
各ステータコイル16はそれぞれ、所定複数周(例えば5周)巻回された平角導線が曲げ加工されることにより成形される同芯巻きコイル(カセットコイル)である。以下、各ステータコイル16を同芯巻きコイル16と称す。各同芯巻きコイル16はそれぞれ、一本の直線状の平角導線が巻線形成装置により楕円形状に形成されつつ所定複数周巻回された後に成形装置により略六角形状又は略八角形状に曲げ加工されることにより成形される。
【0019】
各同芯巻きコイル16は、スロット収容部30,32と、コイルエンド部34,36と、を有している。スロット収容部30,32はそれぞれ、ステータコア14のスロット24内に収容される、そのスロット24を軸方向に貫くように略直線状に延びる部位である。各同芯巻きコイル16において、スロット収容部30とスロット収容部32とは、ステータコア14の周方向に所定距離離れた互いに異なるスロット24に収容される。コイルエンド部34,36はそれぞれ、ステータコア14の軸方向端部から軸方向外側に飛び出た、周方向に離れた2つのスロット収容部30,32同士を繋ぐように湾曲する部位である。
【0020】
同芯巻きコイル16は、平角導線の断面短辺方向に複数本の平角導線が積層されるように構成されていると共に、積層方向に隣り合う平角導線間に所定の隙間が形成されるように構成されている。同芯巻きコイル16は、2つのスロット収容部30,32の離間距離(間隔)が積層方向位置に応じて変化するように断面台形状に形成されている。この断面台形状の形成は、同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32をそれぞれ適切にスロット24に収容するために行われるものである。同芯巻きコイル16は、平角導線の積層方向がステータコア14の軸方向に直交する径方向に一致するようにステータコア14に組み付けられる。
【0021】
同芯巻きコイル16のコイルエンド部34,36はそれぞれ、複数の相異なる非直線形状に形成される。具体的には、コイルエンド部34,36はそれぞれ、3種類の非直線形状に形成されるものであって、ステータコア14の径方向に向けて階段状に屈曲するクランク状にクランク成形され、円環状のステータコア14の円弧に合わせて湾曲する円弧状に円弧成形されると共に、平角導線の断面長手方向に屈曲する屈曲状にエッジワイズ成形される。クランク成形は、平角導線の積層方向への導線間のレーンチェンジのために行われる曲げ加工である。円弧成形は、同芯巻きコイル16をスロット24内に効率的に収容するために行われる曲げ加工である。また、エッジワイズ成形は、複数の同芯巻きコイル16を効率的に配置するために行われる曲げ加工である。
【0022】
同芯巻きコイル16は、周方向に複数配置されることにより円環籠状のコイルアッセンブリ40を構成する。コイルアッセンブリ40は、複数の同芯巻きコイル16が周方向に並んで円環状に配置されることにより円環籠状に形成される。このコイルアッセンブリ40の形成は、以下の(A)〜(C)に示す内容が実現されるように行われる。
【0023】
(A)複数の同芯巻きコイル16は、収容されるスロット24を周方向に一つずつずらしながら配置される。(B)互いに周方向に隣接して配置される2つの同芯巻きコイル16同士は、各段の平角導線が積層方向(すなわち、径方向)に交互に重なるように組み付けられる。(C)互いに周方向に所定距離離れて配置される同相の2つの同芯巻きコイル16同士は、スロット収容部30,32の各段の平角導線が同じスロット24において積層方向(すなわち径方向)に交互に並ぶように組み付けられる。上記(B)に示す組み付けが行われると、コイルアッセンブリ40の、互いに周方向に隣接して配置される2つの同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32の間に、ステータコア14のティース22が挿入配置されるティース穴42が形成される。
【0024】
尚、各同芯巻きコイル16はそれぞれ、ステータ12が例えば三相交流モータに適用される場合は、U相コイル、V相コイル、及びW相コイルの何れかを構成する。例えば、コイルアッセンブリ40は、同芯巻きコイル16であるU相コイル、V相コイル、及びW相コイルの同相のコイルが2個ずつ周方向に並んで配置されることにより、周方向に並んだ6つの同芯巻きコイル16で一極が形成されるように構成される。
【0025】
ステータ12は、また、ステータコア14と各同芯巻きコイル16との電気的絶縁性を確保するための絶縁部材44を備えている。絶縁部材44は、ステータコア14のスロット24の形状に合致した形状を有し、スロット24ごとに装着される断面コの字状に形成されている。絶縁部材44は、紙や樹脂(例えば、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂など)などにより構成された薄膜状に形成される部材である。
【0026】
絶縁部材44は、例えば、所定複数の同芯巻きコイル16からなるコイルアッセンブリ40が形成された後、各段の平角導線が積層方向に交互に並んだ同相の2つの同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32ごとにスロット収容部30,32の外径側から内径側へ向けて挿入されることによりコイルアッセンブリ40に装着される。この場合は、絶縁部材44が装着されたコイルアッセンブリ40がステータコア14に装着される。尚、絶縁部材44は、ステータコア14のスロット24ごとにスロット24の内径側から外径側へ向けて或いは軸方向に向けて挿入されることにより装着されることとしてもよい。この場合は、絶縁部材44が装着されたステータコア14にコイルアッセンブリ40が装着される。
【0027】
次に、上記図2及び図4図9を参照して、本実施例のステータ組立装置10によるステータ12の組み立て手順について説明する。
【0028】
図4は、本実施例のステータ組立装置10が備えるガイド治具50,52の構成図を示す。図5は、本実施例のステータ組立装置10においてステータ12を組み立てる際のガイド治具50,52の動きを表した図を示す。図6は、本実施例のステータ組立装置10が備えるガイド移動機構によるガイド治具50,52の動きを表した図を示す。図7及び図8はそれぞれ、本実施例のステータ組立装置10が備えるガイド移動機構の構成図を示す。
【0029】
尚、図4(A)にはガイド治具50,52を軸方向から見た際の図を、また、図4(B)にはガイド治具50,52を図4(A)に示す破線で切断した際の断面図を、それぞれ示す。図5(A)、図6(A)、及び図7には、ステータ組立装置10における同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32がステータコア14のスロット24に挿入される前の状況を表した図を、また、図5(B)、図6(B)、及び図8には、ステータ組立装置10における同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32がステータコア14のスロット24に挿入された後の状況を表した図を、それぞれ示す。
【0030】
また、図5及び図6においては、コイルアッセンブリ40のすべての同芯巻きコイル16のうち一部のみが示されている。更に、図7(A)及び図8(A)においては、ステータ組立装置10やステータ12の全体の斜視図が示され、図5図6図7(B)、及び図8(B)においては、説明の便宜や理解の容易さの観点から、ステータ組立装置10やステータ12のうち一部のみが示されている。
【0031】
本実施例において、ステータ組立装置10は、ステータ12の組み立て(具体的には、ステータコア14の各スロット24へのコイルアッセンブリ40の各同芯巻きコイル16の挿入)に必要なガイド治具50,52を備えている。ガイド治具50は、ステータコア14に対して軸方向一方側に隣接して配置される。また、ガイド治具52は、ステータコア14に対して軸方向他方側に隣接して配置される。ガイド治具50,52は、一コイルアッセンブリ40に対して複数設けられている。ガイド治具50,52は、ステータコア14のスロット24ごとに設けられ、ステータコア14のスロット24の軸方向外側に配置される。尚、図5には、軸方向一方側のガイド治具50のみが示されている。
【0032】
ガイド治具50,52はそれぞれ、径方向に向けて延びた平板状の、例えば樹脂製の部材である。ガイド治具50,52はそれぞれ、配置後にステータコア14の外径側から内径側にかけて幅(周方向幅)が小さくなるように楔状すなわち先細り形状に形成された治具である。各ガイド治具50,52の周方向幅を含む形状は、すべてのガイド治具50,52がステータコア14に対して配置された際に周方向に隣接するものとの間で干渉しないように設定されている。
【0033】
ガイド治具50,52はそれぞれ、軸方向に向けて空いた開口54と、二股に分かれた脚部56a,56bと、を有している。開口54は、ガイド治具50,52の内径側端部に設けられている。また、脚部56a,56bは、ガイド治具50,52の内径側端部において内径側に延びるように設けられている。脚部56a,56bは、周方向において開口54を挟むように分かれている。
【0034】
二股の脚部56a,56bに挟まれた開口54は、同芯巻きコイル16が挿入される穴である。開口54は、同芯巻きコイル16を構成する平角導線が挿入可能な大きさの周方向幅を有している。開口54の周方向幅は、少なくとも平角導線が挿入可能な大きさであって、ステータコア14のスロット24の周方向幅(但し、スロット24の周方向幅が径方向位置に応じて異なる場合は、その最小値であればよい。)以下(望ましくは、スロット24の周方向幅に比して小さいことが望ましい。)に設定されている。すなわち、脚部56aと脚部56bとは、同芯巻きコイル16を構成する平角導線が挿入可能な程度に周方向に離間しており、その離間距離は、ステータコア14のスロット24の周方向幅以下に設定されている。尚、開口54の周方向幅(すなわち、脚部56a,56b間の離間距離)は、径方向位置に応じて同じであればよい。
【0035】
脚部56a,56bの間の開口54には、円環籠状のコイルアッセンブリ40の各同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32とコイルエンド部34,36との境界部近傍(具体的には、スロット収容部30,32の、コイルエンド部34,36との境界側)が挿入される。脚部56a,56bの径方向長さすなわち開口54の径方向長さは、ステータコア14のスロット24の径方向長さと略同じであって、2つの同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32の各段の平角導線が径方向に積層された場合におけるその積層方向全体が挿入可能な長さであって、その積層方向全体の長さ以上に設定されている。
【0036】
また、脚部56a,56bの軸方向厚さは、組み立て完了後のステータ12全体の軸方向長さがあまり大きくならない範囲で、同芯巻きコイル16とステータコア14との絶縁距離を確保するのに十分なものに設定されている。
【0037】
ガイド治具50,52はそれぞれ、コイルアッセンブリ40の各同芯巻きコイル16がスロット24へ挿入される時にその同芯巻きコイル16を周方向でガイドする機能を有すると共に、上記の絶縁部材44がティース22に対して軸方向に抜けるのを防止する機能を有するカフサである。
【0038】
ガイド治具50,52は、径方向に移動可能である。尚、ガイド治具50,52の径方向への移動は、動力(例えばモータ動力)を用いて行われるものであってよい。また、ガイド治具50,52の外径側から内径側への移動は、バネによるバネ力や弾性体による弾性力によって行われると共に、ガイド治具50,52の内径側から外径側への移動は、そのバネ力や弾性力に抗して後述の同芯巻きコイル16を内径側から外径側へ押圧する押圧力によって行われるものであってもよい。
【0039】
ステータ組立装置10は、ガイド治具50,52を径方向に移動させるガイド移動機構60を備えている。ガイド移動機構60は、ガイド治具50,52を径方向に移動させる機能と共に、そのガイド治具50,52の径方向及び軸方向への移動を規制するストッパ機能を有している。ガイド治具50,52はそれぞれ、外径側端部に設けられたストッパ部58を有している。ストッパ部58は、ガイド治具50,52の外径側端部から軸方向(具体的には、ステータコア14側の軸方向)に向けて突起する形状に形成されている。
【0040】
ガイド移動機構60は、ステータコア14の径方向外側に配置される円環筒状に形成された円環筒部62を有している。円環筒部62は、ステータコア14の軸方向長さとほぼ同じ軸方向長さを有している。ガイド治具50は、円環筒部62に対して軸方向一方側に隣接して配置されると共に、ガイド治具52は、円環筒部62に対して軸方向他方側に隣接して配置される。ガイド治具50,52は、ステータコア14及び円環筒部62の軸方向外側に配置される。
【0041】
円環筒部62には、軸方向端面に空いた溝64が形成されている。溝64は、ガイド治具50,52ごとに対応して設けられている。溝64は、ガイド治具50,52のストッパ部58に対応した大きさを有しており、ガイド治具50,52のストッパ部58が径方向に所定距離だけ移動可能となるように形成されている。ガイド治具50,52は、ストッパ部58がガイド移動機構60の円環筒部62の、溝64の径方向端部に設けられた内壁に当接するまで径方向に移動可能である。ストッパ部58は、ガイド治具50,52を溝64に沿って径方向に移動させる機能を有すると共に。ガイド治具50,52の径方向への移動を所定範囲内に規制する機能を有する部位である。
【0042】
尚、コイルアッセンブリ40は、各同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32がステータコア14の各スロット24へ挿入される前は、挿入された後に比べて、各同芯巻きコイル16の2つのスロット収容部30,32の周方向における離間距離(間隔)が小さいことにより、軸方向長さ(コイルエンド部34の軸方向先端からコイルエンド部36の軸方向先端までの距離)が大きくかつ外径が小さくなる(具体的には、外径がステータコア14のティース22の内径に比して僅かに小さくなる)ように構成される。以下、便宜的に、スロット収容部30,32がステータコア14の各スロット24へ挿入される前のコイルアッセンブリ40を初期コイルアッセンブリ40と称す。
【0043】
ガイド治具50,52及びガイド移動機構60の溝64は、ガイド治具50,52のストッパ部58が円環筒部62の溝64の内径側端部に設けられた側壁に当接したときに、そのガイド治具50,52の開口54に初期コイルアッセンブリ40のスロット収容部30,32とコイルエンド部34,36との境界部近傍が挿入されるように形成・配置されると共に、ガイド治具50,52のストッパ部58が円環筒部62の溝64の外径側端部に設けられた側壁に当接したときに、そのガイド治具50,52の開口54とステータコア14のスロット24とが軸方向で隣接して対向し一体化されるように形成・配置される。
【0044】
以下、ストッパ部58が円環筒部62の溝64の内径側端部に設けられた側壁に当接したときのガイド治具50,52の位置を、ガイド治具50,52の最内径側位置と称す。また、ストッパ部58が円環筒部62の溝64の外径側端部に設けられた側壁に当接したときのガイド治具50,52の位置を、ガイド治具50,52の最外径側位置と称す。
【0045】
ガイド移動機構60は、また、円環筒部62の軸方向外側に配置される円環状に形成された抑え部66,68を有している。抑え部66,68は、ステータコア14及び円環筒部62の軸方向外側に配置されるガイド治具50,52が軸方向外側に外れる、すなわち、ガイド治具50,52のストッパ部58が円環筒部62の溝64から抜けるのを防止する機能を有する。このため、ガイド治具50,52は、ストッパ部58が溝64に沿うように確実に径方向に移動可能である。尚、抑え部66はガイド治具50に対応し、また、抑え部68はガイド治具52に対応している。
【0046】
本実施例のステータ組立装置10においては、複数の同芯巻きコイル16を円環状に配置し、かつ、周方向に所定距離離れた同相の2つの同芯巻きコイル16同士をスロット収容部30,32の各段の導線が径方向に交互に並ぶように組み付けた初期コイルアッセンブリ40を形成し(図2(A)及び(B))、その後、その初期コイルアッセンブリ40の同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32に絶縁部材44を装着する(図2(C)及び(D))。
【0047】
そして次に、そのスロット収容部30,32に絶縁部材44が装着された初期コイルアッセンブリ40を、径方向外側にガイド移動機構60の円環筒部62が配置されたステータコア14の内径側空間18に配置する。尚、この初期コイルアッセンブリ40の配置の際、ガイド治具50,52は、ステータコア14のスロット24の軸方向外側において最外径側位置に保持される。このため、初期コイルアッセンブリ40をステータコア14の内径側空間18に挿入可能である。また、この配置の際、初期コイルアッセンブリ40とステータコア14とは、互いに周方向で位置決めされる。この位置決めは、初期コイルアッセンブリ40のスロット収容部30,32とステータコア14のスロット24或いはガイド治具50,52の内径側先端とが径方向で対向するように行われる。
【0048】
上記の配置が完了すると、次に、ガイド治具50,52を、開口54にその初期コイルアッセンブリ40のスロット収容部30,32とコイルエンド部34,36との境界部近傍が挿入されるようにその初期コイルアッセンブリ40に対して外径側から内径側へ移動させる。かかる移動が行われると、ガイド治具50,52は、ステータコア14のスロット24の軸方向外側において、脚部56a,56bが初期コイルアッセンブリ40のティース穴42に挿入されると共に、開口54に初期コイルアッセンブリ40の上記境界部近傍が挿入された状態に配置される(図5(A)、図6(A)及び図7)。
【0049】
図9は、本実施例のステータ組立装置10が備える押出装置70の斜視図を示す。尚、図9においては、ステータコア14の各スロット24への同芯巻きコイル16の挿入途中の状況を示す。
【0050】
ステータ組立装置10は、また、ステータ12の組み立て(具体的には、ステータコア14の各スロット24への同芯巻きコイル16の挿入)に必要な押圧力を発生する押出装置70を備えている。押出装置70は、保持台(図示せず)と、ローラ72と、を有している。
【0051】
上記の保持台は、同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32に絶縁部材44が装着されかつその同芯巻きコイル16の導線がガイド治具50,52の開口54に挿入されたコイルアッセンブリ40とステータコア14とを含むステータ12、並びに、上記のガイド治具50,52及びガイド移動機構60を保持する台である。保持台は、そのステータ12、ガイド治具50,52、及びガイド移動機構60を軸中心回りに回転可能に保持する。保持台は、例えば、図9に示す如く、ステータ12、ガイド治具50,52、及びガイド移動機構60をその軸が水平方向に向くように保持する。
【0052】
ローラ72は、保持台に保持されているステータ12のコイルアッセンブリ40を構成する複数の同芯巻きコイル16を内径側から外径側へ放射状に押し出すための部材である。ローラ72は、そのコイルアッセンブリ40の内径側(すなわち、内径側空間18)に配置されると共に、ステータコア14の軸方向外側に配置される。ローラ72は、例えば円柱状や円錐状(但し、図9においては円柱状)に形成された部材であって、その軸がステータ12の軸と同一方向に延びるように配置されている。
【0053】
ローラ72は、コイルアッセンブリ40の同芯巻きコイル16のコイルエンド部34に接するローラ72aと、コイルアッセンブリ40の同芯巻きコイル16のコイルエンド部36に接するローラ72bと、を含む。これらの両ローラ72a,72bは、コイルアッセンブリ40の内径側を軸方向に貫通するシャフト74により互いに連結されている。
【0054】
押出装置70において、保持台とローラ72とは、相対的に径方向へ移動可能である。例えば、ローラ72が、保持台に対して、その保持台72が保持するステータ12の径方向へ移動可能である。保持台72がステータ12をその軸が水平方向に向くように保持する場合、その保持台(すなわち、ステータ12)とローラ72とは、図9に示す如く、上下方向に相対移動可能である。上記した保持台とローラ72との相対移動は、コイルアッセンブリ40の各同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32がスロット24に適切に収容されると共に、ローラ72a,72b間のシャフト74がステータコア14のティース22の先端に接触しない範囲で行われる。
【0055】
尚、ローラ72は、軸方向両側のローラ72a,72bがシャフト74により互いに連結されておらず、それぞれいわゆる片持ちでコイルエンド部34,36に接するものであってもよい。また、ローラ72aとローラ72bとは、シャフト74により互いに連結されているが、それら2つのローラ72a,72bの一方のみが支持されるものであってもよい。
【0056】
本実施例のステータ組立装置10においては、上記の如く、初期コイルアッセンブリ40を、径方向外側にガイド移動機構60の円環筒部62が配置されたステータコア14の内径側空間18に配置した後、ガイド移動機構60を用いて、ガイド治具50,52を、その開口54にその初期コイルアッセンブリ40のスロット収容部30,32とコイルエンド部34,36との境界部近傍が挿入されるように外径側から内径側へ移動させる。その後、初期コイルアッセンブリ40がステータコア14の内径側空間18に配置されているステータ12、ガイド治具50,52、及びガイド移動機構60を、保持台に回転可能にセットする。
【0057】
そして、保持台に保持されているステータ12をガイド治具50,52及びガイド移動機構60と一緒に回転させつつ、ローラ72をそのステータ12の軸中心側から径方向外側へ保持台に対して相対的に徐々に移動させる。かかるステータ12の回転及びローラ72の相対移動が行われると、ローラ72aがそのステータ12のコイルアッセンブリ40を構成する各同芯巻きコイル16のコイルエンド部34に逐次接しつつ各コイルエンド部34を逐次外径側へ押圧すると共に、ローラ72bがその各同芯巻きコイル16のコイルエンド部36に逐次接しつつ各コイルエンド部36を逐次外径側へ押圧する。
【0058】
初期コイルアッセンブリ40の同芯巻きコイル16のコイルエンド部34,36が外径側へ押圧されると、そのコイルエンド部34の押圧に追従してそれらのコイルエンド部34,36に繋がるスロット収容部30,32が内径側から外径側へ引っ張られる。この際、ガイド治具50,52は、開口54に挿入されたスロット収容部30,32とコイルエンド部34,36との境界部近傍を保持しつつ、その境界部近傍にその開口54の内壁(外径側端部にある壁面)が外径側へ押圧されることで、或いは、そのローラ72による押圧に追従して機械的に外径側へ押圧されることで、最内径側位置から最外径側位置へ移動される。尚、この移動は、抑え部66,68によりガイド治具50,52が径方向外側に外れないようにかつストッパ部58が溝64に沿って変位するように行われる。
【0059】
ストッパ部58が円環筒部62の溝64の外径側端部に設けられた側壁に当接することでガイド治具50,52が最外径側位置まで移動されると、そのガイド治具50,52の開口54とステータコア14のスロット24とが軸方向で隣接する。このため、押出装置70によるコイルエンド部34,36の外径側への押圧に追従してスロット収容部30,32が外径側へ引っ張られた場合、そのスロット収容部30,32は、ガイド治具50,52にガイドされつつスロット24に挿入される。尚、このスロット収容部30,32のスロット24への挿入の過程において、各同芯巻きコイル16は、コイルエンド部34の軸方向先端とコイルエンド部36の軸方向先端との軸方向距離が徐々に小さくなると共に、スロット収容部30とスロット収容部32との周方向距離(間隔)が徐々に拡大されるように変形する(図5及び図6参照)。
【0060】
円環籠状のコイルアッセンブリ40を構成するすべての同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32が外径側へ引っ張られると、それら周方向に存在するすべての同芯巻きコイル16が内径側から外径側へ放射状に押し出されて、各同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32がスロット24に挿入される。そして、すべての同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32がスロット24に挿入されると、その後、ローラ72の外径側への相対移動及びステータ12などの回転が停止され、ステータ12がガイド治具50,52及びガイド移動機構60から取り出される。
【0061】
かかるステータ組立手法によれば、所定複数の同芯巻きコイル16が円環状に配置されると共に、周方向に所定距離だけ離れて配置される2つの同芯巻きコイル16同士がスロット収容部30,32の各段の平角導線が同じスロット24において径方向に交互に並ぶように組み付けられるコイルアッセンブリ40を形成した後、そのコイルアッセンブリ40を構成する複数の同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32を円環状のステータコア14のスロット24へ挿入することができる。
【0062】
すなわち、上記構造からなる初期コイルアッセンブリを形成した後、その初期コイルアッセンブリ40をステータコア14の内径側空間18に配置した状態で、ガイド治具50,52をステータコア14のスロット24の軸方向外側に配置する。そして、かかる状態で、ガイド治具50,52を、その開口54にスロット収容部30,32とコイルエンド部34,36との境界部近傍が挿入されるように位置(具体的には、外径側から内径側へ移動)させる。その後、初期コイルアッセンブリ40を構成する各同芯巻きコイル16のコイルエンド部34,36を押出装置70のローラ72により外径側へ押圧して各同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32をスロット24へ挿入し、各同芯巻きコイル16を外径側へ押し出すことにより、そのコイルアッセンブリ40を円環状のステータコア14に組み付けることができる。
【0063】
また、本実施例のステータ組立装置10によるステータ組立手法においては、コイルアッセンブリ40を、その各同芯巻きコイル16を外径側へ押し出して円環状のステータコア14に組み付ける際、各同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32とコイルエンド部34,36との境界部近傍が、軸方向両側それぞれに設けられたガイド治具50,52の脚部56a,56b間の開口54に挟まれることにより支持される。
【0064】
このため、本実施例によれば、コイルアッセンブリ40の各同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32をスロット24への挿入のためにガイドするうえで、そのスロット収容部30,32が周方向に膨らむのを抑制することができると共に、そのスロット収容部30,32が座屈するのを抑制することができる。
【0065】
また、本実施例のステータ組立装置10において、上記のガイド治具50,52は、同芯巻きコイル16を構成する平角導線が挿入可能な大きさであって、ステータコア14のスロット24の周方向幅以下に設定された周方向幅を有する開口54を有している。このため、本実施例によれば、コイルアッセンブリ40の各同芯巻きコイル16の内径側から外径側への放射状の押し出し時すなわちスロット収容部30,32がスロット24へ挿入される過程で、そのスロット収容部30,32の平角導線がティース22の表面(特に、ティース22の端面に形成された鋭角な角部)に擦るのを避けることができる。これにより、同芯巻きコイル16に傷が付くことやティース22の表面に傷が付くこと,絶縁部材44が破断し易くなることなどを防止することができる。
【0066】
また、本実施例のステータ組立装置10において、上記のガイド治具50,52は、コイルアッセンブリ40の各同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32とコイルエンド部34,36との境界部近傍が挿入される開口54を有すると共に、各同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32が内径側から外径側へ引っ張られてスロット24へ挿入される際に、その同芯巻きコイル16の外径側への放射状の押し出しに追従して内径側から外径側へ放射状に移動される。
【0067】
ガイド治具50,52が同芯巻きコイル16の外径側への放射状の押し出しに追従して内径側から外径側へ放射状に移動される構成によれば、ガイド治具がかかる移動を行わない構成と異なり、スロット収容部30,32のスロット24への挿入過程でガイド治具50,52と同芯巻きコイル16とが摺動するのは抑制される。このため、本実施例によれば、同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32の、スロット24への挿入過程で、ガイド治具50,52により同芯巻きコイル16の上記境界部近傍を適切に保持させつつ、同芯巻きコイル16の導線表面にガイド治具50,52との摺動に起因する傷が付くのを防止することができる。
【0068】
従って、本実施例のステータ組立装置10によるステータ組立手法によれば、複数の同芯巻きコイル16が円環状に配置され、周方向に離れた2つの同芯巻きコイル16同士がスロット収容部30,32の各段の平角導線が径方向に交互に並ぶように組み付けられたコイルアッセンブリ40を、円環状のステータコア14に適切に装着することができる。
【0069】
尚、上記したガイド治具50,52の内径側から外径側への移動は、ストッパ部58が溝64に沿うように行われると共に、抑え部66,68によってそのストッパ部58が溝64から抜けることなく行われる。このため、ガイド治具50,52の内径側から外径側への径方向移動を適切に行うことができるので、スロット収容部30,32のスロット24への挿入を適切に行うことができ、コイルアッセンブリ40のステータコア14への装着を適切に行うことが可能である。
【0070】
また、本実施例のステータ組立装置10によるステータ組立手法においては、複数の同芯巻きコイル16が円環状に配置された初期コイルアッセンブリ40を形成した後、その初期コイルアッセンブリ40の各同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32それぞれに外径側から内径側へ向けて断面コの字状の絶縁部材44を挿入する。コイルアッセンブリ40の、互いに周方向に隣接して配置される2つの同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32の間には、上記の如く、ステータコア14のティース22が挿入配置されるティース穴42が形成されるので、コイルアッセンブリ40がステータコア14へ組み付けられる前は、各同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32の周方向には、ティース22などが存在しない空間が形成される。このため、各同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32への絶縁部材44の挿入を容易に行うことができる。また、従来はコイルの挿入とは別工程で行われていた絶縁部材44の挿入を同時に行うことができるため、作業時間を短縮し、生産性を向上させることができる。
【0071】
上記の如く各同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32にその外径側から絶縁部材44が装着された後は、コイルアッセンブリ40の各同芯巻きコイル16を外径側へ押し出して円環状のステータコア14への組み付けを行う。この際、各同芯巻きコイル16のスロット収容部30,32は、絶縁部材44と一体となって内径側から外径側へ移動してステータコア14のスロット24に挿入される。このため、コイルアッセンブリ40をその各同芯巻きコイル16を外径側へ押し出して円環状のステータコア14に組み付ける際に、同芯巻きコイル16とステータコア14との間に配置される薄膜状の絶縁部材44をスロット24内で適切に配置することができ、その絶縁部材44に皺が形成されること或いは破断が生ずることを抑制することができる。
【0072】
ところで、上記の実施例においては、押出装置70が特許請求の範囲に記載した「押出手段」に、図5(A)、図6(A)、及び図7に示す状態を実現する工程が特許請求の範囲に記載した「配置工程」に、図5(B)、図6(B)、及び図8に示す状態を実現する工程が特許請求の範囲に記載した「コイル挿入工程」に、図2(C)に示す状態から図2(D)に示す状態を実現する工程が特許請求の範囲に記載した「絶縁部材装着工程」に、それぞれ相当している。
【0073】
また、上記の実施例においては、コイルアッセンブリ40をステータコア14の内径側空間18に配置した状態で、ガイド治具50,52を、ステータコア14のスロット24の軸方向外側に配置してコイルアッセンブリ40に対して外径側から内径側へ移動させることにより、ガイド治具50,52の開口54にコイルアッセンブリ40のスロット収容部30,32とコイルエンド部34,36との境界部近傍を挿入することとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、ガイド治具50,52を、その開口54にコイルアッセンブリ40のスロット収容部30,32とコイルエンド部34,36との境界部近傍が挿入されるようにそのコイルアッセンブリ40に取り付けた後に、そのガイド治具50,52付きのコイルアッセンブリ40をステータコア14の内径側空間18に配置することとしてもよい。
【0074】
また、上記の実施例においては、複数の同芯巻きコイル16が円環状に配置された初期コイルアッセンブリ40のスロット収容部30,32に絶縁部材44を装着した後に、その絶縁部材44が装着された初期コイルアッセンブリ40のコイルエンド部34,36を内径側から外径側へ放射状に押圧して、絶縁部材44が装着されたスロット収容部30,32をステータコア14のスロット24に挿入することとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、絶縁部材44をステータコア14のスロット24に配置した後に、初期コイルアッセンブリ40のコイルエンド部34,36を内径側から外径側へ放射状に押圧して、スロット収容部30,32を、絶縁部材44が配置されたステータコア14のスロット24に挿入することとしてもよい。
【0075】
また、上記の実施例においては、押出装置70を用いてコイルアッセンブリ40のコイルエンド部34,36を内径側から外径側へ放射状に押圧して、そのコイルアッセンブリ40のスロット収容部30,32をステータコア14のスロット24に挿入することとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、コイルアッセンブリ40のスロット収容部30,32を直接に内径側から外径側へ放射状に押圧して、そのコイルアッセンブリ40のスロット収容部30,32をステータコア14のスロット24に挿入することとしてもよい。
【0076】
また、上記の実施例においては、円環状のステータコア14に装着するコイルとして、複数の同芯巻きコイル16が円環状に配置され、周方向に離れた2つの同芯巻きコイル16同士がスロット収容部30,32の各段の平角導線が径方向に交互に並ぶように組み付けられたコイルアッセンブリ40を用いることとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、一本の平角導線からなる円環状の籠状コイルを用いることとすればよい。この円環状の籠状コイルは、周方向に所定角度ごとに設けられるスロット収容部と、2つのスロット収容部を繋ぐコイルエンド部と、を有していればよく、コイル単体の構造は特に限定されない。
【0077】
尚、以上の実施例に関し、更に以下を開示する。
【0078】
[1]周方向所定角度ごとに設けられるスロット収容部(30,32)と2つの前記スロット収容部(30,32)を繋ぐコイルエンド部(34,36)とを有する、平角導線からなる円環状の籠状コイル(40)を、バックヨーク(20)からそれぞれ径方向内側へ向けて延びる複数のティース(22)と2つの前記ティース(22)の間に形成されるスロット(24)とを有する円環状のステータコア(14)に装着するステータ組立方法であって、内径側端部に軸方向に向けて空いた開口(54)を有するガイド治具(50,52)を前記スロット(24)の軸方向外側に配置すると共に、前記ガイド治具(50,52)の前記開口(54)に前記スロット収容部(30,32)と前記コイルエンド部(34,36)との境界部近傍が挿入された前記籠状コイル(40)を前記ステータコア(14)の内径側空間(18)に配置する配置工程と、前記籠状コイル(40)を、前記境界部近傍を前記開口(54)に挿入した状態で前記ガイド治具(50,52)と一緒に前記ステータコア(14)に対して内径側から外径側へ放射状に押し出すことにより、前記コイルエンド部(34,36)を介して繋がる2つの前記スロット収容部(30,32)の間隔を拡大しつつ該スロット収容部(30,32)を前記スロット(24)へ挿入するコイル挿入工程と、を備えるステータ組立方法。
【0079】
上記[1]記載の構成によれば、籠状コイル(40)の内径側から外径側への放射状の押し出し時にその押し出しに追従してガイド治具(50,52)を内径側から外径側へ移動させることができる。このため、籠状コイル(40)の平角導線表面にガイド治具(50,52)との摺動に起因した傷が付くのを防止することができる。
【0080】
[2]上記[1]記載のステータ組立方法において、前記配置工程は、前記籠状コイル(40)を前記ステータコア(14)の内径側空間(18)に配置した状態で、前記ガイド治具(50,52)を前記開口(54)に前記境界部近傍が挿入されるように前記スロット(24)の軸方向外側に配置するステータ組立方法。
【0081】
[3]上記[2]記載のステータ組立方法において、前記配置工程は、前記スロット(24)の軸方向外側に配置された前記ガイド治具(50,52)を前記籠状コイル(40)に対して外径側から内径側へ移動させることにより、前記開口(54)に前記ステータコア(14)の内径側空間(18)に配置された前記籠状コイル(40)の前記境界部近傍を挿入するステータ組立方法。
【0082】
[4]上記[1]乃至[3]の何れか一項記載のステータ組立方法において、前記コイル挿入工程による前記籠状コイル(40)の押し出し前に、該籠状コイル(40)の前記スロット収容部(30,32)に絶縁部材(44)を装着する絶縁部材装着工程を備え、前記コイル挿入工程は、前記絶縁部材(44)が装着された前記スロット収容部(30,32)を前記スロット(24)へ挿入するステータ組立方法。
【0083】
[5]上記[1]乃至[4]の何れか一項記載のステータ組立方法において、前記籠状コイル(40)は、それぞれ平角導線を複数周巻回して形成される前記スロット収容部(30,32)と前記コイルエンド部(34,36)とを有する複数の同芯巻きコイル(16)が円環状に配置され、周方向に離れて配置された2つの前記同芯巻きコイル(16)同士が前記スロット収容部(30,32)の各段の平角導線が径方向に交互に並ぶように組み付けられるコイルアッセンブリであるステータ組立方法。
【0084】
[6]周方向所定角度ごとに設けられるスロット収容部(30,32)と2つの前記スロット収容部(30,32)を繋ぐコイルエンド部(34,36)とを有する、平角導線からなる円環状の籠状コイル(40)を、バックヨーク(20)からそれぞれ径方向内側へ向けて延びる複数のティース(22)と2つの前記ティース(22)の間に形成されるスロット(24)とを有する円環状のステータコア(14)に装着するステータ組立装置(10)であって、前記スロット(24)の軸方向外側に配置され、内径側端部に軸方向に向けて空いた、前記籠状コイル(40)の前記スロット収容部(30,32)と前記コイルエンド部(34,36)との境界部近傍が挿入される開口(54)を有するガイド治具(50,52)と、前記籠状コイル(40)が前記ステータコア(14)の内径側空間(18)に配置され、かつ、前記境界部近傍が前記開口(54)に挿入された状態で、前記籠状コイル(40)が前記ステータコア(14)に対して内径側から外径側へ放射状に押し出されることで前記スロット収容部(30,32)が前記スロット(24)へ挿入される際に、前記ガイド治具(50,52)を前記ステータコア(14)に対して内径側から外径側へ移動させるガイド移動機構(60)と、を備えるステータ組立装置(10)。
【0085】
上記[6]記載の構成によれば、籠状コイル(40)の内径側から外径側への放射状の押し出し時にその押し出しに追従してガイド治具(50,52)を内径側から外径側へ移動させることができる。このため、籠状コイル(40)の平角導線表面にガイド治具(50,52)との摺動に起因した傷が付くのを防止することができる。
【0086】
[7]上記[6]記載のステータ組立装置(10)において、前記籠状コイル(40)が前記ステータコア(14)の内径側空間(18)に配置され、かつ、前記境界部近傍が前記開口(54)に挿入された状態で、前記籠状コイル(40)を前記ステータコア(14)に対して内径側から外径側へ放射状に押し出すことにより、前記スロット収容部(30,32)を前記スロット(24)へ挿入する押出手段(70)を備えるステータ組立装置(10)。
【0087】
[8]上記[6]又は[7]記載のステータ組立装置(10)において、前記ガイド治具(50,52)は、径方向に向けて延びると共に、内径側端部に周方向において前記開口(54)を挟んで二股に分かれた脚部(56a,56b)を有するステータ組立装置(10)。
【0088】
[9]上記[6]乃至[8]の何れか一項記載のステータ組立装置(10)において、前記ガイド治具(50,52)の前記開口(54)は、前記スロット(24)の周方向幅以下の周方向幅を有するステータ組立装置(10)。
【0089】
上記[9]記載の構成によれば、籠状コイル(40)のスロット収容部(30,32)がスロット(24)に挿入される際にスロット収容部(30,32)の平角導線がティース(22)の表面に擦るのを確実に避けることができるので、籠状コイル(40)及びティース(22)の表面に傷が付くことを防止することができる。
【0090】
[10]上記[6]乃至[9]の何れか一項記載のステータ組立装置(10)において、前記籠状コイル(40)は、それぞれ平角導線を複数周巻回して形成される前記スロット収容部(30,32)と前記コイルエンド部(34,36)とを有する複数の同芯巻きコイル(16)が円環状に配置され、周方向に離れて配置された2つの前記同芯巻きコイル(16)同士が前記スロット収容部(30,32)の各段の平角導線が径方向に交互に並ぶように組み付けられるコイルアッセンブリであるステータ組立装置(10)。
【符号の説明】
【0091】
10 ステータ組立装置
12 ステータ
14 ステータコア
16 ステータコイル(同芯巻きコイル)
18 内径側空間
20 バックヨーク
22 ティース
24 スロット
30,32 スロット収容部
34,36 コイルエンド部
40 コイルアッセンブリ
42 ティース穴
44 絶縁部材
50,52 ガイド治具
54 開口
56a,56b 脚部
58 ストッパ部
60 ガイド移動機構
62 円環筒部
64 溝
70 押出装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9