特許第6358545号(P6358545)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6358545
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20180709BHJP
【FI】
   A63F5/04 512Q
   A63F5/04 516E
【請求項の数】4
【全頁数】50
(21)【出願番号】特願2016-176093(P2016-176093)
(22)【出願日】2016年9月9日
(65)【公開番号】特開2018-38700(P2018-38700A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2017年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 弘章
【審査官】 金子 和孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−305240(JP,A)
【文献】 特開2011−224169(JP,A)
【文献】 特開2009−153797(JP,A)
【文献】 特開2007−000344(JP,A)
【文献】 特開2011−000355(JP,A)
【文献】 特開2013−128726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の図柄が表示された複数のリールと,
レバーと,
前記複数のリールごとに対応する複数のストップボタンと,
ゲームの開始に必要なベット枚数である必要ベット枚数が設定されており,前記必要ベット枚数の遊技メダルがベットされている状態でかつ前記複数のリールの全てが停止した状態において,前記レバーが操作された場合に,前記必要ベット枚数が第1の枚数であれば当選確率を第1の確率とし,前記必要ベット枚数が第2の枚数であれば当選確率を第2の確率として,所定の遊技役に対する抽選を行う役抽選手段と,
前記必要ベット枚数の遊技メダルがベットされている状態でかつ前記複数のリールの全てが停止した状態において前記レバーが操作された場合に,前記複数のリールの回動を開始させる回動開始手段と,
前記複数のリールの少なくとも1つが回動中に前記複数のストップボタンのうちその回動中のリールに対応するストップボタンが操作された場合に,その操作されたストップボタンに対応するリールの回動を,前記役抽選手段での抽選結果に基づいて停止させる回動停止手段と,
遊技メダルをベットする操作であるベット操作があった場合に,前記必要ベット枚数を変更し得る変更手段と,
を備えることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載する遊技機において,
遊技者の操作を受け付けるベットボタンと,
前記ベットボタンの操作に基づいて,遊技メダルをベットする第1のベット手段と,
を備え,
前記ベット操作には,前記ベットボタンへの操作が含まれる,
ことを特徴とする遊技機。
【請求項3】
請求項または請求項に記載する遊技機において,
遊技メダルの投入口と,
前記投入口への遊技メダルの投入に基づいて,遊技メダルをベットする第2のベット手段と,
を備え,
前記ベット操作には,前記投入口への遊技メダルの投入が含まれる,
ことを特徴とする遊技機。
【請求項4】
複数種類の図柄が表示された複数のリールと,
レバーと,
前記複数のリールごとに対応する複数のストップボタンと,
ゲームの開始に必要なベット枚数である必要ベット枚数が設定されており,前記必要ベット枚数の遊技メダルがベットされている状態でかつ前記複数のリールの全てが停止した状態において,前記レバーが操作された場合に,前記必要ベット枚数が第1の枚数であれば当選確率を第1の確率とし,前記必要ベット枚数が第2の枚数であれば当選確率を第2の確率として,所定の遊技役に対する抽選を行う役抽選手段と,
前記必要ベット枚数の遊技メダルがベットされている状態でかつ前記複数のリールの全てが停止した状態において前記レバーが操作された場合に,前記複数のリールの回動を開始させる回動開始手段と,
前記複数のリールの少なくとも1つが回動中に前記複数のストップボタンのうちその回動中のリールに対応するストップボタンが操作された場合に,その操作されたストップボタンに対応するリールの回動を,前記役抽選手段での抽選結果に基づいて停止させる回動停止手段と,
予め定められた所定の条件を満たした場合に,前記必要ベット枚数を変更し得る変更手段と,
を備え,
前記変更手段では,前記必要ベット枚数を抽選によって決定し,前記必要ベット枚数が前記第1の枚数となる確率よりも,前記必要ベット枚数が前記第2の枚数となる確率が高く,
前記役抽選手段では,前記第2の確率よりも前記第1の確率の方が,前記所定の遊技役に当選する確率が高い,
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,パチスロ遊技機(スロットマシン)に代表される回胴式の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチスロ遊技機(スロットマシン)に代表される回胴式の遊技機では,ゲームの開始に1〜3枚のメダルのベットが必要であり,メダルのベット枚数に応じてビッグボーナス(BB)等の遊技役の当選確率が異なるように設定されている。このような遊技機では,例えば特許文献1に示されているように,1BETボタン,2BETボタン,MAXBETボタン,といった1回の操作であらかじめ決められた枚数のメダルがベットされる複数のボタンが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−141489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,前記した従来の技術には,次のような問題があった。すなわち,特許文献1のような従来の遊技機では,ベット枚数に応じたベットボタンが用意されており,遊技者の操作によってベット枚数が決定される。つまり,遊技者が自分の意思で遊技役の当選確率を選択しており,ベット枚数に応じて遊技役の当選確率が変化することへの興趣性は高くない。従って,ベット枚数に応じて遊技役の当選確率を変化させることが可能な遊技機には改善の余地がある。
【0005】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,ベット枚数に応じて遊技役の当選確率を変化させることが可能な回胴式の遊技機において,興趣性を向上させることが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示される遊技機は,複数種類の図柄が表示された複数のリールと,レバーと,前記複数のリールごとに対応する複数のストップボタンと,ゲームの開始に必要なベット枚数である必要ベット枚数が設定されており,前記必要ベット枚数の遊技メダルがベットされている状態でかつ前記複数のリールの全てが停止した状態において,前記レバーが操作された場合に,前記必要ベット枚数が第1の枚数であれば当選確率を第1の確率とし,前記必要ベット枚数が第2の枚数であれば当選確率を第2の確率として,所定の遊技役に対する抽選を行う役抽選手段と,前記必要ベット枚数の遊技メダルがベットされている状態でかつ前記複数のリールの全てが停止した状態において前記レバーが操作された場合に,前記複数のリールの回動を開始させる回動開始手段と,前記複数のリールの少なくとも1つが回動中に前記複数のストップボタンのうちその回動中のリールに対応するストップボタンが操作された場合に,その操作されたストップボタンに対応するリールの回動を,前記役抽選手段での抽選結果に基づいて停止させる回動停止手段と遊技メダルをベットする操作であるベット操作があった場合に,前記必要ベット枚数を変更し得る変更手段と,を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば,ベット枚数に応じて遊技役の当選確率を変化させることが可能な回胴式の遊技機において,興趣性を向上させることが可能な技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態に係るパチスロ遊技機の遊技盤の全体斜視図である。
図2図1に示すパチスロ遊技機の正面図である。
図3】各リールに付した図柄の一例を示す図である。
図4】パチスロ遊技機の主制御基板および周辺機器の電気的構成を示すブロック図である。
図5】パチスロ遊技機のサブ制御基板および周辺機器の電気的構成を示すブロック図である。
図6】パチスロ遊技機において抽選される役の種類を示す図である。
図7】パチスロ遊技機において設定される遊技状態の関係を示す図である。
図8】遊技役抽選テーブルを示す図である。
図9】必要ベット枚数抽選テーブルを示す図である。
図10】上乗せ回数抽選テーブルを示す図である。
図11】実施の形態に係るパチスロ遊技機のゲームを開始するまでの動作概要を示す概念図である。
図12】主制御基板におけるメイン側タイマ割込み処理の手順を示すフローチャートである。
図13】主制御基板におけるメイン側起動処理の手順を示すフローチャートである。
図14】主制御基板における電源投入処理の手順を示すフローチャートである。
図15】主制御基板におけるゲーム開始処理の手順を示すフローチャートである。
図16】主制御基板におけるベット枚数設定処理の手順を示すフローチャートである。
図17】主制御基板における役決定処理の手順を示すフローチャートである。
図18】主制御基板におけるリール回動開始処理の手順を示すフローチャートである。
図19】主制御基板におけるリール回動停止処理の手順を示すフローチャートである。
図20】主制御基板における押し順報知停止処理の手順を示すフローチャートである。
図21】主制御基板における当選役報知停止処理の手順を示すフローチャートである。
図22】主制御基板におけるリール個別停止処理の手順を示すフローチャートである。
図23】主制御基板における停止図柄判定処理の手順を示すフローチャートである。
図24】主制御基板におけるメダル払出処理の手順を示すフローチャートである。
図25】主制御基板におけるRT遊技状態管理処理の手順を示すフローチャートである。
図26】主制御基板におけるRT上乗せ処理の手順を示すフローチャートである。
図27】主制御基板におけるBB遊技状態管理処理の手順を示すフローチャートである。
図28】サブ制御基板におけるサブ側タイマ割り込み処理の手順を示すフローチャートである。
図29】サブ制御基板におけるサブ側起動処理の手順を示すフローチャートである。
図30】サブ制御基板におけるサブ側受信コマンド解析処理の手順を示すフローチャートである。
図31】サブ制御基板におけるゲーム開始処理の手順を示すフローチャートである。
図32】変形例に係るパチスロ遊技機のゲーム開始後の動作概要を示す概念図である。
図33】変形例に係る役決定処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下,本実施形態にかかる遊技機について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,パチスロ遊技機に本発明を適用したものである。なお,以下の説明において,パチスロ遊技機の各部の左右方向は,そのパチスロ遊技機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させる。また,パチスロ遊技機の各部の前側は,そのパチスロ遊技機に対面する遊技者に近づく側とし,パチスロ遊技機の各部の後側は,そのパチスロ遊技機に対面する遊技者に遠のく側とする。
【0021】
1.パチスロ遊技機1の構造
本形態のパチスロ遊技機1は,図1に示すように,本体部2と前面扉3とを備え,両者がパチスロ遊技機1の筐体BXを構成している。具体的に,本体部2は,前面を開放した箱状をなしている。前面扉3は,本体部2の前面側に,本体部2の開放面を開閉可能に取り付けられている。具体的に,前面扉3が閉状態(図1の状態)にある場合,前面扉3によって本体部2の前側が閉鎖される構成になっている。また,パチスロ遊技機1の本体部2と前面扉3とには,前面扉3を開状態とすることを制限するロック機構が設けられており,前面扉3に設けられたキーシリンダ18への所定のキー操作によってロックが解除可能になっている。
【0022】
パチスロ遊技機1は,図1および図2に示すように,前面扉3の中央部に,樹脂製の板材からなる表示パネル4を配置している。さらにパチスロ遊技機1は,表示パネル4の中央に,縦長の3つの表示窓5L,5C,5Rを左右方向に並べて配置している。具体的には,左から順に,左表示窓5L,中表示窓5C,右表示窓5Rが設けられている。表示窓5L,5C,5Rには,透明のガラス板が組み付けられており,表示窓5L,5C,5Rを通して本体部2の内部が視認可能になっている。なお,各表示窓5L,5C,5Rを区画する仕切り部位を無くし,1つの表示窓としてもよい。
【0023】
パチスロ遊技機1は,本体部2の内部に,3つのリール6L,6C,6Rを収納している。各リール6L,6C,6Rは,円筒状であり,いずれも本体部2に回動可能に支持されている。具体的には各々の中心軸線がそのリール6L,6C,6Rの回転軸線となるように支持されている。また,各リール6L,6C,6Rは,その回転軸線が同一軸線上になるように配置されており,各リール6L,6C,6Rが各表示窓5L,5C,5Rに一対一で対応している。そのため,各リール6L,6C,6Rの外周面の一部が,それぞれ対応する表示窓5L,5C,5Rを通して視認可能になっている。
【0024】
各リール6L,6C,6Rは,それぞれステッピングモータ等のリール用のモータ55L,55C,55R(図4参照)に連結されている。そのため,各リール6L,6C,6Rは,各リール用のモータ55L,55C,55Rの駆動により,それぞれ独立して回動可能になっている。
【0025】
また,各リール6L,6C,6Rは,透光性を有する部材(例えば,透明な樹脂材)で構成された円筒状のドラム部を有し,そのドラム部の外周面に,同じく透光性を有する帯状のリールテープ7L,7C,7Rが1周巻き回されている。各リールテープ7L,7C,7Rには,図柄が描かれており,リール6L,6C,6Rが回動することで,リールテープ7L,7C,7Rに描かれた図柄が各表示窓5L,5C,5Rの枠内において上下方向に変動表示される構成になっている。リールテープ7L,7C,7Rに描かれた図柄の詳細については後述する。
【0026】
また,パチスロ遊技機1は,各リール6L,6C,6Rのドラム部の内側に,バックランプ49(図5参照)を配置している。そのため,バックランプ49が点灯した場合,各リール6L,6C,6Rの外周面に表示される図柄は,バックランプ49によってリール6L,6C,6Rの内側から照らされる。
【0027】
ここで,図3を参照して,各リール6L,6C,6Rに表示された図柄について説明する。図3中,左リールテープ7Lは左リール6Lに,中リールテープ7Cは中リール6Cに,右リールテープ7Rは右リール6Rに,それぞれ用いられる。各リールテープ7L,7C,7Rには,21個の図柄が長手方向(図3中の上下方向)に沿って一列に描かれている。なお,図3では,各リールテープ7L,7C,7Rに1〜21のコマ番号を付しているが,これらのコマ番号は説明の便宜上付されたものであり,各リールテープ7L,7C,7R,さらには各リール6L,6C,6Rに実際に付されているものではない。また,各リールテープ7L,7C,7Rに描かれる図柄は21個に限るものではなく,21個よりも多くても少なくてもよい。
【0028】
各リールテープ7L,7C,7Rに描かれる図柄は複数種類ある。本形態では,「赤セブン」図柄(例えば,左リールテープ7Lのコマ番号「9」),「チェリー」図柄(例えば,左リールテープ7Lのコマ番号「2」),「スイカ」図柄(例えば,左リールテープ7Lのコマ番号「4」),「ベル」図柄(例えば,左リールテープ7Lのコマ番号「3」),「リプレイ」図柄(例えば,左リールテープ7Lのコマ番号「1」),「ブランク」図柄(例えば,左リールテープ7Lのコマ番号「6」),の6種類の図柄がある。なお,本形態では,各リール6L,6C,6R(リールテープ7L,7C,7R)において各種図柄の数や配置順序が異なっている。また,本形態では,リールの図柄として,上記の6種類の図柄を用いたが,6種類よりも多い図柄を用いても少ない図柄(ただし2種類以上の図柄)を用いてもよい。また,図柄の数や配置順序も,図3に示した例に限定されるものではない。
【0029】
また,表示窓5L,5C,5Rを通して視認可能な図柄数は,表示窓5L,5C,5Rの上下方向の長さと各図柄の上下方向の長さとによって決まる。本形態では,遊技者に視認可能な図柄数は,リール6L,6C,6Rごとに3個となっている。そのため,各リール6L,6C,6Rがいずれも停止している状態では,9個の図柄が表示窓5L,5C,5Rを通して視認可能になる。なお,図2では,各リール6L,6C,6Rがいずれも停止している状態であって,リール6L,6C,6Rに表示される図柄を,破線の丸印で示している。
【0030】
また,パチスロ遊技機1では,各リール6L,6C,6Rに表示される図柄が視認可能になる位置を結んだ1ないし複数の有効ラインが設定されている。具体的に本形態では,図2に示したように,有効ラインが一点鎖線で示されており,左リール6Lの中段図柄,中リール6Cの中段図柄,右リール6Rの中段図柄を結んだ第1ラインL1と,左リール6Lの上段図柄,中リール6Cの上段図柄,右リール6Rの上段図柄を結んだ第2ラインL2と,左リール6Lの下段図柄,中リール6Cの下段図柄,右リール6Rの下段図柄を結んだ第3ラインL3と,左リール6Lの上段図柄,中リール6Cの中段図柄,右リール6Rの下段図柄を結んだ第4ラインL4と,左リール6Lの下段図柄,中リール6Cの中段図柄,右リール6Rの上段図柄を結んだ第5ラインL5と,の5本の有効ラインが設定されている。
【0031】
なお,本形態では,上述の5本のラインの全てを有効ラインとしているが,そのうち1ないし複数(最大で4本)のラインを有効ラインとしてもよい。また,例えば,左リール6Lの上段図柄,中リール6Cの中段図柄,右リール6Rの上段図柄を結んだラインや,左リール6Lの下段図柄,中リール6Cの中段図柄,右リール6Rの下段図柄を結んだラインのような,非直線のラインを有効ラインとしてもよい。また,例えば,左リール6Lの上段図柄,中リール6Cの中段図柄,右リール6Rの中段図柄を結んだラインや,左リール6Lの下段図柄,中リール6Cの中段図柄,右リール6Rの中段図柄を結んだラインのような,左右非対称のラインを有効ラインとしてもよい。
【0032】
パチスロ遊技機1では,上述の有効ラインL1〜L5のいずれかのライン上に,各リール6L,6C,6Rに表示される図柄が所定の組み合わせで停止した場合に,入賞が成立する。そして,入賞が成立した場合,パチスロ遊技機1は,遊技媒体である遊技メダル(単に「メダル」ともいう)を所定枚数払い出す特典や,遊技状態が遊技者に有利な状態に移行する特典を,付与する。入賞となる図柄の組み合わせおよび入賞成立時の特典については,後述する。
【0033】
また,パチスロ遊技機1は,表示パネル4の下方左側に,各リール6L,6C,6Rの回動開始の指示の入力を受け付けるスタートレバー8を配置している。パチスロ遊技機1は,所定枚数(本形態では3枚)のメダルがベットされている状態でスタートレバー8が操作されると,各リール6L,6C,6Rの回動を開始し,表示窓5L,5C,5Rを通して図柄の変動表示を開始する。各リール6L,6C,6Rは,同一の回動方向であって,同一の回動速度となるように制御される。
【0034】
さらにパチスロ遊技機1は,表示パネル4の下方中央であってスタートレバー8の右側に,各リール6L,6C,6Rの回動停止の指示の入力を個別に受け付けるストップボタン9L,9C,9Rを配置している。パチスロ遊技機1は,左リール6Lが回動している状態で左ストップボタン9Lが操作されると,その操作に基づいて左リール6Lの回動を停止し,図柄の変動表示を停止する。同様に,中リール6Cが回動している状態で中ストップボタン9Cが操作されると,その操作に基づいて中リール6Cの回動を停止し,図柄の変動表示を停止する。同様に,右リール6Rが回動している状態で右ストップボタン9Rが操作されると,その操作に基づいて右リール6Rの回動を停止し,図柄の変動表示を停止する。
【0035】
パチスロ遊技機1は,表示パネル4の下方右側に,メダル投入口10を配置している。メダル投入口10は,1回分の遊技(スロットゲーム,あるいは単にゲームともいう)を行うためのベット操作として,メダルをパチスロ遊技機1に投入するためのものである。本体部2内のメダル投入口10から投入されたメダルの通路内には,メダルの通過を検出する投入メダル検出センサ10a(図4参照)が設けられている。投入メダル検出センサ10aは,メダルを検出している状態とメダルを検出していない状態とで異なる信号を出力するセンサであり,メダルがメダル投入口10から投入された場合,そのメダルが投入メダル検出センサ10aの検出箇所を通過する際,投入メダル検出センサ10aからメダル有りを示す信号が出力される。
【0036】
パチスロ遊技機1は,表示パネル4の下方左側に,ベットボタン11と,必要ベット枚数表示器12と,を配置している。パチスロ遊技機1は,余剰に投入した分のメダルや入賞時に払い出された分のメダルを,所定の最大枚数(本形態では50枚)になるまで仮想メダルとして貯留記憶するクレジット機能を有している。パチスロ遊技機1は,クレジット機能が有効な場合,貯留記憶されている仮想メダルの枚数を,表示パネル4内の表示窓5L,5C,5Rの下方左側に配置されたクレジット数表示器21に表示する。ベットボタン11は,ゲームの開始に必要なベット枚数である必要ベット枚数を最大枚数として,複数枚の仮想メダルを一度にベットするためのボタンである。遊技者は,ベットボタン11を操作することで,クレジット機能で記憶されている仮想メダルを利用することが可能である。必要ベット枚数表示器12は,ベットボタン11の左側に配置され,必要ベット枚数が設定されている場合にその必要ベット枚数を表示する。必要ベット枚数は,所定の条件を満たすことによって行われる抽選で設定されるため,ゲームごとに異なる。必要ベット枚数の抽選については後述する。
【0037】
また,パチスロ遊技機1は,メダル投入口10の左側であってベットボタン11の右側に,演出ボタン13を配置し,さらに演出ボタン13の右側に,セレクトボタン19を配置している。セレクトボタン19は,上下左右のそれぞれの方向に対応する4つのボタンで構成される。パチスロ遊技機1は,ゲームの進行に応じて演出ボタン13およびセレクトボタン19の操作を受け付け,各ボタンへの操作に応じて演出を変更することが可能である。
【0038】
パチスロ遊技機1は,スタートレバー8の左側に,清算ボタン14を配置している。清算ボタン14は,前述したクレジット機能を無効にするためのボタンである。パチスロ遊技機1は,仮想メダルが貯留記憶されている状態で清算ボタン14が操作された場合,クレジット数表示器21に表示されている枚数分のメダルを払い出す。
【0039】
パチスロ遊技機1は,表示パネル4のうち各表示窓5L,5C,5Rの下方に,ストップ報知器20L,20C,20Rを配置している。具体的に,左ストップ報知器20Lは左表示窓5Lの直下に,中ストップ報知器20Cは中表示窓5Cの直下に,右ストップ報知器20Rは右表示窓5Rの直下に,それぞれ配置されている。ストップ報知器20L,20C,20Rは,アシストタイム(AT)が有効な期間中,当選した小役の入賞に必要なリール6L,6C,6Rの停止順,すなわちストップボタン9L,9C,9Rの押し順を,遊技者に報知するための表示器である。例えば,1番目に停止させるリールが中リール6Cであった場合,パチスロ遊技機1は,全てのリール6L,6C,6Rが回動中,中ストップボタン9Cの操作が必要である旨を中ストップ報知器20Cによって報知する。なお,アシストタイムおよび小役の詳細については後述する。
【0040】
パチスロ遊技機1は,表示パネル4のうち右表示窓5Rの下方に,投入可能表示ランプ22,再遊技表示ランプ23,および獲得枚数表示器24を配置している。投入可能表示ランプ22は,メダルが投入可能な状態であることを点灯によって報知する。再遊技表示ランプ23は,前回のゲームによって再遊技役に入賞し,自動的に1回分のゲームを行うためのベットが行われたことをランプの点灯によって報知する。獲得枚数表示器24は,遊技役の入賞に伴うメダルの払い出しの際に,払い出したメダルの枚数を表示する。また,獲得枚数表示器24は,エラーが生じた際に,エラーの情報を表示するためにも用いられる。
【0041】
パチスロ遊技機1は,クレジット数表示器21の左側に,遊技開始表示ランプ25および投入枚数表示ランプ26が配置されている。遊技開始表示ランプ25は,ゲームの開始が可能であること,すなわちスタートレバー8の操作を受け付けている状態であることを点灯して報知する。投入枚数表示ランプ26は,複数のランプから構成され,ベット操作によって,ベットされたメダル数に応じた数のランプが点灯する。
【0042】
パチスロ遊技機1は,表示パネル4のうち右表示窓5Rの下方右側に,特殊遊技役報知ランプ27を配置している。特殊遊技役報知ランプ27は,複数のランプから構成され,特定の遊技役(例えば後述するチェリー小役やスイカ小役)に当選した場合に,当選した遊技役に対応するランプを点灯させる。
【0043】
パチスロ遊技機1は,前面扉3の下部に,メダルを遊技者に払い出すためのメダル払出口30と,メダルを一定量まで貯留できる下皿31と,を配置している。メダル払出口30から払い出されたメダルは,下皿31に貯留される。
【0044】
また,パチスロ遊技機1は,前面扉3の上部に,ゲームの進行に伴って点灯ないし消灯する複数の演出ランプ40と,ゲームの進行に伴って種々の効果音を出力する左右一対のスピーカ41と,遊技者に各種の情報を画面42aに表示する画像表示装置42と,を配置している。画像表示装置42は,液晶パネルの画面42aを備え,遊技の進行に伴って各種の画像演出を実行する。画像演出には,例えば,遊技状態に応じた背景画像の表示,遊技役の入賞操作を遊技者に報知する操作報知画像の表示,特定の遊技役の当選の有無を報知する当選報知画像の表示,が該当する。
【0045】
また,パチスロ遊技機1は,前面扉3の裏側に,設定ボタン15および設定表示ランプ28を配置している(図4参照)。設定ボタン15は,遊技役の当選確率を調節する設定値の変更に用いる。以下,本明細書において,設定対象の記載なく「設定値」とした場合,遊技役の当選確率の調節に用いられる設定値を意味する。なお,設定ボタン15は,エラー状態や打止状態を解除するリセット機能を兼ねてもよい。設定表示ランプ28は,複数のランプで構成され,設定値に対応するランプが点灯表示される。
【0046】
パチスロ遊技機1は,本体部2の内部に,メダル投入口10から投入されたメダルを貯留するメダル金庫(不図示),メダル金庫に貯留されるメダルをメダル払出口30から払い出すためのホッパー54(図4参照),および電源ボックス(不図示),を配置している。
【0047】
2.パチスロ遊技機1の電気的構成
続いて,パチスロ遊技機1における電気的な構成を,図4および図5を参照しつつ説明する。パチスロ遊技機1は,主制御基板60と,サブ制御基板70と,画像制御基板80と,を備えている。主制御基板60は,本体部2に取り付けられ,遊技役の抽選,遊技状態の移行等,主として遊技利益に関する制御を行う。サブ制御基板70は,本体部2に取り付けられ,主としてゲームの進行に伴って実行される演出に関する制御を行う。画像制御基板80は,画像表示装置42に表示される画像やスピーカ41から出力される音声に関する制御を行う。
【0048】
また,パチスロ遊技機1は,電源基板920を備えている。電源基板920は,主制御基板60,サブ制御基板70,および画像制御基板80に対する電力の供給制御を行い,これらの基板を介してその他の機器に対して必要な電力を供給する。
【0049】
電源基板920には,バックアップ電源回路921が設けられている。バックアップ電源回路921は,パチスロ遊技機1に対して外部から電力が供給されていない場合,すなわち主電源がOFFであったり停電が生じた場合に,後述する主制御基板60のRAM64等に対して情報の保持に必要な電力を供給する。従って,主制御基板60のRAM64等に記憶されている情報は,パチスロ遊技機1に外部から電力が供給されていない場合も,バックアップ電源回路921から電力を供給できる間,一時的に保持される。なお,各制御基板に対する専用のバックアップ電源回路をそれぞれ設けてもよい。
【0050】
また,電源基板920には,電源スイッチ59,設定キースイッチ16,およびRAMクリアスイッチ17が接続されている。これらのスイッチは,電源基板920に付設され,通常,パチスロ遊技機1の前面側にいる遊技者から視認できず,遊技者が操作できない位置にある。そのため,これらのスイッチは,通常,ホールのスタッフによって操作される。パチスロ遊技機1は,電源スイッチ59が操作されると,主電源のオンオフが切り換えられる。
【0051】
また,パチスロ遊技機1は,設定値の変更を許可する設定モードと,設定値の変更を許可しない非設定モードとを有し,設定キースイッチ16によってモードの切り換えが可能である。設定キースイッチ16は,第1の位置と第2の位置とに変位可能であり,設定キースイッチ16が第1の位置にある状態で起動されると,パチスロ遊技機1は設定モードで動作する。パチスロ遊技機1は,設定モード中,ゲームの実行を制限するが,設定キースイッチ16が第2の位置に切り換えられることで非設定モードに移行し,ゲームの実行制限を解除する。一方,設定キースイッチ16が第2の位置にある状態で起動されると,パチスロ遊技機1は非設定モードで動作する。この場合,設定キースイッチ16が第1の位置に切り換えられたとしても,パチスロ遊技機1は設定モードに移行しない。
【0052】
また,パチスロ遊技機1は,RAMクリアスイッチ17が押下された状態で起動されると,主制御基板60のRAM64およびサブ制御基板70のRAM74を初期化する。これにより,RAM64およびRAM74に記憶されている情報が失われる。
【0053】
主制御基板60には,図4に示すように,プログラムに従ってパチスロ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン61が実装されている。以下,遊技制御用ワンチップマイコン61を,遊技制御用マイコン61とする。遊技制御用マイコン61には,遊技の進行を制御するためのプログラムやテーブル等を記憶したROM63,ワークメモリとして使用されるRAM64,ROM63に記憶されたプログラムを実行するCPU62,が含まれる。遊技制御用マイコン61は,I/Oポートによって構成される入出力回路69を介して他の基板等とデータの送信ないし受信を行う。入出力回路69は,遊技制御用マイコン61に内蔵されていてもよい。また,ROM63は,外付けであってもよい。
【0054】
CPU62には,クロックパルスを発生させるクロックパルス発生回路(不図示)や,所定範囲内の乱数を発生させる乱数発生回路66や,乱数発生回路から生じた乱数を抽出するサンプリング回路(不図示)が接続されている。CPU62は,クロック発生回路から生じたクロックパルスに基づいて制御プログラムを実行し,乱数発生回路66にて生じた乱数をサンプリング回路に抽出させ,サンプリング回路にて抽出された乱数値を用いて,遊技役の抽選等を行う。
【0055】
RAM64には,現在設定されている必要ベット枚数を記憶する必要ベット枚数記憶部65が設けられている。本形態では,必要ベット枚数は3枚か1枚かのいずれかであり,必要ベット枚数記憶部65にはいずれか一方の情報もしくは未設定である旨の情報が記憶される。
【0056】
また,遊技制御用マイコン61には,入出力回路69を介して,各種のセンサ類,スイッチ類,および基板類が電気的に接続され,各種の信号が入力される。具体的に,遊技制御用マイコン61には,スタート検出センサ8a,投入メダル検出センサ10a,およびベット検出センサ11aが接続されている。
【0057】
スタート検出センサ8aは,スタートレバー8の操作の有無に応じて異なる信号を出力する。投入メダル検出センサ10aは,メダル投入口10から投入されたメダルが所定の検出箇所を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。遊技制御用マイコン61は,この信号に基づいてメダル投入口10へのメダルの投入を判断できる。ベット検出センサ11aは,ベットボタン11の操作の有無に応じて異なる信号を出力する。
【0058】
また,遊技制御用マイコン61には,回動速度検出センサ50L,50C,50R,リール位置検出センサ51L,51C,51R,払出メダル検出センサ52a,およびストップボタン(SB)検出センサ91L,91C,91Rが電気的に接続されている。
【0059】
回動速度検出センサ50L,50C,50Rは,リール6L,6C,6Rの回動速度を検出する。具体的に,左回動速度検出センサ50Lは,左リール6Lの回動速度が所定値に達したか否かに応じて異なる信号を出力する。中回動速度検出センサ50Cは,中リール6Cの回動速度が所定値に達したか否かに応じて異なる信号を出力する。右回動速度検出センサ50Rは,右リール6Rの回動速度が所定値に達したか否かに応じて異なる信号を出力する。
【0060】
リール位置検出センサ51L,51C,51Rは,リールの基準位置(例えば,図3に示したコマ番号「1」の位置)の検出時に所定の信号を出力する。遊技制御用マイコン61は,この信号に基づいてリールの位置を判断できる。具体的に,左リール位置検出センサ51Lは,左リール6Lの基準位置を検出する。中リール位置検出センサ51Cは,中リール6Cの基準位置を検出する。右リール位置検出センサ51Rは,右リール6Rの基準位置を検出する。
【0061】
払出メダル検出センサ52aは,ホッパー54から払い出されたメダルが所定の検出箇所を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。遊技制御用マイコン61は,この信号に基づいてホッパー54から払い出されたメダルの有無を判断できる。
【0062】
SB検出センサ91L,91C,91Rは,ストップボタン9L,9C,9Rの操作の有無に応じて異なる信号を出力する。具体的に,左SB検出センサ91Lは,左ストップボタン9Lの操作の有無に応じて異なる信号を出力する。中SB検出センサ91Cは,中ストップボタン9Cの操作の有無に応じて異なる信号を出力する。右SB検出センサ91Rは,右ストップボタン9Rの操作の有無に応じて異なる信号を出力する。
【0063】
また,遊技制御用マイコン61には,開閉検出センサ53a,清算検出センサ14a,および設定検出センサ15aが電気的に接続されている。開閉検出センサ53aは,前面扉3の裏側に設置され,前面扉3が開状態の場合と閉状態の場合とで異なる信号を出力する。遊技制御用マイコン61は,この信号に基づいて前面扉3が開状態か閉状態かを判断できる。清算検出センサ14aは,清算ボタン14の操作の有無に応じて異なる信号を出力する。設定検出センサ15aは,設定ボタン15の操作の有無に応じて異なる信号を出力する。
【0064】
また,遊技制御用マイコン61には,必要ベット枚数表示器12,ストップ報知器20L,20C,20R,クレジット数表示器21,投入可能表示ランプ22,再遊技表示ランプ23,獲得枚数表示器24,遊技開始表示ランプ25,投入枚数表示ランプ26,特殊遊技役報知ランプ27,および設定表示ランプ28,が電気的に接続され,各種の信号が出力される。遊技制御用マイコン61は,各種のランプに対して各種の制御(ランプの点灯,消灯,情報の表示)が可能である。
【0065】
また,遊技制御用マイコン61には,各リール6L,6C,6Rを回動させるためのリール用のモータ55L,55C,55Rと,ホッパー54と,が電気的に接続され,制御信号が出力される。遊技制御用マイコン61は,各リール6L,6C,6Rの回動制御およびメダルの払い出し制御が可能である。
【0066】
また,主制御基板60は,サブ制御基板70に対して,各種コマンドを送信する。主制御基板60とサブ制御基板70との通信は,主制御基板60からサブ制御基板70へのコマンドの送信のみが可能な単方向通信となっている。すなわち,主制御基板60とサブ制御基板70との間には,通信方向規制手段として,例えばダイオードを用いた単方向制御回路が介在している。
【0067】
また,主制御基板60には,外部端子板190が電気的に接続されている。外部端子板190は,遊技制御用マイコン61から受信した信号に基づく各種の信号を,データ表示器910やホールコンピュータ900といったパチスロ遊技機1の外部に配された外部装置に対して出力する。具体的に外部端子板190には,外部出力用の複数のチャネル(CN)が設けられている。そして,各チャネル(CN)に対応するコネクタと,データ表示器910側のコネクタとはケーブルによって接続されている。各コネクタからは,それぞれ一つの信号が外部に出力される。外部端子板190では,例えば,ビックボーナス(BB)に入賞したことを示すボーナスカウント信号,パチスロ遊技機1の遊技状態を示す信号,前面扉3が開放されていることを示す扉開放信号,想定外の入賞があったことを示すセキュリティ信号,がそれぞれ別のチャネルから出力される。
【0068】
サブ制御基板70には,図5に示すように,プログラムに従ってパチスロ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン71が実装されている。以下,演出制御用ワンチップマイコン71を,演出制御用マイコン71とする。演出制御用マイコン71には,遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM73,ワークメモリとして使用されるRAM74,ROM73に記憶されたプログラムを実行するCPU72,が含まれる。演出制御用マイコン71は,I/Oポートによって構成される入出力回路79を介して他の基板等とデータの送信ないし受信を行う。入出力回路79は,演出制御用マイコン71に内蔵されていてもよい。また,ROM73は,外付けであってもよい。
【0069】
また,サブ制御基板70には,画像制御基板80,演出ランプ40,バックランプ49,演出ボタン検出センサ13a,およびセレクトボタン検出センサ19aが電気的に接続されている。そのため,サブ制御基板70には演出ボタン検出センサ13aやセレクトボタン検出センサ19aに基づく信号が入力され,画像制御基板80や各ランプにはサブ制御基板70から信号が出力される。なお,セレクトボタン19は,4つのボタンで構成される(図1参照)ため,各ボタンに対応する検出センサが設けられており,本明細書でのセレクトボタン検出センサ19aは,これらの検出センサの総称である。
【0070】
画像制御基板80には,プログラムに従って画像表示装置42およびスピーカ41の出力を制御する画像制御用ワンチップマイコン81が実装されている。以下,画像制御用ワンチップマイコン81を,画像制御用マイコン81とする。画像制御用マイコン81には,演出の進行に伴って表示画像を制御するためのプログラムや,画像表示装置42に表示される静止画や動画,より具体的にはキャラクタ,アイテム,図形,文字,数字,記号,背景画像,などの画像データや,スピーカ41を介して出力される音声,楽曲,効果音,などの音声データを記憶したROM83,ワークメモリとして使用されるRAM84,ROM83に記憶されたプログラムを実行するCPU82,が含まれる。画像制御用マイコン81は,I/Oポートによって構成される入出力回路89を介して他の基板等とデータの送信ないし受信を行う。入出力回路89は,画像制御用マイコン81に内蔵されていてもよい。また,ROM83は,外付けであってもよい。
【0071】
また,画像制御基板80には,画像表示装置42とスピーカ41とが電気的に接続されている。画像表示装置42やスピーカ41には,画像制御基板80からの信号が入力される。そのため,例えば,画像表示装置42は,入力された信号に基づいて,各種の画像を表示する。
【0072】
サブ制御基板70の演出制御用マイコン71は,主制御基板60から受信したコマンドに基づいて,画像制御基板80の画像制御用マイコン81に画像表示装置42の表示制御を行わせる。画像制御用マイコン81のCPU82は,演出制御用マイコン71からのコマンドに基づいて,ROM83から画像データや音声データを読み出す。そして,読み出した画像データに基づく演出画像を画像表示装置42に表示させ,読み出した音声データに基づく音声をスピーカ41から出力させる。
【0073】
なお,音声を出力する構成として,サブ制御基板70およびスピーカ41と電気的に接続される音声制御基板を備え,演出制御用マイコン71が,主制御基板60から受信したコマンドに基づいて,その音声制御基板を介して,スピーカ41に音声,楽曲,効果音等を出力させる構成でもよい。この場合,音声データは,サブ制御基板70のROM73に記憶すればよい。
【0074】
演出ボタン検出センサ13aは,演出ボタン13に対応するセンサである。そのため,演出ボタン13が押下されると,演出ボタン検出センサ13aからサブ制御基板70に対して,演出ボタン13に関する信号が出力される。演出ボタン検出センサ13aから出力される信号に基づいて,サブ制御基板70は,演出ボタン13が押下されたか否かを判断できる。セレクトボタン検出センサ19aは,セレクトボタン19に対応するセンサである。そのため,セレクトボタン19が押下されると,セレクトボタン検出センサ19aからサブ制御基板70に対して,セレクトボタン19に関する信号が出力される。セレクトボタン検出センサ19aから出力される信号に基づいて,サブ制御基板70は,セレクトボタン19が押下されたか否かを判断できる。
【0075】
3.パチスロ遊技機1の遊技役
続いて,パチスロ遊技機1が有する遊技役について説明する。図6は,パチスロ遊技機1が有する遊技役の種類と,各遊技役が入賞した場合のメダルの払い出し枚数と,を示している。パチスロ遊技機1は,1つの特別役であるビックボーナス(BB)役と,小役1〜小役9までの9個の小役と,1つの再遊技(リプレイ)役と,の11種類の遊技役を有している。
【0076】
パチスロ遊技機1は,各ゲームにおける遊技役の当否を,スタートレバー8の操作を契機に取得した役抽選乱数に基づいて決定する。具体的に,パチスロ遊技機1は,1回のゲームごとに,役抽選乱数を取得し,予めROM63に記憶された遊技役抽選テーブルを用いて遊技役の抽選を行う。パチスロ遊技機1は,カウンタIC等からなる公知のハードウェア,すなわち乱数発生回路を主制御基板60に備えている。役抽選乱数は,その乱数発生回路によって発生させたハードウェア乱数である。そして,パチスロ遊技機1は,その抽選によっていずれかの遊技役に当選したと判断すると,当選した遊技役に対応するフラグをONにする。
【0077】
パチスロ遊技機1では,有効ラインL1〜L5(図2参照)上に停止表示された各リール6L,6C,6Rの3つの図柄の組み合わせが,当選フラグがONになっている遊技役の図柄の組み合わせと一致した場合に,遊技役の入賞が成立して,遊技者に有利な特典(例えば,所定枚数のメダルの払い出しや遊技状態の移行)を付与する。言い換えると,当選フラグがONになっている遊技役があったとしても,その遊技役に対応する図柄が揃って入賞しなければ,パチスロ遊技機1は,遊技者に有利な特典を付与しない。なお,「メダルの払い出し」とは,メダルがメダル払出口30から払い出されることの他,クレジット機能が有効な場合はクレジット数表示器21に表示される数値が増えること,すなわち仮想メダルが増えることも含む。
【0078】
ここから,パチスロ遊技機1が有する各遊技役について,図6を参照しつつ説明する。BB役は,その入賞によって,次回のゲームから遊技状態がBB遊技状態に移行する遊技役である。つまり,パチスロ遊技機1では,BB役の入賞がBB遊技状態への移行契機となっている。なお,パチスロ遊技機1では,有効ラインL1〜L5のいずれか1ライン上に「赤セブン」図柄の3つ揃い(赤セブン−赤セブン−赤セブン)が停止表示された場合に,BB役の入賞となる。BB遊技状態については後述する。
【0079】
小役1は,その入賞によって,2枚のメダルの払い出しが行われる遊技役である。なお,有効ラインL1〜L5のいずれか1ライン上に「チェリー」図柄の3つ揃い(チェリー−チェリー−チェリー)が停止表示された場合に,小役1の入賞となる。小役1は,「チェリー小役」ともいう。
【0080】
小役2は,その入賞によって,5枚のメダルの払い出しが行われる遊技役である。なお,有効ラインL1〜L5のいずれか1ライン上に「スイカ」図柄の3つ揃い(スイカ−スイカ−スイカ)が停止表示された場合に,小役2の入賞となる。小役2は,「スイカ小役」ともいう。
【0081】
小役3,小役4,および小役5は,その入賞によって,9枚のメダルの払い出しが行われる遊技役である。なお,有効ラインL1〜L5のいずれか1ライン上に「ベル」図柄の3つ揃い(ベル−ベル−ベル)が停止表示された場合に,小役3〜5の入賞の条件の1つを満たす。
【0082】
また,小役3〜5は,互いに異なる「正解押し順」が設定されている。正解押し順は,ストップボタン9L,9C,9Rの押し順,すなわちリール6L,6C,6Rの停止順である。例えば,小役3は,3つのリール6L,6C,6Rのうち,左リール6Lを1番目に停止させることが入賞の条件となる。小役4は,中リール6Cを1番目に停止させることが入賞の条件の1つとなる。小役5は,右リール6Rを1番目に停止させることが入賞の条件の1つとなる。いずれの正解押し順も,2番目および3番目に停止させるリールの順番は決められていない。つまり小役3〜5の正解押し順は,3つのリール6L,6C,6Rから1番目に停止させるリールのみ遊技者に選択させる3択方式である。リール6L,6C,6Rを停止する操作が正解押し順と一致している場合,小役3〜5の入賞が成立可能になる。小役3〜5は,「第1の押し順ベル小役」ともいう。
【0083】
なお,第1の押し順ベル小役は,3つのリール6L,6C,6Rから,1番目に停止させるリール,2番目に停止させるリール,3番目に停止させるリールを,遊技者に順に選択させる6択方式であってもよい。この場合,例えば正解押し順を報知する際,パチスロ遊技機1は,3つのリール6L,6C,6Rの回動中,1番目に停止させるリールに対応するストップ報知器を点灯させ,1番目のリールの停止後,2番目に停止させるリールに対応するストップ報知器を点灯させるとよい。また,パチスロ遊技機1は,各ストップ報知器に正解押し順を数値表示させてもよい。例えば,正解押し順が,左リール6L,中リール6C,右リール6Rの順であれば,パチスロ遊技機1は,左ストップ報知器20Lに「1」を,中ストップ報知器20Cに「2」を,右ストップ報知器20Rに「3」を,それぞれ表示させるとよい。
【0084】
小役6,小役7,および小役8は,その入賞によって,1枚のメダルの払い出しが行われる遊技役である。なお,有効ラインL1〜L5のいずれか1ライン上に,左から「ベル」図柄,「リプレイ」図柄,「ベル」図柄が停止表示された場合に,小役6〜8の入賞の条件の1つを満たす。
【0085】
小役6〜8は,前述した小役3〜5と同じように,互いに異なる押し順が設定されている。具体的に,小役6は,3つのリール6L,6C,6Rから左リール6Lを1番目に停止させることが入賞の条件となる。小役7は,中リール6Cを1番目に停止させることが入賞の条件となる。小役8は,右リール6Rを1番目に停止させることが入賞の条件となる。いずれの正解押し順も,2番目および3番目に停止させるリールの順番は決められていない。リール6L,6C,6Rを停止する操作が正解押し順と一致している場合,小役6〜8の入賞が成立可能になる。小役6〜8は,「第2の押し順ベル小役」ともいう。
【0086】
なお,パチスロ遊技機1では,遊技役の抽選によって,小役3とともに,小役7および小役8が重複して当選する。同様に,小役4とともに,小役6および小役8が重複して当選する。同様に,小役5とともに,小役6および小役7が重複して当選する。そのため,例えば,小役3,7,8に重複当選した場合,回動中の3つのリール6L,6C,6Rのうち左リール6Lを1番目に停止させると,小役3の正解押し順と一致するために小役3の入賞が成立可能になる。一方で,中リール6Cを1番目に停止させると,小役3の正解押し順と一致しないため小役3の入賞が成立不可になるが,小役7の正解押し順と一致するために小役7の入賞が成立可能になる。また,右リール6Rを1番目に停止させると,小役3および小役7の正解押し順と一致しないため小役3および小役7の入賞が成立不可になるが,小役8の正解押し順と一致するために小役8の入賞が成立可能になる。小役4,小役6,小役8の重複当選,および小役5,小役6,小役7の重複当選についても同様である。
【0087】
つまり,小役3〜8の当選時,第1の押し順ベル小役(小役3〜5)の正解押し順で各リール6L,6C,6Rが停止された場合,パチスロ遊技機1では,第1の押し順ベル小役の入賞が成立可能となる。一方,第1の押し順ベル小役の正解押し順で各リール6L,6C,6Rが停止されなかった場合,パチスロ遊技機1では,第1の押し順ベル小役の入賞が成立しない代わりに,第2の押し順ベル小役(小役6〜8)の入賞が成立可能となる。なお,第1の押し順ベル小役と第2の押し順ベル小役を総称して「押し順ベル小役」ともいう。
【0088】
小役9は,その入賞によって,9枚のメダルの払い出しが行われる遊技役である。なお,有効ラインL1〜L5のいずれか1ライン上に「ベル」図柄の3つ揃い(ベル−ベル−ベル)が停止表示された場合に,小役9の入賞となる。小役9は,小役3〜8と異なり,正解押し順は設定されておらず,ストップボタン9L,9C,9Rの押し順は問わない。小役9は,「共通ベル小役」ともいう。
【0089】
リプレイ役は,その入賞によってメダルの払い出しは伴わないが,遊技者がメダルを投入することなく次回のゲームを行うことが可能になる遊技役である。なお,有効ラインL1〜L5のいずれか1ライン上に「リプレイ」図柄の3つ揃い(リプレイ−リプレイ−リプレイ)が停止表示された場合に,リプレイ役の入賞となる。
【0090】
パチスロ遊技機1は,ストップボタン9L,9C,9Rの操作から,対応するリール6L,6C,6Rの回動を停止させるまでの制動時間を0〜190msの範囲で変更可能であり,有効ラインL1〜L5のいずれか1つのライン上に,当選した遊技役に応じた図柄が停止表示され得るような制御,あるいは当選していない遊技役に応じた図柄が揃わないような制御,を行っている。具体的には,パチスロ遊技機1は,最短の制動時間(つまり0ms)で停止表示させた場合に表示窓5L,5C,5Rを通じて表示される図柄から,所定の引き込み数分(本形態では最大で4コマ分),リールの回動方向とは逆方向に位置する図柄までの複数の図柄のうち,任意の図柄を表示窓5L,5C,5Rの枠内に引き込んで停止表示させる引込制御を行っている。
【0091】
例えば,パチスロ遊技機1では,いずれのリールテープ7L,7C,7Rも複数の「リプレイ」図柄が最大で5コマおきに配置されている(図3参照)。そのため,各リール6L,6C,6Rの外周面には,引き込み数の最大値である4コマよりも大きな間隔を空けずに,「リプレイ」図柄が複数配置されていることになる。従って,リプレイ役に当選した場合には,リール6L,6C,6Rの回動中に各ストップボタン9L,9C,9Rがどのタイミングで操作されたとしても,パチスロ遊技機1は,引込制御によって「リプレイ」図柄の3つ揃いを有効ラインL1〜L5のいずれか1ライン上に停止表示させることができる。つまり,パチスロ遊技機1は,リプレイ役に当選したゲームでは,引込制御によってリプレイ役を入賞させることが可能である。
【0092】
同様に,「ベル」図柄についても,各リール6L,6C,6Rの外周面に,引き込み数の最大値である4コマよりも大きな間隔を空けずに,複数配置されている(図3参照)。従って,押し順ベル小役や共通ベル小役に当選した場合には,リール6L,6C,6Rの回動中に各ストップボタン9L,9C,9Rがどのタイミングで操作されたとしても,パチスロ遊技機1は,引込制御によって「ベル」図柄の3つ揃いを有効ラインL1〜L5のいずれか1ライン上に停止表示させることができる。
【0093】
ただし,押し順ベル小役については,正解押し順が設定されている。そのため,パチスロ遊技機1は,押し順ベル小役に当選したゲームでは,第1の押し順ベル小役の正解押し順でストップボタン9L,9C,9Rが操作された場合に,引込制御によって第1の押し順ベル小役を入賞させる図柄を停止表示させる。一方で,第2の押し順ベル小役の正解押し順でストップボタン9L,9C,9Rが操作された場合に,引込制御によって第2の押し順ベル小役を入賞させる図柄を停止表示させる。
【0094】
また,「チェリー」図柄は,いずれのリールテープ7L,7C,7Rも2個しか配置されていない。さらに,2個の「チェリー」図柄同士の間隔は,5コマ以上である。そのため,各リール6L,6C,6Rの外周面に,引き込み数の最大値である4コマよりも大きな間隔が空いた状態で「チェリー」図柄が表示されていることになる。従って,チェリー小役に当選した場合,各ストップボタン9L,9C,9Rを操作するタイミング次第では,パチスロ遊技機1は,引込制御を行っても「チェリー」図柄を停止表示させることができない。つまり,チェリー小役が当選しているゲームでパチスロ遊技機1が引込制御を行ったとしても,チェリー小役を入賞させることができないこともある。
【0095】
また,「スイカ」図柄は,左リールテープ7Lに3個,中リールテープ7Cに5個,右リールテープ7Rに2個,それぞれ配置されている。さらに,左リールテープ7Lおよび右リールテープ7Rにおいて,「スイカ」図柄同士の間隔は,5コマ以上である。そのため,左リール6Lおよび右リール6Rの外周面には,引き込み数の最大値である4コマよりも大きな間隔が空いた状態で「スイカ」図柄が表示されていることになる。従って,スイカ小役に当選した場合,左ストップボタン9Lないし右ストップボタン9Rを操作するタイミング次第では,パチスロ遊技機1は,引込制御を行っても「スイカ」図柄を停止表示させることができない。つまり,スイカ小役が当選しているゲームでパチスロ遊技機1が引込制御を行ったとしても,スイカ小役を入賞させることができないこともある。
【0096】
また,「赤セブン」図柄は,いずれのリールテープ7L,7C,7Rも1個しか配置されていない。従って,BB役に当選した場合,各ストップボタン9L,9C,9Rを操作するタイミング次第では,パチスロ遊技機1は,引込制御を行っても「赤セブン」図柄を停止表示させることができない。つまり,BB役が当選しているゲームでパチスロ遊技機1が引込制御を行ったとしても,BB役を入賞させることができないこともある。ただし,BB役に当選した場合,パチスロ遊技機1は,BB役の入賞が成立するまで当選状態を維持し,次回以降のゲームで入賞を成立させることが可能である。
【0097】
また,抽選によってこれらの遊技役のいずれにも当選しなかった場合は「ハズレ」となり,各ストップボタン9L,9C,9Rをどのタイミングで操作しても,パチスロ遊技機1は,引込制御によって,各遊技役に係る図柄の組み合わせ以外の図柄の組み合わせが有効ラインL1〜L5のいずれのライン上にも停止表示されるように引込制御を行う。なお,各リールテープ7L,7C,7Rには,遊技役の図柄の組み合わせに関係しない「ブランク」図柄が設けられている。このため,抽選結果がハズレの場合,パチスロ遊技機1は,「赤セブン」「チェリー」「スイカ」,「ベル」,「リプレイ」の各図柄に「ブランク」図柄を加えた6種類の図柄を用いて,任意の組み合わせを有効ラインL1〜L5に停止表示できる。
【0098】
4.パチスロ遊技機1の遊技状態
続いて,パチスロ遊技機1が有する遊技状態について説明する。パチスロ遊技機1は,図7に示すように,リプレイタイム(RT)遊技状態,ビックボーナス(BB)遊技状態,非RT遊技状態,の3種類の遊技状態がある。本形態では,これらの遊技状態のうち,非RT遊技状態が通常の遊技状態となる。
【0099】
パチスロ遊技機1は,遊技状態が非RT遊技状態のときに条件Aが成立した場合,遊技状態をBB遊技状態に移行させる。本形態では,条件Aを,BB役に入賞すること,すなわち「赤セブン」図柄の3つ揃いを有効ラインL1〜L5のいずれか1ラインに停止表示させること,とする。この条件Aは,BB遊技状態の開始条件でもあり,非RT遊技状態の終了条件でもある。
【0100】
BB遊技状態は,通常の遊技状態である非RT遊技状態よりも遊技者にとって有利な遊技条件となる特別な遊技状態である。パチスロ遊技機1では,BB遊技状態の場合,非RT遊技状態と比較して,遊技者に有利な遊技役に当選し易い。図8は,パチスロ遊技機1が有する遊技役抽選テーブルを示している。図8に示すように,パチスロ遊技機1では,非RT遊技状態中,必要ベット枚数によって,各遊技役の当選確率が異なる。例えば,BB役の当選確率は,必要ベット枚数が1枚であれば約1/100であり,必要ベット枚数が3枚であれば約1/400である。すなわち本形態では,必要ベット枚数が1枚の場合,必要ベット枚数が3枚の場合と比較して,BB役の当選確率が高くなり,ハズレの確率が低くなる。なお,本形態では,BB役の他,チェリー小役やスイカ小役の当選確率も高くなる。従って,必要ベット枚数が1枚の場合は,必要ベット枚数が3枚よりも遊技者にとって有利な遊技条件といえる。
【0101】
パチスロ遊技機1は,必要ベット枚数が設定されていない状態で,ベットボタン11が押下された場合,必要ベット枚数抽選乱数を取得し,必要ベット枚数を抽選によって設定する。また,パチスロ遊技機1は,必要ベット枚数が設定されていない状態で,遊技メダルが投入された場合も,必要ベット枚数抽選乱数を取得し,必要ベット枚数を抽選によって設定する。図9は,パチスロ遊技機1が有する必要ベット枚数抽選テーブルを示している。図9に示すように,パチスロ遊技機1では,必要ベット枚数が3枚の方が,必要ベット枚数が1枚よりも,設定され易い。つまり,パチスロ遊技機1では,必要ベット枚数が1枚の場合,設定され難いが,BB役等の所定の遊技役に当選し易く,必要ベット枚数が3枚の場合,設定され易いが,BB役等の所定の遊技役に当選し難い,ように各抽選比率が割り当てられている。パチスロ遊技機1は,ゲームが終了すると必要ベット枚数をリセットし,必要ベット枚数が設定されていない状態になる。
【0102】
パチスロ遊技機1は,必要ベット枚数分の遊技メダルがベットされた状態で,スタートレバー8が操作されると,役抽選乱数を取得し,遊技役抽選テーブルを用いて遊技役の抽選を行う。パチスロ遊技機1では,押し順ベル小役に割り当てられている役抽選乱数の数が,非RT遊技状態と比較してBB遊技状態の方が多い。一方で,ハズレに割り当てられている役抽選乱数の数が,非RT遊技状態と比較してBB遊技状態の方が少ない。なお,パチスロ遊技機1は,設定値ごとの遊技役抽選テーブルおよび必要ベット枚数抽選テーブルをROM63に記憶している。図8に示した遊技役抽選テーブルおよび必要ベット枚数抽選テーブルは,1〜6までの範囲内に設定される設定値のうちの1つ(例えば設定値が「6」)に用いるものを示しており,その他の設定値に用いる遊技役抽選テーブルおよび必要ベット枚数抽選テーブルについては記載を省略する。
【0103】
さらにパチスロ遊技機1は,遊技状態がBB遊技状態のときにアシストタイム(AT)機能を有効にする。AT機能とは,当選している遊技役についての当選の報知やストップボタン9L,9C,9Rの押し順に関する報知を行う機能である。パチスロ遊技機1は,例えばリール6L,6C,6Rの回動中に報知を行う。なお,AT機能が有効になっている状態を「特別報知状態」とする。遊技状態がBB遊技状態では,AT機能が有効になっていることから,パチスロ遊技機1は,押し順ベル小役に当選した場合に,第1押し順ベル小役の正解押し順をストップ報知器20L,20C,20Rによって報知する。
【0104】
このようにBB遊技状態では,押し順ベル小役が当選し易く,さらにAT機能によって第1押し順ベル小役の正解押し順が報知されるために入賞し易い。そのため,遊技者は,より多くのメダルを獲得し易い。一方で,パチスロ遊技機1では,遊技状態が非RT遊技状態の場合,ハズレが多い上に,AT機能が無効である。すなわち,非RT遊技状態では,パチスロ遊技機1は,遊技役に当選した場合に,ストップ報知器20L,20C,20Rや特殊遊技役報知ランプ27によるその当選の報知を行わない。そのため,遊技者に有利な遊技役の入賞が困難になる。従って,BB遊技状態は,非RT遊技状態よりも遊技者にとって有利な遊技条件といえる。
【0105】
なお,BB遊技状態では,図8に示したように,押し順ベル小役および共通ベル小役以外の遊技役,つまりBB役,チェリー小役,スイカ小役,およびリプレイ役には乱数が割り当てられておらず,これらの遊技役に当選しない。そのため,毎ゲームのメダルの払い出しが期待でき,遊技者は,BB遊技状態中,多くのメダルの獲得が期待できる。
【0106】
また,パチスロ遊技機1は,遊技状態がBB遊技状態のときに条件Bが成立した場合,遊技状態をRT遊技状態に移行させる。本形態では,条件Bを,BB遊技状態になってから複数のゲームを消化し,払い出されたメダルの総数が所定枚数(本形態では300枚)を超えたこと,とする。この条件Bは,RT遊技状態の開始条件でもあり,BB遊技状態の終了条件でもある。
【0107】
RT遊技状態は,通常の遊技状態である非RT遊技状態よりもリプレイ役に当選する確率が高い遊技状態である。具体的には,図8に示したように,パチスロ遊技機1では,リプレイ役に割り当てられている役抽選乱数の数が,非RT遊技状態と比較してRT遊技状態の方が多く,ハズレに割り当てられている役抽選乱数の数が,非RT遊技状態と比較してRT遊技状態の方が少ない。よって,RT遊技状態では,リプレイ役が当選し易く,ハズレも引き難い。そのため,遊技者は,メダルの減りを抑えつつ複数のゲームを行うことができる。そのため,RT遊技状態は,遊技者に有利な状態の一例である。勿論,BB遊技状態も,遊技者に有利な状態の一例である。
【0108】
さらにパチスロ遊技機1は,遊技状態がRT遊技状態のときにもAT機能を有効にする。そのため,パチスロ遊技機1は,RT遊技状態中に押し順ベル小役に当選した場合,BB遊技状態中と同様に,第1押し順ベル小役の正解押し順に関する報知を行う。そのため,押し順ベル小役に入賞し易く,メダルが減り難い。
【0109】
また,パチスロ遊技機1は,遊技状態がRT遊技状態のときに前述の条件Aが成立した場合,遊技状態をBB遊技状態に移行させる。つまり条件Aは,RT遊技状態の終了条件でもある。
【0110】
また,パチスロ遊技機1は,遊技状態がRT遊技状態のときに条件Cが成立した場合,遊技状態を非RT遊技状態に移行させる。本形態では,条件Cを,RT遊技状態になってから所定回数(本形態では30回に後述する上乗せ機能によって獲得した上乗せ回数を加えた回数)のゲームを消化したこと,とする。この条件Cは,非RT遊技状態の開始条件でもあり,RT遊技状態の終了条件でもある。
【0111】
パチスロ遊技機1が有する上乗せ機能は,RT遊技中に実行できるゲームの回数を増加させる機能である。図10は,パチスロ遊技機1が有する上乗せ抽選回数テーブルを示している。パチスロ遊技機1は,RT遊技状態中にハズレを引いた場合,上乗せ回数乱数を取得し,増加させるゲーム数である上乗せ回数の抽選を行う。つまり,RT遊技状態中のハズレは,そのRT遊技状態でのゲーム数に関する上乗せ回数の抽選契機となっている。この上乗せ機能によって,遊技者は,RT遊技状態への移行時の初期のゲーム数(本形態では30回)よりも多くのゲーム数を消化することが期待でき,より多くのゲーム数を消化できることで,RT遊技状態中のBB役の当選も期待できる。すなわち,RT遊技状態であっても,RT遊技状態よりも,遊技者により有利な遊技状態であるBB遊技状態に戻ることも期待できる。
【0112】
5.必要ベット枚数の変更
続いて,パチスロ遊技機1の必要ベット枚数の変更について説明する。前述したように,パチスロ遊技機1は,所定の条件を満たすことで,必要ベット枚数を抽選によって決定する。
【0113】
図11は,パチスロ遊技機1におけるゲームを開始するまでの動作概要を示している。パチスロ遊技機1では,リール6L,6C,6Rの全てが停止した状態において,図11(A)に示すように,遊技メダルをベットする操作であるベット操作を受け付ける。本形態のベット操作としては,ベットボタン11の押下と,メダル投入口10への遊技メダルの投入と,がある。すなわち,パチスロ遊技機1は,ベット済みの枚数であるベット枚数が必要ベット枚数よりも少ない状態でベットボタン11の操作を受け付けた場合に,ベット枚数が必要ベット枚数となる枚数を上限として,仮想メダルからベットする。また,パチスロ遊技機1は,ベット枚数が必要ベット枚数よりも少ない状態でメダル投入口10に遊技メダルが投入された場合に,1枚の遊技メダルをベットする。
【0114】
必要ベット枚数が設定されていない状態でベット操作があった場合,パチスロ遊技機1は,図11(B)に示すように,必要ベット枚数抽選テーブル(図9参照)を用いて必要ベット数を抽選し,抽選結果に基づいて必要ベット枚数を設定する。そして,パチスロ遊技機1は,設定した必要ベット枚数を必要ベット枚数表示器12に表示する。本形態では,約1/10の確率で1枚に当選し,約9/10の確率で3枚に当選するように,必要ベット枚数抽選テーブルに乱数が割り当てられている。一方,必要ベット枚数が設定されている状態でベット操作があった場合,パチスロ遊技機1は,その必要ベット枚数を維持する。
【0115】
パチスロ遊技機1では,必要ベット枚数ごとに,BB役の当選確率が異なる(図8参照)。本形態では,BB役の当選確率は,必要ベット枚数が1枚であれば約1/100であり,必要ベット枚数が3枚であれば約1/400である。すなわち本形態では,必要ベット枚数が1枚の場合,必要ベット枚数が3枚の場合と比較してBB役に当選し易いことから,遊技者に有利な状態となる。そこで,必要ベット枚数が1枚の場合,パチスロ遊技機1は,図11(C)に示すように,遊技者に有利な状態である旨を示す演出画像421を,画像表示装置42に表示する。これにより,遊技者は,必要ベット枚数表示器12を見なくても,あるいはベット枚数に応じてBB役の当選確率が変化するゲーム性を把握していなくても,遊技者に有利な状態である旨を認識できる。
【0116】
その後,パチスロ遊技機1は,図11(D)に示すように,ベット枚数が必要ベット枚数に達している状態で,スタートレバー8が操作されたことを条件として,ゲームを開始する。ゲームを開始すると,パチスロ遊技機1は,遊技役の抽選を行い,抽選結果に基づいて遊技メダルを払い出す。なお,必要ベット枚数は,ゲームの終了後にリセットされる。つまり,ゲームの終了後は,必要ベット数が設定されていない状態になる。
【0117】
6.遊技制御用マイコン61の動作
続いて,パチスロ遊技機1の主制御基板60における遊技制御用マイコン61の動作について説明する。遊技制御用マイコン61が実行する具体的な処理としては,メイン側タイマ割り込み処理と,メイン側起動処理と,がある。なお,遊技制御用マイコン61の動作説明にて登場するカウンタ,タイマ,フラグ,ステータス,バッファ,などは,RAM64に設けられる。
【0118】
[メイン側タイマ割り込み処理]
遊技制御用マイコン61が実行するメイン側タイマ割り込み処理について,図12のフローチャートを参照しつつ説明する。メイン側タイマ割り込み処理は,2ms周期の割り込みパルスが入力される度に,遊技制御用マイコン61によって実行される。
【0119】
メイン側タイマ割り込み処理では,遊技制御用マイコン61は先ず,各種のセンサ類や電源基板920から主制御基板60の入出力回路69に入力された信号を読み込む(S111)。遊技制御用マイコン61は,読み込まれた信号に基づくコマンドをRAM64に格納する。
【0120】
S111の後,遊技制御用マイコン61は,リール用のモータ55L,55C,55Rを用いてリール6L,6C,6Rの回動を制御する(S121)。具体的には,遊技制御用マイコン61は,リール6L,6C,6Rごとに,回動の開始,定速回動の維持,回動の停止を制御する。
【0121】
S121の後,遊技制御用マイコン61は,各種の表示器類,すなわち必要ベット枚数表示器12,ストップ報知器20L,20C,20R,クレジット数表示器21,投入可能表示ランプ22,再遊技表示ランプ23,獲得枚数表示器24,遊技開始表示ランプ25,投入枚数表示ランプ26,特殊遊技役報知ランプ27,および設定表示ランプ28の表示管理を行う(S131)。すなわち,遊技制御用マイコン61は,各種表示器類の点灯パターンを作成し,その点灯パターンに従った点灯制御を行う。
【0122】
S131の後,遊技制御用マイコン61は,遊技役の入賞の種類に応じたメダルの払い出しを行うためにホッパー54を制御する(S141)。
【0123】
S141の後,遊技制御用マイコン61は,RAM64の出力バッファにセットされたコマンドを,サブ制御基板70等,パチスロ遊技機1内の主制御基板60以外のデバイスに出力する(S151)。RAM64の出力バッファには,後述する各種の処理によって適宜コマンドがセットされる。
【0124】
S151の後,遊技制御用マイコン61は,RAM64の外部出力バッファにセットされたコマンドに基づいて,外部端子板190を介して各種の信号を出力する(S161)。例えば,BB役の入賞が成立した場合,遊技制御用マイコン61は,ビックボーナス信号を外部装置に出力する。
【0125】
S161の後,遊技制御用マイコン61は,ウォッチドックタイマをリセットする等,その他の処理を実行する(S191)。S191の後,メイン側タイマ割り込み処理を終了する。その後,遊技制御用マイコン61は,次にCPU62に割り込みパルスが入力される度に,メイン側タイマ割り込み処理を実行する。
【0126】
[メイン側起動処理]
次に,遊技制御用マイコン61が実行するメイン側起動処理について,図13のフローチャートを参照しつつ説明する。遊技制御用マイコン61は,パチスロ遊技機1の主電源がOFFからONになったことを契機に,すなわち電源スイッチ59がONになり,電源基板920を介して外部からの電力供給が開始されたことを契機に,ROM63からメイン側起動処理のプログラムを読み出して実行する。
【0127】
メイン側起動処理では,遊技制御用マイコン61は先ず,電源投入後の初期動作に関する電源投入処理を実行する(S201)。電源投入処理は電源投入後に一度だけ実行され,その後は次の電源投入時まで実行されない。電源投入処理の詳細については後述する。
【0128】
S201の後,遊技制御用マイコン61は,ゲームの開始を管理するゲーム開始処理を実行する(S221)。ゲームが開始されると,遊技制御用マイコン61は,遊技役の抽選を行う役決定処理を実行する(S222)。そして,遊技制御用マイコン61は,各リール6L,6C,6Rの回動を開始させるリール回動開始処理を実行する(S223)。ゲーム開始処理,役決定処理,およびリール回動開始処理の詳細については後述する。
【0129】
S223の後,遊技制御用マイコン61は,各リール6L,6C,6Rの回動を個々に停止させるリール回動停止処理を実行する(S231)。そして,全てのリール6L,6C,6Rを停止させた後,遊技制御用マイコン61は,停止したリール6L,6C,6Rの表面に描かれる図柄の組み合わせを判定する停止図柄判定処理を実行する(S232)。リール回動停止処理および停止図柄判定処理の詳細については後述する。
【0130】
S232の後,遊技制御用マイコン61は,停止図柄判定処理の判定結果に基づいて,メダルの払い出しを管理するメダル払出処理を実行する(S241)。メダル払出処理の詳細についても後述する。
【0131】
S241の後,遊技制御用マイコン61は,遊技状態を管理する処理として,RT遊技状態管理処理(S251)と,BB遊技状態管理処理(S252)と,を実行する。RT遊技状態管理処理およびBB遊技状態管理処理の詳細についても後述する。遊技制御用マイコン61は,1回分のゲームの処理として,S221からS252までの処理を実行し,S252の後,S221に戻り,次のゲームの処理として,S221からS252までの処理を繰り返す。
【0132】
[電源投入処理]
次に,図13のS201の電源投入処理について,図14のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0133】
電源投入処理では,遊技制御用マイコン61は先ず,RAM64へのアクセス制限を解除し,CPU62やRAM64の起動時の異常の有無を診断する(S301)。S301では,例えば,チェックサムによるRAM64の情報の整合性を診断する。異常が有れば,遊技制御用マイコン61は,エラーを報知し,さらにRAM64を初期化する。これにより,RAM64に記憶されていた各種の情報が失われる。例えば,遊技状態の情報が,初期値である非RT遊技状態の情報にリセットされる。なお,RAMクリアスイッチ17が押下された状態で主電源がONになった場合にも,遊技制御用マイコン61は,RAM64を初期化する。なお,RAM64を初期化した場合,遊技制御用マイコン61は,RAMの初期化を指示するRAM初期化コマンドを,RAM64の出力バッファにセットする。出力バッファにセットされたRAM初期化コマンドは,サブ制御基板70に出力され,サブ制御基板70によってコマンドに応じた処理が実行される。
【0134】
S301の後,遊技制御用マイコン61は,CPU62等の初期動作を行う(S302)。S302では,例えば,スタックの設定,定数設定,割り込み時間の設定,CPUの設定,SIO,PIO,CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定を行う。
【0135】
S302の後,遊技制御用マイコン61は,設定モードで動作中か否かを判断する(S311)。パチスロ遊技機1は,設定キースイッチ16が第1の位置にある状態で起動した場合に,設定モードで動作する。設定モードは,設定キースイッチ16が第2の位置に切り換えられるまで継続する。
【0136】
設定モードで動作中(S311:YES),遊技制御用マイコン61は,設定値の変更を受け付ける(S312)。設定値の変更は,設定ボタン15の操作によって可能である。また,遊技制御用マイコン61は,設定モードの終了,すなわち非設定モードへの切り換えを待つ(S313)。遊技制御用マイコン61は,設定キースイッチ16が第2の位置に切り換えられて非設定モードに移行するまで,設定値の変更を受け付ける。
【0137】
一方,非設定モードで動作中の場合(S311:NO),遊技制御用マイコン61は,バックアップされている情報に基づいて,パチスロ遊技機1の状態を電源断前の状態に復帰させる(S321)。S321では,例えば,バックアップされていた設定値をセットする。S321の後,あるいはS313にて非設定モードに切り換えられた後,遊技制御用マイコン61は,電源投入処理を終了する。
【0138】
[ゲーム開始処理]
次に,図13のS221のゲーム開始処理について,図15のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0139】
ゲーム開始処理では,遊技制御用マイコン61は先ず,ゲームを開始する準備に関する処理を行う(S401)。S401では,遊技制御用マイコン61は,例えば,ゲームに用いるRAM64の所定の領域を初期化する,再遊技表示ランプ23や獲得枚数表示器24等のゲーム毎に点灯状態を管理するランプの状態を初期化する,が該当する。S401では,必要ベット枚数のリセットも行われる。つまり,必要ベット枚数記憶部65に,未設定である旨の情報が記憶され,必要ベット枚数が設定されていない状態になる。
【0140】
S401の後,遊技制御用マイコン61は,自動ベットフラグがONか否かを判断する(S411)。自動ベットフラグは,前回のゲームでリプレイ役に入賞した場合にONになっているフラグである。つまり,自動ベットフラグがONであった場合,今回のゲームは,リプレイ役の入賞に基づくゲームとなる。
【0141】
そして,自動ベットフラグがONの場合(S411:YES),遊技制御用マイコン61は,前回のゲームでベットされたメダル数と同数のメダルを自動的にベットする(S412)。さらに遊技制御用マイコン61は,自動ベットに伴って再遊技表示ランプ23を点灯させる。さらに遊技制御用マイコン61は,メダルをベットしたことを示すベットコマンドを,RAM64の出力バッファにセットする(S413)。ベットコマンドには,ベットしたメダルの枚数の情報が含まれる。なお,出力バッファにセットされたベットコマンドは,メイン側タイマ割り込み処理(図12参照)のS151にてサブ制御基板70に送信される。サブ制御基板70の演出制御用マイコン71は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。S413の後,遊技制御用マイコン61は,自動ベットフラグをOFFにする(S414)。
【0142】
S414の後,遊技制御用マイコン61は,スタート検出センサ8aから出力された信号に基づいて,スタートレバー8が操作されたか否かを判断する(S421)。スタートレバー8が操作された場合(S421:YES),遊技制御用マイコン61は,1回分のゲームを開始可能なメダル数である必要ベット枚数の遊技メダルがベットされているか否かを判断する(S422)。必要ベット枚数の遊技メダルがベットされていない場合(S422:NO),遊技制御用マイコン61は,S421に移行し,再度,スタートレバー8の操作等を待つ。
【0143】
必要ベット枚数の遊技メダルがベットされている場合(S422:YES),遊技制御用マイコン61は,ベットされているメダル数を0に戻す(S423)。そして,遊技制御用マイコン61は,ゲーム開始処理を終了する。
【0144】
一方,スタートレバー8が操作されていない場合(S421:NO),遊技制御用マイコン61は,ベット検出センサ11aから出力された信号に基づいて,ベットボタン11が操作されたか,あるいは投入メダル検出センサ10aから出力された信号に基づいて,メダルがメダル投入口10から投入されたか,を判断する(S431)。
【0145】
ベットボタン11が操作された,あるいはメダルがメダル投入口10から投入された場合(S431:YES),遊技制御用マイコン61は,必要ベット枚数の設定が有るか否かを判断する(S432)。具体的にS432では,必要ベット枚数記憶部65に,必要ベット枚数が3枚もしくは1枚である旨の情報が記憶されている場合には,必要ベット枚数の設定が有ると判断し,必要ベット枚数が未設定である旨の情報記憶されている場合には,必要ベット枚数の設定が無いと判断する。必要ベット枚数の設定が無い場合(S432:NO),すなわち必要ベット枚数が設定されていない場合,遊技制御用マイコン61は,必要ベット枚数を設定するベット枚数設定処理を実行する(S433)。ベット枚数設定処理の詳細は後述する。
【0146】
S433の後,あるいは必要ベット枚数の設定が有る場合(S432:YES),遊技制御用マイコン61は,ベット数および仮想メダル数を更新する(S441)。例えば,ベットボタン11が押下された場合には,必要ベット枚数を最大枚数として,ベット数が必要ベット枚数となるまで仮想メダルからベットし,ベットした枚数分を仮想メダル数から減算する。また,ベット数が必要ベット枚数よりも少ない状態で遊技メダルが投入された場合には,ベット数を加算し,ベット数が必要ベット枚数に達した状態で遊技メダルが投入された場合には,仮想メダル数を加算する。S441の後,あるいはベットボタン11も操作されていない,さらにメダルもメダル投入口10から投入されていない場合(S431:NO),遊技制御用マイコン61は,S421に移行し,再度,スタートレバー8の操作等を待つ。
【0147】
[ベット枚数設定処理]
次に,図15のS433のベット枚数設定処理について,図16のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0148】
ベット枚数設定処理では,遊技制御用マイコン61は先ず,必要ベット枚数抽選乱数を取得する(S451)。S451の後,遊技制御用マイコン61は,図9に示したような必要ベット枚数抽選テーブルを参照し,取得した必要ベット枚数抽選乱数に基づいて,必要ベット枚数を抽選する(S452)。
【0149】
S452の後,遊技制御用マイコン61は,抽選結果に基づく必要ベット枚数が,前回のゲームで設定されていた必要ベット枚数と同じか否かを判断する(S461)。抽選結果に基づく必要ベット枚数が,前回のゲームで設定されていた必要ベット枚数と同じであった場合(S461:YES),遊技制御用マイコン61は,連続回数カウンタを1つ加算する(S462)。連続回数カウンタは,同じ必要ベット枚数で連続して行われたゲーム回数をカウントするカウンタである。すなわち,S462では,同じ必要ベット枚数で連続して行われたゲーム回数をカウントアップする。一方,前回のゲームで設定されていた必要ベット枚数と異なる場合(S461:NO),遊技制御用マイコン61は,連続回数カウンタをリセットする(S463)。すなわち,S463では,連続回数カウンタの値を0にする。
【0150】
S462またはS463の後,遊技制御用マイコン61は,連続回数カウンタの値が閾値よりも大きいか否かを判断する(S464)。連続回数カウンタの値が閾値よりも大きい場合(S464:YES),遊技制御用マイコン61は,抽選によって決定された必要ベット枚数を別の必要ベット枚数に決定する(S465)。本形態では,抽選によって決定された必要ベット枚数が3枚であれば1枚に決定し,1枚であれば3枚に決定する。なお,閾値は,必要ベット枚数が3枚の場合と1枚の場合とで同じであっても異なっていてもよい。本形態では,必要ベット枚数が1枚の場合の閾値は,必要ベット枚数が3枚の場合の閾値よりも小さいものとする。これにより,必要ベット枚数が1枚の場合の方が,3枚の場合と比較して,閾値に達し易く,S465が実行され易い。
【0151】
S465の後,あるいは連続回数カウンタの値が閾値よりも大きくない場合(S464:NO),遊技制御用マイコン61は,S452あるいはS465によって決定された必要ベット枚数を設定する(S471)。具体的にS471では,S452あるいはS465によって決定された必要ベット枚数を,現在の必要ベット枚数として必要ベット枚数記憶部65に記憶し,その必要ベット枚数を必要ベット枚数表示器12に表示させる。
【0152】
また,遊技制御用マイコン61は,ベット枚数コマンドを,RAM64の出力バッファにセットする(S472)。ベット枚数コマンドには,設定された必要ベット枚数の情報が含まれる。なお,出力バッファにセットされたベット枚数コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理のS151にてサブ制御基板70に送信される。サブ制御基板70の演出制御用マイコン71は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。
【0153】
また,遊技制御用マイコン61は,S452あるいはS465によって決定された必要ベット枚数を,今回のゲームの必要ベット枚数として,RAM64のうち必要ベット枚数記憶部65とは別の領域に記憶する(S473)。このS473にて記憶された必要ベット枚数は,S461にて用いられ,S471にて記憶された必要ベット枚数(必要ベット枚数記憶部65に記憶される必要ベット枚数)は,S422で用いられる。また,S471にて記憶された必要ベット枚数は,S401にてリセットされるが,S473にて記憶された必要ベット枚数は,リセットされない。S473の後,遊技制御用マイコン61は,ベット枚数設定処理を終了する。
【0154】
[役決定処理]
次に,図13のS222の役決定処理について,図17のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0155】
役決定処理では,遊技制御用マイコン61は先ず,役抽選乱数を取得する(S501)。具体的に遊技制御用マイコン61は,主制御基板60の乱数発生回路66から生成される16ビットの乱数をサンプリング回路(不図示)によって抽出し,抽出された乱数をRAM64に読み込む。そして,その16ビットの乱数を,役抽選乱数として取得する。
【0156】
S501の後,遊技制御用マイコン61は,設定値に応じた遊技役抽選テーブルを参照し,S501にて作成した役抽選乱数と必要ベット枚数記憶部65に記憶される必要ベット枚数とに基づいて,遊技役のいずれかに当選したか否かを判断する(S502)。すなわち,遊技制御用マイコン61は,遊技役の抽選を行う。
【0157】
遊技役のいずれかに当選した場合(S502:YES),遊技制御用マイコン61は,当選した役に対応する遊技役当選フラグをONにする(S511)。遊技役当選フラグは,遊技役の種類ごとに設けられており,初期値はOFFであり,当選した場合にONになる。遊技役当選フラグは,当選した遊技役の入賞の有無に拘らずゲームの開始時あるいは終了時にOFFに戻されるが,BB役については入賞しなければ当選が次のゲームに持ち越されるため,入賞するまでOFFに戻されない。
【0158】
S511の後,遊技制御用マイコン61は,当選した遊技役に応じた制御図柄を決定する(S512)。制御図柄とは,当選した遊技役が入賞となる図柄のことである。例えば,リプレイ役に当選した場合には,制御図柄を「リプレイ」図柄に決定する。遊技制御用マイコン61は,ストップボタン9L,9C,9Rが操作された際,この制御図柄に応じて,引込制御を行うか否か,引込制御を行う場合は引き込みを行う図柄枚数を決定する。引込制御については後述する。なお,前述したように,BB役については入賞しなければ当選が次のゲームに持ち越される。そこで,BB役が重複して当選している場合,BB役の制御図柄と今回当選した遊技役の制御図柄が共に制御図柄に決定される。そのため,ストップボタン9L,9C,9Rの操作タイミングによっていずれか一方の遊技役が入賞可能になる。
【0159】
S512の後,遊技制御用マイコン61は,ゲーム開始コマンドを,RAM64の出力バッファにセットする(S513)。ゲーム開始コマンドには,当選した遊技役の情報が含まれる。なお,出力バッファにセットされたゲーム開始コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理のS151にてサブ制御基板70に送信される。サブ制御基板70の演出制御用マイコン71は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。S513の後,遊技制御用マイコン61は,役決定処理を終了する。
【0160】
また,遊技役のいずれも当選しなかった,すなわちハズレであった場合(S502:NO),遊技制御用マイコン61は,BB役に対応する遊技役当選フラグがONであるか否かを判断する(S515)。BB役に対応する遊技役当選フラグがONの場合(S515:YES),前回以前のゲームでBB役に当選しており,まだ入賞が成立していない状態であるため,遊技制御用マイコン61は,制御図柄をBB役に対応する「赤セブン」図柄に決定する(S512)。一方,BB役に対応する遊技役当選フラグがOFFの場合(S515:NO),遊技制御用マイコン61は,S513に移行し,ハズレの情報を含むゲーム開始コマンドをセットして,役決定処理を終了する。
【0161】
[リール回動開始処理]
次に,図13のS223のリール回動開始処理について,図18のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0162】
リール回動開始処理では,遊技制御用マイコン61は先ず,待機時間の経過を待つ(S601)。パチスロ遊技機1には,前回のゲームを開始してからの経過時間を計時しており,その経過時間が予め定められた待機時間(本形態では4.1秒)を経過するまで次のゲームを開始しない。そのため,遊技制御用マイコン61は,待機時間が経過するまではリールの回動を開始しない。
【0163】
待機時間が経過した後,遊技制御用マイコン61は,リール6L,6C,6Rの回動を開始する(S602)。さらに遊技制御用マイコン61は,リール回動コマンドをRAM64の出力バッファにセットする(S603)。リール回動コマンドは,リール6L,6C,6Rごとにセットされる。そのため,リール回動コマンドには,回動を開始したリールの情報が含まれる。なお,出力バッファにセットされたリール回動コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理のS151にてサブ制御基板70に送信される。サブ制御基板70の演出制御用マイコン71は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。
【0164】
さらに遊技制御用マイコン61は,回動速度検出センサ50L,50C,50Rからの出力信号に基づいて,各リール6L,6C,6Rの回動速度が所定の速度で安定するのを待つ(S611)。すなわち,パチスロ遊技機1は,リールの回動速度が安定するまでは,ストップボタン9L,9C,9Rの操作を受け付けない。S611の後,遊技制御用マイコン61は,リール回動開始処理を終了する。
【0165】
[リール回動停止処理]
次に,図13のS231のリール回動停止処理について,図19のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0166】
リール回動停止処理では,遊技制御用マイコン61は先ず,AT機能が有効か否かを判断する(S701)。AT機能が有効であれば(S701:YES),遊技制御用マイコン61は,当選フラグがONの遊技役が有るか否かを判断する(S711)。当選フラグがONの遊技役が有る場合(S711:YES),遊技制御用マイコン61は,当選している遊技役がリプレイ役か否かを判断する(S712)。当選している遊技役がリプレイ役以外の場合(S712:NO),当選している遊技役が押し順の報知が必要な遊技役か否かを判断する(S713)。
【0167】
押し順の報知が必要な遊技役の場合(S713:YES),遊技制御用マイコン61は,押し順の報知を実行しつつリールの停止操作を受け付ける押し順報知停止処理を実行する(S714)。押し順の報知が不要な遊技役の場合(S713:NO),遊技制御用マイコン61は,当選した遊技役の報知を実行しつつリールの停止操作を受け付ける当選役報知停止処理を実行する(S715)。押し順報知停止処理および当選役報知停止処理の詳細については後述する。
【0168】
一方,AT機能が無効の場合(S701:NO),あるいは当選フラグがONの遊技役が無い場合(S711:NO),あるいは当選している遊技役がリプレイ役の場合(S712:YES),遊技制御用マイコン61は,ストップボタン9L,9C,9Rのいずれかの操作が有ったか否かを判断する(S721)。なお,以下の説明では,ストップボタン9L,9C,9Rのうち操作されたストップボタンを「ストップボタン9」とし,リール6L,6C,6Rのうちストップボタン9に対応するリールを「リール6」とする。ストップボタン9の操作が無い場合(S721:NO),遊技制御用マイコン61は,S721に移行し,ストップボタン9L,9C,9Rの操作等を待つ。
【0169】
ストップボタン9の操作が有った場合(S721:YES),遊技制御用マイコン61は,ストップボタン9に対応するリール6が回動中か否かを判断する(S722)。リール6が停止中の場合(S722:NO),遊技制御用マイコン61は,S721に移行し,ストップボタン9L,9C,9Rの操作等を待つ。リール6が回動中の場合(S722:YES),遊技制御用マイコン61は,リール6を停止させるリール個別停止処理を実行する(S723)。リール個別停止処理の詳細については後述する。
【0170】
S723の後,遊技制御用マイコン61は,全てのリール6L,6C,6Rが停止したか否かを判断する(S724)。回動中のリールが有る場合(S724:NO),遊技制御用マイコン61は,S721に移行し,ストップボタン9L,9C,9Rの操作等を待つ。
【0171】
全てのリール6L,6C,6Rが停止した場合(S724:YES),あるいはS714の後,あるいはS715の後,遊技制御用マイコン61は,リール回動停止処理を終了する。
【0172】
[押し順報知停止処理]
次に,図19のS714の押し順報知停止処理について,図20のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0173】
押し順報知停止処理では,遊技制御用マイコン61は先ず,当選した遊技役に応じた正解押し順を,ストップ報知器20L,20C,20Rに表示させる(S801)。本形態では,ストップ報知器20L,20C,20Rのうち,当選した第1の押し順ベル役の正解押し順となる1番目の停止リールに対応するストップ報知器を点灯させる。S801の後,遊技制御用マイコン61は,押し順報知コマンドを,RAM64の出力バッファにセットする(S802)。押し順報知コマンドには,正解押し順の情報が含まれる。なお,出力バッファにセットされた押し順報知コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理のS151にてサブ制御基板70に送信される。サブ制御基板70の演出制御用マイコン71は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。
【0174】
S802の後,遊技制御用マイコン61は,ストップボタン9L,9C,9Rのいずれかの操作が有ったか否かを判断する(S821)。ストップボタン9の操作が無い場合(S821:NO),遊技制御用マイコン61は,ストップボタン9L,9C,9Rの操作等を待つ。
【0175】
ストップボタン9の操作が有った場合(S821:YES),遊技制御用マイコン61は,操作されたストップボタン9に対応するリール6が回動中か否かを判断する(S822)。リール6が停止中の場合(S822:NO),遊技制御用マイコン61は,S821に移行し,ストップボタン9L,9C,9Rの操作等を待つ。
【0176】
リール6が回動中の場合(S822:YES),遊技制御用マイコン61は,リール6を停止させるリール個別停止処理を実行する(S823)。リール個別停止処理は,S723と同様であり,詳細については後述する。
【0177】
S823の後,遊技制御用マイコン61は,リール6に対応する押し順の報知を解除する(S824)。さらに,遊技制御用マイコン61は,押し順報知解除コマンドを,RAM64の出力バッファにセットする(S825)。押し順報知解除コマンドには,押し順の報知が解除されたリールの情報が含まれる。なお,出力バッファにセットされた押し順解除報知コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理のS151にてサブ制御基板70に送信される。サブ制御基板70の演出制御用マイコン71は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。
【0178】
S825の後,遊技制御用マイコン61は,全てのリール6L,6C,6Rが停止したか否かを判断する(S826)。回動中のリールが有る場合(S826:NO),遊技制御用マイコン61は,S821に移行し,ストップボタン9L,9C,9Rの操作等を待つ。全てのリールが停止した場合(S826:YES),遊技制御用マイコン61は,押し順報知停止処理を終了する。
【0179】
[当選役報知停止処理]
次に,図19のS715の当選役報知停止処理について,図21のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0180】
当選役報知停止処理では,遊技制御用マイコン61は先ず,当選した遊技役を報知する(S901)。本形態では,特殊遊技役報知ランプ27に,当選した遊技役に対応するランプを点灯させる。例えば,チェリー小役に当選した場合には,特殊遊技役報知ランプ27に含まれる複数のランプのうちチェリー小役に対応するランプを点灯させる。S901の後,遊技制御用マイコン61は,当選役報知コマンドを,RAM64の出力バッファにセットする(S902)。当選役報知コマンドには,当選した遊技役の情報が含まれる。なお,出力バッファにセットされた当選役報知コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理のS151にてサブ制御基板70に送信される。サブ制御基板70の演出制御用マイコン71は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。
【0181】
S902の後,遊技制御用マイコン61は,ストップボタン9L,9C,9Rのいずれかの操作が有ったか否かを判断する(S921)。一方,ストップボタン9の操作が無い場合(S921:NO),遊技制御用マイコン61は,ストップボタン9L,9C,9Rの操作等を待つ。
【0182】
ストップボタン9の操作が有った場合(S921:YES),遊技制御用マイコン61は,操作されたストップボタン9に対応するリール6が回動中か否かを判断する(S922)。リール6が停止中の場合(S922:NO),遊技制御用マイコン61は,S921に移行し,ストップボタン9L,9C,9Rの操作等を待つ。
【0183】
リール6が回動中の場合(S922:YES),遊技制御用マイコン61は,リール6を停止させるリール個別停止処理を実行する(S923)。リール個別停止処理は,S723と同様であり,詳細については後述する。
【0184】
S923の後,遊技制御用マイコン61は,全てのリール6L,6C,6Rが停止したか否かを判断する(S924),回動中のリールが有る場合(S924:NO),遊技制御用マイコン61は,S921に移行し,ストップボタン9L,9C,9Rの操作等を待つ。
【0185】
全てのリールが停止した場合(S924:YES),遊技制御用マイコン61は,当選役の報知を解除する(S941)。さらに,遊技制御用マイコン61は,当選役報知解除コマンドを,RAM64の出力バッファにセットする(S942)。なお,出力バッファにセットされた当選役解除報知コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理のS151にてサブ制御基板70に送信される。サブ制御基板70の演出制御用マイコン71は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。S924の後,遊技制御用マイコン61は,当選役報知停止処理を終了する。
【0186】
[リール個別停止処理]
次に,図19のS723のリール個別停止処理について,図22のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,図20のS823のリール個別停止処理,図21のS923のリール個別停止処理についても同様である。
【0187】
リール個別停止処理では,遊技制御用マイコン61は先ず,リール位置検出センサ51から出力される信号に基づいて制御図柄の位置を特定し,引き込みを行う図柄枚数を決定し,引き込みを行う図柄枚数に基づいてリール6を停止するまでの時間である制動時間を決定する(S1001)。遊技制御用マイコン61は,他のリールが停止中の場合は,停止中のリールの図柄に合わせて,制御図柄が有効ラインL1〜L5のいずれか1つに揃うように制動時間を決定する。また,遊技制御用マイコン61は,有効ラインL1〜L5のいずれにも制御図柄以外の遊技役の入賞図柄が揃わないように制動時間を決定する。
【0188】
例えば,押し順ベル小役に当選している場合,遊技制御用マイコン61は,正解押し順でリールを停止させた場合には,有効ラインL1〜L5のいずれかに第1の押し順ベル小役の制御図柄(ベル−ベル−ベル)が生じるように制動時間を決定する。一方で,正解押し順でリールを停止させなかった場合には,有効ラインL1〜L5のいずれかに第2の押し順ベル小役の制御図柄(ベル−リプレイ−ベル)が生じるように制動時間を決定する。S1001の後,遊技制御用マイコン61は,制動時間の経過を待つ(S1002)。
【0189】
なお,本形態では,「ベル」図柄および「リプレイ」図柄は,制動時間の最大時間が経過するまでに必ず存在するようにリールテープ7L,7C,7Rに配置されている。そのため,遊技制御用マイコン61は,制御図柄に合わせた制動時間を決定できる。一方,「チェリー」図柄,「スイカ」図柄,「赤セブン」図柄を,制御図柄とする場合,ストップボタンの操作タイミングによっては制動時間の設定範囲内では存在しないこともある。この場合,制動時間は,設定範囲内であればいずれの時間であってもよい。
【0190】
S1002の後,遊技制御用マイコン61は,リール6の回動を停止させる(S1003)。そして,遊技制御用マイコン61は,リール停止コマンドを,RAM64の出力バッファにセットする(S1004)。リール停止コマンドには,停止させたリールの情報も含まれる。なお,出力バッファにセットされたリール停止コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理のS151にてサブ制御基板70に送信される。サブ制御基板70の演出制御用マイコン71は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。S1004の後,遊技制御用マイコン61は,リール個別停止処理を終了する。
【0191】
[停止図柄判定処理]
次に,図13のS232の停止図柄判定処理について,図23のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0192】
停止図柄判定処理では,遊技制御用マイコン61は先ず,有効ラインL1〜L5の各停止図柄の組み合わせを取得する(S1101)。そして,遊技制御用マイコン61は,遊技役が入賞したか否かを判断する(S1102)。すなわち,有効ラインL1〜L5の各停止図柄の組み合わせに,当選した遊技役の制御図柄の組み合わせと一致するものがあれば,遊技制御用マイコン61は,遊技役が入賞したと判断する。
【0193】
遊技役が入賞した場合(S1102:YES),遊技制御用マイコン61は,入賞した遊技役がBB役か否かを判断する(S1111)。また,入賞した遊技役がBB役でなければ(S1111:NO),リプレイ役か否かを判断する(S1112)。リプレイ役に入賞した場合(S1112:YES),遊技制御用マイコン61は,自動ベットフラグをONにする(S1114)。
【0194】
リプレイ役でもない場合(S1112:NO),入賞した遊技役はメダルの払い出しを伴う遊技役(小役1〜9)であることから,遊技制御用マイコン61は,払出フラグをONにする(S1115)。払出フラグは,メダルの払い出しが必要なことを示すフラグであり,メダルの払い出しが必要な遊技役に入賞するとONになり,メダルの払い出しが行われるとOFFになる。また,遊技制御用マイコン61は,払出枚数をRAM64の所定の記憶領域に記憶する(S1116)。
【0195】
S1114あるいはS1116の後,あるいは遊技役が入賞しなかった場合(S1102:NO),遊技制御用マイコン61は,BB役の当選フラグがONか否かを判断する(S1131)。BB役は,当選したゲームで入賞しなかった場合にも,次回以降のゲームで入賞するまでBB役が当選した状態が継続する。そのため,BB役の当選フラグがONの場合(S1131:YES),遊技制御用マイコン61は,BB役以外の遊技役の当選フラグをOFFにして(S1133),BB役が当選した状態を維持する。
【0196】
一方,BB役の当選フラグがOFFの場合(S1131:NO),遊技制御用マイコン61は,今回のゲームで入賞した遊技役の当選フラグをOFFにする(S1132)。また,入賞した遊技役がBB役の場合も(S1111:YES),遊技制御用マイコン61は,入賞した遊技役であるBB役の当選フラグをOFFにする(S1132)。
【0197】
S1132あるいはS1133の後,遊技制御用マイコン61は,入賞した遊技役に応じた入賞報知コマンドを,RAM64の出力バッファにセットする(S1134)。さらに,ゲームが終了した旨を示すゲーム終了コマンドを,RAM64の出力バッファにセットする(S1135)。なお,出力バッファにセットされた各コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理のS151にてサブ制御基板70に送信される。サブ制御基板70の演出制御用マイコン71は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。S1135の後,遊技制御用マイコン61は,停止図柄判定処理を終了する。
【0198】
[メダル払出処理]
次に,図13のS241のメダル払出処理について,図24のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0199】
メダル払出処理では,遊技制御用マイコン61は先ず,払出フラグがONか否かを判断する(S1201)。払出フラグがOFFであれば(S1201:NO),メダルの払い出しが必要な遊技役に入賞していないため,遊技制御用マイコン61は,メダル払出処理を終了する。
【0200】
払出フラグがONであれば(S1201:YES),遊技制御用マイコン61は,クレジット機能が有効か否かを判断する(S1211)。クレジット機能が有効な場合(S1211:YES),仮想メダルの利用が可能であることから,遊技制御用マイコン61は,現在の仮想メダルの枚数と今回のメダルの払出枚数との合計が仮想メダルの上限(本形態では50枚)を超えるか否かを判断する(S1212)。合計が上限を超えない場合(S1212:NO),遊技制御用マイコン61は,今回のメダルの払い出し枚数を全て仮想メダルの枚数に加算する(S1213)。
【0201】
一方,合計が上限を超える場合(S1212:YES),遊技制御用マイコン61は,今回のメダルの払出枚数のうち仮想メダルの上限まで仮想メダルに加算する(S1214)。そして,遊技制御用マイコン61は,残りの枚数分のメダルを,ホッパー54を用いて払い出す(S1215)。また,クレジット機能が無効な場合も(S1211:NO),遊技制御用マイコン61は,今回の払出枚数分のメダルを,ホッパー54を用いて払い出す(S1215)。
【0202】
S1213あるいはS1215の後,遊技制御用マイコン61は,払出枚数の情報を含む払出コマンドを,RAM64の出力バッファにセットする(S1221)。なお,出力バッファにセットされた払出コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理のS151にてサブ制御基板70に送信される。サブ制御基板70の演出制御用マイコン71は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。さらに,遊技制御用マイコン61は,払出フラグをOFFにする(S1222)。S1222の後,遊技制御用マイコン61は,メダル払出処理を終了する。
【0203】
[RT遊技状態管理処理]
次に,図13のS251のRT遊技状態管理処理について,図25のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0204】
RT遊技状態管理処理では,遊技制御用マイコン61は先ず,現在の遊技状態がRT遊技状態か否かを判断する(S1301)。現在の遊技状態がRT遊技状態の場合(S1301:YES),遊技制御用マイコン61は,RT遊技状態でのゲーム回数を上乗せするRT上乗せ処理を行う(S1302)。RT上乗せ処理の詳細は後述する。
【0205】
S1302の後,遊技制御用マイコン61は,RT回数カウンタを1つ減算する(S1303)。RT回数カウンタは,RT遊技状態で実行可能なゲームの残り回数を示す情報である。そこで,遊技制御用マイコン61は,RT回数カウンタが0になったか否かを判断する(S1311)。
【0206】
RT回数カウンタが0になった場合(S1311:YES),遊技制御用マイコン61は,遊技状態を非RT遊技状態に移行させる(S1312)。具体的に遊技制御用マイコン61は,現在の遊技状態を記憶するRAM64の記憶領域に,非RT遊技状態を示す情報を記憶する。さらに遊技制御用マイコン61は,非RT移行コマンドを,RAM64の出力バッファにセットする(S1313)。なお,出力バッファにセットされた非RT移行コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理のS151にてサブ制御基板70に送信される。サブ制御基板70の演出制御用マイコン71は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。
【0207】
さらに遊技制御用マイコン61は,AT機能を無効にする(S1314)。そして,遊技制御用マイコン61は,AT無効コマンドを,RAM64の出力バッファにセットする(S1315)。なお,出力バッファにセットされたAT無効コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理のS151にてサブ制御基板70に送信される。サブ制御基板70の演出制御用マイコン71は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。
【0208】
S1315の後,あるいはRT回数カウンタが0になっていない場合(S1311:NO),あるいは現在の遊技状態がRT遊技状態でない場合(S1301:NO),遊技制御用マイコン61は,RT遊技状態管理処理を終了する。
【0209】
[RT上乗せ処理]
次に,図25のS1302のRT上乗せ処理について,図26のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0210】
RT上乗せ処理では,遊技制御用マイコン61は先ず,遊技役のいずれかの当選フラグがONか否かを判断する(S1351)。パチスロ遊技機1では,BB役に当選しておらず,遊技役の抽選においてハズレであった場合に上乗せ回数の抽選を行う。そこで,遊技役のいずれの当選フラグもOFFであった場合,すなわち遊技役の抽選においてハズレであり,BB役にも当選していない場合(S1351:NO),遊技制御用マイコン61は,上乗せ回数乱数を取得する(S1352)。
【0211】
S1352の後,遊技制御用マイコン61は,図10に示したような上乗せ回数抽選テーブルを参照し,取得した上乗せ抽選乱数に基づいて,いずれかの上乗せ回数に当選したか否かを判断する(S1353)。
【0212】
上乗せ回数に当選した場合(S1353:YES),遊技制御用マイコン61は,上乗せ報知コマンドを,RAM64の出力バッファにセットする(S1354)。なお,出力バッファにセットされた上乗せ報知コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理のS151にてサブ制御基板70に送信される。サブ制御基板70の演出制御用マイコン71は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。
【0213】
さらに遊技制御用マイコン61は,当選した上乗せ回数をRT回数カウンタに加算する(S1355)。そして,遊技制御用マイコン61は,更新されたRT回数カウンタの情報を含むRTカウンタコマンドを,RAM64の出力バッファにセットする(S1356)。なお,出力バッファにセットされたRTカウンタコマンドは,メイン側タイマ割り込み処理のS151にてサブ制御基板70に送信される。サブ制御基板70の演出制御用マイコン71は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。
【0214】
S1356の後,あるいは上乗せ回数に当選しなかった場合(S1353:NO),あるいは遊技役のいずれかの当選フラグがONの場合(S1351:YES),遊技制御用マイコン61は,RT上乗せ処理を終了する。
【0215】
[BB遊技状態管理処理]
次に,図13のS252のBB遊技状態管理処理について,図27のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0216】
BB遊技状態管理処理では,遊技制御用マイコン61は先ず,現在の遊技状態がBB遊技状態か否かを判断する(S1401)。現在の遊技状態がBB遊技状態でなければ(S1401:NO),遊技制御用マイコン61は,BB役に入賞しているか否かを判断する(S1411)。BB役に入賞していない場合(S1411:NO),遊技制御用マイコン61は,BB遊技状態管理処理を終了する。
【0217】
一方,BB役に入賞している場合(S1411:YES),遊技制御用マイコン61は,遊技状態をBB遊技状態に移行させる(S1412)。具体的に遊技制御用マイコン61は,現在の遊技状態を記憶するRAM64の記憶領域に,BB遊技状態を示す情報を記憶する。さらに遊技制御用マイコン61は,BB移行コマンドを,RAM64の出力バッファにセットする(S1413)。なお,出力バッファにセットされたBB移行コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理のS151にてサブ制御基板70に送信される。サブ制御基板70の演出制御用マイコン71は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。
【0218】
S1413の後,遊技制御用マイコン61は,BB払出カウンタに0をセットする(S1414)。BB払出カウンタは,BB遊技状態で払い出されたメダルの枚数を示す情報である。そのため,BB払出カウンタは,BB遊技状態への移行時に,初期値である0がセットされる。
【0219】
S1414の後,遊技制御用マイコン61は,AT機能が有効になっているか否かを判断する(S1421)。AT機能が有効になっていない場合(S1421:NO),遊技制御用マイコン61は,AT機能を有効にする(S1422)。そして,遊技制御用マイコン61は,AT有効コマンドを,RAM64の出力バッファにセットする(S1423)。なお,出力バッファにセットされたAT有効コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理のS151にてサブ制御基板70に送信される。サブ制御基板70の演出制御用マイコン71は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。S1423の後,あるいはAT機能が有効になっている場合(S1421:YES),遊技制御用マイコン61は,BB遊技状態管理処理を終了する。
【0220】
一方,現在の遊技状態がBB遊技状態であれば(S1401:YES),遊技制御用マイコン61は,払出フラグがONか否か,すなわち今回のゲームで払出しが必要な遊技役に入賞したか否かを判断する(S1431)。払出フラグがONの場合(S1431:YES),遊技制御用マイコン61は,今回のゲームの入賞によって払い出されるメダルの枚数を,BB払出カウンタに加算する(S1432)。例えば,図6に示したように,当選した遊技役が共通ベルであれば9枚のメダルの払い出しが有り,払出フラグがONになる。一方,例えば,当選した遊技役がリプレイ役であればメダルの払い出しが無く,払出フラグがOFFになる。
【0221】
パチスロ遊技機1は,所定枚数のメダルの払い出しによってBB遊技状態を終了させる。そのため,遊技制御用マイコン61は,BB払出カウンタが所定枚数(本形態では300枚)を超えたか否かを判断する(S1441)。BB払出カウンタが所定枚数を超えた場合(S1441:YES),遊技制御用マイコン61は,BB終了コマンドを,RAM64の出力バッファにセットする(S1442)。なお,出力バッファにセットされたBB終了コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理のS151にてサブ制御基板70に送信される。サブ制御基板70の演出制御用マイコン71は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。
【0222】
さらに遊技制御用マイコン61は,遊技状態をRT遊技状態に移行させる(S1443)。具体的に遊技制御用マイコン61は,現在の遊技状態を記憶するRAM64の記憶領域に,RT遊技状態を示す情報を記憶する。さらに遊技制御用マイコン61は,RT移行コマンドを,RAM64の出力バッファにセットする(S1444)。なお,出力バッファにセットされたRT移行コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理のS151にてサブ制御基板70に送信される。サブ制御基板70の演出制御用マイコン71は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。
【0223】
S1444の後,遊技制御用マイコン61は,RT回数カウンタに初期値となる30をセットする(S1445)。S1445の後,あるいはBB払出カウンタが所定枚数を超えていない場合(S1441:NO),あるいは払出フラグがOFFの場合(S1431:NO),遊技制御用マイコン61は,BB遊技状態管理処理を終了する。
【0224】
7.演出制御用マイコン71の動作
続いて,パチスロ遊技機1のサブ制御基板70における演出制御用マイコン71の動作について説明する。演出制御用マイコン71が実行する具体的な処理としては,サブ側タイマ割り込み処理と,サブ側起動処理と,がある。なお,演出制御用マイコン71の動作説明にて登場するカウンタ,タイマ,フラグ,ステータス,バッファ,などは,RAM74に設けられる。
【0225】
[サブ側タイマ割り込み処理]
演出制御用マイコン71が実行するサブ側タイマ割り込み処理について,図28のフローチャートを参照しつつ説明する。サブ側タイマ割り込み処理は,2ms周期の割り込みパルスが入力される度に,演出制御用マイコン71によって実行される。
【0226】
サブ側タイマ割り込み処理では,演出制御用マイコン71は先ず,各種のセンサ類や各種の基板類からサブ制御基板70の入出力回路79に入力された信号を読み込む(S4111)。演出制御用マイコン71は,読み込まれた信号に基づくコマンドをRAM74に格納する。
【0227】
S4111の後,演出制御用マイコン71は,各種の表示器類,すなわち演出ランプ40,およびバックランプ49の表示制御を行う(S4121)。すなわち,演出制御用マイコン71は,各種表示器類の点灯パターンを作成し,その点灯パターンに従った点灯制御を行う。
【0228】
S4121の後,演出制御用マイコン71は,RAM64の出力バッファにセットされたコマンドを,画像制御基板80等,パチスロ遊技機1内の主制御基板60およびサブ制御基板70以外のデバイスに出力する(S4151)。RAM74の出力バッファには,後述する各種の処理によって適宜コマンドがセットされる。
【0229】
S4151の後,演出制御用マイコン71は,ウォッチドックタイマをリセットする等,その他の処理を実行する(S4191)。この他,例えば,パチスロ遊技機1が可動体およびその可動体を変位させるためのモータを備える場合には,その可動体を動作させるための可動体駆動データを作成し,その可動体駆動データに従うモータ制御を行ってもよい。S4191の後,サブ側タイマ割り込み処理を終了する。
【0230】
[サブ側起動処理]
次に,演出制御用マイコン71が実行するサブ側起動処理について,図29のフローチャートを参照しつつ説明する。演出制御用マイコン71は,パチスロ遊技機1の主電源がOFFからONになったことを契機に,すなわち電源スイッチ59がONになり,電源基板920を介して外部からの電力供給が開始されたことを契機に,ROM73からサブ側起動処理のプログラムを読み出して実行する。
【0231】
サブ側起動処理では,演出制御用マイコン71は先ず,初期動作を行う(S4201)。具体的にS4201では,演出制御用マイコン71は,例えば,スタックの設定,定数設定,CPUの設定,SIO,PIO,CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定,を行う。また,S4201では,遊技制御用マイコン61からRAM初期化コマンドを受信していた場合,演出制御用マイコン71は,RAM74を初期化する。これにより,RAM74に記憶されていた各種の情報が失われる。なお,S4201は,電源投入後に一度だけ実行され,その後は次の電源投入時まで実行されない。
【0232】
S4201の後,演出制御用マイコン71は,各種の基板類から受信したコマンドを解析するサブ側受信コマンド解析処理を実行する(S4221)。S4221の詳細については後述する。S4221の後,演出制御用マイコン71は,各種の演出制御を行う(S4222)。具体的に演出制御用マイコン71は,画像表示装置42およびスピーカ41から出力する演出パターンや,演出ランプ40およびバックランプ49の点灯パターンを決定する。S4222の後,演出制御用マイコン71は,S4221に戻り,S4221〜S4222を繰り返す。
【0233】
[サブ側受信コマンド解析処理]
次に,図29のS4221のサブ側受信コマンド解析処理について,図30のフローチャートを参照しつつ説明する
【0234】
サブ側受信コマンド解析処理では,演出制御用マイコン71は先ず,主制御基板60からゲーム開始コマンドを受信したか否かを判断する(S4301)。ゲーム開始コマンドは,遊技役の抽選が行われたことを契機に,主制御基板60から出力される。ゲーム開始コマンドには,当選した遊技役の情報ないしハズレの情報が含まれる。
【0235】
主制御基板60からゲーム開始コマンドを受信した場合(S4301:YES),演出制御用マイコン71は,当該ゲームの演出を開始するゲーム開始処理を実行する(S4302)。ゲーム開始処理の詳細については後述する。
【0236】
S4302の後,あるいは主制御基板60からゲーム開始コマンドを受信していない場合(S4301:NO),演出制御用マイコン71は,ベット枚数コマンドを受信したか否かを判断する(S4311)。ベット枚数コマンドは,必要ベット枚数が設定されたことを契機に,主制御基板60から出力される。ベット枚数コマンドには,必要ベット枚数を示す情報が含まれる。すなわち,演出制御用マイコン71は,ベット枚数コマンドに基づいて,必要ベット枚数を認識できる。
【0237】
主制御基板60からベット枚数コマンドを受信した場合(S4311:YES),演出制御用マイコン71は,必要ベット枚数が1枚か否かを判断する(S4312)。必要ベット枚数が1枚の場合(S4312:YES),演出制御用マイコン71は,画像表示装置42に遊技者に有利な状態である旨を示す演出画像421を表示させるためのコマンドを,RAM74の出力バッファにセットする(S4313)。一方,必要ベット枚数が3枚の場合(S4312:NO),演出制御用マイコン71は,遊技者に有利な状態である旨を示す演出画像421を非表示とするためのコマンドを,RAM74の出力バッファにセットする(S4314)。なお,出力バッファにセットされたコマンドは,サブ側タイマ割り込み処理のS4151にて画像制御基板80に送信される。画像制御基板80の画像制御用マイコン81は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。
【0238】
S4313あるいはS4314の後,あるいは主制御基板60からベット枚数コマンドを受信していない場合(S4311:NO),演出制御用マイコン71は,これらの他に受信したコマンドに基づく処理を行う(S4399)。例えば,リール回転コマンドを受信した場合には,所定のタイミングでバックランプ49を点灯させ,リール停止コマンドを受信した場合には,バックランプ49を消灯する。S4399の後,演出制御用マイコン71は,サブ側受信コマンド解析処理を終了する。
【0239】
[ゲーム開始処理]
次に,図30のS4302のゲーム開始処理について,図31のフローチャートを参照しつつ説明する
【0240】
ゲーム開始処理では,演出制御用マイコン71は先ず,ゲーム開始コマンドに基づいて当選した遊技役を解析し(S4401),当選した遊技役に従った当該ゲームの演出シナリオを,変動演出パターン乱数に従って選択する(S4402)。変動演出パターン乱数は,サブ制御基板70の乱数発生回路(不図示)から生成され,サンプリング回路(不図示)によって抽出される。演出シナリオには,例えば,画像表示装置42に特定の演出画像を表示させる演出や,特定の効果音をスピーカ41から出力する演出が含まれる。なお,特定の予告演出が開始されている場合に,その予告演出に従った演出シナリオを選択する構成であってもよい。
【0241】
S4402の後,演出制御用マイコン71は,選択された演出シナリオに従う当該ゲームの演出を開始する(S4403)。例えば,演出制御用マイコン71は,演出ランプ40やバックランプ49を適切なタイミングで点灯させる。さらに演出制御用マイコン71は,各演出を画像表示装置42やスピーカ41に実行させるための各種のコマンドを,RAM74の出力バッファにセットする(S4404)。なお,出力バッファにセットされたコマンドは,サブ側タイマ割り込み処理のS4151にて画像制御基板80に送信される。画像制御基板80の画像制御用マイコン81は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。S4404の後,演出制御用マイコン71は,ゲーム開始処理を終了する。
【0242】
8.実施の形態の効果
本実施の形態にかかるパチスロ遊技機1では,所定の条件(本実施の形態では,S431およびS432の条件)を満たす度に,必要ベット枚数を抽選結果に応じて自動的に変更する。これにより,所定の遊技役(本実施の形態ではBB役)の当選確率が必要ベット枚数に合わせて遊技者の意思とは関係なく変更されることになり,その結果としてベット枚数に応じて遊技役の当選確率が変化することへの興趣性が高まり得る。
【0243】
例えば,従来技術のように複数のベットボタンが有り,各ベットボタンとベット枚数とが対応付けられている場合,必要ベット枚数の設定は無く,遊技者の意思と無関係にベット枚数が変化することはない。つまり,ベット枚数は遊技者の予測の範囲内となる。一方,パチスロ遊技機1は,必要ベット枚数を自動的に変更することから,遊技者の予測できない必要ベット枚数となり,興趣性を高めることが可能になる。
【0244】
なお,上述の効果の他,パチスロ遊技機1では,遊技メダルをベットするためのボタンが複数用意されておらず,1つのベットボタン11によって,異なる枚数の仮想メダルをベットする。複数のベットボタンが存在すると遊技者にとって操作が煩雑になり得るが,パチスロ遊技機1は,1つのベットボタンによってベット操作を完了でき,操作が容易である。
【0245】
9.変形例
続いて,前述したパチスロ遊技機1の変形例について説明する。変形例に係るパチスロ遊技機1は,特殊役に当選した場合に,必要ベット枚数を変更する。この点,ベットボタン11が押下された場合,あるいは遊技メダルが投入された場合に,ゲームごとの必要ベット枚数を設定する実施の形態と異なる。また,変形例に係るパチスロ遊技機1は,ゲームの終了後,必要ベット枚数の設定を維持する。この点,ゲームの終了の度に必要ベット枚数をリセットする実施の形態と異なる。
【0246】
図32は,変形例に係るパチスロ遊技機1におけるゲームを開始した後の動作概要を示している。変形例に係るパチスロ遊技機1では,図32(A)に示すように,スタートレバー8が操作されたことを条件として,ゲームを開始する。なお,以下の説明では,必要ベット枚数が3枚であったものとする。
【0247】
パチスロ遊技機1では,ゲームが開始されると,図32(B)に示すように,遊技役抽選テーブル(図8参照)を用いて,遊技役の抽選を行う。必要ベット枚数が3枚の場合,例えばBB役の当選確率は,約1/400である。
【0248】
パチスロ遊技機1では,遊技役の抽選においてチェリー小役に当選すると,図32(C)に示すように,次回以後のゲームの必要ベット枚数を1枚に設定する。そして,パチスロ遊技機1は,今回のゲームを終了した後,設定した必要ベット枚数を必要ベット枚数表示器12に表示する。一方,遊技役の抽選においてチェリー小役に当選しなかった場合,パチスロ遊技機1は,現在の必要ベット枚数を維持する。本変形例では,ゲームの終了後であっても必要ベット枚数がリセットされずに維持される。
【0249】
前述したように,必要ベット枚数が1枚の場合,BB役の当選確率が約1/100である。すなわち,遊技者に有利な状態である。そこで,必要ベット枚数が1枚に設定された場合,パチスロ遊技機1は,図32(D)に示すように,遊技者に有利な状態である旨を示す演出画像421を,画像表示装置42に表示する。演出画像421を表示するタイミングは,必要ベット枚数が1枚に設定されたタイミングであってもよいし,今回のゲームの終了後,次のゲームのためのベット操作が行われたタイミングであってもよい。
【0250】
なお,図32に示した例は,必要ベット枚数を3枚から1枚に変更する場合の動作であったが,必要ベット枚数を1枚から3枚に変更する場合の動作にも適用可能である。本変形例では,パチスロ遊技機1は,必要ベット枚数が1枚の状態で,遊技役の抽選においてリプレイ役に当選した場合に,次回以後のゲームの必要ベット枚数を3枚に設定する。
【0251】
上述した変形例に係るパチスロ遊技機1の動作を実現する役決定処理について,図33のフローチャートを参照しつつ説明する。図33中,実施の形態の役決定処理(図17参照)と同じ処理については,同じ符号を付している。
【0252】
変形例に係る役決定処理では,遊技制御用マイコン61は先ず,役抽選乱数を取得する(S501)。S501の後,遊技制御用マイコン61は,遊技役のいずれかに当選したか否かを判断する(S502)。
【0253】
遊技役のいずれかに当選した場合(S502:YES),遊技制御用マイコン61は,必要ベット枚数を変更する変更条件を満たしているか否かを判断する(S503)。本変形例では,変更条件を,現在の必要ベット枚数が3枚であれば,チェリー小役に当選したこととし,現在のゲームの必要ベット枚数が1枚であれば,リプレイ役に当選したこととする。
【0254】
変更条件を満たしている場合(S503:YES),遊技制御用マイコン61は,必要ベット枚数を変更する(S504)。すなわち,現在の必要ベット枚数が3枚であれば1枚に変更し,現在の必要ベット枚数が1枚であれば3枚に変更する。そして,変更後の必要ベット枚数を必要ベット枚数記憶部65に記憶する。さらに,遊技制御用マイコン61は,ベット枚数コマンドを,RAM64の出力バッファにセットする(S505)。ベット枚数コマンドには,設定された必要ベット枚数の情報が含まれる。なお,出力バッファにセットされたベット枚数コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理のS151にてサブ制御基板70に送信される。サブ制御基板70の演出制御用マイコン71は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。
【0255】
S505の後,あるいは変更条件を満たしていない場合(S503:NO),遊技制御用マイコン61は,当選した役に対応する遊技役当選フラグをONにする(S511)。S511の後,遊技制御用マイコン61は,当選した遊技役に応じた制御図柄を決定し(S512),ゲーム開始コマンドをRAM64の出力バッファにセットし(S513),役決定処理を終了する。
【0256】
また,遊技役のいずれも当選しなかった,すなわちハズレであった場合(S502:NO),遊技制御用マイコン61は,BB役に対応する遊技役当選フラグがONであるか否かを判断する(S515)。BB役に対応する遊技役当選フラグがONの場合(S515:YES),遊技制御用マイコン61は,制御図柄をBB役に対応する「赤セブン」図柄に決定する(S512)。一方,BB役に対応する遊技役当選フラグがOFFの場合(S515:NO),遊技制御用マイコン61は,S513に移行し,ハズレの情報を含むゲーム開始コマンドをセットして,役決定処理を終了する。
【0257】
変形例に係るパチスロ遊技機1でも,所定の条件(本変形例では,S503の条件)を満たした場合に,必要ベット枚数を自動的に変更可能とする。これにより,所定の遊技役(本実施の形態ではBB役)の当選確率が必要ベット枚数に合わせて遊技者の意思とは関係なく変更されることになり,その結果としてベット枚数に応じて遊技役の当選確率が変化することへの興趣性が高まり得る。
【0258】
なお,変形例に係るパチスロ遊技機1は,特殊役に当選した場合に,必要ベット枚数を必ず変更しているが,例えば,必要ベット枚数を変更するか否かを抽選によって決定してもよい。この場合,特殊役に当選した場合であっても必要ベット枚数が変更されないことが生じ得るため,興趣性がより高まり得る。
【0259】
また,変形例に係るパチスロ遊技機1は,同じ必要ベット枚数での連続ゲーム回数をカウントしていないが,実施の形態のようにカウントし,さらにカウント値が閾値を超えた場合に,必要ベット枚数を変更するようにしてもよい。
【0260】
10.その他の変形例
本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,本実施の形態に記載された数値(抽選回数,各種テーブルの値,上限等)は例示であって,適宜選択すればよい。また,リールの数も例示であって,2個でもよいし,4個以上であってもよい。
【0261】
また,実施の形態のパチスロ遊技機1では,遊技役として,BB役,チェリー小役,スイカ小役,押し順ベル小役,共通ベル小役,リプレイ役,を有しているが,これらは例示であって,これら全てを備える必要はない。また,これら以外の遊技役を備えていてもよい。
【0262】
また,実施の形態のパチスロ遊技機1では,BB遊技状態中,BB役,チェリー小役,スイカ小役,およびリプレイ役に当選しない構成になっているが,これらに当選する構成であってもよい。
【0263】
また,実施の形態のパチスロ遊技機1は,遊技状態にRT遊技状態を設けているが,RT遊技状態を設けずに,BB遊技状態と通常遊技状態(実施の形態では非RT遊技状態)との2つの遊技状態を設けた構成であってもよい。また,BB遊技状態を設けず,RT遊技状態と非RT遊技状態との2つの遊技状態を設けた構成であってもよい。すなわち,パチスロ遊技機1は,BB(ビッグボーナス)やRB(レギュラーボーナス)への入賞によって獲得メダルを増やす所謂ノーマル機であってもよく,小役に頻繁に入賞可能なART(アシストリプレイタイム)やAT(アシストタイム)等の特別な遊技期間にて獲得メダルを増やす所謂ART機やAT機であってもよく,これらを組み合わせた構成であってもよい。
【0264】
また,実施の形態のパチスロ遊技機1は,必要ベット枚数が設定されていない状態で,ベットボタン11が押下された,あるいは遊技メダルが投入された場合に,必要ベット枚数を決定する抽選を行っているが,例えば,前回のゲームの必要ベット枚数を継続するか否かを決定する抽選を行ってもよい。この場合,現在の必要ベット枚数が遊技者に有利な場合(実施の形態では1枚),継続し難くし,現在の必要ベット枚数が遊技者に不利な場合(実施の形態では3枚),継続し易くするように,乱数を割り当てるとよい。これにより,必要ベット枚数が同じ状態を継続できる可能性が高まり,例えば遊技者に有利な状態が連続するゲーム期間が発生することで,興趣性が高まり得る。なお,この場合,パチスロ遊技機1は,ゲームの終了後,必要ベット枚数の設定をリセットせずに維持する。
【0265】
また,実施の形態のパチスロ遊技機1は,必要ベット枚数が1枚の場合にBB役に当選し易く,必要ベット枚数が3枚の場合にBB役に当選し難くなっているが,必要ベット枚数が3枚の場合にBB役に当選し易く,必要ベット枚数が1枚の場合にBB役に当選し難くしてもよい。この場合,必要ベット枚数が1枚の方が,必要ベット枚数が3枚と比較して設定され易くすればよい。
【0266】
また,実施の形態のパチスロ遊技機1は,必要ベット枚数が1枚と3枚とのいずれかに変更されるが,枚数はこれに限るものではない。例えば,2枚に変更可能であってもよいし,4枚以上に変更可能であってもよい。
【0267】
また,実施の形態のパチスロ遊技機1は,必要ベット枚数が1枚になった場合,すなわちBB役に当選する確率が高くなった場合,演出画像421を画像表示装置42に表示させて,遊技者に有利な状態である旨を示唆しているが,示唆方法はこれに限るものではない。例えば,演出ランプ40の点灯,スピーカ41からの効果音の出力,が適用可能である。
【0268】
また,実施の形態のパチスロ遊技機1は,必要ベット枚数が1枚になった場合,すなわちBB役に当選する確率が高くなった場合,遊技者に有利な状態である旨を示唆しているが,示唆しなくてもよい。ただし,遊技者に有利になった旨を示唆することで,ベット枚数に応じて遊技役の当選確率が変化するゲーム性を把握していない遊技者であっても楽しむことが可能になる。
【0269】
また,実施の形態のパチスロ遊技機1は,同じ必要ベット枚数で連続して行われたゲーム回数をカウントし,そのカウント値が閾値よりも多くなった場合に,強制的に必要ベット枚数を変更しているが,このカウント値による必要ベット枚数の変更は行わなくてもよい。ただし,このカウント値による必要ベット枚数の変更を行うことで,必要ベット枚数が長期間にわたって変更されない状態を回避でき,遊技者に飽きが生じ難い。
【0270】
また,実施の形態に開示されている処理は,主として主制御基板60の遊技制御用マイコン61のCPU62,サブ制御基板70の演出制御用マイコン71のCPU72,および画像制御基板80の画像制御用マイコン81のCPU82によって実行されるが,例えば,単一の制御基板による単一あるいは複数のCPUによって実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理は,遊技制御用マイコン61,演出制御用マイコン71,画像制御用マイコン81の少なくとも1つにおいて複数のCPUによって実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理は,遊技制御用マイコン61,演出制御用マイコン71,あるいは画像制御用マイコン81に加え,他のハードウェアとの組み合わせで実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理のうち,遊技制御用マイコン61,演出制御用マイコン71,あるいは画像制御用マイコン81の処理の一部を,他のマイコンが実行してもよい。つまり,遊技制御用マイコン61,演出制御用マイコン71,画像制御用マイコン81,これらを包含した1つのマイコン,他のハードウェアと組み合わせ,これらすべて各種の処理を実行する手段の一例である。また,実施の形態に開示されている処理は,その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体,または方法等の種々の態様で実現することができる。
なお,以下に記す手段の説明では,[発明を実施するための形態]における対応する構成名や表現,図面に使用した符号を参考のために括弧書きで付記している。ただし,本発明の構成要素は付記に限定されるものではない。
本明細書に開示される遊技機(パチスロ遊技機1)は,複数種類の図柄が表示された複数のリール(6L,6C,6R)と,レバー(スタートレバー8)と,前記複数のリールごとに対応する複数のストップボタン(9L,9C,9R)と,ゲームの開始に必要なベット枚数である必要ベット枚数が設定されており,前記必要ベット枚数の遊技メダルがベットされている状態でかつ前記複数のリールの全てが停止した状態において,前記レバーが操作された場合に,前記必要ベット枚数が第1の枚数であれば当選確率を第1の確率とし,前記必要ベット枚数が第2の枚数であれば当選確率を第2の確率として,所定の遊技役に対する抽選を行う役抽選手段(遊技制御用マイコン61,S501,502)と,前記必要ベット枚数の遊技メダルがベットされている状態でかつ前記複数のリールの全てが停止した状態において前記レバーが操作された場合に,前記複数のリールの回動を開始させる回動開始手段(遊技制御用マイコン61,S602)と,前記複数のリールの少なくとも1つが回動中に前記複数のストップボタンのうちその回動中のリールに対応するストップボタンが操作された場合に,その操作されたストップボタンに対応するリールの回動を,前記役抽選手段での抽選結果に基づいて停止させる回動停止手段(遊技制御用マイコン61,S1003)と,予め定められた所定の条件を満たした場合に,前記必要ベット枚数を変更し得る変更手段(遊技制御用マイコン61,S452,S465,S471,S504)と,を備えることを特徴としている。
本明細書に開示される遊技機は,所定の条件を満たす度に必要ベット枚数を自動的に変更可能とする。これにより,必要ベット枚数の変更に合わせて,所定の遊技役の当選確率が遊技者の意思とは関係なく変更されることになり,その結果としてベット枚数に応じて遊技役の当選確率が変化することへの興趣性が高まり得る。
また,前記変更手段では,遊技メダルをベットする操作であるベット操作があった場合に,前記所定の条件を満たすとよい(遊技制御用マイコン61,S431,S452)。ベット操作の度に所定の条件を満たすことで,必要ベット枚数が変更される頻度が高まり,ベット枚数に応じて遊技役の当選確率が変化することへの興趣性がより高まり得る。
また,本明細書に開示される遊技機は,遊技者の操作を受け付けるベットボタン(11)と,前記ベットボタンの操作に基づいて,遊技メダルをベットする第1のベット手段(例えば,ベット枚数が前記必要ベット枚数よりも少ない状態で前記ベットボタンの操作を受け付けた場合に,ベット枚数が前記必要ベット枚数となることを上限として,投入済みの遊技メダルからベットする手段。遊技制御用マイコン61,S441)と,を備え,前記ベット操作には,前記ベットボタンへの操作が含まれるとよい。
また,本明細書に開示される遊技機は,遊技メダルの投入口(メダル投入口10)と,前記投入口への遊技メダルの投入に基づいて,遊技メダルをベットする第2のベット手段(例えば,ベット枚数が前記必要ベット枚数よりも少ない状態で前記投入口に遊技メダルが投入された場合に,1枚分の遊技メダルをベットする手段。遊技制御用マイコン61,S441)と,を備え,前記ベット操作には,前記投入口への遊技メダルの投入が含まれるとよい。
また,前記役抽選手段は,特殊役の抽選も行い,前記変更手段では,前記役抽選手段にて前記特殊役に当選した場合に,前記所定の条件を満たす(遊技制御用マイコン61,S503,S504)とよい。特殊役に当選する度に所定の条件を満たすことで,必要ベット枚数が変更される価値が高まり,ベット枚数に応じて遊技役の当選確率が変化することへの興趣性がより高まり得る。
また,前記変更手段では,前記必要ベット枚数が同じ枚数で前記役抽選手段による抽選を連続して所定回数行った場合に,前記所定の条件を満たす(遊技制御用マイコン61,S464,S465)とよい。同じ確率での抽選を所定回数連続して行う度に所定の条件を満たすことで,必要ベット枚数が長期間にわたって変更されない状態を回避でき,遊技者に飽きが生じ難い。
また,前記変更手段では,前記必要ベット枚数を抽選によって決定し,前記必要ベット枚数が前記第1の枚数となる確率よりも,前記必要ベット枚数が前記第2の枚数となる確率が高く,前記役抽選手段では,前記第2の確率よりも前記第1の確率の方が,前記所定の遊技役に当選する確率が高いとよい。第1の枚数と第2の枚数のうち必要ベット枚数となる確率が低い方を,所定の遊技役に当選する確率が高くなる必要ベット枚数とすることで,出玉のバランスを取ることが容易になる。
また,前記役抽選手段では,前記第2の確率よりも前記第1の確率の方が,前記所定の遊技役に当選する確率が高く,本明細書に開示される遊技機は,前記必要ベット枚数が前記第1の枚数の場合に,遊技者に有利な状態である旨を示唆する演出を行う演出手段(画像表示装置42,演出制御用マイコン71,S4313)を備えるとよい。遊技者に有利になった旨を示唆することで,ベット枚数に応じて遊技役の当選確率が変化するゲーム性を把握していない遊技者であっても楽しむことが可能になる。
また,本明細書に開示される遊技機は,現在設定されている前記必要ベット枚数を表示する必要ベット枚数表示手段(必要ベット枚数表示器12)を備えるとよい。この構成によれば,遊技者は,現在設定されている必要ベット枚数を把握でき,必要ベット枚数の変化を認識できる。
なお,上記遊技機の機能を実現するための制御方法,コンピュータプログラム,および当該コンピュータプログラムを格納する,コンピュータによる読取可能な記憶媒体も,新規で有用である。
【符号の説明】
【0271】
1 パチスロ遊技機
6L,6C,6R リール
8 スタートレバー
11 ベットボタン
13 演出ボタン
42 画像表示装置
60 主制御基板
61 遊技制御用マイコン
70 サブ制御基板
71 演出制御用マイコン
80 画像制御基板
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