(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる撮像装置1の構成を示すブロック図である。
図1に示されるように、撮像装置1は、撮像部10と、音声取得部20と、操作部30と、記録装置40と、記録媒体50とを含む。
【0013】
撮像部10は、映像データを取得する。具体的には、撮像部10は、例えばCCD(Charge Coupled Device Image Sensor)イメージセンサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮像素子により、映像データを取得する。撮像部10は、取得した映像データを後述する映像符号化部401に出力する。
【0014】
音声取得部20は、音声データを取得する。具体的には、音声取得部20は、例えばマイクにより、音声データを取得する。音声取得部20は、取得した音声データを後述する音声符号化部403に出力する。
【0015】
操作部30は、ボタン、タッチパネルなどにより構成され、記録開始指示及び記録停止指示からなる一組の記録指示を含むユーザからの各種指示を受付ける。なお、クリップコンティニュアス記録を行う際、最後の記録指示における記録停止指示は、記録完了指示と呼ばれてもよい。また、記録完了指示以外の記録停止指示は、記録一時停止指示と呼ばれてもよい。操作部30は、記録指示を受付けると、後述する記録操作受付部400に通知する。
【0016】
本実施の形態では、操作部30は、図示しない録画ボタンを備えており、ユーザは録画ボタンを押すことにより記録開始指示及び記録停止指示の操作を行う。例えば、ユーザが録画ボタンを押すことが記録開始指示となり、再度、ユーザが録画ボタンを押すことが記録停止指示となる。また、例えばユーザが録画ボタンを長押しした場合、記録終了指示となる。
【0017】
記録装置40は、
図1に示されるように、記録操作受付部400と、映像符号化部401と、映像用バッファ402と、音声符号化部403と、音声用バッファ404と、多重化部405と、多重化用バッファ406と、記録媒体インタフェース(I/F)部407とを含む。映像用バッファ402、音声用バッファ404、及び多重化用バッファ406は、それぞれ、例えば、FIFO(first-in first-out)形式またはリングバッファ形式のRAM(Random Access Memory)により構成されている。また、記録操作受付部400、映像符号化部401、音声符号化部403及び多重化部405は、それぞれハードウェアにより実現されてもよいし、コンピュータがプログラムを実行することにより実現されてもよい。
【0018】
記録操作受付部400は、操作部30が受け付けた記録開始指示及び記録停止指示を受付け、多重化部405に指示を通知する。
【0019】
映像符号化部401は、撮像部10が出力した映像データを予め定められたデータ単位ごとに圧縮して符号化する。例えば、映像符号化部401は、MPEG−4 AVC/H.264などの予め定められたフォーマットで圧縮して符号化する。本実施の形態では、映像符号化部401は、15フレームをデータ単位として符号化を行っている。なお、本実施の形態では、映像フレームレートを29.97Hzとして、1フレームあたりの時間を33.3ミリ秒として扱う。また、15フレームの集まりを1つのGOP(Group Of Pictures)単位として扱う。つまり、1GOPあたりの時間が499.5ミリ秒となる。したがって、映像符号化部401は、499.5ミリ秒分の映像データを一つの単位として符号化している。すなわち、映像符号化部401は、15フレームを含むGOP単位で符号化する。映像符号化部401は、符号化した映像データを映像用バッファ402に出力する。以下、映像符号化部401の符号化における上記データ単位を、第1のデータ単位と称すことがある。
なお、本実施の形態では、映像符号化部401は、少なくともクリップコンティニュアス記録を行う間、すなわち、最初の記録指示から最後の記録指示までの間、記録停止指示に関わらず、符号化を継続している。
映像用バッファ402は、映像符号化部401が出力した符号化された映像データを一時記憶する。
【0020】
音声符号化部403は、音声取得部20が出力した音声データを予め定められたデータ単位ごとに圧縮して符号化する。例えば、音声符号化部403は、Dolby Digitalなどの予め定められたフォーマットで圧縮して符号化する。以下、音声符号化部403の符号化における上記データ単位を、第2のデータ単位と称すことがある。ここで、第2のデータ単位の時間長は、上記第1のデータ単位の時間長とは異なる。本実施の形態では、音声符号化部403は、1フレームを第2のデータ単位として符号化するが、Dolby Digitalの1フレームは32ミリ分の音声データから構成されている。したがって、本実施の形態では、映像符号化部401が、499.5ミリ秒分の映像データを単位として符号化するのに対し、音声符号化部403は、32ミリ秒分の音声データを単位として符号化する。音声符号化部403は、符号化した音声データを音声用バッファ404に出力する。
なお、本実施の形態では、音声符号化部403は、少なくともクリップコンティニュアス記録を行う間、すなわち、最初の記録指示から最後の記録指示までの間、記録停止指示に関わらず、符号化を継続している。
音声用バッファ404は、音声符号化部403が出力した符号化された音声データを一時記憶する。
【0021】
多重化部405は、映像用バッファ402に記憶されている符号化された映像データと、音声用バッファ404に記憶されている符号化された音声データを予め定められたフォーマットで多重化する。本実施の形態では、予め定められたフォーマットとして、MPEG−TS(Transport Stream)を採用しており、多重化部405は、MPEG−TSに準拠して多重化を行う。多重化部405は、生成した多重化データを多重化用バッファ406に出力する。なお、多重化部405の詳細については、後述する。
多重化用バッファ406は、多重化部405により生成された多重化データを一時記憶する。
【0022】
記録媒体インタフェース部407は、多重化用バッファ406に記憶された多重化データを記録媒体50に記録するためのインタフェースである。記録媒体50は、半導体メモリカード、光ディスク、ハードディスクなどのランダムアクセス可能な記録媒体である。例えば記録媒体50は、スロットに装着された半導体メモリカードであってもよい。
【0023】
ここで、多重化部405は、クリップコンティニュアス記録の場合、次のように多重化を行う。すなわち、多重化部405は、記録開始指示と記録停止指示からなる一組の記録指示が時間間隔をあけて繰り返された場合に、記録開始指示から記録停止指示までの期間に相当する符号化された各映像データを互いに連結するとともに、各映像データと各映像データに対応する符号化された音声データとを、一つの記録データとして多重化する。具体的には、多重化部405は、記録操作受付部400から通知される記録開始指示と記録停止指示のタイミングに基づいて、映像用バッファ402に蓄積された符号化された映像データのうち、記録対象として採用する符号化された映像データを選択する。ここで、符号化された映像データの選択は、上記第1のデータ単位で行われる。また、多重化部405は、音声用バッファ404に蓄積された符号化された音声データのうち、各映像データに対応する符号化された音声データとして採用する符号化された音声データを選択する。ここで、符号化された音声データの選択は、上記第2のデータ単位で行われる。
【0024】
ここで、上述の通り、第1のデータ単位の時間長と、第2のデータ単位の時間長とは異なるため、クリップコンティニュアス記録の場合、記録データにおいて映像データと音声データの時間的なずれが生じる。そこで、この時間的なずれを低減するために、本実施の形態では、多重化部405は、以下に示すように、多重化を行う。
【0025】
多重化部405は、記録開始指示から記録停止指示までの期間に相当する符号化された各映像データと、各映像データに対応する符号化された音声データと、の時間のずれ量が第2のデータ単位の時間長以下となるよう、符号化された第2のデータ単位の音声データの中から第2のデータ単位で音声データを選択して多重化する。
【0026】
具体的には、本実施の形態では、多重化部405は、次のように多重化を行う。ここで、第1の基準時点とは、注目する記録指示に相当する符号化された映像データの開始時点である。また、第2の基準時点とは、注目する記録指示に相当する符号化された映像データの終了時点である。多重化部405は、累積されたオフセット量だけ時間をずらした音声データについて、注目する記録指示に相当する音声データの始端の第2のデータ単位の音声データの開始時点と第1の基準時点との差が第2のデータ単位の時間長の半分以下となるよう、始端を決定する。なお、ここで、音声データの時間がずらされることは、音声データと映像データの本来の時間的な対応関係を崩して、音声データと映像データとを対応させることを意味する。また、多重化部405は、累積されたオフセット量だけ時間をずらした音声データについて、注目する記録指示に相当する符号化された音声データの終端の第2のデータ単位の音声データの終了時点と第2の基準時点との差が第2のデータ単位の時間長の半分以下となるよう、終端を決定する。ここで、オフセット量は以下のように定義される。オフセット量は、初期値が、1回目の記録開始時点の符号化された映像データの始端と符号化された音声データの始端の差である。また、オフセット量は、注目する記録指示に相当する符号化された音声データの始端の決定ごとに、最初の記録開始指示に相当する時点から、決定された始端までの時間長と、最初の記録開始指示に相当する時点から第1の基準時点までの時間長との差が加算される。また、オフセット量は、注目する記録指示に相当する符号化された音声データの終端の決定ごとに、最初の記録開始指示に相当する時点から、決定された終端までの時間長と、第2の基準時点までの時間長との差が加算される。なお、加算値は正の値のみならず負の値もとる。このため、累積されたオフセット量は、正の値又は負の値をとる。
【0027】
以下、具体例を交えて説明する。
図2は、多重化部405による多重化処理の際に選択される映像データ及び音声データを示す模式図である。具体的には、
図2において、1段目には、符号化された映像データ系列と符号化された音声データ系列が図示されている。すなわち、1段目は、映像用バッファ402に蓄積される符号化された映像データ及び音声用バッファ404に蓄積される符号化された音声データの一例を示している。2段目では、1回目の記録指示に相当する音声データとして音声用バッファ404中から多重化対象の第2のデータ単位の音声データを選択する際、終端とすべき第2のデータ単位の音声データの決定方法を説明している。3段目では、2回目の記録指示に相当する音声データとして音声用バッファ404中から多重化対象の第2のデータ単位の音声データを選択する際、始端とすべき第2のデータ単位の音声データの決定方法を説明している。4段目では、2回目の記録指示に相当する音声データとして音声用バッファ404中から多重化対象の第2のデータ単位の音声データを選択する際、終端とすべき第2のデータ単位の音声データの決定方法を説明している。5段目では、3回目の記録指示に相当する音声データとして音声用バッファ404中から多重化対象の第2のデータ単位の音声データを選択する際、始端とすべき第2のデータ単位の音声データの決定方法を説明している。
【0028】
なお、
図2において、各矩形が、第1のデータ単位の映像データ又は第2のデータ単位の音声データを示しており、ハッチングされた矩形は、多重化対象として選択されるデータを示している。
【0029】
具体的には、
図2に示した例では、次のようになっている。
映像データ100は、1回目の記録指示に相当する映像データの始端である。映像データ101は、1回目の記録指示に相当する映像データの終端である。映像データ102は、時間的に映像データ101に続く映像データである。映像データ103は、時間的に映像データ104のひとつ前の映像データである。映像データ104は、2回目の記録指示に相当する映像データの始端である。映像データ105は、2回目の記録指示に相当する映像データの終端である。映像データ106は、時間的に映像データ105に続く映像データである。映像データ107は、時間的に映像データ108のひとつ前の映像データである。映像データ108は、3回目の記録指示に相当する映像データの始端である。
【0030】
音声データ200〜214は、クリップコンティニュアス記録を行う間に得られる符号化された音声データを示しており、特に音声データ200は、1回目の記録開始指示時点の音声データである。
【0031】
図2を参照して、多重化部405における多重化対象の選択について、順を追って説明する。本実施の形態では多重化部405は、上述の通りオフセット量を用いて多重化対象を選択する。なお、
図2に示した例では、オフセット量の初期値は、0である。まず、多重化部405は、1回目の記録指示に相当する映像データに対応する符号化された音声データの選択を行う。このとき、映像データ100の開始時点が第1の基準時点となり、映像データ101の終了時点が第2の基準時点となる。オフセット量が0であるため、多重化部405は、音声データを時間的にずらすことなく、1回目の記録指示に相当する音声データの始端の第2のデータ単位の音声データの開始時点と第1の基準時点との差が第2のデータ単位の時間長の半分以下となるよう、始端を決定する。なお、本実施の形態では、第2のデータ単位の時間長の半分とは、16ミリ秒である。このため、
図2の2段目に示されるように、多重化部405は、音声データ200を1回目の記録指示に相当する音声データの始端と決定する。なお、最初の記録開始指示に相当する時点、すなわち映像データ100の開始時点から、決定された始端である音声データ200までの時間長と、最初の記録開始指示に相当する時点、すなわち映像データ100の開始時点から第1の基準時点までの時間長との差はない。このため、1回目の記録指示に相当する音声データの始端決定後、オフセット量は加算されない。
【0032】
次に、オフセット量が引き続き0であるため、多重化部405は、音声データを時間的にずらすことなく、1回目の記録指示に相当する音声データの終端の第2のデータ単位の音声データの終了時点と第2の基準時点との差が第2のデータ単位の時間長の半分以下となるよう、終端を決定する。ここでは
図2の2段目に示されるように、第2の基準時点付近の音声データとして音声データ203〜205がある。しかし、音声データ204のみが、終了時点と第2の基準時点との差が第2のデータ単位の時間長の半分以下となる。したがって、多重化部405は、音声データ204を、1回目の記録指示に相当する音声データの終端として決定する。
【0033】
終端の決定に伴い、オフセット量が更新される。具体的には、最初の記録開始指示に相当する時点、すなわち映像データ100の開始時点から、決定された終端である音声データ204の終了時点までの時間長と、最初の記録開始指示に相当する時点から第2の基準時点までの時間長との差が加算されることにより、オフセット量が更新される。ここでは、更新後のオフセット量をOffset1とする。なお、
図2の2段目に示されるように、Offset1は、音声データ204の終了時点と第2の基準時点との差に相当する。
【0034】
次に、多重化部405は、2回目の記録指示に相当する映像データに対応する符号化された音声データの選択を行う。このとき、映像データ104の開始時点が第1の基準時点となり、映像データ105の終了時点が第2の基準時点となる。多重化部405は、累積されたオフセット量、すなわちOffset1だけ時間をずらした音声データについて、2回目の記録指示に相当する音声データの始端の第2のデータ単位の音声データの開始時点と第1の基準時点との差が第2のデータ単位の時間長の半分以下となるよう、始端を決定する。なお、本例では、
図2の3段目に示されるように、音声データ系列は、時間的に遅延する方向、すなわち図の右方向に、Offset1だけずらされている。音声データ系列のずらす方向は、累積されたオフセット量の値の正負により決定される。本実施の形態では、累積されたオフセット量の値が正である場合、音声データは多重化対象の選択にあたって遅延する方向にずらされる。
【0035】
ここでは
図2の3段目に示されるように、第1の基準時点付近の音声データとして音声データ206〜208がある。しかし、音声データ207のみが、開始時点と第1の基準時点との差が第2のデータ単位の時間長の半分以下となる。したがって、多重化部405は、音声データ207を、2回目の記録指示に相当する音声データの始端として決定する。
【0036】
始端の決定に伴い、オフセット量が更新される。具体的には、映像データ100の開始時点から音声データ207の開始時点までの時間長と、映像データ100の開始時点から第1の基準時点までの時間長との差が加算されることにより、オフセット量が更新される。ここでは、更新後のオフセット量をOffset2とする。なお、
図2の3段目に示されるように、Offset2は、音声データ207の開始時点と第1の基準時点との差に相当する。
【0037】
次に、多重化部405は、累積されたオフセット量、すなわちOffset2だけ時間をずらした音声データについて、2回目の記録指示に相当する音声データの終端の第2のデータ単位の音声データの終了時点と第2の基準時点との差が第2のデータ単位の時間長の半分以下となるよう、終端を決定する。なお、本例では、
図2の4段目に示されるように、音声データ系列は、時間的に早まる方向、すなわち図の左方向に、Offset2だけずらされている。
【0038】
ここでは
図2の4段目に示されるように、第2の基準時点付近の音声データとして音声データ209〜211がある。しかし、音声データ209のみが、終了時点と第2の基準時点との差が第2のデータ単位の時間長の半分以下となる。したがって、多重化部405は、音声データ209を、2回目の記録指示に相当する音声データの終端として決定する。
【0039】
終端の決定に伴い、オフセット量が更新される。具体的には、映像データ100の開始時点から音声データ209の終了時点までの時間長と、映像データ100の開始時点から第2の基準時点までの時間長との差が加算されることにより、オフセット量が更新される。ここでは、更新後のオフセット量をOffset3とする。なお、
図2の4段目に示されるように、Offset3は、音声データ209の終了時点と第2の基準時点との差に相当する。
【0040】
次に、多重化部405は、3回目の記録指示に相当する映像データに対応する符号化された音声データの選択を行う。このとき、映像データ108の開始時点が第1の基準時点となる。多重化部405は、累積されたオフセット量、すなわちOffset3だけ時間をずらした音声データについて、3回目の記録指示に相当する音声データの始端の第2のデータ単位の音声データの開始時点と第1の基準時点との差が第2のデータ単位の時間長の半分以下となるよう、始端を決定する。なお、本例では、
図2の4段目に示されるように、音声データ系列は、時間的に早まる方向、すなわち図の左方向に、Offset3だけずらされている。
【0041】
ここでは
図2の5段目に示されるように、第1の基準時点付近の音声データとして音声データ212〜214がある。しかし、音声データ214のみが、開始時点と第1の基準時点との差が第2のデータ単位の時間長の半分以下となる。したがって、多重化部405は、音声データ214を、3回目の記録指示に相当する音声データの始端として決定する。
【0042】
始端の決定に伴い、オフセット量が更新される。具体的には、映像データ100の開始時点から音声データ214の開始時点までの時間長と、映像データ100の開始時点から第1の基準時点までの時間長との差が加算されることにより、オフセット量が更新される。ここでは、更新後のオフセット量をOffset4とする。なお、
図2の5段目に示されるように、Offset4は、音声データ214の開始時点と第1の基準時点との差に相当する。
【0043】
以降、上記と同様に、3回目の記録指示に相当する音声データの終端が決定される。多重化部405は、クリップコンティニュアス記録における最後の記録指示における記録停止指示、すなわち記録完了指示がなされるまで、記録指示に応じて、映像データ及び音声データの選択を繰り返す。なお、多重化部405は、記録完了指示があった場合には、例えば、上記選択方法ではなく、多重化対象の全ての音声データの時間長が、多重化対象の全ての映像データの時間長よりも長くなるよう、当該最後の記録指示に相当する音声データの終端を決定してもよい。
【0044】
ここで、多重化部405における多重化対象の選択処理の動作の流れについて、説明する。
図3は、多重化部405における多重化対象の選択処理の動作の流れについての一例を示すフローチャートである。
【0045】
ステップ10(S10)において、多重化部405は、記録指示に相当する映像データの始端を選択する。具体的には、多重化部405は、記録操作受付部400から通知された記録開始指示の指示タイミングにしたがって、始端とすべき映像データを特定する。
【0046】
ステップ11(S11)において、多重化部405は、記録指示に相当する映像データの終端を選択する。具体的には、多重化部405は、記録操作受付部400から通知された記録停止指示の指示タイミングにしたがって、終端とすべき映像データを特定する。
【0047】
ステップ12(S12)において、多重化部405は、記録操作受付部400から通知された記録指示が当該クリップコンティニュアス記録における最初の記録指示であるか否かを判定する。最初の指示である場合には、処理はステップ13へと移行する。最初の指示ではない場合には、処理はステップ14へと移行する。
【0048】
ステップ13(S13)において、多重化部405は、オフセット量の初期値を設定する。例えば、多重化部405は、初期値として0を設定する。
【0049】
ステップ14(S14)において、多重化部405は、記録指示に相当する音声データの始端を選択し、ステップ15(S15)において、多重化部405は、始端の選択結果に基づいて、オフセット量を更新する。
【0050】
また、ステップ16(S16)において、多重化部405は、記録指示に相当する音声データの終端を選択し、ステップ17(S17)において、多重化部405は、終端の選択結果に基づいて、オフセット量を更新する。なお、多重化部405は、記録操作受付部400から通知された記録停止指示が記録完了指示である場合には、多重化対象の全ての音声データの時間長が、多重化対象の全ての映像データの時間長よりも長くなるよう、当該最後の記録指示に相当する音声データの終端を決定する。
【0051】
ステップ18(S18)において、多重化部405は、記録操作受付部400から通知された記録停止指示が記録完了指示であったか否かを判定する。記録完了指示である場合には、多重化部405は、多重化対象の選択処理を終了する。記録完了指示ではない場合には、処理はステップ10へと戻る。
【0052】
図4は、上述の多重化対象の選択処理に基づいて選択された映像データ及び音声データの時間的な対応関係を示す模式図である。本実施の形態に係る多重化対象の選択処理によれば、各操作指示間の映像データの繋ぎ目と音声データの繋ぎ目のずれは、最大でも第2のデータ単位の時間量である。このため、クリップコンティニュアス記録により作成される記録データは、音声と映像の時間的なずれを、いずれの時間帯においても第2のデータ単位の時間量以下に抑えることができる。すなわち、記録装置40によれば、音声と映像との時間的なずれを抑制しつつ、圧縮データを対象としたクリップコンティニュアス記録のための多重化を行うことができる。
【0053】
以上、多重化部405における多重化対象の選択処理について説明したが、上記選択処理を実現する具体的な演算方法の一例を示す。なお、以下に示す演算方法は、一例であり、他の演算方法により上記選択処理が実現されてもよい。
【0054】
まず、次のように変数m
n、offset
n、m
n’、offset
n’、t
v、t
Aを定義する。
m
n:映像用バッファに402に蓄積された、1回目の記録指示に相当する映像データの最初から、n回目の記録指示に相当する映像データの最後までの第1の単位の映像データの数
offset
n:n回目の記録指示に相当する音声データの終端を決定する直前の累積オフセット量
m
n’:映像用バッファに402に蓄積された、1回目の記録指示に相当する映像データの最初から、n回目の記録指示に相当する映像データの開始直前までの第1の単位の映像データの数
offset
n’:n回目の記録指示に相当する音声データの始端を決定する直前の累積オフセット量
t
v:第1の単位の時間長
t
A:第2の単位の時間長
【0055】
例えば、n=2の場合、上記例で説明すると、m
2は映像データ100から映像データ105までの第1の単位の映像データ数であり、offset
2は上記Offset2に相当する。また、n=2の場合、上記例で説明すると、m
2’は映像データ100から映像データ103までの第1の単位の映像データ数であり、offset
2’は上記Offset1に相当する。また、本実施の形態では、t
v=499.5ミリ秒であり、t
A=32ミリ秒である。
【0056】
多重化部405は、以下の演算を行って、n回目の記録指示に相当する音声データの終端を決定する。
【0057】
多重化部405は、下記式(1)に示されるように、商q
nを得る。なお、q
nは、整数値であり、小数点以下の値は切り捨てた値である。
q
n =(m
n × t
v − offset
n)/ t
A ・・・(1)
【0058】
また、多重化部405は、下記式(2)に示されるように、剰余r
nを得る。なお、式(2)において「%」は、剰余演算子である。
r
n =(m
n × t
v − offset
n)% t
A ・・・(2)
【0059】
多重化部405は、r
n = 0である場合、1回目の記録指示に相当する音声データの始端から数えてq
n番目の第2の単位の音声データをn回目の記録指示に相当する音声データの終端として決定する。また、多重化部405は、r
n = 0ではない場合、以下の式(3)が成り立つとき、1回目の記録指示に相当する音声データの始端から数えてq
n番目の第2の単位の音声データをn回目の記録指示に相当する音声データの終端として決定する。また、多重化部405は、r
n = 0ではなく、かつ、以下の式(3)が成り立たない場合、1回目の記録指示に相当する音声データの始端から数えてq
n+1番目の第2の単位の音声データをn回目の記録指示に相当する音声データの終端として決定する。
(m
n × t
v) < (q
n × t
A + t
A/2 + offset
n) ・・・(3)
【0060】
また、多重化部405は、以下の演算を行って、n回目の記録指示に相当する音声データの始端を決定する。
【0061】
多重化部405は、下記式(4)に示されるように、商q
n’を得る。なお、q
n’は、整数値であり、小数点以下の値は切り捨てた値である。
q
n ’=(m
n’ × t
v − offset
n’)/ t
A ・・・(4)
【0062】
また、多重化部405は、下記式(5)に示されるように、剰余r
n’を得る。なお、式(5)において「%」は、剰余演算子である。
r
n’ =(m
n’ × t
v − offset
n’)% t
A ・・・(5)
【0063】
多重化部405は、r
n’ = 0である場合、1回目の記録指示に相当する音声データの始端から数えてq
n’+1番目の第2の単位の音声データをn回目の記録指示に相当する音声データの終端として決定する。また、多重化部405は、r
n’ = 0ではない場合、以下の式(6)が成り立つとき、1回目の記録指示に相当する音声データの始端から数えてq
n’+1番目の第2の単位の音声データをn回目の記録指示に相当する音声データの終端として決定する。また、多重化部405は、r
n’ = 0ではなく、かつ、以下の式(6)が成り立たない場合、1回目の記録指示に相当する音声データの始端から数えてq
n’+2番目の第2の単位の音声データをn回目の記録指示に相当する音声データの終端として決定する。
(m
n × t
v) <= (q
n × t
A + t
A/2 + offset
n) ・・・(6)
【0064】
以上、多重化部405の多重化対象の選択処理について説明した。
ここで、多重化が、MPEG−TSに準拠した多重化である場合には、クリップコンティニュアス記録により生成された記録データに含まれる、再生するための時間情報が連続性を有する必要がある。このため、多重化部405は、多重化対象の映像データの時間情報が連続性を有するよう、2回目以降の各記録指示に相当する映像データについて、再生するための時間情報であるPTS(Presentation Time Stamp)及びDTS(Decoding Time Stamp)を修正する。また、多重化部405は、多重化対象の音声データの時間情報が連続性を有するよう、2回目以降の各記録指示に相当する音声データについて、PTSを修正する。
【0065】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上記実施の形態では、映像符号化部401は、クリップコンティニュアス記録を行う間、記録停止指示の有無に関わらず、符号化を継続して映像用バッファに蓄積を行っているが、記録停止指示ごとに符号化を一時停止してもよい。なお、この場合、例えば、符号化の一時停止期間に相当する時間長が第1のデータ単位の映像データにおける何個分の時間長であるかをカウントするなどすれば、上記実施の形態と同様に、多重化対象の選択処理が可能である。また、映像符号化の一時停止期間中は、撮像部10による映像データの取得も停止されてもよい。
【0066】
また、本発明は、圧縮して符号化された映像データと圧縮して符号化された音声データを対象としたクリップコンティニュアス記録における多重化に適用可能であり、多重化のフォーマットは限定されない。例えば、上記実施の形態では、MPEG−TSに準拠して多重化を例に説明したが、MPEG−PS(Program Stream)などの他のフォーマットにしたがって多重化が行われてもよい。
【0067】
また、撮像装置1のいずれかの構成をプログラムの実行により実現する場合、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。