特許第6358293号(P6358293)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6358293
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】圧電振動デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H03H 3/02 20060101AFI20180709BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20180709BHJP
   H03H 9/02 20060101ALI20180709BHJP
   H03H 9/10 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   H03H3/02 C
   H01L23/02 C
   H03H9/02 A
   H03H9/10
【請求項の数】8
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2016-147071(P2016-147071)
(22)【出願日】2016年7月27日
(65)【公開番号】特開2018-19200(P2018-19200A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2017年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000149734
【氏名又は名称】株式会社大真空
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 宏樹
【審査官】 竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−009969(JP,A)
【文献】 特開2010−252051(JP,A)
【文献】 特開2015−122568(JP,A)
【文献】 特開2012−034302(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/001885(WO,A1)
【文献】 特開2015−216322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 3/00−3/10
H03H 9/00−9/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材に環状に形成された第1金属膜と、第2部材に環状に形成された第2金属膜とが接合されることによって、環状の封止用接合材が形成され、前記封止用接合材によって圧電振動を行う振動部が気密封止された圧電振動デバイスの製造方法であって、
前記第1、第2金属膜は、ともにAuからなる金属膜であって、スパッタリングにより形成され、
前記封止用接合材の形成が、接合専用材を用いずに、加圧した状態でのAu−Au接合によって行われ、
前記圧電振動デバイスは、基板の一主面に第1励振電極が形成され、前記基板の他主面に前記第1励振電極と対になる第2励振電極が形成された圧電振動板と、前記圧電振動板の前記第1励振電極を覆う第1封止部材と、前記圧電振動板の前記第2励振電極を覆う第2封止部材とを備えており、
前記第1封止部材と前記圧電振動板との間、及び、前記圧電振動板と前記第2封止部材との間には、前記封止用接合材がそれぞれ形成され、
前記第1封止部材と前記圧電振動板との間の前記封止用接合材と、前記圧電振動板と前記第2封止部材との間の前記封止用接合材とは、平面視で一致する位置に設けられていることを特徴とする圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の圧電振動デバイスの製造方法において、
前記第1封止部材と前記圧電振動板との間の前記封止用接合材を形成する前記第1、第2金属膜の外周縁の位置が平面視で一致する位置に設けられており、
前記圧電振動板と前記第2封止部材との間の前記封止用接合材を形成する前記第1、第2金属膜の外周縁の位置が平面視で一致する位置に設けられていることを特徴とする圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の圧電振動デバイスの製造方法において、
前記第1封止部材と前記圧電振動板との間の前記封止用接合材を形成する前記第1、第2金属膜の外周縁の位置が平面視で異なっており、
前記圧電振動板と前記第2封止部材との間の前記封止用接合材を形成する前記第1、第2金属膜の外周縁の位置が平面視で異なっていることを特徴とする圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の圧電振動デバイスの製造方法において、
前記第1封止部材と前記圧電振動板との間の前記封止用接合材を形成する前記第1、第2金属膜の内周縁の位置が平面視で一致する位置に設けられており、
前記圧電振動板と前記第2封止部材との間の前記封止用接合材を形成する前記第1、第2金属膜の内周縁の位置が平面視で一致する位置に設けられていることを特徴とする圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の圧電振動デバイスの製造方法において、
前記第1封止部材と前記圧電振動板との間の前記封止用接合材を形成する前記第1、第2金属膜の内周縁の位置が平面視で異なっており、
前記圧電振動板と前記第2封止部材との間の前記封止用接合材を形成する前記第1、第2金属膜の内周縁の位置が平面視で異なっていることを特徴とする圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の圧電振動デバイスの製造方法において、
前記第1封止部材及び前記第2封止部材は、厚さが30〜80μmの脆性材料で形成され、
前記第1封止部材と前記圧電振動板との間のギャップが、前記第1封止部材の厚さの0.1倍以下に設定され、
前記圧電振動板と前記第2封止部材との間のギャップが、前記第2封止部材の厚さの0.1倍以下に設定されていることを特徴とする圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の圧電振動デバイスの製造方法において、
前記第1封止部材と前記圧電振動板との間の前記封止用接合材を形成する前記第1、第2金属膜のいずれか一方は、環状のスリットによって、内周側金属膜及び外周側金属膜に分離して形成されており、
前記第1封止部材と前記圧電振動板との間の前記封止用接合材が、内周側封止用接合材及び外周側封止用接合材に分離して形成され、
前記圧電振動板と前記第2封止部材との間の前記封止用接合材を形成する前記第1、第2金属膜のいずれか一方は、環状のスリットによって、内周側金属膜及び外周側金属膜に分離して形成されており、
前記圧電振動板と前記第2封止部材との間の前記封止用接合材が、内周側封止用接合材及び外周側封止用接合材に分離して形成されることを特徴とする圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の圧電振動デバイスの製造方法において、
前記第1封止部材と前記圧電振動板との間の前記封止用接合材を形成する前記第1、第2金属膜の両方が、環状のスリットによって、それぞれ内周側金属膜及び外周側金属膜に分離して形成されており、
前記第1封止部材と前記圧電振動板との間の前記封止用接合材が、内周側封止用接合材及び外周側封止用接合材に分離して形成され、
前記圧電振動板と前記第2封止部材との間の前記封止用接合材を形成する前記第1、第2金属膜の両方が、環状のスリットによって、それぞれ内周側金属膜及び外周側金属膜に分離して形成されており、
前記圧電振動板と前記第2封止部材との間の前記封止用接合材が、内周側封止用接合材及び外周側封止用接合材に分離して形成されることを特徴とする圧電振動デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種電子機器の動作周波数の高周波化や、パッケージの小型化(特に低背化)が進んでいる。そのため、高周波化やパッケージの小型化にともなって、圧電振動デバイス(例えば水晶振動子、水晶発振器等)も高周波化やパッケージの小型化への対応が求められている。
【0003】
この種の圧電振動デバイスでは、その筐体が略直方体のパッケージで構成されている。このパッケージは、ガラスや水晶からなる第1封止部材及び第2封止部材と、水晶からなり両主面に励振電極が形成された水晶振動板とから構成され、第1封止部材と第2封止部材とが水晶振動板を介して積層して接合され、パッケージの内部(内部空間)に配された水晶振動板の励振電極が気密封止されている(例えば、特許文献1参照)。なお、このような圧電振動デバイスの積層形態をサンドイッチ構造という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−252051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような圧電振動デバイスでは、圧電振動板の振動部の気密封止は、例えば、第1封止部材、圧電振動板、及び第2封止部材のそれぞれに形成された環状の金属パターン(金属膜)によって行われる。この場合、第1封止部材及び圧電振動板の金属パターン同士を接合するとともに、圧電振動板及び第2封止部材の金属パターン同士を接合することによって、圧電振動を行う振動部を封止する封止部(封止用接合材)が、平面視で、振動部の外周囲を囲うように環状に形成される。このようなサンドイッチ構造の圧電振動デバイスにおいては、第1封止部材と圧電振動板の間に介在される環状の封止用接合材、及び、圧電振動板と第2封止部材の間に介在される環状の封止用接合材の気密性を高めることが要求される。
【0006】
なお、サンドイッチ構造の圧電振動デバイスだけでなく、ベース及びリッドによって形成された空間内に、圧電振動を行う圧電振動片(振動部)が収容される構造の圧電振動デバイスにおいても、同様に、ベースとリッドの間に介在される環状の封止用接合材の気密性を高めることが要求される。
【0007】
本発明は上述したような実情を考慮してなされたもので、圧電振動を行う振動部の外周囲を気密封止する環状の封止用接合材の気密性を向上させることが可能な圧電振動デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明は、第1部材に環状に形成された第1金属膜と、第2部材に環状に形成された第2金属膜とが接合されることによって、環状の封止用接合材が形成され、前記封止用接合材によって圧電振動を行う振動部が気密封止された圧電振動デバイスの製造方法であって、前記第1、第2金属膜は、ともにAuからなる金属膜であって、スパッタリングにより形成され、前記封止用接合材の形成が、接合専用材を用いずに、加圧した状態でのAu−Au接合によって行われ、前記圧電振動デバイスは、基板の一主面に第1励振電極が形成され、前記基板の他主面に前記第1励振電極と対になる第2励振電極が形成された圧電振動板と、前記圧電振動板の前記第1励振電極を覆う第1封止部材と、前記圧電振動板の前記第2励振電極を覆う第2封止部材とを備えており、前記第1封止部材と前記圧電振動板との間、及び、前記圧電振動板と前記第2封止部材との間には、前記封止用接合材がそれぞれ形成され、前記第1封止部材と前記圧電振動板との間の前記封止用接合材と、前記圧電振動板と前記第2封止部材との間の前記封止用接合材とは、平面視で一致する位置に設けられていることを特徴とする。
ここで、本発明において、前記第1封止部材と前記圧電振動板との間の前記封止用接合材を形成する前記第1、第2金属膜の外周縁の位置が平面視で一致する位置に設けられており、前記圧電振動板と前記第2封止部材との間の前記封止用接合材を形成する前記第1、第2金属膜の外周縁の位置が平面視で一致する位置に設けられていてもよい。あるいは、前記第1封止部材と前記圧電振動板との間の前記封止用接合材を形成する前記第1、第2金属膜の外周縁の位置が平面視で異なっており、前記圧電振動板と前記第2封止部材との間の前記封止用接合材を形成する前記第1、第2金属膜の外周縁の位置が平面視で異なっていてもよい。
また、前記第1封止部材と前記圧電振動板との間の前記封止用接合材を形成する前記第1、第2金属膜の内周縁の位置が平面視で一致する位置に設けられており、前記圧電振動板と前記第2封止部材との間の前記封止用接合材を形成する前記第1、第2金属膜の内周縁の位置が平面視で一致する位置に設けられていてもよい。あるいは、前記第1封止部材と前記圧電振動板との間の前記封止用接合材を形成する前記第1、第2金属膜の内周縁の位置が平面視で異なっており、前記圧電振動板と前記第2封止部材との間の前記封止用接合材を形成する前記第1、第2金属膜の内周縁の位置が平面視で異なっていてもよい。
【0009】
本発明によれば、スパッタリングによって、第1、第2部材に第1、第2金属膜を容易に形成することができる。また、封止用接合材が加圧状態での接合(Au−Au接合)によって形成されるので、封止用接合材の接合力を強固なものとすることができる。これに加え、封止用接合材の形成の際、環状の封止用接合材の内周縁部及び外周縁部は、内周縁部と外周縁部との間の中間部に比べて、密な状態(ボイドが比較的少ない状態)で形成されるので、圧電振動を行う振動部を封止する封止用接合材の気密性を向上させることができる。つまり、環状の封止用接合材に、複数の密な状態の接合領域、具体的には、内周縁部及び外周縁部が設けられるので、圧電振動を行う振動部を封止する封止用接合材の気密性を向上させることができる。詳細には、ボイドが比較的少ない密な状態の接合領域である内周縁部及び外周縁部が、環状に形成されているので、内外2重のシールによって振動部が封止されることになる。したがって、本発明によれば、密な状態の接合領域が設けられていない場合や、密な状態の接合領域が環状に形成されていない場合、密な状態の環状の接合領域が1つだけ形成されている場合に比べて、封止用接合材の気密性を向上させることができる。
【0010】
本発明において、前記第1封止部材及び前記第2封止部材は、厚さが30〜80μmの脆性材料で形成され、前記第1封止部材と前記圧電振動板との間のギャップが、前記第1封止部材の厚さの0.1倍以下に設定され、前記圧電振動板と前記第2封止部材との間のギャップが、前記第2封止部材の厚さの0.1倍以下に設定されていてもよい。
【0011】
本発明によれば、加圧状態での接合の際、封止用接合材の内周縁部及び外周縁部を、より密な状態で形成することができ、封止用接合材の気密性をより向上させることができる。なお、加工コストの低減、構造の単純化を図る観点や、第2部材及び圧電振動デバイス全体の剛性を確保する観点からは、第2部材として、平板状のものを用いることが好ましい。
【0012】
本発明において、前記第1封止部材と前記圧電振動板との間の前記封止用接合材を形成する前記第1、第2金属膜のいずれか一方は、環状のスリットによって、内周側金属膜及び外周側金属膜に分離して形成されており、前記第1封止部材と前記圧電振動板との間の前記封止用接合材が、内周側封止用接合材及び外周側封止用接合材に分離して形成され、前記圧電振動板と前記第2封止部材との間の前記封止用接合材を形成する前記第1、第2金属膜のいずれか一方は、環状のスリットによって、内周側金属膜及び外周側金属膜に分離して形成されており、前記圧電振動板と前記第2封止部材との間の前記封止用接合材が、内周側封止用接合材及び外周側封止用接合材に分離して形成されていてもよい。あるいは、前記第1封止部材と前記圧電振動板との間の前記封止用接合材を形成する前記第1、第2金属膜の両方が、環状のスリットによって、それぞれ内周側金属膜及び外周側金属膜に分離して形成されており、前記第1封止部材と前記圧電振動板との間の前記封止用接合材が、内周側封止用接合材及び外周側封止用接合材に分離して形成され、前記圧電振動板と前記第2封止部材との間の前記封止用接合材を形成する前記第1、第2金属膜の両方が、環状のスリットによって、それぞれ内周側金属膜及び外周側金属膜に分離して形成されており、前記圧電振動板と前記第2封止部材との間の前記封止用接合材が、内周側封止用接合材及び外周側封止用接合材に分離して形成されていてもよい。
【0013】
本発明によれば、内周側封止用接合材及び外周側封止用接合材に、複数の密な状態の接合領域、具体的には、内周縁部及び外周縁部が設けられるので、圧電振動を行う振動部を封止する内周側封止用接合材及び外周側封止用接合材の気密性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、密な状態の接合領域である内周縁部及び外周縁部が、環状に形成されるため、内外2重のシールによって振動部が封止されることになるので、封止用接合材の気密性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本実施の形態にかかる水晶振動子の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図2図2は、図1の水晶振動子の製造方法における積層工程で形成された水晶ウエハの一例を示す概略平面図である。
図3図3は、図2の水晶ウエハを構成する第1封止部材用ウエハ、水晶振動板用ウエハ、及び第2封止部材用ウエハを示す分解斜視図である。
図4図4は、本実施の形態にかかる水晶振動子の製造方法によって製造された水晶振動子の一例を示す概略構成図である。
図5図5は、図4の水晶振動子の第1封止部材の概略平面図である。
図6図6は、図4の水晶振動子の第1封止部材の概略裏面図である。
図7図7は、図4の水晶振動子の水晶振動板の概略平面図である。
図8図8は、図4の水晶振動子の水晶振動板の概略裏面図である。
図9図9は、図4の水晶振動子の第2封止部材の概略平面図である。
図10図10は、図4の水晶振動子の第2封止部材の概略裏面図である。
図11図11は、図4の水晶振動子における振動部と封止部との平面視での位置関係を示す図である。
図12図12は、図11のX1−X1線断面図である。
図13図13は、変形例1にかかる水晶振動子の製造方法の図6相当図である。
図14図14は、変形例1にかかる水晶振動子の製造方法の図7相当図である。
図15図15は、変形例1にかかる水晶振動子の製造方法の図8相当図である。
図16図16は、変形例1にかかる水晶振動子の製造方法の図9相当図である。
図17図17は、変形例1にかかる水晶振動子の製造方法の図11相当図である。
図18図18は、図17のX2−X2線断面図である。
図19図19は、変形例2にかかる水晶振動子の製造方法の図12相当図である。
図20図20は、変形例3にかかる水晶振動子の製造方法の図12相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
本実施の形態にかかる圧電振動デバイスの製造方法について説明する前に、まず、圧電振動デバイスについて説明する。以下では、圧電振動デバイスの一例として、図4図10に示すような水晶振動子10を挙げて説明する。
【0020】
−水晶振動子−
図4は、本実施の形態にかかる水晶振動子の製造方法によって製造された水晶振動子10の一例を示す概略構成図である。図4に示すように、水晶振動子10においては、水晶振動板2(第1部材)と、水晶振動板2の第1励振電極221(図7参照)を覆い、水晶振動板2の一主面211に形成された第1励振電極221を気密封止する第1封止部材(第2部材)3と、この水晶振動板2の他主面212に、水晶振動板2の第2励振電極222(図8参照)を覆い、第1励振電極221と対になって形成された第2励振電極222を気密封止する第2封止部材(第2部材)4が設けられている。この水晶振動子10では、水晶振動板2と第1封止部材3とが接合され、水晶振動板2と第2封止部材4とが接合されてサンドイッチ構造のパッケージ12が構成される。
【0021】
水晶振動子10においては、水晶振動板2及び第1封止部材3が接合されるとともに、水晶振動板2及び第2封止部材4が接合されることで、パッケージ12の内部空間13が形成され、このパッケージ12の内部空間13に、水晶振動板2の両主面211,212に形成された第1励振電極221及び第2励振電極222を含む振動部22が気密封止されている。本実施の形態にかかる水晶振動子10は、例えば、1.0×0.8mmのパッケージサイズであり、小型化と低背化とを図ったものである。また、小型化に伴い、パッケージ12では、キャスタレーションを形成せずに、貫通孔(第1〜第3貫通孔)を用いて電極の導通を図っている。
【0022】
次に、上記した水晶振動子10の各構成について、図4図10を用いて説明する。なお、ここでは、水晶振動板2と第1封止部材3と第2封止部材4が接合されていない夫々単体として構成されている各部材について説明を行う。
【0023】
水晶振動板2は、図7図8に示すように、水晶からなる圧電基板であって、その両主面(一主面211、他主面212)が平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。本実施の形態では、水晶振動板2として、厚みすべり振動を行うATカット水晶板が用いられている。図7図8に示す水晶振動板2では、水晶振動板2の両主面211,212が、XZ´平面とされている。このXZ´平面において、水晶振動板2の短手方向(短辺方向)に平行な方向がX軸方向とされ、水晶振動板2の長手方向(長辺方向)に平行な方向がZ´軸方向とされている。なお、ATカットは、人工水晶の3つの結晶軸である電気軸(X軸)、機械軸(Y軸)、及び光学軸(Z軸)のうち、Z軸に対してX軸周りに35°15′だけ傾いた角度で切り出す加工手法である。ATカット水晶板では、X軸は水晶の結晶軸に一致する。Y´軸及びZ´軸は、水晶の結晶軸のY軸及びZ軸からそれぞれ35°15′傾いた軸に一致する。Y´軸方向及びZ´軸方向は、ATカット水晶板を切り出すときの切り出し方向に相当する。
【0024】
水晶振動板2の両主面211,212に一対の励振電極(第1励振電極221、第2励振電極222)が形成されている。水晶振動板2は、略矩形に形成された振動部22と、この振動部22の外周を取り囲む外枠部23と、振動部22と外枠部23とを連結する連結部(保持部)24とを有しており、振動部22と連結部24と外枠部23とが一体的に設けられた構成となっている。本実施の形態では、連結部24は、振動部22と外枠部23との間の1箇所のみに設けられており、連結部24が設けられていない箇所は空間(隙間)22bになっている。また、図示していないが、振動部22及び連結部24は、外枠部23よりも薄く形成されている。このような外枠部23と連結部24との厚みの違いにより、外枠部23と連結部24の圧電振動の固有振動数が異なることになり、連結部24の圧電振動に外枠部23が共鳴しにくくなる。
【0025】
連結部24は、振動部22の+X方向かつ−Z´方向に位置する1つの角部22aのみから、−Z´方向に向けて外枠部23まで延びている(突出している)。このように、振動部22の外周端部のうち、圧電振動の変位が比較的小さい角部22aに連結部24が設けられているので、連結部24を角部22a以外の部分(辺の中央部)に設けた場合に比べて、連結部24を介して圧電振動が外枠部23に漏れることを抑制することができ、より効率的に振動部22を圧電振動させることができる。また、連結部24を2つ以上設けた場合に比べて、振動部22に作用する応力を低減することができ、そのような応力に起因する圧電振動の周波数シフトを低減して圧電振動の安定性を向上させることができる。
【0026】
振動部22の一主面側に第1励振電極221が設けられ、振動部22の他主面側に第2励振電極222が設けられている。第1励振電極221、第2励振電極222には、外部電極端子(一外部電極端子431、他外部電極端子432)に接続するための引出電極(第1引出電極223、第2引出電極224)が接続されている。第1引出電極223は、第1励振電極221から引き出され、連結部24を経由して、外枠部23に形成された接続用接合パターン27に繋がっている。第2引出電極224は、第2励振電極222から引き出され、連結部24を経由して、外枠部23に形成された接続用接合パターン28に繋がっている。このように、連結部24の一主面側に第1引出電極223が形成され、連結部24の他主面側に第2引出電極224が形成されている。第1励振電極221及び第1引出電極223は、一主面211上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、この下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。第2励振電極222及び第2引出電極224は、他主面212上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、この下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。
【0027】
水晶振動板2の両主面211,212には、水晶振動板2を第1封止部材3及び第2封止部材4に接合するための振動側封止部25が夫々設けられている。水晶振動板2の一主面211の振動側封止部25に、第1封止部材3に接合するための振動側第1接合パターン(第1金属膜)251が形成されている。また、水晶振動板2の他主面212の振動側封止部25に、第2封止部材4に接合するための振動側第2接合パターン(第1金属膜)252が形成されている。振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252は、上述した外枠部23に設けられており、平面視で環状に形成されており、外縁形状及び内縁形状が略八角形に形成されている。振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252は、水晶振動板2の両主面211,212の外周縁に近接するように設けられている。水晶振動板2の一対の第1励振電極221、第2励振電極222は、振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252とは電気的に接続されていない。
【0028】
振動側第1接合パターン251は、一主面211上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜2511と、下地PVD膜2511上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜2512とからなる。振動側第2接合パターン252は、他主面212上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜2521と、下地PVD膜2521上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜2522とからなる。つまり、振動側第1接合パターン251と振動側第2接合パターン252とは、同一構成からなり、複数の層が両主面211,212の振動側封止部25上に積層して構成され、その最下層側からTi層(もしくはCr層)とAu層とが形成されている。このように、振動側第1接合パターン251と振動側第2接合パターン252とでは、下地PVD膜2511,2521が単一の材料(Ti(もしくはCr))からなり、電極PVD膜2512,2522が単一の材料(Au)からなり、下地PVD膜2511,2521よりも電極PVD膜2512,2522の方が厚い。また、水晶振動板2の一主面211に形成された第1励振電極221と振動側第1接合パターン251とは同一厚みを有し、第1励振電極221と振動側第1接合パターン251との表面が同一金属からなり、水晶振動板2の他主面212に形成された第2励振電極222と振動側第2接合パターン252とは同一厚みを有し、第2励振電極222と振動側第2接合パターン252との表面が同一金属からなる。
【0029】
また、水晶振動板2には、図7図8に示すように、一主面211と他主面212との間を貫通する1つの貫通孔(第1貫通孔26)が形成されている。第1貫通孔26は、水晶振動板2の外枠部23に設けられている。第1貫通孔26は、第2封止部材4の接続用接合パターン453に繋がるものである。
【0030】
第1貫通孔26には、図4図7図8に示すように、一主面211と他主面212とに形成された電極の導通を図るための貫通電極261が、第1貫通孔26の内壁面に沿って形成されている。そして、第1貫通孔26の中央部分は、一主面211と他主面212との間を貫通した中空状態の貫通部分262となる。第1貫通孔26の外周囲には、接続用接合パターン264,265が形成されている。接続用接合パターン264,265は、水晶振動板2の両主面211,212に設けられている。
【0031】
水晶振動板2の一主面211に形成された第1貫通孔26の接続用接合パターン264は、外枠部23において、X軸方向に沿って延びている。また、水晶振動板2の一主面211には、第1引出電極223に繋がる接続用接合パターン27が形成されており、この接続用接合パターン27も、外枠部23において、X軸方向に沿って延びている。接続用接合パターン27は、振動部22(第1励振電極221)を挟んで、接続用接合パターン264とはZ´軸方向の反対側に設けられている。つまり、振動部22のZ´軸方向の両側に、接続用接合パターン27,264が設けられている。
【0032】
同様に、水晶振動板2の他主面212に形成された第1貫通孔26の接続用接合パターン265は、外枠部23において、X軸方向に沿って延びている。また、水晶振動板2の他主面212には、第2引出電極224に繋がる接続用接合パターン28が形成されており、この接続用接合パターン28も、外枠部23において、X軸方向に沿って延びている。接続用接合パターン28は、振動部22(第2励振電極222)を挟んで、接続用接合パターン265とはZ´軸方向の反対側に設けられている。つまり、振動部22のZ´軸方向の両側に、接続用接合パターン28,265が設けられている。なお、接続用接合パターン27,28,264,265は、水晶振動板2の両主面211,212上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、当該下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。
【0033】
水晶振動子10では、第1貫通孔26及び接続用接合パターン27,28,264,265は、平面視で内部空間13の内方(接合材11a,11bの内周面の内側)に形成される。内部空間13は、平面視で振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252の内方(内側)に形成される。内部空間13の内方とは、後述する接合材11a,11b上を含まずに厳密に接合材11a,11bの内周面の内側のことをいう。第1貫通孔26及び接続用接合パターン27,28,264,265は、振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252とは電気的に接続されていない。
【0034】
第1封止部材3には、曲げ剛性(断面二次モーメント×ヤング率)が1000[N・mm]以下の脆性材料が用いられている。具体的には、第1封止部材3は、図5図6に示すように、水晶からなる略直方体(平板状)の基板であり、この第1封止部材3の他主面312(水晶振動板2に接合する面)は平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。本実施の形態では、第1封止部材3として、上述した水晶振動板2と同様のATカット水晶板が用いられている。第1封止部材3の厚さは、30μm〜80μmに設定されている。
【0035】
この第1封止部材3の他主面312には、水晶振動板2に接合するための封止側第1封止部32が設けられている。封止側第1封止部32には、水晶振動板2に接合するための封止側第1接合パターン(第2金属膜)321が形成されている。封止側第1接合パターン321は、平面視で環状に形成されており、外縁形状及び内縁形状が略八角形に形成されている。
【0036】
この封止側第1接合パターン321は、第1封止部材3上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜3211と、下地PVD膜3211上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜3212とからなる。なお、本実施の形態では、下地PVD膜3211には、Ti(もしくはCr)が用いられ、電極PVD膜3212にはAuが用いられている。具体的には、封止側第1接合パターン321は、複数の層が他主面312の封止側第1封止部32上に積層して構成され、その最下層側からTi層(もしくはCr層)とAu層とが形成されている。
【0037】
第1封止部材3の他主面312、つまり、水晶振動板2との対向面には、水晶振動板2の接続用接合パターン264,27と接合される接続用接合パターン35,36が形成されている。接続用接合パターン35,36は、第1封止部材3の短辺方向(図6のX軸方向)に方向に沿って延びている。接続用接合パターン35,36は、第1封止部材3の長辺方向(図6のZ´軸方向)に所定の間隔を隔てて設けられており、接続用接合パターン35,36のZ´軸方向の間隔は、水晶振動板2の接続用接合パターン264,27のZ´軸方向の間隔(図7参照)と略同じになっている。接続用接合パターン35,36は、配線パターン33を介して互いに接続されている。配線パターン33は、接続用接合パターン35,36の間に設けられている。配線パターン33は、Z´軸方向に沿って延びている。配線パターン33は、水晶振動板2の接続用接合パターン264,27とは接合されないようになっている。なお、接続用接合パターン35,36及び配線パターン33は、第1封止部材3の他主面312上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、当該下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。
【0038】
水晶振動子10では、接続用接合パターン35,36及び配線パターン33は、平面視で内部空間13の内方(接合材11a,11bの内周面の内側)に形成される。接続用接合パターン35,36及び配線パターン33は、封止側第1接合パターン321とは電気的に接続されていない。
【0039】
第2封止部材4には、曲げ剛性(断面二次モーメント×ヤング率)が1000[N・mm]以下の脆性材料が用いられている。具体的には、第2封止部材4は、図9図10に示すように、水晶からなる略直方体(平板状)の基板であり、この第2封止部材4の一主面411(水晶振動板2に接合する面)は平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。本実施の形態では、第2封止部材4として、上述した水晶振動板2と同様のATカット水晶板が用いられている。第2封止部材4の厚さは、30μm〜80μmに設定されている。
【0040】
この第2封止部材4の一主面411には、水晶振動板2に接合するための封止側第2封止部42が設けられている。封止側第2封止部42には、水晶振動板2に接合するための封止側第2接合パターン(第2金属膜)421が形成されている。封止側第2接合パターン421は、平面視で環状に形成されており、外縁形状及び内縁形状が略八角形に形成されている。
【0041】
この封止側第2接合パターン421は、第2封止部材4上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜4211と、下地PVD膜4211上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜4212とからなる。なお、本実施の形態では、下地PVD膜4211には、Ti(もしくはCr)が用いられ、電極PVD膜4212にはAuが用いられている。具体的には、封止側第2接合パターン421は、複数の層が他主面412の封止側第2封止部42上に積層して構成され、その最下層側からTi層(もしくはCr層)とAu層とが形成されている。
【0042】
また、第2封止部材4の他主面412(水晶振動板2に面しない外方の主面)には、外部に電気的に接続する一対の外部電極端子(一外部電極端子431、他外部電極端子432)が設けられている。一外部電極端子431、他外部電極端子432は、図4図10に示すように、第2封止部材4の他主面412の平面視長手方向両端に夫々位置する。これら一対の外部電極端子(一外部電極端子431、他外部電極端子432)は、他主面412上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜4311,4321と、下地PVD膜4311,4321上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜4312,4322とからなる。一外部電極端子431及び他外部電極端子432は、第2封止部材4の他主面412のうち1/4以上の領域を夫々占めている。
【0043】
第2封止部材4には、図4図9図10に示すように、一主面411と他主面412との間を貫通する2つの貫通孔(第2貫通孔45、第3貫通孔46)が形成されている。第2貫通孔45は、一外部電極端子431及び水晶振動板2の接続用接合パターン265に繋がるものである。第3貫通孔46は、他外部電極端子432及び水晶振動板2の接続用接合パターン28に繋がるものである。
【0044】
第2貫通孔45、第3貫通孔46には、図4図9図10に示すように、一主面411と他主面412とに形成された電極の導通を図るための貫通電極451,461が、第2貫通孔45、第3貫通孔46の内壁面夫々に沿って形成されている。そして、第2貫通孔45、第3貫通孔46の中央部分は、一主面411と他主面412との間を貫通した中空状態の貫通部分452,462となる。第2貫通孔45、第3貫通孔46夫々の外周囲には、接続用接合パターン453,463が形成されている。
【0045】
接続用接合パターン453,463は、第2封止部材4の一主面411に設けられており、水晶振動板2の接続用接合パターン265,28と接合される。接続用接合パターン453,463は、第2封止部材4の短辺方向(図9のX軸方向)に方向に沿って延びている。接続用接合パターン453,463は、第2封止部材4の長辺方向(図9のZ´軸方向)に所定の間隔を隔てて設けられており、接続用接合パターン453,463のZ´軸方向の間隔は、水晶振動板2の接続用接合パターン265,28のZ´軸方向の間隔(図8参照)と略同じになっている。なお、接続用接合パターン453,463は、第2封止部材4の一主面411上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、当該下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。
【0046】
水晶振動子10では、第2貫通孔45、第3貫通孔46及び接続用接合パターン453,463は、平面視で内部空間13の内方に形成されている。第2貫通孔45、第3貫通孔46及び接続用接合パターン453,463は、封止側第2接合パターン421とは電気的に接続されていない。また、一外部電極端子431、他外部電極端子432も、封止側第2接合パターン421とは電気的に接続されていない。
【0047】
上記の水晶振動板2、第1封止部材3、及び第2封止部材4を含む水晶振動子10では、従来の技術のように別途接着剤等の接合専用材を用いずに、水晶振動板2と第1封止部材3とが振動側第1接合パターン251及び封止側第1接合パターン321を重ね合わせた状態で拡散接合され、水晶振動板2と第2封止部材4とが振動側第2接合パターン252及び封止側第2接合パターン421を重ね合わせた状態で拡散接合されて、図4に示すサンドイッチ構造のパッケージ12が製造される。これにより、パッケージ12の内部空間13、つまり、振動部22の収容空間が気密封止される。
【0048】
そして、振動側第1接合パターン251及び封止側第1接合パターン321自身が拡散接合後に生成される接合材(封止用接合材)11aとなり、この接合材11aによって水晶振動板2と第1封止部材3とが接合される。振動側第2接合パターン252及び封止側第2接合パターン421自身が拡散接合後に生成される接合材(封止用接合材)11bとなり、この接合材11bによって水晶振動板2と第2封止部材4とが接合される。接合材11a,11bは、図11に示すように、平面視で環状に形成されており、外縁形状及び内縁形状が略八角形に形成されている。接合材11a,11bは、平面視で略一致する位置に設けられている。つまり、接合材11a,11bの内周縁が略一致する位置に設けられ、接合材11a,11bの外周縁が略一致する位置に設けられている。
【0049】
本実施の形態では、図11に示すように、水晶振動板2の第1、第2励振電極221,222から一外部電極端子431、他外部電極端子432までの配線がいずれも、平面視で、封止部としての接合材(封止用接合材)11a,11bの内方に設けられている。接合材11a,11bは、平面視で、外縁形状及び内縁形状が略八角形に形成されており、パッケージ12の外周縁に近接するように形成されている。これにより、水晶振動板2の振動部22のサイズを大きくすることが可能になっている。なお、接合材11a,11bの内周縁と、振動部22及び外枠部23の間の空間22bとの距離は、パッケージ12の短辺側のほうが、長辺側よりも大きくなっている。
【0050】
また、この際、上述した接続用接合パターン同士も重ね合わせられた状態で拡散接合される。具体的には、水晶振動板2の接続用接合パターン264及び第1封止部材3の接続用接合パターン35が拡散接合される。水晶振動板2の接続用接合パターン27及び第1封止部材3の接続用接合パターン36が拡散接合される。また、水晶振動板2の接続用接合パターン265及び第2封止部材4の接続用接合パターン453が拡散接合される。水晶振動板2の接続用接合パターン28及び第2封止部材4の接続用接合パターン463が拡散接合される。
【0051】
そして、接続用接合パターン264及び接続用接合パターン35自身が拡散接合後に生成される接合材14aとなり、この接合材14aによって水晶振動板2と第1封止部材3とが接合される。接続用接合パターン27及び接続用接合パターン36自身が拡散接合後に生成される接合材14bとなり、この接合材14bによって水晶振動板2と第1封止部材3とが接合される。また、接続用接合パターン265及び接続用接合パターン453自身が拡散接合後に生成される接合材14cとなり、この接合材14cによって水晶振動板2と第2封止部材4とが接合される。接続用接合パターン28及び接続用接合パターン463自身が拡散接合後に生成される接合材14dとなり、この接合材14dによって水晶振動板2と第2封止部材4とが接合される。これらの接合材14a〜14dは、貫通孔の貫通電極と接合材14a〜14dとを導通させる役割、及び接合箇所を気密封止する役割を果たす。なお、接合材14a〜14dは、平面視で封止部としての接合材11a,11bよりも内方に設けられるため、図4では破線で示している。
【0052】
−水晶振動子の製造方法−
次に、本実施の形態にかかる圧電振動デバイスの製造方法について、図1図3を参照して説明する。ここでは、圧電振動デバイスの製造方法の一例として、上述した水晶振動子10(図4図11参照)の製造方法について説明する。
【0053】
本実施の形態にかかる水晶振動子10の製造方法は、図1に示すように、第1封止部材用ウエハ形成工程(ST11)で形成された第1封止部材用ウエハと、水晶振動板用ウエハ形成工程(ST12)で形成された水晶振動板用ウエハと、第2封止部材用ウエハ形成工程(ST13)で形成された第2封止部材用ウエハとを積層することによって、図2に示すような水晶ウエハ(ウエハの積層体)100を形成する積層工程(ST14)と、水晶ウエハ100から水晶振動子10のパッケージ12の個片化を行う個片化工程(ST15)とを有する。なお、第1封止部材用ウエハ形成工程、水晶振動板用ウエハ形成工程、及び第2封止部材用ウエハ形成工程の順序は特に限定されない。第1封止部材用ウエハ形成工程、水晶振動板用ウエハ形成工程、及び第2封止部材用ウエハ形成工程を並行して行ってもよい。
【0054】
ここで、水晶ウエハ1について、図2図3を参照して説明する。水晶ウエハ100は、図3に示すように、第1封止部材用ウエハ100Bと、水晶振動板用ウエハ100Aと、第2封止部材用ウエハ100Cとが積層された積層体として構成されている。
【0055】
水晶ウエハ100は、図2に示すように、水晶振動子10のパッケージ12が複数、集合された構成になっている。図2の例では、水晶ウエハ100において、平面視略矩形に形成された複数のパッケージ12がマトリックス状に配列されており、縦方向(図2のX軸方向)及び横方向(図2のZ´軸方向)にそれぞれ8つのパッケージ12が配列され、合計64のパッケージ12が備えられている。なお、パッケージ12の数は一例であって、上記の数に限定されるものではない。
【0056】
水晶ウエハ100は、複数のパッケージ12を支持するための支持部(桟部)101を備えている。支持部101は、水晶ウエハ100のZ´軸方向に沿って延びている。支持部101の両端部は、水晶ウエハ100のフレーム部(外枠部)102に一体的に連結されている。支持部101は、水晶ウエハ100のX軸方向に所定の間隔を隔てて複数(図2では8つ)設けられている。フレーム部102は、平面視で一辺が開放された略矩形の枠体であって、略「コ」字状に形成されている。フレーム部102の開放された一辺に対応する箇所に支持部101が設けられており、この支持部101とフレーム部102とによって環状の枠体が一体的に形成されるようになっている。
【0057】
支持部101には、複数(図2では8つ)のパッケージ12が支持されている。パッケージ12は、水晶ウエハ100のZ´軸方向に所定の間隔を隔てて配列されている。支持部101は、平面視でパッケージ12の一辺側(図2では、+X方向側)に設けられている。各パッケージ12は、2つの連結部(折り取り部)103,104を介して支持部101に連結されている。
【0058】
上述したように、水晶ウエハ100は、第1封止部材用ウエハ100Bと、水晶振動板用ウエハ100Aと、第2封止部材用ウエハ100Cとが積層された構成となっている(図3参照)。水晶振動板用ウエハ100A、第1封止部材用ウエハ100B、及び第2封止部材用ウエハ100Cは、平面視では、上述した水晶ウエハ100(図2参照)と同様の形状になっている。
【0059】
水晶振動板用ウエハ100Aは、図3に示すように、上述した水晶振動板2(図7図8参照)が複数、集合された構成になっている。図3の例では、水晶振動板用ウエハ100Aにおいて、複数の水晶振動板2がマトリックス状に配列されており、縦方向(図3のX軸方向)及び横方向(図3のZ´軸方向)にそれぞれ8つの水晶振動板2が配列され、合計64の水晶振動板2が備えられている。そして、水晶振動板用ウエハ100Aにおいては、上述した水晶ウエハ100の場合と同様に、水晶振動板2が、第1、第2連結部103A,104Aによって支持部101Aに支持されている。支持部101Aの両端部は、フレーム部102Aに一体的に連結されている。
【0060】
第1封止部材用ウエハ100Bは、図3に示すように、上述した第1封止部材3(図5図6参照)が複数、集合された構成になっている。図3の例では、第1封止部材用ウエハ100Bにおいて、複数の第1封止部材3がマトリックス状に配列されており、縦方向(図3のX軸方向)及び横方向(図3のZ´軸方向)にそれぞれ8つの第1封止部材3が配列され、合計64の第1封止部材3が備えられている。そして、第1封止部材用ウエハ100Bにおいては、上述した水晶ウエハ100の場合と同様に、第1封止部材3が、第1、第2連結部103B,104Bによって支持部101Bに支持されている。支持部101Bの両端部は、フレーム部102Bに一体的に連結されている。
【0061】
第2封止部材用ウエハ100Cは、図3に示すように、上述した第2封止部材4(図9図10参照)が複数、集合された構成になっている。図3の例では、第2封止部材用ウエハ100Cにおいて、複数の第2封止部材4がマトリックス状に配列されており、縦方向(図3のX軸方向)及び横方向(図3のZ´軸方向)にそれぞれ8つの第2封止部材4が配列され、合計64の第2封止部材4が備えられている。そして、第2封止部材用ウエハ100Cにおいては、上述した水晶ウエハ100の場合と同様に、第2封止部材4が、第1、第2連結部103C,104Cによって支持部101Cに支持されている。
【0062】
そして、第1封止部材用ウエハ100Bと第2封止部材用ウエハ100Cとが水晶振動板用ウエハ100Aを介して積層して接合されることによって、図2に示すように、サンドイッチ構造の水晶振動子10のパッケージ12が複数、集合された水晶ウエハ100が形成される。この場合、水晶ウエハ100の第1、第2連結部103,104は、第1封止部材用ウエハ100Bの第1、第2連結部103B,104Bと、水晶振動板用ウエハ100Aの第1、第2連結部103A,104Aと、第2封止部材用ウエハ100Cの第1、第2連結部103C,104Cとが積層された構成になっている。第1封止部材用ウエハ100Bの第1、第2連結部103B,104B、水晶振動板用ウエハ100Aの第1、第2連結部103A,104A、及び第2封止部材用ウエハ100Cの第1、第2連結部103C,104Cは、平面視で略一致する位置に設けられている。
【0063】
次に、図1に例示する水晶振動子10の製造方法の各工程について説明する。
【0064】
第1封止部材用ウエハ形成工程(ST11)は、図3に示すような第1封止部材用ウエハ100Bを形成する工程である。第1封止部材用ウエハ100Bは、上述したように、平面視略矩形の複数の第1封止部材3が集合された構成になっており、具体的には、各第1封止部材3が、平面視で第1封止部材3の一辺側に当該第1封止部材3とは離間して設けられた支持部101Bに、第1、第2連結部103B,104Bを介して連結された構成になっている。
【0065】
第1封止部材用ウエハ形成工程では、水晶素板(ATカット水晶板)に、例えば、ウェットエッチングを行うことによって、第1封止部材用ウエハ100Bの各第1封止部材3、支持部101B、フレーム部102B、及び第1、第2連結部103B,104Bを形成する。また、各第1封止部材3において、例えばスパッタリングなどのPVD法より下地PVD膜や電極PVD膜を形成することで、封止側第1接合パターン321、接続用接合パターン35,36、及び配線パターン33を形成する。ここで、各第1封止部材3の他主面312の封止側第1接合パターン321、接続用接合パターン35,36、及び配線パターン33を同一の構成とすることができ、この場合、同一のプロセスで封止側第1接合パターン321、接続用接合パターン35,36、及び配線パターン33を一括して形成することができる。
【0066】
水晶振動板用ウエハ形成工程(ST12)は、図3に示すような水晶振動板用ウエハ100Aを形成する工程である。水晶振動板用ウエハ100Aは、上述したように、平面視略矩形の複数の水晶振動板2が集合された構成になっており、具体的には、各水晶振動板2が、平面視で水晶振動板2の一辺側に当該水晶振動板2とは離間して設けられた支持部101Aに、第1、第2連結部103A,104Aを介して連結された構成になっている。
【0067】
水晶振動板用ウエハ形成工程では、水晶素板(ATカット水晶板)に、例えば、ウェットエッチングを行うことによって、水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2、支持部101A、フレーム部102A、及び第1、第2連結部103A,104Aを形成する。各水晶振動板2において、例えば、ウェットエッチングを行うことによって、振動部22と外枠部23との間の空間22b、及び第1貫通孔26を形成する。
【0068】
また、各水晶振動板2において、例えばスパッタリングなどのPVD法により下地PVD膜や電極PVD膜を形成することで、第1励振電極221、第2励振電極222、第1引出電極223、第2引出電極224、振動側第1接合パターン251、振動側第2接合パターン252、及び接続用接合パターン27,28,264,265を形成する。ここで、各水晶振動板2の一主面211の第1励振電極221、第1引出電極223、振動側第1接合パターン251、及び接続用接合パターン27,264を同一の構成とすることができ、この場合、同一のプロセスで第1励振電極221、第1引出電極223、振動側第1接合パターン251、及び接続用接合パターン27,264を一括して形成することができる。同様に、各水晶振動板2の他主面212の第2励振電極222、第2引出電極224、振動側第2接合パターン252、及び接続用接合パターン28,265を同一の構成とすることができ、この場合、同一のプロセスで第2励振電極222、第2引出電極224、振動側第2接合パターン252、及び接続用接合パターン28,265を一括して形成することができる。なお、水晶振動板2の一主面211の第1励振電極221、第1引出電極223、及び接合パターン251,27,264と、他主面212の第2励振電極222、第2引出電極224、及び各接合パターン252,28,265とを全て一括して形成することも可能である。
【0069】
第2封止部材用ウエハ形成工程(ST13)は、図3に示すような第2封止部材用ウエハ100Cを形成する工程である。第2封止部材用ウエハ100Cは、上述したように、平面視略矩形の複数の第2封止部材4が集合された構成になっており、具体的には、各第2封止部材4が、平面視で第2封止部材4の一辺側に当該第2封止部材4とは離間して設けられた支持部101Cに、第1、第2連結部103C,104Cを介して連結された構成になっている。
【0070】
第2封止部材用ウエハ形成工程では、水晶素板(ATカット水晶板)に、例えば、ウェットエッチングを行うことによって、第2封止部材用ウエハ100Cの各第2封止部材4、支持部101C、フレーム部102C、及び第1、第2連結部103C,104Cを形成する。各第2封止部材4において、例えば、ウェットエッチングを行うことによって、第2貫通孔45及び第3貫通孔46を形成する。
【0071】
また、各第2封止部材4において、例えばスパッタリングなどのPVD法により下地PVD膜や電極PVD膜を形成することで、封止側第2接合パターン421、一外部電極端子431、他外部電極端子432、及び接続用接合パターン453,463を形成する。ここで、各第2封止部材4の一主面411の封止側第2接合パターン421、及び接続用接合パターン453,463を同一の構成とすることができ、この場合、同一のプロセスで封止側第2接合パターン421、及び接続用接合パターン453,463を一括して形成することができる。
【0072】
積層工程(ST14)は、第1封止部材用ウエハ形成工程(ST11)で形成された第1封止部材用ウエハ100Bと、水晶振動板用ウエハ形成工程(ST12)で形成された水晶振動板用ウエハ100Aと、第2封止部材用ウエハ形成工程(ST13)で形成された第2封止部材用ウエハ100Cとを積層することによって、水晶ウエハ100を形成する工程である。つまり、積層工程では、第1封止部材用ウエハ100Bの各第1封止部材3と、水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2と、第2封止部材用ウエハ100Cの各第2封止部材4とを積層する。
【0073】
具体的には、水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2の振動側第1接合パターン251と、第1封止部材用ウエハ100Bの各第1封止部材3の封止側第1接合パターン321とを重ね合わせた状態で拡散接合させ、水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2の振動側第2接合パターン252と、第2封止部材用ウエハ100Cの各第2封止部材4の封止側第2接合パターン421とを重ね合わせた状態で拡散接合させる。これにより、封止部としての接合材11a,11b(図11参照)が形成される。そして、接合材11aによって水晶振動板2と第1封止部材3とが接合され、接合材11bによって水晶振動板2と第2封止部材4とが接合される。つまり、水晶振動板2と第1封止部材3との間には、環状の接合材11aが介在され、水晶振動板2と第2封止部材4との間には、環状の接合材11bが介在される。水晶振動板2と第1封止部材3との間のギャップは、1.00μm以下になっており、水晶振動板2と第2封止部材4との間のギャップは、1.00μm以下になっている。
【0074】
また、水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2の接続用接合パターン264と、第1封止部材用ウエハ100Bの各第1封止部材3の接続用接合パターン35とを拡散接合させる。水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2の接続用接合パターン27と、第1封止部材用ウエハ100Bの各第1封止部材3の接続用接合パターン36とを拡散接合させる。水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2の接続用接合パターン265と、第2封止部材用ウエハ100Cの各第2封止部材4の接続用接合パターン453とを拡散接合させる。水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2の接続用接合パターン28と、第2封止部材用ウエハ100Cの各第2封止部材4の接続用接合パターン463とを拡散接合させる。
【0075】
なお、積層工程では、第1封止部材用ウエハ100Bの各第1封止部材3と、水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2とを接合した後に、水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2と、第2封止部材用ウエハ100Cの各第2封止部材4とを接合してもよいし、あるいは、水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2と、第2封止部材用ウエハ100Cの各第2封止部材4とを接合した後に、第1封止部材用ウエハ100Bの各第1封止部材3と、水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2とを接合してもよい。
【0076】
上記の積層工程により、略直方体状の水晶振動子10のパッケージ12が複数、集合された水晶ウエハ100が形成される。各パッケージ12において、第1封止部材3と水晶振動板2とは、1.00μm以下のギャップを有し、第2封止部材4と水晶振動板2とは、1.00μm以下のギャップを有する。つまり、第1封止部材3と水晶振動板2との間の接合材11の厚みが、1.00μm以下であり、第2封止部材4と水晶振動板2との間の接合材11の厚みが、1.00μm以下(具体的には、本実施の形態のAu−Au接合では0.15μm〜1.00μm)である。なお、比較として、Snを用いた従来の金属ペースト封止材では、5μm〜20μmとなる。
【0077】
積層工程後の水晶ウエハ100では、第1封止部材用ウエハ100Bの各第1封止部材3の第1連結部103Bと、水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2の第1連結部103Aと、第2封止部材用ウエハ100Cの各第2封止部材4の第1連結部103Cとが、平面視で略一致する位置に設けられている。第1封止部材用ウエハ100Bの各第1封止部材3の第2連結部104Bと、水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2の第2連結部14Aと、第2封止部材用ウエハ100Cの各第2封止部材4の第2連結部104Cとが、平面視で略一致する位置に設けられている。
【0078】
個片化工程(ST15)では、水晶ウエハ100の各パッケージ12の第1封止部材3を、例えば棒状の押圧部材によって押圧することにより、水晶ウエハ100から各パッケージ12を折り取って(分離させて)、パッケージ12を個片化させる。この際、パッケージ12(第1封止部材3)の第1、第2連結部103,104が設けられた箇所とは反対側の箇所を押圧することが好ましい。
【0079】
本実施の形態では、第1封止部材用ウエハ形成工程(ST11)において、第1封止部材3に形成される封止側第1接合パターン321、及び接続用接合パターン35,36の各電極PVD膜が、Auからなる金属膜(Au層)となっており、各接合パターンがスパッタリングにより形成される。水晶振動板用ウエハ形成工程(ST12)において、水晶振動板2に形成される振動側第1接合パターン251、振動側第2接合パターン252、及び接続用接合パターン27,28,264,265の電極PVD膜が、Auからなる金属膜(Au層)となっており、各接合パターンがスパッタリングにより形成される。第2封止部材用ウエハ形成工程(ST13)において、第2封止部材4に形成される封止側第2接合パターン421、及び接続用接合パターン453,463の各電極PVD膜が、Auからなる金属膜(Au層)となっており、各接合パターンがスパッタリングにより形成される。
【0080】
そして、積層工程(ST14)において、各接合パターンの接合(この場合、Au−Au接合)、言い換えれば、封止部としての接合材11a,11b(封止用接合材)の形成が加圧した状態で行われる。つまり、接合材11a,11bが、加圧状態での拡散接合(加圧拡散接合)によって形成される。
【0081】
本実施の形態によれば、第1封止部材用ウエハ形成工程(ST11)、水晶振動板用ウエハ形成工程(ST12)、第2封止部材用ウエハ形成工程(ST13)において、スパッタリングによって各接合パターンを容易に形成することができる。また、積層工程(ST14)では、接合材11a,11bが加圧拡散接合(Au−Au接合)によって形成されるので、接合材11a,11bの接合力を強固なものとすることができる。
【0082】
これに加え、接合材11a,11bの形成の際、接合材11a,11bの内周縁部111a,111b及び外周縁部112a,112bは、内周縁部111a,111bと外周縁部112a,112bとの間の中間部113a,113bに比べて、密な状態で形成されるので、圧電振動を行う振動部22を封止する接合材11a,11bの気密性を向上させることができる。この点について、図11図12を参照して説明する。なお、「密な状態」で接合材が形成されているとは、接合材の内部に発生するボイドが比較的少ない状態で接合材が形成されていることを意味し、これとは逆に、接合材の内部に発生するボイドが比較的多い状態で接合材が形成されていることを、「疎な状態」で接合材が形成されていると言う。
【0083】
図11図12に示すように、接合材11a,11bは、平面視で、最も内側に位置する環状の内周縁部111a,111bと、最も外側に位置する環状の外周縁部112a,112bと、内周縁部111a,111bと外周縁部112a,112bとの間に位置する環状の中間部113a,113bとを備えている。内周縁部111a,111bの外周側に中間部113a,113bが隣接して設けられ、中間部113a,113bの外周側に外周縁部112a,112bが隣接して設けられている。接合材11a,11bの幅W10,W20は、30μm〜60μmとなっている。内周縁部111a,111bの幅W11,W21、及び外周縁部112a,112bの幅W12,W22は、3μm〜5μmとなっている。中間部113a,113bの幅W13,W23は、20μm〜54μmとなっている。
【0084】
そして、接合材11a,11bの内周縁部111a,111b及び外周縁部112a,112bは、中間部113a,113bに比べて、密な状態で形成されており、言い換えれば、接合材の内部に発生するボイドが比較的少ない状態で形成されている。逆に言えば、中間部113a,113bは、内周縁部111a,111b及び外周縁部112a,112bに比べて、疎な状態で形成されており、接合材の内部に発生するボイドが比較的多い状態で形成されている。ここで、次のような理由によって、接合材11a,11bに、密な状態と疎な状態とが発生すると考えられる。
【0085】
上述した加圧の際、第1封止部材用ウエハ100B(第1封止部材3)が圧縮することによって、各接合パターンの内周縁部及び外周縁部には、内周縁部と外周縁部との間の中間部に比べて、大きな応力が作用する。詳細には、第1封止部材用ウエハ100B(第1封止部材3)のうち接合パターンが設けられた箇所(接合パターンが存在する箇所)は、接合パターンが設けられていない箇所(接合パターンが存在しない箇所)に比べて、加圧による圧縮量が大きくなる。このような圧縮量の違いにより、第1封止部材用ウエハ100B(第1封止部材3)のうち接合パターンが設けられた箇所に対し、接合パターンが設けられていない箇所が斜めに傾斜するように変形する。このような第1封止部材用ウエハ100B(第1封止部材3)の傾斜に起因して、接合パターンの内周縁部及び外周縁部に対し、内周縁部と外周縁部との間の中間部に比べて、大きな応力が作用する。同様に、第2封止部材用ウエハ100C(第2封止部材4)においても、各接合パターンの内周縁部及び外周縁部には、内周縁部と外周縁部との間の中間部に比べて、大きな応力が作用する。
【0086】
これにより、接合材11a,11bの形成の際、比較的大きな応力が作用する接合材11a,11bの内周縁部111a,111b及び外周縁部112a,112bは、中間部113a,113bに比べて、密な状態で形成される。一方、比較的小さな応力しか作用しない接合材11a,11bの中間部113a,113bは、内周縁部111a,111b及び外周縁部112a,112bに比べて、疎な状態で形成される。
【0087】
このように、接合材11a,11bに、複数(この例では、2つ)の密な状態の接合領域、具体的には、内周縁部111a,111b及び外周縁部112a,112bが設けられるので、圧電振動を行う振動部22を封止する接合材11a,11bの気密性を向上させることができる。
【0088】
詳細には、ボイドが比較的少ない密な状態の接合領域である内周縁部111a,111b及び外周縁部112a,112bが、環状に形成されるので、内外2重のシールによって振動部22が封止されることになる。このため、本実施の形態によれば、密な状態の接合領域が設けられていない場合や、密な状態の接合領域が環状に形成されていない場合、密な状態の環状の接合領域が1つだけ形成されている場合に比べて、接合材11a,11bの気密性を向上させることができる。特に、本実施の形態のように、接合材11a,11bのうち、パッケージ12の内外の空間(具体的には、パッケージ12の内部空間13、及びパッケージ12の外方の空間)に直接接触する領域である内周縁部111a,111b及び外周縁部112a,112bを密な状態とすることは、少ない接合面積であってもより気密性を向上させるにあたって有効な構成となる。
【0089】
また、水晶振動板2と第1封止部材3との間のギャップ(1.00μm以下)、及び、水晶振動板2と第2封止部材4との間のギャップ(1.00μm以下)が、第1封止部材3及び第2封止部材4の厚さ(30μm〜80μm)の0.1倍以下に設定されている。これにより、上述した加圧状態での接合(加圧拡散接合)の際、接合材11a,11bの内周縁部111a,111b及び外周縁部112a,112bを、より密な状態で形成することができ、接合材11a,11bの気密性をより向上させることができる。また、第1封止部材3及び第2封止部材4を平板状に形成しているので、加工コストの低減や、構造の単純化を図ることができ、しかも、第1封止部材3、第2封止部材4及び水晶振動子10全体の剛性を確保することができる。
【0090】
なお、水晶振動板2の振動側第1接合パターン251の外周縁と、第1封止部材3の封止側第1接合パターン321との外周縁との平面視での位置が異なっていてもよい。また、水晶振動板2の振動側第2接合パターン252の外周縁と、第2封止部材4の封止側第2接合パターン421との外周縁との平面視での位置が異なっていてもよい。同様に、水晶振動板2の振動側第1接合パターン251の内周縁と、第1封止部材3の封止側第1接合パターン321との内周縁との平面視での位置が異なっていてもよい。また、水晶振動板2の振動側第2接合パターン252の内周縁と、第2封止部材4の封止側第2接合パターン421との内周縁との平面視での位置が異なっていてもよい。これらの場合、水晶振動板2の振動側第1接合パターン251の幅と、第1封止部材3の封止側第1接合パターン321の幅とが異なっていてもよい。また、水晶振動板2の振動側第2接合パターン252の幅と、第2封止部材4の封止側第2接合パターン421の幅とが異なっていてもよい。
【0091】
このようにすれば、水晶振動板2、第1封止部材3、及び第2封止部材4を積層して接合する際に発生する積層ずれ(位置ずれ)を吸収することができ、そのような積層ずれが発生したとしても、接合材11a,11bの内周縁部111a,111b及び外周縁部112a,112bを密な状態で形成することができる。なお、水晶振動板2には、第1、第2励振電極221,222や、第1、第2引出電極223,224等を設ける領域を確保する必要があるため、パターン形成の容易性や、パッケージ12の小型化等の観点からは、水晶振動板2の振動側第1接合パターン251の幅を、第1封止部材3の封止側第1接合パターン321の幅よりも小さくすることが好ましい。同様に、水晶振動板2の振動側第2接合パターン252の幅を、第2封止部材4の封止側第2接合パターン421の幅よりも小さくすることが好ましい。
【0092】
なお、第1封止部材3及び第2封止部材4を水晶で構成することによって、水晶振動板2、第1封止部材3、及び第2封止部材4の熱膨張率が同一となり、水晶振動板2、第1封止部材3、及び第2封止部材4の熱膨張差に起因するパッケージ12の変形を抑制できるので、水晶振動板2の振動部22を気密封止した内部空間13の気密性を向上させることが可能になる。また、パッケージ12の変形による歪は、連結部24を介して第1励振電極221及び第2励振電極222に伝達され、周波数変動の要因となる可能性があるが、水晶振動板2、第1封止部材3、及び第2封止部材4を全て水晶で構成することによって、そのような周波数変動を抑制することができる。
【0093】
次に、本実施の形態の変形例について説明する。
【0094】
図13図18に、変形例1にかかる水晶振動子の製造方法によって製造された水晶振動子10aを示し、図19に、変形例2にかかる水晶振動子の製造方法によって製造された水晶振動子10bを示し、図20に、変形例3にかかる水晶振動子の製造方法によって製造された水晶振動子10cを示す。
【0095】
変形例1〜3にかかる水晶振動子10a〜10cの製造方法も、上記実施形態の水晶振動子10の製造方法と同様に(図1参照)、第1封止部材用ウエハ形成工程(ST11)と、水晶振動板用ウエハ形成工程(ST12)と、第2封止部材用ウエハ形成工程(ST13)と、積層工程(ST14)と、個片化工程(ST15)とを有する。
【0096】
しかし、変形例1〜3にかかる水晶振動子10a〜10cの製造方法では、第1封止部材用ウエハ形成工程(ST11)、水晶振動板用ウエハ形成工程(ST12)、及び第2封止部材用ウエハ形成工程(ST13)において、スパッタリングによって形成される各接合パターン(Auからなる金属膜(Au層))が、上記実施形態の水晶振動子10の製造方法とは異なっており、以下では異なる点について主に説明する。
【0097】
まず、図13図18に示す水晶振動子10a(変形例1)では、圧電振動を行う振動部22を気密封止する封止部としての接合材(封止用接合材)15a,15bが、内周側接合材(内周側封止用接合材)151a,151b及び外周側接合材(外周側封止用接合材)152a,152bに分離して形成されている。接合材15a,15bが、内外2重の構造になっている。なお、便宜上、上記実施形態の水晶振動子10(図4図12参照)と共通の構成については、同一符号を付し、説明を省略する。以下では、本変形例にかかる水晶振動子10aについて、上記実施形態の水晶振動子10とは異なる構成ついて主に説明する。
【0098】
図14に示すように、水晶振動板2aの一主面211に形成された振動側第1接合パターン(第1金属膜)25aは、環状のスリット258によって、内振動側第1接合パターン(内周側金属膜)256及び外振動側第1接合パターン(外周側金属膜)257に分離して形成されている。図15に示すように、水晶振動板2aの他主面212に形成された振動側第2接合パターン(第1金属膜)26aは、環状のスリット268によって、内振動側第2接合パターン(内周側金属膜)266及び外振動側第2接合パターン(外周側金属膜)267に分離して形成されている。
【0099】
振動側第1接合パターン25a及び振動側第2接合パターン26aは、水晶振動板2aの外枠部23に設けられている。水晶振動板2aの一対の第1励振電極221、第2励振電極222は、振動側第1接合パターン25a及び振動側第2接合パターン26aとは電気的に接続されていない。振動側第1接合パターン25a及び振動側第2接合パターン26aは、上記実施形態の場合と同様、例えば、スパッタリングにより形成された下地PVD膜及び電極PVD膜とからなる。下地PVD膜はTi(もしくはCr)からなり、電極PVD膜はAuからなる。
【0100】
内振動側第1接合パターン256及び外振動側第1接合パターン257は、平面視で環状に形成されており、外縁形状及び内縁形状が略八角形に形成されている。内振動側第1接合パターン256及び外振動側第1接合パターン257は、全周で略同一の幅に形成されている。内振動側第2接合パターン266及び外振動側第1接合パターン267は、平面視で環状に形成されており、外縁形状及び内縁形状が略八角形に形成されている。内振動側第2接合パターン266及び外振動側第1接合パターン267は、全周で略同一の幅に形成されている。
【0101】
図13に示すように、第1封止部材3aの他主面312に形成された封止側第1接合パターン(第2金属膜)37aは、環状のスリット373によって、内封止側第1接合パターン(内周側金属膜)371及び外封止側第1接合パターン(外周側金属膜)372に分離して形成されている。内封止側第1接合パターン371及び外封止側第1接合パターン372は、上記実施形態の場合と同様、例えば、スパッタリングにより形成された下地PVD膜及び電極PVD膜とからなる。下地PVD膜はTi(もしくはCr)からなり、電極PVD膜はAuからなる。内封止側第1接合パターン371及び外封止側第1接合パターン372は、平面視で環状に形成されており、外縁形状及び内縁形状が略八角形に形成されている。内封止側第1接合パターン371及び外封止側第1接合パターン372は、全周で略同一の幅に形成されている。
【0102】
図16に示すように、第2封止部材4aの一主面411に形成された封止側第2接合パターン(第2金属膜)47aは、環状のスリット473によって、内封止側第2接合パターン(内周側金属膜)471及び外封止側第2接合パターン(外周側金属膜)472に分離して形成されている。内封止側第2接合パターン471及び外封止側第2接合パターン472は、上記実施形態の場合と同様、例えば、スパッタリングにより形成された下地PVD膜及び電極PVD膜とからなる。下地PVD膜はTi(もしくはCr)からなり、電極PVD膜はAuからなる。内封止側第2接合パターン471及び外封止側第2接合パターン472は、平面視で環状に形成されており、外縁形状及び内縁形状が略八角形に形成されている。内封止側第2接合パターン471及び外封止側第2接合パターン472は、全周で略同一の幅に形成されている。
【0103】
上記の水晶振動板2a、第1封止部材3a、及び第2封止部材4aを含む水晶振動子10aでは、上記実施形態の場合と同様、水晶振動板2aと第1封止部材3aとが振動側第1接合パターン25a及び封止側第1接合パターン37aを重ね合わせた状態で拡散接合され、水晶振動板2aと第2封止部材4aとが振動側第2接合パターン26a及び封止側第2接合パターン47aを重ね合わせた状態で拡散接合されて、サンドイッチ構造のパッケージ12が製造される。これにより、パッケージ12の内部空間13、つまり、振動部22の収容空間が気密封止される。
【0104】
そして、振動側第1接合パターン25a及び封止側第1接合パターン37a自身が拡散接合後に生成される接合材15aとなり、この接合材15aによって水晶振動板2aと第1封止部材3aとが接合される。より詳細には、内振動側第1接合パターン256及び内封止側第1接合パターン371自身が拡散接合後に生成される環状の内周側接合材151aとなり、外振動側第1接合パターン257及び外封止側第1接合パターン372自身が拡散接合後に生成される環状の外周側接合材152aとなる。接合材151a,152aの間には、スリット258,373によって、環状の空間(スリット)153aが形成される。
【0105】
また、振動側第2接合パターン26a及び封止側第2接合パターン47a自身が拡散接合後に生成される接合材15bとなり、この接合材15bによって水晶振動板2aと第2封止部材4aとが接合される。より詳細には、内振動側第2接合パターン266及び内封止側第2接合パターン471自身が拡散接合後に生成される環状の内周側接合材151bとなり、外振動側第2接合パターン267及び外封止側第2接合パターン472自身が拡散接合後に生成される環状の外周側接合材152bとなる。接合材151b,152bの間には、スリット268,473によって、環状の空間(スリット)153bが形成される。
【0106】
接合材151a,151b,152a,152bは、平面視で環状に形成されており、外縁形状及び内縁形状が略八角形に形成されている。内周側接合材151a,151bは、平面視で略一致する位置に設けられ、外周側接合材152a,152bは、平面視で略一致する位置に設けられている。
【0107】
本変形例では、水晶振動子10aにおいて、図17図18に示すように、水晶振動板2aと第1封止部材3aとの間には、環状の接合材151a,152aが介在され、水晶振動板2aと第2封止部材4aとの間には、環状の接合材151b,152bが介在されている。水晶振動板2aと第1封止部材3aとの間のギャップは、1.00μm以下になっており、水晶振動板2aと第2封止部材4aとの間のギャップは、1.00μm以下になっている。また、第1封止部材3a及び第2封止部材4aは、水晶のような脆性材料によって形成され、第1封止部材3a及び第2封止部材4aの厚さが、30μm〜80μmになっている。
【0108】
内周側接合材151a,151bは、平面視で、最も内側に位置する環状の内周縁部154a,154bと、最も外側に位置する環状の外周縁部155a,155bと、内周縁部154a,154bと外周縁部155a,155bとの間に位置する環状の中間部156a,156bとを備えている。内周縁部154a,154bの外周側に中間部156a,156bが隣接して設けられ、中間部156a,156bの外周側に外周縁部155a,155bが隣接して設けられている。
【0109】
本変形例では、内周側接合材151a,151bの内周縁部154a,154b及び外周縁部155a,155bは、中間部156a,156bに比べて、密な状態で形成されており、言い換えれば、接合材の内部に発生するボイドが比較的少ない状態で形成されている。逆に言えば、中間部156a,156bは、内周縁部154a,154b及び外周縁部155a,155bに比べて、疎な状態で形成されており、接合材の内部に発生するボイドが比較的多い状態で形成されている。
【0110】
外周側接合材152a,152bは、平面視で、最も内側に位置する環状の内周縁部157a,157bと、最も外側に位置する環状の外周縁部158a,158bと、内周縁部157a,157bと外周縁部158a,158bとの間に位置する環状の中間部159a,159bとを備えている。内周縁部157a,157bの外周側に中間部159a,159bが隣接して設けられ、中間部159a,159bの外周側に外周縁部158a,158bが隣接して設けられている。
【0111】
本変形例では、外周側接合材152a,152bの内周縁部157a,157b及び外周縁部158a,158bは、中間部159a,159bに比べて、密な状態で形成されており、言い換えれば、接合材の内部に発生するボイドが比較的少ない状態で形成されている。逆に言えば、中間部159a,159bは、内周縁部157a,157b及び外周縁部158a,158bに比べて、疎な状態で形成されており、接合材の内部に発生するボイドが比較的多い状態で形成されている。
【0112】
このように、接合材15a,15b(内周側接合材151a,151b及び外周側接合材152a,152b)に、複数(この例では、4つ)の密な状態の接合領域、具体的には、内周縁部154a,154b,157a,157b及び外周縁部155a,155b,158a,158bを設けることによって、圧電振動を行う振動部22を封止する接合材15a,15bの気密性を向上させることができる。すなわち、ボイドが比較的少ない密な状態の接合領域である内周縁部154a,154b,157a,157b及び外周縁部155a,155b,158a,158bが、環状に形成されているので、4重のシールによって振動部22が封止されることになる。このように、本変形例によれば、密な状態の環状の接合領域を増加させることができ、接合材15a,15bの気密性をより一層向上させることができる。
【0113】
また、本変形例では、水晶振動板2aと第1封止部材3aとの間のギャップ(1.00μm以下)、及び、水晶振動板2aと第2封止部材4aとの間のギャップ(1.00μm以下)が、第1封止部材3a及び第2封止部材4aの厚さ(30μm〜80μm)の0.1倍以下に設定されている。これにより、上述した加圧状態での接合の際、接合材15a,15bの内周縁部154a,154b,157a,157b及び外周縁部155a,155b,158a,158bを、より密な状態で形成することができ、接合材15a,15bの気密性をより向上させることができる。
【0114】
次に、図19に示す水晶振動子10b(変形例2)では、第1封止部材3bの他主面312に形成された封止側第1接合パターン(第2金属膜)が、変形例1の場合と同様の構成になっており(図13参照)、環状のスリット322によって、内封止側第1接合パターン(内周側金属膜)及び外封止側第1接合パターン(外周側金属膜)に分離して形成されており、2重の環状パターンになっている。また、第2封止部材4bの一主面411に形成された封止側第2接合パターン(第2金属膜)も、変形例1の場合と同様の構成になっており(図16参照)、環状のスリット422によって、内封止側第2接合パターン(内周側金属膜)及び外封止側第2接合パターン(外周側金属膜)に分離して形成されており、2重の環状パターンになっている。
【0115】
一方、水晶振動板2bの一主面211に形成された振動側第1接合パターン(第1金属膜)251b、及び、水晶振動板2bの他主面212に形成された振動側第2接合パターン(第1金属膜)252bは、上記実施形態の場合と同様の構成になっており(図7図8参照)、環状のスリットを有しておらず、2重の環状パターンになっていない。
【0116】
このような変形例2にかかる水晶振動子10bの製造方法においても、図19に示すように、水晶振動板2bと第1封止部材3bとの間には、環状の接合材16aが介在され、水晶振動板2bと第2封止部材4bとの間には、環状の接合材16bが介在されている。接合材16a,16bは、内周側接合材161a,161b及び外周側接合材162a,162bを有しており、内周側接合材161a,161b及び外周側接合材162a,162bは、接合しなかった(接合に寄与しなかった)振動側第1接合パターン251b、振動側第2接合パターン252bを介して接続された構成になっている。そして、内周側接合材161a,161bは、変形例1の場合と同様に、最も内側に位置する環状の内周縁部と、最も外側に位置する環状の外周縁部と、内周縁部と外周縁部との間に位置する環状の中間部とを備える構成になっている。外周側接合材162a,162bも、変形例1の場合と同様に、最も内側に位置する環状の内周縁部と、最も外側に位置する環状の外周縁部と、内周縁部と外周縁部との間に位置する環状の中間部とを備える構成になっている。
【0117】
このような変形例2にかかる水晶振動子10bの製造方法においても、上述した変形例1にかかる水晶振動子10aの製造方法と同様の効果が得られる。つまり、接合材16a,16b(内周側接合材161a,161b及び外周側接合材162a,162b)に、複数(この例では、4つ)の密な状態の接合領域(内周縁部及び外周縁部)を設けることによって、圧電振動を行う振動部22を封止する接合材16a,16bの気密性を向上させることができる。このように、本変形例によれば、密な状態の環状の接合領域を増加させることができ、接合材16a,16bの気密性をより一層向上させることができる。
【0118】
なお、第1封止部材3bにおいて、内封止側第1接合パターンの幅と外封止側第1接合パターンの幅とが異なっていてもよく、例えば、内封止側第1接合パターンの幅を外封止側第1接合パターンの幅よりも大きくしてもよい。同様に、第2封止部材4bにおいて、内封止側第2接合パターンの幅と外封止側第2接合パターンの幅とが異なっていてもよく、例えば、内封止側第2接合パターンの幅を外封止側第2接合パターンの幅よりも大きくしてもよい。また、本変形例とは逆に、第1封止部材3bの封止側第1接合パターン、及び第2封止部材4bの封止側第2接合パターンのみを環状のスリットを有していない1重の環状パターンとする一方、水晶振動板2bの振動側第1接合パターン、及び振動側第2接合パターンのみを、環状のスリットを有する2重の環状パターンとしてもよい。なお、水晶振動板2bには、第1、第2励振電極221,222や、第1、第2引出電極223,224等を設ける領域を確保する必要があることから、パターン形成の容易性や、パッケージ12の小型化等の観点からは、水晶振動板2bの振動側第1接合パターン、及び振動側第2接合パターンのみを、環状のスリットを有していない1重の環状パターンとし、第1封止部材3bの封止側第1接合パターン、及び第2封止部材4bの封止側第2接合パターンのみを環状のスリットを有する2重の環状パターンとすることが好ましい。
【0119】
また、図20に示す水晶振動子10c(変形例3)では、第1封止部材3cの他主面312に形成された封止側第1接合パターン(第2金属膜)321cが、変形例1の場合と同様の構成になっており(図13参照)、環状のスリット323によって、内封止側第1接合パターン(内周側金属膜)及び外封止側第1接合パターン(外周側金属膜)に分離して形成されており、2重の環状パターンになっている。また、第2封止部材4cの一主面411に形成された封止側第2接合パターン(第2金属膜)421cも、変形例1の場合と同様の構成になっており(図16参照)、環状のスリット423によって、内封止側第2接合パターン(内周側金属膜)及び外封止側第2接合パターン(外周側金属膜)に分離して形成されており、2重の環状パターンになっている。
【0120】
一方、水晶振動板2cの一主面211に形成された振動側第1接合パターン(第1金属膜)251cは、2つの環状のスリット253a,254aによって、内封止側第1接合パターン(内周側金属膜)と、中間封止側第1接合パターン(中間金属膜)と、外封止側第1接合パターン(外周側金属膜)に分離して形成されており、3重の環状パターンになっている。水晶振動板2cの他主面212に形成された振動側第2接合パターン(第1金属膜)252cも、2つの環状のスリット253b,254bによって、内封止側第2接合パターン(内周側金属膜)と、中間封止側第2接合パターン(中間金属膜)と、外封止側第2接合パターン(外周側金属膜)に分離して形成されており、3重の環状パターンになっている。
【0121】
このような変形例3にかかる水晶振動子10cの製造方法においても、図20に示すように、水晶振動板2cと第1封止部材3cとの間には、環状の接合材17aが介在され、水晶振動板2cと第2封止部材4cとの間には、環状の接合材17bが介在されている。接合材17a,17bは、内周側接合材171a,171b及び外周側接合材172a,172bを有しており、さらに、中間接合材173a,173b,174a,174bを有している。内周側接合材171a,171b、外周側接合材172a,172b、及び中間接合材173a,173b,174a,174bは、接合しなかった(接合に寄与しなかった)振動側第1接合パターン251c、振動側第2接合パターン252c、封止側第1接合パターン321c、封止側第2接合パターン421cを介して接続された構成になっている。
【0122】
そして、内周側接合材171a,171bは、変形例1の場合と同様に、最も内側に位置する環状の内周縁部と、最も外側に位置する環状の外周縁部と、内周縁部と外周縁部との間に位置する環状の中間部とを備える構成になっている。外周側接合材172a,172bも、変形例1の場合と同様に、最も内側に位置する環状の内周縁部と、最も外側に位置する環状の外周縁部と、内周縁部と外周縁部との間に位置する環状の中間部とを備える構成になっている。さらに、中間接合材173a,173b,174a,174bも、同様に、最も内側に位置する環状の内周縁部と、最も外側に位置する環状の外周縁部と、内周縁部と外周縁部との間に位置する環状の中間部とを備える構成になっている。
【0123】
このような変形例3にかかる水晶振動子10cの製造方法においても、上述した変形例1,2にかかる水晶振動子10a,10bの製造方法と同様の効果が得られる。つまり、接合材17a,17b(内周側接合材171a,171b、外周側接合材172a,172b、及び中間接合材173a,173b,174a,174b)に、複数(この例では、8つ)の密な状態の接合領域(内周縁部及び外周縁部)を設けることによって、圧電振動を行う振動部22を封止する接合材17a,17bの気密性を向上させることができる。このように、本変形例によれば、密な状態の環状の接合領域を増加させることができ、接合材17a,17bの気密性をより一層向上させることができる。
【0124】
本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0125】
水晶振動板の振動側第1接合パターン、振動側第2接合パターン、第1封止部材の封止側第1接合パターン、第2封止部材の封止側第2接合パターンのそれぞれの環状パターンの数は一例であって、それ以外の構成を採用してもよい。例えば、水晶振動板の振動側第1接合パターン、振動側第2接合パターン、第1封止部材の封止側第1接合パターン、第2封止部材の封止側第2接合パターンのそれぞれの環状パターンの数が、3つ以上であってもよい。また、水晶振動板の振動側第1接合パターンの環状パターンの数と、振動側第2接合パターンの環状パターンの数とが異なっていてもよい。第1封止部材の封止側第1接合パターンの環状パターンの数と、第2封止部材の封止側第2接合パターンの環状パターンの数とが異なっていてもよい。
【0126】
また、スリットの形状を環状以外の形状としてもよく、水晶振動板の振動側第1接合パターン、振動側第2接合パターン、第1封止部材の封止側第1接合パターン、第2封止部材の封止側第2接合パターンのそれぞれのパターンの一部にのみ、スリットを設ける構成としてもよい。つまり、それぞれのパターンの一部にのみスリットが設けられ、残りの部分にはスリットが設けられていない構成としてもよい。この場合、環状の封止用接合材の気密性を向上させる観点からは、それぞれのパターンのうち、パッケージ12の長辺に沿う部分にスリットを設けることが好ましい。
【0127】
以上では、本発明を水晶振動子の製造方法に適用した場合について説明したが、水晶振動子以外の圧電振動デバイス(例えば水晶発振器)の製造方法にも本発明を適用することが可能である。
【0128】
また、第1部材としての水晶振動板にATカット水晶を用いたが、これに限定されるものではなく、ATカット水晶以外の水晶を用いてもよい。また、第2部材としての第1封止部材及び第2封止部材にATカット水晶を用いたが、これに限定されるものではなく、ATカット水晶以外の水晶や、水晶以外の脆性材料(例えばガラス等)を用いてもよい。
【0129】
また、以上では、第1封止部材及び第2封止部材によって水晶振動板を挟む構成のサンドイッチ構造の圧電振動デバイスの製造方法に本発明を適用した場合について説明したが、その他の構造の圧電振動デバイスの製造方法にも本発明を適用することが可能である。例えば、ベース(第1部材)と、リッド(第2部材)とによって形成された内部空間に圧電振動片が収容された構成の圧電振動デバイスの製造方法に対しても、本発明を適用することが可能である。この場合、ベース(第1部材)を底部の外周部に環状の壁部が設けられた箱型形状とし、環状の壁部の上面に第1金属膜を形成し、リッド(第2部材)の下面に環状の第2金属膜を形成し、第1金属膜及び第2金属膜を接合することによって、環状の封止用接合材を形成すればよい。なお、リッドは、平板状のものであってもよいし、平板状の部材の外周部に環状の壁部が設けられたキャップ状のものであってもよい。
【0130】
また、以上では、第1封止部材用ウエハと、水晶振動板用ウエハと、第2封止部材用ウエハとを積層することによって、水晶ウエハを形成し、当該水晶ウエハを個片化することによって、複数の水晶振動デバイスのパッケージを製造する製造方法について説明したが、これ以外の製造方法にも本発明を適用することが可能である。
【0131】
また、接合材11a,11b等の封止用接合材の外縁形状及び内縁形状を八角形としたが、これに限定されるものではなく、封止用接合材の外縁形状及び内縁形状を、例えば、矩形としてもよく、あるいは五角形や六角形等といった五角形以上の任意の多角形としてもよい。また、多角形に限られず、封止用接合材の外縁形状及び内縁形状を、湾曲部を含むような形状としてもよい。
【0132】
また、接合材11a,11b等の封止用接合材がパッケージ12の外周縁に対し、所定の間隔を隔てて配置されたが、パッケージ12の外周縁まで封止用接合材を形成するようにしてもよい。
【0133】
また、外部電極端子を、一外部電極端子431及び他外部電極端子432の2端子としたが、これに限定されるものではなく、外部電極端子を、例えば、4端子や、6端子、8端子等といった任意の数の端子としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明は、環状の封止用接合材によって圧電振動を行う振動部が気密封止された水晶振動子、水晶発振器等の圧電振動デバイスの製造方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0135】
10 水晶振動子
11a,11b 接合材(封止用接合材)
12 パッケージ
13 内部空間
2 水晶振動板(第1部材)
22 振動部
221 第1励振電極
222 第2励振電極
251 振動側第1接合パターン(第1金属膜)
252 振動側第2接合パターン(第1金属膜)
3 第1封止部材(第2部材)
321 封止側第1接合パターン(第2金属膜)
4 第2封止部材(第2部材)
421 封止側第2接合パターン(第2金属膜)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20