特許第6358266号(P6358266)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6358266
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】画像表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20180709BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20180709BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20180709BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20180709BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   H05B33/14 A
   H01L27/32
   G09F9/30 365
   H05B33/10
   H05K5/02 A
【請求項の数】1
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-552285(P2015-552285)
(86)(22)【出願日】2014年4月22日
(86)【国際出願番号】JP2014002258
(87)【国際公開番号】WO2015087462
(87)【国際公開日】20150618
【審査請求日】2016年4月12日
(31)【優先権主張番号】特願2013-254419(P2013-254419)
(32)【優先日】2013年12月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514188173
【氏名又は名称】株式会社JOLED
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】菊池 努
【審査官】 池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−122267(JP,A)
【文献】 特開2009−093156(JP,A)
【文献】 特開2007−304390(JP,A)
【文献】 特開2003−029643(JP,A)
【文献】 特開2010−057030(JP,A)
【文献】 特開2012−039315(JP,A)
【文献】 特開2010−175988(JP,A)
【文献】 特開2014−021224(JP,A)
【文献】 特開2006−065300(JP,A)
【文献】 特開2008−275824(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0094789(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0211738(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50
H01L 27/32
G09F 9/30
H05B 33/10
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持台を用いて画像表示装置を製造するための製造方法であって、
前記画像表示装置は、
有機EL表示装置と、前記有機EL表示装置の背面側に配置されたバックカバーとを備え、
前記有機EL表示装置は、
前面に画像を表示する有機ELパネルと、前記有機ELパネルの背面側に配置され、前記有機ELパネルを保持するシャーシとを備え、
前記シャーシは、前記有機ELパネルとは反対側に突出した突出部であって、ネジ孔ではない貫通孔が形成された突出部を有し、
前記貫通孔は、前記突出部の突出方向または下方に向けて貫通する孔であり
前記支持台は、
前記有機EL表示装置を起立した姿勢で支持する支持台であって、基台と、前記基台に立設された支柱と、前記支柱から、前記支柱の長手方向と交差する方向に延設された支持部材とを備え、
前記支持部材は、前記支柱とは反対側の端部に、前記貫通孔に挿入された状態で前記貫通孔の周縁部と係合する係合部を有し、
前記製造方法は、
前記有機EL表示装置を、前記支持台で支持させた状態で検査する検査工程を含み、
前記検査工程では、前記有機EL表示装置の前記シャーシに形成された前記貫通孔に、前記支持台の前記係合部を係合させることで、前記支持台に、前記有機EL表示装置を起立した姿勢で支持させる
画像表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有機EL(Electro Luminescence)パネルを備える有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ等の画像表示装置は、有機EL(Electro Luminescence)パネル等の表示パネルを含む表示パネルユニットを備える。表示パネルユニットは、テレビ等の画像表示装置の筐体に組み込まれる前に、例えば品質確認のための検査が行われる。この検査の際、表示パネルユニットを作業台の上に起立させた姿勢で支持する必要がある。
【0003】
例えば特許文献1には、平面ディスプレイパネルを支持する支持装置が開示されている。特許文献1によれば、被支持体を支持するスタンド支柱を支持台に立設することで構成された支持装置において、スタンド支柱と支持台との間に例えば絶縁スペーサを介在させる。この構成により、支持装置の、特定周波数に対する共振の阻止が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−174600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、起立した状態での支持が容易であり、かつ、薄型化が可能な有機EL表示装置を備える画像表示装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における有機EL表示装置は、前面に画像を表示する有機ELパネルと、有機ELパネルの背面側に配置され、有機ELパネルを保持するシャーシとを備え、シャーシは、有機ELパネルとは反対側に突出した突出部であって、貫通孔が形成された突出部を有する。
【0007】
また、本開示における支持台は、上記有機EL表示装置を起立した姿勢で支持する支持台であって、基台と、基台に立設された支柱と、支柱から、支柱の長手方向と交差する方向に延設された支持部材とを備え、支持部材は、支柱とは反対側の端部に、貫通孔に挿入された状態で貫通孔の周縁部と係合する係合部を有する。
【0008】
また、本開示における画像表示装置は、上記有機EL表示装置と、有機EL表示装置の背面側に配置されたバックカバーとを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示における有機EL表示装置は、起立した状態での支持が容易であり、かつ、薄型化が可能である。これにより、薄型化されたテレビなどの画像表示装置の生産の効率化等が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態における画像表示装置の外観斜視図である。
図2図2は、実施の形態における画像表示装置の分解斜視図である。
図3図3は、実施の形態におけるシャーシの段差部の領域を模式的に示した平面図である。
図4図4は、実施の形態における有機ELパネルの一部切り欠き斜視図である。
図5図5は、実施の形態における有機ELパネルのピクセルバンクの例を示す斜視図である。
図6図6は、実施の形態の有機ELパネルにおける画素回路の構成を示す電気回路図である。
図7図7は、実施の形態における有機ELパネルユニットの外観斜視図である。
図8図8は、実施の形態における支持台の構成の一例を示す外観斜視図である。
図9図9は、貫通孔と支持部材とのサイズおよび形状の関係を示す図である。
図10図10は、貫通孔に支持部材が挿入され係合する様子を示す部分断面図である。
図11図11は、有機ELパネルユニットが支持台に支持されている状態を示す斜視図である。
図12図12は、実施の形態の変形例1における貫通孔と支持部材とのサイズおよび形状の関係を示す図である。
図13図13は、実施の形態の変形例2における貫通孔と支持部材とのサイズおよび形状の関係を示す図である。
図14図14は、実施の形態の変形例3における貫通孔と支持部材とのサイズおよび形状の関係を示す図である。
図15図15は、実施の形態の変形例4における貫通孔に支持部材が挿入され係合する様子を示す部分断面図である。
図16図16は、実施の形態の変形例5における突出部の概要を示す外観斜視図である。
図17図17は、シャーシに貫通孔が2つ設けられる場合の貫通孔の配置位置の一例を示す図である。
図18図18は、シャーシに貫通孔が3つ設けられる場合の貫通孔の配置位置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願発明者は、従来の有機EL表示装置に関し、以下の問題が生じることを見出した。
【0012】
有機ELパネルは、自発光型の表示パネルであり、その厚みは、例えば1mm〜3mm程度である。また、有機ELパネルを備えるテレビ等の画像表示装置には薄型化が要求されるため、有機ELパネルおよびシャーシで構成される有機ELパネルユニット(有機EL表示装置)にも薄型化が要求される。
【0013】
そのため、有機EL表示装置の検査等を行う工程において、全体として大型かつ薄型の有機EL表示装置を起立した状態で安定的に支持するための工夫が必要である。
【0014】
しかしながら、例えば上記従来の支持装置を、有機EL表示装置を支持するための装置として採用する場合、シャーシを支持装置に支持させるためのボルトをシャーシの下端部に立設する必要がある。このようなボルトをシャーシに立設することは、有機EL表示装置の薄型化の観点からは好ましくない。
【0015】
また、当該支持装置では、有機EL表示装置の下端部を固定することで有機EL表示装置を支持するため、有機EL表示装置のサイズが大きくなるほど、また、厚みが薄くなるほど、有機EL表示装置の安定的な支持が困難となる。
【0016】
本開示は、このような知見に基づいてなされたものであり、本願発明者が鋭意検討した結果、起立した状態での支持が容易であり、かつ、薄型化が可能である有機EL表示装置の構造についての着想を得た。
【0017】
以下、適宜図面を参照しながら実施の形態を説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0018】
なお、本願発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0019】
以下、図1図16を用いて実施の形態およびその変形例を説明する。まず、図1図3を用いて、実施の形態における画像表示装置の構成概要について説明する。
【0020】
[1−1.画像表示装置の構成概要]
図1は、実施の形態における画像表示装置1の外観斜視図である。
【0021】
図2は、実施の形態における画像表示装置1の分解斜視図である。
【0022】
図1および図2に示すように、本実施の形態における画像表示装置1は、有機ELパネルユニット20と、有機ELパネルユニット20の背面側に配置されたバックカバー(背面筐体)40とを備える。
【0023】
有機ELパネルユニット20は、有機EL表示装置の一例であり、前面に画像を表示する有機ELパネル10と、有機ELパネル10の背面側に配置され、有機ELパネル10を保持するシャーシ21とを備える。
【0024】
画像表示装置1は、さらに、有機ELパネル10の表示側面(前面)の周縁を覆う矩形枠状のフレーム(枠体)30を備える。フレーム30およびバックカバー40は、例えば樹脂材料または金属材料を用いて形成される。
【0025】
このように、画像表示装置1は、フレーム30とバックカバー40との間に、有機ELパネルユニット20が配置された構造となっている。このような画像表示装置1は、例えば、受信した放送波等から得られる映像信号および音声信号を出力するテレビジョン受像機(テレビ)として実現される。
【0026】
また、図2に示すように、シャーシ21の背面には、複数の回路基板50が取り付けられる。回路基板50は、有機ELパネル10に信号電圧を供給する駆動回路(ドライバ)が設けられた駆動回路基板である。複数の回路基板50は、シャーシ21の周縁に沿うように配置されるとともに、フレキシブルケーブルを介して有機ELパネル10と接続される。
【0027】
また、シャーシ21の背面の中央部を含む所定の領域に複数の回路基板51が取り付けられる。これら回路基板51が有する電子回路は、受信した映像信号を処理する信号処理回路、走査駆動回路および信号線駆動回路の動作を制御する制御回路、および、電力を外部から受け取って各回路に供給する電源回路などである。
【0028】
なお、画像表示装置1は、回路基板50と有機ELパネル10とを接続するフレキシブルケーブル等の、図2に図示していない他の要素も備えるが、本開示における画像表示装置1の特徴を明確に示すために、これら他の要素の図示および説明は省略する。
【0029】
シャーシ21は、例えば金属製の部材であり、有機ELパネル10とは反対側に突出した突出部21aであって、貫通孔60が形成された突出部21aを有する。つまり、シャーシ21は、簡単に言うと、平板状の本体に突出部21aが形成された形状を有している。
【0030】
本実施の形態におけるシャーシ21は、例えばアルミニウムまたは鉄からなる金属製の矩形状の板部材(金属板)を用いて、突出部21aが形成されるように当該板部材に絞り加工等のプレス加工を施すことによって成形された部材である。
【0031】
例えば、板厚が0.6mmのアルミニウム板に絞り加工を施すことによって突出部21aを形成することができる。このように、突出部21a(絞り)を形成することによってシャーシ21の剛性を向上させることができる。
【0032】
なお、本実施の形態では、図3に示すように、突出部21aは4段絞りになっている。つまり、突出部21aは4段階の高さを有する。
【0033】
図3は、実施の形態におけるシャーシ21の段差部の領域を模式的に示した平面図である。
【0034】
図3において、各領域に付された「0」〜「4」は段差の高さ位置(突出部21aの突出方向(Z軸正の方向)の位置)を示しており、同じ高さ位置の段差部を示す領域には同じ種類のハッチングが施されている。
【0035】
具体的には、「0」と図示された領域は、基準面となる領域であって、絞り加工が施されていない領域である。この「0」と図示された領域は、有機ELパネル10に最も近い領域であり、有機ELパネル10に接触または接続する部分である。
【0036】
また、「1」と図示された領域は、基準面から一段高い位置の領域であり、「2」と図示された領域は、基準面から二段高い位置の領域である。また、「3」と図示された領域は、基準面から三段高い位置の領域であり、「4」と図示された領域は、基準面から四段高い位置の領域である。
【0037】
なお、シャーシ21が有する突出部21aは、本実施の形態では上述のように複数の段差部を有するように絞り加工によって形成されているが、突出部21aは、全体的に同一の高さであってもよい。つまり、突出部21aが複数の段差部を有することは必須ではない。
【0038】
また、本実施の形態におけるシャーシ21が有する突出部21aには貫通孔60が形成されている。貫通孔60は、例えば、突出部21aが形成される際に突出部21aとともにプレス加工によって形成される。なお、貫通孔60が形成されるタイミングは、突出部21aを形成するためのプレス加工の前または後であってもよい。
【0039】
次に、以上のように構成された画像表示装置1が備える有機ELパネルユニット20について、図4図11を用いて説明する。まず、図4図6を用いて、実施の形態における有機ELパネルユニット20が備える有機ELパネル10の基本的な構成について説明する。
【0040】
[1−2.有機ELパネル]
図4は、実施の形態における有機ELパネル10の一部切り欠き斜視図である。
【0041】
図5は、実施の形態における有機ELパネル10のピクセルバンクの例を示す斜視図である。
【0042】
図4に示すように、有機ELパネル10は、複数個の薄膜トランジスタが配置されたTFT基板(TFTアレイ基板)101と、有機EL素子(発光部)130との積層構造により構成される。有機EL素子130は、下部電極である陽極131、有機材料からなる発光層であるEL層132および透明な上部電極である陰極133で構成される。
【0043】
なお、有機ELパネル10は、有機EL素子130の上方に配置されたガラス基板を有するが、図4および図5では省略されている。
【0044】
また、TFT基板101は、例えばガラス基板の上にゲート電極等の各種の要素が積層された構造を有している。つまり、有機ELパネル10は、全体として2枚のガラス基板に有機EL素子130等が挟まれた構造を有している。このような構造の有機ELパネル10の厚みは、例えば1mm〜3mm程度である。
【0045】
TFT基板101には複数の画素110がマトリクス状に配置されており、各画素110には画素回路120が設けられている。
【0046】
有機EL素子130は、複数の画素110のそれぞれに対応して形成されており、各画素110に設けられた画素回路120によって各有機EL素子130の発光の制御が行われる。有機EL素子130は、複数の薄膜トランジスタを覆うように形成された層間絶縁膜(平坦化膜)の上に形成される。
【0047】
また、有機EL素子130は、陽極131と陰極133との間にEL層132が配置された構成となっている。陽極131とEL層132との間にはさらに正孔輸送層が積層形成され、EL層132と陰極133との間にはさらに電子輸送層が積層形成されている。なお、陽極131と陰極133との間には、その他の有機機能層が設けられていてもよい。
【0048】
各画素110は、それぞれの画素回路120によって駆動制御される。また、TFT基板101には、画素110の行方向に沿って配置される複数のゲート配線(走査線)140と、ゲート配線140と交差するように画素110の列方向に沿って配置される複数のソース配線(信号配線)150と、ソース配線150と平行に配置される複数の電源配線(図4では省略)とが形成されている。各画素110は、例えば直交するゲート配線140とソース配線150とによって区画されている。
【0049】
ゲート配線140は、各画素回路120に含まれるスイッチング素子として動作する薄膜トランジスタのゲート電極と行毎に接続されている。ソース配線150は、各画素回路120に含まれるスイッチング素子として動作する薄膜トランジスタのソース電極と列毎に接続されている。電源配線は、各画素回路120に含まれる駆動素子として動作する薄膜トランジスタのドレイン電極と列毎に接続されている。
【0050】
図5に示すように、有機ELパネル10の各画素110は、3色(赤色、緑色、青色)のサブ画素110R、110G、110Bによって構成されている。これらのサブ画素110R、110G、110Bは、表示面上に複数個マトリクス状に配列されるように形成されている。
【0051】
各サブ画素110R、110G、110Bは、バンク111によって互いに分離されている。バンク111は、ゲート配線140に平行に延びる突条と、ソース配線150に平行に延びる突条とが互いに交差するように、格子状に形成されている。そして、この突条で囲まれる部分(すなわち、バンク111の開口部)の各々とサブ画素110R、110G、110Bの各々とが一対一で対応している。なお、本実施の形態において、バンク111はピクセルバンクとしたが、ラインバンクとしても構わない。
【0052】
陽極131は、TFT基板101上の層間絶縁膜(平坦化膜)上でかつバンク111の開口部内に、サブ画素110R、110G、110B毎に形成されている。同様に、EL層132は、陽極131上でかつバンク111の開口部内に、サブ画素110R、110G、110B毎に形成されている。透明な陰極133は、複数のバンク111上で、かつ全てのEL層132(全てのサブ画素110R、110G、110B)を覆うように、連続的に形成されている。
【0053】
さらに、画素回路120は、各サブ画素110R、110G、110B毎に設けられており、各サブ画素110R、110G、110Bと、対応する画素回路120とは、コンタクトホールおよび中継電極によって電気的に接続されている。なお、サブ画素110R、110G、110Bは、EL層132の発光色が異なることを除いて同一の構成である。
【0054】
ここで、画素110における画素回路120の回路構成について、図6を用いて説明する。図6は、実施の形態の有機ELパネル10における画素回路120の構成を示す電気回路図である。
【0055】
図6に示すように、画素回路120は、スイッチング素子として動作する薄膜トランジスタSwTrと、駆動素子として動作する薄膜トランジスタDrTrと、対応する画素110に表示するためのデータを記憶するキャパシタCとで構成される。本実施の形態において、薄膜トランジスタSwTrは、画素110を選択するためのスイッチングトランジスタであり、薄膜トランジスタDrTrは、有機EL素子130を駆動するための駆動トランジスタである。
【0056】
薄膜トランジスタSwTrは、ゲート配線140に接続されるゲート電極G1と、ソース配線150に接続されるソース電極S1と、キャパシタCおよび薄膜トランジスタDrTrのゲート電極G2に接続されるドレイン電極D1と、半導体膜(図示せず)とで構成される。この薄膜トランジスタSwTrは、接続されたゲート配線140およびソース配線150に所定の電圧が印加されると、当該ソース配線150に印加された電圧がデータ電圧としてキャパシタCに保存される。
【0057】
薄膜トランジスタDrTrは、薄膜トランジスタSwTrのドレイン電極D1およびキャパシタCに接続されるゲート電極G2と、電源配線160およびキャパシタCに接続されるドレイン電極D2と、有機EL素子130の陽極131に接続されるソース電極S2と、半導体膜(図示せず)とで構成される。この薄膜トランジスタDrTrは、キャパシタCが保持しているデータ電圧に対応する電流を、電源配線160からソース電極S2を通じて有機EL素子130の陽極131に供給する。これにより、有機EL素子130では、陽極131から陰極133へと駆動電流が流れてEL層132が発光する。
【0058】
なお、上記構成の有機ELパネル10では、ゲート配線140とソース配線150との交点に位置する画素110毎に表示制御を行うアクティブマトリクス方式が採用されている。これにより、各画素110(各サブ画素110R、110G、110B)の薄膜トランジスタSwTrおよびDrTrによって、対応する有機EL素子130が選択的に発光し、所望の画像が表示される。
【0059】
次に、有機ELパネルユニット20の検査工程おいて有機ELパネルユニット20を支持するための、有機ELパネルユニット20およびその支持台200が有する構成について、図7図11を用いて説明する。
【0060】
[1−3.有機ELパネルユニット]
図7は、実施の形態における有機ELパネルユニット20の外観斜視図である。
【0061】
なお、図7では、図2と同様に、有機ELパネルユニット20の特徴に実質的に関与しない内部配線(フレキシブルケーブル)等の他の要素の図示は省略されている。
【0062】
図7に示すように、有機ELパネルユニット20のシャーシ21は、絞り加工により形成された突出部21aを有し、突出部21aには貫通孔60が形成されている。
【0063】
本実施の形態では、シャーシ21の突出部21aに4つの貫通孔60が設けられている。なお、本実施の形態では、シャーシ21の比較的に広い領域に存在する1つの突出部21a(図3において「1」〜「4」が付された領域)に、4つの貫通孔60が設けられている。しかし、複数の貫通孔60の各々が、シャーシ21において互いに分離して存在する突出部に設けられてもよい。
【0064】
本実施の形態において、これら貫通孔60のそれぞれは、突出部21aの一部を突出部21aの突出方向(Z軸正の方向)に貫通する孔である。貫通孔60のそれぞれは、貫通孔60の平面視(シャーシ21を、有機ELパネル10とは反対側の方向から見た場合、以下同じ)において対向する位置にある2つの端部の幅(2つの端部を結ぶ方向に直交する方向の幅)が互いに異なるように形成されている。
【0065】
具体的には、図7に示すように、貫通孔60の平面視における2つの端部のうちの下方の端部の幅は、上方の端部の幅よりも広い。また、これら2つの端部のうちの下方の端部は、所定の部材の挿抜を可能とする大きさに形成されており、上方の端部は、下方の端部から挿入された当該所定の部材が係合する大きさに形成されている。
【0066】
なお、本実施の形態における「上方」および「下方」は、有機ELパネルユニット20が検査される際の起立した状態における上方および下方を意味する。
【0067】
すなわち、本実施の形態における「上方」および「下方」は、テレビ等として実現される、有機ELパネルユニット20を備える画像表示装置1が設置された状態における上方および下方と一致してもよく、一致しなくてもよい。
【0068】
また、上記「所定の部材」は、本実施の形態では、図8を用いて後述する支持台200に備えられた支持部材220であり、支持部材220が貫通孔60に挿入された状態で、有機ELパネルユニット20が安定的に支持される。
【0069】
本実施の形態では、より詳細には、貫通孔60は、2つの端部のうちの幅の広い端部を含む第一孔60aと、第一孔60aの周縁の一部が外方に凹んでいることで形成された、2つの端部のうちの幅の狭い端部を含む第二孔60bとで構成されている。
【0070】
すなわち、本実施の形態における貫通孔60は、大きな孔と小さな孔とが、互いの一部が重ねられるように設けられた一つの孔であり、例えば「ダルマ孔」と呼ばれる形状を有している。
【0071】
また、これら4つの貫通孔60のうちの上側の2つの貫通孔60は、シャーシ21において、当該2つの貫通孔60の中点がシャーシ21の幅方向(Y方向)の中央に位置するように配置されている。また、4つの貫通孔60のうちの下側の2つの貫通孔60も同様に、シャーシ21において、当該2つの貫通孔60の中点がシャーシ21の幅方向(Y方向)の中央に位置するように配置されている。
【0072】
このように、シャーシ21の突出部21aに形成された4つの貫通孔60を有する有機ELパネルユニット20は、図8に示すように、支持台200に支持される。
【0073】
図8は、実施の形態における支持台200の構成の一例を示す外観斜視図である。図9は、貫通孔60と支持部材220とのサイズおよび形状の関係を示す図である。
【0074】
図10は、貫通孔60に支持部材220が挿入され係合する様子を示す部分断面図である。図11は、有機ELパネルユニット20が支持台200に支持されている状態を示す斜視図である。
【0075】
なお、図10に示す突出部21aの断面は、図9におけるA−A断面を含む部分の断面である。また、図10において、支持部材220は側面図で表されている。
【0076】
図8に示すように、本実施の形態における支持台200は、基台201と、基台201に立設された支柱210と、支柱210から、支柱210の長手方向と交差する方向に延設された支持部材220とを備える。
【0077】
支持部材220は、支柱210とは反対側の端部に、貫通孔60に挿入された状態で貫通孔60の周縁部と係合する係合部222を有する。具体的には、支持部材220はさらに、軸部221、および、軸部221と係合部222とを接続する小径部223を有する。小径部223は、軸部221および係合部222よりも外径の小さな部分である。
【0078】
本実施の形態における支持台200は、図8に示すように、基台201に立設された2本の支柱210を備え、2本の支柱210のそれぞれには、2つの支持部材220が設置されている。
【0079】
なお、支柱210と支持部材220との接続の手法に特に限定はない。例えば、支柱210および支持部材220を金属で構成した場合、支柱210と支持部材220とを溶接で接合してもよい。また、支柱210にネジ孔(雌ネジ)を形成し、当該雌ネジに支持部材220の、係合部222とは反対側の端部に設けた雄ネジを螺合させることで、支柱210と支持部材220とを接続してもよい。基台201と支柱210との接続についても同様に、溶接または螺合など各種の手法が採用し得る。
【0080】
また、支持台200が備える4つの支持部材220は、図8に示すように、有機ELパネルユニット20のシャーシ21が有する4つの貫通孔60に対応する位置に配置されている。
【0081】
例えば有機ELパネルユニット20についての各種の検査が行われる場合、有機ELパネルユニット20の背面側に配置された4つの貫通孔60のそれぞれに支持部材220の係合部222が挿入される。
【0082】
具体的には、図9に示すように、貫通孔60の一部を構成する第一孔60aは、支持部材220の係合部222を挿抜自在とする大きさおよび形状に形成されている。また、貫通孔60の一部を構成する第二孔60bは、第一孔60aから突出部21aの内方に挿入された係合部222が係合する大きさおよび形状(第二孔60bを介して係合部222が抜き出せない大きさおよび形状)に形成されている。
【0083】
例えば、ある一組の貫通孔60および支持部材220に着目した場合、図10に示すように、貫通孔60の第一孔60aから、支持部材220の係合部222が突出部21aの内方に挿入されるように、有機ELパネルユニット20が移動される。その後、有機ELパネルユニット20が下方に移動され、これにより、支持部材220の係合部222が、貫通孔60(第二孔60b)の周縁部と係合する。つまり、有機ELパネルユニット20の自重で、支持部材220の係合部222と貫通孔60(第二孔60b)の周縁部との係合状態が維持される。
【0084】
ここで、例えば図9に示されるように、貫通孔60は、支持部材220の係合部222を挿抜自在であって、かつ、軸部221が挿入不可能な大きさおよび形状に形成されている。
【0085】
従って、支持部材220の係合部222を第一孔60aに挿入した場合、軸部221の係合部222側の端面が、貫通孔60(第一孔60a)の周縁に当接することで、係合部222の有機ELパネル10の方向への移動が規制される。
【0086】
これにより、例えば、係合部222が有機ELパネル10と干渉することが防止されるため、支持部材220による有機ELパネル10の損傷が防止される。
【0087】
このような支持部材220と貫通孔60(第二孔60b)との係合状態が、4組の貫通孔60および支持部材220の間において生じることで、例えば図11に示すように、有機ELパネルユニット20が支持台200に支持される。この状態において、有機ELパネルユニット20についての各種の検査が実行される。
【0088】
その後、有機ELパネルユニット20を持ち上げることで、4組の支持部材220と貫通孔60(第二孔60b)との係合状態が解消され、有機ELパネルユニット20を支持台200から取り外すことができる。
【0089】
つまり、有機ELパネルユニット20を持ち上げない限り、各支持部材220を有機ELパネルユニット20の各貫通孔60から抜き出すことはできないため、有機ELパネルユニット20の安定的な支持が実現される。
【0090】
なお、本実施の形態における支持部材220は、例えば、金属の丸棒に切削加工を施すこと、または、複数の部品を螺合、溶接、または接着等によって組み合わせることで作成される。
【0091】
また、例えば、また、外周にねじ山を有する棒体に、外径の異なる2つのナットを間隔を開けて螺合させることで、支持部材220を構成することもできる。
【0092】
つまり、当該2つのナットのうちの、当該棒体の中間部に配置された外径の大きなナットを軸部221として機能させ、かつ、当該棒体の端部に配置された外径の小さなナットを係合部222として機能させることもできる。
【0093】
この構成により、例えば、支持部材220の、貫通孔60への挿入可能な長さの調整を容易に行うことができる。
【0094】
また、本実施の形態において、シャーシ21の背面側に配置された4つの貫通孔60は、当該4つの貫通孔60を四隅とする矩形領域が、シャーシ21の幅方向の中央部分であって、かつ、上下方向(Z軸方向)において下寄りの位置に存在するように配置されている。
【0095】
これは、例えば、電源回路等の構成要素の配置レイアウトに起因して、有機ELパネルユニット20の重心が、シャーシ21の幅方向の中央部分であって、かつ、上下方向において下寄りの位置にあるためである。つまり、支持台200が有機ELパネルユニット20を支持した場合における安定性を考慮して4つの貫通孔60の位置が決定されている。
【0096】
すなわち、シャーシ21の背面側に配置される1以上の貫通孔60の位置は、例えば、有機ELパネルユニット20に対する検査の行い易さ、および、有機ELパネルユニット20の重量のバランス等を考慮して、突出部21aのいずれかの位置に決定すればよい。
【0097】
[1−4.効果等]
以上のように、本実施の形態の画像表示装置1は、有機ELパネルユニット20を備える。
【0098】
また、有機ELパネルユニット20は、有機ELパネル10と、有機ELパネル10の背面側に配置され、有機ELパネル10を保持するシャーシ21とを備える。シャーシ21は、有機ELパネル10とは反対側に突出した突出部21aであって、貫通孔60が形成された突出部21aを有する。
【0099】
これにより、例えばシャーシ21の剛性を向上させるために形成された部分(突出部21a)を利用して、有機ELパネルユニット20を起立した状態で支持するための要素(貫通孔60)を形成することができる。そのため、起立した状態での支持が容易であり、かつ、薄型化が可能な有機ELパネルユニット20が実現される。
【0100】
また、本実施の形態において、貫通孔60は、突出部21aの一部を、突出部21aの突出方向に貫通する孔であり、平面視において対向する位置にある2つの端部の幅が互いに異なるように形成されている。
【0101】
これにより、貫通孔60への支持部材220の挿抜が自在となり、かつ、支持部材220と貫通孔60(貫通孔60の周縁部)との係合の確実性が向上される。
【0102】
また、本実施の形態において、貫通孔60の平面視における上記2つの端部のうちの下方の端部の幅は、上方の端部の幅よりも広い。
【0103】
より詳細には、本実施の形態における貫通孔60の平面視における上記2つの端部のうちの下方の端部は、支持部材220の挿抜を可能とする大きさに形成されており、上方の端部は、下方の端部から挿入された支持部材220が係合する大きさに形成されている。
【0104】
これにより、例えば有機ELパネルユニット20の自重で、支持部材220と貫通孔60との係合状態を安定的に維持させることができる。
【0105】
なお、有機ELパネルユニット20は、例えば図9に示す形状以外の形状の貫通孔を有してもよい。
【0106】
そこで、有機ELパネルユニット20を起立した状態で支持するために、有機ELパネルユニット20に配置される貫通孔に関する各種の変形例について、上記実施の形態との差分を中心に以下に説明する。
【0107】
[2−1.変形例1]
図12は、実施の形態の変形例1における貫通孔61と支持部材220とのサイズおよび形状の関係を示す図である。
【0108】
図12に示す貫通孔61は、平面視における下方の端部61aは、支持部材220の挿抜を自在とする大きさに形成されており、上方の端部61bは、下方の端部61aから挿入された支持部材220が係合する大きさに形成されている。
【0109】
また、変形例1における貫通孔61は、当該2つの端部のうちの一方の端部61aから他方の端部61bに近づくに従って幅が狭くなる部分を有するように形成されている点に特徴を有している。
【0110】
つまり、貫通孔61は、上記実施の形態における貫通孔60と比較すると、支持部材220の係合部222が挿抜自在な部分と、係合部222の抜け出しを規制する部分との境界が明確ではない。しかし、貫通孔61は、比較的に幅の広い端部61aにおいて、支持部材220の係合部222を挿抜自在とし、かつ、比較的に幅の狭い端部61aにおいて、係合部222と係合することが可能である。
【0111】
つまり、シャーシ21が有する突出部21aに形成された貫通孔61に支持部材220を挿入して係合させることで、有機ELパネルユニット20の安定的な支持が可能である。
【0112】
なお、貫通孔の平面視において対向する位置にある2つの端部のうちの一方の端部から他方の端部に近づくに従って幅が狭くなる部分を有する形状としては、図12に示す形状の他に、三角形および台形などが例示される。つまり、平面視における形状が三角形または台形の貫通孔が、有機ELパネルユニット20が安定的に支持されるための貫通孔として突出部21aに形成されていてもよい。
【0113】
[2−2.変形例2]
図13は、実施の形態の変形例2における貫通孔62と支持部材220とのサイズおよび形状の関係を示す図である。
【0114】
図13に示す貫通孔62は、平面視における形状が、係合部222の挿抜が可能であり、かつ、軸部221の挿入が不可能な大きさの円形である。
【0115】
つまり、貫通孔62は、上記実施の形態における貫通孔60のような、係合部222を挿抜自在とする部分と、係合部222と係合する部分とが明確に区別される形状の孔(ダルマ孔)ではなく、単純な円形の孔として認識される孔である。
【0116】
しかしながら、支持部材220は、係合部222と軸部221との間に小径部223を有しており、係合部222と小径部223とにより段差が形成されている。そのため、係合部222が貫通孔62に挿入された後に、有機ELパネルユニット20が下方に移動した場合、この段差部分と、貫通孔62の周縁部とが係合する。つまり、支持部材220による有機ELパネルユニット20の安定的な支持が可能である。
【0117】
また、貫通孔62の大きさは、軸部221の挿入が不可能な大きさであるため、突出部21aの貫通孔62から挿入された係合部222と有機ELパネル10とが干渉することは防止される。
【0118】
[2−3.変形例3]
図14は、実施の形態の変形例3における貫通孔63と支持部材230とのサイズおよび形状の関係を示す図である。
【0119】
図14に示す貫通孔63は、平面視における形状が矩形である。つまり、貫通孔63の平面視における形状は、上記実施の形態における貫通孔60のように曲線で構成されておらず、直線のみで構成されている。
【0120】
また、このような形状の貫通孔63に対応し、支持部材230は、長尺状の板材を折り曲げたような形状を有している。具体的には、支持部材230は、係合部232と軸部231と備える。
【0121】
また、貫通孔63は、係合部232が挿抜自在な大きさおよび形状を有しており、係合部232は、フックの形状を有している。
【0122】
つまり、図14に示すように、係合部232が貫通孔63に挿入された後に、有機ELパネルユニット20が下方に移動した場合、係合部232と、貫通孔63の周縁部とが係合する。つまり、支持部材230による有機ELパネルユニット20の安定的な支持が可能である。
【0123】
また、貫通孔63の大きさは、突出部21aの貫通孔63が形成された面に対して直交した姿勢で支持部材230が貫通孔63に挿入された場合に、軸部231の挿入が不可能な大きさである。つまり、1以上の貫通孔63が形成されたシャーシ21を有する有機ELパネルユニット20を、支持部材230を備える支持台200に支持させようとした場合において、貫通孔63から挿入された係合部232と有機ELパネル10とが干渉することが防止される。
【0124】
また、貫通孔63の周縁部と支持部材230とは、突出部21aの貫通孔63が形成された面に平行な直線で接触するため、例えば、有機ELパネルユニット20の、支持部材230を中心とした回転方向の安定性が向上する。
【0125】
[2−4.変形例4]
図15は、実施の形態の変形例4における貫通孔65に支持部材220が挿入され係合する様子を示す部分断面図である。
【0126】
図15に示す貫通孔65は、上記実施の形態における貫通孔60とは異なり、突出部21aの突出方向に交差する方向に貫通する孔として、突出部21aに形成されている。
【0127】
具体的には、突出部21aの下方の側面を貫通する孔として貫通孔65が設けられている。
【0128】
このような貫通孔65と係合する所定の部材としては、図14に示した変形例3における支持部材230が例示される。
【0129】
つまり、図15に示すように、貫通孔65に、支持部材230の係合部232の先端が近づくように、有機ELパネルユニット20が移動され、係合部232の先端が貫通孔65の開口の下方に位置した後に、有機ELパネルユニット20が下方に移動される。
【0130】
これにより、支持部材230の係合部232が、貫通孔65に係合する(嵌め合わされる)。つまり、貫通孔65に係合部232が引っ掛けられた状態で、有機ELパネルユニット20が支持部材230に支持される。
【0131】
また、この状態では、有機ELパネルユニット20の自重により、有機ELパネルユニット20の安定的な支持状態が維持される。
【0132】
また、貫通孔65の周縁部と支持部材230とは、突出部21aの貫通孔65が形成された面に平行な直線で接触するため、例えば、有機ELパネルユニット20の、支持部材230を中心とした回転方向の安定性が向上する。
【0133】
[2−5.変形例5]
図16は、実施の形態の変形例5における突出部22の概要を示す外観斜視図である。
【0134】
図16に示す突出部22は、上記実施の形態における突出部21aとは異なり、シャーシ21の本体に取り付けられた部材としてシャーシ21に備えられている。
【0135】
具体的には、本変形例における突出部22は、シャーシ21の本体に接合された接合片部22aと、接合片部22aと接続され、貫通孔60が形成された突出片部22bとを有する。
【0136】
なお、突出部22は、例えば所定のサイズに切り出された金属板にプレス加工で貫通孔60を形成し、さらに曲げ加工を行うことで作製される。
【0137】
また、突出部22の接合片部22aと、シャーシ21の本体とを溶接、接着、ネジ止めなどの手法により接合することで、突出部22がシャーシ21の本体に取り付けられる。
【0138】
このような態様の突出部22は、シャーシ21に、例えば図2および図3に示されるような絞り加工による凸部(有機ELパネル10が配置される側から見た場合の凹部)を形成しない場合に、シャーシ21に備えられる。
【0139】
または、シャーシ21が絞り加工による凸部を有する場合であっても、例えば、有機ELパネルユニット20の支持に適した位置に凸部が存在していない場合に、シャーシ21に備えられる。
【0140】
例えば、シャーシ21が、支持台200の4つの支持部材220(例えば図8参照)それぞれに対応する位置に突出部22を備えることで、有機ELパネルユニット20を支持台200に安定的に支持させることができる。
【0141】
このように、貫通孔60が形成された突出部22がシャーシ21の本体とは別体の部材であることにより、シャーシ21における1以上の貫通孔60の位置についての自由度が向上する。
【0142】
また、貫通孔60と有機ELパネル10との間にシャーシ21の本体である板状部材が存在するため、例えば貫通孔60に挿入された支持部材220の係合部222が有機ELパネル10と直接的に干渉することが防止される。
【0143】
これにより、例えば、突出部22の突出量(突出部22が配置された面からのZ軸方向の高さ)を、小さくすることが可能であり、このことは、有機ELパネルユニット20の薄型化に寄与する。
【0144】
なお、シャーシ21は、1以上の貫通孔60が形成された突出部21aと、本変形例における突出部22とを備えてもよい。つまり、シャーシ21本体に設けられた貫通孔60と、シャーシ21本体に取り付けられた突出部22に設けられた貫通孔60とが並存してもよい。
【0145】
また、突出部22は、貫通孔60に換えて、上記変形例1〜4のそれぞれにおける貫通孔61〜63、65のいずれかが形成されていてもよい。
【0146】
また、1つの突出部22に2以上の貫通孔60等の貫通孔が形成されていてもよい。
【0147】
また、突出部22は、複数の接合片部22aを有してもよい。例えば、U字状の突出片部22bの両端のそれぞれに接合片部22aが備えられてもよい。
【0148】
[3.他の実施の形態]
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態および変形例を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これらに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施の形態および変形例で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0149】
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0150】
例えば、実施の形態において、シャーシ21に設けられた貫通孔60の個数は4であるとした。しかし、シャーシ21には、少なくとも1つの貫通孔60が設けられればよい。
【0151】
図17は、シャーシ21に貫通孔60が2つ設けられる場合の貫通孔60の配置位置の一例を示す図であり、図18は、シャーシ21に貫通孔60が3つ設けられる場合の貫通孔60の配置位置の一例を示す図である。
【0152】
例えば、図17に示すように、シャーシ21の突出部21aに、2つの貫通孔60が所定の間隔を空けて形成されていてもよい。
【0153】
この場合、例えば、有機ELパネルユニット20の幅方向の重心が中央付近にある場合、2つの貫通孔60の中点がシャーシ21の幅方向の中央に位置するように配置する。また、支持台200には、支持台200が当該2つの貫通孔60を利用して有機ELパネルユニット20を支持可能な位置に2つの支持部材220を配置する。
【0154】
これにより、支持台200による、有機ELパネルユニット20の安定的な支持が可能である。
【0155】
なお、2つの貫通孔60の上下方向の位置は、有機ELパネルユニット20の上下方向の重心よりも上であることが好ましい。これにより、例えば、有機ELパネルユニット20が支持台200に支持された場合における、有機ELパネルユニット20の前後方向(Z軸方向)への傾きが抑制される。
【0156】
また、図18に示すように、シャーシ21の突出部21aに、3つの貫通孔60が形成されていてもよい。
【0157】
この場合、例えば、貫通孔60二等辺三角形の頂点のそれぞれに位置するように、シャーシ21の突出部21aに、3つの貫通孔60を配置する。また、支持台200には、支持台200が当該3つの貫通孔60を利用して有機ELパネルユニット20を支持可能な位置に3つの支持部材220を配置する。これにより、有機ELパネルユニット20が安定的な支持が可能となる。
【0158】
また、有機ELパネルユニット20が3点で支持されるため、有機ELパネルユニット20が支持台200に支持された場合における、有機ELパネルユニット20の前後方向(Z軸方向)への傾きがより確実に抑制される。
【0159】
なお、図18に示す3つの貫通孔60うちの、シャーシ21の突出部21aの上部かつ幅方向の中央部に位置する貫通孔60に対応する支持部材220は、例えば、2本の支柱210(図8参照)それぞれの上端を接続するように設けられた部材に配置すればよい。これにより、支持台200が、シャーシ21の中央部に配置された回路基板51への検査の邪魔になることがない。
【0160】
また、図示していないが、シャーシ21の突出部21aに形成された貫通孔60の数は1であってもよい。例えば、シャーシ21の突出部21aの上部かつ幅方向の中央部に1つの貫通孔60を設けることで、支持部材220を1つのみ備える支持台200に支持させることも可能である。
【0161】
また、例えば、シャーシ21に設けられた、有機ELパネルユニット20の支持のための貫通孔が1つのみである場合、上記変形例3における貫通孔63および支持部材230のような、互いに直線で接触する支持構造を採用してもよい。これにより、有機ELパネルユニット20の支持における安定性を向上させることができる。
【0162】
また、1以上の貫通孔60の配置位置は、例えば、画面サイズの互いに異なる複数の有機ELパネルユニット20において共通するように決定してもよい。これにより、例えば、1つの支持台200を、これら複数の有機ELパネルユニット20を支持する道具として共通して使用することができる。
【0163】
以上説明した、貫通孔60の数および配置位置についての補足事項は、上記変形例1〜4それぞれにおける貫通孔61〜63、65にも適用される。
【0164】
また、上記変形例5における突出部22の個数についても1以上であればよい。例えば、シャーシ21の本体に2つの突出部22が所定の間隔を空けて接合されていることで、2つの貫通孔60がシャーシ21に配置されてもよい。この場合、例えば、2つの貫通孔60の中点がシャーシ21の幅方向の中央に位置するように突出部22を配置することで、有機ELパネルユニット20の安定的な支持が可能となる。
【0165】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
【0166】
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0167】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0168】
本開示は、例えば薄型化が要求される画像表示装置に有用であり、テレビジョン受像機、モニタディスプレイ、デジタルサイネージ、携帯端末、タブレット端末、又は、テーブル型表示装置等の画像表示装置として、および、画像表示装置が備える、有機EL表示装置として利用できる。
【符号の説明】
【0169】
1 画像表示装置
10 有機ELパネル
20 有機ELパネルユニット
21 シャーシ
21a、22 突出部
22a 接合片部
22b 突出片部
30 フレーム
40 バックカバー
50、51 回路基板
60、61、62、63、65 貫通孔
60a 第一孔
60b 第二孔
61a、61b 端部
101 TFT基板
110 画素
110R、110G、110B サブ画素
111 バンク
120 画素回路
130 有機EL素子
131 陽極
132 EL層
133 陰極
140 ゲート配線
150 ソース配線
160 電源配線
200 支持台
201 基台
210 支柱
220、230 支持部材
221、231 軸部
222、232 係合部
223 小径部
図1
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図3
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