(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発電装置用変換装置および前記交流電源用変換装置は、前記蓄電池用変換装置が前記第1制御を行っている場合、前記発電装置用変換装置および前記交流電源用変換装置から前記線路に供給される電力量の和が、前記負荷装置の消費電力よりも小さくなるように出力抑制制御を行う
請求項5〜請求項8のいずれか1項に記載の電力供給システム。
前記発電装置用変換装置および前記交流電源用変換装置は、前記蓄電池用変換装置が前記第2制御を行っている場合、前記発電装置用変換装置および前記交流電源用変換装置から前記線路に供給される電力量の和が、前記負荷装置の消費電力よりも大きくなるように出力抑制解除(供給)制御を行う
請求項5〜請求項10のいずれか1項に記載の電力供給システム。
蓄電池からの直流電圧を変換して線路に供給する放電動作、および前記線路からの直流電圧を変換して前記蓄電池に供給する充電動作を行なうことが可能な蓄電池用変換装置における電力供給制御方法であって、
前記蓄電池の蓄電量が増加して蓄電量上限値以上になると前記充電動作を回避する第1制御を開始するステップと、
前記蓄電池の前記蓄電量が減少して蓄電量目標値以下になると前記第1制御を停止するステップと、
前記蓄電池の蓄電量が減少して蓄電量下限値以下になると前記放電動作を回避する第2制御を開始するステップと、
前記蓄電池の前記蓄電量が増加して前記蓄電量目標値以上になると前記第2制御を停止するステップとを含む
電力供給制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[1.実施形態の要旨]
一般家庭およびオフィス等において、各種電気機器に供給する電力は、通常、電力系統からの交流電力である。
【0013】
これに対して、例えば、自然エネルギの活用および電力系統の停電時の対処等のために、太陽電池等の発電装置、および蓄電池等を設置し、これら発電装置および蓄電池からの直流電力を交流電力に変換して各種電気機器に供給する直流配電システムが開発されている。この種の直流配電システムとしては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。
【0014】
ところが、特許文献1に記載された技術では、DC/DCコンバータが、DCバスラインにおけるライン電圧を一定値に維持するために、蓄電池の充放電の繰り返し頻度が増加してしまう。そして、蓄電池の充放電の繰り返し頻度が増加すると、その分、蓄電池の寿命が短縮してしまう虞がある。
【0015】
本発明の実施形態は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その要旨としては、少なくとも以下(1)〜(13)に示す構成が含まれる。
(1)ある観点から見た本発明の実施形態に係る蓄電池用変換装置は、蓄電池からの直流電圧を変換して線路に供給する放電動作、および線路からの直流電圧を変換して前記蓄電池に供給する充電動作を行なうことが可能な電圧変換部と、電圧変換部の充電動作および放電動作を制御する制御部と、を備え、制御部が、蓄電池の蓄電量に対する蓄電量目標値、蓄電量上限値および蓄電量下限値を保持し、蓄電池の蓄電量が増加して蓄電量上限値を上回ると充電動作を回避する第1制御を開始し、蓄電池の蓄電量が減少して蓄電量目標値を下回ると第1制御を停止し、蓄電池の蓄電量が減少して蓄電量下限値を上回ると放電動作を回避する第2制御を開始し、蓄電池の蓄電量が増加して蓄電量目標値を下回ると第2制御を停止する。
【0016】
本構成によれば、制御部が第1制御を行う期間と、制御部が第2制御を行う期間とが生じる。そして、制御部が第1制御または第2制御を行う期間では、充電動作または放電動作を回避することから、蓄電池の充放電が繰り返されることがない。これにより、蓄電池の充放電の繰り返し頻度を低減することができるので、蓄電池の長寿命化を図ることができる。
【0017】
(2)また、本発明の実施形態に係る蓄電池用変換装置は、上記制御部が保持する上記蓄電量目標値が、可変であってもよい。
本構成によれば、蓄電量目標値が可変であることにより、蓄電量目標値と蓄電量上限値との差、または、蓄電量目標値と蓄電量下限値との差を適宜設定することができる。従って、制御部が上記第1制御(上記第2制御)を行う期間、即ち、蓄電池の充放電が繰り返されない期間の長さを適宜設定することができる。
【0018】
(3)また、本発明の実施形態に係る蓄電池用変換装置は、上記制御部が、更に、前記蓄電量上限値および前記蓄電量下限値の少なくとも一方を変化させる構成であってもよい。
本構成によれば、蓄電量上限値または蓄電量下限値を変化させることにより、蓄電量が推移する範囲を適宜設定することができる。
【0019】
(4)また、本発明の実施形態に係る蓄電池用変換装置は、上記制御部が、上記蓄電池の種類に基づいて上記蓄電量上限値および上記蓄電量下限値の少なくとも一方を変化させる構成であってもよい。
本構成によれば、蓄電池の蓄電量を、蓄電池の種類に応じた最適な範囲で推移させることができるので、蓄電池の劣化を抑制することができる。
【0020】
(5)また、他の観点から見た本発明の実施形態に係る電力供給システムは、発電装置からの直流電圧を変換して線路に供給する発電装置用変換装置と、交流電源からの交流電圧を直流電圧に変換して前記線路に供給する交流電源用変換装置と、前記線路から供給される直流電圧を変換して負荷装置に供給する負荷用変換装置と、蓄電池からの直流電圧を変換して前記線路に供給する放電動作、および前記線路からの直流電圧を変換して前記蓄電池に供給する充電動作を行なうことが可能な蓄電池用変換装置と、を備える電力供給システムであって、前記蓄電池用変換装置は、前記蓄電池の蓄電量が増加して蓄電量上限値以上になると前記充電動作を回避する第1制御を開始し、前記蓄電池の前記蓄電量が減少して蓄電量目標値以下になると前記第1制御を停止し、前記蓄電池の蓄電量が減少して蓄電量下限値以下になると前記放電動作を回避する第2制御を開始し、前記蓄電池の前記蓄電量が増加して前記蓄電量目標値以上になると前記第2制御を停止する。
本構成によれば、蓄電池用変換装置が第1制御を行う期間と、制御部が第2制御を行う期間とが生じる。そして、蓄電池用変換装置が第1制御または第2制御を行う期間では、充電動作または放電動作を回避することから、蓄電池の充放電が繰り返されることがない。これにより、蓄電池の充放電の繰り返し頻度を低減することができるので、蓄電池の長寿命化を図ることができる。
【0021】
(6)また、本発明の実施形態に係る電力供給システムは、上記蓄電池用変換装置が、上記発電装置の発電電力に基づいて上記蓄電量目標値を変化させる構成であってもよい。
本構成によれば、発電装置で発電される電力の利用率を向上させることができるとともに、交流電源から供給される電力の利用率を低減できる。
【0022】
(7)また、本発明の実施形態に係る電力供給システムは、上記発電装置が、1つ以上の太陽光発電装置および1つ以上の風力発電装置の少なくとも一方から構成され、上記蓄電池用変換装置が、天候の経時変化に基づいて上記蓄電量目標値を変化させる構成であってもよい。
本構成によれば、電力供給システムが、天候の経時変化に基づいて蓄電量目標値を変化させるので、太陽光発電装置から構成される発電装置で生成される電力の使用効率向上を図ることができる。また、上記交流電源から供給される電力が、蓄電池の充電に使用される期間を短縮することにより、自然エネルギの利用率の向上を図ることができる。
【0023】
(8)また、本発明の実施形態に係る電力供給システムは、天候の経時変化を予測する天候予測装置を更に備え、上記蓄電池用変換装置が、天候予測装置から天候の経時変化に関する情報を取得する構成であってもよい。
本構成によれば、電力供給システムが、天候予測装置によって予測された天候の経時変化に基づいて蓄電量目標値を変化させるので、蓄電量目標値を、各時刻における天候にとって最適な値に設定することができる。従って、太陽光発電装置から構成される発電装置で生成される電力の使用効率向上を図ることができる。
【0024】
(9)また、本発明の実施形態に係る電力供給システムは、上記発電装置用変換装置および上記交流電源用変換装置が、上記蓄電池用変換装置が上記第1制御を行っている場合、発電装置用変換装置および交流電源用変換装置から上記線路に供給される電力量の和が、上記負荷装置の消費電力よりも小さくなるように出力抑制制御を行う構成であってもよい。
蓄電池用変換装置が第1制御を行っている場合、蓄電池の充電が行われない。従って、線路の電圧が、目標電圧よりも高めで推移していると、蓄電池の充電により線路の電圧を低下させることができず、線路の電圧と目標電圧との差圧が増大する虞がある。
これに対して、本構成によれば、蓄電池用変換装置が第1制御を行っている場合、発電装置用変換装置および交流電源用変換装置から上記線路に供給される電力量の和が、上記負荷装置の消費電力よりも小さくなるように出力抑制制御を行うので、線路の電圧と目標電圧との差圧を低減できる。
【0025】
(10)また、本発明の実施形態に係る電力供給システムは、上記発電装置用変換装置および上記交流電源用変換装置が、交流電源用変換装置、発電装置用変換装置の優先順位で出力抑制制御を行う構成であってもよい。
本構成によれば、蓄電池用変換装置が上記第1制御を行っている場合において、交流電源用変換装置が、発電装置用変換装置に優先して出力抑制を行うことにより、発電装置から供給される電力の利用率が増加する。従って、自然エネルギの利用率の向上を図ることができる。
【0026】
(11)また、本発明の実施形態に係る電力供給システムは、上記発電装置用変換装置および上記交流電源用変換装置が、上記蓄電池用変換装置が前記第2制御を行っている場合、発電装置用変換装置および交流電源用変換装置から上記線路に供給される電力量の和が、上記負荷装置の消費電力よりも大きくなるように出力抑制解除(供給)制御を行う構成であってもよい。
蓄電池用変換装置が第2制御を行っている場合、蓄電池の放電が行われない。従って、線路の電圧が、目標電圧よりも低めで推移していると、蓄電池の放電により線路の電圧を上昇させることができず、線路の電圧と目標電圧との差圧が増大する虞がある。
これに対して、本構成によれば、蓄電池用変換装置が第2制御を行っている場合、発電装置用変換装置および交流電源用変換装置から上記線路に供給される電力量の和が、上記負荷装置の消費電力よりも大きくなるように出力抑制制御を解除するので、線路の電圧と目標電圧との差圧を低減できる。
【0027】
(12)また、本発明の実施形態に係る電力供給システムは、上記発電装置用変換装置および上記交流電源用変換装置が、発電装置用変換装置、交流電源用変換装置の優先順位で出力抑制制御を解除する構成であってもよい。
本構成によれば、蓄電池用変換装置が上記第2制御を行っている場合において、発電装置用変換装置が、交流電源用変換装置に優先して出力抑制を解除することにより、発電装置から供給される電力の利用率が増加する。従って、自然エネルギの利用率の向上を図ることができる。
【0028】
(13)また、他の観点から見た本発明の実施形態に係る電力供給制御方法は、蓄電池からの直流電圧を変換して線路に供給する放電動作、および前記線路からの直流電圧を変換して前記蓄電池に供給する充電動作を行なうことが可能な蓄電池用変換装置における電力供給制御方法であって、前記蓄電池の蓄電量が増加して蓄電量上限値以上になると前記充電動作を回避する第1制御を開始するステップと、前記蓄電池の前記蓄電量が減少して蓄電量目標値以下になると前記第1制御を停止するステップと、前記蓄電池の蓄電量が減少して蓄電量下限値以下になると前記放電動作を回避する第2制御を開始するステップと、前記蓄電池の前記蓄電量が増加して前記蓄電量目標値以上になると前記第2制御を停止するステップとを含む。
本構成によれば、第1制御を行う期間と、制御部が第2制御を行う期間とが生じる。そして、第1制御または第2制御を行う期間では、充電動作または放電動作を回避することから、蓄電池の充放電が繰り返されることがない。これにより、蓄電池の充放電の繰り返し頻度を低減することができるので、蓄電池の長寿命化を図ることができる。
【0029】
[2.実施形態の詳細]
<1>構成
図1は、本実施形態に係る電力供給システム201の構成を示す図である。
電力供給システム201は、蓄電池用変換装置101と、発電装置102と、発電装置用変換装置103と、交流電源104と、交流電源用変換装置105と、蓄電池106と、負荷用変換装置107とを備える。
【0030】
ここで、蓄電池用変換装置101、発電装置用変換装置103、交流電源用変換装置105および負荷用変換装置107は、線路151と電気的に接続されている。
【0031】
電力供給システム201は、例えば、太陽光自立電源システム等の分散電源システムであり、線路151を介して負荷装置108に電力を供給する。なお、電力供給システム201は、系統連系を行なってもよい、即ち、線路151からの電力供給先が交流電源104側であってもよい。
【0032】
電力供給システム201では、例えば、発電装置102において発電された直流電力が、発電装置用変換装置103において昇圧されて蓄電池106に充電されるか、あるいは負荷用変換装置107によって交流電力に変換されて負荷装置108に供給される。蓄電池用変換装置101により、蓄電池106の充放電が制御される。
【0033】
発電装置102は、自然エネルギを利用した発電装置、例えば太陽光発電装置または風力発電機であり、発電した直流電力を発電装置用変換装置103へ出力する。発電装置102の出力電力は、例えば2.4kWである。
【0034】
発電装置用変換装置103は、例えばDC/DCコンバータであり、発電装置102から受けた直流電力を異なる電圧値の直流電力に変換して線路151へ出力する。発電装置用変換装置103は、MPPT(最大電力点追従)制御を行なうことにより、発電装置102の出力電力の最大化を図る。また、発電装置用変換装置103は、線路151の電圧を監視することにより、蓄電池用変換装置101における後述の蓄電量制御の状態を自立的に判断することができる。
【0035】
蓄電池106は、例えば、鉛電池、リチウムイオン電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池、レドックスフロー電池、NAS電池、電気二重層キャパシタ、またはLiイオンキャパシタである。蓄電池106は、例えば、起電力が12Vであり、容量が105Ahであり、出力電力が5kWhであり、4直列の鉛蓄電池である。あるいは、蓄電池106は、例えば、起電力が30Vであり、容量が40Ahであり、出力電力が2.4kWhであり、2直列のLiイオン電池である。
【0036】
蓄電池用変換装置101は、双方向DC/DCコンバータであり、放電動作において、蓄電池106からの直流電力を異なる電圧値の直流電力に変換して線路151へ出力し、充電動作において、線路151からの直流電力を異なる電圧値の直流電力に変換して蓄電池106へ出力する。
【0037】
交流電源用変換装置105は、力率改善回路等を含むAC/DCコンバータであり、商用電力系統等における交流電源104から受けた100Vの交流電力を直流電力に変換して線路151へ出力する。例えば、交流電源用変換装置105は、線路151に供給する電流を一定値に制御する定電流制御を行なう。また、交流電源用変換装置105は、線路151の電圧を監視することにより、蓄電池用変換装置101における後述の蓄電量制御の状態を自立的に判断することができる。
【0038】
負荷用変換装置107は、例えばDC/ACコンバータであり、線路151からの直流電力を例えば100Vの交流電力に変換して負荷装置108へ出力する。負荷装置108は、例えば家電機器である。なお、負荷用変換装置107は、負荷装置108の種類に応じて、DC/DCコンバータとすることも可能である。
【0039】
蓄電池用変換装置101、発電装置用変換装置103、交流電源用変換装置105および負荷用変換装置107による線路151の合成容量は9mFである。この合成容量と負荷装置108の消費電力とにより、蓄電池106の充放電時における線路151の電圧上昇および電圧下降の傾きが決まる。
【0040】
図2は、本発明の実施の形態に係る蓄電池用変換装置の構成を示す図である。
蓄電池用変換装置101は、測定部11と、制御部12と、設定部14と、電圧変換部13と、電圧測定器36,37と、電流測定器38とを備える。
制御部12は、コンピュータを有して構成されている。そして、制御部12の各機能は、コンピュータが所定のコンピュータプログラムを実行することにより実現されている。ここで、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、I/Oインターフェースおよびこれらを互いに接続するバス等からなる。なお、制御部11は、必ずしも1つのコンピュータから構成されているものに限定されるものではなく、複数のコンピュータから構成されているものであってもよい。制御部12は、PI演算部20と、充放電判定部21と、電池残量算出部22と、蓄電量制御部25と、を含む。
【0041】
設定部14は、制御部12の動作を規定する各種パラメータの設定を行う。設定部14は、例えば、周知のユーザインターフェース等を利用したものから構成される。
電圧変換部13は、PWM(Pulse Width Modulation)回路23と、昇降圧チョッパ回路24とを含む。昇降圧チョッパ回路24は、キャパシタ31,35と、コイル32と、トランジスタ33,34とを含む。
なお、昇降圧チョッパ回路24は、トランジスタの代わりに他の種類のスイッチング素子を含む構成であってもよい。
【0042】
電圧変換部13は、蓄電池106からの直流電圧を変換して線路151に供給する放電動作、および線路151からの直流電圧を変換して蓄電池106に供給する充電動作を行なうことが可能である。制御部12は、電圧変換部13の充電動作および放電動作を制御
する。
【0043】
また、電圧測定器37は、線路151の電圧Vdcを測定し、測定値を測定部11へ出力する。電圧測定器36は、蓄電池106の例えば端子間の電圧である電池電圧Vbを測定し、測定値を測定部11へ出力する。電流測定器38は、蓄電池106および電圧変換部13間を流れる電流、具体的には蓄電池106に入力または出力される電池電流Ibdcを測定し、測定値を測定部11へ出力する。
【0044】
測定部11は、電圧Vdc、電池電圧Vbおよび電池電流Ibdcの測定値をPI演算部20へ出力し、電圧Vdcの測定値を充放電判定部21へ出力する。また、測定部11は、蓄電池106の充電時間および放電時間を測定し、充電時間および放電時間、並びに電池電圧Vbおよび電池電流Ibdcの測定値を電池残量算出部22へ出力する。
【0045】
充放電判定部21は、測定部11から入力される電圧Vdcに基づいて、蓄電池106の充電動作開始の指令および蓄電池106の放電動作開始の指令のいずれかを、蓄電量制御部25へ出力する。
【0046】
電池残量算出部22は、測定部11から受けた蓄電池106の充電時間および放電時間、ならびに電池電圧Vbおよび電池電流Ibdcの測定値に基づいて蓄電池106の蓄電量(充電率)を算出する。そして、電池残量算出部22は、算出した蓄電量を蓄電量制御部25へ出力する。
【0047】
図3は、本実施形態に係る蓄電池106の蓄電量(充電率)Qと電池電圧Vbとの対応関係の一例を示す図である。
蓄電池106は、例えば一般始動用またはサイクル用の液式鉛蓄電池から構成される。蓄電池106は、蓄電量(充電率)が100%のときの電池電圧即ち起電力が12.72Vであり、蓄電量が下がるにつれて起電力が小さくなり、蓄電量が25%のときの起電力が11.82Vとなる。
【0048】
例えば、蓄電池用変換装置101は、
図3の対応関係を示す情報を記憶している。電池残量算出部22は、測定部11から受けた蓄電池106の充電時間および放電時間、ならびに電池電圧Vbおよび電池電流Ibdcの測定値に基づいて、蓄電池106の起電力、即ち蓄電池106の端子電圧から蓄電池106の内部抵抗を通して流れる電流による電圧分が除外された電圧値を算出する。そして、電池残量算出部22は、
図3に示す対応関係を示す情報を参照して、蓄電池106の起電力から蓄電池106の蓄電量を算出する。
【0049】
図2に戻って、蓄電量制御部25は、電池残量算出部22が算出した蓄電量(充電率)に基づいて、蓄電量制御を行うか否かの判断を行う。蓄電量制御部25は、蓄電量目標値、蓄電量上限値および蓄電量下限値を保持している。これらの値は、ユーザが設定部14を使用して適宜変更することができる。
蓄電量制御部25が、蓄電量制御を回避する(蓄電量制御OFF)。この場合、蓄電量制御部25は、充放電判定部21の判断結果をそのままPI演算部20へ出力する。一方、蓄電量制御部25が、蓄電量制御を行う(蓄電量制御ON)とする。この場合、蓄電量制御部25は、充放電判定部21から入力される、充電動作開始の指令および放電動作開始の指令のいずれか一方を、強制的に充放電停止の指令に変換して、PI演算部20へ出力する。また、蓄電量制御部25は、蓄電量制御に関する情報を発電装置用変換装置103および交流電源用変換装置105に入力する。
【0050】
PI演算部20は、蓄電量制御部25から入力される指令内容と、測定部11から入力される電圧Vdc、電池電圧Vbおよび電池電流Ibdcの測定値に基づいてPI(比例積分)演算を行ない、後述のトランジスタ33,34のスイッチングのデューティ比を算出して電圧変換部13へ出力する。
【0051】
電圧変換部13は、PWM回路23と、昇降圧チョッパ回路24とを備える。
PWM回路23は、PI演算部20から入力されるデューティ比に従って、昇降圧チョッパ回路24におけるトランジスタ33,34用のPWM制御信号をそれぞれ生成し、トランジスタ33,34へ出力する。
【0052】
トランジスタ33,34は、例えば逆流阻止ダイオードを有するIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であり、PWM回路23から受けたPWM制御信号に基づいてスイッチングする。これにより、例えば、蓄電池106の放電動作において、蓄電池106の電池電圧Vbが昇圧されて線路151に供給され、蓄電池106の充電動作において、線路151の電圧Vdcが降圧されて蓄電池106に供給される。
【0053】
電圧変換部13は、例えば蓄電池106の充電動作として定電流充電を行ない、蓄電池106の放電動作として定電流放電を行なう。
ここにおいて、制御部12は、蓄電池106の充電動作において、トランジスタ33を常時オフし、蓄電池106の入力電流Ibdcが所定値になるようにトランジスタ34をスイッチングさせる。また、制御部12は、蓄電池106の放電動作において、トランジスタ34を常時オフし、蓄電池106の出力電流Ibdcが所定値になるようにトランジスタ33をスイッチングさせる。
【0054】
また、制御部12は、充電動作において電圧変換部13から蓄電池106へ流れる電流の電流が一定値に制御し、かつ放電動作において蓄電池106から電圧変換部13へ流れる電流を一定値に制御する。
この一定値は、例えばユーザによって予め設定される。そして、制御部12は、蓄電池106の充電動作および放電動作において、測定部11によって測定される電流Ibdcが予め設定された一定値となるようにトランジスタ33,34を制御する。
【0055】
図4は、本発明の実施の形態に係る発電装置用変換装置103の構成を示す図である。
発電装置用変換装置103は、測定部41と、制御部42と、電圧変換部43と、電圧測定器66,67と、電流測定器68とを備える。電圧変換部43は、PWM回路51と、昇圧チョッパ回路52とを含む。昇圧チョッパ回路52は、キャパシタ61,65と、コイル62と、トランジスタ63と、ダイオード64とを含む。
【0056】
ここで、電圧測定器67は、線路151の電圧Vdcを測定し、測定値を測定部41へ出力する。電圧測定器66は、発電装置102の例えば端子間の電圧である発電電圧Vgを測定し、測定値を測定部41へ出力する。電流測定器68は、発電装置102から出力される発電電流Igを測定し、測定値を測定部41へ出力する。
【0057】
測定部41は、電圧Vdc、発電電圧Vgおよび発電電流Igの測定値を制御部42へ出力する。
制御部42は、例えば、測定部41から入力される電圧Vdc、発電電圧Vgおよび発電電流Igの測定値に基づいてPI(比例積分)演算を行ない、トランジスタ63のスイッチングのデューティ比を算出して電圧変換部43へ出力する。また、制御部42は、蓄電池用変換装置101から入力される蓄電量制御に関する情報に基づいて、MPPT制御を行う。
【0058】
PWM回路51は、制御部42から入力されるデューティ比に従ってPWM制御信号を生成し、昇圧チョッパ回路52におけるトランジスタ63へ出力する。
トランジスタ63は、例えばIGBTであり、PWM回路51から入力されるPWM制御信号に基づいてスイッチングする。これにより、例えば、発電装置102の発電電圧Vgが昇圧されて線路151に供給される。
【0059】
<2>動作
<2−1>基本動作
まず、本実施形態に係る蓄電池用変換装置101の基本動作について説明する。
ここでは、蓄電池用変換装置が、充電不許可モードで蓄電量制御を行う場合と、充電不許可モードで蓄電量制御を行う場合とに分けて説明する。ここで、「充電不許可モード」とは、蓄電池106の放電は行うが充電は回避する動作方式を意味する。また、「放電不許可モード」とは、蓄電池106の充電は行うが放電は回避する動作方式を意味する。
【0060】
<2−1−1>蓄電池用変換装置が充電不許可モードで蓄電量制御を行う場合
まず、蓄電池用変換装置が、充電不許可モードで蓄電量制御を行う場合について説明する。
図5は、本実施形態に係る蓄電池用変換装置101の充放電動作の一例を示す図である。ここで、Qloは、蓄電値106の蓄電量Qの下限値を示し、Qhiは、蓄電量Qの上限値を示す。
まず、蓄電池用変換装置101が、蓄電量制御を停止した状態(OFF状態)で動作していたとする。
そして、線路151の電圧(以下、「線路電圧」と称する。)Vdcが目標電圧Vdc0よりも大きい場合、蓄電池用変換装置101が蓄電池106の充電を行うことにより、蓄電池106の蓄電量Qが増加していく(時刻T10〜時刻T12)。
【0061】
時刻T10〜時刻T12の期間において、発電装置102の発電電力(以下、単に「発電電力」と称する。)と、交流電源104から供給される電力(以下、「系統電力」と称する。)の和が、負荷装置108の消費電力よりも大きい場合、線路電圧Vdcが上昇する(時刻T10〜時刻T11)。ここで、「発電電力」は、発電装置用変換装置102から線路151に供給される電力に相当する。また、「系統電力」は、交流電源用変換装置105から線路151に供給される電力に相当する。
一方、発電電力と系統電力の和が、負荷装置108の消費電力よりも小さい場合、線路電圧Vdcが下降する(時刻T11〜時刻T12)。つまり、線路電圧Vdcは、発電電力と系統電力の和と、負荷装置108の消費電力との大小関係に応じて、上昇したり下降したりする。
時刻T12以降における線路電圧Vdcの上昇または下降の原理は、時刻T10〜時刻T12における線路電圧Vdcの上昇または下降の原理と同じなので以下説明を適宜省略する。
【0062】
その後、線路電圧Vdcが下降して目標電圧Vdc0よりも小さくなると、蓄電池用変換装置101は、蓄電池106の放電を行うことにより、蓄電池106の蓄電量Qが減少していく(時刻T12〜時刻T14)。
【0063】
その後、線路電圧Vdcの上昇により線路電圧Vdcが目標電圧Vdc0よりも大きくなると、蓄電池用変換装置101は、再び、蓄電池106の充電を行い、蓄電池106の蓄電量Qが増加していく(時刻T14〜時刻T15)。
そして、蓄電池106の蓄電量Qが蓄電量上限値Qhiに到達すると、蓄電池用変換装置101は、充電不許可モードで蓄電量制御を開始(ON)する(時刻T15)。ここで、「蓄電量上限値Qhiに到達する」とは、厳密に蓄電量上限値Qhiに等しくなることまでを意味するものではなく、蓄電量上限値Qhi近傍の所定の範囲内に到達することをいう。
【0064】
蓄電池用変換装置101が充電不許可モードで蓄電量制御を行っている場合、線路電圧Vdcが目標電圧Vdc0よりも大きいとき、蓄電池用変換装置101は、充電および放電の両方を停止し、蓄電池106の蓄電量が一定に維持される(時刻T15〜時刻T16)。即ち、蓄電池用変換装置101は、線路電圧Vdcが目標電圧Vdc0よりも大きい場合において充電動作を回避する。
【0065】
その後、線路電圧Vdcが下降して目標電圧Vdc0よりも小さくなると、蓄電池用変換装置101は、蓄電池106の放電を行い、蓄電池106の蓄電量Qが減少していく(時刻T16〜時刻T18)。
【0066】
その後、線路電圧Vdcが上昇して目標電圧Vdc0よりも大きくなると、蓄電池用変換装置101は、再び、充電および放電の両方を停止(充電動作を回避)し、蓄電池106の蓄電量Qが一定に維持される(時刻T18〜時刻T20)。
【0067】
その後、線路電圧Vdcが下降して目標電圧Vdc0よりも小さくなると、蓄電池用変換装置101は、蓄電池106の放電を行う(時刻T20〜時刻T21)。ここにおいて、蓄電池106の蓄電量Qは、放電により減少していく。
そして、蓄電池106の蓄電量Qが蓄電量目標値Q0に到達すると、蓄電池用変換装置101は、蓄電量制御を停止(OFF)する(時刻T21)。
【0068】
その後、線路電圧Vdcが上昇して電圧目標値Vdc0よりも大きくなると、蓄電池用変換装置101は、再び、充電を行う(時刻T22以降)。ここにおいて、蓄電池106の蓄電量Qは、充電により上昇していく。
【0069】
<2−1−2>蓄電池用変換装置が放電不許可モードで蓄電量制御を行う場合
次に、蓄電池用変換装置101が、充電不許可モードで蓄電量制御を行う場合について説明する。
図6は、本実施形態に係る蓄電池用変換装置の充放電動作の一例を示す図である。
ここで、
図6中の記号の意味は、
図5と同じである。
【0070】
まず、蓄電池用変換装置101が、蓄電量制御を停止した状態(OFF状態)で動作していたとする。
そして、線路電圧Vdcが目標電圧Vdc0よりも小さい場合、蓄電池用変換装置101は、蓄電池106の放電を行い、蓄電池106の蓄電量Qが減少していく(時刻T50〜時刻T52)。
【0071】
ここにおいて、線路電圧Vdcが、発電電力と系統電力の和と、負荷装置108の消費電力との大小関係に応じて、上昇したり下降したりする点は、前述の時刻T10〜時刻T12における線路電圧Vdcの上昇または下降の原理と同じである。また、時刻T52以降における線路電圧Vdcの上昇または下降の原理は、前述の時刻T50〜時刻T52における線路電圧Vdcの上昇または下降の原理と同じなので以下説明を適宜省略する。
【0072】
その後、線路電圧Vdcが上昇して目標電圧Vdc0を上回ると、蓄電池用変換装置101は、蓄電池106の充電を行い、蓄電池106の蓄電量Qが充電により増加していく(時刻T52〜時刻T54)。
【0073】
その後、線路電圧Vdcが下降して目標電圧Vdc0を下回ると、蓄電池用変換装置101は、再び、蓄電池106の放電を行い、蓄電池106の蓄電量Qが減少していく(時刻T54〜時刻T55)。
そして、蓄電池106の蓄電量Qが蓄電量下限値Qloに到達すると、蓄電池用変換装置101は、放電不許可モードで蓄電量制御を開始(ON)する(時刻T55)。ここで、「蓄電量下限値Qloに到達する」とは、厳密に蓄電量下限値Qloに等しくなることまでを意味するものではなく、蓄電量下限値Qlo近傍の所定の範囲内に到達することをいう。
【0074】
蓄電池用変換装置101が放電不許可モードで蓄電量制御を行っている場合において、線路電圧Vdcが目標電圧Vdc0を下回っているとき、蓄電池用変換装置101は、充電および放電の両方を停止し、蓄電池106の蓄電量が一定に維持される(時刻T55〜時刻T56)。即ち、蓄電池用変換装置101は、線路電圧Vdcが目標電圧Vdc0よりも小さい場合において放電動作を回避する。
【0075】
その後、線路電圧Vdcが上昇して目標電圧Vdc0を上回ると、蓄電池用変換装置101は、蓄電池106の充電を行い、蓄電池106の蓄電量Qが増加していく(時刻T56〜時刻T58)。
【0076】
その後、線路電圧Vdcが下降して目標電圧Vdc0を下回ると、蓄電池用変換装置101は、再び、充電および放電の両方を停止(放電動作を回避)し、蓄電池106の蓄電量Qが一定に維持される(時刻T58〜時刻T60)。
【0077】
その後、線路電圧Vdcが上昇して目標電圧Vdc0を上回ると、蓄電池用変換装置101は、蓄電池106の充電を行う(時刻T60〜時刻T61)。ここにおいて、蓄電池106の蓄電量Qは、充電により増加していく。
そして、蓄電池106の蓄電量Qが蓄電量目標値Q0に到達すると、蓄電池用変換装置101は、蓄電量制御を停止(OFF)する(時刻T61)。
【0078】
その後、線路電圧Vdcが下降して目標電圧Vdc0を下回ると、蓄電池用変換装置101は、再び、放電を行い、蓄電池106の蓄電量Qが下降していく(時刻T63以降)。
【0079】
なお、以上の説明において、線路151の電圧Vdcは、正電圧に限らず、負電圧であってもよい。負電圧の場合、電圧の「上昇」は、例えば電圧絶対値が大きくなる方向に電圧の大きさが変わることを意味し、電圧の「下降」は、例えば電圧絶対値が小さくなる方向に電圧の大きさが変わることを意味する。
【0080】
<2−2>蓄電池用変換装置の動作の詳細
次に、蓄電池用変換装置101の動作の詳細について説明する。
図7〜
図10は、本実施形態に係る蓄電池用変換装置101による電力供給動作の手順を示すフローチャートである。
【0081】
図7に示すように、まず、蓄電池用変換装置101は、蓄電量制御を停止した状態で動作する(ステップS1)。
【0082】
図8は、蓄電量制御を停止した状態における蓄電池用変換装置101の動作を示すフローチャートである。
図8において、「停止モード」では、蓄電池用変換装置101が蓄電池106の充電動作および放電動作を停止する。また、「充電モード」では、蓄電池用変換装置101が蓄電池106の充電動作を行い、「放電モード」では、蓄電池用変換装置101が蓄電池106の放電動作を行う。
【0083】
図8に示すように、蓄電池用変換装置101は、線路電圧Vdcが目標電圧Vdc0よりも大きいか否かを判定する(ステップS11)。具体的には、充放電判定部21が、線路電圧Vdcが目標電圧Vdc0よりも大きいか否かを判定する。
【0084】
ステップS11において、線路電圧Vdcが目標電圧Vdc0よりも大きいと判定されると(ステップS11:Yes)、蓄電池用変換装置101は、充電モードとなる(ステップS12)。このとき、制御部12は、電圧変換部13のトランジスタ33を常時オフし、蓄電池106の入力電流Ibdcが所定値になるようにトランジスタ34をスイッチングさせる。
【0085】
一方、ステップS11において、線路電圧Vdcが目標電圧Vdc0以下と判定されると(ステップS11:No)、蓄電池用変換装置101は、線路電圧Vdcが目標電圧Vdc0よりも小さいか否かを判定する(ステップS13)。
【0086】
ステップS13において、線路電圧Vdcが目標電圧Vdc0よりも小さいと判定されると(ステップS13:Yes)、蓄電池用変換装置101は放電モードとなる(ステップS14)。このとき、制御部12は、電圧変換部13のトランジスタ34を常時オフし、蓄電池106の出力電流Ibdcが所定値になるようにトランジスタ33をスイッチングさせる。
【0087】
一方、ステップS13において、線路電圧Vdcが目標電圧Vdc0に等しいと判定されると(ステップS13:No)、蓄電池用変換装置101は、停止モードとなる(ステップS15)。このとき、制御部12は、電圧変換部13のトランジスタ33,34の両方の動作を停止させる。
【0088】
図7に戻って、ステップS1の後、蓄電池用変換装置101が、蓄電池106の蓄電量Qが蓄電量上限値Qhiを上回ったか否かを判定する(ステップS2)。
ステップS2において、蓄電量Qが蓄電量上限値Qhiを上回ったと判定されると(ステップS2:Yes)、蓄電池用変換装置101が、充電不許可モードで蓄電量制御を行う(蓄電量制御ON)(ステップS3)。
【0089】
図9は、充電不許可モードで蓄電量制御を行う場合の蓄電池用変換装置101の動作を示すフローチャートである。
図9において、「停止モード」、「充電モード」および「放電モード」における蓄電池用変換装置101の動作は、前述と同様である。
図9に示すように、ステップS3における蓄電池用変換装置101の動作は、
図8に示す動作と略同じであり、ステップS11において、線路電圧Vdcが目標電圧Vdc0よりも大きいと判定されると(ステップS11:Yes)、蓄電池用変換装置101が停止モードとなる(ステップS22)点が相違する。蓄電池用変換装置101は、充電不許可モードで蓄電量制御を行う場合、線路電圧Vdcが目標電圧Vdc0より大きくても充電は回避する。
【0090】
図7に戻って、ステップS3の後、蓄電池用変換装置101が、蓄電池106の蓄電量Qが蓄電量目標値Q0を下回ったか否かを判定する(ステップS4)。
ステップS4において、蓄電量Qが蓄電量目標値Q0を下回らないと判定されると(ステップS4:No)、蓄電池用変換装置101は、充電不許可モードで蓄電量制御を継続する(ステップS3)。一方、ステップS4において、蓄電量Qが蓄電量目標値Q0を下回ったと判定されると(ステップS4:Yes)、蓄電池用変換装置101は、蓄電量制御を停止する(ステップS1)。
【0091】
また、ステップS2において、蓄電量Qが蓄電量上限値Qhiを上回っていないと判定されると(ステップS2:No)、蓄電池用変換装置101は、蓄電池106の蓄電量Qが蓄電量下限値Qloを下回ったか否かを判定する(ステップS5)。
【0092】
ステップS5において、蓄電量Qが蓄電量下限値Qloを下回っていないと判定されると(ステップS5:No)、蓄電池用変換装置101は、蓄電量制御の停止を継続する(ステップS1)。一方、ステップS5において、蓄電量Qが蓄電量下限値Qloを下回ったと判定されると(ステップS5:Yes)、蓄電池用変換装置101は、放電不許可モードで蓄電量制御を行う(ステップS6)。
【0093】
図10は、放電不許可モードで蓄電量制御を行う場合の蓄電池用変換装置101の動作を示すフローチャートである。
図10において、「停止モード」、「充電モード」および「放電モード」における蓄電池用変換装置101の動作は、前述と同様である。
図10に示すように、ステップS6における蓄電池用変換装置101の動作は、
図8に示す動作と略同じであり、ステップS13において、線路電圧Vdcが目標電圧Vdc0よりも小さいと判定されると(ステップS13:Yes)、蓄電池用変換装置101が停止モードとなる(ステップS22)点が相違する。蓄電池用変換装置101は、放電不許可モードで蓄電量制御を行う場合、線路電圧Vdcが目標電圧Vdc0より小さくても放電は回避する。
【0094】
図7に戻って、ステップS6の後、蓄電池用変換装置101が、蓄電池106の蓄電量Qが蓄電量目標値Q0を上回ったか否かを判定する(ステップS7)。
【0095】
ステップS7において、蓄電量Qが蓄電量目標値Q0を上回っていないと判定されると(ステップS7:No)、蓄電池用変換装置101は、放電不許可モードで蓄電量制御を継続する(ステップS6)。一方、ステップS7において、蓄電量Qが蓄電量目標値Q0を上回ったと判定されると、蓄電池用変換装置101は、蓄電量制御を停止する(ステップS1)。
【0096】
<2−2>蓄電量目標値の設定方法について
次に、本実施形態に係る蓄電池用変換装置101における蓄電量目標値の設定方法について説明する。
蓄電量目標値Q0は、ユーザが設定部14を使用して変更することができる。これにより、蓄電量目標値Q0と蓄電量上限値Qhiとの差、または、蓄電量目標値Q0と蓄電量下限値Qloとの差を適宜設定することができる。従って、制御部12が充電不許可モード(放電不許可モード)で蓄電量制御を行う期間、即ち、蓄電池106の充放電が繰り返されない期間の長さをユーザが所望する長さに適宜設定することができる。
【0097】
例えば、発電装置102が太陽光発電装置から構成されているとする。この場合、蓄電量目標値は、天候によって変化させるのが好ましい。
発電装置102が太陽光発電装置から構成される場合、発電装置102の発電電力は、天候によって異なる。例えば、「晴れ」の場合は、発電電力が大きくなり、「雨」の場合は発電電力が小さくなる。そこで、蓄電量目標値Q0を発電装置102の発電電力に基づいて変化させるのが好ましい。
【0098】
具体的には、発電装置102の発電電力が大きい場合は、蓄電池106が充電される期間が長くなるように蓄電量目標値Q0を高めに設定すればよい。一方、発電装置102の発電電力が小さい場合は、線路151への電力供給元として交流電源104が支配的になるため、蓄電池106の充電期間が短くなるように蓄電量目標値Q0を低めに設定すればよい。これにより、発電装置102で発電される電力の利用率を向上させることができるとともに、交流電源104から供給される電力の利用率を低減できる。
【0099】
下記表1に、蓄電量上限値Qhi、蓄電量目標値Q0、蓄電量下限値Qloの一例を示す。
【表1】
【0100】
表1に示すように、蓄電量目標値Q0は、天候が晴れの場合、75[%]に設定され、天候が雨の場合、25[%]に設定される。ここにおいて、天候が「晴れ」であれば、発電装置102の発電電力が増加する。従って、充電不許可モードで蓄電量制御を行う期間を短縮することにより、なるべく発電電力のロスを少なくするのが好ましい。そこで、蓄電量目標値Q0を比較的高めの75%に設定し、充電不許可モードで蓄電量制御を行う期間を短縮している。
【0101】
一方、天候が「雨」であれば、発電装置102の発電電力が減少し、線路151に供給される電力は、交流電源104から供給される電力が支配的になる。
ここにおいて、自然エネルギの利用率の向上を図るためには、交流電源104から供給される電力が蓄電池106の充電に用いられる期間が短いほうが有利である。従って、放電不許可モードで蓄電量制御を行う期間を短縮することにより、交流電源104から供給される電力により蓄電池106を充電する期間を短縮するのが好ましい。そこで、蓄電量目標値Q0を比較的低めの25%に設定し、充電不許可モードで蓄電量制御を行う期間を短縮している。
【0102】
以上のように、本実施形態に係る電力供給システム201では、蓄電池用変換装置101が、天候の経時変化に基づいて蓄電量目標値Q0を変化させるので、発電装置102で発電される電力の利用率の最適化を図ることができる。
また、交流電源104から供給される電力が、蓄電池106の充電に使用される期間を短縮することにより、自然エネルギの利用率の向上を図ることができる。
【0103】
<2−4>発電装置用変換装置103および交流電源用変換装置105の出力抑制制御について
次に、発電装置用変換装置103および交流電源用変換装置105の出力抑制制御について説明する。
ここでは、発電装置用変換装置103および交流電源用変換装置105が、発電電力および系統電力の和と、負荷装置108の消費電力とのいずれか一方が他方よりも大きくなるように、出力抑制制御を行う。
【0104】
図11は、本実施形態に係る蓄電池用変換装置101による電力供給動作の一例を示す図である。
蓄電池用変換装置101が、蓄電量制御を停止(蓄電量制御OFF)しているとする。そして、発電装置102の発電電力が大きく、発電電力および系統電力の和が負荷装置108の消費電力よりも大きいとする。この場合、線路電圧Vdcが目標電圧Vdc0よりも大きくなり、蓄電池用変換装置101が蓄電池106の充電を行う。すると、蓄電池106の蓄電量Qは、増加していく。
【0105】
そして、蓄電量Qの増加により、蓄電量Qが蓄電量上限値Qhiよりも小さい状態から、蓄電量Qが蓄電量上限値Qhiよりも大きい状態に変化すると、蓄電池用変換装置101は、充電不許可モードで蓄電量制御を開始(蓄電量制御ON)する。このとき、蓄電池用変換装置101は、停止モードと放電モードとを繰り返し、充電モードには遷移しなくなる。これにより、蓄電池106の蓄電量Qは、減少していく。
【0106】
蓄電量制御を開始した後、発電装置用変換装置103および交流電源用変換装置105は、発電電力および系統電力の和が、負荷装置108の消費電力よりも小さくなるように、出力抑制制御を行う。
ここでは、まず、交流電源用変換装置105が定電流制御を停止することにより、出力抑制を行う。この状態で、発電装置用変換装置103は、線路電圧Vdcが目標電圧Vdc0よりも小さくなっているか否かを判定する。そして、線路電圧Vdcが目標電圧Vdc0よりも大きいと判定されると、発電装置用変換装置103は、MPPT制御を停止することにより、出力抑制を行う。つまり、発電装置用変換装置103および交流電源用変換装置105は、発電装置用変換装置103、交流電源用変換装置105の優先順位で出力抑制制御を行う。
【0107】
蓄電池用変換装置101が充電不許可モードで蓄電量制御を行っている場合、蓄電池106の充電が行われない。従って、線路電圧Vdcが、目標電圧Vdc0よりも高めで推移していると、蓄電池106の充電により線路電圧Vdcを低下させることができず、線路電圧Vdcと目標電圧Vdc0との差圧が増大する虞がある。
これに対して、前述のように、発電電力および系統電力の和が、負荷装置108の消費電力よりも小さくなるように出力抑制制御を行うので、線路電圧Vdcと目標電圧Vdc0との差圧を低減できる。
【0108】
また、蓄電池用変換装置101が充電不許可モードで蓄電量制御を行っている場合において、交流電源用変換装置105が、発電装置用変換装置103に優先して出力抑制を行う。これにより、自然エネルギの利用率の向上を図ることができる。
【0109】
そして、蓄電量Qの減少により、蓄電量Qが蓄電量目標値Q0より大きい状態から、蓄電量Qが蓄電量目標値Q0より小さい状態に変化すると、蓄電池用変換装置101は、再び蓄電量制御を停止(蓄電量制御OFF)する。このとき、発電装置用変換装置103および交流電源用変換装置105は、出力抑制制御を解除する。
【0110】
蓄電量制御を停止した後、発電電力および系統電力の和が負荷装置108の消費電力よりも大きい状態にあると、蓄電池用変換装置101は蓄電池106の充電を行う。すると、蓄電池106の蓄電量Qは、再び増加していく。
【0111】
そして、蓄電量Qの増加により、蓄電量Qが蓄電量上限値Qhiより小さい状態から、蓄電量Qが蓄電量上限値Qhiより大きい状態に変化すると、蓄電池用変換装置101は、再び充電不許可モードで蓄電量制御を開始(蓄電量制御ON)する。そして、発電装置用変換装置103および交流電源用変換装置105は、再び、発電電力および系統電力の和が、負荷装置108の消費電力よりも小さくなるように出力抑制制御を行う。
【0112】
また、発電装置用変換装置103および交流電源用変換装置105の両方が出力抑制を行っている状態で、蓄電池用変換装置101が蓄電量制御を停止(蓄電量制御OFF)しているとする。
そして、発電電力および系統電力の和が、負荷装置108の消費電力よりも小さいと、蓄電池用変換装置101は蓄電池106の放電を行い、蓄電池106の蓄電量Qが減少していく。
【0113】
そして、蓄電量Qの減少により、蓄電量Qが蓄電量下限値Qloより大きい状態から、蓄電量Qが蓄電量下限値Qloより小さい状態に変化すると、蓄電池用変換装置101は、放電不許可モードで蓄電量制御を開始(蓄電量制御ON)する。このとき、蓄電池用変換装置101は、停止モードと充電モードとを繰り返し、放電モードには遷移しなくなる。これにより、蓄電池106の蓄電量Qは、増加していく。
【0114】
蓄電量制御を開始した後、発電装置用変換装置103および交流電源用変換装置105は、発電電力および系統電力の和が、負荷装置108の消費電力よりも小さくなるように、出力抑制制御の解除を行う。
ここでは、まず、発電装置用変換装置103がMPPT制御を開始することにより、出力抑制を解除する。この状態で、交流電源用変換装置105は、線路電圧Vdcが目標電圧Vdc0よりも大きくなっているか否かを判定する。そして、線路電圧Vdcが目標電圧Vdc0よりも小さいと判定されると、交流電源用変換装置103は、定電流制御を開始することにより、出力抑制を解除する。つまり、発電装置用変換装置103および交流電源用変換装置105は、発電装置用変換装置103、交流電源用変換装置105の優先順位で出力抑制制御の解除を行う。
【0115】
蓄電池用変換装置101が放電不許可モードで蓄電量制御を行っている場合、蓄電池106の放電が行われない。従って、線路電圧Vdcが、目標電圧Vdc0よりも低めで推移していると、蓄電池106の放電により線路電圧Vdcを上昇させることができず、線路電圧Vdcと目標電圧Vdc0との差圧が増大する虞がある。
これに対して、本実施形態に係る発電装置用変換装置103および交流電源用変換装置105は、前述のように、発電電力および系統電力の和が負荷装置108の消費電力よりも大きくなるように出力抑制制御を解除する。従って、線路電圧Vdcと目標電圧Vdc0との差圧を低減できる。
【0116】
また、蓄電池用変換装置101が放電不許可モードで蓄電量制御を行っている場合において、発電装置用変換装置103が、交流電源用変換装置105に優先して出力抑制を解除する。これにより、自然エネルギの利用率の向上を図ることができる。
【0117】
そして、蓄電量Qの増加により、蓄電量Qが蓄電量目標値Q0より小さい状態から、蓄電量Qが蓄電量目標値Q0より大きい状態に変化すると、蓄電池用変換装置101は、再び蓄電量制御を停止(蓄電量制御OFF)する。
【0118】
その後、発電装置102の発電電力および交流電源104から供給される電力量の和が、負荷装置108の消費電力よりも小さいと、蓄電池用変換装置101は蓄電池106の放電を行う。すると、蓄電池106の蓄電量は、再び減少していく。
【0119】
そして、蓄電量Qの減少により、蓄電量Qが蓄電量下限値Qloより大きい状態から、蓄電量Qが蓄電量上限値Qloより小さい状態に変化すると、蓄電池用変換装置101は、再び放電不許可モードで蓄電量制御を開始(蓄電量制御ON)する。
【0120】
<3>まとめ
結局、本実施形態に係る蓄電池用変換装置101によれば、制御部12が充電不許可モードで蓄電量制御(第1制御)を行う期間と、制御部12が放電不許可モードで蓄電量制御(第2制御)を行う期間とが生じる。そして、制御部12が充電不許可モードまたは放電不許可モードで蓄電量制御を行う期間では、充電動作または放電動作を回避することから、蓄電池106の充放電が繰り返されることがない。これにより、蓄電池106の充放電の繰り返し頻度を低減することができるので、蓄電池106の長寿命化を図ることができる。
【0121】
<変形例>
(1)実施形態では、蓄電量目標値を、天候によって変化させる例について説明したが、蓄電量目標値Q0を変化させる基準は、天候に限定されるものではなく、例えば、時間帯によって変化させてもよい。
【0122】
下記表2に、蓄電量上限値Qhi、蓄電量目標値Q0、蓄電量下限値Qloの一例を示す。
【表2】
表2に示すように、蓄電量目標値を、昼間の時間帯は75%に設定し、夜間の時間帯は25%に設定するようにしてもよい。
【0123】
この場合、蓄電池用変換装置101が、時間帯に基づいて蓄電量目標値Q0を変化させるので、太陽光発電装置から構成される発電装置102で生成される電力の使用効率向上を図ることができる。また、上記交流電源から供給される電力が、蓄電池の充電に使用される期間を短縮することにより、自然エネルギの利用率の向上を図ることができる。
【0124】
(2)実施形態において、蓄電池106の種類に応じて蓄電量目標値、蓄電量上限値および蓄電量下限値を変化させてもよい。
蓄電池106は、その種類によって蓄電量Qを推移させる最適範囲が異なる。例えば、蓄電池106が鉛電池から構成される場合、蓄電量Qは100%(満充電)近傍で推移するのが好ましい。一方、蓄電池106がリチウムイオン電池等から構成される場合、蓄電量Qが100%近傍で推移するのは好ましくない。
【0125】
下記表3に、蓄電量上限値Qhi、蓄電量目標値Q0、蓄電量下限値Qloの一例を示す。
【表3】
蓄電池106の種類が鉛蓄電池であれば、蓄電池106の蓄電量を100%に近い状態で推移させるのが好ましい。そこで、蓄電池106の種類が鉛蓄電池の場合、蓄電量目標値を75%とし、蓄電量上限値を100%に設定している。
【0126】
一方、蓄電池106の種類がリチウムイオン電池やニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、レドックスフロー電池であれば、蓄電池106の蓄電量を50%以下の状態で推移させるのが好ましい。そこで、蓄電池106の種類がリチウムイオン電池等の場合、蓄電量目標値を25%とし、蓄電量上限値を50%に設定している。
【0127】
本構成によれば、蓄電量上限値Qhiまたは蓄電量下限値Qloを変化させることにより、蓄電量Qが推移する範囲を適宜設定することができる。
【0128】
また、本構成によれば、蓄電池106の蓄電量を、蓄電池106の種類に応じた最適な範囲で推移させることができるので、蓄電池106の劣化を抑制することができる。
【0129】
(3)実施形態に係る電力供給システム201において、天候の経時変化を予測する天候予測装置(図示せず)を更に備えるものであってもよい。そして、蓄電池用変換装置101が、天候予測装置から天候の経時変化に関する情報を取得するようにしてもよい。
本構成によれば、蓄電池用変換装置101が、天候予測装置によって予測された天候の経時変化に基づいて蓄電量目標値を変化させるので、太陽光発電装置から構成される発電装置102で生成される電力の使用効率向上を図ることができる。
【0130】
(4)実施形態では、主として発電装置102が太陽光発電装置から構成される例について説明したが、発電装置102が風力発電機から構成されるものであってもよい。この場合、蓄電量目標値Qは、発電装置102が設置された場所における風速等に基づいて変化させればよい。
【0131】
上記実施の形態および変形例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。