特許第6358277号(P6358277)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6358277光ファイバ歪み及び温度測定装置並びに光ファイバ歪み及び温度測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6358277
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】光ファイバ歪み及び温度測定装置並びに光ファイバ歪み及び温度測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/16 20060101AFI20180709BHJP
   G01K 11/32 20060101ALI20180709BHJP
   G01D 5/26 20060101ALI20180709BHJP
   G01M 11/00 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   G01B11/16 G
   G01K11/32 C
   G01D5/26 F
   G01M11/00 U
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-41719(P2016-41719)
(22)【出願日】2016年3月4日
(65)【公開番号】特開2017-156289(P2017-156289A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2017年12月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141955
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100085419
【弁理士】
【氏名又は名称】大垣 孝
(72)【発明者】
【氏名】小泉 健吾
【審査官】 梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−074697(JP,A)
【文献】 特開平04−279834(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0113629(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0090936(US,A1)
【文献】 小泉 健吾,村井 仁,SDH−BOTDRによる分布温度測定の特性評価,電子情報通信学会2016年総合大会講演論文集,日本,一般社団法人 電子情報通信学会,2016年 3月 1日,p.430
【文献】 Yoshiyuki Sakairi, Haruyoshi Uchiyama, Zhi Xien Li, Shoji Adachi,System for measuring temperature and strain separately by BOTDR and OTDR,Proc. SPIE 4920, Advanced Sensor Systems and Applications,SPIE.,2002年 9月 9日,p.274-284
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00 − 11/30
G01D 5/26 − 5/38
G01K 1/00 − 19/00
G01M 11/00 − 11/08
G02B 6/00
G02B 6/02
G02B 6/245 − 6/25
G02B 6/46 − 6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブ光を生成する光源部と、
前記プローブ光により測定対象となる光ファイバで発生する後方ブリルアン散乱光を、第1光路及び第2光路に2分岐する分岐部と、
前記第1光路に設けられた、第1周波数の周波数シフトを与える第1光周波数シフタ部と、
前記第2光路に設けられた、第2周波数の周波数シフトを与える第2光周波数シフタ部と、
前記第1光路及び前記第2光路のいずれか一方に設けられた遅延部と、
前記第1光路及び前記第2光路を伝播する光を合波して合波光を生成する合波部と、
前記合波光をヘテロダイン検波して差周波を第1電気信号として出力するコヒーレント検波部と、
前記第1電気信号と同じ周波数を持つ第2電気信号を生成する電気信号生成部と、
前記第1電気信号が2分岐された一方と前記第2電気信号とをホモダイン検波して、周波数シフト量δνSDHを取得する周波数シフト量取得部と、
前記第1電気信号から後方ブリルアン散乱光の強度情δP/P取得する信号強度取得部と、
前記周波数シフト量δνSDH及び前記強度情報δP/Pから歪みδε及び温度変化δTを分離して取得する信号処理部と
を備えることを特徴とする光ファイバ歪み及び温度測定装置。
【請求項2】
前記信号処理部は、
前記周波数シフト量δνSDH及び前記強度情報δP/Pと、予め求めておいた、光ファイバ中の後方ブリルアン散乱の周波数シフトの歪み依存係数Cνε、温度依存係数CνT、及び後方ブリルアン散乱の散乱係数の歪み依存係数CPε、温度依存係数CPTとから、下記の2元連立方程式(1)を解くことにより、光ファイバ中の歪みδεと温度変化δTを取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ歪み及び温度測定装置。
【数1】
【請求項3】
プローブ光を生成する過程と、
前記プローブ光により測定対象となる光ファイバで発生する後方ブリルアン散乱光を、第1光路及び第2光路に2分岐する過程と、
前記第1光路を伝播する光に、第1周波数の周波数シフトを与える過程と、
前記第2光路を伝播する光に、第2周波数の周波数シフトを与える過程と、
前記第1光路及び前記第2光路のいずれか一方を伝搬する光に遅延を与える過程と、
前記第1光路及び前記第2光路を伝播する光を合波して合波光を生成する過程と、
前記合波光をヘテロダイン検波して差周波を第1電気信号として出力する過程と、
前記第1電気信号と同じ周波数を持つ第2電気信号を生成する過程と、
前記第1電気信号が2分岐された一方と前記第2電気信号とをホモダイン検波して、周波数シフト量δνSDHを取得する過程と、
前記第1電気信号から後方ブリルアン散乱光の強度情δP/P取得する過程と、
前記周波数シフト量δνSDH及び前記強度情報δP/Pから歪みδε及び温度変化δTを分離して取得する過程と
を備えることを特徴とする光ファイバ歪み及び温度測定方法。
【請求項4】
前記歪みδε及び温度変化δTを、前記周波数シフト量δνSDH及び前記強度情報δP/Pと、予め求めておいた、光ファイバ中の後方ブリルアン散乱の周波数シフトの歪み依存係数Cνε、温度依存係数CνT、及び後方ブリルアン散乱の散乱係数の歪み依存係数CPε、温度依存係数CPTとから、下記の2元連立方程式(1)を解くことにより取得する
ことを特徴とする請求項に記載の光ファイバ歪み及び温度測定方法。
【数2】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ブリルアン散乱光を用いた、光ファイバ歪み及び温度測定装置並びに光ファイバ歪み及び温度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ通信の発展とともに、光ファイバ自体をセンシング媒体とする分布型光ファイバセンシングが盛んに研究されている。分布型光ファイバセンシングでは、光ファイバの片端から光パルスを入射し、光ファイバ中で後方散乱された光を時間に対して測定する時間領域リフレクトメトリ(OTDR:Optical Time Domain Reflectometry)が代表的である。光ファイバ中の後方散乱には、レイリー散乱、ブリルアン散乱及びラマン散乱がある。この中で自然ブリルアン散乱を測定するものはBOTDR(Brillouin OTDR)と呼ばれる(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
ブリルアン散乱は、光ファイバに入射される光パルスの中心周波数に対して、ストークス側及び反ストークス側にGHz程度周波数シフトした位置に観測され、そのスペクトルはブリルアン利得スペクトル(BGS:Brillouin Gain Spectrum)と呼ばれる。BGSの周波数シフト及びスペクトル線幅は、それぞれブリルアン周波数シフト(BFS:Brillouin Frequency Shift)及びブリルアン線幅と呼ばれる。BFS及びブリルアン線幅は、光ファイバの材質および入射光波長によって異なる。例えば、石英系のシングルモード光ファイバの場合、波長1.55μmにおけるBFSの大きさ及びブリルアン線幅は、それぞれ約11GHz及び約30MHzとなることが報告されている。また、非特許文献1からシングルモードファイバ中の歪み、温度の変化に伴うBFSの大きさは波長1.55μmにおいて、それぞれ0.049MHz/με、1.0MHz/℃である。
【0004】
ここで、BFSは歪みと温度に対して依存性を持つため、BOTDRは橋梁やトンネルなどに代表される大型建造物や、地滑りが発生する恐れのある箇所などの監視目的に注目されている。
【0005】
BOTDRは、光ファイバ中で発生する自然ブリルアン散乱光のスペクトル波形を測定するため、別途用意した参照光とのヘテロダイン検波を行うのが一般的である。自然ブリルアン散乱光の強度はレイリー散乱光の強度に比べて2〜3桁小さい。このため、ヘテロダイン検波は最小受光感度を向上させる上でも有用となる。
【0006】
図11を参照して、従来のBOTDRについて説明する(例えば、特許文献1参照)。図11は、従来の光ファイバ歪み測定装置の模式的なブロック図である。
【0007】
光源112から出射された連続光は、光カプラ142によって、2分岐される。2分岐された一方は、参照光として用いられ、他方は、光周波数シフタ143によってブリルアン周波数に相当する周波数シフトを受けた後、光パルス発生器114により、パルス状のプローブ光となる。
【0008】
このプローブ光は、光カプラ120を経て測定対象となる光ファイバ(被測定光ファイバ)100に入射される。被測定光ファイバ100からの後方ブリルアン散乱光は、光カプラ150において参照光と合波された後、バランス型フォトダイオード(PD)162及びFET増幅器164からなるレシーバ160によってヘテロダイン検波される。
【0009】
ここで、プローブ光は、光周波数シフタ143によってブリルアン周波数程度の周波数シフトが施されているため、ヘテロダイン検波されて生成されるビート信号の周波数は低くなる。これによって、受信側では低域なPD162及びFET増幅器164を使用することが可能になる。ビート信号をミキサー170、電気フィルタ178により周波数をダウンシフトさせた後、検波回路172により2乗検波もしくは包絡線検波することにより得られるIF(Intermediate Frequecy)信号のパワーや振幅を測定する。この結果は、信号処理装置174に送られる。
【0010】
なお、BOTDRは、光ファイバの長手方向に対する周波数スペクトル分布の情報を扱うため、時間、振幅及び周波数の3次元の情報を取得する必要がある。図12を参照してBOTDRにおいて、時間、振幅及び周波数の3次元の情報の取得方法について説明する。図12は、従来の光ファイバ歪み測定装置における時間、振幅及び周波数の3次元の情報の取得方法を説明するための模式図である。上述の特許文献1に開示の技術では、ブリルアン周波数スペクトル全体を測定するには、時間t及び振幅Iの2次元情報を、局発電気信号源183の周波数fを掃引して取得する。
【0011】
ここで、BOTDRに限らずブリルアン散乱を用いた分布型光ファイバセンシングでは、上述のように、歪み及び温度の両方に対してBFSが生じる。従って、歪みと温度を区別することは必須の課題である。この課題に対して、光ファイバ中の後方ブリルアン散乱係数の、歪み依存係数及び温度依存係数を利用した方法が提案されている(例えば、非特許文献2又は3参照)。
【0012】
後方ブリルアン散乱では、周波数シフトだけでなく、その散乱係数も温度、歪み依存性を有することが報告されている。BFSの歪み依存係数及び温度依存係数をそれぞれCνε及びCνTとし、ブリルアン散乱係数の歪み依存係数及び温度依存係数をそれぞれCPε及びCPTとして、これらの係数をあらかじめ測定しておけば、次式で示す2元連立方程式(a)を解くことによって歪と温度の分離が可能となる。
【0013】
【数1】
【0014】
ここで、δνはBFSの大きさであり、δP/Pは、ブリルアン散乱強度の相対変化である。これら、δν及びδP/Pは、BOTDRで測定される値である。また、δε及びδTは、それぞれ、歪み及び温度の変化量である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2001−165808号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】T.Kurashima et al.,“Brillouin Optical−fiber time domain reflectometry”,IEICE Trans. Commun., vol.E76−B, no.4, pp.382−390 (1993)
【非特許文献2】T.R.Parker et al.,“Simultaneous distributed measurement of strain and temperature from noise−initiated Brillouin scattering in optical fibers”,IEEE J.Quantum Electron., vol.34, No.4, pp.645−659 (1998)
【非特許文献3】Y.Sakairi et al.,“Asystem for measuring temperature and strain separately by BOTDR and OTDR”, Proceeding of SPIE, vol.4920, pp.274−284 (2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ここで、自然ブリルアン散乱光は非常に微弱なため、ヘテロダイン検波を適用しても十分な信号雑音比(S/N)を確保できない。その結果、S/N改善のための平均化処理が必要となる。この平均化処理と上述の3次元情報の取得のため、従来の光ファイバ歪み測定装置では、測定時間の短縮が難しい。
【0018】
この発明の発明者は、上述の問題点に鑑みて、光の周波数変化をコヒーレント検波により与えられるビート信号の位相差として測定することにより、時間及び位相の2次元の情報を取得する、自然ブリルアン散乱光を用いた、光ファイバ歪み測定装置及び光ファイバ歪み測定方法を検討し、その検討結果の一部を特許出願(特願2015−072546号:以後、「先の出願」という。)している。
【0019】
この先の出願の光ファイバ歪み測定装置及び光ファイバ歪み測定方法によれば、自己遅延ヘテロダイン型のBOTDR(SDH−BOTDR:Self−Delayed Heterodyne BOTDR)の技術を用いて、光の周波数変化をコヒーレント検波により与えられるビート信号の位相差として測定することにより、時間及び位相の2次元の情報を取得する。このSDH−BOTDRでは、周波数掃引を必要としないため、3次元の情報の取得が必要な従来技術に比べて、測定時間が短縮される。
【0020】
しかしながら、SDH−BOTDRでは、BFSに起因する位相差だけでなく、ブリルアン散乱係数の変化に伴う強度変化も位相差として捉えてしまう。すなわち、SDH−BOTDRで観測される周波数シフトには、BFSの歪み依存係数Cνε及び温度依存係数CνTだけでなく、ブリルアン散乱係数の歪み及び温度の変化に起因する変化分が重畳されている。このため、従来のBOTDRと同様の手法で、歪みと温度変化を分離して取得することができない。
【0021】
この発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、この発明の目的は、SDH−BOTDRにおいて、歪みと温度変化を分離して取得することが可能な、光ファイバ歪み及び温度測定装置並びに光ファイバ歪み及び温度測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上述した目的を達成するために、この発明の光ファイバ歪み及び温度測定装置は、光源部と、分岐部と、第1光周波数シフタ部と、第2光周波数シフタ部と、遅延部と、合波部と、コヒーレント検波部と、電気信号生成部と、周波数シフト量取得部と、信号強度取得部と、信号処理部とを備えて構成される。
【0023】
光源部は、プローブ光を生成する。プローブ光は、測定対象となる光ファイバ(被測定光ファイバ)に入射される。分岐部は、プローブ光により被測定光ファイバで発生する後方ブリルアン散乱光を、第1光路及び第2光路に2分岐する。第1光周波数シフタ部は、第1光路に設けられており、第1周波数の周波数シフトを与える。第2光周波数シフタ部は、第2光路に設けられており、第2周波数の周波数シフトを与える。遅延部は、第1光路及び第2光路のいずれか一方に設けられており、第1光路及び第2光路を伝播する光の間に遅延時間差を与える。合波部は、第1光路及び第2光路を伝播する光を合波して合波光を生成する。コヒーレント検波部は、合波光をヘテロダイン検波して差周波を第1電気信号として出力する。電気信号生成部は、第1周波数と第2周波数の差周波として生成される、いわゆるビート信号である、第2電気信号を生成する。周波数シフト量取得部は、第1電気信号が2分岐された一方と第2電気信号とをホモダイン検波して、周波数シフト量δνSDHを取得する。この第1電気信号は、いわゆるビート信号である。信号強度取得部は、第1電気信号から後方ブリルアン散乱光の強度情δP/P取得する。信号処理部は、周波数シフト量δνSDH及び強度情報δP/Pから歪みδε及び温度変化δTを分離して取得する。
【0026】
この光ファイバ歪み及び温度測定装置の好適実施形態によれば、信号処理部は、周波数シフト量δνSDH及び強度情報δP/Pと、予め求めておいた、光ファイバ中の後方ブリルアン散乱の周波数シフトの歪み依存係数Cνε、温度依存係数CνT、及び後方ブリルアン散乱の散乱係数の歪み依存係数CPε及び温度依存係数CPTとから、以下の2元連立方程式(1)を解くことにより、光ファイバ中の歪みδεと温度変化δTを取得する。ただし、被測定ファイバ中の伝送損失は無視するものとする。
【0027】
【数2】
【0028】
また、この発明の光ファイバ歪み及び温度測定方法は、以下の過程を備えて構成される。
【0029】
先ず、プローブ光を生成する。プローブ光は、被測定光ファイバに入射される。次に、プローブ光により被測定光ファイバで発生する後方ブリルアン散乱光を、第1光路及び第2光路に2分岐する。次に、第1光路を伝播する光に対して、第1周波数の周波数シフトを与え、第2光路を伝播する光に対して、第2周波数の周波数シフトを与える。次に、第1光路及び第2光路を伝播する光の間に遅延時間差を与える。次に、第1光路及び第2光路を伝播する光を合波して合波光を生成する。次に、合波光をヘテロダイン検波して第1電気信号を生成する。次に、第1周波数と第2周波数の差周波として生成される、いわゆるビート信号である、第2電気信号を生成する。次に、第1電気信号が2分岐された一方と第2電気信号を、ホモダイン検波して、周波数シフト量δνSDHを取得する。また、第1電気信号から後方ブリルアン散乱光の強度情δP/P取得する。次に、周波数シフト量δνSDH及び強度情報δP/Pから歪みδε及び温度変化δTを分離して取得する。
【0031】
この光ファイバ歪み及び温度測定方法の実施に当たり、好適には、歪みδε及び温度変化δTを、周波数シフト量δνSDH及び強度情報δP/Pと、予め求めておいた、光ファイバ中の後方ブリルアン散乱の周波数シフトの歪み依存係数Cνε、温度依存係数CνT、及び後方ブリルアン散乱の散乱係数の歪み依存係数CPε、温度依存係数CPTとから、上記2元連立方程式(1)を解くことにより取得する。
【発明の効果】
【0032】
この発明の光ファイバ歪み及び温度測定装置及び光ファイバ歪み及び温度測定方法によれば、光の周波数変化をコヒーレント検波により与えられるビート信号の位相差として測定することにより、時間及び位相の2次元の情報を取得する。このため、3次元の情報の取得が必要な従来技術に比べて、測定時間が短縮される。
【0033】
また、ビート信号の位相差と強度の両方の情報を用いることで、歪みδε及び温度変化δTを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】光ファイバ歪み測定装置の基本構成の模式的なブロック図である。
図2】ブリルアンシフトとビート信号の位相変化を示す模式図である。
図3】光ファイバに与えた歪み変化及び温度変化を示す図である。
図4】基本構成の光ファイバ歪み測定装置で得られるビート信号波形を示す図である。
図5】ビート信号に対して、ホモダイン検波及びフィルタ処理を施すことにより得られた、周波数シフト量を示す図である。
図6】第1光ファイバ歪み及び温度測定装置の模式的なブロック図である。
図7】δP/Pを示す図である。
図8】分離後のδεを示す図である。
図9】分離後のδTを示す図である。
図10】第2光ファイバ歪み及び温度測定装置の模式的なブロック図である。
図11】従来の光ファイバ歪み測定装置の模式的なブロック図である。
図12】従来の光ファイバ歪み測定装置における時間、振幅及び周波数の3次元の情報の取得方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各図は、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更又は変形を行うことができる。
【0036】
(基本構成)
この発明の理解に資するため、図1を参照して、光の周波数変化をコヒーレント検波により与えられるビート信号の位相差として測定する、光ファイバ歪み測定装置の基本構成について説明する。図1は、光ファイバ歪み測定装置の基本構成の模式的なブロック図である。
【0037】
光ファイバ歪み測定装置は、光源部10、サーキュレータ20、光増幅器30、光バンドパスフィルタ32、自己遅延ヘテロダイン干渉計41及びタイミング制御器90を備えて構成される。
【0038】
光源部10は、プローブ光を生成する。光源部10は、連続光を生成する光源12と、連続光から光パルスを生成する光パルス発生器14を備えて構成される。
【0039】
ここで、基本構成の光ファイバ歪み測定装置は、周波数変化に応じた位相差を測定する。このため、光源12の周波数揺らぎ及び周波数スペクトル線幅(以下、単に線幅とも称する。)は、ブリルアンシフトよりも十分に小さくなければならない。そこで、光源12として周波数安定化狭線幅光源が用いられる。例えば、測定対象となる光ファイバ(以下、被測定光ファイバとも称する。)100の歪みを0.008%としたとき、ブリルアンシフトは4MHzに相当する。このため、0.008%程度の歪みを測定するには、光源12の周波数揺らぎ及び線幅は4MHzより十分に小さく、数10kHz以下であることが望ましい。なお、周波数揺らぎ及び線幅が10kHz程度若しくはそれ以下の狭線幅レーザが、既製品として一般に入手可能である。
【0040】
光パルス発生器14は、任意好適な従来周知の、音響光学(AO:Acoust Optical)変調器又は電気光学(EO:Electric Optical)変調器を用いて構成される。光パルス発生器14は、タイミング制御器90で生成された電気パルスに応じて、連続光から光パルスを生成する。この光パルスの繰り返し周期は、被測定光ファイバ100を光パルスが往復するのに要する時間よりも長く設定される。この光パルスが、プローブ光として、光源部10から出力される。
【0041】
この光源部10から出力されたプローブ光は、サーキュレータ20を経て、被測定光ファイバ100に入射される。なお、サーキュレータ20に換えて、光カプラを用いても良い。
【0042】
被測定光ファイバ100からの後方散乱光は、サーキュレータ20を経て、例えば、エルビウム添加光ファイバ増幅器(EDFA)などで構成される光増幅器30に送られる。光増幅器30で増幅された後方散乱光は、光バンドパスフィルタ32に送られる。光バンドパスフィルタ32は、10GHz程度の透過帯域を有しており、自然ブリルアン散乱光のみを透過する。この自然ブリルアン散乱光は、自己遅延ヘテロダイン干渉計41に送られる。この光バンドパスフィルタ32から出射される自然ブリルアン散乱光の時刻tにおける信号E(t)は、以下の式(2)で表される。
【0043】
【数3】
【0044】
ここで、Aは振幅、η(t)はブリルアン散乱係数、f(t)はブリルアン散乱光の光周波数、φは初期位相を示している。なお、ブリルアン散乱係数η(t)及びブリルアン散乱光の光周波数f(t)は、光ファイバ中での局所的な歪みや温度変化により変化するため、時間tの関数としている。
【0045】
自己遅延ヘテロダイン干渉計41は、分岐部42、光周波数シフタ部43、遅延部48、合波部50、コヒーレント検波部60、電気信号生成部80及び信号処理装置74を備えて構成される。
【0046】
電気信号生成部80の局発電気信号源83は、周波数fAOMの電気信号を生成する。
【0047】
分岐部42は、プローブ光により被測定光ファイバ100で発生する後方ブリルアン散乱光を、光バンドパスフィルタ32を経て受け取り、第1光路及び第2光路に2分岐する。
【0048】
光周波数シフタ部43は、第1光路に設けられている。光周波数シフタ部43は、局発電気信号源83で生成された周波数fAOMの電気信号を用いて、第1光路を伝播する光に対して、周波数fAOMの周波数シフトを与える。
【0049】
従来の例えば特許文献1に開示されている測定装置では、BFSに対応する数十GHz程度の周波数シフトを与える。これに対し、この光ファイバ歪み測定装置では、周波数fAOMは、数十MHz程度である。このため、従来の測定装置に比べて周波数シフタとして小型でかつ安価なものを用いることができる。
【0050】
また、この構成例では、第2光路に遅延部48が設けられている。遅延部48は、第2光路を伝播する光に時間τの遅延を与える。
【0051】
合波部50は、第1光路及び第2光路を伝播する光を合波して合波光を生成する。合波部50に入射される、第1光路を伝播する光信号E(t)及び第2光路を伝播する光信号E(t−τ)は、それぞれ、以下の式(3)及び(4)で表される。
【0052】
【数4】
【0053】
ここで、A及びAは、それぞれE(t)及びE(t−τ)の振幅であり、φ及びφは、それぞれE(t)及びE(t−τ)の初期位相である。
【0054】
コヒーレント検波部60は、合波光をヘテロダイン検波してビート信号を生成する。コヒーレント検波部60は、例えば、バランス型フォトダイオード(PD)62とFET増幅器64を備えて構成される。ヘテロダイン検波により与えられるビート信号I12は、以下の式(5)で表される。
【0055】
【数5】
【0056】
コヒーレント検波部60で生成されたビート信号I12は第1電気信号としてミキサー部70に送られる。また、局発電気信号源83で生成された電気信号は第2電気信号としてミキサー部70に送られる。
【0057】
ミキサー部70は、第1電気信号と、第2電気信号とをホモダイン検波して、ホモダイン信号を生成する。局発電気信号源83で生成された電気信号IAOMを以下の式(6)で表す。
【0058】
【数6】
【0059】
ミキサー部70で生成されたホモダイン信号は、上記式(5)及び式(6)を乗算して得られる、以下の式(7)で表される。
【0060】
【数7】
【0061】
上記式(7)中の和周波成分をローパスフィルタ(LPF)72で除去すると、以下の式(8)で表される信号が得られる。
【0062】
【数8】
【0063】
上記式(8)のφ1−φ2−φAOMと、遅延時間τは一定であるため、ブリルアン周波数の変化f(t)のみが出力強度の差として出力される。
【0064】
ブリルアン周波数f(t)は、光源12の発振周波数の揺らぎと被測定光ファイバ100の歪みの2つの要因によって変化する。しかし、光源12として周波数安定化狭線幅光源を用いることで、被測定光ファイバ100の歪みによる影響が支配的となる。
【0065】
図2(A)及び(B)は、ブリルアンシフトとビート信号の位相変化を示す模式図である。図2(A)は、横軸に時間tを取って示し、縦軸に周波数を取って示している。また、図2(B)は、横軸に時間tを取って示し、縦軸に、電圧を取って示している。
【0066】
この横軸の時間は、ブリルアン散乱が起こった場所を示している。すなわち、プローブ光が出射された時間に対して、時間t経過後に後方ブリルアン散乱光が入射された場合、被測定光ファイバ内の光の伝播速度をvとすると、被測定光ファイバの入射端からvt/2の位置で後方ブリルアン散乱が生じたことになる。
【0067】
図2(A)及び(B)では、時刻tからtまでの時間Tに対応する区間において、周波数シフトが生じた例を示している。このとき、自己遅延ヘテロダイン干渉計で遅延時間τが与えられているため、位相変化はtからt+τまでの間に変化し、時刻tからt+τまでの間に元の状態に戻る。すなわち、光ファイバ歪み測定装置で位相差を測定するには、T≧τの関係を満たす必要があり、測定可能な時間分解能(すなわち、空間分解能)がτによって定まる。さらに測定可能な周波数変化もτの大きさで定まる。すなわち、τが大きくなると、測定可能な周波数範囲が小さくなるが、空間分解能は大きくなる。一方、τが小さくなると、空間分解能は小さくなるが、測定可能な周波数範囲が大きくなる。このように、遅延時間と測定可能な周波数の間にトレードオフの関係がある。
【0068】
図3〜5を参照して、光ファイバに歪み変化及び温度変化を与えたときの、SDH−BOTDRで得られる周波数シフトについて説明する。
【0069】
図3は、光ファイバに与えた歪み変化及び温度変化を示す図である。図3では、横軸に光ファイバにおける位置[単位:m]を取って示し、縦軸に歪み変化[単位:με]及び温度変化[単位:℃]を取って示している。ここでは、光ファイバの長さを1kmとし、光ファイバ歪み測定装置側の端部から300〜320mの区間と940〜960mの区間に、200μεの歪みを付与し、620〜640mの区間と940〜960mの区間に、20℃の温度変化を付与した場合について考える。
【0070】
図4は、上述の場合に、光ファイバ歪み測定装置で得られるビート信号波形を示す図である。図4(A)及び図4(B)では、横軸に光ファイバにおける位置[単位:m]を取って示し、縦軸に信号強度[単位:V]で取って示している。図4(B)は、図4(A)のIで示す部分を拡大して示している。
【0071】
ここでは、BFSの歪み依存係数Cνεを0.049MHz/μεとし、温度依存係数CνTを1.0MHz/℃としている。また、ブリルアン散乱係数の歪み依存係数CPεを、−7.7×10−4%/℃とし、温度依存係数CPTを0.36%/℃としている。
【0072】
図4(B)に示すように、ビート信号中には歪み、温度変化を付与した箇所においてBFSに起因する位相シフト(図4(B)中、IIで示す部分)とブリルアン散乱係数に起因する強度変化(図4(B)中、IIIで示す部分)が生じる。
【0073】
図5は、このビート信号に対して、ホモダイン検波及びフィルタ処理を施すことにより得られた、周波数シフト量δνSDHを示す図である。図5では、横軸に光ファイバにおける位置[単位:m]を取って示し、縦軸に周波数シフト量δνSDH[単位:MHz]を取って示している。
【0074】
周波数シフト量δνSDHは上記式(1)で与えられる周波数シフト量δνにブリルアン散乱係数の変化に起因する強度変化分が重畳した値で以下の式(9)を用いて計算される。
【0075】
【数9】
【0076】
基本構成の光ファイバ歪み測定装置は、ブリルアン散乱の周波数変化を測定する構成である。このため、基本構成の光ファイバ歪み測定装置では、得られた情報から歪みと温度変化を分離するのは困難である。
【0077】
(第1実施形態)
図6を参照して、第1実施形態の光ファイバ歪み及び温度測定装置(以下、第1測定装置とも称する。)について説明する。図6は、第1測定装置の模式的なブロック図である。なお、以下の説明において、光ファイバ歪み測定装置の基本構成と重複する説明を省略することがある。
【0078】
第1測定装置では、コヒーレント検波部60の出力が2分岐され、一方が、ミキサー部70、LPF72を経て信号処理装置75に送られ、他方が、2乗回路92、ローパスフィルタ(LPF)94、及び1/2乗回路96を通って信号処理装置75に送られる点が基本構成の光ファイバ歪み測定装置と異なっている。
【0079】
2乗回路92、LPF94、及び1/2乗回路96は、信号強度取得部91を構成し、コヒーレント検波部60の出力であるビート信号の包絡線検波の機能を実現する。この結果、ビート信号が、2乗回路92、LPF94、及び1/2乗回路96を順に通過すると、ビート信号の強度情報のみが得られる。すなわち、2乗回路92、LPF94、及び1/2乗回路96から、上記式(1)におけるδP/Pが得られる。
【0080】
図7は、このビート信号に対して、包絡線検波により得られた、δP/Pを示す図である。図7では、横軸に光ファイバにおける位置[単位:m]を取って示し、縦軸にδP/P[単位:%]を取って示している。
【0081】
また、ミキサー部70、LPF72は、周波数シフト量取得部71を構成する。周波数シフト量取得部71から、図5に示した、上記式(9)におけるδνSDHが得られる。
【0082】
信号処理装置では、ビート信号から得られたδνSDHとδP/Pと、予め取得しておいた各係数を用いて、上記式(1)の2元連立方程式を解くことにより、δε及びδTを取得する。
【0083】
上記式(1)の2元連立方程式を解くと、δε及びδTは、それぞれ以下の式(10)で与えられる。
【0084】
【数10】
【0085】
図5に示すδνSDHと、図7に示すδP/Pから、上記式(10)により、歪みδε及び温度変化δTが分離されて求められる。
【0086】
図8は、分離後のδεを示す図である。図8では、横軸に光ファイバにおける位置[単位:m]を取って示し、縦軸にδε[単位:με]を取って示している。また、図9は、分離後のδTを示す図である。図9では、横軸に光ファイバにおける位置[単位:m]を取って示し、縦軸にδT[単位:℃]を取って示している。
【0087】
このように、第1測定装置によれば、δε及びδTをそれぞれ分離して取得することができる。
【0088】
(第2実施形態)
図10を参照して、第2実施形態の光ファイバ歪み及び温度測定装置(以下、第2測定装置とも称する。)について説明する。第2測定装置では、第1光路に第1光周波数シフタ部44が設けられている。また、第2光路に第2光周波数シフタ部46と遅延部48が設けられている。
【0089】
電気信号生成部81は第1局発電気信号源82、第2局発電気信号源84、ミキサー部86及びローパスフィルタ(LPF)88を備えて構成される。なお、第1局発電気信号源82、第2局発電気信号源84は電気信号生成部81の外部に在っても良い。第1局発電気信号源82は、第1周波数fの電気信号を生成する。第2局発電気信号源84は、第2周波数fの電気信号を生成する。ミキサー部86は、第1周波数fの電気信号と、第2周波数fの電気信号から、第1周波数f及び第2周波数fの和周波数成分と差周波数成分を生成する。LPF88はミキサー部86で生成される信号から差周波数成分fAOM(=f−f)のビート信号を出力する。
【0090】
第1光周波数シフタ部44は、第1光路に設けられている。第1光周波数シフタ部44は、第1局発電気信号源82で生成された第1周波数fの電気信号を用いて、第1光路を伝播する光に対して、第1周波数fの周波数シフトを与える。
【0091】
第2光周波数シフタ部46は、第2光路に設けられている。第2光周波数シフタ部46は、第2局発電気信号源84で生成された第2周波数fの電気信号を用いて、第2光路を伝播する光に対して、第2周波数fの周波数シフトを与える。
【0092】
第2測定装置は、自己遅延ヘテロダイン干渉計40において、第1光路及び第2光路の両者に光周波数シフタ部を備える点と、電気信号生成部81の構成が、第1測定装置と異なっている。その他の構成は、第1測定装置と同様なので、重複する説明を省略する。
【0093】
第1測定装置は、光周波数シフタ部や局発電気信号源が1つであるため、第2測定装置に比べて、製造コストの面で有利である。一方、第2測定装置は、合波部で合波される2つの光の周波数が近い値であるため、ホモダイン検波を行うという観点では、より高精度の測定を行うことができる。
【符号の説明】
【0094】
10 光源部
20 サーキュレータ
30 光増幅器
32 光バンドパスフィルタ
40、41 自己遅延ヘテロダイン干渉計
42 分岐部
43 光周波数シフタ部
44 第1光周波数シフタ部
46 第2光周波数シフタ部
48 遅延部
50 合波部
60 コヒーレント検波部
62 バランス型PD
64 FET増幅器
70、86 ミキサー部
71 周波数シフト量取得部
72、88、94 ローパスフィルタ(LPF)
74、75 信号処理装置
80、81 電気信号生成部
82 第1局発電気信号源
83 局発電気信号源
84 第2局発電気信号源
90 タイミング制御器
91 信号強度取得部
92 2乗回路
96 1/2乗回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12