(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記モータ制御装置は、前記速度センサが検出した速度検出値と前記速度基準値とに基づいて、前記第2モータをベクトル制御する第2速度制御部を、さらに備えることを特徴とする請求項1又は2記載のブロックミルのモータ制御装置。
【背景技術】
【0002】
従来の棒線圧延用仕上げブロックミルは、ギアで接続された複数の圧延スタンドを大容量のモータで一括駆動していた。一括駆動方式のブロックミルでは圧延スタンド間が機械軸で接続されているため各スタンドの速度比はギア比によって完全に固定されてしまい、連続的に微調整できなかった。
【0003】
近年のドライブシステム技術の発展に伴い、1台の圧延スタンドを1台の中容量モータで駆動する個別駆動方式のブロックミルが考案されている(特表2013−508172号公報)。この方式では各スタンドの速度比を連続的に設定することが可能になる。
【0004】
個別駆動方式のブロックミル用モータには安価で堅牢な誘導モータの適用が考えられる。誘導モータを既存のモータ制御装置で運転する場合、速度センサを全く取り付けないV/f制御やセンサレスベクトル制御、あるいは速度センサを各モータに取り付けたセンサ付ベクトル制御が適用される。個別駆動方式ではモータ台数が多く、システム信頼性の観点から速度センサ数は少ない方が望ましいが、速度センサのない制御方法は速度フィードバック系がないため、速度制御精度を高くできないという問題がある。
【0005】
この他に棒線圧延用連続圧延機においてロール回転速度を制御する方法として各スタンド出側に断面積を求めるセンサを取り付ける制御方法が考案されている(特許第3065205号公報)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のモータ制御装置を個別駆動方式のブロックミルを駆動する誘導モータに適用する場合、速度制御の精度を保つためにはモータの台数と同数の速度センサや被圧延材の断面積を測定するセンサなど、多数のセンサが必要になってしまう。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、圧延スタンドを個別駆動化した棒線圧延用仕上げブロックミルにおいて、モータの速度制御の精度を高く保ちつつ、速度センサを削減し、システムの信頼性を高めることのできるブロックミルのモータ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、棒線圧延ラインに用いられ被圧延材を連続圧延するブロックミルのモータ制御装置である。ブロックミルは、少なくとも個別駆動化した第1圧延スタンドと第2圧延スタンドとを備える。第2圧延スタンドは、圧延ロールを駆動する第2モータと、第2モータの速度を検出する速度センサとを備える。第2モータは誘導電動機であることが好ましい。第1圧延スタンドは、圧延ロールを駆動する第1モータを備える。第1モータは誘導電動機であることが好ましい。
【0010】
本発明のモータ制御装置は、少なくとも速度推定部と、速度補正演算部と、第1速度制御部を備える。速度推定部は、第1モータの推定速度を演算する。速度補正演算部は、速度センサが検出した速度検出値を第2モータに対する第1モータの速度比で補正した値と、速度推定部が演算した速度推定値とに基づいて、速度フィードバック値を演算する。第1速度制御部は、速度フィードバック値と、第2モータの速度基準値を上記速度比で補正した値とに基づいて、第1モータをベクトル制御する。好ましくは、モータ制御装置は、速度センサが検出した速度検出値と前記速度基準値とに基づいて、第2モータをベクトル制御する第2速度制御部をさらに備える。
【0011】
好ましくは、第1圧延スタンドは、前記第2圧延スタンドよりも上流に配置される。また、速度補正演算部は、補正値を保持する補正値保持部とモード選択部とを備えることが好ましい。モード選択部は、独立制御モードと補正値学習モードと連動制御モードのいずれか1つを選択可能に構成されている。
【0012】
上記独立制御モードは、速度推定部が演算した速度推定値を、補正値保持部に保持された補正値で補正した値を速度フィードバック値とする。上記補正値学習モードは、速度センサが検出した速度検出値を速度比で補正した値と、速度推定部が演算した速度推定値との差異に基づいて学習した補正値を前記補正値保持部に保持させ、速度推定部が演算した速度推定値を、補正値保持部に保持された補正値で補正した値を前記速度フィードバック値とする。上記連動制御モードは、速度センサが検出した速度検出値を速度比で補正した値を速度フィードバック値とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一部のモータに取り付けた速度センサを利用して他のセンサのついていないモータの速度制御の精度を高く保ちつつ、速度センサを削減し、システムの信頼性を高めることができる。また、コストを低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0016】
実施の形態1.
[実施の形態1のシステム構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係るシステム構成を説明するための図である。
図1に示す棒線圧延ライン1は、被圧延材3を連続圧延するブロックミル2を備える。被圧延材3は、棒鋼または線材である。ブロックミル2は、棒線(棒鋼・線材)圧延用仕上げブロックミルである。ブロックミル2は、複数の圧延スタンドを備える。
図1には4台の圧延スタンド(圧延スタンドA41〜圧延スタンドD44)が表わされているが、圧延スタンドの数はこれに限定されるものではなく2つ以上であればよい。
【0017】
図2は、圧延スタンドD44の機械構成を説明するための模式図である。圧延スタンドD44は、被圧延材3を圧延する1組の圧延ロール441を有する。圧延ロール441は、ギア442を介してモータD54により駆動される。速度センサ541は、モータD54の回転速度を検出する。
【0018】
圧延スタンドD44と同様に、圧延スタンドA41〜圧延スタンドC43も、1組の圧延ロール、ギア、モータを備える。このように、圧延スタンドA41〜圧延スタンドD44はそれぞれ、個別のモータA51〜D54で駆動する個別駆動式の圧延スタンドである。ただし、速度センサは、圧延スタンドD44のモータD54に対してのみ取り付けられている。モータA51〜D54は、誘導電動機である。
【0019】
(モータ制御装置)
図1に戻り説明を続ける。圧延スタンドA41〜圧延スタンドD44はそれぞれ、モータ制御装置A61〜モータ制御装置D64を備える。モータ制御装置A61はモータA51を、モータ制御装置B62はモータB52を、モータ制御装置C63はモータC53を、モータ制御装置D64はモータD54を制御する。各モータ制御装置は、演算処理装置、記憶装置、入出力インタフェース等の演算資源を備える。記憶装置には各部の機能に対応するプログラムが用意され、演算処理装置に実行されることで各部の機能が実現される。なお、モータ制御装置A61〜モータ制御装置D64を1つのモータ制御装置とみなしてもよい。
【0020】
棒線圧延用仕上げブロックミルでは、各圧延スタンドの間隔が短く、圧延中は被圧延材3によって各圧延ロールが物理的に接続されるため、理想的には各圧延スタンドのモータはそれぞれ規定の速度比で回転し続ける。つまり、被圧延材3の先端噛み込み時や尾端抜け時を除く定常圧延状態において、各圧延スタンドのモータはそれぞれ規定の速度比で動作する。速度比は、圧延する製品の種類やロール形状によって定まる。なお、速度比は、モータD54の速度に対する各モータA51〜モータC53の速度の比であり、棒線圧延ライン1の上流側に配置される圧延スタンドほど小さくなる。
【0021】
モータ制御装置D64について説明する。モータ制御装置D64は、モータD54をセンサ付ベクトル制御方式で制御する。モータ制御装置D64は、速度制御部645、モータ制御部646、インバータ647を備える。また、主幹制御装置7は、基準とするモータD54の速度目標値を速度基準値として出力する。モータ制御装置D64では、速度センサ541の速度信号は、速度制御部645にフィードバック入力される。速度制御部645は、速度基準値を速度センサ541の速度信号に応じた値で補正してモータD54のトルク基準値を出力する。モータ制御部646はトルク基準値に基づいて主回路を制御する。
【0022】
モータ制御装置A61〜モータ制御装置C63について説明する。これらのモータ制御装置は、演算に用いる速度比が異なる点を除き同一構成であるため、本明細書では代表してモータ制御装置A61について説明し、モータ制御装置B62、モータ制御装置C63については説明を省略する。
【0023】
モータ制御装置A61は、速度換算部a611、速度換算部b612、速度推定部613、速度補正演算部614、速度制御部615、モータ制御部616、インバータ617を備える。
【0024】
圧延スタンドA41の定常圧延状態において、モータD54の速度に対するモータA51の速度の速度比は一定である。そこで、この速度比をモータ制御装置A61の速度換算部a611に設定しておく。速度換算部a611は、主幹制御装置7が出力する速度基準値を速度比で補正してモータA51の速度目標値を出力する。
【0025】
モータA51の速度制御精度を向上させるため、
図1のシステムは、速度補正演算部614を備える。速度補正演算部614には、速度推定値と速度換算値が入力される。速度推定値は、従来のセンサレスベクトル制御に用いられる速度推定部613が演算したモータA51の速度値である。センサレスベクトル制御は、モータの回転速度をインバータの出力電流や電圧を基に演算によって推定し、速度センサを用いずにベクトル制御する方法である。また、速度換算値は、速度センサ541の速度信号を速度換算部b612に設定された速度比を用いてモータA51の速度に換算した値である。速度換算部b612には、速度換算部a611と同じ速度比が設定される。速度補正演算部614は、これらの値に基づいて速度フィードバック値を演算し、速度制御部615にフィードバックする。速度制御部615は、速度換算部a611が出力した速度目標値を速度フィードバック値で補正してモータA51のトルク基準値を出力する。モータ制御部616はトルク基準値に基づいて主回路を制御する。
【0026】
(速度補正演算部)
図3は、本発明の実施の形態1における速度補正演算部614の構成について説明するための図である。速度補正演算部614、624、634の構成は同じであるため、本明細書では速度補正演算部614について説明し、速度補正演算部624、634についての説明は省略する。
【0027】
速度補正演算部614は、スイッチSW1、スイッチSW2、減算器81、比例積分部82、補正値保持部83、加算器84を備える。速度補正演算部614は、モード選択部としてのスイッチSW1およびSW2のON/OFFの組み合わせに応じて、3つの動作モードが選択可能である。3つの動作モードは、独立制御モード、補正値学習モード、連動制御モードである。
【0028】
図3においてSW1がON状態とは、加算器84と速度制御部615との間の接点が接続され、速度換算部b612と速度制御部615との間の接点が切断された状態をいう。SW1がOFF状態とは、速度換算部b612と速度制御部615との間の接点が接続され、加算器84と速度制御部615との間の接点が切断された状態をいう。また、SW2がON状態とは、減算器81と比例積分部82との間の接点が接続された状態をいう。
【0029】
(独立制御モード)
独立制御モード(SW1がON状態、SW2がOFF状態)は、被圧延材3の噛み込み時、及び尾端抜け時に用いられるモードである。速度制御部615には、センサレスベクトル制御に用いられる速度推定部613が演算した速度推定値が速度フィードバック値としてフィードバックされる。また、補正値保持部83に学習した補正値が保持されている場合には、速度制御部615には、速度推定値を補正値で補正した値が速度フィードバック値としてフィードバックされる。
【0030】
(補正値学習モード)
補正値学習モード(SW1、SW2ともにON状態)は、全圧延スタンドに被圧延材3が噛み込んでいる場合に、独立運転モード時の速度推定値の誤差を取り除く補正値を学習するためのモードである。ブロックミル2は、同一仕様の被圧延材3を複数ロット圧延するが、本モードは1ロット目の圧延時に用いられる。初回圧延時の被圧延材3の噛み込み時には補正値保持部83が保持する補正値は0であり、速度制御部615には、速度推定部613によって従来のセンサレスベクトル制御と同様に演算された速度推定値N
f1がフィードバックされる。すなわち、
図1のモータA51の制御は、従来と同様のセンサレスベクトル制御となる。モータB52、モータC53の制御についても同様である。
【0031】
ただし、速度推定部613が演算した速度推定値N
f1は推定誤差ΔN
f1を含む。そのため、モータ速度の真値をN
fとすると、速度推定値N
f1は(1)式で表される。
【0033】
推定誤差ΔN
f1の影響を除くため、
図1のモータD54の速度センサ541の速度信号を速度換算部b612で換算して速度値N
f2を得る。速度値N
f2も誤差ΔN
f2を含むため(2)式で表わされる。
【0035】
ブロックミル2の機械的特徴から、安定した圧延時にはΔN
f2<<ΔN
f1であるからN
f1とN
f2の差N
aは(3)式で表される。
【0037】
ここで、SW2をONとするとN
aが比例積分部82に入力される。比例積分部82で比例ゲインKのみがかけられるとすると、速度フィードバック値として速度制御部615にフィードバックされる速度値N
f3は(4)式で表わされる。
【0039】
現実にはΔN
f2は0ではないためK=1とはできないが、0<K<1となるKを設定することで速度フィードバック値の誤差を小さくできる。
【0040】
補正値−KN
f1は補正値保持部83に記憶され、SW2をOFFにすることで保持される。以上が補正値学習モードでの動作である。
【0041】
(連動制御モード)
連動制御モード(SW1、SW2ともにOFF)は全圧延スタンドに圧延材が噛み込んでいる場合に用いられるモードである。本モードは、圧延が安定した状態で用いられる。
図1のモータD54の速度センサ541の速度信号を速度換算部b612で換算した速度値N
f2が速度フィードバック値として速度制御部615にフィードバックされる。
【0042】
従来のセンサレスベクトル制御に対する実施の形態1のシステムのメリットを説明する。
図7は、従来のセンサレスベクトル制御について説明するための図である。この制御では、モータ制御装置200の内部の速度推定部201によって演算される速度推定値を、速度制御部202への速度フィードバック値とする。速度推定部201による速度推定ではモータ204の抵抗などの電気特性データをパラメータに用いるが、これらは運転状況によって変化する値である。そのため、高精度の速度推定はできず、速度制御の精度は低い。
【0043】
全てのモータをセンサレスベクトル制御とする場合、速度センサは不要であるが上記の通り速度制御の精度が低いため、圧延スタンド間の速度比が理想的にならない。一方、個別駆動方式のブロックミルですべてのモータをセンサ付ベクトル制御とすれば、多数の速度センサが必要になりコスト増となるほか、いずれか1つの速度センサが故障すれば運転ができなくなりシステムの信頼性が低くなる。
【0044】
本発明の実施の形態1のシステムは、速度センサのないモータA51〜C53のモータ制御装置A61〜C63にも速度センサ541が検出した精度の高い速度検出値をフィードバックできるため、モータの速度制御を高い精度で実現できる。また、速度センサ541の速度検出値を利用して学習した補正値により速度推定値を補正できるため、被圧延材3による物理的な拘束がなく
図1のモータA51〜D54の速度比が一定とならない噛み込み時や尾端抜け時においても、速度センサのないモータの速度制御の精度を高めることができる。加えて、センサ数が少ないためシステムの信頼性も高くなる。
【0045】
尚、上述した実施の形態1においては、圧延スタンドA41〜C43のいずれか1つが本発明における「第1圧延スタンド」に、圧延スタンドD44が本発明における「第2圧延スタンド」に、モータA51〜C53のいずれか1つが本発明における「第1モータ」に、モータD54が本発明における「第2モータ」に、速度制御部(615、625、635)のいずれか1つが本発明における「第1速度制御部」に、速度制御部645が本発明における「第2速度制御部」に、それぞれ相当している。
【0046】
(変形例)
ところで、上述した実施の形態1のシステムにおいては、4つの圧延スタンドを4台のモータで駆動することとし、
図2に示すように1組の圧延ロール441を、ギア442を介して1台のモータ54で駆動する機械構成としている。しかしながら、圧延スタンドの機械構成はこれに限定されるものではない。
図4は、圧延スタンドD44の機械構成の変形例を説明するための模式図である。
図4に示すように、1つの圧延ロールを1つのモータで駆動することとしてもよい。また、圧延スタンド数が異なる場合には、少なくとも1つのモータに速度センサが取り付けられていれば本発明は実施可能である。なお、この点は以下の実施の形態でも同様である。
【0047】
また、上述した実施の形態1のシステムにおいては、棒線圧延ライン1の下流に速度センサを備えた圧延スタンドが配置されているが、速度センサを備えた圧延スタンドの配置はこれに限定されるものではない。ただし、速度センサを備えた圧延スタンドの配置に応じて、他のスタンドで用いられる速度比を適切に設定する必要はある。なお、この点は以下の実施の形態でも同様である。
【0048】
実施の形態2.
[実施の形態2のシステム構成]
次に、
図5、
図6を参照して本発明の実施の形態2について説明する。本実施形態のシステムは
図1に示す構成において、
図5の構成を採用することで実現することができる。
【0049】
図6は、速度センサ541により検出された速度検出値と、速度推定部613により演算された速度推定値との関係を説明するための図である。実線100は理想的な速度検出値と速度推定値との関係を示しているが、実際には速度推定誤差がある。上述した実施の形態1における速度補正演算部614の補正値学習モードの動作は、センサレスベクトル制御の速度推定誤差が一定である場合に有効である(実線101)。
【0050】
ところで、速度推定誤差が速度に依存し一定値にならない、すなわち補正値が一定でない場合もある(実線102)。例えば、回転速度の変化によるモータの温度変化により抵抗が変化する場合がありうる。本発明の実施の形態2では、速度推定誤差が速度に依存し一定値にならない場合を考慮して、速度補正演算部614の構成を
図5のようにすることとした。
【0051】
図5は、本発明の実施の形態2における速度補正演算部614の構成について説明するための図である。
図5の構成は、加算器84に代えて補正部103を備える点、および減算器81、比例積分部82、補正値保持部83に代えて補正係数学習部104を備える点を除いて
図3の構成と同様である。
【0052】
図5の構成においても、
図3の構成と同様に、スイッチSW1およびSW2のON/OFFの組み合わせに応じて、独立制御モード、補正値学習モード、連動制御モードの3つの動作モードが選択可能である。各モードの基本的な説明は
図3の説明と同様であるため同様の説明については省略または簡略する。
【0053】
図5においてSW1がON状態とは、補正部103と速度制御部615との間の接点が接続され、速度換算部b612と速度制御部615との間の接点が切断された状態をいう。SW1がOFF状態とは、速度換算部b612と速度制御部615との間の接点が接続され、補正部103と速度制御部615との間の接点が切断された状態をいう。また、SW2がON状態とは、速度換算部b612と補正係数学習部104との間の接点が接続された状態をいう。
【0054】
(独立制御モード)
独立制御モード(SW1がON状態、SW2がOFF状態)は、被圧延材3の噛み込み時、及び尾端抜け時に用いられるモードである。補正係数学習部104に学習した補正値(補正係数)が保持されている場合には、補正部103は、補正部103に定義されている関数に補正値(補正係数)を適用し、この関数に速度推定値を入力して速度フィードバック値を算出する。速度制御部615には、速度フィードバック値がフィードバックされる。
【0055】
(補正値学習モード)
補正値学習モード(SW1、SW2ともにON状態)は、全圧延スタンドに被圧延材3が噛み込んでいる場合に、独立運転モード時の速度推定値の誤差を取り除く補正値(補正係数)を学習するためのモードである。ブロックミル2は、同一仕様の被圧延材3を複数ロット圧延するが、本モードは1ロット目の圧延時に用いられる。補正係数学習部104は、速度センサ541が検出した速度検出値を実施の形態1で述べた速度比で補正した値と、速度推定部613が演算した速度推定値との差異に基づいて補正値(補正係数)を学習する。一例として、補正部103が有する関数が
図6の実線102に示す関数である場合には、関数の係数を学習する。関数は1次関数に限られるものではなくn次関数(n>1)であってもよい。なお、補正係数学習部104は補正値保持部83としての機能を含み、学習した補正値(補正係数)を保持する。
【0056】
(連動制御モード)
連動制御モード(SW1、SW2ともにOFF)は全圧延スタンドに圧延材が噛み込んでいる場合に用いられるモードである。本モードは、圧延が安定した状態で用いられる。
図1のモータD54の速度センサ541の速度信号を速度換算部b612で換算した速度値が速度フィードバック値として速度制御部615にフィードバックされる。
【0057】
本発明の実施の形態2のシステムによれば、速度推定誤差が速度に依存し一定値にならない場合であっても、実施の形態1のシステムと同様に、速度センサのないモータの速度制御の精度を高めることができる。