特許第6358345号(P6358345)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6358345
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】自動変速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 37/02 20060101AFI20180709BHJP
【FI】
   F16H37/02 P
   F16H37/02 R
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-574691(P2016-574691)
(86)(22)【出願日】2016年1月12日
(86)【国際出願番号】JP2016050739
(87)【国際公開番号】WO2016129314
(87)【国際公開日】20160818
【審査請求日】2017年4月27日
(31)【優先権主張番号】特願2015-25568(P2015-25568)
(32)【優先日】2015年2月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082337
【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141508
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 隆史
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 伸忠
(72)【発明者】
【氏名】内田 雅之
【審査官】 塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−158961(JP,A)
【文献】 特開2003−247623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸上に配置され、駆動源に駆動連結された入力部材と、
前記第1軸と前記第1軸に平行な第2軸との間に設けられ、前記第1軸の回転を前記第2軸に伝達する伝達機構と、
前記第2軸上に配置されたプライマリプーリと、前記第2軸と平行な第3軸上に配置されたセカンダリプーリと、それら両プーリに巻回されたベルトと、を有し、変速比を連続的に変更可能な無段変速機構と、
前記第3軸と平行な第4軸上に配置され、前記第3軸上のドライブピニオンギヤと噛合して、変速した回転を出力する出力部材と、を備え、
軸方向から視て、前記第1軸の中心と前記第4軸の中心とを結ぶ第1の直線を境界として、下側に前記第2軸の中心を配置し、上側に前記第3軸の中心を配置する自動変速機。
【請求項2】
第1軸上に配置され、駆動源に駆動連結された入力部材と、
前記第1軸と前記第1軸に平行な第2軸との間に設けられ、前記第1軸の回転を前記第2軸に伝達する伝達機構と、
前記第2軸上に配置されたプライマリプーリと、前記第2軸と平行な第3軸上に配置されたセカンダリプーリと、それら両プーリに巻回されたベルトと、を有し、変速比を連続的に変更可能な無段変速機構と、
前記第3軸と平行な第4軸上に配置され、前記第3軸上のドライブピニオンギヤと噛合して、変速した回転を出力する出力部材と、を備え、
軸方向から視て、前記第1軸の中心と前記第4軸の中心とを結ぶ第1の直線を境界として、下側に前記第3軸の中心を配置し、上側に前記第2軸の中心を配置する自動変速機。
【請求項3】
前記無段変速機構は、前記第1軸が車両の走行方向に対して横方向を軸方向とする横置き型である請求項1又は2に記載の自動変速機。
【請求項4】
軸方向から視て、前記第2軸の中心と前記第3軸の中心とを結ぶ第2の直線は、前記第1の直線に対して、前記第1軸の中心と前記第4軸の中心との間で交差する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自動変速機。
【請求項5】
前記第2軸上に配置され、前記入力部材から入力される回転を正転と逆転とで切り換えて前記プライマリプーリに出力可能な前後進切換え機構を備える請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自動変速機。
【請求項6】
前記前後進切換え機構は、前記第2軸上に配置され、前記入力部材に駆動連結された第1の回転要素と前記プライマリプーリに駆動連結された第2の回転要素と回転固定自在な第3の回転要素とを有して前記出力部材の回転を変速可能なプラネタリギヤと、係合時に前記第2の回転要素を介して前記入力部材と前記プライマリプーリとを接続し正回転伝達する前進モードを達成可能な第1の係合要素と、係合時に前記第3の回転要素の回転を固定して前記プラネタリギヤを介して前記入力部材と前記プライマリプーリとを接続し逆回転伝達する後進モードを達成可能な第2の係合要素と、を有する請求項5記載の自動変速機。
【請求項7】
前記第3軸上に配置され、前記セカンダリプーリに駆動連結された第1の回転要素と、前記入力部材の回転を入力可能な第2の回転要素と、前記出力部材に駆動連結された第3の回転要素と、を有して前記出力部材の回転を変速可能なプラネタリギヤと、
係合時に前記無段変速機構を介して前記入力部材と前記出力部材とを接続し回転伝達する低速モードを達成可能な第1の係合要素と、
係合時に前記プラネタリギヤ及び前記無段変速機構を介して前記入力部材と前記出力部材とを接続し、前記第1の係合要素の係合時よりも高速に回転伝達する高速モードを達成可能な第2の係合要素と、を備える請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自動変速機。
【請求項8】
前記第3軸上に配置され、前記セカンダリプーリに駆動連結された第1の回転要素と、前記入力部材の回転を入力可能な第2の回転要素と、前記出力部材に駆動連結された第3の回転要素と、回転固定自在な第4の回転要素と、を有して前記出力部材の回転を変速可能なプラネタリギヤユニットと、
係合時に前記第4の回転要素の回転を固定して前記プラネタリギヤユニット及び前記無段変速機構を介して前記入力部材と前記出力部材とを接続し回転伝達する低速モードを達成可能な第1の係合要素と、
係合時に前記プラネタリギヤユニット及び前記無段変速機構を介して前記入力部材と前記出力部材とを接続し、前記第1の係合要素の係合時よりも高速に回転伝達する高速モードを達成可能な第2の係合要素と、を備える請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自動変速機。
【請求項9】
前記第2軸上に配置され、前記入力部材に駆動連結された第1の回転要素と、前記出力部材に駆動連結された第2の回転要素と、回転固定自在な第3の回転要素と、を有して前記出力部材の回転を変速可能なプラネタリギヤと、
係合時に前記第3の回転要素の回転を固定して前記プラネタリギヤを介して前記入力部材と前記出力部材とを接続し回転伝達する固定ギヤモードを達成可能な第1の係合要素と、
係合時に前記無段変速機構を介して前記入力部材と前記出力部材とを接続し回転伝達する無段変速モードを達成可能な第2の係合要素と、を備える請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自動変速機。
【請求項10】
前記プラネタリギヤと、前記第2軸上に配置され、前記第3の回転要素に駆動連結されて前記第2の係合要素により回転固定自在な第4の回転要素と、前記第2の回転要素及び前記出力部材に駆動連結された第5の回転要素と、回転固定自在な第6の回転要素と、を有し、前記出力部材の回転を変速可能なプラネタリギヤユニットと、
係合時に前記第6の回転要素の回転を固定して前記プラネタリギヤユニットを介して前記入力部材と前記出力部材とを接続し逆回転伝達する後進モードを達成可能な第3の係合要素と、を備える請求項9記載の自動変速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両に搭載される自動変速機に係り、詳しくは、無段変速機構を有する自動変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、車両に用いて好適な自動変速機として、1対のプーリとこれらプーリに巻回される金属製ベルトを備え、プーリの有効径を変更することにより無段変速するベルト式無段変速機構等の無段変速機構を用いた自動変速機が普及している。
【0003】
この種の自動変速機としては、第1軸〜第4軸までの互いに平行な軸を備えたものが普及している。この自動変速機では、例えば、第1軸上には、内燃エンジンのクランク軸と無段変速機構のプライマリプーリとが配置され、第2軸上には、無段変速機構のセカンダリプーリが配置され、第3軸上には、減速ギヤ列が配置され、第4軸上には、ディファレンシャル装置及び駆動軸が配置されたものが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
この自動変速機では、第1軸、第2軸、第4軸には大径の回転要素が設けられており、自動変速機のサイズや車両への搭載性の観点から第1軸、第2軸、第4軸は軸方向視で略鋭角三角形になるように配置されている。また、最低地上高を確保するために、自動変速機の下部には駆動軸と同軸の第4軸が配置されており、第4軸の斜め上方に第1軸が配置され、第1軸の斜め上方に第2軸が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−224562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載した自動変速機では、第1軸に内燃エンジンのクランク軸及びプライマリプーリが配置されているので、第2軸に配置されたセカンダリプーリはプライマリプーリとの高さの違いの分だけクランク軸よりも上方に配置されている。このため、この自動変速機はクランク軸よりも上側に大きく突出してしまうので、自動変速機を車両に搭載する際に他の部品と干渉する可能性があり搭載性が悪いという問題があった。
【0007】
そこで、無段変速機構を備えながらも車両への搭載性を向上できる自動変速機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る自動変速機は、第1軸上に配置され、駆動源に駆動連結された入力部材と、前記第1軸と前記第1軸に平行な第2軸との間に設けられ、前記第1軸の回転を前記第2軸に伝達する伝達機構と、前記第2軸上に配置されたプライマリプーリと、前記第2軸と平行な第3軸上に配置されたセカンダリプーリと、それら両プーリに巻回されたベルトと、を有し、変速比を連続的に変更可能な無段変速機構と、前記第3軸と平行な第4軸上に配置され、前記第3軸上のドライブピニオンギヤと噛合して、変速した回転を出力する出力部材と、を備え、軸方向から視て、前記第1軸の中心と前記第4軸の中心とを結ぶ直線を境界として、下側に前記第2軸の中心を配置し、上側に前記第3軸の中心を配置する。
また、本開示に係る自動変速機は、第1軸上に配置され、駆動源に駆動連結された入力部材と、前記第1軸と前記第1軸に平行な第2軸との間に設けられ、前記第1軸の回転を前記第2軸に伝達する伝達機構と、前記第2軸上に配置されたプライマリプーリと、前記第2軸と平行な第3軸上に配置されたセカンダリプーリと、それら両プーリに巻回されたベルトと、を有し、変速比を連続的に変更可能な無段変速機構と、前記第3軸と平行な第4軸上に配置され、前記第3軸上のドライブピニオンギヤと噛合して、変速した回転を出力する出力部材と、を備え、軸方向から視て、前記第1軸の中心と前記第4軸の中心とを結ぶ第1の直線を境界として、下側に前記第3軸の中心を配置し、上側に前記第2軸の中心を配置する。

【発明の効果】
【0009】
本自動変速機によると、軸方向から視て、第1軸の中心と第4軸の中心とを結ぶ第1の直線を境界として、一方側に第2軸の中心を配置すると共に、他方側に第3軸の中心を配置するので、第2軸の中心又は第3軸の中心を第1軸の中心の下方に配置することができる。このため、プライマリプーリ又はセカンダリプーリのいずれかの中心を駆動源の駆動軸より下方に配置できるので、プライマリプーリ又はセカンダリプーリの中心を駆動源の駆動軸と同軸に配置する場合に比べて自動変速機における無段変速機構の配置位置を下げることができる。尚、プライマリプーリ又はセカンダリプーリのいずれの中心が駆動源の駆動軸より下方に配置されてもよい。これにより、自動変速機の上方への突出を小さくすることができるので、無段変速機構を備えながらも車両への搭載性を向上することができる。また、出力部材の回転方向と第2軸及び第3軸の回転方向とが、反対方向になる。このため、第2軸又は第3軸のうちの下方に配置される方の軸に配置されたプーリにより掻き揚げられた潤滑油が、出力部材の方向に飛散し難くなる。これにより、出力部材の潤滑油に対する攪拌抵抗を小さくすることができ、燃費を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る自動変速機を示すスケルトン図である。
図2A】第1の実施形態に係る自動変速機に関する軸位置を示す正面図である。
図2B】第1の実施形態に係る自動変速機に関する係合表である。
図3A】第2の実施形態に係る自動変速機に関するスケルトン図である。
図3B】第2の実施形態に係る自動変速機に関する係合表である。
図4A】第3の実施形態に係る自動変速機に関するスケルトン図である。
図4B】第3の実施形態に係る自動変速機に関する係合表である。
図5A】第4の実施形態に係る自動変速機に関するスケルトン図である。
図5B】第4の実施形態に係る自動変速機に関する係合表である。
図6】他の実施形態に係る自動変速機の軸位置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態に係る自動変速機10を、図1図2A図2Bに沿って説明する。なお、本明細書中で駆動連結とは、互いの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、それら回転要素が一体的に回転するように連結された状態、あるいはそれら回転要素がクラッチ等を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む概念として用いる。
【0012】
本実施形態の自動変速機10を備える車両1の概略構成について図1に沿って説明する。この車両1は、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃エンジン2を駆動源としており、内燃エンジン(駆動源)2と、車両用駆動装置3と、不図示の車輪とを備えている。車両用駆動装置3は、自動変速機10と、制御装置(ECU)11と、油圧制御装置12とを備えている。
【0013】
自動変速機10は、トルクコンバータ20と、入力軸(入力部材)30,31と、伝達機構90と、無段変速機構40と、前後進切換え機構50と、ディファレンシャル装置70と、左右の駆動軸(出力部材)73と、これらを収容するミッションケース80とを備えている。自動変速機10は、第1軸AX1〜第4軸AX4での互いに平行な軸を備えている。ミッションケース80は、入力軸30,31及び各駆動軸73を回転自在に支持し、無段変速機構40及び前後進切換え機構50を収容している。
【0014】
第1軸AX1は、内燃エンジン2のクランク軸と同軸になっている。この第1軸AX1上には、クランク軸に駆動連結される入力軸30、入力軸30に連結されるトルクコンバータ20、トルクコンバータ20の出力側に連結される入力軸31、伝達機構90のドライブギヤ91が配置されている。
【0015】
第2軸AX2上には、伝達機構90のドリブンギヤ92、前後進切換え機構50、無段変速機構40のプライマリプーリ41及び入力軸47が配置されている。第3軸AX3上には、無段変速機構40のセカンダリプーリ42及び出力軸48、中間軸60、出力ギヤ(ドライブピニオンギヤ)61が配置されている。第4軸AX4上には、ディファレンシャル装置70、左右の駆動軸73が配置されている。各駆動軸73には、不図示の左右の車輪が設けられている。
【0016】
自動変速機10の入力軸31は、伝達機構90を介して前後進切換え機構50に接続されている。伝達機構90は、互いに噛合するドライブギヤ91及びドリブンギヤ92を有しており、入力軸31の回転を反転させて前後進切換え機構50の入力軸51に伝達するようになっている。即ち、伝達機構90は、第1軸AX1と第2軸AX2との間に設けられ、第1軸AX1の回転を第2軸AX2に伝達するようになっている。
【0017】
前後進切換え機構50は、入力軸51と、プラネタリギヤDP1と、第1クラッチ(第1の係合要素)C1と、第1ブレーキ(第2の係合要素)B1と、出力軸52とを備え、第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係脱により入力軸51の回転を正転及び逆転して出力軸52から出力可能になっている。
【0018】
プラネタリギヤDP1は、入力軸51及び第1クラッチC1に駆動連結されたサンギヤ(第1の回転要素)S1と、出力軸52及び第1クラッチC1に駆動連結されたキャリヤ(第2の回転要素)CR1と、第1ブレーキB1に駆動連結されて回転固定可能なリングギヤ(第3の回転要素)R1とを有するダブルピニオンプラネタリギヤで構成されている。キャリヤCR1は、サンギヤS1及びリングギヤR1に噛合するピニオンP1,P2を回転自在に支持している。
【0019】
プラネタリギヤDP1は、第1クラッチC1を係合し第1ブレーキB1を解放することにより、入力軸51と出力軸52とが直結されて同方向に回転する前進モードとなる。また、プラネタリギヤDP1は、第1クラッチC1を解放し第1ブレーキB1を係合することにより、入力軸51と出力軸52とがプラネタリギヤDP1を介して連結され逆方向に回転する後進モードとなる(図2B参照)。
【0020】
無段変速機構40は、第2軸AX2上に配置されたプライマリプーリ41及び入力軸47と、第3軸AX3上に配置されるセカンダリプーリ42及び出力軸48と、それら両プーリ41,42に巻回された無端状のベルト43とを有し、変速比を連続的に変更可能なベルト式無段自動変速機構により構成されている。なお、入力軸47は出力軸52に駆動連結され、出力軸48は中間軸60に駆動連結されている。
【0021】
プライマリプーリ41は、それぞれが対向する円錐状に形成された壁面を有し、入力軸47に対して軸方向移動不能に固定された固定シーブ41aと、入力軸47に対して軸方向移動可能に支持された可動シーブ41bとを有しており、これら固定シーブ41aと可動シーブ41bとによって形成された断面V字状となる溝部によりベルト43を挟持している。
【0022】
同様に、セカンダリプーリ42は、それぞれが対向する円錐状に形成された壁面を有し、出力軸48に対して軸方向移動不能に固定された固定シーブ42aと、出力軸48に対して軸方向移動可能に支持された可動シーブ42bとを有しており、これら固定シーブ42aと可動シーブ42bとによって形成された断面V字状となる溝部によりベルト43を挟持している。これらプライマリプーリ41の固定シーブ41aとセカンダリプーリ42の固定シーブ42aとは、ベルト43に対して軸方向反対側となるように配置されている。
【0023】
また、プライマリプーリ41の可動シーブ41bの背面側には、油圧サーボ45が配置されており、セカンダリプーリ42の可動シーブ42bの背面側には、油圧サーボ46が配置されている。油圧サーボ45には、油圧制御装置12の不図示のプライマリ圧コントロールバルブからプライマリ圧が作動油圧として供給され、油圧サーボ46には、油圧制御装置12の不図示のセカンダリ圧コントロールバルブからセカンダリ圧が作動油圧として供給されるようになっている。そして、これら油圧サーボ45,46は、各作動油圧が供給されることにより負荷トルクに対応するベルト挟圧力を発生させると共に、変速比を変更又は固定するための挟圧力を発生させるように構成されている。
【0024】
ディファレンシャル装置70は、不図示のディファレンシャルギヤを内包したデフケース71を有しており、デフケース71は比較的大径のマウントリングギヤ72を固定して有している。マウントリングギヤ72は、デフケース71を介してディファレンシャルギヤに接続されており、ディファレンシャルギヤを介してデフケース71に支持された左右の駆動軸73が接続されている。そして、第3軸AX3上の出力ギヤ61と、マウントリングギヤ72とが噛合しており、かつ出力ギヤ61は比較的小径に、マウントリングギヤ72は比較的大径に構成されて、比較的大きな減速比を得ている。即ち、駆動軸73は、第4軸AX4上に配置され、変速した回転を出力するようになっている。
【0025】
ここで、本実施形態の自動変速機10の第1軸AX1〜第4軸AX4の位置関係について説明する。図2Aは自動変速機10を軸方向から視た際の軸配置を示す概略図であり、第1軸AX1の中心と第4軸AX4の中心とを結ぶ第1の直線L1を境界として、一方側に第2軸AX2の中心を配置すると共に、他方側に第3軸AX3の中心を配置している。本実施形態では、第1の直線L1を境界として、下側に第2軸AX2を配置し、上側に第3軸AX3を配置している。このように配置することで、プライマリプーリ41の中心を内燃エンジン2のクランク軸より下方に配置できるので、プライマリプーリ41の中心をクランク軸と同軸に配置する場合に比べて自動変速機10における無段変速機構40の配置位置を下げることができる。
【0026】
また、本実施の形態の自動変速機10では、軸方向から視て、第2軸AX2の中心と第3軸AX3の中心とを結ぶ第2の直線L2は、第1の直線L1に対して、第1軸AX1の中心と第4軸AX4の中心との間の交点Xにおいて交差する。このため、第3軸AX3を第1軸AX1よりも後方に配置することができるので、第3軸AX3上に配置されたセカンダリプーリ42を、第1軸AX1に駆動連結された内燃エンジン2よりも前方に飛び出さないように配置することができる。これにより、自動変速機10の前方への突出を小さくすることができるので、無段変速機構40を備えながらも車両1への搭載性を向上することができる。
【0027】
ECU11は、例えば、CPUと、処理プログラムを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMと、入出力ポートと、通信ポートとを備えており、油圧制御装置12への制御信号等、各種の信号を出力ポートから出力するようになっている。また、ECU11は、車両1の走行停止状態や運転者による加減速の意思に基づいて、自動変速機10を前進モード及び後進モード等の間で適宜切り換えるようになっている。
【0028】
油圧制御装置12は、例えばバルブボディにより構成されており、不図示のオイルポンプから供給された油圧からライン圧やモジュレータ圧等を生成し、ECU11からの制御信号に基づいて第1クラッチC1と第1ブレーキB1とをそれぞれ制御するための油圧を給排可能になっている。
【0029】
以上のように構成された自動変速機10は、図1のスケルトン図に示す第1クラッチC1と第1ブレーキB1とが、図2Bの係合表に示す組み合わせで係脱されることにより、前進モードと後進モードとのいずれかが選択されて達成されるか、あるいはいずれも選択されずにニュートラル状態になる。
【0030】
次に、自動変速機10の動作について、図1図2A図2Bを用いて説明する。
【0031】
シフトレンジとしてドライブ(D)レンジが選択されている場合には、ECU11は前進モードを選択する。そして、ECU11は油圧制御装置12を制御して、図2Bに示すように、第1クラッチC1を係合すると共に第1ブレーキB1を解放するよう油圧を給排する。これにより、自動変速機10において、入力軸31からの入力回転が、伝達機構90から第1クラッチC1を介して無段変速機構40の入力軸47に入力される。そして、無段変速機構40において適宜変速が行われ、中間軸60からディファレンシャル装置70を介して左右の駆動軸73が前進方向に回転される。
【0032】
次に、シフトレンジとしてリバース(R)レンジが選択されている場合は、ECU11は後進モードを選択する。そして、ECU11は油圧制御装置12を制御して、図2Bに示すように、第1クラッチC1を解放すると共に第1ブレーキB1を係合するよう油圧を給排する。これにより、自動変速機10において、入力軸31からの入力回転が、伝達機構90からプラネタリギヤDP1を介することで逆転されて無段変速機構40の入力軸47に入力される。そして、無段変速機構40において適宜変速が行われ、中間軸60からディファレンシャル装置70を介して左右の駆動軸73が後進方向に回転される。
【0033】
以上説明したように、本実施形態の自動変速機10によると、軸方向から視て、第1軸AX1の中心と第4軸AX4の中心とを結ぶ第1の直線L1を境界として、一方側に第2軸AX2の中心を配置すると共に、他方側に第3軸AX3の中心を配置するので、第2軸AX2又は第3軸AX3を第1軸AX1の下方に配置することができる。このため、プライマリプーリ41又はセカンダリプーリ42の中心を内燃エンジン2のクランク軸より下方に配置できるので、プライマリプーリ41又はセカンダリプーリ42の中心をクランク軸と同軸に配置する場合に比べて自動変速機10における無段変速機構40の配置位置を下げることができる。これにより、自動変速機10の上方への突出を小さくすることができるので、無段変速機構40を備えながらも車両1への搭載性を向上することができる。
【0034】
また、本実施形態の自動変速機10では、駆動軸73の回転方向と第2軸AX2及び第3軸AX3の回転方向とが、反対方向になる。このため、第2軸AX2に配置されるプライマリプーリ41により掻き揚げられた潤滑油が、駆動軸73の方向に飛散し難くなる。これにより、駆動軸73の潤滑油に対する攪拌抵抗を小さくすることができ、燃費を向上することができる。
【0035】
特に、本実施形態の自動変速機10では、図2Aに示すように、軸方向から視て、第1軸AX1の中心と第4軸AX4の中心とを結ぶ第1の直線L1を境界として、下側に第2軸AX2の中心を配置し、上側に第3軸AX3の中心を配置している。このため、第2軸AX2に配置された重量物である前後進切換え機構50が自動変速機10の下部に配置されるようになるので、自動変速機10の重心を下げることができ、搭載した車両1の走行安定性を向上することができる。また、本実施形態の自動変速機10では、第3軸AX3上に配置されたセカンダリプーリ42を第2軸AX2上に配置されたプライマリプーリ41よりも上方に配置した自動変速機10であっても上方への突出を抑えて車両1への搭載性を向上できると共に、高速走行時に増速されるセカンダリプーリ42による潤滑油の攪拌を抑制することができる。これにより、高速走行時における潤滑油に対する攪拌抵抗を小さくすることができ、燃費を向上することができる。
【0036】
また、本実施形態の自動変速機10では、第2軸AX2上に配置され、入力軸31から入力される回転を正転と逆転とで切り換えてプライマリプーリ41に出力可能な前後進切換え機構50を備えている。このため、入力軸31に入力された内燃エンジン2の駆動力を正転と逆転とで切り換えることができるので、車両1の前後進を切り換えることができる。
【0037】
また、本実施形態の自動変速機10では、前後進切換え機構50は、第2軸AX2上に配置され、入力軸31に駆動連結されたサンギヤS1とプライマリプーリ41に駆動連結されたキャリヤCR1と回転固定自在なリングギヤR1とを有して、係合時にキャリヤCR1を介して入力軸31とプライマリプーリ41とを接続し正回転伝達する前進モードを達成可能な第1クラッチC1と、係合時にリングギヤR1の回転を固定してプラネタリギヤDP1を介して入力軸31とプライマリプーリ41とを接続し逆回転伝達する後進モードを達成可能な第1ブレーキB1と、を有する。このため、プラネタリギヤDP1と第1クラッチC1及び第1ブレーキB1という比較的簡素な構成により、前後進切換えを実現することができる。
【0038】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係る自動変速機210を、図3A及び図3Bに沿って説明する。本実施形態は、前後進切換え機構50の代わりに変速歯車機構250が配置される点で第1の実施形態と異なっているが、それ以外の構成は第1の実施形態と同様であるので、同様の構成は符号を同じくして詳細な説明を省略する。
【0039】
本実施形態では、第2軸AX2上には、伝達機構90のドリブンギヤ92、無段変速機構40のプライマリプーリ41及び入力軸47が配置されている。また、第3軸AX3上には、無段変速機構40のセカンダリプーリ42及び出力軸48、変速歯車機構250、中間軸60、出力ギヤ61が配置されている。
【0040】
変速歯車機構250は、プラネタリギヤDP2と、第1クラッチ(第1の係合要素)C1と、第2クラッチ(第2の係合要素)C2と、第1ブレーキ(第3の係合要素)B1と、伝達機構90のドライブギヤ91に噛合する入力ギヤ253とを備え、駆動軸73の回転を変速可能になっている。また、変速歯車機構250は、車両1の走行方向により回転方向を切り換えて伝達するようになっており、前後進切換え装置としても機能するようになっている。
【0041】
プラネタリギヤDP2は、セカンダリプーリ42に駆動連結されたサンギヤ(第1の回転要素)S2と、第2クラッチC2に駆動連結され入力軸31の回転を入力可能なキャリヤ(第2の回転要素)CR2と、中間軸60を介して駆動軸73に駆動連結されたリングギヤ(第3の回転要素)R2とを有するシングルピニオンプラネタリギヤで構成されている。キャリヤCR2は、サンギヤS2及びリングギヤR2に噛合するピニオンP2を回転自在に支持しており、第1ブレーキB1を介してミッションケース80に固定可能になっている。
【0042】
第1クラッチC1は、無段変速機構40の出力軸48と中間軸60との間に配置されており、係合により出力軸48及び中間軸60を直結して無段変速機構40のみによる低速モードでの伝達経路を形成するようになっている。
【0043】
第2クラッチC2は、入力ギヤ253とキャリヤCR2との間に配置されており、係合により、プラネタリギヤDP2が、入力軸31から入力ギヤ253を介して入力された入力回転と、無段変速機構40から入力された入力回転とを合成し、高速モードでの回転駆動を出力するようになっている。
【0044】
第1ブレーキB1は、係合により、無段変速機構40から入力された入力回転がプラネタリギヤDP2を介して中間軸60を逆回転させ、後進モードの伝達経路を形成するようになっている。
【0045】
以上のように構成された自動変速機210は、図3Aのスケルトン図に示す第1クラッチC1と、第2クラッチC2と、第1ブレーキB1とが、図3Bの係合表に示す組み合わせで係脱されることにより、前進の低速モードと、前進の高速モードと、後進モードとのいずれかが選択されて達成されるか、あるいはいずれも選択されずにニュートラル状態になる。
【0046】
本実施形態の自動変速機210によっても、第1の実施形態と同様に、軸方向から視て、第1軸AX1の中心と第4軸AX4の中心とを結ぶ第1の直線L1を境界として、一方側に第2軸AX2の中心を配置すると共に、他方側に第3軸AX3の中心を配置するので、第2軸AX2又は第3軸AX3を第1軸AX1の下方に配置することができる。このため、自動変速機210の上方への突出を小さくすることができるので、無段変速機構40を備えながらも車両1への搭載性を向上することができる。
【0047】
また、本実施形態の自動変速機210では、第3軸AX3上に配置され、セカンダリプーリ42に駆動連結されたサンギヤS2と、入力軸31の回転を入力可能なキャリヤCR2と、駆動軸73に駆動連結されたリングギヤR2と、を有して駆動軸73の回転を変速可能なプラネタリギヤDP2と、係合時に無段変速機構40を介して入力軸31と駆動軸73とを接続し回転伝達する低速モードを達成可能な第1クラッチC1と、係合時にプラネタリギヤDP2及び無段変速機構40を介して入力軸31と駆動軸73とを接続し、第1クラッチC1の係合時よりも高速に回転伝達する高速モードを達成可能な第2クラッチC2と、を備えている。このため、高速モードにおいては、プラネタリギヤDP2及び無段変速機構40の各動力伝達経路を並列に接続して動力伝達を行うので、無段変速機構40を単独で使用する場合に比べて無段変速機構40のトルク負荷を低減することができる。これにより、燃費を向上できると共に、無段変速機構40の小型化を図ることができる。
【0048】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態に係る自動変速機310を、図4A及び図4Bに沿って説明する。本実施形態は、変速歯車機構350がプラネタリギヤユニットPU1を有している点で第2の実施形態と異なっているが、それ以外の構成は第2の実施形態と同様であるので、同様の構成は符号を同じくして詳細な説明を省略する。
【0049】
本実施形態の変速歯車機構350は、プラネタリギヤユニットPU1と、第1ブレーキ(第1の係合要素)B1と、第1クラッチ(第2の係合要素)C1と、第2ブレーキ(第3の係合要素)B2と、伝達機構90のドライブギヤ91に噛合する入力ギヤ353とを備え、駆動軸73の回転を変速可能になっている。また、変速歯車機構350は、車両1の走行方向により回転方向を切り換えて伝達するようになっており、前後進切換え装置としても機能するようになっている。プラネタリギヤユニットPU1は、プラネタリギヤDP3とプラネタリギヤDP4との2つのシングルピニオンプラネタリギヤを備えており、シンプソン型のプラネタリセットとなっている。
【0050】
プラネタリギヤDP3は、セカンダリプーリ42に駆動連結されたサンギヤ(第1の回転要素)S3と、中間軸60を介して駆動軸73に駆動連結されたキャリヤ(第3の回転要素)CR3と、第1ブレーキB1により回転固定可能なリングギヤ(第4の回転要素)R3とを有するシングルピニオンプラネタリギヤで構成されている。キャリヤCR3は、サンギヤS3及びリングギヤR3に噛合するピニオンP3を回転自在に支持している。
【0051】
プラネタリギヤDP4は、セカンダリプーリ42に駆動連結されたサンギヤ(第1の回転要素)S4と、第1クラッチC1に駆動連結され入力軸31の回転を入力可能なキャリヤ(第2の回転要素)CR4と、キャリヤCR3及び駆動軸73に駆動連結されたリングギヤ(第3の回転要素)R4とを有するシングルピニオンプラネタリギヤで構成されている。キャリヤCR4は、サンギヤS4及びリングギヤR4に噛合するピニオンP4を回転自在に支持しており、第2ブレーキB2を介してミッションケース80に固定可能になっている。
【0052】
第1ブレーキB1は、リングギヤR3に連結されており、係合により、無段変速機構40の出力をプラネタリギヤDP3により減速する低速モードでの伝達経路を形成するようになっている。
【0053】
第1クラッチC1は、入力ギヤ353とキャリヤCR4との間に配置されており、係合により、プラネタリギヤDP4が、入力軸31から入力ギヤ353を介して入力された入力回転と、無段変速機構40から入力された入力回転とを合成し、高速モードでの回転駆動を出力するようになっている。
【0054】
第2ブレーキB2は、係合により、無段変速機構40から入力された入力回転がプラネタリギヤDP4を介して中間軸60を逆回転させ、後進モードの伝達経路を形成するようになっている。
【0055】
以上のように構成された自動変速機310は、図4Aのスケルトン図に示す第1ブレーキB1と、第1クラッチC1と、第2ブレーキB2とが、図4Bの係合表に示す組み合わせで係脱されることにより、前進の低速モードと、前進の高速モードと、後進モードとのいずれかが選択されて達成されるか、あるいはいずれも選択されずにニュートラル状態になる。
【0056】
本実施形態の自動変速機310によっても、第1の実施形態と同様に、軸方向から視て、第1軸AX1の中心と第4軸AX4の中心とを結ぶ第1の直線L1を境界として、一方側に第2軸AX2の中心を配置すると共に、他方側に第3軸AX3の中心を配置するので、第2軸AX2又は第3軸AX3を第1軸AX1の下方に配置することができる。このため、自動変速機310の上方への突出を小さくすることができるので、無段変速機構40を備えながらも車両1への搭載性を向上することができる。
【0057】
また、本実施形態の自動変速機310では、第3軸AX3上に配置され、セカンダリプーリ42に駆動連結されたサンギヤS3,S4と、入力軸31の回転を入力可能なキャリヤCR4と、駆動軸73に駆動連結されたキャリヤCR3及びリングギヤR4と、回転固定自在なリングギヤR3と、を有して駆動軸73の回転を変速可能なプラネタリギヤユニットPU1と、係合時にリングギヤR3の回転を固定してプラネタリギヤユニットPU1及び無段変速機構40を介して入力軸31と駆動軸73とを接続し回転伝達する低速モードを達成可能な第1ブレーキB1と、係合時にプラネタリギヤユニットPU1及び無段変速機構40を介して入力軸31と駆動軸73とを接続し、第1ブレーキB1の係合時よりも高速に回転伝達する高速モードを達成可能な第1クラッチC1と、を備えている。このため、高速モードにおいては、プラネタリギヤDP4及び無段変速機構40の各動力伝達経路を並列に接続して動力伝達を行うので、無段変速機構40を単独で使用する場合に比べて無段変速機構40のトルク負荷を低減することができる。これにより、燃費を向上できると共に、無段変速機構40の小型化を図ることができる。
【0058】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態に係る自動変速機410を、図5A及び図5Bに沿って説明する。本実施形態は、前後進切換え機構50の代わりに変速歯車機構450が配置される点で第1の実施形態と異なっているが、それ以外の構成は第1の実施形態と同様であるので、同様の構成は符号を同じくして詳細な説明を省略する。
【0059】
本実施形態では、第2軸AX2上には、伝達機構90のドリブンギヤ92、変速歯車機構450、無段変速機構40のプライマリプーリ41及び入力軸47が配置されている。また、第3軸AX3上には、無段変速機構40のセカンダリプーリ42及び出力軸48、第1クラッチC1、中間軸60、出力ギヤ61が配置されている。
【0060】
本実施形態の変速歯車機構450は、プラネタリギヤユニットPU2と、第1ブレーキ(第1の係合要素)B1と、第1クラッチ(第2の係合要素)C1と、第2ブレーキ(第3の係合要素)B2と、マウントリングギヤ72に噛合するカウンタギヤ454とを備え、駆動軸73の回転を変速可能になっている。また、変速歯車機構450は、車両1の走行方向により回転方向を切り換えて伝達するようになっており、前後進切換え装置としても機能するようになっている。プラネタリギヤユニットPU2は、プラネタリギヤDP5と、その径方向の外周側に配置したプラネタリギヤDP6との2つのシングルピニオンプラネタリギヤを備えている。
【0061】
内周側に配置されたプラネタリギヤDP5は、プライマリプーリ41に駆動連結されたサンギヤ(第1の回転要素)S5と、カウンタギヤ454に駆動連結されたキャリヤ(第2の回転要素)CR5と、第1ブレーキB1により回転固定可能なリングギヤ(第3の回転要素)R5とを有するシングルピニオンプラネタリギヤで構成されている。キャリヤCR5は、サンギヤS5及びリングギヤR5に噛合するピニオンP5を回転自在に支持している。
【0062】
プラネタリギヤDP5の外周側に配置されたプラネタリギヤDP6は、リングギヤR5に駆動連結されたサンギヤ(第4の回転要素)S6と、キャリヤCR5及びカウンタギヤ454に駆動連結されたキャリヤ(第5の回転要素)CR6と、第2ブレーキB2により回転固定可能なリングギヤ(第6の回転要素)R6とを有するシングルピニオンプラネタリギヤで構成されている。キャリヤCR6は、サンギヤS6及びリングギヤR6に噛合するピニオンP6を回転自在に支持している。
【0063】
尚、プラネタリギヤユニットPU2は、内周側のシングルピニオンタイプのプラネタリギヤDP5と外周側のシングルピニオンタイプのプラネタリギヤDP6とが2階建て構造として組合せられており、サンギヤS5と、内周側にリングギヤR5が形成されると共に外周側にサンギヤS6が形成されている一体の中間ギヤと、リングギヤR6と、サンギヤS5及びリングギヤR5に噛合するピニオンP5とサンギヤS6及びリングギヤR6に噛合すると共に径方向から視てピニオンP5に少なくとも一部が軸方向に重なるように配置されるピニオンP6とを回転自在に支持する共通キャリヤと、を有して構成されている。
【0064】
第1ブレーキB1は、リングギヤR5及びサンギヤS6に連結されており、係合により、入力軸31から入力された入力回転をプラネタリギヤDP5を介して減速し、カウンタギヤ454を介して駆動軸73から出力する固定ギヤモードでの伝達経路を形成するようになっている。
【0065】
第1クラッチC1は、第3軸AX3において、無段変速機構40の出力軸48と中間軸60との間に配置されており、係合により出力軸48及び中間軸60を直結して無段変速機構40のみによる無段変速モードでの伝達経路を形成するようになっている。
【0066】
第2ブレーキB2は、係合により、入力軸31から入力された入力回転がプラネタリギヤユニットPU2を介してカウンタギヤ454を逆回転させ、後進モードの伝達経路を形成するようになっている。
【0067】
以上のように構成された自動変速機410は、図5Aのスケルトン図に示す第1ブレーキB1と、第1クラッチC1と、第2ブレーキB2とが、図5Bの係合表に示す組み合わせで係脱されることにより、前進の固定ギヤ(固定シフト)モードと、前進の無段変速(無段シフト)モードと、後進モードとのいずれかが選択されて達成されるか、あるいはいずれも選択されずにニュートラル状態になる。
【0068】
本実施形態の自動変速機410によっても、第1の実施形態と同様に、軸方向から視て、第1軸AX1の中心と第4軸AX4の中心とを結ぶ第1の直線L1を境界として、一方側に第2軸AX2の中心を配置すると共に、他方側に第3軸AX3の中心を配置するので、第2軸AX2又は第3軸AX3を第1軸AX1の下方に配置することができる。このため、自動変速機410の上方への突出を小さくすることができるので、無段変速機構40を備えながらも車両1への搭載性を向上することができる。
【0069】
また、本実施形態の自動変速機410では、第2軸AX2上に配置され、入力軸31に駆動連結されたサンギヤS5と、駆動軸73に駆動連結されたキャリヤCR5と、回転固定自在なリングギヤR5と、を有して駆動軸73の回転を変速可能なプラネタリギヤDP5と、係合時にリングギヤR5の回転を固定してプラネタリギヤDP5を介して入力軸31と駆動軸73とを接続し回転伝達する固定ギヤモードを達成可能な第1ブレーキB1と、係合時に無段変速機構40を介して入力軸31と駆動軸73とを接続し回転伝達する無段変速モードを達成可能な第1クラッチC1と、を備えている。このため、負荷トルクの比較的大きい低速時に固定ギヤモードで走行し、負荷トルクの比較的小さい高速時に無段変速モードで走行することができるので、燃費を向上することができる。
【0070】
また、本実施形態の自動変速機410では、プラネタリギヤDP5と、第2軸AX2上に配置され、リングギヤR5に駆動連結されて第1ブレーキB1により回転固定自在なサンギヤS6と、キャリヤCR5及び駆動軸73に駆動連結されたキャリヤCR6と、回転固定自在なリングギヤR6と、を有し、駆動軸73の回転を変速可能なプラネタリギヤユニットPU2と、係合時にリングギヤR6の回転を固定してプラネタリギヤユニットPU2を介して入力軸31と駆動軸73とを接続し逆回転伝達する後進モードを達成可能な第2ブレーキB2と、を備えている。このため、プラネタリギヤDP5とプラネタリギヤDP6とを径方向に重ねて配置しているので、軸方向の長さを短くすることができ、自動変速機410の軸方向の長さを短縮して小型化を図ることができる。
【0071】
尚、上述した第1乃至第4の実施形態においては、軸方向から視て、第1軸AX1の中心と第4軸AX4の中心とを結ぶ第1の直線L1を境界として、下側に第2軸AX2の中心を配置し、上側に第3軸AX3の中心を配置した場合について説明したが、これには限られない。例えば、図6に示すように、第1の直線L1を境界として、下側に第3軸AX3の中心を配置し、上側に第4軸AX4の中心を配置するようにしてもよい。この場合も、自動変速機10の上方への突出を小さくすることができるので、無段変速機構40を備えながらも車両1への搭載性を向上することができる。また、この場合、第2及び第3の実施形態のように重量物である変速歯車機構250,350が第3軸AX3に配置されているときに、変速歯車機構250,350が自動変速機10の下部に配置されるようになるので、自動変速機10の重心を下げることができ、搭載した車両1の走行安定性を向上することができる。
【0072】
また、上述した第1乃至第4の実施形態においては、自動変速機10,210,310,410にトルクコンバータ20を備えたものを一例に説明したが、これに限られない。例えば、発進クラッチを備えたものであってもよく、つまり発進時などに、内燃エンジン2からの回転を調整して自動変速機10,210,310,410に入力し得るものであれば、いずれのものを備えていてもよい。
【0073】
また、上述した第1乃至第4の実施形態においては、無段変速機構40としてベルト式無段変速機構40を備えたものを一例に説明したが、これに限られない。無段変速機構40としては、例えば、トロイダル式無段変速機構やコーンリング式無段変速機構等を備えたものであってもよく、つまり変速比を連続的に変更可能なものであれば、いずれのものを備えていてもよい。
【0074】
また、上述した第1乃至第4の実施形態においては、自動変速機10,210,310,410は、駆動源として内燃エンジン2を用いた場合について説明したが、これに限られない。例えば、駆動源として、モータ及び内燃エンジンの組合せ、あるいはモータのみを用いるようにしてもよく、つまりハイブリッド車両や電気自動車などに自動変速機10,210,310,410を用いてもよい。また、これらに限らず、自動変速機を接続し得る駆動源として用いることができるものであれば、どのようなものであってもよい。
【0075】
尚、本実施の形態は、以下の構成を少なくとも備える。本実施の形態の自動変速機(10,210,310,410)は、第1軸(AX1)上に配置され、駆動源(2)に駆動連結された入力部材(30,31)と、前記第1軸(AX1)と前記第1軸(AX1)に平行な第2軸(AX2)との間に設けられ、前記第1軸(AX1)の回転を前記第2軸(AX2)に伝達する伝達機構(90)と、前記第2軸(AX2)上に配置されたプライマリプーリ(41)と、前記第2軸(AX2)と平行な第3軸(AX3)上に配置されたセカンダリプーリ(42)と、それら両プーリ(41,42)に巻回されたベルト(43)と、を有し、変速比を連続的に変更可能な無段変速機構(40)と、前記第3軸(AX3)と平行な第4軸(AX4)上に配置され、前記第3軸(AX3)上のドライブピニオンギヤ(61)と噛合して、変速した回転を出力する出力部材(73)と、を備え、軸方向から視て、前記第1軸(AX1)の中心と前記第4軸(AX4)の中心とを結ぶ第1の直線(L1)を境界として、一方側に前記第2軸(AX2)の中心を配置し、他方側に前記第3軸(AX3)の中心を配置する。
【0076】
この構成によれば、軸方向から視て、第1軸(AX1)の中心と第4軸(AX4)の中心とを結ぶ第1の直線(L1)を境界として、一方側に第2軸(AX2)の中心を配置すると共に、他方側に第3軸(AX3)の中心を配置するので、第2軸(AX2)の中心又は第3軸(AX3)の中心を第1軸(AX1)の中心の下方に配置することができる。このため、プライマリプーリ(41)又はセカンダリプーリ(42)のいずれかの中心を駆動源(2)の駆動軸より下方に配置できるので、プライマリプーリ(41)又はセカンダリプーリ(42)の中心を駆動源(2)の駆動軸と同軸に配置する場合に比べて自動変速機(10,210,310,410)における無段変速機構(40)の配置位置を下げることができる。尚、プライマリプーリ(41)又はセカンダリプーリ(42)のいずれの中心が駆動源(2)の駆動軸より下方に配置されてもよい。これにより、自動変速機(10,210,310,410)の上方への突出を小さくすることができるので、無段変速機構(40)を備えながらも車両(1)への搭載性を向上することができる。また、出力部材(73)の回転方向と第2軸(AX2)及び第3軸(AX3)の回転方向とが、反対方向になる。このため、第2軸(AX2)又は第3軸(AX3)のうちの下方に配置される方の軸に配置されたプーリ(41,42)により掻き揚げられた潤滑油が、出力部材(73)の方向に飛散し難くなる。これにより、出力部材(73)の潤滑油に対する攪拌抵抗を小さくすることができ、燃費を向上することができる。
【0077】
また、本実施の形態の自動変速機(10,210,310,410)では、軸方向から視て、前記第1軸(AX1)の中心と前記第4軸(AX4)の中心とを結ぶ第1の直線(L1)を境界として、下側に前記第2軸(AX2)の中心を配置し、上側に前記第3軸(AX3)の中心を配置する。この構成によれば、第2軸(AX2)に配置された重量物である例えば前後進切換え機構(50)や変速歯車機構(450)等が自動変速機(10,210,310,410)の下部に配置されるようになるので、自動変速機(10,210,310,410)の重心を下げることができ、搭載した車両(1)の走行安定性を向上することができる。また、第3軸(AX3)上に配置されたセカンダリプーリ(42)を第2軸(AX2)上に配置されたプライマリプーリ(41)よりも上方に配置した自動変速機(10,210,310,410)であっても上方への突出を抑えて車両(1)への搭載性を向上できると共に、高速走行時に増速されるセカンダリプーリ(42)による潤滑油の攪拌を抑制することができる。これにより、高速走行時における潤滑油に対する攪拌抵抗を小さくすることができ、燃費を向上することができる。
【0078】
また、本実施の形態の自動変速機(10,210,310,410)では、軸方向から視て、前記第1軸(AX1)の中心と前記第4軸(AX4)の中心とを結ぶ第1の直線(L1)を境界として、下側に前記第3軸(AX3)の中心を配置し、上側に前記第2軸(AX2)の中心を配置する。この構成によれば、自動変速機(10,210,310,410)の上方への突出を小さくすることができるので、無段変速機構(40)を備えながらも車両(1)への搭載性を向上することができる。また、この場合、重量物である例えば変速歯車機構(250,350)が第3軸(AX3)に配置されているときに、変速歯車機構(250,350)が自動変速機(10,210,310,410)の下部に配置されるようになるので、自動変速機(10,210,310,410)の重心を下げることができ、搭載した車両(1)の走行安定性を向上することができる。
【0079】
また、本実施の形態の自動変速機(10,210,310,410)では、軸方向から視て、前記第2軸(AX2)の中心と前記第3軸(AX3)の中心とを結ぶ第2の直線(L2)は、前記第1の直線(L1)に対して、前記第1軸(AX1)の中心と前記第4軸(AX4)の中心との間で交差する。この構成によれば、第3軸(AX3)を第1軸(AX1)よりも後方に配置することができるので、第3軸(AX3)上に配置されたセカンダリプーリ(42)を第1軸(AX1)に駆動連結された駆動源(2)よりも前方に飛び出さないように配置することができる。これにより、自動変速機(10,210,310,410)の前方への突出を小さくすることができるので、無段変速機構(40)を備えながらも車両(1)への搭載性を向上することができる。
【0080】
また、本実施の形態の自動変速機(10)では、前記第2軸(AX2)上に配置され、前記入力部材(30,31)から入力される回転を正転と逆転とで切り換えて前記プライマリプーリ(41)に出力可能な前後進切換え機構(50)を備える。この構成によれば、入力部材(30,31)に入力された駆動源(2)の駆動力を正転と逆転とで切り換えることができるので、車両(1)の前後進を切り換えることができる。
【0081】
また、本実施の形態の自動変速機(10)では、前記前後進切換え機構(50)は、前記第2軸(AX2)上に配置され、前記入力部材(30,31)に駆動連結された第1の回転要素(S1)と前記プライマリプーリ(41)に駆動連結された第2の回転要素(CR1)と回転固定自在な第3の回転要素(R1)とを有して前記出力部材(73)の回転を変速可能なプラネタリギヤ(DP1)と、係合時に前記第2の回転要素(CR1)を介して前記入力部材(30,31)と前記プライマリプーリ(41)とを接続し正回転伝達する前進モードを達成可能な第1の係合要素(C1)と、係合時に前記第3の回転要素(R1)の回転を固定して前記プラネタリギヤ(DP1)を介して前記入力部材(30,31)と前記プライマリプーリ(41)とを接続し逆回転伝達する後進モードを達成可能な第2の係合要素(B1)と、を有する。この構成によれば、プラネタリギヤ(DP1)と第1の係合要素(C1)及び第2の係合要素(B1)という比較的簡素な構成により、前後進切換えを実現することができる。
【0082】
また、本実施の形態の自動変速機(210)では、前記第3軸(AX3)上に配置され、前記セカンダリプーリ(42)に駆動連結された第1の回転要素(S2)と、前記入力部材(30,31)の回転を入力可能な第2の回転要素(CR2)と、前記出力部材(73)に駆動連結された第3の回転要素(R2)と、を有して前記出力部材(73)の回転を変速可能なプラネタリギヤ(DP2)と、係合時に前記無段変速機構(40)を介して前記入力部材(30,31)と前記出力部材(73)とを接続し回転伝達する低速モードを達成可能な第1の係合要素(C1)と、係合時に前記プラネタリギヤ(DP2)及び前記無段変速機構(40)を介して前記入力部材(30,31)と前記出力部材(73)とを接続し、前記第1の係合要素(C1)の係合時よりも高速に回転伝達する高速モードを達成可能な第2の係合要素(C2)と、を備える。この構成によれば、高速モードにおいては、プラネタリギヤ(DP2)及び無段変速機構(40)の各動力伝達経路を並列に接続して動力伝達を行うので、無段変速機構(40)を単独で使用する場合に比べて無段変速機構(40)のトルク負荷を低減することができる。これにより、燃費を向上できると共に、無段変速機構(40)の小型化を図ることができる。
【0083】
また、本実施の形態の自動変速機(310)では、前記第3軸(AX3)上に配置され、前記セカンダリプーリ(42)に駆動連結された第1の回転要素(S3,S4)と、前記入力部材(30,31)の回転を入力可能な第2の回転要素(CR4)と、前記出力部材(73)に駆動連結された第3の回転要素(CR3,R4)と、回転固定自在な第4の回転要素(R3)と、を有して前記出力部材(73)の回転を変速可能なプラネタリギヤユニット(PU1)と、係合時に前記第4の回転要素(R3)の回転を固定して前記プラネタリギヤユニット(PU1)及び前記無段変速機構(40)を介して前記入力部材(30,31)と前記出力部材(73)とを接続し回転伝達する低速モードを達成可能な第1の係合要素と、係合時に前記プラネタリギヤユニット(PU1)及び前記無段変速機構(40)を介して前記入力部材(30,31)と前記出力部材(73)とを接続し、前記第1の係合要素(B1)の係合時よりも高速に回転伝達する高速モードを達成可能な第2の係合要素(C1)と、を備える。この構成によれば、高速モードにおいては、プラネタリギヤ(DP4)及び無段変速機構(40)の各動力伝達経路を並列に接続して動力伝達を行うので、無段変速機構(40)を単独で使用する場合に比べて無段変速機構(40)のトルク負荷を低減することができる。これにより、燃費を向上できると共に、無段変速機構(40)の小型化を図ることができる。
【0084】
また、本実施の形態の自動変速機(410)では、前記第2軸(AX2)上に配置され、前記入力部材(30,31)に駆動連結された第1の回転要素(S5)と、前記出力部材(73)に駆動連結された第2の回転要素(CR5)と、回転固定自在な第3の回転要素(R5)と、を有して前記出力部材(73)の回転を変速可能なプラネタリギヤ(DP5)と、係合時に前記第3の回転要素(R5)の回転を固定して前記プラネタリギヤ(DP5)を介して前記入力部材(30,31)と前記出力部材(73)とを接続し回転伝達する固定ギヤモードを達成可能な第1の係合要素(B1)と、係合時に前記無段変速機構(40)を介して前記入力部材(30,31)と前記出力部材(73)とを接続し回転伝達する無段変速モードを達成可能な第2の係合要素(C1)と、を備える。この構成によれば、負荷トルクの比較的大きい低速時に固定ギヤモードで走行し、負荷トルクの比較的小さい高速時に無段変速モードで走行することができるので、燃費を向上することができる。
【0085】
また、本実施の形態の自動変速機(410)では、前記プラネタリギヤ(DP5)と、前記第2軸(AX2)上に配置され、前記第3の回転要素(R5)に駆動連結されて前記第2の係合要素(B1)により回転固定自在な第4の回転要素(S6)と、前記第2の回転要素(CR5)及び前記出力部材(73)に駆動連結された第5の回転要素(CR6)と、回転固定自在な第6の回転要素(R6)と、を有し、前記出力部材(73)の回転を変速可能なプラネタリギヤユニット(PU2)と、係合時に前記第6の回転要素(R6)の回転を固定して前記プラネタリギヤユニット(PU2)を介して前記入力部材(30,31)と前記出力部材(73)とを接続し逆回転伝達する後進モードを達成可能な第3の係合要素(B2)と、を備える。この構成によれば、プラネタリギヤ(DP5)とプラネタリギヤ(DP6)とを径方向に重ねて配置しているので、軸方向の長さを短くすることができ、自動変速機(410)の軸方向の長さを短縮して小型化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本自動変速機は、例えば車両に搭載される自動変速機に係り、詳しくは、無段変速機構を有する自動変速機に用いて好適である。
【符号の説明】
【0087】
2 内燃エンジン(駆動源)
10 自動変速機
30,31 入力軸(入力部材)
40 無段変速機構
41 プライマリプーリ
42 セカンダリプーリ
43 ベルト
50 前後進切換え機構
61 出力ギヤ(ドライブピニオンギヤ)
73 駆動軸(出力部材)
90 伝達機構
210 自動変速機
310 自動変速機
410 自動変速機
AX1 第1軸
AX2 第2軸
AX3 第3軸
AX4 第4軸
B1 第1ブレーキ(第2の係合要素、第3の係合要素、第1の係合要素)
B2 第2ブレーキ(第3の係合要素)
C1 第1クラッチ(第1の係合要素、第2の係合要素)
C2 第2クラッチ(第2の係合要素)
CR1 キャリヤ(第2の回転要素)
CR2 キャリヤ(第2の回転要素)
CR3 キャリヤ(第3の回転要素)
CR4 キャリヤ(第2の回転要素)
CR5 キャリヤ(第2の回転要素)
CR6 キャリヤ(第5の回転要素)
DP1 プラネタリギヤ
DP2 プラネタリギヤ
DP3 プラネタリギヤ
DP4 プラネタリギヤ
DP5 プラネタリギヤ
DP6 プラネタリギヤ
L1 第1の直線
L2 第2の直線
PU1 プラネタリギヤユニット
PU2 プラネタリギヤユニット
R1 リングギヤ(第3の回転要素)
R2 リングギヤ(第3の回転要素)
R3 リングギヤ(第4の回転要素)
R4 リングギヤ(第3の回転要素)
R5 リングギヤ(第3の回転要素)
R6 リングギヤ(第6の回転要素)
S1 サンギヤ(第1の回転要素)
S2 サンギヤ(第1の回転要素)
S3 サンギヤ(第1の回転要素)
S4 サンギヤ(第1の回転要素)
S5 サンギヤ(第1の回転要素)
S6 サンギヤ(第4の回転要素)
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6