(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
フロントウィンドシールドと樹脂製ルーフとの間の隙間をシールする車両のモール構造には従来例1、2がある。従来例1から述べる。
図9はモール構造を示す断面図である。
図9に示すように、ガラス製のフロントウィンドシールド100の上端部は、車体の一部を構成するフロントヘッダ102上に接着剤104により接合されている。樹脂製ルーフとしてのパノラマルーフ106の前端部は、フロントヘッダ102上に接着剤108により接合されている。パノラマルーフ106の前端面106aは、端末カット処理による切断面いわゆるこば面となっている。フロントウィンドシールド100とパノラマルーフ106との対向面間には隙間sが形成されている。フロントウィンドシールド100の上縁部には、ゴム状の弾性を有するモール110のモール本体112が嵌着されている。モール110は、モール本体112から外方すなわちパノラマルーフ106側へ突出するリップ部114を有する。リップ部114の先端部は、パノラマルーフ106の前縁部の表面に弾性的に接触されている。リップ部114は、パノラマルーフ106の熱伸縮とくに車両前後方向の熱伸縮に応じて、パノラマルーフ106の表面上を相対的に摺動する。なお、温度変化にともなう樹脂製のパノラマルーフ106の熱伸縮量は、ガラス製のパノラマルーフの熱伸縮量と比べて大きい。また、パノラマルーフ106の建付けのばらつきも、ガラス製のパノラマルーフの建付けのばらつきと比べて大きい。このため、隙間sの幅(間隔)は、ガラス製のパノラマルーフを備えるモール構造における隙間に比べて、パノラマルーフ106の熱伸縮量及び建付けのばらつきを考慮した幅広な大きさに設定されている。
【0003】
次に、従来例2を述べる。
図10はモール構造を示す断面図である。
図10に示すように、従来例2は、従来例1のモール110に代えて、ウィンドシールド用モール200とパノラマルーフ用モール202とを備えている。モール200,202以外に関する基本的な構成は、従来例1と同様であるから同一部位に同一符号を付してその説明を省略する。両モール200,202は、それぞれゴム状の弾性を有する。ウィンドシールド用モール200のモール本体204は、フロントウィンドシールド100の上縁部の裏面に接合されている。ウィンドシールド用モール200は、モール本体204から外方すなわちパノラマルーフ106側へ突出するリップ部206を有する。また、パノラマルーフ用モール202のモール本体208は、パノラマルーフ106の前端部に嵌着されている。パノラマルーフ用モール202は、モール本体208から外方すなわちフロントウィンドシールド100側へ突出する中空管状のシール部210を有する。ウィンドシールド用モール200のリップ部206は、パノラマルーフ用モール202のシール部210上に弾性的に凭れ掛かかることにより、先端部が上方へ押し上げられるように弾性変形している。シール部210は、リップ部206の先端部を弾性的に支持している。なお、従来例2のモール構造は、例えば特許文献1に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来例1(
図9参照)によると、モール110のリップ部114のリップ幅(突出量)114wが幅広になるため、モール110による露出面積が大きく、見栄えが悪い。また、従来例2(
図10参照)によると、両モール200,202が温度変化に関係なく露出するものであるため、両モール200,202による露出面積が大きく、見栄えが悪い。また、従来例1によると、フロントウィンドシールド100上にモール110による段差d(
図9参照)が存在するため、見栄えが悪く、また、車両走行時に風切音が悪化する。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、見栄えを向上するとともに車両走行時の風切音を低減することのできる車両のモール構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、樹脂製ルーフを備える車両において、フロントウィンドシールドと樹脂製ルーフとの間の隙間をシールする車両のモール構造であって、前記フロントウィンドシールドの裏面に装着されるウィンドシールド用モールと、前記樹脂製ルーフの裏面に装着される樹脂製ルーフ用モールとを備え、前記ウィンドシールド用モールは、前記樹脂製ルーフ側へ突出するリップ部を有し、前記樹脂製ルーフ用モールは、前記ウィンドシールド用モールのリップ部の下方へ傾斜状に突出するリップ部を有し、前記ウィンドシールド用モールのリップ部は、前記樹脂製ルーフ用モールのリップ部に弾性的にかつ相互に摺動可能に凭れ掛けられ、前記ウィンドシールド用モールのリップ部は、少なくとも高温時には前記樹脂製ルーフの前端面に弾性的に凭れ掛かり、また、少なくとも低温時には、前記樹脂製ルーフの前端面から離れるように構成されている。この構成によると、少なくとも高温時には、ウィンドシールド用モールのリップ部が樹脂製ルーフの前端面に弾性的に凭れ掛かることにより、樹脂製ルーフ用モールをウィンドシールド用モールにより隠蔽することができる。また、少なくとも低温時には、ウィンドシールド用モールのリップ部が、樹脂製ルーフの前端面から離れる。しかし、ウィンドシールド用モールのリップ部が、樹脂製ルーフ用モールのリップ部に弾性的に凭れ掛かった状態で、両リップ部が連続状をなすことにより、フロントウィンドシールドと樹脂製ルーフとの間の隙間のシール状態を維持することができる。したがって、両モールによる露出面積を縮小し、見栄えを向上することができる。また、フロントウィンドシールド及び樹脂製ルーフ上に両モールによる段差が存在しないため、見栄えを向上するとともに車両走行時の風切音を低減することができる。また、ウィンドシールド用モールのリップ部が樹脂製ルーフ用モールのリップ部に凭れ掛かる頻度が減り、樹脂製ルーフ用モールのリップ部の負荷を減らせることで、両モールのリップ部の劣化を抑制することができる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記樹脂製ルーフ用モールには、前記樹脂製ルーフの前端面の下部を覆いかつその前端面と前記リップ部の外側斜面とを連続的に接続する接続面を有する案内部が形成されている。この構成によると、案内部の接続面により樹脂製ルーフの前端面とリップ部の外側斜面とが連続的に接続される。このため、温度変化による樹脂製ルーフの熱伸縮時に、ウィンドシールド用モールのリップ部の先端部が、樹脂製ルーフの前端面とリップ部の外側斜面との間を案内部の接続面を介してスムーズに摺動することができる。また、樹脂製ルーフ用モールの案内部により樹脂製ルーフの前端面の下部が隠蔽されることによって、見栄えを向上することができる。
【0009】
第3の発明は、第1又は2の発明において、前記樹脂製ルーフ用モールのリップ部の先端部から延出部が延出され、前記延出部の先端部は、前記フロントウィンドシールドと樹脂製ルーフとの対向端部を支持する車体側部材に弾性的に接触され、前記樹脂製ルーフ用モールには、少なくとも高温時に前記延出部の先端部を受け入れる空間部が形成されている。この構成によると、樹脂製ルーフ用モールのリップ部の先端部を延出部により弾性的に支持することができる。また、少なくとも高温時には延出部の先端部を空間部に受け入れることができる。
【0010】
第4の発明は、第1〜3のいずれかの発明において、前記樹脂製ルーフの前端面は、板厚方向の中央部を突出する断面円弧状に形成されている。この構成によると、樹脂製ルーフの前端面の見栄えを向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための実施形態について図面を用いて説明する。
図1は車両のフロントウィンドシールドの周辺部を示す斜視図である。なお、図中の方位は、車両の乗員から見た方向を基準としている。
図1に示すように、車両10は、例えばセダン型の自動車である。車両10の車体12には、車室の前部を開口するフロント側窓開口部14、及び、車室のルーフ部を開口するルーフ側窓開口部16が形成されている。車体12は、両窓開口部の間において車両左右方向(車幅方向)に延在するフロントヘッダ18を有する。フロント側窓開口部14は、透明性を有するガラス製のフロントウィンドシールド20により閉鎖されている。また、ルーフ側窓開口部16は、透明性又は半透明性を有する樹脂製のパノラマルーフ22により閉鎖されている。フロントウィンドシールド20とパノラマルーフ22との間にはモール構造30が設けられている。
図2はモール構造を示す断面図である。なお、パノラマルーフ22は本明細書でいう「樹脂製ルーフ」に相当する。
【0013】
図2に示すように、フロントウィンドシールド20の上端部は、フロントヘッダ18上に接着剤24により接合されている。また、パノラマルーフ22の前端部は、フロントヘッダ18上に接着剤26により接合されている。パノラマルーフ22の前端面22aは、パノラマルーフ22の樹脂成形時において型により形成された成形端末であって、板厚方向の中央部を突出する断面円弧状に形成されている。前端面22aは所定の曲率半径で形成されている。フロントウィンドシールド20とパノラマルーフ22との対向面間には隙間Sが形成されている。なお、温度変化にともなう樹脂製のパノラマルーフ22の熱伸縮量は、ガラス製のパノラマルーフの熱伸縮量と比べて大きい。また、パノラマルーフ22の建付けのばらつきも、ガラス製のパノラマルーフの建付けのばらつきと比べて大きい。このため、隙間Sの幅(間隔)は、ガラス製のパノラマルーフを備えるモール構造における隙間に比べて、パノラマルーフ22の熱伸縮量及び建付けのばらつきを考慮した幅広な大きさに設定されている。
【0014】
モール構造30は、フロントウィンドシールド20とパノラマルーフ22との間の隙間Sをシールする構造である。モール構造30は、ウィンドシールド用モール32とパノラマルーフ用モール34とを備えている。両モール32,34は、それぞれ樹脂材料を押出成形することによって長尺状に形成されており、ゴム状の弾性を有する。
図5はウィンドシールド用モールが装着されたフロントウィンドシールドを示す断面図、
図6はパノラマルーフ用モールが装着されたパノラマルーフを示す断面図である。
【0015】
図5に示すように、ウィンドシールド用モール32は、フロントウィンドシールド20の裏面の上縁部に沿って車両左右方向(
図5において紙面表裏方向)に延在する。ウィンドシールド用モール32の長手方向に交差する断面において、ウィンドシールド用モール32は、フロントウィンドシールド20の裏面の上縁部に沿って配置されるモール本体36と、モール本体36の取付側端部から外方へ突出するリップ部38とを有する。モール本体36において、フロントウィンドシールド20の裏面に対向する接合面40には、両面テープ42が貼着すなわち接着されている。両面テープ42は、モール本体36の長手方向(
図5において紙面表裏方向)に沿って延在する。ウィンドシールド用モール32は、フロントウィンドシールド20の裏面の上縁部に沿って両面テープ42を貼着すなわち接着することにより、フロントウィンドシールド20に接合されている。
図5において、ウィンドシールド用モール32は自由状態で示されている。また、ウィンドシールド用モール32が装着されたフロントウィンドシールド20が車体12(
図1参照)のフロント側窓開口部14に設置されている。
【0016】
図6に示すように、パノラマルーフ用モール34は、パノラマルーフ22の裏面の前縁部に沿って車両左右方向(
図6において紙面表裏方向)に延在する。パノラマルーフ用モール34の断面詳しくは長手方向に交差する断面において、パノラマルーフ用モール34は、パノラマルーフ22の裏面の前縁部に沿って配置されるモール本体44と、モール本体44の取付側端部から外下方へ斜めに突出するリップ部46とを有する。モール本体44において、パノラマルーフ22の裏面に対向する接合面48には、両面テープ50が貼着すなわち接着されている。両面テープ50は、モール本体44の長手方向(
図6において紙面表裏方向)に沿って延在する。
【0017】
モール本体44は、前下方に面する斜面部52を有する逆台形形状に形成されている。モール本体44の後下部には、逆L字状の溝部54が形成されている。モール本体44とリップ部46との接続部分の表側(上側)には、山形形状の案内部56が形成されている。案内部56は、リップ部46の外側斜面46aに連続する接続面56aを有する。モール本体44とリップ部46との接続部分の裏側(下側)にはノッチ58が形成されている。また、リップ部46の先端部から延出部60が延出されている。リップ部46と延出部60との接続部の裏側(
図6において右側)にはノッチ62が形成されている。モール本体44の斜面部52とリップ部46の内側斜面46bとは逆V字状をなしており、モール本体44とリップ部46との間に三角形状の空間部64が形成されている。
【0018】
パノラマルーフ用モール34は、パノラマルーフ22の裏面の前縁部に沿って両面テープ50を貼着すなわち接着することにより、パノラマルーフ22に接合されている。これにともない、案内部56の先端部、詳しくは接続面56aとは反対側の傾斜面56bの上端部がパノラマルーフ22の前端面22aに密着されている。これにより、パノラマルーフ22の前端面22aの下半部が案内部56により覆われている。また、案内部56の接続面56aにより、パノラマルーフ22の前端面22aとリップ部46の外側斜面46aとが連続的に接続されている。
図6において、パノラマルーフ用モール34は自由状態で示されている。また、パノラマルーフ用モール34が装着されたパノラマルーフ22が車体12(
図1参照)のルーフ側窓開口部16に設置されている。なお、パノラマルーフ用モール34は本明細書でいう「樹脂製ルーフ用モール」に相当する。
【0019】
図2に示すように、ウィンドシールド用モール32のリップ部38は、パノラマルーフ22側へ突出されている。また、パノラマルーフ用モール34のリップ部46は、ウィンドシールド用モール32のリップ部38の下方へ傾斜状に突出されている。ウィンドシールド用モール32のリップ部38は、パノラマルーフ用モール34のリップ部46に弾性的にかつ相互に摺動可能に凭れ掛けられている。また、パノラマルーフ用モール34の延出部60の先端部は、空間部64に入り込む状態でフロントヘッダ18上に弾性的に接触されている。また、常温時において、ウィンドシールド用モール32のリップ部38の先端部は、パノラマルーフ22の前端面22aの上部に弾性的に凭れ掛けられている。このようにして、フロントウィンドシールド20とパノラマルーフ22との間の隙間Sがシールされている。なお、フロントヘッダ18は本明細書でいう「車体側部材」に相当する。
【0020】
前記したモール構造30の作用について説明する。
図2に示す常温状態から、気温の上昇等によりパノラマルーフ22が熱膨張したときには、パノラマルーフ22の前端部が前方へ変位する。これにより、フロントウィンドシールド20とパノラマルーフ22との間の隙間Sが減少する。これにともない、パノラマルーフ22とともにパノラマルーフ用モール34が前方へ変位する。これにより、ウィンドシールド用モール32のリップ部38の裏面と、パノラマルーフ用モール34のリップ部46の外側斜面46a、案内部56の接続面56a、及び、パノラマルーフ22の前端面22aの上部が相互に摺動接触する。これにともない、ウィンドシールド用モール32のリップ部38が起立するように弾性変形されていく。また、パノラマルーフ用モール34の延出部60が傾倒していき、その延出部60の先端部が空間部64に入り込んでいく。それに追従して、リップ部46がモール本体44側へ相対的に弾性変形されていく。そして、パノラマルーフ22の最大伸長時には、ウィンドシールド用モール32のリップ部38がフロントウィンドシールド20とパノラマルーフ22との間に挟持された状態となる。この状態が
図3に示されている。この状態において、フロントウィンドシールド20とパノラマルーフ22とは干渉しない。また、この状態から温度が低下すると、上記とは逆の経過をたどり常温時の状態(
図2参照)に戻る。
【0021】
また、
図2に示す常温状態から、気温の低下等によりパノラマルーフ22が熱収縮したときには、パノラマルーフ22の前端部が後方へ変位する。これにより、フロントウィンドシールド20とパノラマルーフ22との間の隙間Sが増大する。これにともない、パノラマルーフ22とともにパノラマルーフ用モール34が後方へ変位する。これにより、ウィンドシールド用モール32のリップ部38の裏面と、パノラマルーフ用モール34のリップ部46の外側斜面46a、案内部56の接続面56a、及び、パノラマルーフ22の前端面22aの上部が相互に摺動接触する。これにともない、ウィンドシールド用モール32のリップ部38が弾性復元していく。また、パノラマルーフ用モール34の延出部60が起立していくとともに、それに追従してリップ部46が弾性復元していく。そして、パノラマルーフ22の最小収縮時には、ウィンドシールド用モール32のリップ部38がパノラマルーフ22の前端面22aから離れた状態となる。しかし、ウィンドシールド用モール32のリップ部38が、パノラマルーフ用モール34のリップ部46に弾性的に凭れ掛かった状態で、両リップ部38,46が連続状をなすことにより、フロントウィンドシールド20とパノラマルーフ22との間の隙間Sのシール状態が維持される。この状態が
図4に示されている。また、この状態から温度が上昇すると、上記とは逆の経過をたどり常温時の状態(
図2参照)に戻る。
【0022】
また、パノラマルーフ22の建付けによる前方へのばらつきが大きい場合には、パノラマルーフ22の熱伸長時の場合と同様、そのばらつきを吸収することができる。また、パノラマルーフ22の建付けによる後方へのばらつきが大きい場合には、パノラマルーフ22の熱収縮時の場合と同様、そのばらつきを吸収することができる。
【0023】
前記したモール構造30によると、高温時及び常温時には、ウィンドシールド用モール32のリップ部38がパノラマルーフ22の前端面22aに弾性的に凭れ掛かることにより、パノラマルーフ用モール34をウィンドシールド用モール32により隠蔽することができる(
図2及び
図3参照)。また、低温時には、ウィンドシールド用モール32のリップ部38がパノラマルーフ22の前端面22aから離れる。しかし、ウィンドシールド用モール32のリップ部38が、パノラマルーフ用モール34のリップ部46に弾性的に凭れ掛かった状態で、両リップ部38,46が連続状をなすことにより、フロントウィンドシールドとパノラマルーフとの間の隙間のシール状態を維持することができる(
図4参照)。したがって、両モール32,34による露出面積を縮小し、見栄えを向上することができる。
【0024】
また、フロントウィンドシールド20及びパノラマルーフ22上に両モール32,34による段差が存在しないため、見栄えを向上するとともに車両走行時の風切音を低減することができる。
【0025】
また、ウィンドシールド用モール32のリップ部38がパノラマルーフ用モール34のリップ部46に凭れ掛かる頻度が減り、パノラマルーフ用モール34のリップ部46の負荷を減らせることで、両モール32,34のリップ部38,46の劣化を抑制することができる。
【0026】
また、パノラマルーフ用モール34には、パノラマルーフ22の前端面22aの下部を覆いかつその前端面とリップ部46の外側斜面46aとを連続的に接続する接続面56aを有する案内部56が形成されている。したがって、パノラマルーフ用モール34の案内部56の接続面56aによりパノラマルーフ22の前端面22aとリップ部46の外側斜面46aとが連続的に接続される。このため、温度変化によるパノラマルーフ22の熱伸縮時に、ウィンドシールド用モール32のリップ部38の先端部が、パノラマルーフ22の前端面22aとリップ部46の外側斜面46aとの間を案内部56の接続面56aを介してスムーズに摺動することができる。また、パノラマルーフ用モール34の案内部56によりパノラマルーフ22の前端面22aの下半部が隠蔽されることによって、見栄えを向上することができる。
【0027】
また、パノラマルーフ用モール34のリップ部46の先端部から延出部60が延出され、延出部60の先端部は、フロントウィンドシールド20とパノラマルーフ22との対向端部を支持するフロントヘッダ18に弾性的に接触され、パノラマルーフ用モール34には、高温時及び常温時に延出部60の先端部を受け入れる空間部64が形成されている(
図2及び
図3参照)。したがって、パノラマルーフ用モール34のリップ部46の先端部を延出部60により弾性的に支持することができる。また、少なくとも高温時には延出部60の先端部を空間部64に受け入れることができる。
【0028】
また、パノラマルーフ22の前端面22aは、板厚方向の中央部を突出する断面円弧状に形成されている。したがって、パノラマルーフ22の前端面22aの見栄えを向上することができる。
【0029】
また、実施形態のウィンドシールド用モール32には、既存のモール32(同一符号を付す)が使用されている。すなわち、モール32は、
図7に示すように、パノラマルーフを備えないノーマルルーフ66のモール構造に使用されている。また、モール32は、
図8に示すように、ガラス製のパノラマルーフ(符号、68を付す)を備えるモール構造に使用されている。したがって、既存のモール32を使用することにより、専用のウィンドシールド用モールを使用する場合と比べて、コストを低減することができる。
図8中、符号、70はパノラマルーフ用モールを示している。パノラマルーフ用モール70は、主としてパノラマルーフ68の前端面を隠蔽して見栄えを向上するものであるため、リップ部を有していない。なお、
図7及び
図8において、実施形態と同一部位には同一符号が付されている。
【0030】
[他の実施形態]
本発明は実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本発明は、透明性又は半透明性を有するパノラマルーフに限らず、不透明性を有する樹脂製ルーフにも対応することができる。また、ウィンドシールド用モール32のリップ部38は、常温時にパノラマルーフ22の前端面22aから離れてもよい。また、パノラマルーフ用モール34の案内部56は省略してもよい。この場合、リップ部46の外側斜面46aをパノラマルーフ22の前端面22aに連続させるとよい。また、パノラマルーフ用モール34の延出部60は、低温時に空間部64に入り込んでもよい。また、パノラマルーフ用モール34の延出部60は、常温時に空間部64に入り込まなくてもよい。また、パノラマルーフ用モール34の延出部60の先端部(下端部)をモール本体44に接続してもよい。また、パノラマルーフ用モール34の延出部60は省略してもよい。また、ウィンドシールド用モール32のモール本体36、及び/又は、パノラマルーフ用モール34のモール本体44は、フロントヘッダ18に対して離してもよいし、接触させてもよい。また、ウィンドシールド用モール32としては、既存のモール32に代え、専用のモールを使用してもよい。また、パノラマルーフ22の前端面22aは、端末カット処理による切断面でもよい。