(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、当該電源装置が搭載された車両を走行可能状態に切り替える始動スイッチがオン状態になった場合に前記急速充電制御を行い、前記始動スイッチがオン状態になった後、所定条件が成立した場合に前記充放電制御を行う請求項1に記載の車両用電源装置。
前記制御部は、前記始動スイッチがオン状態になった後、当該電源装置が搭載された車両において少なくともシフト操作が行われた場合に前記充放電制御を行う請求項2に記載の車両用電源装置。
前記第3導電路に介在するとともに一端側が前記第2電圧変換部に電気的に接続され他端側が前記出力側の導電路に電気的に接続されオン状態とオフ状態とに切り替わるスイッチ部と、前記スイッチ部と並列に設けられるとともに前記第2電圧変換部にアノードが電気的に接続され前記出力側の導電路にカソードが電気的に接続されるダイオードとを備えた切替部を有し、
前記制御部は、前記スイッチ部をオン状態としつつ前記急速充電制御を行い、前記スイッチ部をオフ状態としつつ前記充放電制御を行う請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両用電源装置。
前記第1電圧変換部は、前記第1導電路に印加された電圧を昇圧又は降圧して前記第2電源部側の導電路に出力する充電動作と、前記第2電源部側の導電路に印加された電圧を昇圧又は降圧して前記第1導電路に出力する放電動作とを行い、
前記制御部は、前記第1電圧変換部に放電動作を行わせつつ前記第2電圧変換部に放電動作を行わせる急速放電制御を少なくとも行う請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の車両用電源装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の望ましい形態を以下に例示する。
制御部は、当該電源装置が搭載された車両を走行可能状態に切り替える始動スイッチがオン状態になった場合に急速充電制御を行い、始動スイッチがオン状態になった後、所定条件が成立した場合に充放電制御を行うように機能してもよい。
【0012】
この車両用電源装置は、始動スイッチがオン状態になった時点で第2電源部の出力電圧が相対的に低いレベルであったとしても、始動スイッチがオン状態になった後に急速に充電を行うことができるため、出力電圧をより迅速に上昇させることができる。つまり、始動スイッチがオン状態になった後、第2電源部を低レベル状態からより早期に回復させることができる。そして、急速充電制御の開始後、所定条件が成立した場合には、急速充電制御を早期に終了させて第1電源部の電力遮断に強い充放電制御(電力遮断が生じても、その時点で放電が維持される制御)に切り替えることができる。
【0013】
制御部は、始動スイッチがオン状態になった後、当該電源装置が搭載された車両において少なくともシフト操作が行われた場合に充放電制御を行うように機能してもよい。
【0014】
この車両用電源装置は、シフト操作が行われる前に急速充電制御を行うことができるため、車両が走行する前に第2電源部の出力電圧を迅速に上昇させ、第2電源部を低レベル状態からより早期に回復させることができる。そして、少なくともシフト操作が行われた後は、充放電制御に切り替えることができる。つまり、車両が走行状態になる可能性が生じた後には、第1電源部の電力遮断に強い制御(電力遮断が生じても、その時点で放電が維持される制御)に切り替えることで、走行時に電力が完全に途絶えること防ぐことができる。
【0015】
制御部は、始動スイッチがオン状態になった後、少なくとも一定時間が経過した場合に充放電制御を行うように機能してもよい。
【0016】
この車両用電源装置は、始動スイッチがオン状態になった後、一定時間が経過する前の初期段階では、急速充電制御を行うことができるため、第2電源部の出力電圧を迅速に上昇させ、第2電源部を低レベル状態からより早期に回復させることができる。そして、少なくとも一定時間が経過した後は、第1電源部の電力遮断に強い充放電制御(電力遮断が生じても、その時点で放電が維持される制御)に切り替えることができる。
【0017】
車両用電源装置は、第3導電路に介在するとともに一端側が第2電圧変換部に電気的に接続され他端側が出力側の導電路に電気的に接続されオン状態とオフ状態とに切り替わるスイッチ部と、スイッチ部と並列に設けられるとともに第2電圧変換部にアノードが電気的に接続され出力側の導電路にカソードが電気的に接続されるダイオードとを備えた切替部を有していてもよい。制御部は、スイッチ部をオン状態としつつ急速充電制御を行い、スイッチ部をオフ状態としつつ充放電制御を行うように機能してもよい。
【0018】
この車両用電源装置は、急速充電制御を行うときには、切替部のスイッチ部をオン状態とすることで、入力側の導電路から第2導電路及び第3導電路を介して第2電圧変換部に電流が流れ込むことを許容することができる。一方、充放電制御を行うときには、スイッチ部をオフ状態とすることで入力側の導電路から第2導電路及び第3導電路を介して第2電圧変換部に電流が流れ込むことを遮断しつつ、スイッチ部と並列に設けられたダイオードの存在により、第2電圧変換部から出力される電流を出力側の導電路に向けて流すことができる。
【0019】
車両用電源装置は、少なくとも入力側の導電路の電圧又は電流の異常を検出する異常検出部を備えていてもよい。制御部は、急速充電制御又は充放電制御が行われているときに異常検出部によって異常が検出された場合、第1電圧変換部の動作を停止させるとともに第2電圧変換部に放電動作を行わせる一方側放電制御を行うように機能してもよい。
【0020】
この車両用電源装置は、急速充電制御又は充放電制御が行われているときに異常検出部が異常を検出した場合、制御部が一方側放電制御を行う。この一方側放電制御により、第1電圧変換部の動作を停止させて保護を図りつつ、第2電圧変換部に放電動作を行わせて電力供給状態を維持することができる。特に、充放電制御が行われているときに入力側の導電路で異常が発生して一方側放電制御に切り替える場合、異常前後で第2電圧変換部の放電動作を継続することができるため、異常発生直後に電力供給が完全に途絶えるような事態が生じにくくなる。
【0021】
車両用電源装置は、入力側の導電路と第3導電路との間で電流が流れることを許容するオン状態と遮断するオフ状態とに切り替わる第2切替部を有していてもよい。制御部は、急速充電制御及び充放電制御を実行するときに第2切替部をオン状態とし、一方側放電制御を実行するとき第2切替部をオフ状態とするように機能してもよい。
【0022】
この車両用電源装置は、急速充電制御を行う場合には、第2切替部をオン状態(入力側の導電路と第3導電路との間で電流が流れることを許容する状態)とし、入力側の導電路から第2導電路及び第3導電路を介して第2電圧変換部に電流を供給することを可能とすることができる。一方、異常の発生に応じて一方側放電制御を行う場合、第2切替部をオフ状態とすることができるため、異常が生じている入力側の導電路に第2電圧変換部からの放電電流が流れ込んでしまうことを防ぐことができる。
【0023】
第1電圧変換部は、前記第1導電路に印加された電圧を昇圧又は降圧して前記第2電源部側の導電路に出力する充電動作と、前記第2電源部側の導電路に印加された電圧を昇圧又は降圧して前記第1導電路に出力する放電動作とを行うように構成されていてもよい。制御部は、前記第1電圧変換部に放電動作を行わせつつ前記第2電圧変換部に放電動作を行わせる急速放電制御を少なくとも行うように機能してもよい。
【0024】
この車両用電源装置は、必要に応じて第1電圧変換部及び第2電圧変換部のいずれにも放電動作を行わせることができるようになり、第2電源部を放電させる能力を高めたい場合に有利になる。
【0025】
車両用電源装置は、第2電源部の出力電圧を検出する電圧検出部を有していてもよい。制御部は、少なくとも電圧検出部によって検出される第2電源部の出力電圧が一定値以下である場合に急速放電制御を行うように機能してもよい。
【0026】
第2電源部の出力電圧が低下した場合に急速放電制御を行うようにすれば、第2電源部をより低い電圧範囲まで使えるようになる。よって、第2電源部の使用可能な電圧範囲を広げることができる。
【0027】
車両用電源装置は、入力側の導電路から分岐する複数の前記第1導電路を有していてもよい。そして、複数の前記第1電圧変換部が、各々の前記第1導電路と前記第2電源部側の導電路との間に並列に設けられた多相構成をなしていてもよい。
【0028】
この車両用電源装置は、複数の第1電圧変換部が並列に設けられた多相構成をなすため、充電能力を高めることができる。
【0029】
車両用電源装置は、複数の前記第3導電路を有していてもよい。そして、複数の前記第2電圧変換部が、前記第2電源部側の導電路と各々の前記第3導電路との間に並列に設けられた多相構成をなしていてもよい。
【0030】
この車両用電源装置は、複数の第2電圧変換部が並列に設けられた多相構成をなすため、放電能力を高めることができる。また、充放電制御時にいずれかの第2電圧変換部でオープン故障等が生じても、他の第2電圧変換部の放電動作によって電力供給が維持されやすくなる。
【0031】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1について説明する。
図1で示す車両用電源システム100は、第1電源部3と、第2電源部5と、車両用電源装置1(以下、電源装置1ともいう)とを備えた構成をなし、負荷に電力を供給し得るシステムとして構成されている。なお、第2電源部5は、電源装置1の一部として構成されていてもよく、電源装置1とは別体として設けられていてもよい。以下の説明では、第2電源部5が電源装置1の一部として構成された例を代表例として説明する。
【0032】
第1電源部3は、例えば、鉛蓄電池等の公知の蓄電手段によって構成され、所定電圧を発生させるとともに、入力側の導電路14に所定電圧を印加する構成をなす。第1電源部3の高電位側の端子は、第1電源部3からの電力経路となる入力側の導電路14に電気的に接続され、第1電源部3の低電位側の端子は、グラウンドに電気的に接続されている。
【0033】
第2電源部5は、例えば、電気二重層キャパシタ等の公知の蓄電手段によって構成されている。第2電源部5は、例えば、複数のキャパシタが直列に接続されたキャパシタ群として構成され、全体において最も低い電位となる端子は電流検出抵抗(抵抗器82A)を介してグラウンドに接続されている。また、第2電源部5において、最も高い電位となる端子は、第2電源部側の導電路24に電気的に接続されている。
【0034】
電源装置1は、主として、第1電圧変換部40、第2電圧変換部50、制御部60、第1導電路21、第2導電路22、第3導電路23、第2電源部側の導電路24、第2電源部5、半導体スイッチ71,72,73、電流検出回路81,82,83などを備え、図示しない基板にこれらが設けられて一体的なユニットとして構成されている。
【0035】
電源装置1は、第1電源部3によって入力側の導電路14に印加される電圧に基づき、出力側の導電路16に印加する出力電圧を生成する回路であり、入力側の導電路14に印加される電圧が一定レベル以上低下した場合には、第2電源部5によって第2電源部側の導電路24に印加される電圧に基づき、出力側の導電路16に印加する出力電圧を生成する回路として構成されている。なお、
図1では、入力側の導電路14のうち、電源装置1を構成する基板に設けられた配線を導電路14Bとし、電源装置1の外部に設けられた配線を導電路14Aとしている。また、出力側の導電路16のうち、電源装置1を構成する基板に設けられた配線を導電路16Bとし、電源装置1の外部に設けられた配線を導電路16Aとしている。
【0036】
電源装置1には、入力側の導電路14から分岐する第1導電路21及び第2導電路22と、第2導電路22から分岐する第3導電路23及び導電路16Bとが設けられている。
【0037】
第1導電路21は、入力側の導電路14と第1電圧変換部40とを接続する導電路であり、第1電圧変換部40の降圧動作時には入力側の導電路14の電圧が第1電圧変換部40の入力電圧となるように、入力側の導電路14の電圧をスイッチング素子41のドレインに印加する経路として機能する。また、第1電圧変換部40の昇圧動作時には、第1電圧変換部40の出力電圧が第2導電路22に印加されるように、出力電圧を伝達する経路として機能する。
【0038】
第2導電路22は、入力側の導電路14から第1導電路21とは異なる経路として分岐し、導電路16B(出力側の導電路16の一部)及び第3導電路23に電気的に接続されている。第2導電路22は、入力側の導電路14と、出力側の導電路16及び第3導電路23のそれぞれとを接続する導電路として機能する。
【0039】
第3導電路23は、第2導電路22及び出力側の導電路16と第2電圧変換部50とを接続する導電路であり、第2電圧変換部50の降圧動作時には第2導電路22の電圧に基づく入力電圧をスイッチング素子51のドレインに印加する経路として機能する。また、第2電圧変換部50の昇圧動作時には、第2電圧変換部50の出力電圧に基づく電圧が出力側の導電路16に印加されるように、出力電圧を伝達する経路として機能する。
【0040】
第2電源部側の導電路24(第4導電路)は、第1電圧変換部40のインダクタ43と、第2電圧変換部50のインダクタ53と、第2電源部5の高電位側の端子とを接続する導電路であり、第2電源部5の出力電圧(充電電圧)が印加される導電路である。
【0041】
半導体スイッチ71,72は、例えばNチャネル型のMOSFETとして構成されている。半導体スイッチ71,72,第2切替部の一例に相当し、入力側の導電路14と第3導電路23との間で電流が流れることを許容するオン状態と遮断するオフ状態とに切り替わるように機能する。具体的には、半導体スイッチ71,72がいずれもオン状態であれば、入力側の導電路14と第3導電路23との間が通電可能となり、半導体スイッチ71,72がいずれもオフ状態であれば、入力側の導電路14と第3導電路23との間が通電可能となる。半導体スイッチ71は、入力側の導電路14の一部をなす導電路14Bに介在し、ドレインが第1電源部3に電気的に接続され、ソースが第1導電路21及び第2導電路22に電気的に接続されており、オフ状態のときには、第1導電路21及び第2導電路22から第1電源部3側に電流が流れることが遮断される。オン状態のときには、導電路14Bにおける双方向の通電を許容する。半導体スイッチ72は、第2導電路22に介在し、ドレインが出力側の導電路16及び第3導電路23に電気的に接続され、ソースが第1導電路21及び第2導電路22に電気的に接続されており、オフ状態のときには、入力側の導電路14及び第1導電路21から出力側の導電路16及び第3導電路23に電流が流れることが遮断される。オン状態のときには、第2導電路22における双方向の通電を許容する。
【0042】
半導体スイッチ73は、例えばNチャネル型のMOSFETとして構成されている。半導体スイッチ73は、切替部の一例に相当し、第3導電路23の双方向の通電を許容するオン状態と、第3導電路23において第2電圧変換部50側に向かう方向の通電を遮断するオフ状態とに切り替わる構成をなす。半導体スイッチ73において、ボディダイオード73A(以下、ダイオード73Aともいう)を除いた部分がスイッチ部73Bであり、スイッチ部73Bは、第3導電路23に介在するとともに一端側が第2電圧変換部50に電気的に接続され他端側が出力側の導電路16に電気的に接続されオン状態とオフ状態とに切り替わる構成をなす。スイッチ部73Bがオン状態のときには、第3導電路23において双方向の通電が許容される。ダイオード73Aは、スイッチ部73Bと並列に設けられるとともに第2電圧変換部50にアノードが電気的に接続され出力側の導電路16にカソードが電気的に接続された構成をなす。
【0043】
第1電圧変換部40は、同期整流方式の単相型DCDCコンバータであり、第1導電路21と第2電源部側の導電路24との間に設けられている。第1電圧変換部40は、第1導電路21に印加された電圧を入力電圧とし、この入力電圧を降圧して第2電源部5に接続された第2電源部側の導電路24に出力する機能(充電動作を行う機能)と、第2電源部側の導電路24に印加された電圧を入力電圧とし、この入力電圧を昇圧して第1導電路21に出力する機能(放電動作を行う機能)とを有する昇降圧型且つ双方向型のDCDCコンバータとして機能する。
【0044】
第1電圧変換部40は、Nチャネル型のMOSFETとして構成されるハイサイド側のスイッチング素子41及びローサイド側のスイッチング素子42と、インダクタ43と、コンデンサ44とを備える。スイッチング素子41及びスイッチング素子42は、第1導電路21とグラウンドとの間に直列に接続され、スイッチング素子41のドレインは第1導電路21に接続され、第1導電路21の電圧が印加される。スイッチング素子41のソースは、ローサイド側のスイッチング素子42のドレイン及びインダクタ43の一端が接続されている。スイッチング素子42のソースは、抵抗器83Aを介してグラウンドに接続されている。スイッチング素子41のゲートには、制御部60に設けられた駆動回路からのPWM信号により、駆動信号(オン信号)及び非駆動信号(オフ信号)が入力され、駆動回路からの信号に応じてスイッチング素子41がオン状態とオフ状態とに切り替わる。同様に、スイッチング素子42のゲートにも、駆動回路からのPWM信号により駆動信号(オン信号)及び非駆動信号(オフ信号)が入力され、駆動回路からの信号に応じてスイッチング素子42がオン状態とオフ状態とに切り替わる。
【0045】
制御部60に設けられた駆動回路は、スイッチング素子41,42夫々を各制御周期で交互にオンするためのオン信号を、スイッチング素子41,42のゲートに印加する。スイッチング素子41のゲートには、スイッチング素子42のゲートに与えられるオン信号に対して位相が略反転しており且つ所謂デッドタイムが確保されたオン信号が与えられる。
【0046】
第2電圧変換部50は、同期整流方式の単相型DCDCコンバータであり、第3導電路23と第2電源部側の導電路24との間に設けられている。第2電圧変換部50は、第3導電路23に印加された電圧を入力電圧とし、この入力電圧を降圧して第2電源部側の導電路24に出力する機能(充電動作を行う機能)と、第2電源部側の導電路24に印加された電圧を入力電圧とし、この入力電圧を昇圧して第3導電路23に出力する機能(放電動作を行う機能)とを有する昇降圧型且つ双方向型のDCDCコンバータとして機能する。
【0047】
第2電圧変換部50は、Nチャネル型のMOSFETとして構成されるハイサイド側のスイッチング素子51及びローサイド側のスイッチング素子52と、インダクタ53と、コンデンサ54とを備える。スイッチング素子51及びスイッチング素子52は、第3導電路23とグラウンドとの間に直列に接続され、スイッチング素子51のドレインは第3導電路23に接続され、第3導電路23の電圧が印加される。スイッチング素子51のソースは、ローサイド側のスイッチング素子52のドレイン及びインダクタ53の一端が接続されている。スイッチング素子52のソースは、抵抗器83Aを介してグラウンドに接続されている。スイッチング素子51のゲートには、制御部60に設けられた駆動回路からのPWM信号により、駆動信号(オン信号)及び非駆動信号(オフ信号)が入力され、駆動回路からの信号に応じてスイッチング素子51がオン状態とオフ状態とに切り替わる。同様に、スイッチング素子52のゲートにも、駆動回路からのPWM信号により駆動信号(オン信号)及び非駆動信号(オフ信号)が入力され、駆動回路からの信号に応じてスイッチング素子52がオン状態とオフ状態とに切り替わる。
【0048】
制御部60に設けられた駆動回路は、スイッチング素子51,52夫々を各制御周期で交互にオンするためのオン信号を、スイッチング素子51,52のゲートに印加する。スイッチング素子51のゲートには、スイッチング素子52のゲートに与えられるオン信号に対して位相が略反転しており且つ所謂デッドタイムが確保されたオン信号が与えられる。
【0049】
制御部60は、例えばマイクロコンピュータとして構成される制御回路と、制御回路から発せられるPWM信号に基づいて各スイッチング素子41,42,51,52に対するPWM信号を出力する駆動回路とを備える。制御部60に設けられた制御回路は。様々な演算を行い得るCPU、プログラム等の情報を記憶するROM、一時的に発生した情報を記憶するRAM、アナログの電圧をデジタル値に変換するA/D変換器などを備え、CPUは、ROM、RAM、A/D変換器と互いにバス接続されている。
【0050】
電流検出回路81は、抵抗器81A及び差動増幅器81Bを有する。抵抗器81Aに生じた電圧降下は、差動増幅器81Bで増幅されて出力電流に応じた検出電圧となり、A/D変換器でデジタル値に変換される。電流検出回路82は、抵抗器82A及び差動増幅器81Bを有する。抵抗器82Aに生じた電圧降下は、差動増幅器82Bで増幅されて出力電流に応じた検出電圧となり、A/D変換器でデジタル値に変換される。電流検出回路83は、抵抗器83A及び差動増幅器83Bを有する。抵抗器83Aに生じた電圧降下は、差動増幅器81Bで増幅されて出力電流に応じた検出電圧となり、A/D変換器でデジタル値に変換される。
【0051】
制御部60内のA/D変換器には、電流検出回路81〜83からの検出電圧が入力され、これらの電圧がA/D変換器によってデジタル値に変化されるため、制御部60内の制御回路は、抵抗器81A,82A,83Aが設けられた各位置の電流を検出し得る。また、制御部60内のA/D変換器には、入力側の導電路14、第2電源部側の導電路24、第3導電路23のそれぞれの電圧が入力され、これらの電圧がA/D変換器によってデジタル値に変化されるため、制御部60内の制御回路は、各位置の電圧を検出し得る。なお、
図1の例では、入力側の導電路14、第2電源部側の導電路24、第3導電路23のそれぞれの電圧を直接的に制御部60に入力する構成を例示しているが、入力側の導電路14、第2電源部側の導電路24、第3導電路23のそれぞれの電圧を分圧する分圧回路を設け、それぞれの電圧を分圧した電圧を制御部60に入力する構成であってもよい。
【0052】
制御部60は、第1電圧変換部40を同期整流方式の昇降圧型コンバータとして機能させ、降圧動作を行う場合には、ローサイド側のスイッチング素子42のオン動作とオフ動作との切り替えを、ハイサイド側のスイッチング素子41の動作と同期させて行うことで、第1導電路21に印加された直流電圧を降圧し、第2電源部側の導電路24に出力する。第2電源部側の導電路24の出力電圧は、スイッチング素子41のゲートに与えるPWM信号のデューティ比に応じて定まる。制御部60は、降圧動作を行う場合、第2電源部側の導電路24に印加される出力電圧と予め定められた目標電圧との偏差に基づいて、出力電圧を目標電圧に近づけるように公知のフィードバック演算方式(例えば、PID演算方式)でフィードバック演算を行い、PWM信号のデューティを調整する。
【0053】
制御部60は、第1電圧変換部40で昇圧動作を行う場合、第1導電路21に印加される出力電圧と予め定められた目標電圧との偏差に基づいて、出力電圧を目標電圧に近づけるように公知のフィードバック演算方式(例えば、PID演算方式)でフィードバック演算を行い、PWM信号のデューティを調整する。
【0054】
また、制御部60は、第2電圧変換部50を同期整流方式の昇降圧型コンバータとして機能させ、降圧動作を行う場合には、ローサイド側のスイッチング素子52のオン動作とオフ動作との切り替えを、ハイサイド側のスイッチング素子51の動作と同期させて行うことで、第3導電路23に印加された直流電圧を降圧し、第2電源部側の導電路24に出力する。第2電源部側の導電路24の出力電圧は、スイッチング素子51のゲートに与えるPWM信号のデューティ比に応じて定まる。制御部60は、昇圧動作を行う場合、第2電源部側の導電路24に印加される出力電圧と予め定められた目標電圧との偏差に基づいて、出力電圧を目標電圧に近づけるように公知のフィードバック演算方式(例えば、PID演算方式)でフィードバック演算を行い、PWM信号のデューティを調整する。
【0055】
制御部60は、第2電圧変換部50で昇圧動作を行う場合、第3導電路23に印加される出力電圧と予め定められた目標電圧との偏差に基づいて、出力電圧を目標電圧に近づけるように公知のフィードバック演算方式(例えば、PID演算方式)でフィードバック演算を行い、PWM信号のデューティを調整する。
【0056】
なお、PID方式でフィードバック演算を行うときの比例ゲイン、微分ゲイン、積分ゲインの設定方法は限定されず、様々に設定することができる。
【0057】
本構成では、制御部60は、急速充電制御、充放電制御、一方側放電制御、急速放電制御の4つの制御を少なくとも行い得る。急速充電制御は、第1電圧変換部40に充電動作を行わせるとともに第2電圧変換部50に充電動作を行わせる制御である。充放電制御は、第1電圧変換部40に充電動作を行わせるとともに第2電圧変換部50に放電動作を行わせる制御である。一方側放電制御は、第1電圧変換部40の動作を停止させるとともに第2電圧変換部50に放電動作を行わせる制御である。急速放電制御は、第1電圧変換部40に放電動作を行わせつつ第2電圧変換部50に放電動作を行わせる制御である。
【0058】
次に、電源装置1で実行される具体的な制御の流れを説明する。
図2で示す制御は、例えば、当該電源装置1が搭載された車両を走行可能状態に切り替える始動スイッチがオン状態になった場合に実行される処理である。具体的には、車両に設けられた図示しないイグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り替わった場合に、電源装置1の外部に設けられた装置(外部ECUなど)からイグニッションスイッチがオン状態であることを示すイグニッションオン信号(以下IGオン信号ともいう)が制御部60に入力され、イグニッションスイッチがオフ状態になった場合には、イグニッションスイッチがオフ状態であることを示すイグニッションオフ信号(以下IGオフ信号ともいう)が制御部60に入力されるようになっている。つまり、イグニッションスイッチが始動スイッチの一例に相当し、イグニッションスイッチがオン状態になった場合が、「始動スイッチがオン状態になった場合」の一例に相当する。
【0059】
制御部60は、イグニッションスイッチがオン状態に切り替わることに応じて
図2の制御を開始した場合、まず、ステップS1の処理を実行し、電源装置1を動作させるモードを急速充電モードとする。この急速充電モードとは、制御部60が急速充電制御を行うモードである。急速充電制御中には、制御部60は、半導体スイッチ71,72をいずれもオン状態で維持するとともに半導体スイッチ73もオン状態で維持し、このようなスイッチ状態で、
図3のように第1電圧変換部40及び第2電圧変換部50のいずれにも、第2電源部5に充電電流を供給する充電動作を行わせる。具体的には、第1導電路21の電圧を降圧して第2電源部側の導電路24に出力するように第1電圧変換部40を降圧動作させ、第3導電路23の電圧を降圧して第2電源部側の導電路24に出力するように第2電圧変換部50を降圧動作させる。このような急速充電制御中には、第1電圧変換部40及び第2電圧変換部50によって第2電源部5に対して充電電流が供給され、相対的に大きな充電電流が供給されるため、充電電圧の上昇速度が大きくなる。
【0060】
このように、制御部60は、電源装置1が搭載された車両を走行可能状態に切り替える始動スイッチ(具体的には、イグニッションスイッチ)がオン状態になった場合に急速充電制御を行い、この急速充電制御を、所定の終了条件が成立するまで(急速充電終了トリガがあるまで)継続する。
【0061】
制御部60は、ステップS1にて急速充電モードとし、急速充電制御を開始した後、ステップS2にて所定の終了条件が成立したか否か(急速充電終了トリガがあったか否か)を判定する。本構成では、電源装置1が搭載された車両においてシフト操作があった場合、又はイグニッションスイッチ(始動スイッチ)がオン状態になってから一定時間が経過した場合が、「所定の終了条件」として定められている。制御部60は、ステップS2にて終了条件が成立していないと判定した場合、即ち、電源装置1が搭載された車両においてシフト操作がなく且つイグニッションスイッチ(始動スイッチ)がオン状態になってから一定時間が経過していない場合(ステップS2にてNoの場合)、ステップS1にて急速充電モードを継続する。
【0062】
制御部60は、ステップS2の処理で終了条件が成立したと判定した場合、即ち、電源装置1が搭載された車両においてシフト操作があった場合、又はイグニッションスイッチ(始動スイッチ)がオン状態になってから一定時間が経過した場合(ステップS2にてYesの場合)、ステップS3の処理を行い、急速充電モードから通常充電モード(充放電モード)に切り替える。つまり、制御部60は、イグニッションスイッチ(始動スイッチ)がオン状態になった後に電源装置1が搭載された車両においてシフト操作が行われた場合、又は始動スイッチがオン状態になった後に一定時間が経過した場合に充放電制御を行う。
【0063】
本構成では、電源装置1の外部に設けられた外部装置(例えば、シフトバイワイヤECUなど)から電源装置1に対してシフトレンジを示す信号が入力されるようになっており、「イグニッションスイッチがオン状態になった後、電源装置1に対して新たなシフトレンジを示す信号が入力された場合」が「シフト操作があった場合」の一例に相当する。例えば、イグニッションスイッチがオン状態になった直後にシフトレンジがPレンジにあることを示すPレンジ信号が電源装置1に入力されており、イグニッションスイッチ(始動スイッチ)がオン状態になってから一定時間が経過する前にシフトレンジがDレンジにあることを示すDレンジ信号が電源装置1に入力された場合、制御部60は、シフト操作があったと判定し、ステップS2でYesに進むことになる。
【0064】
ステップS3で設定される通常充電モード(充放電モード)とは、制御部60が充放電制御を行うモードである。制御部60は、通常充電モード(充放電モード)中に、半導体スイッチ71,72をいずれもオン状態で維持し、半導体スイッチ73はオフ状態とする。このようなスイッチ状態で、
図4のように第1電圧変換部40に対し第2電源部5に充電電流を供給させる充電動作(降圧動作)を行わせつつ第2電圧変換部50に対し放電電流を流す放電動作(昇圧動作)を行わせる。具体的には、第1導電路21の電圧を降圧して第2電源部側の導電路24に出力するように第1電圧変換部40を降圧動作させ、第2電源部側の導電路24の電圧を昇圧して第3導電路23に出力するように第2電圧変換部50を昇圧動作させる。
【0065】
制御部60は、
図3のように急速充電制御を行う場合には、半導体スイッチ73をオフ状態(即ち、スイッチ部73Bをオン状態)で維持するが、
図4のように充放電制御を行う場合には、半導体スイッチ73をオン状態(即ち、スイッチ部73Bをオン状態)で維持する。つまり、充放電制御中には、第2導電路22側から第3導電路23を介して第2電圧変換部50側に電流が流れ込むことが遮断され、第2電圧変換部50から第3導電路23に出力される電流が、ボディダイオード73Aを介して出力側の導電路16に流れるようになる。
【0066】
制御部60は、ステップS3で通常充電モード(充放電モード)に設定した後、ステップS4でバックアップトリガが生じたか否か(具体的には、入力側の導電路14からの電力供給の異常が生じたか否か)を判定する。本構成では、制御部60に入力側の導電路14の電圧が入力されるようになっており、制御部60は、入力側の導電路14の電圧を監視している。制御部60は、ステップS4において、入力側の導電路14の電圧が第1閾値電圧以下であるか否かを判定し、入力側の導電路14の電圧が第1閾値電圧以下であると判定した場合(バックアップトリガが生じたと判定し、ステップS4でYesとなる場合)、ステップS6の処理を行う。
【0067】
制御部60は、ステップS4において、入力側の導電路14の電圧が第1閾値電圧を超えていると判定した場合(バックアップトリガが生じていないと判定し、ステップS4でNoとなる場合)、ステップS5において充電終了条件が成立しているか否か(例えば、第2電源部5の充電電圧が充電閾値電圧に達しているか否か)を判定する。制御部60は、ステップS5において充電終了条件が成立していないと判定した場合(ステップS5でNoの場合)、ステップS3以降の処理を行う。
【0068】
制御部60は、ステップS5において充電終了条件が成立していると判定した場合(ステップS5でYesの場合)、上述した充放電制御(
図4)を終了し、第1電圧変換部40及び第2電圧変換部50の動作を停止させる。この場合、充放電制御を終了した後は、例えば、半導体スイッチ71、72をオン状態で維持したまま、半導体スイッチ73をオフ状態で維持する。
【0069】
制御部60は、ステップS4において入力側の導電路14の電圧が第1閾値電圧以下であると判定し、ステップS6の処理を行う場合、第1バックアップモード(一方側放電モード)とする。この第1バックアップモード(一方側放電モード)とは、制御部60が一方側放電制御を行うモードである。制御部60は、一方側放電制御を行う場合、半導体スイッチ71,72をいずれもオフ状態で維持するとともに半導体スイッチ73をオン状態で維持する。これにより、第1導電路21及び第2導電路22から入力側の導電路14に向けて電流が流れることが遮断され、入力側の導電路14及び第1導電路21から出力側の導電路16に向けて電流が流れることも遮断される。このようなスイッチ状態で、
図5のように第1電圧変換部40の動作を停止させつつ第2電圧変換部50に対し放電電流を流す放電動作(昇圧動作)を行わせる。具体的には、第1電圧変換部40のスイッチング素子41、42をオフ状態で維持しつつ、第2電源部側の導電路24の電圧を昇圧して第3導電路23に出力するように第2電圧変換部50を昇圧動作させる。
【0070】
このように、上述した充放電制御によって第2電源部5が充電されている最中に地絡や断線などによって入力側の導電路14の電圧低下が生じても、一方側放電制御を行うことで第2電源部5をバックアップ電源として作動させることができる。しかも、制御部60が制御を充放電制御から一方側放電制御に切り替える前後で第2電圧変換部50の放電を途絶えさせることなく維持することができるため、入力側の導電路14の異常の検知からバックアップ動作を行うまでの間に電力が途絶える空白期間が生じなくなる。
【0071】
本構成では、制御部60が異常検出部の一例に相当し、少なくとも入力側の導電路14の電圧の異常(具体的には、入力側の導電路14の電圧が第1閾値電圧以下に低下する異常)を検出する機能を有する。そして、制御部60は、ステップS3でのモード設定によって充放電制御が行われているときに異常が検出された場合、ステップS6にて第1バックアップモードに切り替え、第1電圧変換部40の動作を停止させるとともに第2電圧変換部50に放電動作を行わせる一方側放電制御を行う。
【0072】
制御部60は、ステップS6で第1バックアップモード(一方側放電モード)に設定した後、ステップS7において急速放電トリガが生じたか否か(具体的には、第2電源部5の出力電圧が第2閾値電圧以下に低下したか否か)を判定する。本構成では、制御部60に第2電源部側の導電路24の電圧が入力されるようになっており、制御部60は、第2電源部側の導電路24の電圧を監視している。制御部60は、ステップS7において、第2電源部側の導電路24の電圧が第2閾値電圧以下であるか否かを判定し、第2電源部側の導電路24の電圧が第2閾値電圧以下であると判定した場合(急速放電トリガが生じたと判定し、ステップS7でYesとなる場合)、ステップS8の処理を行う。一方、制御部60は、ステップS7において第2電源部側の導電路24の電圧が第2閾値電圧以下でない判定した場合(ステップS7でNoとなる場合)、ステップS6の設定(第1バックアップモードの設定)を維持し、上述した一方側放電制御を継続する。
【0073】
制御部60は、ステップS7において第2電源部側の導電路24の電圧が第2閾値電圧以下であると判定した場合、ステップS8において第2バックアップモード(急速放電モード)とする。この第2バックアップモード(急速放電モード)とは、制御部60が急速放電制御を行うモードである。制御部60は、急速放電制御を行う場合、半導体スイッチ71をオフ状態としつつ、半導体スイッチ72,73をいずれもオン状態で維持する。これにより、第1導電路21及び第2導電路22から入力側の導電路14に向けて電流が流れることが遮断されつつ、第1導電路21と出力側の導電路16との間が導通状態となる。このようなスイッチ状態で、
図6のように第1電圧変換部40及び第2電圧変換部50に対し放電電流を流す放電動作(昇圧動作)を行わせる。具体的には、第2電源部側の導電路24の電圧を昇圧して第1導電路21に出力するように第1電圧変換部40を昇圧動作させ、第2電源部側の導電路24の電圧を昇圧して第3導電路23に出力するように第2電圧変換部50を昇圧動作させる。
【0074】
本構成では、制御部60が電圧検出部の一例に相当し、第2電源部5の出力電圧を検出するように機能する。そして、制御部60は、少なくとも電圧検出部によって検出される第2電源部5の出力電圧が一定値以下である場合に急速放電制御を行うように機能する。
【0075】
なお、
図2では省略して示したが、
図2の制御において、急速充電モード中(即ち、急速充電制御が行われている最中)に入力側の導電路14の電圧が第1閾値電圧以下であるか否かを継続的に判定し、入力側の導電路14の電圧が第1閾値電圧以下であると判定した場合、ステップS6以降の処理を行うようにすればよい。また、
図2では省略して示したが、ステップS5において充電終了と判定し、第1電圧変換部40及び第2電圧変換部50の動作を停止させた場合、イグニッションスイッチがオフ状態に切り替わる前までは、入力側の導電路14の電圧が第1閾値電圧以下であるか否かを継続的に判定し、入力側の導電路14の電圧が第1閾値電圧以下であると判定した場合、ステップS6以降の処理を行うようにすればよい。
【0076】
以下、本構成の効果を例示する。
電源装置1は、制御部60が急速充電制御を行う場合に、
図3のように第1電圧変換部40及び第2電圧変換部50のいずれにも充電動作を行わせることができる。このような急速充電制御によって第2電源部5の充電時間をより短くすることができるため、第2電源部5の充電電圧を早期に適正レベルまで高めやすくなるとともに、電力供給が途絶えるタイミングが急速充電制御中に到来してしまうような事態は生じにくくなる。
【0077】
また、制御部60が充放電制御を行う場合には、
図4のように第1電圧変換部40に充電動作を行わせ、第2電圧変換部50に放電動作を行わせることができる。つまり、
図4のような充放電制御中には、第1電圧変換部40によって第2電源部5の充電動作を行いつつ、第2電圧変換部50によって第2電源部5の放電動作を継続することができるため、仮に、充放電制御による充電中に第1電源部3からの電力供給が遮断されても、その遮断前後で第2電源部5の放電状態が継続的に維持される。
【0078】
そして、このように「充電中に第1電源部3の電力供給が途絶える問題」に関して有利な2つの制御を使い分けることができるため、上記問題に対して対策しつつ、第2電源部5を充電する上での自由度を高めることができる。
【0079】
図2のように、制御部60は、電源装置1が搭載された車両を走行可能状態に切り替えるイグニッションスイッチ(始動スイッチ)がオン状態になった場合に急速充電制御を行い、イグニッションスイッチがオン状態になった後、所定条件が成立した場合に充放電制御を行うように機能する。このように構成された電源装置1は、イグニッションスイッチがオン状態になった時点で第2電源部5の出力電圧が相対的に低いレベルであったとしても、イグニッションスイッチがオン状態になった後に急速に充電を行うことができるため、出力電圧をより迅速に上昇させることができる。つまり、イグニッションスイッチがオン状態になった後、第2電源部5を低レベル状態からより早期に回復させることができる。そして、急速充電制御の開始後、所定条件が成立した場合には、急速充電制御を早期に終了させて第1電源部3の電力遮断に強い充放電制御(電力遮断が生じても、その時点で放電が維持される制御)に切り替えることができる。
【0080】
また、制御部60は、イグニッションスイッチ(始動スイッチ)がオン状態になった後、電源装置1が搭載された車両において少なくともシフト操作が行われた場合に充放電制御を行う。このように構成された電源装置1は、シフト操作が行われる前に急速充電制御を行うことができるため、車両が走行する前に第2電源部5の出力電圧を迅速に上昇させ、第2電源部5を低レベル状態からより早期に回復させることができる。そして、少なくともシフト操作が行われた後は、充放電制御に切り替えることができる。つまり、車両が走行状態になる可能性が生じた後には、第1電源部3の電力遮断に強い制御(電力遮断が生じても、その時点で放電が維持される制御)に切り替えることで、走行時に電力が完全に途絶えること防ぐことができる。
【0081】
また、制御部60は、イグニッションスイッチ(始動スイッチ)がオン状態になった後、少なくとも一定時間が経過した場合に充放電制御を行う。このように構成された電源装置1は、イグニッションスイッチがオン状態になった後、一定時間が経過する前の初期段階では、急速充電制御を行うことができるため、第2電源部5の出力電圧を迅速に上昇させ、第2電源部5を低レベル状態からより早期に回復させることができる。そして、少なくとも一定時間が経過した場合には早期に充放電制御を終了させて第1電源部3の電力遮断に強い充放電制御(電力遮断が生じても、その時点で放電が維持される制御)に切り替えることができる。
【0082】
電源装置1は、第3導電路23に介在するとともに一端側が第2電圧変換部50に電気的に接続され他端側が出力側の導電路16に電気的に接続されオン状態とオフ状態とに切り替わるスイッチ部73Bと、スイッチ部73Bと並列に設けられるとともに第2電圧変換部50にアノードが電気的に接続され出力側の導電路16にカソードが電気的に接続されるダイオード73Aとを備えた半導体スイッチ73(切替部)を有する。制御部60は、スイッチ部73Bをオン状態としつつ急速充電制御を行い、スイッチ部73Bをオフ状態としつつ充放電制御を行う。このように構成された電源装置1は、急速充電制御を行うときには、半導体スイッチ73(切替部)のスイッチ部73Bをオン状態とすることで、入力側の導電路14から第2導電路22及び第3導電路23を介して第2電圧変換部50に電流が流れ込むことを許容することができる。一方、充放電制御を行うときには、スイッチ部73Bをオフ状態とすることで入力側の導電路14から第2導電路22及び第3導電路23を介して第2電圧変換部50に電流が流れ込むことを遮断しつつ、スイッチ部73Bと並列に設けられたダイオード73Aの存在により、第2電圧変換部50から出力される電流を出力側の導電路16に向けて流すことができる。
【0083】
電源装置1は、少なくとも入力側の導電路14の電圧の異常を検出する異常検出部を備える。制御部60は、急速充電制御又は充放電制御が行われているときに異常検出部によって異常が検出された場合、第1電圧変換部40の動作を停止させるとともに第2電圧変換部50に放電動作を行わせる一方側放電制御を行う。
【0084】
このように構成された電源装置1は、急速充電制御又は充放電制御が行われているときに異常検出部が異常を検出した場合、制御部60が一方側放電制御を行うため、第1電圧変換部40の動作を停止させて保護を図りつつ、第2電圧変換部50に放電動作を行わせて電力供給状態を維持することができる。特に、充放電制御が行われているときに入力側の導電路14で異常が発生して一方側放電制御に切り替える場合、異常前後で第2電圧変換部50の放電動作を継続することができるため、異常発生直後に電力供給が完全に途絶えるような事態が生じにくくなる。
【0085】
電源装置1は、入力側の導電路14と第3導電路23との間で電流が流れることを許容するオン状態と遮断するオフ状態とに切り替わる半導体スイッチ71,72(第2切替部)を有する。制御部60は、急速充電制御及び充放電制御を実行するときに半導体スイッチ71,72(第2切替部)をオン状態とし、一方側放電制御を実行するとき半導体スイッチ71,72(第2切替部)をオフ状態とする。
【0086】
この電源装置1は、急速充電制御を行う場合には、半導体スイッチ71,72(第2切替部)をオン状態(入力側の導電路14と第3導電路23との間で電流が流れることを許容する状態)とし、入力側の導電路14から第2導電路22及び第3導電路23を介して第2電圧変換部50に電流を供給することを可能とすることができる。一方、異常の発生に応じて一方側放電制御を行う場合、半導体スイッチ71,72(第2切替部)をオフ状態とすることができるため、異常が生じている入力側の導電路14に第2電圧変換部50からの放電電流が流れ込んでしまうことを防ぐことができる。
【0087】
第1電圧変換部40は、第1導電路21に印加された電圧を降圧して第2電源部側の導電路24に出力する充電動作と、第2電源部側の導電路24に印加された電圧を昇圧して第1導電路21に出力する放電動作とを行い得る。そして、制御部60は、第1電圧変換部40に放電動作を行わせつつ第2電圧変換部50に放電動作を行わせる急速放電制御を行い得る。この電源装置1は、必要に応じて第1電圧変換部40及び第2電圧変換部50のいずれにも放電動作を行わせることができるようになり、第2電源部5を放電させる能力を高めたい場合に有利になる。
【0088】
電源装置1は、第2電源部5の出力電圧を検出する電圧検出部を有する。制御部60は、少なくとも電圧検出部によって検出される第2電源部5の出力電圧が一定値(第2閾値電圧)以下である場合に急速放電制御を行うように機能する。本構成のように、第2電源部5の出力電圧が低下した場合に急速放電制御を行うようにすれば、第2電源部5をより低い電圧範囲まで使えるようになる。よって、第2電源部5の使用可能な電圧範囲を広げることができる。
【0089】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0090】
実施例1では、第1電圧変換部40は、第1導電路21に印加される電圧を降圧して第2電源部側の導電路24に印加する降圧動作と、第2電源部側の導電路24に印加される電圧を昇圧して第1導電路21に印加する昇圧動作とを行い得る構成であったが、実施例1又は実施例1を変更したいずれの例においても、第2電源部5の出力電圧が第1電源部3の出力電圧よりも大きい構成では、第1電圧変換部40は、第1導電路21に印加される電圧を昇圧して第2電源部側の導電路24に印加する昇圧動作(充電動作)と、第2電源部側の導電路24に印加される電圧を降圧して第1導電路21に印加する降圧動作(放電動作)とを行い得る構成とすればよい。同様に、第2電圧変換部50は、第3導電路23に印加される電圧を昇圧して第2電源部側の導電路24に印加する昇圧動作(充電動作)と、第2電源部側の導電路24に印加される電圧を降圧して第3導電路23に印加する降圧動作(放電動作)とを行い得る構成とすればよい。
【0091】
実施例1では、第1電圧変換部40及び第2電圧変換部50のそれぞれが単相型のDCDCコンバータとして構成された例を示したが、実施例1又は実施例1を変更したいずれの例においても、いずれか一方側又は両側を多相型のDCDCコンバータとしてもよい。例えば、
図1で示す第1電圧変換部40を複数設けた多相構造とする場合、各第1電圧変換部40のスイッチング素子41のドレイン及びコンデンサ44の一端をそれぞれ第1導電路21に電気的に接続し、各第1電圧変換部40のインダクタ43の一端をそれぞれ第2電源部側の導電路24に電気的に接続し、各第1電圧変換部40のコンデンサ44の他端及びスイッチング素子42のソースをそれぞれ抵抗器83Aの一端(グラウンドとは反対側の端部)に電気的に接続するように並列に接続すればよい。また、
図1で示す第2電圧変換部50を複数設けた多相構造とする場合、各第2電圧変換部50のスイッチング素子51のドレイン及びコンデンサ54の一端をそれぞれ第3導電路23に電気的に接続し、各第2電圧変換部50のインダクタ43の一端をそれぞれ第2電源部側の導電路24に電気的に接続し、各第2電圧変換部50のコンデンサ54の他端及びスイッチング素子52のソースをそれぞれ抵抗器83Aの一端に電気的に接続するように並列に接続すればよい。
【0092】
実施例1では、第1電圧変換部40及び第2電圧変換部50のいずれもが同期整流式のDCDCコンバータとして構成された例を示したが、実施例1又は実施例1を変更したいずれの例においても、一部のスイッチング素子をダイオードに置き換えたダイオード方式のDCDCコンバータとしてもよい。
【0093】
実施例1では、イグニッションオン信号によってイグニッションスイッチ(始動スイッチ)がオン状態になったことを検出する構成を例示したが、実施例1又は実施例1を変更したいずれの例においても、イグニッションスイッチがオン状態になったことを特定できる構成であればよい。例えば、CANなどの車載通信システムが通信可能になった場合を始動スイッチがオン状態になった場合としてもよい。
【0094】
また、始動スイッチはイグニッションスイッチに限定されず、例えば電気自動車などの場合には、電気自動車のシステム(EVシステム)であってもよい。
【0095】
半導体スイッチ71,72,73やスイッチング素子41,42、51,52として、Nチャネル型のMOSFETとして構成されるスイッチング素子を例示したが、実施例1又は実施例1を変更したいずれの例においても、Pチャネル型のMOSFETであってもよいし、バイポーラトランジスタやIGBT等の他のスイッチング素子であってもよく、一部を機械式のリレーに置き換えてもよい。
【0096】
実施例1では、
図2で示すステップS4において、異常検出部に相当する制御部60が入力側の導電路14の電圧低下を検出した場合に異常と判定したが、実施例1又は実施例1を変更したいずれの例においても、入力側の導電路14の電圧が所定の過電圧閾値を超えた状態となる過電圧状態を検出した場合に異常と判定してもよく、入力側の導電路14の電流が所定の過電流閾値を超えた状態となる過電流状態を検出した場合に異常と判定してもよい。例えば、制御部60は、急速充電制御又は充放電制御が行われているときに異常検出部によって上記過電流状態の異常が検出された場合にステップS6に処理を進め、第1電圧変換部40の動作を停止させるとともに第2電圧変換部50に放電動作を行わせるように一方側放電制御を行ってもよい。