特許第6358312号(P6358312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6358312
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】制御装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20180709BHJP
   G06F 1/32 20060101ALI20180709BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20180709BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   H04N1/00 C
   H04N1/00 885
   G06F1/32 B
   G06F3/12 329
   G06F3/12 321
   B41J29/38 D
   B41J29/38 Z
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-224292(P2016-224292)
(22)【出願日】2016年11月17日
(62)【分割の表示】特願2013-136697(P2013-136697)の分割
【原出願日】2013年6月28日
(65)【公開番号】特開2017-50887(P2017-50887A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2016年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 真史
(72)【発明者】
【氏名】林 学
(72)【発明者】
【氏名】延谷 直哉
(72)【発明者】
【氏名】黒石 健児
(72)【発明者】
【氏名】村田 裕治
(72)【発明者】
【氏名】水村 政彦
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 康裕
【審査官】 宮島 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−11537(JP,A)
【文献】 特開2011−253547(JP,A)
【文献】 特開2013−21405(JP,A)
【文献】 特開2002−208493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/00 − 29/70
G06F 1/26 − 1/32
G06F 3/09 − 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人感センサが人を検出すると、当該人が自装置に接近しているか否かを判定するために第1のカメラを電力供給により稼動状態にし、
前記人が接近していると判定された場合に、処理を実行する処理部を電力供給により稼動状態にし、前記人感センサが人を検出してから当該稼動状態になる前に、前記人の認証をするために第2のカメラを電力供給により稼動状態にし、前記処理部が稼動状態であるときに前記人が接近していないと判定された場合に、電力供給を制御して前記第1のカメラを稼動状態に比べて消費電力が小さい非稼動状態にする制御部を備え
前記第1のカメラは、当該人の体の向きから当該人が自装置に接近しているか否かを判定する制御装置。
【請求項2】
人感センサが人を検出すると、当該人が自装置に接近しているか否かを判定するために第1のカメラを電力供給により稼動状態にし、
前記人が接近していると判定された場合に、処理を実行する処理部を電力供給により稼動状態にし、前記人感センサが人を検出してから当該稼動状態になる前に、前記人の認証をするために第2のカメラを電力供給により稼動状態にし、前記処理部が稼動状態であるときに前記人が接近していないと判定された場合に、電力供給を制御して前記第2のカメラを稼動状態に比べて消費電力が小さい非稼動状態にする制御部を備え
前記第1のカメラは、当該人の体の向きから当該人が自装置に接近しているか否かを判定する制御装置。
【請求項3】
人の体の向きから当該人が自装置に接近しているか否かを判定する第1のカメラを制御するコンピュータを、
人感センサが人を検出すると、当該人が自装置に接近しているか否かを判定するために前記第1のカメラを電力供給により稼動状態にし、
前記人が接近していると判定された場合に、処理を実行する処理部を電力供給により稼動状態にし、前記人感センサが人を検出してから当該稼動状態になる前に、前記人の認証をするために第2のカメラを電力供給により稼動状態にし、前記処理部が稼動状態であるときに前記人が接近していないと判定された場合に、電力供給を制御して前記第1のカメラを稼動状態に比べて消費電力が小さい非稼動状態にする制御部
として機能させるためのプログラム。
【請求項4】
人の体の向きから当該人が自装置に接近しているか否かを判定する第1のカメラを制御するコンピュータを、
人感センサが人を検出すると、当該人が自装置に接近しているか否かを判定するために前記第1のカメラを電力供給により稼動状態にし、
前記人が接近していると判定された場合に、処理を実行する処理部を電力供給により稼動状態にし、前記人感センサが人を検出してから当該稼動状態になる前に、前記人の認証をするために第2のカメラを電力供給により稼動状態にし、前記処理部が稼動状態であるときに前記人が接近していないと判定された場合に、電力供給を制御して前記第2のカメラを稼動状態に比べて消費電力が小さい非稼動状態にする制御部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力制御装置、画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者が装置を利用しない間、装置の消費電力を抑制する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、人の移動方向を判断し、その判断結果に基づいて画像処理装置のメインスイッチをオン又はオフにする技術が記載されている。特許文献2には、利用者が画像処理装置を離れたことを検出するとスリープモードへ移行し、利用者が戻ってきたことを検出すると電力供給モードに移行する技術が記載されている。特許文献3には、検出領域の異なる2つの人感センサを用いて、スリープモードとスタンバイモードとの間で適切なモード遷移を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−045471号公報
【特許文献2】特開2012−142778号公報
【特許文献3】特開2012−256234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、利用者がいない間の電力消費を抑えつつ、利用者が装置に到達したときに、装置の利用を開始できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、人感センサが人を検出すると、当該人が自装置に接近しているか否かを判定するために第1のカメラを電力供給により稼動状態にし、前記人が接近していると判定された場合に、処理を実行する処理部を電力供給により稼動状態にし、前記人感センサが人を検出してから当該稼動状態になる前に、前記人の認証をするために第2のカメラを電力供給により稼動状態にし、前記処理部が稼動状態であるときに前記人が接近していないと判定された場合に、電力供給を制御して前記第1のカメラを稼動状態に比べて消費電力が小さい非稼動状態にする制御部を備え、前記第1のカメラは、当該人の体の向きから当該人が自装置に接近しているか否かを判定する制御装置を提供する。
【0006】
請求項2に係る発明は、人感センサが人を検出すると、当該人が自装置に接近しているか否かを判定するために第1のカメラを電力供給により稼動状態にし、前記人が接近していると判定された場合に、処理を実行する処理部を電力供給により稼動状態にし、前記人感センサが人を検出してから当該稼動状態になる前に、前記人の認証をするために第2のカメラを電力供給により稼動状態にし、前記処理部が稼動状態であるときに前記人が接近していないと判定された場合に、電力供給を制御して前記第2のカメラを稼動状態に比べて消費電力が小さい非稼動状態にする制御部を備え、前記第1のカメラは、当該人の体の向きから当該人が自装置に接近しているか否かを判定する制御装置を提供する。
請求項3に係る発明は、人の体の向きから当該人が自装置に接近しているか否かを判定する第1のカメラを制御するコンピュータを、人感センサが人を検出すると、当該人が自装置に接近しているか否かを判定するために第1のカメラを電力供給により稼動状態にし、前記人が接近していると判定された場合に、処理を実行する処理部を電力供給により稼動状態にし、前記人感センサが人を検出してから当該稼動状態になる前に、前記人の認証をするために第2のカメラを電力供給により稼動状態にし、前記処理部が稼動状態であるときに前記人が接近していないと判定された場合に、電力供給を制御して前記第1のカメラを稼動状態に比べて消費電力が小さい非稼動状態にする制御部として機能させるためのプログラムを提供する。
【0007】
請求項5に係る発明は、人の体の向きから当該人が自装置に接近しているか否かを判定する第1のカメラを制御するコンピュータを、人感センサが人を検出すると、当該人が自装置に接近しているか否かを判定するために第1のカメラを電力供給により稼動状態にし、前記人が接近していると判定された場合に、処理を実行する処理部を電力供給により稼動状態にし、前記人感センサが人を検出してから当該稼動状態になる前に、前記人の認証をするために第2のカメラを電力供給により稼動状態にし、前記処理部が稼動状態であるときに前記人が接近していないと判定された場合に、電力供給を制御して前記第2のカメラを稼動状態に比べて消費電力が小さい非稼動状態にする制御部として機能させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1、2、3、4に係る発明によれば、処理部が稼動状態になった後に第2のカメラを稼動状態にする場合に比べ利用者(人)がいない間の電力消費を抑えつつ、第1のカメラにより撮影された画像に基づいて、利用者が自装置に接近しているか否かを判定し、利用者が装置に到達したときに装置の利用を開始することができる
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】画像処理システムの全体構成を示す図である。
図2】画像処理装置の正面図である。
図3】画像処理装置の上面図である。
図4】画像処理装置のハードウェア構成を示す図である。
図5】人検出装置のハードウェア構成を示す図である。
図6】画像処理装置の機能構成を示す図である。
図7】接近判定処理を説明する図である。
図8】第1の移行動作の一例を示すタイミングチャートである。
図9】画像処理装置と人との位置関係を示す図である。
図10】第1の移行動作の別の例を示すタイミングチャートである。
図11】画像処理装置と人との位置関係を示す図である。
図12】第1の移行動作を示すフローチャートである。
図13】第1の移行動作を示すフローチャートである。
図14】第1の移行動作を示すフローチャートである。
図15】顔認証画面の一例を示す図である。
図16】第2の移行動作の一例を示すタイミングチャートである。
図17】第2の移行動作の別の例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.構成
(1)システム全体の構成
図1は、画像処理システム1の全体構成を示す図である。画像処理システム1は、画像処理装置10とクライアント装置20とを備える。画像処理装置10とクライアント装置20とは、LAN(Local Area Network)等の通信回線2を介して接続される。画像処理装置10は、プリント機能、スキャン機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を有する装置である。クライアント装置20は、利用者が画像処理装置10のプリント機能を利用するときに操作される装置である。なお、図1では、画像処理装置10及びクライアント装置20がそれぞれ2台ずつ示されているが、これは例示である。画像処理装置10及びクライアント装置20の数は、1台であってもよいし、3台以上であってもよい。
【0012】
(2)画像処理装置のハードウェア構成
図2は、画像処理装置10の正面図である。図3は、画像処理装置10の上面図である。図4は、画像処理装置10のハードウェア構成を示す図である。画像処理装置10は、制御部11と、通信部12と、操作部13と、表示部14と、記憶部15と、画像読取部16と、画像形成部17と、電源回路18と、人検出装置19とを備える。
【0013】
制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)とメモリとを備え、画像処理装置10の各部を制御する。CPUは、メモリ又は記憶部15に記憶されたプログラムを実行する。メモリは、例えばROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを備える。ROMは、予めプログラムやデータを記憶する。RAMは、プログラムやデータを一時的に記憶し、CPUがプログラムを実行する際の作業領域として用いられる。
【0014】
通信部12は、通信回線2に接続される通信用のインタフェースである。通信部12は、クライアント装置20や他の画像処理装置10と通信回線2を介して通信を行う。操作部13は、例えばタッチパネルと各種のキーとを備え、利用者の操作に応じた情報を制御部11に入力する。表示部14は、例えば液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。操作部13及び表示部14は、図3に示すように、画像処理装置10の筐体上面に設けられる。記憶部15は、例えばハードディスクであり、制御部11により用いられる各種のプログラムやデータを記憶する。
【0015】
画像読取部16は、例えばイメージスキャナであり、原稿の画像を読み取って画像データを生成する。画像形成部17は、画像データに応じた画像を用紙等のシート状の媒体に形成する。画像形成部17は、電子写真方式により画像を形成してもよいし、その他の方式により画像を形成してもよい。電源回路18は、画像処理装置10の各部に電力を供給する。人検出装置19は、画像処理装置10の利用者を検出する機能を有する。
【0016】
画像処理装置10では、スキャン処理、コピー処理、プリント処理及びファクシミリ送信処理が行われる。スキャン処理とは、画像読み取って画像データを生成する処理をいう。このスキャン処理は、画像読取部16によって行われる。コピー処理とは、画像を読み取って画像データを生成し、この画像データに基づいて画像を形成する処理をいう。このコピー処理は、画像読取部16及び画像形成部17によって行われる。プリント処理とは、クライアント装置20から受信した画像データに基づいて画像を形成する処理をいう。このプリント処理は、通信部12及び画像形成部17によって行われる。ファクシミリ送信処理は、画像を読み取って画像データを生成し、生成した画像データを通信部12を介して他の画像処理装置10に送信する処理をいう。このファクシミリ送信処理は、画像読取部16及び通信部12によって行われる。
【0017】
(3)人検出装置のハードウェア構成
図5は、人検出装置19のハードウェア構成を示す図である。人検出装置19は、人感センサ191(検出部の一例)と、第1の撮像部192と、第2の撮像部193と、画像処理部194と、通信制御部195とを備える。
【0018】
人感センサ191は、例えば焦電型の赤外線センサであり、図2に示すように、画像処理装置10の筐体前面に設けられる。人感センサ191は、図3に示す検出領域F1内にいる人を検出して検出信号を出力する。検出領域F1は、画像処理装置10の正面に形成される。例えば、検出領域F1は、人感センサ191を中心とした、例えば角度90度から135度、半径1500mmの扇形の領域に設定される。
【0019】
第1の撮像部192は、例えば広角レンズを有するカメラであり、図2に示すように、画像処理装置10の筐体前面に設けられる。第1の撮像部192は、図3に示す撮影範囲F2の画像を撮影する。撮影範囲F2は、画像処理装置10の正面に形成される。例えば、撮影範囲F2は、第1の撮像部192を中心とした例えば半径1000mmの半円形の範囲に設定される。
【0020】
図3に示す操作領域F3(所定の領域の一例)は、利用者が画像処理装置10を操作する際に滞在する領域である。操作領域F3は、画像処理装置10の正面において画像処理装置10と隣り合うように形成される。例えば、操作領域F3は、x軸方向において画像処理装置10と対応する長さを有し、y軸方向の長さが例えば300mmの四角形の領域に設定される。
【0021】
第2の撮像部193は、例えばカメラであり、図3に示すように、画像処理装置10の筐体上面において操作部13及び表示部14に隣接して設けられる。第2の撮像部193は、画像処理装置10を利用する人の顔の画像を撮影する。この画像は、利用者の認証に用いられる。
【0022】
画像処理部194は、第1の撮像部192により撮影された画像及び第2の撮像部193により撮影された画像を解析することにより、各種の処理を行う。画像処理部194は、CPUとメモリにより構成されてもよいし、ASIC(application specific integrated circuit)により構成されてもよい。通信制御部195は、人検出装置19と制御部11との間の通信を制御する。
【0023】
(4)画像処理装置の機能構成
図6は、画像処理装置10の機能構成を示す図である。画像処理装置10は、動作モード制御部101と、電力制御部102と、接近判定部103と、滞在判定部104(判定部の一例)と、認証部105として機能する。本実施形態では、電力制御装置は、人検出装置19とこれらの機能によって構成される。動作モード制御部101及び電力制御部102は、制御部11により実現される。接近判定部103及び滞在判定部104は、画像処理部194により実現される。認証部105は、画像処理部194と制御部11との協働により実現される。
【0024】
動作モード制御部101は、画像処理装置10の各部の動作モードを制御する。動作モード制御部101は、画像処理装置10のメインシステム(処理部の一例)の動作モードと、第1の撮像部192及び第2の撮像部193の動作モードと、画像処理部194及び通信制御部195の動作モードとを別々に制御する。メインシステムとは、画像処理装置10において人検出装置19を除いた構成をいう。
【0025】
メインシステムの動作モードには、スタンバイモードとスリープモードとがある。スタンバイモードにおいては、稼動に必要な電力がメインシステムに供給され、メインシステムが稼動状態となる。この稼動状態とは、動作を実行可能な状態をいう。スタンバイモードに移行すると、画像処理装置10では、利用者の操作に応じて、スキャン処理、コピー処理、プリント処理又はファクシミリ送信処理が実行される。一方、スリープモードにおいては、メインシステムの少なくとも一部への電力の供給が停止され、メインシステムの少なくとも一部が非稼動状態となる。この非稼動状態とは、動作を実行不能な状態をいう。ただし、非稼動状態では、全ての動作が実行不能である必要はなく、一部の動作が実行されてもよい。スリープモードでは、例えば制御部11の一部、表示部14、画像読取部16及び画像形成部17への電力の供給が停止される。スリープモードに移行した場合には、スタンバイモードに比べて、メインシステムの消費電力が小さくなる。
【0026】
第1の撮像部192及び第2の撮像部193の動作モードには、オン状態とオフ状態とがある。オン状態においては、第1の撮像部192、第2の撮像部193に電力が供給され、第1の撮像部192、第2の撮像部193の電源がオンになる(稼動状態の一例)。一方、オフ状態においては、第1の撮像部192、第2の撮像部193への電力の供給が停止され、第1の撮像部192、第2の撮像部193の電源がオフになる(非稼動状態の一例)。オフ状態になると、第1の撮像部192、第2の撮像部193はほとんど電力を消費しない。
【0027】
画像処理部194及び通信制御部195の動作モードには、スタンバイモードとスリープモードとがある。スタンバイモードにおいては、稼動に必要な電力が画像処理部194、通信制御部195に供給され、画像処理部194、通信制御部195が稼動状態となる。一方、スリープモードにおいては、画像処理部194、通信制御部195の少なくとも一部への電力の供給が停止され、画像処理部194、通信制御部195の少なくとも一部が非稼動状態となる。スリープモードに移行した場合には、スタンバイモードに比べて、画像処理部194、通信制御部195の消費電力が小さくなる。
【0028】
また、動作モード制御部101は、第1のタイマ111と第2のタイマ112とを備える。第1のタイマ111は、メインシステムをスリープモードに移行する際に用いられる。第2のタイマ112は、或る条件下で、第1の撮像部192及び第2の撮像部193をオフ状態にし、画像処理部194及び通信制御部195をスリープモードに移行する際に用いられる。
【0029】
電力制御部102は、動作モード制御部101の制御下、電源回路18から画像処理装置10の各部への電力の供給を制御する。ただし、電力制御部102は、人感センサ191には常時電力を供給する。これにより、人感センサ191は、メインシステムの動作モードによらず、常に稼動状態となる。
【0030】
接近判定部103は、第1の撮像部192により撮影された画像に基づいて、撮影範囲F2内にいる人が画像処理装置10に近づいているか否かを判定する接近判定処理を行う。図7は、接近判定処理を説明する図である。接近滞在処理は、以下の手順で行われる。第1の撮像部192は広角レンズを用いて画像を撮影するため、撮影された画像には歪みが生じる。したがって、まず極座標変換により、第1の撮像部192により撮影された画像を、歪みが補正された平面画像に変換する。続いて、この平面画像から人の形を検出し、検出した人の体の向きを判断する。
【0031】
図7(a)に示すように、検出した人の体の向きD1が、画像処理装置10に向かう方向である場合には、撮影範囲F2内にいる人が画像処理装置10に向かって移動していることを表す。したがって、この場合には、撮影範囲F2内にいる人が画像処理装置10に近づいていると判定される。一方、図7(b)に示すように、検出した人の体の向きD2が、画像処理装置10に向かう方向以外の方向である場合には、撮影範囲F2内にいる人が画像処理装置10に向かって移動しておらず、単に撮影範囲F2内を横切って通過していることを表す。したがって、この場合には、撮影範囲F2内にいる人が画像処理装置10に近づいていないと判定される。
【0032】
滞在判定部104は、第1の撮像部192により撮影された画像に基づいて、操作領域F3内に人がいるか否かを判定する滞在判定処理を行う。滞在判定処理は、以下の手順で行われる。まず、上述した接近判定処理と同様に、極座標変換により、第1の撮像部192により撮影された画像を、歪みが補正された平面画像に変換する。続いて、この平面画像から人の形を検出する。続いて、検出された人の形の大きさに基づいて、第1の撮像部192と人との間の距離を算出する。そして、算出した距離に基づいて、操作領域F3内に人がいるか否かを判定する。なお、図3に示すxy平面における第1の撮像部192の位置座標及び操作領域F3の位置座標は、予め定められている。
【0033】
例えば、算出した距離だけ第1の撮像部192から離れた位置が操作領域F3外にある場合には、操作領域F3内に人がいないと判定される。一方、算出した距離だけ第1の撮像部192から離れた位置が操作領域F3内にある場合には、操作領域F3内に人がいると判定される。なお、操作領域F3内に人がいると判定された後は、前回撮影された画像と今回撮影された画像との差分を抽出することにより人の移動距離を算出し、算出した移動距離に基づいて操作領域F3内に人が留まっているか否かが判定されてもよい。
【0034】
認証部105は、第2の撮像部193により撮影された画像に基づいて、利用者を認証する顔認証処理を行う。顔認証処理は、以下の手順で行われる。まず、第2の撮像部193により撮影された画像から顔領域を抽出する。続いて、抽出した顔領域の特徴と予め登録された正当な利用者の顔画像の特徴とを照合することにより、正当な利用者の顔画像であるか否かを判定する。正当な利用者の顔画像であると判定された場合には、利用者の認証が成功する。一方、正当な利用者の顔画像ではないと判定された場合には、利用者の認証が失敗する。
【0035】
2.動作
画像処理装置10は、メインシステムがスリープモードに移行している状態において、利用者が画像処理装置10に近づき、又はクライアント装置20から通信部12を介してプリント要求を受信すると、スタンバイモードに復帰する。ここでは、利用者が画像処理装置10に近づいたときに行われる動作モードの移行動作を「第1の移行動作」といい、クライアント装置20から通信部12を介してプリント要求を受信したときに行われる動作モードの移行動作を「第2の移行動作」という。以下、それぞれの移行動作について説明する。
【0036】
(1)第1の移行動作
図8は、第1の移行動作の一例を示すタイミングチャートである。図9は、画像処理装置10と人との位置関係を示す図である。ここでは、図8及び図9を参照して、画像処理装置10のメインシステム、画像処理部194及び通信制御部195の動作モードがスリープモードに移行した状態であり、第1の撮像部192及び第2の撮像部193がオフ状態である場合において、利用者が画像処理装置10を利用するために画像処理装置10に近づいたときに行われる動作の例について説明する。
【0037】
時刻t1において、図9(a)に示すように検出領域F1内には人がいないため、人感センサ191は人を検出せず、検出信号がオフになる。
【0038】
時刻t2において、図9(b)に示すように検出領域F1内に人が移動すると、人感センサ191は人を検出し、検出信号がオンになる。人感センサ191は、より正確には人の動きを検出する。したがって、検出領域F1内に人がいる間は、人が動く度に人感センサ191の検出信号がオンになる。人感センサ191の検出信号がオンになると、第1の撮像部192及び第2の撮像部193が起動されてオン状態になるとともに、画像処理部194及び通信制御部195がスリープモードからスタンバイモードに復帰する。
【0039】
第1の撮像部192は、起動中、予め定められた時間間隔で撮影範囲F2の画像を撮影する。第1の撮像部192により画像が撮影されると、接近判定処理及び滞在判定処理が行われる。
【0040】
時刻t3において、図9(c)に示すように人が画像処理装置10に近づく方向D1に移動すると、接近判定処理において、画像処理装置10に人が近づいていると判定される。この場合、画像処理装置10に近づいてくる人は、画像処理装置10の利用者であると認識される。接近判定処理において、画像処理装置10に人が近づいていると判定されると、メインシステムは、スリープモードからスタンバイモードに復帰する。
【0041】
時刻t4において、図9(d)に示すように利用者が操作領域F3内に移動すると、滞在判定処理において、利用者が操作領域F3内にいると判定される。なお、滞在判定処理において、利用者が操作領域F3内にいると判定される間は、メインシステムは、スリープモードに移行しないようになっている。
【0042】
時刻t4からt5の期間、画像処理装置10の前に移動した利用者の顔認証処理が行われた後、認証された利用者の操作に従って処理が行われる。このとき、第2の撮像部193は、利用者の顔の画像を撮影する。顔認証処理は、第2の撮像部193により撮影された画像に基づいて行われる。
【0043】
時刻t5において、利用者が画像処理装置10の利用を終了し、図9(e)に示すように画像処理装置10に背を向けて操作領域F3外に移動すると、滞在判定処理において、利用者が操作領域F3内にいないと判定される。滞在判定処理において、利用者が操作領域F3内にいないと判定されると、第1のタイマ111が起動され、設定時間T1(例えば1分)の計測が開始される。
【0044】
時刻t6において、図9(f)に示すように利用者が検出領域F1外に移動すると、人感センサ191が人を検出しなくなるため、検出信号がオフになる。検出信号がオフになると、第2のタイマ112が起動され、設定時間T2(例えば30秒)の計測が開始される。
【0045】
時刻t7において、タイマ112により計測された時間が設定時間T2を経過すると、メインシステムの動作モードがスリープモードであるか否かが判断される。この例では、メインシステムの動作モードがスリープモードではないため、設定時間T2が経過したことを契機に動作は行われない。
【0046】
時刻t8において、タイマ111により計測された時間が設定時間T1を経過すると、メインシステムがスリープモードに移行する。また、第1の撮像部192及び第2の撮像部193がオフ状態になり、画像処理部194及び通信制御部195がスリープモードに移行する。
【0047】
図10は、第1の移行動作の別の例を示すタイミングチャートである。図11は、画像処理装置10と人との位置関係を示す図である。ここでは、図10及び図11を参照して、画像処理装置10のメインシステム、画像処理部194及び通信制御部195の動作モードがスリープモードに移行した状態であり、第1の撮像部192及び第2の撮像部193がオフ状態である場合において、画像処理装置10を利用しない人が検出領域F1内を横切るように通過したときに行われる動作の例について説明する。
【0048】
時刻t11及び時刻t12の動作は、図8に示す時刻t1及びt2の動作と同様である。ただし、この例では、図11(a)及び図11(b)に示すように、撮影範囲F2内に移動した人は、画像処理装置10に向かう方向とは異なる方向D2に移動する。この場合、撮影範囲F2内にいる人が画像処理装置10に近づいていないため、接近判定処理において、画像処理装置10に人が接近していないと判定される。また、操作領域F3内に人がいないため、滞在判定処理において、操作領域F3内に人がいないと判定される。
【0049】
時刻t13において、図11(c)に示すように検出領域F1外に人が移動すると、人感センサ191が人を検出しなくなり、検出信号がオフになる。検出信号がオフになると、第2のタイマ112が起動され、設定時間T2の計測が開始される。
【0050】
時刻t14において、第2のタイマ112により計測された時間が設定時間T2を経過すると、メインシステムの動作モードがスリープモードであるか否かが判断される。この例では、メインシステムはスタンバイモードに復帰しておらず、スリープモードが維持されているため、メインシステムの動作モードは、スリープモードであると判断される。この場合、第1の撮像部192及び第2の撮像部193がオフ状態になるとともに、画像処理部194及び通信制御部195がスリープモードに移行する。
【0051】
次に、図12から図14に示すフローチャートを参照して、第1の移行動作についてより詳細に説明する。初期状態において、画像処理装置10のメインシステム、画像処理部194及び通信制御部195はスリープモードに移行した状態であり、第1の撮像部192及び第2の撮像部193はオフ状態である。
【0052】
ステップS101において、図9(b)に示すように検出領域F1内に人が移動すると、人感センサ191が検出領域F1内にいる人を検出し(ステップS101:YES)、ステップS102において人感センサ191の検出信号がオンになる。また、人感センサ191の検出信号がオンになると、動作モード制御部101は、第2のタイマ112をリセットする。なお、人感センサ191の検出信号がオフになると、動作モード制御部101は、再び第2のタイマ112を起動し、設定時間T2の計測を開始する。
【0053】
ステップS103において、第1の撮像部192及び第2の撮像部193が起動され、通信制御部195及び画像処理部194がスリープモードからスタンバイモードに復帰する。具体的には、動作モード制御部101は、第1の撮像部192及び第2の撮像部193の動作モードをオフ状態からオン状態に移行するよう指示する。電力制御部102は、この指示に従って第1の撮像部192及び第2の撮像部193に電力を供給し、第1の撮像部192及び第2の撮像部193を起動してオン状態にする。また、動作モード制御部101は、画像処理部194及び通信制御部195の動作モードをスリープモードからスタンバイモードに移行するよう指示する。電力制御部102は、この指示に従って、稼動に必要な電力を画像処理部194及び通信制御部195に供給し、画像処理部194及び通信制御部195を稼動状態にする。これにより、画像処理部194及び通信制御部195は、スリープモードからスタンバイモードに復帰する。
【0054】
ステップS104において、第1の撮像部192は、撮影範囲F2の画像の撮影を開始する。以後、第1の撮像部192は、起動中、予め定められた時間間隔で撮影範囲F2の画像を撮影する。接近判定部103は、第1の撮像部192により撮影された画像に基づいて、接近判定処理を開始する。滞在判定部104は、第1の撮像部192により撮影された画像に基づいて、滞在判定処理を開始する。
【0055】
ステップS105において、接近判定部103は、接近判定処理において、第1の撮像部192により撮影された画像から人の形が検出されない場合(ステップS105:NO)、第1の撮像部192により新たに撮影された画像に基づいて、再び人の形の検出を行う。一方、第1の撮像部192により撮影された画像から人の形が検出されると(ステップS105:YES)、ステップS106に進む。
【0056】
ステップS106において、図9(c)に示すように撮影範囲F2内にいる人が画像処理装置10に近づく方向D1に移動すると、接近判定部103は、接近判定処理において、撮影範囲F2内にいる人が画像処理装置10に近づいていると判定する(ステップS106:YES)。この場合、ステップ107に進む。また、画像処理装置10に近づいてくる人は利用者であると認識される。
【0057】
ステップS107において、メインシステムがスリープモードからスタンバイモードに復帰する。具体的には、通信制御部195は、メインシステムをスリープモードから復帰させることを指示する情報を動作モード制御部101に送信する。動作モード制御部101は、この情報を受信すると、メインシステムの動作モードをスリープモードからスタンバイモードに移行するよう指示する。電力制御部102は、この指示に従って、稼動に必要な電力をメインシステムに供給し、メインシステムを稼動状態にする。これにより、メインシステムは、スリープモードからスタンバイモードに復帰する。
【0058】
図13に示すステップS108において、メインシステムがスリープモードからスタンバイモードに復帰すると、認証部105は、顔認証処理を開始する。具体的には、まず表示部14に顔認証画面141が表示される。図15は、顔認証画面141の一例である。第2の撮像部193は、利用者の顔の画像を撮影する。顔認証画面141には、第2の撮像部193により撮影された画像が表示される。認証部105は、第2の撮像部193により撮影された画像に基づいて、顔認証処理を行う。第2の撮像部193により撮影された顔画像が、予め登録された正当な利用者の顔画像ではない場合には、利用者の認証は失敗する。この場合、利用者による画像処理装置10の利用が禁止される。一方、第2の撮像部193により撮影された顔画像が、予め登録された正当な利用者の顔画像である場合には、利用者の認証は成功する。この場合、利用者は、画像処理装置10を操作して所望の処理を実行させる。
【0059】
ステップS109において、図9(d)に示すように利用者が操作領域F3内にいる場合、滞在判定部104は、滞在判定処理において、操作領域F3内に利用者がいると判定する(ステップS109:YES)。この場合、滞在判定部104は、第1の撮像部192により新たに撮影された画像に基づいて、再び滞在判定処理を行う。一方、利用者が画像処理装置10の利用を終えると、図9(e)に示すように利用者は操作領域F3外に移動する。これにより、操作領域F3内に利用者がいないと判定されると(ステップS109:NO)、ステップS110に進む。
【0060】
ステップS110において、メインシステムがスリープモードに移行する条件を満たしているため、動作モード制御部101は、第1のタイマ111を起動し、設定時間T1の計測を開始する。
【0061】
ステップS111において、第1のタイマ111により計測された時間が設定時間T1を経過するまでの間(ステップS111:NO)、動作モード制御部101は待機する。第1のタイマ111により計測された時間が設定時間T1を経過すると(ステップS111:YES)、ステップS112に進む。
【0062】
ステップS112において、メインシステムはスリープモードに移行する。具体的には、動作モード制御部101は、メインシステムの動作モードをスタンバイモードからにスリープモードに移行するよう指示する。電力制御部102は、この指示に従って、メインシステムの少なくとも一部への電力の供給を停止し、メインシステムの少なくとも一部を非稼動状態にする。これにより、メインシステムは、スリープモードに移行する。
【0063】
ステップS113において、第1の撮像部192及び第2の撮像部193がオフ状態になるとともに、画像処理部194及び通信制御部195がスリープモードに移行する。具体的には、動作モード制御部101は、第1の撮像部192及び第2の撮像部193の動作モードをオン状態からオフ状態に移行するよう指示する。電力制御部102は、この指示に従って、第1の撮像部192及び第2の撮像部193への電力の供給を停止し、第1の撮像部192及び第2の撮像部193をオフ状態にする。また、動作モード制御部101は、画像処理部194及び通信制御部195の動作モードをスタンバイモードからスリープモードに移行するよう指示する。電力制御部102は、この指示に従って、画像処理部194及び通信制御部195の少なくとも一部への電力の供給を停止し、画像処理部194及び通信制御部195の少なくとも一部を非稼動状態にする。これにより、画像処理部194及び通信制御部195は、スリープモードに移行する。
【0064】
一方、図11(a)に示すように、撮影範囲F2内にいる人が画像処理装置10に向かう方向とは異なる方向D2に移動している場合には、上述したステップS106において、撮影範囲F2内にいる人が画像処理装置10に近づいていないと判定される(ステップS106:NO)。この場合には、図14に示すステップS114に進む。
【0065】
ステップS114において、動作モード制御部101は、人感センサ191の検出信号がオフの状態が設定時間T2以上継続しているか否かを判断する。動作モード制御部101は、人感センサ191の検出信号がオフになると、第2のタイマ112を起動し、設定時間T2の計測を開始する。図11(b)に示すように検出領域F1内を人が移動している場合には、人が動く度に人感センサ191の検出信号がオンになるため、人感センサ191の検出信号がオフの状態が設定時間T2以上継続していないと判断される(ステップS114:NO)。一方、図11(c)に示すように検出領域F1外に人が移動すると、人感センサ191の検出信号がオフになった後、第2のタイマ112により計測された時間が設定時間T2を経過するため、このときに、人感センサ191の検出信号がオフの状態が設定時間T2以上継続していると判断される(ステップS114:YES)。この場合、ステップS115に進む。
【0066】
ステップS115において、動作モード制御部101は、メインシステムの動作モードがスリープモードであるか否かを判断する。メインシステムの動作モードがスリープモードではない場合には(ステップS115:NO)、上述したステップS111に進む。一方、メインシステムの動作モードがスリープモードである場合には(ステップS115:YES)、ステップS116に進む。
【0067】
ステップS116において、第1の撮像部192及び第2の撮像部193がオフ状態になるとともに、画像処理部194及び通信制御部195がスリープモードに移行する。具体的には、動作モード制御部101は、第1の撮像部192及び第2の撮像部193の動作モードをオン状態からオフ状態に移行するよう指示する。電力制御部102は、この指示に従って、第1の撮像部192及び第2の撮像部193への電力の供給を停止し、第1の撮像部192及び第2の撮像部193をオフ状態にする。また、動作モード制御部101は、画像処理部194及び通信制御部195の動作モードをスタンバイモードからスリープモードに移行するよう指示する。電力制御部102は、この指示に従って、画像処理部194及び通信制御部195の少なくとも一部への電力の供給を停止し、画像処理部194及び通信制御部195の少なくとも一部を非稼動状態にする。これにより、画像処理部194及び通信制御部195は、スリープモードに移行する。
【0068】
(2)第2の移行動作
図16は、第2の移行動作の一例を示すタイミングチャートである。ここでは、図16を参照して、画像処理装置10のメインシステム、画像処理部194及び通信制御部195の動作モードがスリープモードに移行した状態であり、第1の撮像部192及び第2の撮像部193がオフ状態である場合において、利用者がクライアント装置20を操作して画像処理装置10にプリント要求を送信したときに行われる動作の例について説明する。このプリント要求には、画像データが含まれる。
【0069】
時刻t21において、図9(a)に示すように検出領域F1内には人がいないため、人感センサ191は人を検出せず、検出信号がオフになる。
【0070】
時刻t22において、クライアント装置20から通信部12を介してプリント要求を受信すると、メインシステムは、スリープモードからスタンバイモードに復帰する。メインシステムがスリープモードからスタンバイモードに復帰すると、第1の撮像部192及び第2の撮像部193が起動されてオン状態になるとともに、画像処理部194及び通信制御部195がスリープモードからスタンバイモードに復帰する。
【0071】
時刻t22からt23の期間、画像処理装置10は、クライアント装置20から受信したプリント要求に応じてプリント処理を行う。時刻t23において、プリント処理が終了すると、第1のタイマ111が起動され、設定時間T1の計測が開始される。
【0072】
時刻t24において、第1のタイマ111により計測された時間が設定時間T1を経過すると、メインシステムがスリープモードに移行する。メインシステムがスリープモードに移行すると、第1の撮像部192及び第2の撮像部193がオフ状態になるとともに、画像処理部194及び通信制御部195がスリープモードに移行する。
【0073】
図17は、第2の移行動作の別の例を示すタイミングチャートである。ここでは、図17を参照して、図16に示す例において、メインシステムがスタンバイモードに移行した状態のときに、利用者が画像処理装置10を利用するために画像処理装置10に近づいたときに行われる動作の例について説明する。
【0074】
時刻t31及びt32の動作は、図16に示す時刻t21及びt22の動作と同様である。この例では、時刻t32からプリント処理が開始される。
【0075】
時刻t33において、図9(b)に示すように、検出領域F1内に人が移動すると、図8に示す時刻t2の動作と同様に、人感センサ191が人を検出し、検出信号がオンになる。
【0076】
時刻t34において、図9(c)に示すように人が画像処理装置10に近づく方向D1に移動すると、接近判定処理において、画像処理装置10に人が近づいていると判定される。ただし、このときメインシステムは既にスリープモードから復帰しているため、メインシステムの動作モードの移行は行われない。
【0077】
時刻t34からt35の期間、画像処理装置10の前に移動した利用者の顔認証処理が行われた後、認証された利用者の操作に従って処理が行われる。時刻t35からt38の期間の動作は、図8に示す時刻t5からt8の期間の動作と同様である。
【0078】
以上説明した実施形態によれば、利用者がいない間、メインシステム、第1の撮像部192、第2の撮像部193、画像処理部194及び通信制御部195は、スリープモードに移行し又はオフ状態になっているため、利用者がいない間もこれらの構成がスタンバイモードを維持し又はオン状態になっている場合に比べて、電力消費が抑えられる。また、利用者が画像処理装置10に到達する前に、メインシステム及び第2の撮像部193がスタンバイモードに移行し又はオン状態になるため、利用者が画像処理装置10に到達したときに、すぐに利用者の認証が行われ、画像処理装置10の利用が開始される。これにより、利用者がいない間の電力消費を抑えつつ、利用者が画像処理装置10に到達したときに、画像処理装置10の利用が開始される。
【0079】
また、第1の撮像部192及び第2の撮像部193は、起動に或る程度の時間(200から500msec)がかかる場合がある。上述した実施形態によれば、利用者が検出領域F1内に移動したときに、第1の撮像部192及び第2の撮像部193が起動されるため、このように第1の撮像部192及び第2の撮像部193の起動に或る程度の時間がかかる場合であっても、利用者が画像処理装置10に到達したときに、すぐに画像処理装置10の利用が開始される。
【0080】
また、上述した実施形態によれば、第1の撮像部192により撮影された画像に基づいて、撮影範囲F2内にいる人が画像処理装置10に近づいていると判定された場合に限り、メインシステムがスリープモードからスタンバイモードに復帰しているため、単に画像処理装置10を利用しない人が画像処理装置10の近くを通り過ぎただけの場合には、メインシステムがスリープモードからスタンバイモードに復帰するのが防止される。
【0081】
さらに、上述した実施形態によれば、第2の撮像部193により撮影された利用者の顔の画像に基づいて、利用者の認証が行われるため、手間なく精度の高い利用者の認証が実現される。
【0082】
3.変形例
上述した実施形態は、本発明の一例である。この実施形態は、以下のように変形してもよい。また、以下の変形例を互いに組み合わせて実施してもよい。
【0083】
(1)上述した実施形態では、人感センサ191により検出領域F1内にいる人が検出されたときに、第1の撮像部192及び第2の撮像部193が起動される例について説明した。しかし、第2の撮像部193が起動されるタイミングは、実施形態で説明した例に限定されない。例えば、人感センサ191により検出領域F1内にいる人が検出されたことを契機に第1の撮像部192が起動された後、予め定められた時間が経過した後に第2の撮像部193が起動されてもよい。ただし、第2の撮像部193は、メインシステムがスリープモードからスタンバイモードに復帰する前までの間に起動されるのが好ましい。
【0084】
(2)上述した図8及び図17に示す例では、利用者が操作領域F3の外に移動してから、設定時間T1が経過したときに、メインシステム、画像処理部194及び通信制御部195がスリープモードに移行し、第1の撮像部192及び第2の撮像部193がオフ状態になる例について説明した。しかし、メインシステム、画像処理部194及び通信制御部195がスリープモードに移行するタイミング、及び第1の撮像部192及び第2の撮像部193がオフ状態になるタイミングは、この例に限定されない。例えば、利用者が操作領域F3の外に移動したときに、メインシステム、画像処理部194及び通信制御部195がスリープモードに移行し、第1の撮像部192及び第2の撮像部193がオフ状態になってもよい。この場合、第1のタイマ111を設ける必要はない。
【0085】
同様に、図10に示す例では、人感センサ191の検出信号がオフになってから、設定時間T2が経過したときに、画像処理部194及び通信制御部195がスリープモードに移行し、第1の撮像部192及び第2の撮像部193がオフ状態になる例について説明した。しかし、画像処理部194及び通信制御部195がスリープモードに移行するタイミング、及び第1の撮像部192及び第2の撮像部193がオフ状態になるタイミングは、この例に限定されない。例えば、人感センサ191の検出信号がオフになったときに、画像処理部194及び通信制御部195がスリープモードに移行し、第1の撮像部192及び第2の撮像部193がオフ状態になってもよい。この場合、第2のタイマ112を設ける必要はない。
【0086】
(3)上述した実施形態では、接近判定処理において、人の体の向きに基づいて、撮影範囲F2内にいる人が画像処理装置10に近づいているか否かを判定する例について説明した。この例において、例えば、第1の撮像部192により撮影された画像に含まれる人の形の領域から、人の顔が検出されるか否かに応じて、人の体の向きを判断してもよい。
【0087】
(4)上述した実施形態では、第1の撮像部192及び第2の撮像部193の非稼動状態がオフ状態である例について説明した。しかし、第1の撮像部192及び第2の撮像部193の非稼動状態は、オフ状態に限定されない。例えば、第1の撮像部192及び第2の撮像部193の非稼動状態は、スリープモードであってもよいし、稼動状態に比べて消費電力が小さくなる、スリープモード以外の動作モードであってもよい。
【0088】
上述した実施形態では、メインシステム、画像処理部194及び通信制御部195の非稼動状態がスリープモードである例について説明した。しかし、メインシステム、画像処理部194及び通信制御部195の非稼動状態はスリープモードに限定されない。例えば、メインシステム、画像処理部194及び通信制御部195の非稼動状態は、オフ状態であってもよいし、稼動状態に比べて消費電力が小さくなる、スリープモード以外の動作モードであってもよい。
【0089】
(5)検出領域F1、撮影範囲F2及び操作領域F3の大きさや形状は、実施形態で説明した例に限定されない。例えば、撮影範囲F2の半径は、例えば1000mmより大きくてもよい。また、操作領域F3のy軸方向の長さは、例えば300mmより大きくてもよい。また、操作領域F3の形状は、半円形であってもよい。
【0090】
(6)制御部11及び画像処理部194の役割分担は、実施形態で説明した例に限定されない。例えば、動作モード制御部101の一部、例えば人検出装置19の動作モードを制御する部分を画像処理部194が実現してもよい。また、電力制御部102は、制御部11以外のハードウェア構成により実現されてもよい。
【0091】
(7)上述した実施形態では、顔認証画面141に第2の撮像部193により撮影された画像が表示されていたが、必ずしもこの画像の表示が行われなくてもよい。例えば、利用者の操作により、画像を非表示にする指示が入力された場合には、顔認証画面151において第2の撮像部193により撮影された画像を非表示にしてもよい。
【0092】
(8)上述した実施形態では、画像処理装置10が、スキャン処理、コピー処理、プリント処理及びファクシミリ送信処理を実行していたが、画像処理装置10は、これらの全ての処理を行うものでなくてもよい。例えば、画像処理装置10は、プリント処理だけを行うものであってもよいし、ファクシミリ送信処理だけを行うものであってもよい。
【0093】
また、本発明に係る電力制御装置は、画像処理装置10以外の装置に適用されてもよい。この場合、この装置には電力の供給を受けて処理を行う処理部が設けられる。この処理部は、スキャン処理、コピー処理、プリント処理及びファクシミリ送信処理以外の処理を行ってもよい。
【0094】
(9)上述した実施形態において、制御部11のCPUにより実行されるプログラムは、インターネットなどの通信回線を介してダウンロードされてもよい。また、このプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどの、コンピュータが読取可能な記録媒体に記録した状態で提供されてもよい。画像処理部194のCPUについても同様である。
【符号の説明】
【0095】
10…画像処理装置、11…制御部、12…通信部、13…操作部、14…表示部、15…記憶部、16…画像読取部、17…画像形成部、18…電源回路、19…人検出装置、191…人感センサ、192…第1の撮像部、193…第2の撮像部、194…画像処理部、195…通信制御部、101…動作モード制御部、102…電力制御部、103…接近判定部、104…滞在判定部、105…認証部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17