特許第6358544号(P6358544)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6358544
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】自立機構ユニット
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20180709BHJP
【FI】
   E06B5/00 E
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-98284(P2016-98284)
(22)【出願日】2016年4月22日
(65)【公開番号】特開2017-193940(P2017-193940A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2017年11月16日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年10月24、25日にアクティとくしまにおいて開催された一般社団法人徳島県発明協会主催第54回徳島県発明工夫展で公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】309015570
【氏名又は名称】米川 満之
(72)【発明者】
【氏名】米川 満之
【審査官】 桐山 愛世
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−235959(JP,A)
【文献】 特開平09−053373(JP,A)
【文献】 特開2016−037750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00
E06B 1/56
E06B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺構造物(1)に固定されるユニット枠(5)と、周辺構造物(1)に設け られた構造物(8)に連結される移動束(6)と、移動アーム(7)で構成さ れており、
前記ユニット枠(5)は、
四角形であり4隅をピン(15)で留められており、
前記移動束(6)は、
前記ユニット枠(5)の上部にピン(15)で留められ、前記ユニット枠(5 の下部の 部材(5)より下に伸びており、
2本の移動アーム(7)は、
一端が移動束(6)にピン(15)で留められており、他端が左右の前記ユニ ット枠(5)にそれぞれピン(15)で留められており、
前記2本の移動アーム(7)と前記移動束(6)が留められている
ピン(15)の位置が、2本の前記移動アーム(7)と左右の前記ユニット
枠(5)が留められているピン(15)の位置よりも上部に配置されている、
ことを特徴とする自立機構ユニット
【請求項2】
構造物(8)が、扉本体(9)と扉枠(8a)からなる扉全体(10)であり 、扉枠(8a)に設けられた移動可能金具(14)に前記移動束(6)の下端 が連結されていることを特徴とする請求項1の自立機構ユニット
【請求項3】
前記扉枠(8a)の左右に設けられるコの字型のスライドアーム(11)を具 備しており、
前記スライドアーム(11)は、その先端で周辺構造物(1)を挟むように設 けられており、
前記スライドアーム(11)の先端部が周辺構造物(1)に対してスライド可 能に設けられている、
ことを特徴とする請求項2の自立機構ユニット
【請求項4】
前記扉枠(8a)の上部に設けられたスライドラッチ(12)を具備しており 、ラッチ先端(16)が前記ユニット枠(5)下部に具備された連結部
(13)に引っ掛けられ、前記周辺構造物(1)の変形による前記ユニット枠 (5)の移動により自動的に外れる構造となる、
ことを特徴とする請求項2の自立機構ユニット
【請求項5】
請求項1,2,3または4記載の自立機構ユニットと、
扉本体(9)と扉枠(8a)からなる扉全体(10)と、
からなることを特徴とする自立型耐震扉
【請求項6】
請求項5記載の自立型耐震扉(17)と、この自立型耐震扉が設置される 前記周辺構造物(1)と、を備えた全体ユニットである
ことを特徴とする自立型耐震扉ユニット
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
地震により建造物の歪みが生じた場合でも、自立型耐震機構を持つ構造物を提供 する。
【背景技術】
【0002】
従来扉は建物の周辺構造物に固定されるため、地震による周辺構造物の変形によ り被害をうけ開閉機能に支障を生じ、扉本来の開閉機能が損なわれる。この変形 の対策扉として(イ)耐震丁番とラッチ受で構成されたもの、ローラーを有する 金物を扉先端部に取り付け、変形による干渉抵抗を軽減するものや(ロ)周辺構 造物と扉枠とのクリアランスで吸収、軽減するものが知られている。特許文献1 は(ロ)でありクリアランス内で吸収し開閉の維持を構成したものである。
【0003】
非特許文献1では地震発生後の層間変形角1/60以下をAランク、1/60を こえ1/20以下をBランク、1/20を超えるものをCランクとし、Bランク までは建物の倒壊のおそれは無いとされる。この場合、Bランクでの水平方向の 移動変形は、扉高さ2000mmとした場合1/60で33mm(2000×1 /60=33)、1/20で100mm(2000×1/20=100)となる 。層間変形角とは建物の1階部分の高さに対する横ずれの比をラジアンで表すと 定義されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−44163号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】(財)日本建築防災協会出版の被災建築物応急危険度判定マニ ュアル
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術では、地震発生後に非特許文献1のBランク1/20の層間変形角の 変形に耐える構造物はない。
【0007】
本発明はBランク1/20に耐える事が可能で、通常使用時の外力、また故意 による外力にも支障のない自立機構ユニットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段として、請求項1では図1にある周辺構造物(1 に固定されるユニット枠(5)と、周辺構造物(1)に設けられた構造物(8 に連結される移動束(6)と、移動アーム(7)で構成されている。前記ユニ ット枠(5)は四角形であり4隅をピン(15)で留められており、前記移動束 (6)は前記ユニット枠(5)の上部にピン(15)で留められ、前記ユニット 枠(5)の下部の部材(5)より下に伸びており、2本の移動アーム(7)は、 一端が移動束(6)にピン(15)で留められており、他端が左右の前記ユニッ ト枠(5)にそれぞれピン(15)で留められており、前記2本の移動アーム(7)と前記移動束(6)が留められているピン(15)の位置が、2本の前記移 動アーム(7)と左右の前記ユニット
枠(5)が留められているピン(15)の位置よりも上部に配置されている、
ことを特徴とする自立機構ユニットである。
【0009】
図3のように請求項2では、構造物(8)が、扉本体(9)と扉枠(8a)か らなる扉全体(10)であり、扉枠(8a)に設けられた移動可能金具(14) に前記移動束(6)の下端が連結されていることを特徴とする請求項1の自立機 構ユニットである。
【0010】
図7のように請求項3では、前記扉枠(8a)の左右に設けられるコの字型の スライドアーム(11)を具備しており、前記スライドアーム(11)は、そ の先端で周辺構造物(1)を挟むように設けられており、前期スライドアーム (11)の先端部が周辺構造物(1)に対してスライド可能に設けられている ことを特徴とする請求項2の自立機構ユニットである。
【0011】
図5,6のように請求項4では、前記扉枠(8a)の上部に設けられたスライ ドラッチ(12)を具備しており、ラッチ先端(16)が前記ユニット枠(5 下部に具備された連結部(13)に引っ掛けられ、前記周辺構造物(1)の 変形による前記ユニット枠(5)の移動により自動的に外れる構造となること を特徴とする請求項2の自立機構ユニットである。
【0012】
図3のように、請求項5では、請求項1,2,3または4記載の自立機構ユニ ット(2)と扉本体(9)と扉枠(8a)からなる扉全体(10)と、からな ることを特徴とする自立機構ユニットである。
【0013】
図1及び図8のように、請求項6では、請求項5記載の自立型耐震扉
(17)と、この自立型耐震扉(17)が設置される前記周辺構造物(1)と 、を備えた全体ユニットであることを特徴とする自立型耐震扉ユニットであ る。
【発明の効果】
【0014】
上述したように本発明の自立機構ユニット(2)は周辺構造物(1)の変形に 干渉されることなく、本来の位置を維持する事が可能な構造物を提供できる。
【0015】
また地震の層間変形角において、層間変形角が1/20を超えても自立機構ユ ニット(2)により、構造体を本来の位置にとどめることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】自立機構ユニット構成図である。
図2】変形後の自立機構ユニット構成図である。
図3】自立型耐震扉の配置図である。
図4】変位した自立型耐震扉の配置図である。
図5】スライドラッチ部横断面図である。
図6】スライドラッチ部の斜視図である。
図7】スライドアーム及び周辺構造物の縦断面図である。
図8】扉の横に配置した自立機構ユニットの構成図である。
図9】自立型耐震扉と周辺構造物を備えた自立型耐震扉ユニット構成図であ る。
図10】自立型耐震ユニット施工完成の姿図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
通常は図1にあるように、ユニット枠(5)は四角形であり、構造体(8)に 設けられた移動可能金具(14)に移動束(6)はピン(15)で連結されて いる。周辺構造物(1)が変形した場合、ユニット枠(5)は変形し、左右の ユニット枠(5)にピン(15)で留められた移動アーム(7)の片方が移動 束(6)を押し、また移動アーム(7)のもう一方は移動束(6)を引く作用 となり、移動束(6)の下端部にピン(15)で留められた移動可能金具(1 4)を設けた構造体(8)は、本来の位置にとどめることとなる。以上の変形 後の自立機構ユニットは図2の構成図で表す。
【0018】
図3,4において、前記扉枠(8a)の左右に設けられるコの字型のスライド アーム(11)を具備しており、その先端で周辺構造物(1)を挟み込むように 設けられている。図7では周辺構造物(1)が変形した場合、スライドアーム 11)がスライドすることにより、前記扉枠(8a)と扉本体(9)からなる扉 全体(10)を本来の位置にとどめることができる。
【0019】
周辺構造物(1)は、木製、鋼鉄製、コンクリート製の素材を使用した支柱又 は、鉄骨及び天井又は、天井梁より構成されている。
【0020】
自立型耐震扉ユニットは、周辺構造物(1)と床(4)を鋼鉄製で形成し、前記 周辺構造物(1)と自立型耐震扉(17)で構成されたユニットである。通常は 建設現場で自立型耐震扉の据付を行うのに対し、自立型耐震扉ユニットは工場内 で組立加工され、建設現場に搬入され取り付けられる。このことにより、耐震精 度や据付精度が増す上に、施工が容易となる。
【0021】
図3は扉全体(10)の上部に自立機構ユニット(2)を配置した図であり、 図8は扉全体(10)の横に自立機構ユニット(2)を配置した図であり、扉全 体(10)の上部にスペースのない低、中高層の集合住宅に適している自立型耐 震扉ユニットである。
【0022】
図9、10は自立型耐震扉ユニットの低、中高層集合住宅、玄関扉の施工例で あり、
図9においては、自立型耐震扉(17)と周辺構造物(1)を配置した自立型耐 震扉ユニットの施工例であり、図10は、自立型耐震扉ユニットのスチール化粧 鋼板パネルを取付完成した施工完了図である。
【符号の説明】
【0023】
1、 周辺構造物
2、 自立機構ユニット
3、 スライドユニット
4、 床
5、 ユニット枠
6、 移動束
7、 移動アーム
8、 構造体
8a、扉枠
9、 扉本体
10、 扉全体
11、 スライドアーム
12、 スライドラッチ
13、 連結部
14、 移動可能金具
15、 ピン
16、 ラッチ先端
17、 自立型耐震扉

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10