(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6358507
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】トルク測定装置
(51)【国際特許分類】
G01L 5/24 20060101AFI20180709BHJP
G01L 5/00 20060101ALI20180709BHJP
B25B 23/14 20060101ALI20180709BHJP
B23P 19/06 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
G01L5/24
G01L5/00 103D
B25B23/14 610T
B25B23/14 640W
B23P19/06 P
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-223246(P2014-223246)
(22)【出願日】2014年10月31日
(65)【公開番号】特開2016-90334(P2016-90334A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】514280204
【氏名又は名称】瞬豐實業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼逸民
【審査官】
森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第7832285(US,B2)
【文献】
米国特許第8713986(US,B2)
【文献】
米国特許第6196071(US,B1)
【文献】
登録実用新案第3187340(JP,U)
【文献】
特公平7−92416(JP,B2)
【文献】
登録実用新案第3148560(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3165435(JP,U)
【文献】
特許第5840944(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/
B23P 19/
B25B 23/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板(12)と、
底板(12)に固定され、収納溝(26)を有するベース(20)と、
ベース(20)の収納溝(26)に位置され、ベース(20)に結合されるポール(30)と、
底板(12)に設置され、且つ測定に使用されるひずみゲージ(62)及び表示装置(64)を有する電子回路測定ユニット(60)と、
信号が電子回路測定ユニット(60)に伝送され、表示装置(64)に判読可能な数値が表示されるポール(30)の変形量と、
ベース(20)の収納溝(26)に装設され、且つ中心孔(52)を有し、ポール(30)の外部に覆設され、共に環状空間(54)を画定させる支持リング(50)を備え、
中空の工具が環状空間(54)に挿入されると、支持リング(50)により中心孔(52)の壁面が包囲され、工具がポール(30)に対して擺動する幅を制限させ、工具のトルク測定作業を安定的に進められることを特徴とするトルク測定機構。
【請求項2】
窓部(13)及び孔部(15)で構成されるケース(16)を更に有し、ケース(16)により底板(12)に装設されると、窓部(13)は表示装置(64)の数値の表示範囲を制限させ、支持リング(50)がベース(20)に支持され、孔部(15)を通過してケース(16)の外に露出されることを特徴とする、請求項1記載のトルク測定機構。
【請求項3】
軸受(40)を更に有し、軸受(40)により支持リング(50)はベース(20)の収納溝(26)の開口箇所に装設されることを特徴とする、請求項1記載のトルク測定機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具のトルク測定技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の工具は、人力、電動、或いは空圧式設備の運動エネルギーがトルク伝送方式によりねじ、ボルト及びナット等の緊合部材に出力される。
【0003】
緊合の程度が緊合部材の負荷能力を超えるとねじ山が破損するという欠点があり、結合された2つの物体の結合が緩む現象が発生した。このため、工具から出力されるトルク値は、通常測定装置を用いて予め測定を行った後、適度なトルク出力値に調整することで緊合部材の構造が破壊されないように予防する。
【0004】
また、既存のトルク測定装置の種類は非常に多い(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。特許文献1に記載される簡易のトルク測定装置は、機械式構造を採用して工具のトルク値の測定を行う。簡単に言えば、外ケース内部に操作軸、回転棒、及び量りが装設される。操作軸の一端は回転棒に通過され、他端は外ケースを貫通させる。量りは回転棒の表面に接触する探針を有する。
【0005】
工具が操作軸の外に露出される端を覆設させると共に回転し、回転棒が変形するのを探針により測定させ、量りの針が対応する目盛り或いは数字を指し、使用者がこれを判読する。しかし視角が変われば判読された数値も変わってしまうことがあり、測定の正確性に重大な影響を与えた。さらに、機械構造には一定の公差が存在し、測定で得られた数値と工具の実際のトルク値に大きな誤差が生まれた。
【0006】
さらに、特許文献2に記載される電子式のトーション測定器は、電子回路ユニットにより上述の量りを代替させる。電子表示ユニットはディスプレイ及び測定部材に電気的に接続される。測定部材はひずみゲージであり、回転棒の表面に接触し、測定部材の電流或いは電圧は回転棒の変形に応じて強弱が変化し、信号が電子回路測定ユニットに出力され、ディスプレイで判読可能な数値に転換される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】台湾実用新案出願公開第538859号明細書
【特許文献2】台湾特許出願公開第I341235号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、電子測定器で測定されたトルク値は機械式トルク測定装置よりも精度が高い。但し、工具が操作軸の外に露出される端に結合される際、両者の間には一定の隙間が存在するため工具が動き易く、安定的にトルクの測定作業を進められない。このため、工具をいかに安定させてトルクを測定するかが本発明が解決を目指す課題である。
【0009】
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に到った。
【0010】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものである。上記課題解決のため、本発明は、トルク測定装置を提供することを主目的とする。換言すれば、形態を制限させる構造を採用し、工具を安定化させてトルク測定作業を進める効果を達成させる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るトルク測定装置は、底板(12)と、
底板(12)に固定され、収納溝(26)を有するベース(20)と、ベース(20)の収納溝(26)に位置され、ベース(20)に結合されるポール(30)と、底板(12)に設置され、且つ測定に使用されるひずみゲージ(62)及び表示装置(64)を有する電子回路測定ユニット(60)と、信号が電子回路測定ユニット(60)に伝送され、表示装置(64)に判読可能な数値が表示されるポール(30)の変形量と、ベース(20)の収納溝(26)に装設され、且つ中心孔(52)を有し、ポール(30)の外部に覆設され、共に環状空間(54)を画定させる支持リング(50)を備え、中空の工具が環状空間(54)に挿入されると、支持リング(50)により中心孔(52)の壁面が包囲され、工具がポール(30)に対して擺動する幅を制限させ、工具のトルク測定作業を安定的に進められることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、工具を安定させてトルクの測定を行える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るに係るトルク測定装置を説明する展開図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るに係るトルク測定装置を説明する構成図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るに係るトルク測定装置を説明する構成の断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るに係るトルク測定装置を使用する状態図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係るに係るトルク測定装置の使用状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
(第1実施形態)
【0015】
図1〜3は本発明のトルク測定装置10の第1実施形態の具体的な構造である。外部の輪郭は底板12がケース16に結合されることで構成され、トルク測定装置10の内部に装設されるベース20、ポール30、及び電子回路測定ユニット60に対する保護作用を具備する。
【0016】
底板12には若干の貫通孔14が形成され、これらの貫通孔14は底板12の中間部位及び各角に分布される。各貫通孔14は一定の大きさ及び形状を有し、例えば円形の孔部や多角形の孔部等がある。
【0017】
上述のケース16の周囲は平坦部11であり、中央は突起部18であり、突起部18の根部は平坦部11に連接される。突起部18には窓部13及び孔部15が形成され、ケース16の底部から突起部18の方向へ陥没する装着空間19に連通される。
【0018】
若干の大型の緊合部材17を使用する場合、平坦部11を貫通させると共に作業面70(例えば、作業台)に緊合させ、ケース16を固定させて動かないようにする。本実施形態では、上述の緊合部材17はねじ或いはボルトである。他の実施形態では、緊合部材17はリベットである。
【0019】
若干の小型の緊合部材17を使用する場合、底板12の各角の貫通孔14を貫通させると共にケース16の下方に緊合させ、装着空間19は底板12により閉鎖され、窓部13及び孔部15のみ外界に連通される。
【0020】
前記ベース20は円筒型に設計され、内部には収納溝26が形成され、収納溝26の開口はベース20の上端の中央に位置され、軸受40の収納に用いられる。ベース20の底部22は収納溝26の閉鎖端となり、ベース20の底部22に形成される角穴24から外界に連通される。収納溝26は円形の段状溝であり、開口に近い程直径が大きく、大きな直径と小さな直径との間は環状になり肩部28が形成され、収納溝26の開口に嵌め込まれる軸受40には阻止作用が形成され、軸受40が収納溝26の深部に落ちるのを回避させる。ここで軸受40と称するものは、ボール軸受或いはローラー軸受である。
【0021】
なお、本実施形態では、ポール30は柱体に設計され、上から下にかけて六角段32、上部フランジ36、下部フランジ38、正方形段34、及び円形段31が画定される。ポール30がベース20の収納溝26に挿入されると、円形段31はベース20の角穴24を通過し、続けて底板12の対応する貫通孔14に進入し、下部フランジ38まで進みベース20の底部22で停止する。
【0022】
他の小型の緊合部材17を使用する場合、底板12の貫通孔14を貫通させると共にベース20の底部22に緊合され、ベース20を底板12に結合させる。このほか、大きな緊合部材17を使用する場合、ワッシャー21及び底板12の貫通孔14を貫通させると共に円形段31に緊合され、ポール30をベース20から離れないようにする。
【0023】
さらには、正方形段34は角穴24の壁面に制限されるため、ポール30はベース20に対して回転しない。上部フランジ36及び下部フランジ38は互いにベース20の収納溝26の深さと同じくらいの間隔をあけ、六角段32はベース20の上端から突出される。
【0024】
また、支持リング50はベース20に支持されてケース16の孔部15の外に露出される。図中では、前記支持リング50は中心孔52及び凸部56を有し、凸部56は円形であり、支持リング50の底部に形成されると共に軸受40に緊結され、支持リング50をベース20に結合させ、支持リング50はポール30の外部に覆設される。上述の中心孔52は支持リング50の上端から凸部56まで貫通させ、中心孔52の壁面は六角段32及び上部フランジ36を包囲させて、共に環状空間54を画定させる。
【0025】
本実施形態では、前記電子回路測定ユニット60は若干の小さな緊合部材17により底板12に緊合される。前記電子回路測定ユニット60は電子回路により、ひずみゲージ62、増幅器、アナログ−デジタル転換器、マイクロプロセッサ、表示装置64、バックライトパネル、キーセット、警告装置、及び電力供給ユニット(或いは電源)等の電子部材が配置される。
【0026】
なお、ひずみゲージ62により底板12の変形量が測定され、信号が電子回路測定ユニット60に伝送され、マイクロプロセッサのオーダーが実行され、増幅器により信号の周波数が増幅され、アナログ−デジタル転換器によりデジタルデータに転換されて出力され、表示装置64に判読可能な数値が表示される。
【0027】
上述の表示装置64はディスプレイ66及び透明板68を備える。ディスプレイ66はケース16に装設され、窓部13によりディスプレイ66の数値の表示範囲が制限される。透明板68はケース16の窓部13に嵌入されて、ディスプレイ66が外力により破壊されないように保護しつつも数値の判読には影響を及ぼさない。
【0028】
図4に示すように、レンチ72は中空のスリーブ74に連結される。スリーブ74が環状空間54に挿入されると、上部フランジ36に阻止されるため支持リング50に過度に進入することはない。支持リング50により中心孔52の壁面が包囲され、スリーブ74が六角段32に対して擺動しないように制限される。これにより、レンチ72がポール30にトルクを施すと、ベース20により底板12に伝導され、変形量を発生させてひずみゲージにより測定される。
【0029】
こうすれば、レンチ72がスリーブ74を駆使してポール30を包囲させて回転させる際、従来の技術よりも安定化する。
(第2実施形態)
【0030】
図5はトルク測定装置10の第2実施形態であり、この構造は第1実施形態のものと大方同じであり、差異は支持リング50の高さを増加させた点である。
【0031】
そして、前記支持リング50とスリーブ74との高さはほぼ同じである。このため、支持リング50の上面はレンチ72の底部に接触し、同様にトルク測定作業の安定化效果を達成させる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0033】
10 トルク測定機構
11 平坦部
12 底板
13 窓部
14 貫通孔
15 孔部
16 ケース
17 緊合部材
18 突起部
19 装着空間
20 ベース
21 ワッシャー
22 底部
24 角穴
26 収納溝
28 肩部
30 ポール
31 円形段
32 六角段
34 正方形段
36 上部フランジ
38 下部フランジ
40 軸受
50 支持リング
52 中心孔
54 環状空間
56 凸部
60 電子回路測定ユニット
62 ひずみゲージ
64 表示装置
66 ディスプレイ
68 透明板
70 作業面
72 レンチ
74 スリーブ