【文献】
Huawei,TPC enhancements for SRS power control for CoMP[online],3GPP TSG-RAN WG1#69 R1-122525,<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_69/Docs/R1-122525.zip>,2012年 5月21日,Section 3,URL,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_69/Docs/R1-122525.zip
【文献】
Pantech,Remaining details on aperiodic SRS[online],3GPP TSG-RAN WG1#64 R1-110754,<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_64/Docs/R1-110754.zip>,2011年 2月21日,Section 2
【文献】
CATT,UL power control for DCI format 3/3A[online],3GPP TSG-RAN WG1#64 R1-110709,<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_64/Docs/R1-110709.zip>,2011年 2月21日,Section 2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
送信電力制御コマンド(TPCコマンド)を用いて、アペリオディック・サウンディング・リファレンス・シグナル(A−SRS)の送信電力値の更新を指示する制御部と、
前記A−SRSの送信要求と、A−SRSに適用するTPCコマンドと、を無線通信端末装置に送信する送信部と、
前記送信要求に従って、前記送信したTPCコマンドにより更新された第1の累積値または、前記第1の累積値とは異なり、かつ前記第1の累積値とは独立した第2の累積値のいずれかを用いて制御されたA−SRSの送信電力値でA−SRSを前記無線通信端末装置から受信する受信部と、
を具備し、
前記第2の累積値は、特定の時間間隔のサブフレームかつ特定のDCIフォーマットで送信されたTPCコマンドを用いて更新される累積値である、
無線通信基地局装置。
前記TPCコマンドを含む制御信号に前記無線通信端末装置宛のA−SRSのTPCコマンドが含まれるか否か、ということと、前記A−SRSの送信要求があるか否か、ということの組み合わせにより、前記送信電力値の計算に使用されるTPCコマンドの累積値として、前記第1の累積値と前記第2の累積値とが切り替えられる、
請求項1記載の無線通信基地局装置。
前記TPCコマンドを含む制御信号に前記無線通信端末装置宛のA−SRSのTPCコマンドが含まれるか否か、ということと、前記A−SRSの送信要求があるか否か、ということの組み合わせにより、前記送信電力値の計算に使用されるTPCコマンドの累積値として、前記第1の累積値と前記第2の累積値とが切り替えられる、
請求項7記載の無線通信方法。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)にて策定されたLTE(Long Term Evolution)およびその進化形であるLTE−A(LTE-Advanced)の上り回線では、PAPR(Peak-to-Average Power Ratio)が小さく、端末の電力利用効率が高いSC−FDMA(Single-Carrier Frequency-Division Multiple Access)が採用されている(例えば、非特許文献1〜4参照)。また、LTEおよびLTE−Aの上り回線では、端末の伝搬路環境に応じて時間および周波数リソースを配分するスケジューリング、および、符号化率又は変調方式を制御する適応制御が行われる。周波数スケジューリングおよび適応制御を適切に行い、高いスループットを実現するためには、基地局側で端末の伝搬路状況を把握することが必須である。
【0003】
端末の上り回線の伝搬路状況を測定するため、LTEの上り回線では、SRS(Sounding Reference Signal)が用いられる(非特許文献1)。SRSは、複数のSC−FDMAシンボルを含む上り回線サブフレーム(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)の最終SC−FDMAシンボルで送信される参照信号である。基地局は、SRSの受信品質又はSRSを用いて算出したCSI(Channel State Information)により、上り回線の状況を把握することが可能となる。
【0004】
LTEでは、RRC(Radio Resource Control)制御情報など上位レイヤによる指示で通知された時間で周期的に送信するP−SRS(Periodic-SRS)が採用された。基地局は、あらかじめ端末に対し、SRSの送信サブフレームとその周期、そして送信するSRSの電力オフセット、周波数帯域幅、周波数ポジション、他の端末のSRSと直交させるためのComb、CS(Cyclic Shift)といった直交リソース、を指示しておく。端末は、指示されたサブフレームの最終SC−FDMAシンボルでSRSを送信する。このようにすることで、上り回線でデータおよび制御信号の送信の有り無しに関わらず、基地局は、端末のCSIを周期的に測定することができる。
【0005】
一方、一般に上り回線パケット通信はバースト性が高い。基地局としては、必要な時に必要な帯域のCSIを測定できることが望ましい。また、端末は、上下回線のデータ通信が無くとも周期的にSRSを送信することで、電力を余分に消費してしまう。そこで、LTE−Aでは、上下回線のデータ割り当てを指示する制御信号であるDCI(Downlink Control Information)に含まれる送信要求に基づいて送信されるA−SRS(Aperiodic-SRS)が採用された。A−SRSは要求があるときのみ送信されるので、端末の余分な電力消費を低減できる。さらには他セル干渉の低減、そしてSRSリソースの効率化改善も実現できる。
【0006】
ところで、LTE−Aのさらなる進化版であるLTE Release 11(以下、Rel.11と記載する)では、カバーエリアの異なる複数の基地局(以下、ノードと記載する)をセル内に配置するヘテロジーニアスネットワーク(HetNet:Heterogeneous Network)の導入が検討されている。HetNetでは、パスロスの小さな受信ノードで受信できること、トラフィックのオフロードを行えること、などにより、高いスループットを実現できる。また、端末は、パスロスの小さな受信ノードに対し送信電力を小さくできることから、消費電力の低減も実現できる。これらの理由により、HetNetでは、マクロノードしか存在しない非HetNetと比較して、端末の所要送信電力を低減しつつ、通信速度の改善を実現することができる。
【0007】
また、Rel.11 HetNetでは、これらのノードが協調して信号の送受信を行うCoMP(Coordinated Multi-Point)も検討されている(非特許文献4)。
図1にHetNet CoMPシステムの例を示す。HetNet CoMPは、1つまたは複数のマクロ基地局(マクロノード)、1つまたは複数のピコ基地局(ピコノード)、1つまたは複数の端末により構成される。CoMPでは、例えば、干渉の影響を強く受けるセル端の端末が送信した信号を複数のノードで受信して合成することで、SINR(Signal-to-Interference plus Noise Power Ratio)を高めることができる。また、ノード間が協調して送受信することができるので、上り回線と下り回線とで独立に最適なノードを用いることができる。例えばPDSCHは、端末の受信電力が最大となるノードで送信することが望ましく、PUSCHはパスロスが最小となるノードで受信することが望ましい。CoMPの導入により上下回線で別々のノードと通信することが可能となるため、上下回線でスループットおよび品質が大きく異なるようなことが起こりづらくなる。
【0008】
HetNet CoMPの効果を得るには、地理的に分散するノードから、通信に参加する送受信ノードを適切に選択し、周辺の状況または端末の状況に応じて適切に切り替えていくことが重要である。送受信ノードの選択および切り替えには、上り回線および下り回線で送信される参照信号(CRS、CSI−RS、SRSなど)の利用が考えられる。下り回線で送信されるCRSまたはCSI−RSを用いる場合、端末が各ノードまでのCSIを測定し、上り回線を用いてフィードバックする。そして、フィードバックされたCSIに基づいて、基地局側で送受信ノードを決定する。一方、上り回線で送信されるSRSを用いる場合、端末が送信するSRSにより基地局側で直接CSIを測定することができる。したがって、SRSを用いる方法は、CRSまたはCSI−RSを用いる方法に比べて、端末が基地局にフィードバックする情報量を少なくすることができる。また、端末の測定からフィードバック完了までの時間を省略できるので、フィードバック遅延も小さくすることができる。
【0009】
また、TDD(Time-division duplex)の場合、チャネルの可逆性が成立するため、SRSによるCSI測定結果をもとに下り回線のプリコーディング、PDSCHのスケジューリング、または、適応制御が可能であることが知られている。HetNet CoMPでは、複数のノードがセル内に分散することから、パスロスの小さなノードと通信できる確率が高くなる。したがって、SRSを利用した下り回線の適応制御も利用する可能性が高いと言える。
【0010】
以上のように、HetNetおよびCoMPが導入されるRel.11以降では、SRSは、これまでのような上り回線のスケジューリングおよび適応制御だけでなく、送受信ノードの選択および下り回線の適応制御など、様々な用途で用いられることが考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上り回線データ信号の受信ノードは、端末に最も近い1つまたは複数の受信ノードとなることが想定される。これは、他セル干渉または端末の電力消費を抑えるためである。一方、SRSが送受信ノードの選択または下り回線の適応制御に用いられることを考慮すると、SRSはより広い範囲のノードで受信できることが求められる。すなわち、HetNetでは、上り回線データ信号とSRSとでは異なるノードで受信できることが求められる。
【0013】
SRSの送信電力は式(1)で与えられる。ここでP
CMAX,c(i)、P
O_PUSCH,c(j)、α
C(j)・PL
c、f
c(i)はPUSCHの送信電力式に含まれる項の流用である。10log
10(M
SRS,c)はSRSの送信電力を送信帯域幅に比例させるための項、つまり送信電力密度を一定に保つための項である。したがって、PUSCHと異なるのは、上位レイヤから通知されるパラメータP
SRS_OFFSET,c(m)のみである。P
SRS_OFFSET,c(m)は、上り回線データ(PUSCH)に対して、SRSに与える送信電力オフセットを表わす。なお、P
SRS_OFFSET,c(m)はSRSの種別(A−SRSかP−SRSか)に応じて独立な値を2つ設定可能である。すなわち、A−SRSとP−SRSとに対して異なる送信電力オフセットを与えることができる。以上のことから、SRSには上位レイヤからのパラメータを用いて、PUSCHと異なる電力に設定できることがわかる。これを利用すれば、A−SRSまたはP−SRSを、PUSCHを受信する対象ノードよりも多くの受信ノードで受信するのに適切な、大きい送信電力に設定することが可能となる。
図2に、電力オフセットP
SRS_OFFSET,c(m)を用いて、PUSCHとSRSとで異なるカバレッジを実現している例を示す。
【数1】
【0014】
ところが、上位レイヤから通知される電力オフセットでは、頻繁かつ高速な送信電力制御を行うことはできない。特に端末の移動または周囲の環境変化に伴うフェージング変動に追従することができないという問題がある。LTEでは、上り制御信号(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)またはPUSCHに対して高速な送信電力制御を行う方法として、データ割り当てを指示する制御信号(DCI)に含まれるTPCコマンドが使用される。TPCコマンドは受信するたびに累積されていき、送信電力の計算に用いられる。これにより、基地局は、端末の状況に応じてTPCコマンドで送信電力制御を指示し、上位レイヤによる通知よりも、高速かつ緻密に送信電力を変えることができる。以下、TPCコマンドによる電力制御を、閉ループTPCと記載する。
【0015】
従前の方法では、PUSCHの閉ループTPCとPUCCHの閉ループTPCとが別々に行われる。すなわち、複数存在するDCI formatのうち、PUSCHのデータ割り当て情報を通知するDCI format 0/4に含まれるTPCコマンドはPUSCHの閉ループTPCに用いられ、PDSCHのデータ割り当て情報を通知するDCI format 1/1A/1B/1D/2/2A/2B/2Cに含まれるTPCコマンドはPUCCHの閉ループTPCに用いられる。以下、PUSCHのTPCコマンド累積値をf
c(i)で表し、PUCCHのTPCコマンド累積値をg(i)で表す。
【0016】
式(1)から分かるように、SRSの送信電力でも閉ループTPCによる制御が行われる。しかしこれは、PUSCHのTPCコマンド累積値f
c(i)の流用である。これはすなわち、SRSを受信するノードが、PUSCHのデータを受信するノードと同一であると想定されていることを表わしている。従前のシステムでは、PUSCHの受信ノードはSRSの受信ノードと常に同じであり、SRSはPUSCHのスケジューリングのためのCSI測定を行う目的で送信されていたため、このような想定で運用が可能であった。しかし前述のように、Rel.11では、上り回線データ(PUSCH)とSRSとは異なるノードで受信することが考えられる。このような場合には、それぞれ独立なTPCコマンドによって別々に送信電力制御を行えることが望ましい。
【0017】
図3は、端末がマクロノードからPDSCH等を受信し、ピコノードにPUSCHを送信している例である。PUSCHデータの受信範囲(カバレッジ)とSRSのカバレッジとは、送信電力オフセットにより異なる大きさになっている。このとき端末がPUSCH受信ピコノードに近づくと、基地局は、TPCコマンドにより送信電力を下げるように指示を出す。SRSの送信電力も当該TPCコマンドにしたがって下がっていくので、
図3に示すマクロノードなどにおいて、SRSを所要の品質で受信できなくなってしまう。反対に、端末がPUSCH受信ピコノードから離れていくと、基地局は、TPCコマンドにより送信電力を上げるよう指示を出す。SRSの送信電力も当該TPCコマンドにしたがって上がるので、過剰な電力で送信されることになる。このような過剰電力のSRSは他セルに対する干渉を増大させるので、結局、SRSのCSI測定精度を劣化させることになってしまう。
【0018】
本発明の目的は、HetNet CoMP環境で様々な用途によるSRSの利用を実現するため、SRSに対し、PUSCHの送信電力制御に制約されない、柔軟な送信電力制御を行うことができる無線通信基地局装置および無線通信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一態様に係る無線通信基地局装置は、送信電力制御コマンド(TPCコマンド)を用いて、アペリオディック・サウンディング・リファレンス・シグナル(A−SRS)の送信電力値の更新を指示する制御部と、前記A−SRSの送信要求と、A−SRSに適用するTPCコマンドと、を無線通信端末装置に送信する送信部と、前記送信要求に従って、前記送信したTPCコマンドにより更新された第1の累積値または、前記第1の累積値とは異なり、かつ前記第1の累積値とは独立した第2の累積値のいずれかを用いて制御されたA−SRSの送信電力値でA−SRSを前記無線通信端末装置から受信する受信部と、を具備し、前記第2の累積値は、特定の時間間隔のサブフレームかつ特定のDCIフォーマットで送信されたTPCコマンドを用いて更新される累積値である構成を採る。
【0020】
本発明の一態様に係る無線通信基地局装置において、前記A−SRSは、前記送信要求を含む制御信号の種別と送信要求ビットのステートとが特定の組み合わせの場合に受信されるA−SRSである。
【0021】
本発明の一態様に係る無線通信方法は、送信電力制御コマンド(TPCコマンド)を用いて、アペリオディック・サウンディング・リファレンス・シグナル(A−SRS)の送信電力値の更新を指示し、前記A−SRSの送信要求と、A−SRSに適用するTPCコマンドと、を無線通信端末装置に送信し、前記送信要求に従って、前記送信したTPCコマンドにより更新された第1の累積値または、前記第1の累積値とは異なり、かつ前記第1の累積値とは独立した第2の累積値のいずれかを用いて制御されたA−SRSの送信電力値でA−SRSを前記無線通信端末装置から受信し、前記第2の累積値は、特定の時間間隔のサブフレームかつ特定のDCIフォーマットで送信されたTPCコマンドを用いて更新される累積値である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、端末が、SRSに対してPUSCHとは独立な送信電力制御を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、実施の形態において、同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳しい説明は省略する。
【0025】
<実施の形態1>
[ネットワークシステムの構成]
本発明の実施の形態1に係るネットワークシステムは、HetNetまたはHetNet CoMPであり、
図1に示すように、マクロノード100、ピコノード200および端末(UE)300から構成される。各マクロセルには、1つのマクロノード100と1つ又は複数のピコノード200とが設置される。なお、ピコノード200は、独自のピコセルを形成するピコ基地局であっても良いし、マクロセルの分散送受信アンテナの一部として端末と通信を行う、RRH(Remote radio head)のようなものであっても良い。マクロノード100と各ピコノード200とは、光ファイバなど低遅延大容量のインターフェースで接続されている。セル内のマクロノード100および各ピコノード200は、セル内に存在する各端末300に割り当てられたSRSの送信パラメータを共有し、そのSRSを受信してCSIを測定する。各端末300は、マクロノード100によって選択された1つまたは複数のノード100、200と無線通信を行う。なお、下り回線の送信ノードと上り回線の受信ノードは同じでも良いし、異なっていても良い。また、送信ノードおよび受信ノードは端末300ごとに個別に設定される。
【0026】
本実施の形態では、各端末300は、PUSCHに対する従来の閉ループTPCに加え、下り回線サブフレームのPDCCHで送信される制御信号の一種であるDCI format 3/3Aを用いて、A−SRSの閉ループTPCを行う。
【0027】
なお、DCI format 3/3Aは、多数のTPCコマンドを1つの制御情報として、1つまたは複数の端末300に送信できる制御信号である。DCI format 3/3AのCRCはあるID(RNTI)にてスクランブルされており、DCI format 3/3Aを復号するには、基地局は端末300に対し当該RNTIを予め通知しておく必要がある。また、同一RNTIでDCI format 3/3Aを復号する端末300間で、どのTPCコマンドが自端末宛のTPCコマンドなのかを判断するため、RNTIとは別にTPCコマンドインデックスが必要となる。
【0028】
したがって、本実施の形態では、基地局は、DCI format 3/3Aを用いてA−SRSの閉ループTPCを行う端末300に対し、RRC制御信号等により端末個別の制御情報として、端末300間で共通のRNTI並びに端末300間で異なるTPCコマンドインデックスを事前に通知しているものとする。以下、A−SRS用のDCI format 3/3Aの復号に用いるRNTIを、TPC−SRS−RNTIと記載する。DCI format 3/3Aによる閉ループTPCを行わない端末300は、従前のRel.10と同様にして、A−SRSをPUSCHの閉ループTPCに連動させる。すなわち、式(1)による送信電力を用いる。なお、P−SRSの送信には、従前のRel.10と同様に式(1)による送信電力を用いるものとする。
【0029】
[マクロノードの構成]
図4は、本実施の形態に係るマクロノード100の要部構成を示すブロック図である。
図4に示すマクロノード100は、受信部101と、測定部102と、基地局間インターフェース(IF)部103と、制御部104と、送信部105と、データ判定部106と、から主に構成されている。なお、制御部104はマクロノードに限定されず、マクロノード100と各ピコノード200とを接続するHetNet CoMPシステムの中に1つあれば良い。あるいは、複数ある制御部104間で情報をやりとりし、どれか1つを制御部104として動作させることもできる。以下では、制御部104は、マクロノード100の一部として実装されているものと仮定する。
【0030】
受信部101は、各端末300から送信され、アンテナを介して受信された無線信号に対して受信無線処理(ダウンコンバート、復調、復号等)を行い、SRS、PUSCH、PUCCH等を抽出する。受信部101は、SRSを測定部102に出力する。また、受信部101は、マクロノード100が端末300のPUSCH受信ノードである場合、PUSCHをデータ判定部106へ出力する。
【0031】
測定部102は、SRSによりCSIを測定し、測定結果を制御部104に出力する。
【0032】
基地局間インターフェース部103は、ピコノード200との間で有線通信を行う。具体的には、基地局間インターフェース部103は、ピコノード200から送信されたCSI測定結果を受信し、マクロノード100の制御部104に転送する。また、基地局間インターフェース部103は、制御部104によって選択された送受信参加ノードに対し、送受信への参加指示を示す情報を送信する。また、基地局間インターフェース部103は、ピコノード200に対し、PDSCHおよびPUSCHのスケジューリング情報、および、端末300とPDSCHおよびPUSCHの送受信を行うために必要なパラメータを送信する。また、基地局間インターフェース部103は、ピコノード200から転送された端末300の上り回線データを受信し、マクロノード100のデータ判定部106に出力する。
【0033】
制御部104は、送受信参加ノードの選択、PDSCHおよびPUSCHのスケジューリングおよびパラメータ設定、PUSCHおよびPUCCHの送信電力制御、A−SRSの送信電力制御等、各所の制御を行う。具体的には、制御部104は、マクロノード100およびピコノード200にて受信したSRSから測定したCSIを用いて、個別端末300それぞれの送受信参加ノードを選択する。また、制御部104は、上記CSI測定結果を用いてPDSCHおよびPUSCHのスケジューリングを決定する。同時に、制御部104は、端末300ごとのPDSCHおよびPUSCH送受信パラメータを決定する。
【0034】
また、制御部104は、個別端末300に指示する閉ループTPCのTPCコマンドを決定する。具体的には、制御部104は、各ノードで受信したPUSCHの受信品質またはSRSの受信品質を、基地局間インターフェース部103を介して集め、次回のPUSCH、PUCCH、およびA−SRS割り当て時に指示するTPCコマンドの値を決定する。そして制御部104は、PUSCHの送信電力制御を指示する2ビットのTPCコマンドを生成し、上り回線のデータ割り当てを指示するDCI format 0/4に含める。また、制御部104は、A−SRSの送信電力制御を指示する1または2ビットのTPCコマンドを生成し、DCI format 3/3Aに含める。また、制御部104は、PUCCHの送信電力制御を指示する2ビットのTPCコマンドを生成し、下り回線のデータ割り当てを指示するDCI format 1/1A/1B/1D/2/2A/2B/2Cに含める。また、制御部104は、A−SRSの送信要求を指示する1または2ビットの送信要求コマンドを生成し、DCI format 0/4またはDCI format 1A/2B/2Cに含める。制御部104は、これらのDCIを、端末300に対する送信に参加する送信ノード200に転送する。なお、制御部104は、マクロノード100自身が送信参加ノードである場合、これらのDCIを送信部105へと出力する。
【0035】
送信部105は、制御部104から入力された各種DCIと各端末300へのデータを用いてPDCCHとPDSCH等を生成し、下り回線サブフレームを構成する。そして、送信部105は、下り回線サブフレームに対して送信無線処理(アップコンバート等)を行い、アンテナを介して各端末300に送信する。
【0036】
データ判定部106は、受信部101から入力されたPUSCHおよび基地局間インターフェース部103を介して受信参加ノードより転送されたPUSCHを用いて、チャネル等化、データ復調、データ復号、および誤り判定を行う。誤り判定にはCRC(Cyclic Redundancy Check)符号などが用いられる。データ判定部106は、誤りがなければ端末300に対して次のデータ割当を行う。一方、データ判定部106は、誤りが検出された場合、端末300に対してそのデータの再送制御を行う。
【0037】
[ピコノードの構成]
図5は、本実施の形態に係るピコノード200の要部構成を示すブロック図である。
図5に示すピコノード200は、受信部201と、測定部202と、基地局間インターフェース部203と、送信部204と、から主に構成されている。
【0038】
受信部201は、各端末300から送信され、アンテナを介して受信された無線信号に対して受信無線処理(ダウンコンバート等)を行い、SRS、PUSCH、PUCCH等を抽出する。受信部201は、SRSを測定部202に出力する。また、受信部201は、抽出したPUCCHおよびPUSCHを基地局間インターフェース部203へ出力する。
【0039】
測定部202は、SRSによりCSIを測定し、測定結果を基地局間インターフェース部203に出力する。この測定結果はマクロノード100の制御部104へと転送される。
【0040】
基地局間インターフェース部203は、マクロノード100との間で有線通信を行う。具体的には、基地局間インターフェース部203は、測定部202より入力されたCSI測定結果をマクロノード100へと転送する。また、基地局間インターフェース部203は、マクロノード100から、当該ピコノード200が端末300の送受信参加ノードであるか否かの通知情報を受信する。また、基地局間インターフェース部203は、マクロノード100から、PDSCHおよびPUSCHのスケジューリング情報、および、PDSCHおよびPUSCHの送受信に必要なパラメータを受信する。また、基地局間インターフェース部203は、受信部201から入力された端末300のPUSCHおよびPUCCHを、マクロノード100のデータ判定部106に出力する。また、基地局間インターフェース部203は、ピコノード200が送信ノードである場合、マクロノード100で生成されたDCIを受信し、送信部204へ出力する。
【0041】
送信部204は、基地局間インターフェース部203から入力された各種DCIと各端末300へのデータを用いてPDCCHとPDSCH等を生成し、下り回線サブフレームを構成する。そして、送信部204は、下り回線サブフレームに対して送信無線処理(アップコンバート等)を行い、アンテナを介して各端末300に送信する。
【0042】
[端末の構成]
図6は、本実施の形態に係る端末300の要部構成を示すブロック図である。
図6に示す端末300は、受信部301と、制御部302と、送信部303と、から主に構成されている。
【0043】
受信部301は、アンテナを介して受信された無線信号に対して受信無線処理(ダウンコンバート等)を行い、PDCCH、PDSCH等を抽出する。そして、受信部301は、PDCCHから、PDSCHおよびPUSCHの割り当て情報、A−SRS送信要求、PUSCHの閉ループTPCを行うTPCコマンド、PUCCHの閉ループTPCを行うTPCコマンド、A−SRSの閉ループTPCを行うTPCコマンド、等を抽出する。そして受信部301は、これらの情報を制御部302へ出力する。
【0044】
制御部302は、受信部301から入力されたTPCコマンドを用いて、閉ループTPCを行う。TPC−SRS−RNTIとTPCコマンドインデックスが通知された端末300は、PUSCH、PUCCH、A−SRSに対応するTPCコマンド累積値を保持しており、新たに受信した各TPCコマンドを、それぞれに加算して更新する。また、A−SRSの送信要求がある場合、制御部302は、次のA−SRS送信可能タイミングにおいてA−SRSを送信することを送信部303に指示する。なお、DCI format 3/3AによるTPCコマンドが適用されるのはA−SRSのみであり、P−SRSは従前のP−SRSと同じ送信電力およびタイミング、周期で送信される。
【0045】
送信部303は、PUSCH、PUCCH、SRS等に対して送信無線処理(アップコンバート等)を行い、アンテナを介して送信する。なお、送信部303は、制御部302から指示された送信パラメータに従ってPUSCH、PUCCH、SRS等に対して送信無線処理を行う。
【0046】
[動作フロー]
次に、本実施の形態に係る各装置の主要な処理手順について、以下ステップ(1)〜ステップ(4)により説明する。
【0047】
ステップ(1):マクロノード100は、各端末300に対し、P−SRS、A−SRSそれぞれのパラメータセットを上位レイヤの制御情報として予め通知する。パラメータセットには、セル内の端末300間で共通のパラメータと、セル内の端末300間で個別に割り当てられるパラメータが含まれる。このパラメータセットはP−SRSおよびA−SRSそれぞれを生成するのに必要なパラメータセットであり、ベース系列、周波数リソース、時間リソース、直交リソースなどを同定するのに必要なパラメータが含まれる。ここで周波数リソースとは帯域幅、周波数ポジション、周波数ホッピングの有無等であり、時間リソースとはP−SRSの送信周期とサブフレーム番号、A−SRSの送信可能サブフレーム番号等であり、直交リソースとは端末300間で異なるように割り当てられるComb番号、CS(Cyclic Shift)番号等のことである。また、上記パラメータセットには、式(1)に含まれるSRS送信電力オフセット値P
SRS_OFFSET,c(m)が含まれる。ここで、P
SRS_OFFSET,c(m)はP−SRSへ適用する値と、A−SRSへ適用する値との2つがある。また、上記パラメータセットには、TPC−SRS−RNTIおよびTPCコマンドインデックスが含まれる。これらは端末300に対する送信ノードから送信される。
【0048】
A−SRSは、送信要求を含むDCIの種別と送信要求ビットの値に応じて、一部パラメータを独立な設定にすることができる。具体的には、帯域幅、周波数ポジション、Comb番号、CS番号など、を5セット設定しておき、DCI format 0(送信要求ビットが“1”)、DCI format 1A/2B/2C(送信要求ビットが“1”)、DCI format 4(送信要求ビットが“01”)、(送信要求ビットが“10”)、(送信要求ビットが“11”)の5つによって何れのセットのA−SRSを送信させるか、を選択することができる。
【0049】
ステップ(2):さらにマクロノード100は、各端末300に対し、A−SRSの閉ループTPCをDCI format 3/3Aを用いて行うか否かを上位レイヤの制御情報として通知する。これは、TPC−SRS−RNTIが通知されたか否かで判断するとしてもよいし、別途制御情報として通知してもよい。通知がない場合にはDCI format 3/3Aを用いて行うとしても良いし、従来方式と同様、通知がない場合にはDCI format 0/4のTPCコマンドを用いて閉ループTPCを行うとしてもよい。
【0050】
ステップ(3):次に、端末300は、基地局から通知されたP−SRSのパラメータセットに従ってP−SRS送信リソースを設定する。そして、端末300は、P−SRSを周期送信する。また、端末300は、基地局の送信ノードから送信されるDCI format 0/1A/2B/2C/4を受信し、A−SRSの送信が要求されているか否かをチェックする。送信が要求された場合、端末300は、DCIの種別および送信要求ビットの値によって定まるいずれかのA−SRSを、あらかじめ設定されたA−SRS送信可能サブフレームにおいて送信する。ここで、DCI format 3/3Aによる閉ループTPCが設定されていない端末300は、両SRSの送信電力を式(1)とする。一方でDCI format 3/3Aによる閉ループTPCが設定された端末300は、P−SRSの送信電力は式(1)とし、A−SRSの送信電力は式(2)で与える。ここで、式(2)に含まれるh
c(i)は、DCI format 3/3AによるA−SRSのTPCコマンドを累積した値である。
【数2】
【0051】
なお、h
c(i)は、DCI format 3/3AによるA−SRSの閉ループTPCが設定された時点ではh
c(i)=f
c(i)とし、設定時点の初期値をf
c(i)と等しいとしてもよいし、DCI format 3/3AによるA−SRSの閉ループTPCが設定された時点ではh
c(i)=0とし、設定時点の初期値を0としてもよい。RRC制御信号による送信電力パラメータの更新をあまり行わない運用では、閉ループTPCに依存した電力制御となる。このような場合にはf
c(i)の値が0とは大きく異なる可能性があるため、設定時点でh
c(i)=f
c(i)とすることで、A−SRSのDCI format 3/3Aによる閉ループTPCが設定されたときに端末が送信するA−SRSの送信電力が急変するのを回避することができる。一方、RRC制御信号による送信電力パラメータの更新を頻繁に行う運用では、閉ループTPCにあまり依存しない運用となる。この場合にはf
c(i)が0周辺の値である可能性が高く、設定時点でh
c(i)=0とすることで、余分な累積値が残留するのを防ぐことができる。
【0052】
また、端末300は、基地局の送信ノードから送信されるPDSCHに含まれる各種のDCIを受信し、PUSCH、PUCCH、およびA−SRSそれぞれに対するTPCコマンドを検出する。そして、端末300は、TPCコマンドに基づき、PUSCH、PUCCH、A−SRSそれぞれに対する閉ループTPCを行う。
【0053】
ステップ(4):各基地局(マクロノード100、ピコノード200)は、端末300が送信したPUSCH、PUCCH、SRSを受信する。SRSはCSIの計算に用いられ、PUSCH、PUCCHは復号してデータおよび制御情報として判定される。マクロノード100は、各ノードがSRSを受信して得たCSI測定結果に基づき、送受信参加ノードを決定する。また、マクロノード100は、送信参加ノードにおけるCSI測定結果に基づき、PDSCHのスケジューリングおよび適応制御を決定する。また、マクロノード100は、受信参加ノードにおけるCSI測定結果ならびにPUSCH受信品質に基づき、以降のPUSCHのスケジューリングおよび適応制御を決定する。P−SRSは周期的に受信されるので、受信ノードは継続的に監視される。一方、A−SRSは送信要求のあるときにしか送信されない。
【0054】
[効果]
以上の通り、本実施の形態では、端末300が、基地局の送信ノードから送信されたDCIに含まれるTPCコマンドに基づいて、A−SRSの閉ループTPCを、PUSCHとは独立に行うことができる。
図7に、本実施の形態を用いた場合のPUSCHとA−SRSとの送信電力制御の変化の一例を表す。このように、端末300の移動に伴う伝搬路の変動または周囲の環境変化などがあっても、A−SRSをA−SRS受信ノードでの所望受信電力を満たすよう制御することができる。したがって、送受信参加ノードの決定、または、送信ノードにおけるCSI測定(PDSCHスケジューリングに用いられる)などにA−SRSを用いる際、適切なA−SRSの送信電力を保つことができる。
【0055】
また、本実施の形態によれば、A−SRSの送信電力制御はDCI format 3/3Aを用いて行われる。DCI format 3/3Aは多数のTPCコマンドを収容可能である。このため、同様にA−SRSの送信電力制御をDCI format 3/3Aにより行う複数端末300に対して同じTPC−SRS−RNTIと、それぞれの端末300で異なるTPCコマンドインデックスを通知しておくことで、1つのDCI format 3/3Aにより複数端末のTPCコマンドを同時に送ることができるので、オーバーヘッドの増加を最小限に抑えられる。
【0056】
[バリエーション1]
実施の形態1では、DCI format 3/3AによりA−SRSの閉ループTPCを行う場合について説明した。しかし、マクロノード100の指示に従って、特定のA−SRSのみDCI format 3/3Aにより閉ループTPCを行う、としてもよい。特定のA−SRSとは、前述のようにDCIの種別および送信要求ビットの値によって独立に設定されるパラメータセットを有する、5種類のA−SRSのうちいずれか、である。
【0057】
送信要求ビットを含むDCIのうち、DCI format 0/4は上り回線のデータ割り当て情報を指示するDCIであり、DCI format 1A/2B/2Cは下り回線のデータ割り当てを指示するDCIである。パケットデータのトラフィックは多くの場合、バースト性であるため、PDSCHおよびPUSCHの割り当ては時間的に集中する可能性が高い。言い換えれば、DCI format 0/4およびPUSCHの送受信、または、DCI format 1A/2B/2CおよびPDSCH・PUCCHの送受信は、連続して行われる可能性が高い。したがって、DCI format 0/4に含まれる送信要求に従って送信されるA−SRSは、PUSCHの閉ループTPCに連動させ、DCI format 1A/2B/2Cに含まれる送信要求に従って送信されるA−SRSに対しては、DCI format 3/3AのA−SRS用TPCコマンドに従って閉ループTPCを行ってもよい。これにより、PUSCHが集中する場合にはPUSCHの閉ループTPCにより送信電力が制御され、PUSCHの受信ノードでの受信に適する電力でA−SRSを送受信することができる。これにより、A−SRSの送受信結果から、PUSCHのスケジューリングおよび適応制御を精度よく行うことができる。一方、PDSCHが集中する場合にはDCI format 3/3Aの閉ループTPCにより送信電力が制御され、PUSCHの受信ノード以外の受信ノードでの受信に適する電力でA−SRSを送受信することができる。これにより、A−SRSの送受信結果から、以降の送受信ノードの選択、PDSCHのスケジューリング、および、適応制御を精度よく行うことができる。
【0058】
また、5つのA−SRSのうち1つをDCI format 3/3Aによる閉ループTPCとし、残りをPUSCHと連動する閉ループTPCとすることで、A−SRSのみで2種類の閉ループTPCを実現し、P−SRSを用いずとも、A−SRSのみで様々なSRSの運用が可能となることを表している。A−SRSは周期送信されず、送信要求のみに基づいて送信されるため、P−SRSよりも端末の消費電力低減や与干渉といった観点から有利である。このようにして、A−SRSのみでHetNet CoMPにおいて必要なSRSの運用を行うことができる。
【0059】
[バリエーション2]
DCI format 3/3Aは全ての下り回線サブフレームで送信される可能性があるが、A−SRSのTPCコマンドを含むDCI format 3/3Aは、特定の時間および時間間隔のサブフレームまたはPRBでのみ送信される、としてもよい。このようにすることで、端末300は、全てのサブフレームでDCI format 3/3Aの復号を試みる必要が無くなるため、処理負担を軽減できる。また、基地局ノード100、200は、特定の時間または時間間隔のサブフレームでのみA−SRSのDCI format 3/3Aを送信すれば良いので、TPCコマンド送信に伴うオーバーヘッドを低減できる。
【0060】
なお、A−SRSのTPCコマンドを含むDCI format 3/3Aが特定の時間および時間間隔のサブフレームまたはPRBでのみ送受信される場合、DCI format 3/3AのTPCコマンドの送信機会が減ってしまう。しかしDCI format 3/3Aで閉ループTPCを行うA−SRSは、PUSCHの受信ノードよりも遠方のノードにて受信され、送受信ノードの選択に用いられることを目的としたSRSである可能性が高い。送受信ノードの選択に用いるSRSには、PUSCHのスケジューリングに用いるSRSと比較して、CSIの測定に高い精度および短い周期が要求されない。したがって、上記のようにDCI format 3/3Aの送信サブフレームまたはPRBを制約し、DCI format 3/3Aの送信機会を減らしても、A−SRSの推定精度劣化は起こらない。
【0061】
[バリエーション3]
さらに、A−SRSのTPCコマンドを送信するDCI format 3/3AのCRCは、TPC−SRS−RNTIでスクランブルされるのではなく、既存のID、すなわちTPC−PUSCH−RNTIまたはTPC−PUCCH−RNTIを再利用してもよい。TPC−PUSCH−RNTIおよびTPC−PUCCH−RNTIは、DCI format 3/3AをPUSCHおよびPUCCHに用いるためのRNTIである(例えば、非特許文献3参照)。
【0062】
端末300は、RNTIの通知が無ければ、DCI format 3/3Aを復号することはできない。言い換えれば、セル内にDCI format 3/3AをPUSCH、PUCCH、A−SRSに用いる端末300がそれぞれ1つ以上存在する場合、最低でも3つのDCI format 3/3Aを送信しなければならない。
【0063】
そこで、以下のようにすることで、サブフレームあたりに送信されるDCI format 3/3Aの数を減らすことができる。まず、DCI format 3/3AでA−SRSの閉ループTPCを行う端末300に対し、TPC−PUSCH−RNTIまたはTPC−PUCCH−RNTIと、TPCコマンドインデックスとを通知する。また、当該端末300に対し、さらに、DCI format 3/3Aに含まれる自端末宛のTPCコマンドを、A−SRSに適用することを指示する制御情報を通知する。
【0064】
このようにすることで、DCI format 3/3Aを用いてA−SRSの閉ループTPCを行う端末300は、TPC−PUSCH−RNTIまたはTPC−PUCCH−RNTIでCRCがスクランブルされたDCI format 3/3Aを用いて閉ループTPCを行うことができる。したがって、PUSCHまたはPUCCH用のTPCコマンドを含むDCI format 3/3AにA−SRS用のTPCコマンドを含めることができるので、同一サブフレームに必要となるDCI format 3/3Aの数を減らし、オーバーヘッドを低減することができる。また、TPC−SRS−RNTIは16ビットであるのに対し、DCI format 3/3Aに含まれる自端末宛のTPCコマンドを、A−SRSに適用することを指示する制御情報は最低1ビット実現できるので、RRC制御信号のオーバーヘッドも低減することができる。
【0065】
[バリエーション4]
以上のように、DCI format 3/3Aを用いてA−SRSの閉ループTPCを行う端末300は、A−SRSに関する制御信号として、TPCコマンドを含むDCI format 3/3A、および、送信要求を含むDCI format 0/1A/2B/2C/4を用いる。実施の形態1では、同一サブフレームにおいて、DCI format 3/3Aに自端末宛のA−SRSのTPCコマンドが含まれるか否か、ということと、DCI format 0/1A/2B/2C/4でA−SRSの送信要求があるか否か、ということの組み合わせにより、送信電力の計算に使用するTPCコマンド累積値として、f
c(i)とh
c(i)とを切り替えてもよい。
【0066】
基地局は、当該端末300に対し、同一サブフレームにおいて、DCI format0/4/1A/2B/2C無しで、DCI format 3/3AによるA−SRSのTPCコマンドのみを送信することをしない。基地局は、DCI format 3/3AによるA−SRSのTPCコマンドを送信する場合、かならず前記いずれかのDCIも同時に送信する。
【0067】
端末300は、同一サブフレームにおいて、何れかのDCIによるA−SRSの送信要求が検出されず、DCI format 3/3AにA−SRSのTPCコマンドのみが検出された場合、当該TPCコマンドを累積せず、破棄する。端末300は、自端末宛のDCI format 0/4/1A/2B/2Cと、DCI format 3/3AによるA−SRSのTPCコマンドと、が同一サブフレームに検出された場合のみ、当該TPCコマンドをh
c(i)に累積する。
【0068】
このようにすることで、基地局と端末300との間でh
c(i)の値の認識がずれる可能性を低減できる。DCI format 3/3AによるA−SRSへのTPCコマンドを単独で送信可能とすると、基地局は、基地局が送信したTPCコマンドが端末300に正しく検出されているか否かを把握することができない。また、端末にとっても、TPCコマンドを正しく検出し、累積できているのか不明である。したがって、基地局がA−SRSの送信要求を行うと、基地局の想定とは大きく異なる送信電力でA−SRSが送信され、他セル干渉を増大させてしまう懸念がある。一方、本方法では、基地局は、端末300に対し、DCI format 3/3AによるA−SRSのTPCコマンドを送信するときは、かならずDCI format 0/4/1A/2B/2Cも同時に送信する。また、端末300は、DCI format 3/3AによるA−SRSのTPCコマンド、および、前記DCIのいずれか、の両方が同時に検出されたときに限り、当該TPCコマンドをh
c(i)に累積する。したがって、TPCコマンドが検出されてh
c(i)に累積されたときには必ず、端末300は、DCI format 0/4/1A/2B/2Cによって制御情報が送信されたPUSCH、または、PDSCHに対応するPUCCHを送信する。基地局は、当該端末300からPUSCHまたはPUCCHの送信があるかないかで、h
c(i)へのTPCコマンドの累積が行われたかどうかを把握することができる。
【0069】
なお、DCI format 3/3AによるA−SRSのTPCコマンドと、DCI format 0/1A/2B/2C/4によるA−SRSの送信要求とは、前記のように同一サブフレームタイミングでなく、所定のサブフレームタイミング差を規定した場合でも、同等の効果を実現することができる。
【0070】
[バリエーション5]
前記に加え、端末300は、同一サブフレームまたは所定のサブフレームタイミング差において、何れかのDCIによるA−SRSの送信要求が検出され、DCI format 3/3AにおいてA−SRSのTPCコマンドが検出されなかった場合、式(1)を用いて算出された送信電力を用いてA−SRSを送信してもよい。すなわち、端末300は、累積値f
c(i)を用いて送信電力を計算する。
【0071】
このようにすることで、当該端末300に割り当てたA−SRSの無線リソースを有効活用できる。式(1)はPUSCH受信ノードでの受信を目的として計算される送信電力であり、式(2)はそれ以外のノードでも受信できるよう計算される送信電力である。したがって、式(1)は式(2)よりも小さい値である可能性が高い。すなわち、式(1)により送信されたA−SRSは、式(2)を用いた場合に比べて他セル干渉が小さい。
【0072】
基地局は、端末300にA−SRSの送信要求を行っている時点で、当該端末300にA−SRSを送信するための無線リソースを割り当てている。したがって、端末300は、DCI format 3/3AによるTPCコマンドを検出できなかった場合でも、式(1)による送信電力でA−SRSを送信することで、割り当てられた無線リソースをA−SRSの送信にあてることができる。また、このとき、端末300が送信電力の計算に式(1)を用いることで、他セル干渉の増加を抑えることができる。
【0073】
<実施の形態2>
実施の形態2では、A−SRSの閉ループTPCを、DCI format 1/1A/1B/1D/2/2A/2B/2Cに含まれるTPCコマンドによって行う場合について説明する。ここで、DCI format 1/1A/1B/1D/2/2B/2Cに含まれるTPCコマンドは、従来、PUCCHに適用され、g(i)に累積されていたTPCコマンドのことである。なお、端末300には、A−SRSの閉ループTPCを、DCI format 1/1A/1B/1D/2/2A/2B/2Cに含まれるTPCコマンドによって行うことを、RRC制御情報などにより、基地局から予め指示されているものとする。端末300は、上記の指示を受けたら、A−SRSの送信電力式におけるf
c(i)を、g(i)で置き換える。
【0074】
実施の形態2のネットワークシステムの構成は、実施の形態1と同一である。また、実施の形態2において、マクロノード100、ピコノード200、端末300の主要な構成は、実施の形態1と同一である。実施の形態2では、端末300の制御部302の機能が、実施の形態1と異なる。
【0075】
[端末の追加機能]
端末300の制御部302は、PUCCHのTPCコマンドを用いてA−SRSの閉ループTPCを行う。すなわち、制御部302は、受信したDCI format 1/1A/1B/1D/2/2B/2Cに含まれるTPCコマンドに基づいて、A−SRSの送信電力を調整する。したがってA−SRSの送信電力は、式(3)で与えられる。ここで、式(3)に含まれるg(i)は、PUCCHの送信電力式に含まれるTPCコマンドの累積値である。
【数3】
【0076】
[効果]
本実施の形態によれば、A−SRSの閉ループTPCを、PUCCHのTPCコマンドによって行うことができる。PUCCHは制御信号であり、再送制御の機能を有していないことから、PUSCHに比べて高品質かつ確実に受信される必要がある。したがって、PUSCHに比べてより多くの受信ノードで受信することで、高い受信ダイバーシチ効果が得られるよう閉ループTPCが行われる可能性が高い。また、PUCCHは下り回線の再送制御または送信適応制御のフィードバック情報を含むことから、PDSCHの送信ノードでも受信されるよう閉ループTPCが行われる可能性も高い。さらに、再送制御または送信適応制御がマクロノードの制御部104で行われることを考慮すれば、PUCCHに対しては、端末300の場所に関わらずマクロノード100で受信できるよう閉ループTPCが行われる可能性も高い。
【0077】
多くのノードでPUCCHが受信されるためには、PUSCHよりも大きな電力で送信する必要がある。また、PDSCHの送信ノードは、PUSCHの受信ノードと同じか、それよりも遠方に位置することが多く、PDSCHの送信ノードでPUCCHを受信させるためには、PUSCHよりも大きな電力でPUCCHを送信する必要がある。PUCCHをマクロノード100で送信する場合も、近傍のノードで受信されるPUSCHに比べて、大きな電力で送信しなければならない。以上のことから、PUCCHにはPUSCHよりも広いカバレッジを実現する必要があるといえる。したがって、A−SRSの閉ループTPCを、PUCCHのTPCコマンドによって行うことで、実施の形態1と同等の効果を達成することができる。また、このとき、新たなTPCコマンドを使用しなくて良いため、A−SRSの閉ループTPCに要するシグナリングを増加させる必要が無い。
【0078】
[バリエーション1]
実施の形態2では、DCI format 1/1A/1B/1D/2/2A/2B/2Cに含まれるTPCコマンドによりA−SRSの閉ループTPCを行う場合について説明した。しかし、DCI format 1/1A/1B/1D/2/2A/2B/2Cに含まれるTPCコマンドにより特定のA−SRSのみ閉ループTPCを行う、としてもよい。特定のA−SRSとは、前述のようにDCIの種別および送信要求ビットの値によって独立に設定されるパラメータセットを有する、5種類のA−SRSのうちいずれか、である。
【0079】
これにより、一部のA−SRSの閉ループTPCをPUSCHに連動させ、また一部のA−SRSの閉ループTPCをPUCCHに連動させることで、A−SRSの種別に応じて異なるカバレッジを形成することができる。したがって、P−SRSを用いずとも、A−SRSのみで様々なSRSの運用が可能となる。DCIの種別および送信要求ビットの値に応じて、どのA−SRSをDCI format 1/1A/1B/1D/2/2A/2B/2Cに含まれるTPCコマンドの適用対象とするか、については、あらかじめ規定されていてもよいし、RRC制御情報などにより基地局が指示してもよい。
【0080】
[バリエーション2]
実施の形態2では、基地局からのDCI format 1/1A/1B/1D/2/2A/2B/2Cに含まれるTPCコマンドによってA−SRSの閉ループTPCを行うことを設定されたときに、A−SRSの送信電力式におけるf
c(i)をg(i)で置き換える場合について説明した。しかし、f
c(i)を保持したまま、累積するTPCコマンドをDCI format 1/1A/1B/1D/2/2A/2B/2Cに含まれるTPCコマンドとしてもよい。すなわち、前記の設定が行われた時点ではTPCコマンド累積値はf
c(i)に等しく、その後の累積対象となるTPCコマンドを、DCI format 1/1A/1B/1D/2/2A/2B/2Cに含まれるTPCコマンドとする。
【0081】
このようにすることで、A−SRSの閉ループTPCを行うTPCコマンドが切り替えられたときに、f
c(i)がg(i)で置き換えられ、切り替え前後で送信電力が大きく変わってしまい、A−SRSを過剰な電力で送信して他セル干渉を増大する可能性、または、過小な電力で送信して対象となるノードにおいて所要の品質で受信できなくなることを回避できる。
【0082】
以上、本発明の各実施の形態について説明した。
【0083】
また、上記実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はハードウェアとの連携においてソフトウェアで実現することも可能である。
【0084】
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0085】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0086】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0087】
以上、上記実施の形態に係る無線通信端末装置は、アペリオディック・サウンディング・リファレンス・シグナル(A−SRS)に適用する送信電力制御コマンド(TPCコマンド)を含んだ制御信号を物理下り制御チャネル(PDCCH)を介して受信する受信部と、前記TPCコマンドを用いてA−SRSの送信電力値を更新する制御部と、物理下りデータチャネル(PDSCH)割り当てまたは物理上りデータチャネル(PUSCH)割り当てを通知する制御信号に含まれる送信要求に従って、前記更新された送信電力値でA−SRSを送信する送信部と、を具備する構成を採る。
【0088】
また、上記実施の形態に係る無線通信端末装置では、前記A−SRSは、前記送信要求を含む制御信号の種別と送信要求ビットのステートとが特定の組み合わせの場合に送信されるA−SRSである。
【0089】
また、上記実施の形態に係る無線通信端末装置では、前記TPCコマンドは、当該無線通信端末装置にPUSCH割り当てを通知する制御信号とは別の制御信号に含まれるTPCコマンドであり、前記TPCコマンドを含む制御信号は、1つまたは複数の前記無線通信端末装置を対象とする1つまたは複数のTPCコマンドにより構成され、前記制御部は、前記制御信号から自端末のA−SRSを対象とするTPCコマンドを検出して、当該TPCコマンドを用いて前記A−SRSの送信電力値を更新する。
【0090】
また、上記実施の形態に係る無線通信端末装置では、前記TPCコマンドを含む制御信号は、1つまたは複数の前記無線通信端末装置に対してPUSCHまたは物理上り制御チャネル(PUCCH)のいずれかのTPCコマンドを1つまたは複数含む制御信号であり、前記制御信号は、前記1つまたは複数の無線通信端末装置を対象とする1つまたは複数のTPCコマンドにより構成され、前記制御部は、前記制御信号から自端末のA−SRSを対象とするTPCコマンドを検出して、当該TPCコマンドを用いて前記A−SRSの送信電力値を更新する。
【0091】
また、上記実施の形態に係る無線通信端末装置では、前記TPCコマンドを含む制御信号、および、前記送信要求を含む制御信号の2つの制御信号は、同一サブフレームまたは所定のサブフレーム時間差で送信され、前記制御部は、前記2つの制御信号が同一サブフレームまたは所定のサブフレーム時間差で検出された場合に限り、前記A−SRSの送信電力値を更新する。
【0092】
また、上記実施の形態に係る無線通信端末装置では、前記制御部は、同一サブフレームまたは所定のサブフレーム時間差においてA−SRSの送信要求を検出し、A−SRSのTPCコマンドを検出しなかった場合に、PUSCHのTPCコマンド累積値を用いて前記A−SRSの送信電力値を計算する。
【0093】
また、上記実施の形態に係る無線通信端末装置では、前記TPCコマンドを含む制御信号は、PUCCHのTPCコマンドを含む制御信号であり、前記制御部は、前記PUCCHのTPCコマンドを用いて前記A−SRSの送信電力値を更新する。
【0094】
また、上記実施の形態に係る無線通信基地局装置は、アペリオディック・サウンディング・リファレンス・シグナル(A−SRS)に適用する送信電力制御コマンド(TPCコマンド)を含んだ制御信号を物理下り制御チャネル(PDCCH)を介して送信する送信部と、前記TPCコマンドを用いてA−SRSの送信電力値の更新を指示する制御部と、受信したA−SRSによりチャネル・ステート・インフォメーション(CSI)を測定する制御部と、物理下りデータチャネル(PDSCH)割り当てまたは物理上りデータチャネル(PUSCH)割り当てを通知する制御信号に送信要求を含んで送信する送信部と、を具備する構成を採る。
【0095】
また、上記実施の形態に係る無線通信方法は、アペリオディック・サウンディング・リファレンス・シグナル(A−SRS)に適用する送信電力制御コマンド(TPCコマンド)を含んだ制御信号を物理下り制御チャネル(PDCCH)を介して受信し、前記TPCコマンドを用いてA−SRSの送信電力値を更新し、物理下りデータチャネル(PDSCH)割り当てまたは物理上りデータチャネル(PUSCH)割り当てを通知する制御信号に含まれる送信要求に従って、前記更新された送信電力値でA−SRSを送信する。
【0096】
2012年8月1日出願の特願2012−171086の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。