(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記前側縦アウトリガおよび前記後側縦アウトリガはそれぞれ、自身の軸方向に伸縮可能であり、格納動作における自身の収縮動作を、前記車幅方向に平行な軸回りの回動に変換する変換機構を有する、請求項1に記載のアウトリガ装置。
前記変換機構はそれぞれ、前記前側縦アウトリガおよび前記後側縦アウトリガの前記車幅方向における内側面に設けられ、前記変換機構の前後方向における寸法は、前記前側縦アウトリガおよび前記後側縦アウトリガの前後方向における寸法よりも小さい、請求項5に記載のアウトリガ装置。
前記格納状態において、前記前側横アウトリガの前記車幅方向における外側の面は、前記前側縦アウトリガの前記車幅方向における外側の面よりも前記車幅方向における外側に存在せず、
前記後側横アウトリガの前記車幅方向における外側の面は、前記後側縦アウトリガの前記車幅方向における外側の面よりも前記車幅方向における外側に存在しない、請求項1に記載のアウトリガ装置。
前記前側縦アウトリガおよび前記後側縦アウトリガはそれぞれ、前記前側横アウトリガおよび前記後側横アウトリガの先端部に、前記車幅方向に平行な軸回りの回動可能に支持される、請求項1に記載のアウトリガ装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
つぎに、本発明の第1実施形態に係るアウトリガ装置を図面に基づき説明する。
(アウトリガ装置1の基本構造について)
図1および
図2に示すように、本発明の第1実施形態に係るアウトリガ装置1は、積載形トラッククレーンに積載される小型クレーンに搭載される。小型クレーンは、ベースbを有する。ベースbは、トラックの車両フレーム113(
図10参照)に固定される。
【0013】
そして、ベースbには、左右一対のアウトリガ装置1(前側アウトリガおよび後側アウトリガともいう。)が固定される。アウトリガ装置1は、左右勝手違い(換言すれば、車幅方向において対称)に構成される。なお、以下のアウトリガ装置1およびアウトリガ装置1を構成する各部材の説明において、特に断ることなく「車幅方向」、「前後方向」、および「上下方向」といった場合には、アウトリガ装置1を車両(たとえば、
図10のトラック110)に組み付けた状態における車両の各方向をいう。
図1および
図2に示す直交座標系(X,Y,Z)において、前後方向はX方向に、車幅方向はY方向に、上下方向はZ方向に、それぞれ対応する。
図1および
図2において、X方向+側が前方である。
【0014】
左右一対のアウトリガ装置1はそれぞれ、車両フレームの横方向(左右方向または車幅方向ともいう。)に延びるように設けられた一対の横アウトリガ10と、各横アウトリガ10の先端(車幅方向における外側の端部)にそれぞれ連結された一対の縦アウトリガ20とを備える。
【0015】
左右一対のアウトリガ装置1同士は、実質同一の構成である。このため、以下、アウトリガ装置1の構成については、一方(具体的には、前側)のアウトリガ装置1(前側アウトリガともいう。)を中心に説明する。他方(具体的には、後側)のアウトリガ装置1(後側アウトリガともいう。)については、適宜説明する。
【0016】
なお、左右一対のアウトリガ装置1同士は、前後方向において隣り合うように配置される。このような左右一対のアウトリガ装置1同士の配置態様については、後述する。以下の説明において、一対のアウトリガ装置1の横アウトリガ10が伸長状態にあり、かつ、縦アウトリガ20の先端(具体的には、フロート23)が下方を向いた状態(接地可能な状態ともいう。)を、アウトリガ装置1の使用状態という(展開状態ともいう)。
【0017】
一方、一対のアウトリガ装置1の横アウトリガ10が収縮状態にあり、かつ、縦アウトリガ20の先端が上方を向いた状態(
図1および
図2に示す状態)を、アウトリガ装置1の格納状態という。
【0018】
横アウトリガ10は、車幅方向に伸縮することにより、収縮状態と伸長状態との間を移行可能である(つまり、車幅方向に伸縮可能である。)。具体的には、横アウトリガ10は、横ビーム外箱11と、横ビーム内箱12とを有する。横ビーム外箱11は、先端部(車幅方向における外側の端部)に開口部を有する。横ビーム外箱11は、車両フレーム113(
図10参照)に固定される。
【0019】
横ビーム内箱12は、横ビーム外箱11の開口部から横ビーム外箱11の内部空間に挿入される。この状態で、横ビーム内箱12の先端部(換言すれば、車幅方向における外側の端部)は、横ビーム外箱11の開口部から車幅方向における外側に突出する。
【0020】
このような横ビーム内箱12は、油圧シリンダ(図示省略)もしくは手動により、横ビーム外箱11に対して車幅方向に移動可能である。横ビーム内箱12が横ビーム外箱11に対して車幅方向に移動することにより、横アウトリガ10は、車幅方向に伸縮する。
【0021】
一方のアウトリガ装置1の場合、横アウトリガ10の収縮状態において、横ビーム内箱12が、横ビーム外箱11に対して車幅方向における外側(
図1および
図2の左側であって、第1方向ともいう。)に移動することにより伸長状態となる。
【0022】
一方、他方のアウトリガ装置1(後側アウトリガともいう。)の場合、横アウトリガ10の収縮状態において、横ビーム内箱12が、横ビーム外箱11に対して車幅方向における外側(
図1および
図2の右側であって、第2方向ともいう。)に移動することにより伸長状態となる。
【0023】
以下、左右一対のアウトリガ装置1の配置態様について説明する。本実施形態に係るアウトリガ装置1の配置態様は、使用状態におけるアウトリガ装置1の車幅方向の寸法を大きくして、作業時におけるクレーンの安定性の向上に寄与する。
【0024】
左右一対のアウトリガ装置1は、
図1に示すように、前後方向にずれて配置される。具体的には、一方(前側)のアウトリガ装置1の横アウトリガ10(前側横アウトリガともいう。)の後方に隣接した位置に、他方(後側)のアウトリガ装置1の横アウトリガ10(後側横アウトリガともいう。)が、前後方向に隣り合って配置される。
【0025】
一方(前側)のアウトリガ装置1の横アウトリガ10と、他方(後側)のアウトリガ装置1の横アウトリガ10とは、車幅方向において対称となるように配置される。また、一方(前側)のアウトリガ装置1の横アウトリガ10と、他方(後側)のアウトリガ装置1の横アウトリガ10とは、車幅方向においてもずれて配置される。
【0026】
具体的には、一方(前側)のアウトリガ装置1の横アウトリガ10(具体的には、横ビーム内箱12)の先端部(
図1の左端部)は、他方(後側)のアウトリガ装置1の横アウトリガ10(具体的には、横ビーム外箱11)の基端面(
図1の左端面)よりも、車幅方向における外側(
図1の左側)に突出する。
【0027】
他方(後側)のアウトリガ装置1の横アウトリガ10(具体的には、横ビーム内箱12)の先端部(
図1の右端部)は、一方(前側)のアウトリガ装置1の横アウトリガ10(具体的には、横ビーム外箱11)の基端面(
図1の右端面)よりも、車幅方向における外側(
図1の右側)に突出する。
【0028】
換言すれば、一対のアウトリガ装置1の横アウトリガ10(具体的には、横ビーム内箱12)の先端部は、互いに隣り合うアウトリガ装置1の横アウトリガ10(具体的には、横ビーム外箱11)の基端面よりも車幅方向における外側に突出している。ただし、格納状態において、一対のアウトリガ装置1の横アウトリガ10(具体的には、横ビーム内箱12)の先端部は、車両の車幅方向における両端よりも、車幅方向における内側に位置する。
【0029】
一方(前側)のアウトリガ装置1の横アウトリガ10(具体的には、横ビーム内箱12)の先端部(
図1の左端部)の後方、かつ、他方(後側)のアウトリガ装置1の横アウトリガ10(具体的には、横ビーム外箱11)と車幅方向に重なる略直方体状の空間を、第1縦アウトリガ配置空間という。
【0030】
他方(後側)のアウトリガ装置1の横アウトリガ10(具体的には、横ビーム内箱12)の先端部(
図1の右端部)の前方、かつ、一方(前側)のアウトリガ装置1の横アウトリガ10(具体的には、横ビーム外箱11)と車幅方向に重なる略直方体状の空間を、第2縦アウトリガ配置空間という。
【0031】
一対のアウトリガ装置1の格納状態において、第1縦アウトリガ配置空間および第2縦アウトリガ配置空間にはそれぞれ、縦アウトリガ20の一部が格納される。このような格納状態において、一対のアウトリガ装置1の縦アウトリガ20はそれぞれ、先端部が上方を向いて起立する。
【0032】
また、格納状態において、一対のアウトリガ装置1の縦アウトリガ20はそれぞれ、横アウトリガ10(具体的には、横ビーム内箱12)の先端よりも、車幅方向における外側に突出しない。本実施形態の場合、縦アウトリガ20および横アウトリガ10の車幅方向における外側の面は、同一平面上に位置する。なお、横アウトリガ10の車幅方向における外側の面は、縦アウトリガ20の車幅方向における外側の面よりも、車幅方向における内側に位置してもよい。格納状態から使用状態へと移行する際、一対のアウトリガ装置1の横アウトリガ10は、互いに車幅方向における反対側へと伸長する。
【0033】
縦アウトリガ20は、横アウトリガ10とともに車幅方向に移動可能に設けられる。このような縦アウトリガ20は、自身の軸方向において伸縮可能である。具体的には、縦アウトリガ20は、ジャッキ外箱21(第一筒状部材ともいう。)と、ジャッキ内箱22(第二筒状部材ともいう。)と、フロート23とを有する。
【0034】
ジャッキ外箱21は、先端(
図1および
図2の上端)に開口部を有する。ジャッキ内箱22は、ジャッキ外箱21の内部空間に、ジャッキ外箱21に対する軸方向の移動可能に配置される。ジャッキ内箱22の先端部は、ジャッキ外箱21の開口部から突出する。フロート23は、ジャッキ内箱22の先端部に設けられる。
【0035】
このような縦アウトリガ20は、使用状態において、先端が下方を向いて起立する。一方、縦アウトリガ20は、格納状態において先端が上方を向いて起立する。
【0036】
縦アウトリガ20は、ジャッキ外箱21とジャッキ内箱22との間(たとえば、縦アウトリガ20の内側)にジャッキシリンダ49(アクチュエータともいう。
図2参照)を有する。ジャッキシリンダ49は、ジャッキ内箱22をジャッキ外箱21に対して移動させる。このようなジャッキ内箱22の移動に基づいて、縦アウトリガ20は、自身の軸方向において伸縮する。
【0037】
図1に示すように、横アウトリガ10と縦アウトリガ20とは、横アウトリガ10に固定された一対の第1ブラケット13および縦アウトリガ20に固定された一対の第2ブラケット24を介して連結される。一対の第1ブラケット13は、一体に形成された板状部材であって、横アウトリガ10における横ビーム内箱12の先端部に固定される。
【0038】
一対の第1ブラケット13は、前後方向に離れている。一対の第1ブラケット13はそれぞれ、ピン挿入孔14を有する。一対の第2ブラケット24はそれぞれ、縦アウトリガ20におけるジャッキ外箱21の先端部に、前後方向に離れて設けられる。一対の第2ブラケット24はそれぞれ、ピン挿入孔を有する。
【0039】
図3に示す使用状態(展開状態ともいう。)において、一対の第1ブラケット13のピン挿入孔14と、一対の第2ブラケット24のピン挿入孔とが、車幅方向に重なる。この状態で、一対の第1ブラケット13のピン挿入孔14および一対の第2ブラケット24のピン挿入孔に、それぞれピン25が挿入される。この状態において、縦アウトリガ20は、横アウトリガ10に強固に固定される。
【0040】
縦アウトリガ20の格納状態では、一方の第1ブラケット24のピン挿入孔14と、一方の第2ブラケット24のピン挿入孔にのみピン25を挿入した状態で、縦アウトリガ20を、先端が上方を向いた状態で保持する。
【0041】
具体的には、一方(具体的には、前側)のアウトリガ装置1の格納状態において、縦アウトリガ20(前側縦アウトリガともいう。)は、上述の第1縦アウトリガ配置空間を含む領域に配置される。
【0042】
一方、他方(具体的には、後側)のアウトリガ装置1の格納状態において、縦アウトリガ20(後側縦アウトリガともいう。)は、上述の第2縦アウトリガ配置空間を含む領域に配置される。
【0043】
一対のアウトリガ装置1において、縦アウトリガ20はそれぞれ、横ビーム内箱12の先端部の周面(たとえば、前方または後方の側面)に対して、ピン連結される。つまり、縦アウトリガ20は、横ビーム内箱12の車幅方向における外側に取付けられるのではなく、横ビーム内箱12の車幅方向における外端面(先端面ともいう。)よりも車幅方向における内側に取付けられる。
【0044】
具体的には、縦アウトリガ20はそれぞれ、横ビーム内箱12の先端部の周面に、第1ブラケット13および第2ブラケット24に挿通されたピン25により連結される。ピン25の中心軸は、車幅方向に平行である。したがって、縦アウトリガ20はそれぞれ、横ビーム内箱12に対して、ピン25を揺動中心軸とした揺動可能である。
【0045】
(格納構造について)
つぎに、アウトリガ装置1における縦アウトリガ20の格納構造を
図3および
図4に基づき説明する。
本発明に係るアウトリガ装置1は、リンク機構30を有する。リンク機構30は、ジャッキ内箱22の収縮動作を利用して、縦アウトリガ20を上向き(換言すれば、縦アウトリガ20の先端が上方を向いた状態)に格納する動作と、下向き(換言すれば、縦アウトリガ20の先端が下方を向いた状態)に設置する動作とを行う。本実施形態において、リンク機構30は、縦アウトリガ20の車幅方向における内側面に設けられる。
【0046】
具体的には、リンク機構30は、押し棒31(直動部材ともいう。)と、揺動リンク32(回動部材ともいう。)と、連結リンク33とを有する。リンク機構30の幅寸法(換言すれば、
図3および
図4の左右方向における寸法であって、前後方向における寸法)は、ほぼ縦アウトリガ20の幅寸法内に収まる。
【0047】
押し棒31は、ジャッキ外箱21に取付けられる。具体的には、押し棒31は、ジャッキ外箱21の幅方向における内側面の長手方向2個所に取付けられた保持部材34に挿通された状態で、ジャッキ外箱21に支持される。すなわち、保持部材34はそれぞれ、ジャッキ外箱21の車幅方向における内側面に設けられる。押し棒31は、保持部材34にガイドされながら、ジャッキ外箱21の長手方向(換言すれば、ジャッキ外箱21の中心軸の方向)に沿って移動できる。
【0048】
揺動リンク32は、略三角形状の板部材であって、横ビーム内箱12の先端部とジャッキ外箱21とにピン連結される。具体的には、揺動リンク32は、
図3における上端部32aと、下端部32bと、支点部32cとを有する。上端部32a、下端部32b、および支点部32cはそれぞれ、ピンを通す孔を有する。
【0049】
上端部32aの孔には、第1ピン35が挿通される。下端部32bの孔には、第2ピン36が挿通される。支点部32cの孔には、第3ピン37が挿通される。第1ピン35、第2ピン36、および第3ピン37の中心軸は、車幅方向に平行である。
【0050】
第1ピン35は、横ビーム内箱12の先端に形成された第1ブラケット13のピン孔にも挿入されている。第1ピン35は、揺動リンク32の回転支点である。すなわち、揺動リンク32は、車幅方向に平行に配置された第1ピン35を中心として、車幅方向に直交する(前後方向に平行な)面内において回動可能である。
【0051】
第2ピン36は、ジャッキ外箱21の車幅方向における内側面に設けられたガイド部材41によってガイドされる。ガイド部材41は、縦アウトリガ20の使用状態における上下方向(換言すれば、縦アウトリガ20の中心軸に平行な方向)に長いガイド孔42を有する。
【0052】
第2ピン36は、揺動リンク32における下端部32bの孔に挿通されるとともに、ガイド孔42に挿通される。このような第2ピン36は、ガイド孔42にガイドされつつ、ガイド孔42の長手方向に沿って移動可能である。詳しい動作については後述するが、第2ピン36がガイド孔42内で移動することにより、ジャッキ外箱21の所定方向の回動が許容される。
【0053】
第2ピン36は、ピンのみの構成に限らず、たとえば、ピンにローラを設けたものであってもよい。このような構成によれば、第2ピン36は、ガイド孔42内において円滑に移動できる。このようなローラ付きピンを採用した構成も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0054】
第3ピン37は、揺動リンク32の支点部32cと連結リンク33の一端(
図3の上端)とを連結する。一方、連結リンク33の他端(
図3の下端)と押し棒31の一端(
図3の上端)とは、第4ピン38により連結される。
【0055】
このようにして連結リンク33は、揺動リンク32と押し棒31とを連結する。連結リンク33は、押し棒31の上下動(換言すれば、縦アウトリガ20の中心軸に平行な移動)を揺動リンク32に伝達する。揺動リンク32は、連結リンク33から伝達される力に基づいて所定方向に回動する。
【0056】
上述のように揺動リンク32が回動すると、第2ピン36は、ガイド部材41のガイド孔42内を上下に(ガイド孔42の長手方向に沿って)摺動しながら、ガイド孔42の内面を所定方向(
図4のF
2の方向)に押圧する。このような押圧にともない、縦アウトリガ20は、第1ピン35を中心として、所定方向(
図5の時計回りの方向)に回転する。すなわち、第2ピン36は、ガイド孔42内を移動しながら、ガイド孔42の内面を押圧することにより、ガイド部材41を介して縦アウトリガ20に回転力(回転トルク)を伝達する。
【0057】
そして、
図4に示すように、第3ピン37と第4ピン38とを結ぶ線分と、第1ピン35とは、距離dだけ離れている。この場合、d×F
1=l×F
2となるので、力F
2は、揺動リンク32を側方に揺動させる力を生じさせる。
【0058】
ジャッキ内箱22の先端部(
図3の下端部)には、当て金26が取付けられている。当て金26は、ジャッキ内箱22の車幅方向における内側面の先端部に設けられる。このような当て金26は、押し棒31の他端(
図3の下端)に下方(換言すれば、縦アウトリガ20の先端側)から当って、押し棒31を押し上げる(換言すれば、縦アウトリガ20の基端側に移動させる)。
【0059】
つまり、縦アウトリガ20に内蔵されているジャッキシリンダによりジャッキ内箱22がジャッキ外箱21内に引き込まれると、当て金26が押し棒31を押し上げる。
【0060】
上述のように、押し棒31が押し上げられると(縦アウトリガ20の軸方向において直線運動すると)、連結リンク33が、揺動リンク32の支点部32cを押す。すると、揺動リンク32が、
図4の時計回りの方向に回動する。この回動に基づく回転トルクは、第2ピン36を介してガイド部材41およびジャッキ外箱21に伝わる。この結果、縦アウトリガ20は、
図4の時計回りの方向に回動する。
【0061】
(格納動作について)
つぎに、縦アウトリガ20の格納動作を説明する。
(1)格納する前の状態(使用状態)について
図3は、縦アウトリガ20を格納する前の状態であると同時に使用状態(縦アウトリガ20の使用状態ともいう。)も示している。使用状態において、縦アウトリガ20は、横アウトリガ10(具体的には横ビーム内箱12)の先端部の下方に位置する。
【0062】
換言すれば、使用状態において、縦アウトリガ20の上端面(基端面ともいう。)は、横アウトリガ10(具体的には横ビーム内箱12)の先端部の下側面と上下方向に対向する。
【0063】
使用状態において、縦アウトリガ20の上端は、左右2本のピン25で、横アウトリガ10の横ビーム内箱12の先端部に強固に固定される。したがって、クレーン車体は、縦アウトリガ20のジャッキアップによって安定的に支えられる。使用状態から、縦アウトリガ20を格納する場合には、
図3における右側のピン25を抜く。
【0064】
すると、縦アウトリガ20は、
図3における時計回りの方向への回動が可能な準備状態となる。なお、使用状態から格納状態へ移行する際、一方(具体的には、前側)のアウトリガ装置1においては、一対のピン25のうちの前側のピン25を抜く。すなわち、一方のアウトリガ装置1においては、一対のピン25のうちの後側のピン25が、縦アウトリガ20の回動中心となる。
【0065】
一方、使用状態から格納状態へ移行する際、他方(具体的には、後側)のアウトリガ装置1においては、一対のピン25のうちの後側のピン25を抜く。すなわち、他方のアウトリガ装置1においては、一対のピン25のうちの前側のピン25が、縦アウトリガ20の回動中心となる。
【0066】
(2)縦アウトリガの収縮動作について
縦アウトリガ20は、自身の中心軸の方向において伸縮可能である。縦アウトリガ1の収縮動作は、ジャッキ外箱21に対して、ジャッキ内箱22が移動することにより行われる。なお、アウトリガ装置1の使用状態において、縦アウトリガ20は、伸長状態にある。伸長状態における縦アウトリガ20の長さ寸法は、使用状況(たとえば、地面の形状など)に応じて適宜変更される。
【0067】
一方、アウトリガ装置1の格納状態において、縦アウトリガ20は、収縮状態にある。収縮状態において、ジャッキ内箱22は、ジャッキ外箱21に最も入り込む。具体的には、縦アウトリガ20が、伸長状態から収縮状態へ移行する際、
図4に示すように、ジャッキ内箱22が、ジャッキ外箱21に対して上方へと移動しつつ内側に入り込む。
【0068】
縦アウトリガ20が、伸長状態から収縮状態へ移行する途中において、当て金26は、押し棒31の下端に当接する。この状態から当て金26が上方に変位すると、当て金26が、押し棒31を上方に押し上げる。ジャッキ内箱22が、ジャッキ外箱21の内側に可能な範囲で最も入り込んだ状態で、ジャッキ内箱22の移動が停止する。このような動作は、縦アウトリガ20内に設けたジャッキシリンダの収縮動作に基づいて行われる。
【0069】
(3)縦アウトリガの回動動作(格納初期)について
上述のように、縦アウトリガ20が、伸長状態から収縮状態へと移行する途中において、当て金26は、押し棒31を上方に押し上げる。押し棒21が上方に押し上げられると、
図5に示すように、押し棒31が、連結リンク33を介して揺動リンク32の支点部32c(
図3参照)を押し上げる。
【0070】
すると、揺動リンク32は、
図5の時計回りの方向に回動する。このような揺動リンク32の回動動作は、第2ピン36からガイド部材41およびジャッキ外箱21に伝わる。この結果、縦アウトリガ20が、
図5の時計回りの方向に回動する。
【0071】
なお、一方のアウトリガ装置1(前側アウトリガ)においては、縦アウトリガ20は、伸長状態から、ピン25を中心に後方に回動する。一方、他方のアウトリガ装置1(後側アウトリガ)においては、縦アウトリガ20は、伸長状態から、ピン25を中心に前方に回動する。
【0072】
(4)縦アウトリガの回動動作(格納中期)について
図6は、
図5に示す状態から縦アウトリガ20がさらに収縮し、縦アウトリガ20が、
図6における左斜め下を向くまで回動した状態を示している。
図7は、
図6に示す状態から縦アウトリガ20がさらに収縮し、縦アウトリガ20が、
図7における左斜め上まで回動した状態を示している。これらの動作は、縦アウトリガ20内に設けたジャッキシリンダ49(
図2参照)の収縮動作の継続により行われる。
【0073】
(5)縦アウトリガの回動動作(格納終期)について
図8は、
図7に示す状態から縦アウトリガ20がさらに収縮し、縦アウトリガ20が、
図8における上向きに直立するまで回動した状態を示している。また、この状態は、
図1および
図2に示す縦アウトリガ20の状態(換言すれば、縦アウトリガ20の格納状態)でもある。
【0074】
縦アウトリガ20の格納状態では、
図1および
図2に示すように、縦アウトリガ20は、横アウトリガ10における横ビーム内箱12の先端部側方に位置している。具体的には、一方のアウトリガ装置1(前側アウトリガ装置ともいう。)の格納状態において、縦アウトリガ20は、基端部が、横アウトリガ10(具体的には、横ビーム内箱12)の先端部の後側、かつ、他方のアウトリガ装置1(後側アウトリガ装置ともいう。)の横アウトリガ10の基端面(
図1および
図2の左端面)と車幅方向に対向する第1縦アウトリガ配置空間に配置される。この状態において、一方のアウトリガ装置1の縦アウトリガ20は、先端が上方を向いて起立する。
【0075】
また、他方のアウトリガ装置1の格納状態において、縦アウトリガ20は、基端部が、横アウトリガ10(具体的には、横ビーム内箱12)の先端部の前側、かつ、一方のアウトリガ装置1の横アウトリガ10の基端面(
図1および
図2の右端面)と車幅方向に対向する第1縦アウトリガ配置空間に配置される。この状態において、他方のアウトリガ装置1の縦アウトリガ20は、先端が上方を向いて起立する。
【0076】
なお、ピン25などの部材と横ビーム外箱11の先端部との干渉を防止する干渉防止部(たとえば、切欠きなど)が、適宜設けられてもよい。
【0077】
(設置動作について)
つぎに、格納状態から使用状態への設置動作を説明する。
設置動作は、基本的に上述の格納動作の逆の動作により行う。つまり、
図8に示す状態において、縦アウトリガ20内に設けたジャッキシリンダ49(
図2参照)を伸長させると、
図7→
図6→
図5に示す順に縦アウトリガ20が、各図における反時計回りの方向に回動する。そして、
図5に示す状態において手動により縦アウトリガ20を直立下向きの状態(
図4に示す状態)にする。この状態において、縦アウトリガ20の上端部を、2本のピン25により横ビーム内箱12に固定する。ここからさらに、使用状況に応じて適宜の長さだけ縦アウトリガ20を伸長させれば、クレーン車体が、アウトリガ装置1により安定的に支持された状態となる。
【0078】
(アウトリガ装置1の作用・効果について)
積載型トラッククレーンは、アウトリガ装置の格納時の横幅寸法がトラック車体の車幅を越えることができないという制約を受ける。このような制約のなかで、本実施形態に係るアウトリガ装置1は、最大限の張出し幅を実現できる。具体的には、本実施形態に係るアウトリガ装置1は、以下の(効果1)〜(効果4)の作用・効果を奏する。
【0079】
(効果1)横ビーム外箱11を長くできる
本実施形態のリンク機構30(押し棒31、揺動リンク32、連結リンク33)は、
図8に示すようにほぼ縦アウトリガ20の幅寸法W(換言すれば、前後方向における寸法W)内に収まっており、側方に突出する部材はない。このため、縦アウトリガ20を上方に向けた格納状態でリンク機構30を構成する何れの部材も横アウトリガ10の横ビーム外箱11と干渉しない。この結果、横ビーム外箱11を車体幅一杯まで延ばすことができ、アウトリガ装置1の張出し幅を大きくできる。
【0080】
(効果2)横ビーム内箱12を長くできる
a)本実施形態のアウトリガ装置1では、
図1に示すように、縦アウトリガ20は、横ビーム内箱12の先端部の側面(換言すれば、横ビーム内箱12の中心軸周りの周面)に取付けられ、かつ格納される。このため、横ビーム内箱12の長さをクレーン車体の車体幅一杯まで延ばせる。この結果、横アウトリガ10を張り出したときの張出し幅を、限界一杯まで広げられる。
【0081】
b)本実施形態におけるリンク機構30(押し棒31など)は、
図1および
図2に示すように、縦アウトリガ20のジャッキ外箱21の車幅方向における内側面に取付けられる。仮にリンク機構30をジャッキ外箱21の外側面に取付けると、横アウトリガ10の格納状態における車幅方向の寸法を車幅内に収めるために、横ビーム内箱12の長さが制約される。一方、本実施形態の場合、そのような制約がないので、横ビーム内箱12を車体幅一杯まで延ばすことができる。
【0082】
(効果3)
本実施形態の場合、一方のアウトリガ装置1(前側アウトリガ装置ともいう。)と他方のアウトリガ装置1(後側アウトリガ装置ともいう。)とが、前後方向にずれて配置される。換言すれば、本実施形態の場合、一方のアウトリガ装置1の横アウトリガ10と、他方のアウトリガ装置1の横アウトリガ10とが、前後方向に重なるように隣り合って配置される。このため、各アウトリガ装置1における横アウトリガ10の車幅方向における寸法を、最大限に大きくできる。すなわち、上述した特許文献1〜3に開示されたアウトリガ装置のように、左右一対のアウトリガ装置が、前後方向にずれていない(換言すれば、車幅方向において重なる)構造の場合には、左右一対のアウトリガ装置を、車幅方向における一方の半部と、他方の半部とに配置する必要がある。このため、横アウトリガの車幅方向の寸法は、車幅の半分よりも小さい寸法に制限される。一方、本実施形態のように、左右一対のアウトリガ装置が、前後方向にずれた(換言すれば、車幅方向において重ならない)構造の場合には、左右一対のアウトリガ装置1の横アウトリガ10の寸法をそれぞれ、車幅寸法に最大限に近づけられる。
【0083】
(効果4)アウトリガ支持性能の向上
本実施形態においては、上記(効果1)〜上記(効果3)に基づいて、アウトリガ装置1の張出し幅が限界まで広がる。このため、クレーン作業時の安定性が増すという利益が得られる。
【0084】
さらに本実施形態に係るアウトリガ装置1は、つぎの(効果5)〜(効果7)のような作用・効果も奏する。
(効果5)コンパクトな構成
リンク機構30が、3つのパーツからなる簡単な構成なので、縦ジャッキ周辺の占有スペースが小さくコンパクトな構成にできる。
【0085】
(効果6)縦アウトリガを上向きに起立させて格納できるので、縦アウトリガが車体フレーム下方の補機類と干渉しない。このため、架装工事が容易になる。また、縦アウトリガの回転起立は、ジャッキ内箱の収縮動作とともに行われる。すなわち、縦アウトリガの伸縮動作と回転動作とは、縦アウトリガの内部空間に設けられた共通のアクチュエータ(具体的には、ジャッキシリンダ49)により行われる。このため、特別の動力源を要せずに、自動格納が可能となる。また、縦アウトリガの収縮動作とともに、縦アウトリガの回転動作が行われるため、縦アウトリガの使用状態から格納状態への移行時間が短縮される。
【0086】
(効果7)本実施形態の場合、縦アウトリガ20が、ジャッキ外箱21、ジャッキ内箱22、およびジャッキシリンダ49(
図2参照)により構成される。このような構成は、ジャッキシリンダ49のみで構成された縦アウトリガと比べて、剛性が高い。このため、作業時におけるクレーンの強度が向上する。
【0087】
(第2実施形態)
図9に基づき第2実施形態のアウトリガ装置を説明する。以下、第2実施形態に係るアウトリガ装置については、
図9に示す使用状態に基づいて説明する。
【0088】
本実施形態に係るアウトリガ装置は、縦アウトリガとして、第1実施形態におけるジャッキ外箱21およびジャッキ内箱22を省略した構成のものを使用する。
【0089】
すなわち、本実施形態に係る縦アウトリガは、ジャッキシリンダ50により構成される。ジャッキシリンダ50は、シリンダ51とロッド52とからなる油圧シリンダで構成される。シリンダ51内の油室に作動油が給排されることにより、ロッド52が、シリンダ51に対して自身の軸方向に移動する。このようなロッド52の変位にともない、ジャッキシリンダ50は、自身の軸方向に伸縮する。
【0090】
シリンダ51は、第2ブラケット24の下方に取付けられる。ロッド52は、シリンダ51に挿入される。ロッド52の下端(先端ともいう。)には、フロート23が取付けられる。このようなジャッキシリンダ50は、前述の実施形態1の縦アウトリガ20と同様の機能を発揮する。
【0091】
第2ブラケット24は、横アウトリガ10の横ビーム内箱12に対しピン25で取付けられる。アウトリガ装置1の使用状態において、第2ブラケット24は、横アウトリガ10に設けられた第1ブラケット13に2本のピン25で強固に固定される。アウトリガ装置1の格納動作時は、第2ブラケット24は、第1ブラケット13に対して一方のピン25のみで回動自在に支持される。
【0092】
シリンダ51の上端部には、ガイド部材41が取付けられる。ガイド部材41は、ガイド孔42を有する。この構造は第1実施形態のものと同様である。
【0093】
揺動リンク32の上端部は、第1ピン35で第1ブラケット13に枢支される。揺動リンク32の下端部32b(
図3参照)に挿通された第2ピン36は、ガイド部材41のガイド孔42に挿入される。揺動リンク32の支点部32c(
図3参照)は、第3ピン37を介して連結リンク33に連結される。連結リンク33の下端には、押し棒31が連結される。
【0094】
押し棒31は、伸縮自在であって、全体に長尺に形成された力伝達部材である。押し棒31は、ジャッキシリンダ50の車幅方向における内側に、ジャッキシリンダ50と平行に配置される。具体的には、押し棒31は、入れ子式の外筒31aと内子31bとからなる。
【0095】
内子31bの第1端部(
図9の上端部)は、第4ピン38を介して連結リンク33に連結される。内子31bの第2端部(
図9の下端)は、外筒31aの第1端部(
図9の上端部)から外筒31aに挿入される。外筒31aの第2端部は、ロッド52の下端部に固定される。
【0096】
外筒31aは、ロッド52とともに移動可能である。ジャッキシリンダ50が収縮すると押し棒31も収縮する。押し棒31がある程度収縮した以後は、押し棒31は、連結リンク33を介して揺動リンク32を、
図9における時計周りの方向に回転させる。また、ジャッキシリンダ50が伸長すると押し棒31も伸長して、揺動リンク32を反時計周りの方向に回転させる。
【0097】
上記以外の構成は第1実施形態と同様である。したがって、揺動リンク32が、
図9における時計周りの方向に回転するとジャッキシリンダ50の格納動作が行われる。一方、揺動リンク32が、
図9における反時計周りの方向に回転するとジャッキシリンダ50の設置動作が行われる。
【0098】
本実施形態では、縦アウトリガを油圧式のジャッキシリンダ50により構成するので、ジャッキ外箱とジャッキ内箱を用いる必要がなく、製造コストを低減できる。さらに、前述した第1実施形態と同様の作用・効果を奏することもできる。
【0099】
(付記)
前述のリンク機構30は、前述の各実施形態に係るアウトリガ装置だけでなく、左右一対のアウトリガ装置が、前後方向にずれていない(換言すれば、車幅方向において重なる)構造のアウトリガ装置に適用してもよい。この場合には、アウトリガ装置は、車幅方向に隣り合って設けられた一対の横ビーム外箱と、一対の横ビーム外箱の内部空間にそれぞれ設けられた一対の横ビーム内箱とを備えてもよい。あるいは、車幅方向に長い1個の横ビーム外箱と、横ビーム外箱の内部空間に車幅方向に隣り合って設けられた一対の横ビーム外箱とを備えてもよい。何れの構造においても、横ビーム内箱が、横ビーム外箱に対して車幅方向に移動することにより、横アウトリガが車幅方向に伸縮する。前述のリンク機構30は、その他のアウトリガ装置にも適用できる。
【0100】
すなわち、上述のアウトリガ装置は、車両に搭載され、使用状態と格納状態とを取り得るアウトリガ装置であって、車幅方向に伸縮可能な横アウトリガと、横アウトリガの先端部に回動可能に支持され、使用状態において横アウトリガの下方に配置され、格納状態において横アウトリガの先端部の側方(つまり、前方または後方)に配置される縦アウトリガと、を備え、縦アウトリガは、自身の軸方向に伸縮可能であり、格納動作における自身の収縮動作を、車幅方向に平行な軸回りの回動に変換する変換機構を有する。
【0101】
また、例えば、アウトリガ装置の参考例1として、アウトリガ装置は、トラック車体に横向きに架装された横ビーム外箱、および横ビーム外箱の内部に配置された横ビーム内箱を有する横アウトリガと、横アウトリガの横ビーム内箱における先端部の側面に車幅から側方に突出しないようにピン連結されたジャッキ外箱、ジャッキ外箱内に挿入されたジャッキ内箱、およびジャッキ内箱を伸縮させるジャッキシリンダを有する縦アウトリガと、ジャッキ内箱の収縮動作に基づいて縦アウトリガを側方に回転させることにより、縦アウトリガを上向きに起立させるリンク機構と、を備えてもよい。
【0102】
このような参考例1によれば、縦アウトリガを上向きに起立させて格納できるので、縦アウトリガが、車体フレーム下方の補機類と干渉しない。このため、架装工事が容易になる。また、縦アウトリガの回転起立をジャッキ内箱の収縮動作に基づいて行うため、特別の動力源を要せず、縦アウトリガの自動格納が可能となる。
【0103】
アウトリガ装置の参考例2として、参考例1において、リンク機構が、ジャッキ外箱に上下動可能に取付けられた押し棒と、一端を横ビーム内箱の先端部にピン連結するとともに、他端をジャッキ外箱に対し側方回動力を伝達可能に設けた揺動リンクと、押し棒の上端と揺動リンクとを連結する連結リンクとを有してもよい。
【0104】
参考例2によれば、リンク機構を3つのパーツにより簡単に構成できるため、縦ジャッキ周辺のリンク機構の占有スペースが小さなり、アウトリガ装置がコンパクトになる。
【0105】
アウトリガ装置の参考例3として、参考例2において、揺動リンクをジャッキ外箱に連結する連結構造が、ジャッキ外箱に形成されたガイド部材と、ガイド部材に形成されたガイド孔に嵌って動くピンとを有してもよい。
【0106】
参考例3によれば、ガイド部材のガイド孔に嵌ったピンがガイド孔を押すことにより、揺動リンクの動作が縦ジャッキの回転動作に変換される。
【0107】
アウトリガ装置の参考例4として、参考例3において、揺動リンクと押し棒との連結点を結ぶ線が、横ビーム内箱の先端部に揺動リンクを連結する連結ピンに対し側方に位置してもよい。
【0108】
参考例4によれば、押し棒が揺動リンクを押す力を、揺動リンクの回転動作に変換して、縦アウトリガを回動させることができる。
【0109】
アウトリガ装置の参考例5として、参考例2において、揺動リンク、押し棒、および連結リンクからなるリンク機構の側面視(たとえば、車幅方向から見た場合)における幅(たとえば、前後方向における幅寸法)が、ジャッキ外箱の幅より狭くてもよい。
【0110】
参考例5によれば、リンク機構がジャッキ外箱の幅内に収まるので、横ビーム外箱を車体幅一杯まで延ばすことができる。この結果、アウトリガ装置の張出し幅が、大きくなる。
【0111】
アウトリガ装置の参考例6として、参考例1において、縦アウトリガが、車体前後方向から見て横ビーム内箱の先端部における前方または後方の側面に対して、ピン連結されていてもよい。
【0112】
参考例6によれば、縦アウトリガの格納動作が、横ビーム内箱の側方(前方または後方)で行われるため、横ビーム内箱の長さをクレーン車体の車体幅一杯まで延ばせる。このため、横アウトリガを張り出したときの張出し幅が、限界一杯まで広がる。
【0113】
アウトリガ装置の参考例7として、参考例1において、リンク機構が、縦アウトリガの車幅方向における内側面に配置されてもよい。
【0114】
参考例7によれば、リンク機構が縦アウトリガの車幅方向における内側面に位置するため、車体幅一杯まで横ビーム外箱を延ばすことができる。このため、アウトリガ装置の張出し幅が大きくなり、作業時におけるクレーン車の安定度が向上する。
【0115】
アウトリガ装置の参考例8として、アウトリガ装置は、トラック車体に横向きに架装された横ビーム外箱、および横ビーム外箱の内部に配置された横ビーム内箱を有する横アウトリガと、横アウトリガの横ビーム内箱における先端部の側面に車幅から側方に突出しないようにピン連結されたシリンダおよびシリンダから伸縮するロッドを有する油圧シリンダにより構成された縦アウトリガと、ロッドの収縮動作に基づいて縦アウトリガを側方に回転させることにより、縦アウトリガを上向きに起立させるリンク機構と、を備える。
【0116】
参考例8によれば、縦ジャッキを油圧シリンダで構成するので、ジャッキ外箱およびジャッキ内箱を用いる必要がなく、製造コストを低減できる。
【0117】
2016年09月16日出願の特願2016−181695の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
車両に搭載され、使用状態と格納状態とを取り得るアウトリガ装置を、車両の前後方向に隣り合い、かつ、車両の車幅方向にずれて配置され、車幅方向に伸縮可能な前側横アウトリガおよび後側横アウトリガと、前側横アウトリガの先端部に回動可能に支持され、使用状態において前側横アウトリガの下方に配置され、格納状態において前側横アウトリガの先端部よりも後方に配置される前側縦アウトリガと、後側横アウトリガの先端部に回動可能に支持され、使用状態において後側横アウトリガの下方に配置され、格納状態において後側横アウトリガの先端部よりも前方に配置される後側縦アウトリガと、を備えるように構成する。これにより使用状態におけるアウトリガ装置の張出し幅を大きくする。