(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記排ガス導入管の一端の前記排ガス取入口の端部は、排ガス流路内に突設されるとともに排ガスの流れに対して上流側に向いた開口部を有していることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の暖機装置。
前記排ガス浄化装置の下流側の排気系路は、前記排ガス浄化装置に一体的に形成された上流側排気管と、車体側に支持された下流側排気管と、前記上流側排気管と前記下流側排気管とを自在性を許容して接続する自在継手とを有し、前記排ガス導出管の他方は、前記上流側排気管に接続させることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の内燃機関の暖機装置。
前記排ガスジャケットへの排ガス導入は、前記クランクケースのクランクシャフト側から前記ウォータジャケット側に流れるように構成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の内燃機関の暖機装置。
前記排ガスジャケットの前記フィンは、突出方向先端部と前記フィンを覆う蓋部材との間に隙間を有して配設されることを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の暖機装置。
前記排ガスジャケットは、前記シリンダブロックのシリンダ配列方向に対して両側の側壁に設けられ、前記排ガス浄化装置の排ガス流出口からの排ガスはそれぞれの排ガスジャケットに対して直列状態または並列状態に導入及び排出されるように構成されること特徴とする請求項4に記載の内燃機関の暖機装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1によると、ブロック内排気通路はシリンダの比較的下部に対応する位置に設けられている。
ところが、内燃機関はシリンダより下方にあるクランクシャフトの回転摺動部のオイル、エンジンの各摺動部の潤滑材となるオイルパンのオイルを温めることができない。
従って、冷態時にオイルの粘性を低減して、エンジンの内部抵抗を低減することができない。
また、特許文献2によると、シリンダ壁の少なくともピストン下死点近傍にガスジャケットを配設した構造となっているので、排ガスは、シリンダ壁の下死点近傍を加熱するため、シリンダ壁およびピストン間の摺動部の摩擦損失の低減は得られるが、クランクジャーナル部およびコネクチングロッド連結部におけるフリクションの低減は得られない。
【0007】
本発明は、上述した従来技術の課題に鑑みなされた発明であって、排ガスでシリンダブロックのシリンダライナのクランクシャフト側およびクランクシャフト部を加温して、クランクジャーナル部およびコネクチングロッド連結部等の各摺動部のオイル粘度を低減させて、内燃機関冷態時の燃費向上を図る内燃機関の暖機装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前述の課題に鑑みてなされたものであり、内燃機関の暖機装置において、前記内燃機関のエキゾーストマニホールドと、前記エキゾーストマニホールドの排気経路下流側に、該エキゾーストマニホールドと一体的に配設された排ガス浄化装置と、前記内燃機関の冷却水が流通するウォータジャケットを備えた前記内燃機関のシリンダブロックの側壁に、前記ウォータジャケットより該シリンダブロックの下方に位置するクランクシャフト側で、少なくともクランクケース上部近傍に達するように設けられ、排ガスが流通する排ガスジャケットと、一端が前記排ガス浄化装置の排ガス流出口に接続され、排ガスの一部を取入れる排ガス取入口を有し、他端が前記排ガスジャケットの排ガス導入部に連結された排ガス導入管と、一端が前記排ガスジャケットの排ガス流出部に連結され、他端が前記排ガス導入管の前記排ガス取入口の位置より排気系下流側に連結された排ガス導出管と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明によると、エキゾーストマニホールド部に設けられた排ガス浄化装置で浄化された排ガスは、排ガス浄化装置の下流側直近から分岐され、少なくともクランクケース上部近傍まで達するように形成された排ガスジャケットに高温状態で導入されるようにしたので、排ガス温度低下の影響を少なくすることができ、ピストン下死点近傍およびクランクシャフトの各摺動部のオイルが素早く温められ、オイルの粘性を低減して、内燃機関の摺動抵抗が軽減されることにより、内燃機関の燃費向上が図れる。
さらに、排ガス浄化装置で浄化された排ガスを排ガスジャケットに導入するようにしたので、排ガスジャケット内の壁面への堆積物の蓄積が抑制され、暖機装置としての性能維持が容易になる。
【0010】
また、本発明において好ましくは、前記排ガス導入管の一端の前記排ガス取入口の端部は、排ガス流路内に突設されるとともに排ガスの流れに対して上流側に向いた開口部を有しているとよい。
【0011】
このような構成にすることにより、排ガス取入の開口を排ガス流路上流側に向けることで、排ガスのガス流動圧を利用して、排ガス導入管への排ガス流入量を確保し易くすることができ、内燃機関の暖機が効率よく行うことができる。
【0012】
また、本発明において好ましくは、前記排ガス浄化装置の下流側の排気系路は、前記排ガス浄化装置に一体的に形成された上流側排気管と、車体側に支持された下流側排気管と、前記上流側排気管と前記下流側排気管とを自在性を許容して接続する自在継手とを有し、前記排ガス導出管の他方は、前記上流側排気管に接続するとよい。
【0013】
このような構成にすることにより、排ガス導出管の他方を、球面継手と前記排ガス導入管の排ガス取入口の取付部(一端)との間に接続させることで、内燃機関、エキゾーストマニホールド及び排ガス導出管が同じ変動をするので、排ガス導出管に自在性を有する部材にする必要性がなく、装置の信頼性が向上すると共に、製造コストの低減が可能となる。
また、排ガスの排気管内での圧力は、上流側から下流側に移動するに従い低くなる。
従って、排ガス導出管の他方の接続位置を、排ガス導入管の一端より下流側に配設する
ことで、排ガスジャケット内への排ガス導入を促進できる。
【0014】
また、本発明において好ましくは、前記排ガスジャケットへの排ガス導入は、前記クランクケースのクランクシャフト側から前記ウォータジャケット側に流れるようにするとよい。
【0015】
このような構成にすることにより、排ガスジャケットへの排ガス導入は、クランクケースのクランクシャフト側から前記ウォータジャケット側に流れるようにすることで、排気浄化装置からの温度の高い排ガスでシリンダブロックのクランクケース側及びクランクシャフトの軸受部分近傍の潤滑油を最優先で暖めるようにしたので、潤滑油の粘性を低減して燃費改善を効果的に図ることができる。
【0016】
また、本発明において好ましくは、前記排ガスジャケットは、前記内燃機関本体の外側面に形成され、前記外側面より外方へ突出した熱交換用フィンを有し、排ガスが前記排ガスジャケット内を前記フィンに沿って蛇行する排ガス流路を形成するとよい。
【0017】
このようにすることにより、シリンダブロック及びクランクケース外側面にフィンを外方へ突出させて、排ガス流路を形成し、排ガスをフィンに沿って流すようにしたので、排ガスとフィンとの熱交換効率が向上し、エンジン暖機が促進される。
また、排ガスジャケットをシリンダブロック及びクランクケース外側面に配設した構造としたので、シリンダブロック及びクランクケースを製造する際の砂型の形状が容易化され、製造コストの低減が可能となる。
【0018】
また、本発明において好ましくは、前記排ガスジャケットの前記フィンは、突出方向先端部と前記フィンを覆う蓋部材との間に隙間を有して配設するとよい。
【0019】
このようにすることにより、排ガスジャケットのフィンの突出方向先端部と蓋部材との間に隙間を配設する構造としたので、排ガスジャケットを流れる排ガスの流動抵抗が小さくなり、排ガスジャケット内を流れる排ガス量増大によるエンジン暖機促進が図れる。
【0020】
また、本発明において好ましくは、前記排ガスジャケットは、前記シリンダブロックのシリンダ配列方向に対して両側の側壁に設けられ、前記排ガス浄化装置の排ガス流出口からの排ガスはそれぞれの排ガスジャケットに対して直列状態または並列状態に導入及び排出されるように構成されるとよい。
【0021】
このようにすることにより、内燃機関の暖機性能が更に向上し、内燃機関の更なる燃費向上の効果が期待できる。
【0022】
本発明によれば、排ガスでシリンダブロックのシリンダライナのクランクシャフト側およびクランクシャフト部を加温して、クランクジャーナル部およびコネクチングロッド連結部等の各摺動部のオイル粘度を低減させて、内燃機関冷態時の燃費向上を図る内燃機関の暖機装置の提供が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0025】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態における全体構成概略図を示す。
符号1は、多気筒内燃機関の触媒昇温装置を装備した筒内噴射型内燃機関である。
この筒内噴射型内燃機関1(以後、エンジン1と略称する)は火花点火式の4サイクルエンジンである。
【0026】
エンジン1は、シリンダブロック11と、該シリンダブロック11の上部を閉塞するシリンダヘッド13と、シリンダブロック11内のシリンダ11bに沿って上下方向に摺動するピストン17と、クランクシャフト18と、ピストン17とクランクシャフト18とを連結して、ピストン17の往復運動をクランクシャフト18にて回転運動に変換させるコネクチングロッド17aと、シリンダブロック11の下端部に配設され、エンジン1の各摺動部を潤滑又は冷却するオイルを貯溜するオイルパン19と、を備えている。
尚、オイルは、図示省略のオイルポンプによって各摺接部に圧送される。
シリンダブロック11は、下部にピストン17の上下運動を回転運動に変換して出力するクランクシャフト18を軸支しているクランクケース12を備えて一体的に形成されている。
シリンダヘッド13の下面とシリンダ11bとピストン17の上面とで燃焼室CCが形成されている。
【0027】
シリンダブロック11には、エンジン1の温度を適正温度に維持するため、シリンダ11bの外周に沿ってエンジン冷却水が循環するウォータジャケット11aが配設されている。
また、
図2に本発明の第1実施形態に係る排ガスジャケット2が設けられたシリンダブロックの側面斜視図を示す。排ガスジャケット2は、ウォータジャケット11aの下端縁近傍からクランクケース12の上部近傍に亘り外壁面に配設されている。
排ガスジャケット2のクランクシャフト18の軸方向の大きさは、クランクシャフト18の長さに略等しく形成されている。
【0028】
更に、
図3(A)は、
図2のA−A断面図、(B)は、
図3(A)のZ矢視図を示す。
排ガスジャケット2は、シリンダブロック11のエキゾーストマニホールド14(以後、エキマニ14と略称する)が配設されている側に設けられている。
排ガスジャケット2は、シリンダブロック11の外側面から外方へ突出した環状の壁部12aが形成されている。
環状の壁部12aの頂部(突出先端)には、該頂部全周を覆う蓋部材23がパッキン23aを介して複数のボルト23bにて締結されている。
【0029】
蓋部材23には、排ガスを排ガスジャケット2の廃熱暖機空間部第1EHに導入するための排ガス導入管21(
図1参照)が取付けられる導入アダプタ26と、廃熱暖機空間部第1EHに導入された排ガスをマニホールド触媒コンバータ15の下流側に導出させる排ガス導出管22(
図1参照)が取付けられる導出アダプタ27が夫々配設されている。
導入アダプタ26は、クランクシャフト18に近い[
図3(A)の場合は下側]方に配設され、導出アダプタ27は、ウォータジャケット11aに近い[
図3(A)の場合は上側]方に配設されている。
これは、排ガス浄化装置であるマニホールド触媒コンバータ15(以後、触媒コンバータ15と略称する)からの温度の高い排ガスを、オイルが多く貯溜されているオイルパン19、及びクランクジャーナル部(図示省略)を速く暖機させるために配置して、オイルの粘性低減を図るためである。
【0030】
図1に示すように、ピストン17には、コネクチングロッド17aの一端がピストン17に装着されているピストンピン17bに、ピストンピン17bの周方向に摺接可能に連結されている。
コネクチングロッド17aの他端は、エンジン1の出力軸であるクランクシャフト18のクランクピン18aに、クランクピン18aの周方向に摺接可能に連結されている。
クランクシャフト18は、シリンダブロック11に設けられた軸受部(図示省略)に軸支されている。
【0031】
更に、シリンダヘッド13には、燃焼室CCに新気を導入する吸気ポート13fと、該吸気ポートを開閉する吸気バルブ13bと、燃焼室CCに燃料を噴射する燃料噴射ノズル13dと、燃焼室CCの空気と燃料との混合気を燃焼させる点火プラグ13cと、燃焼室CCの燃焼した燃焼ガス(以後、排ガスと略称する)をエンジン1外に導出する排気ポート13eと、該排気ポート13eを開閉する排気バルブ13aが配設されている。
更に、シリンダヘッド13には、吸気ポート13fに接続され新気を流通させるインレットマニホールド13gと、排気ポート13eに接続され排ガスを導出させるエキマニ14と、該エキマニ14に直結したマニホールド触媒コンバータ15が接続されている。
【0032】
図4に本発明の実施形態に係るエキマニ14に触媒コンバータ15を直結した装置の外観概略斜視図を示す。
エキマニ14は、一端側がシリンダヘッド13に取付けられ、他端側に触媒コンバータ15が直結されている。
エキマニ14は、シリンダヘッド13に取付けられ、排気ポート13eに対応した位置に排ガスが通過する開口(開口数は気筒数に同じ数)を有した一端側である取付ベース部14bと、該取付ベース部14bの排ガスが通過する開口に連通して排ガスが流れる各導出部14cと、各導出部14cからの排ガスを集合させる他端側である集合部14aとで構成されている。
【0033】
エキマニ14の集合部14aの下面(
図4において)には、触媒コンバータ15が直結されている。
触媒コンバータ15の下端側(
図4において)の排ガス流出口には触媒15a(
図1参照)で浄化された排ガスの排ガス流路が下部で略直角に変化すると共に略円錐形状に形成されたロアコーン15bが配設されている。
ロアコーン15bの排出端部には、上流側排気管15cがロアコーン15bと一体的に形成されている。
上流側排気管15cの先端部は、上流側排気管15cと下流側排気管29と連結する自在継手16が配設されている。
自在継手16、下流側排気管29は車体側(図示省略)に支持され、上流側排気管15cは、触媒コンバータ15及びエキマニ14を介してシリンダブロック11に支持されているため、夫々の相対変位の揺動を吸収するために配設されている。
【0034】
排ガスの取入端部21aの取付位置を説明するため、
図5に、排ガス浄化装置である触媒コンバータ15がエンジン1に取付けた状態の側面視図、
図6に
図5の平面視図を示す。
ロアコーン15bの下側には、排ガスを廃熱暖機空間部第1EHに導入させる排ガス導入管21の取入端部21aが、排ガス流路(
図5の矢印)内に突出している。
排ガス導入管21の排出端側は、既述の通り、排ガスジャケット2の導入アダプタ26に連結される。
排ガス導入管21の取入端部21aは、先端部を斜めにカットされた形状になっており、カットした開口部21bは排ガス流路の上流側に向くように配設されている。
開口部21bを排ガス流路の上流側に向くようにすることで、排ガスの流動圧を利用して、取入端部21aからの排ガスの取入量の向上を図ったものである。
【0035】
また、既述の通り、廃熱暖機空間部第1EHはエキマニ14が配設されている側に設けられていると共に、排ガス導入管21の取入端部21aをロアコーン15bの下側に配置することで、排ガスジャケット2までの排ガス導入管21の長さを短くすることができ、排ガス温度の低下を極力抑制するようにした。
これにより、廃熱暖機空間部第1EHによる暖機効果を向上させる効果を得ることができる。
尚、取入端部21aが排ガス流路と平行になるように排ガス流路上流側に屈曲させて、開口部21bが上流側に向くようにしてもよい。(先端部の斜めにカットを設けない)
符号24は、低圧EGR用の排ガス取出しパイプ(
図1参照)であり、触媒コンバータ15を通過した排ガスを、シリンダブロック11内に形成された図示省略の流路を介してインレットマニホールド13gに供給される。
【0036】
上流側排気管15cには、酸素濃度センサの取付アダプタ15eと、排ガスジャケット2の廃熱暖機空間部第1EHからの排ガスを上流側排気管15cに戻す排ガス導出管22の端部が連結される戻りアダプタ15dが配設されている。
戻りアダプタ15dでは、酸素濃度センサ(図示省略)の取付アダプタ15eと自在継手16との間に配設されている。
戻りアダプタ15dの位置は、排ガスの取入端部21aと戻りアダプタ15dの位置との差圧により排ガスの循環を図るため、取入端部21aよりできる限り上流側排気管15cの下流側にする。
さらに、酸素濃度センサへの影響を回避するため、酸素濃度センサの取付アダプタ15eより下流側にしてある。
また、取付アダプタ15eと戻りアダプタ15dを自在継手16の上流側に配置する理由は、既述の通り、取付アダプタ15eと戻りアダプタ15dがエンジン1側に支持されるため、下流側排気管29との相対変位の揺動を吸収するためである。
【0037】
本実施形態では、触媒コンバータ15は、エキマニ14の排ガス流路下流側の直下に連結されている。
触媒コンバータ15を通過した排ガスは、触媒コンバータ15の出口近傍で排ガス導入管21に取り入れられる構造となっている。
排ガスによって、排ガスジャケットの廃熱暖機空間部第1EHは、シリンダブロック11の下部及びクランクケース12の上部を温める。
暖められたクランクケース12の上部の内壁面からは、クランクケース12内に輻射熱(
図1中の矢印)が放出され、ピストン17の下死点近傍、クランクシャフト18の各摺動部が温められる。
従って、触媒コンバータ15の触媒15aの反応熱を確保でき、触媒の作用効果を十分に得ることができる。
触媒15aを通過した高温状態の排ガスを排ガスジャケット2に供給することができ、ピストン17の下死点近傍、クランクシャフト18の各摺動部の暖気が促進されて、各摺動部のオイルの粘性を低減させて、エンジン1の内部摺動抵抗の低減に伴うエンジン1の燃費向上が図れる。
【0038】
(第2実施形態)
本実施形態は、排ガスジャケットの構造が第1実施形態に対して異なる以外は同じなため、同じ部分の説明は省略し、排ガスジャケットの説明のみとする。
尚、本第2実施形態では、第1実施形態の排ガスジャケットの廃熱暖機空間部第1EHと区別するため、廃熱暖機空間部第2EHとして説明する。
また、同じ部品は同一符号を付して、説明は省略する。
【0039】
図7(A)に
図2のA−A断面相当図、(B)に
図7(A)のZ矢視図を示す。
第2実施形態の排ガスジャケット20は、シリンダブロック11の外側面10dから外方へ突出した環状の壁部12aが形成されている。
環状の壁部12aの頂部(突出先端)には、該頂部全周を覆う蓋部材23がパッキン23aを介して複数のボルト23bにて締結されている。
蓋部材23には、排ガスを排ガスジャケット20の廃熱暖機空間部第2EHに導入するための排ガス導入管21が取付けられる導入アダプタ26と、廃熱暖機空間部第2EHに導入された排ガスをエキマニ14の下流側に導出させる排ガス導出管22が取付けられる導出アダプタ27が夫々配設されている。
導入アダプタ26は、クランクシャフト18に近い[
図7(A)の場合は下側]方に配設され、導出アダプタ27は、ウォータジャケット11aに近い[
図7(A)の場合は上側]方に配設されている。
【0040】
廃熱暖機空間部第2EHには、シリンダブロック11の外側面10dから外方へ突出し突出した複数の熱交換用のフィン10a、10bが配設されている。
フィン10a、10bは、突出先端部TPがパッキン23aを介して蓋部材23に当接している。
図7(B)に示すように、フィン10aと、フィン10bは、夫々が上下方向(
図7において)に間隔L1を有している。
更に、隣合せのフィン10aと、フィン10bは、互いにクランクシャフト18の軸方向(長手方向)交互にずらして配設されている。
夫々のフィン10a,10bは、一端側が環状の壁部12aに接合し、他端側の延出先端EPは、環状の壁部12aの内周面12bと間隔L2を有して配設されている。
【0041】
従って、隣合せのフィン10a、10bとシリンダブロック11の外側面10dと蓋部材23とで排ガス流路の閉断面が形成される。
導入アダプタ26から導入された排ガスは、廃熱暖機空間部第2EH内を蛇行して、導出アダプタ27から排ガス導出管22を介して、上流側排気管15cに排出される。
尚、本実施形態では、フィン10a、10bを水平方向(
図7において)に延在させた構造としたが、上下方向にすることも可能である。
【0042】
このようにすることで、排ガスの熱は、フィン10aとフィン10bによって効率的に熱交換され、ピストン17の下死点近傍、クランクシャフト18の各摺動部の暖気が更に効率よくおこなわれて、各摺動部のオイルの粘性を低減させて、エンジン1の内部摺動抵抗の低減に伴うエンジン1の燃費向上が図れる。
【0043】
(第3実施形態)
本実施形態は、排ガスジャケットの構造が第1実施形態に対して異なる以外は同じなため、同じ部分の説明は省略し、排ガスジャケットの説明のみとする。
尚、本第3実施形態では、第1実施形態の排ガスジャケットの廃熱暖機空間部EHと区別するため、廃熱暖機空間部第3EHとして説明する。
また、同じ部品は同一符号を付して、説明は省略する。
【0044】
本実施形態では、フィン10aとフィン10bの突出先端部TPがパッキン23aを介して蓋部材23に当接した構造にしたが、突出先端部TPとパッキン23aとに隙間を設けるようにしたものである。
図8(A)に
図2のA−A断面相当図、(B)に
図8(A)のZ矢視図を示す。
第3実施形態の排ガスジャケット30は、シリンダブロック11の外側面10dから外方へ突出した環状の壁部12aが形成されている。
環状の壁部12aの頂部(突出先端)には、該頂部全周を覆う蓋部材23がパッキン23aを介して複数のボルト23bにて締結されている。
蓋部材23には、排ガスを排ガスジャケット30の廃熱暖機空間部第3EHに導入するための排ガス導入管21が取付けられる導入アダプタ26と、廃熱暖機空間部第3EHに導入された排ガスをエキマニ14の下流側に導出させる排ガス導出管22が取付けられる導出アダプタ27が夫々配設されている。
【0045】
廃熱暖機空間部第3EHには、シリンダブロック11の外側面10dから外方へ突出L3した複数の熱吸収用のフィン10c、が配設されている。
フィン10cは、突出先端部TPがパッキン23aに対してL4の隙間を有している。
図8(B)に示すように、フィン10cは、夫々が上下方向(
図8において)に間隔Lを有すると共に、クランクシャフト18の軸方向(長手方向)において、両端部が環状の壁部12aの内周面12bに対して間隔L2を有している。
導入アダプタ26から導入された排ガスは、廃熱暖機空間部第3EH内をフィン10cに接触しながら導出アダプタ27から排ガス導出管22を介して、上流側排気管15cに排出される。
この場合は、廃熱暖機空間部第3EH内を流れる排ガスの流動抵抗が小さくなり、廃熱暖機空間部第3EH内を流れる排ガス量が多くなり、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
(第4実施形態)
本実施形態は、第1実施形態に対して排ガスジャケットがエンジン1の両外側面10dに配設された以外は、第1実施形態に同じなため、同じ部分の説明は省略し、排ガスジャケットの説明のみとする。
尚、本第2実施形態では、第1実施形態の排ガスジャケットの廃熱暖機空間部EHと区別するため、エンジン1のエキマニ14側に配設された廃熱暖機空間部EHを廃熱暖機空間部第4EHとし、反対側に配設された廃熱暖機空間部EHを廃熱暖機空間部第5EHとして説明する。
また、同じ部品は同一符号を付して、説明は省略する。
【0047】
図9に示す通り、本実施形態である、エンジン1の両側面に排ガスジャケット40が配設されている。
エンジン1のエキマニ14側に配設された第1排ガスジャケット41と、エキマニ14と反対側に配設された第2排ガスジャケット42である。
第1排ガスジャケット41及び第2排ガスジャケット42は、夫々がウォータジャケット11aの下端縁近傍からクランクケース12の上部近傍に亘り外壁面に配設されている。
排ガスジャケット2のクランクシャフト18の軸方向の大きさは、クランクシャフト18の長さに略等しく形成されている。
【0048】
第1排ガスジャケット41には、排ガスを第1排ガスジャケット41の廃熱暖機空間部第4EHに導入するための排ガス導入管21が取付けられている。
廃熱暖機空間部第4EH内を流通した排ガスは、第1排気導管43aを介して廃熱暖機空間部第5EH内に導入される。
第1排気導管43aは、一端が廃熱暖機空間部第4EHのウォータジャケット11a側の上端部に連結され、他端が廃熱暖機空間部第5EHのクランクシャフト18側の下端部に連結されている。
【0049】
廃熱暖機空間部第5EH内を流通した排ガスは、廃熱暖機空間部第5EHのウォータジャケット11a側の上端部から第2排気導管43bを介して上流側排気管15cに導出される。
尚、本実施形態では、廃熱暖機空間部第4EHから廃熱暖機空間部第5EHへの排ガス導入を第1排気導管43aとしたが、シリンダブロック11内に排ガス流路を設けるようにしてもよい。
更に、廃熱暖機空間部第5EHから上流側排気管15cへの排ガス導出は、シリンダブロック11内に、シリンダブロック11のエキマニ14側までの排ガス流路を設け、該排ガス流路の出口と上流側排気管15c間を別の排ガス流路管を設けるようにしてもよい。
更に、廃熱暖機空間部第5EHから上流側排気管15cへの排ガス導出は、廃熱暖機空間部第5EHのウォータジャケット11a側の上端部から上流側排気管15cへ排ガス流路管で直接導出するようにしてもよい。
また、本実施形態では、排ガス導入管21で取入れた排ガスの流れは、第1排ガスジャケット41を流通後、第2排ガスジャケット42に流入する直列状態に配置された形態になっているが、第1排ガスジャケット41及び第2排ガスジャケット42夫々に排ガス導入管21からの排ガスを並列に導入させ、夫々の排ガス導出口から並列に流出させるようにしてもよい。
【0050】
このように、エンジン1の左右の外壁に第1排ガスジャケット41、第2排ガスジャケット42を直列に設けることで、排ガスの熱を効率よく取出すことができ、シリンダブロック11の両側面からの輻射熱によって、シリンダブロック11内の暖機促進が可能となる。
尚、本実施形態では、廃熱暖機空間部第4EH及び廃熱暖機空間部第5EHにフィンを配設しないで実施したが、フィンを設けると更に暖機効果を向上させることができる。
【0051】
(第5実施形態)
本実施形態は、第4実施形態に対して排ガスジャケットがウォータジャケットの下方で、シリンダブロック11の壁部内に設けた以外は第4実施形態に同じである。
従って、同じ部分の説明は省略し、排ガスジャケットの説明のみとする。
尚、本第5実施形態では、第4実施形態の排ガスジャケットの廃熱暖機空間部EHと区別するため、エンジン1のエキマニ14側に配設された廃熱暖機空間部EHを廃熱暖機空間部第6EHとし、反対側に配設された廃熱暖機空間部EHを廃熱暖機空間部第7EHとして説明する。
また、同じ部品は同一符号を付して、説明は省略する。
【0052】
図10に示す通り、シリンダブロック11のシリンダ配列方向に対して両側の側壁内に排ガスジャケット50が配設されている。
排ガスジャケット50はエンジン1のエキマニ14側に配設された第1壁内排ガスジャケット51と、エキマニ14と反対側に配設された第2壁内排ガスジャケット52とを備えている。
第1壁内排ガスジャケット51及び第2壁内排ガスジャケット52は、夫々がウォータジャケット11aの下端縁近傍からクランクケース12の上部近傍に亘りシリンダブロック11の壁面内に配設されている。
更に、第1壁内排ガスジャケット51及び第2壁内排ガスジャケット52のクランクシャフト18の軸方向の大きさは、クランクシャフト18の長さに略等しく形成されている。
尚、本実施形態では、廃熱暖機空間部第6EH及び廃熱暖機空間部第7EHにフィンを配設しないで実施したが、フィンを設けると更に暖機効果を向上させることができる