特許第6358575号(P6358575)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6358575
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】回遊支援システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20180709BHJP
   G05D 1/02 20060101ALI20180709BHJP
   B61B 13/00 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   G08G1/00 X
   G05D1/02 G
   B61B13/00 V
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-170904(P2014-170904)
(22)【出願日】2014年8月25日
(65)【公開番号】特開2016-45805(P2016-45805A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年6月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504190548
【氏名又は名称】国立大学法人埼玉大学
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 孝明
(72)【発明者】
【氏名】今井 達二己
(72)【発明者】
【氏名】渡部 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】原田 良一
【審査官】 久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】 特表平08−510893(JP,A)
【文献】 実開昭63−040986(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3168887(JP,U)
【文献】 特開平11−116846(JP,A)
【文献】 特開2003−029838(JP,A)
【文献】 特開2003−024390(JP,A)
【文献】 特開平04−263888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00−99/00
B61B 13/00
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉ループ路を含み、予め設定された複数の地点を経由する走行路と、
前記走行路上を低速で自走し、走行中に前記走行路における任意の位置で利用者の乗降が可能な複数の小型移動体と、
を含む、回遊支援システム。
【請求項2】
前記走行路には、複数の回遊ルートが設定されており、
前記小型移動体は、前記複数の回遊ルートを選択的に自走するように構成されている、
請求項1に記載の回遊支援システム。
【請求項3】
前記小型移動体は、
当該小型移動体に乗車した利用者に関する情報を入力する情報入力部と、
前記情報入力部に入力された情報に基づいて前記複数の回遊ルートのいずれかを選択するルート選択部と、
を有する、請求項2に記載の回遊支援システム。
【請求項4】
前記小型移動体における利用者が乗車する乗車部は、乗車前の利用者及び降車後の利用者が歩行する歩行面との間に段差が生じないように構成されている、請求項1〜3のいずれか一つに記載の回遊支援システム。
【請求項5】
前記小型移動体は、前記複数の地点のそれぞれを通過する際に自走速度を低下させる、請求項1〜4のいずれか一つに記載の回遊支援システム。
【請求項6】
前記小型移動体は、当該小型移動体に乗車した利用者及び当該小型移動体に乗車しようとする利用者が操作する利用者操作部を有し、前記利用者操作部が操作されることによって自走速度を所定時間低下させ又所定時間停止させる、請求項1〜5のいずれか一つに記載の回遊支援システム。
【請求項7】
前記小型移動体は、前方の障害物との接近を検知する接近検知センサを有し、前記接近検知センサが障害物との接近を検知した場合には当該接近が解消されるまで停止する、請求項1〜6のいずれか一つに記載の回遊支援システム。
【請求項8】
前記閉ループ路は、建物内の複数階にわたって一つの閉ループを構成する、請求項1〜7のいずれか一つに記載の回遊支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の回遊行動を支援する回遊支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人が地域(街中)内やショッピングモールなどの商業施設内を渡り歩く行動は、回遊行動と呼ばれている。このような回遊行動は、特にマーケティング分野などにおいて着目されており、従来から回遊行動を分析、把握、調査するための技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−251387号公報
【特許文献2】特開2004−102697号公報
【特許文献3】特開2013−206219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、回遊行動そのもの、特に高齢者などの長距離歩行が難しい人や歩行に配慮が必要な人(以下「歩行困難者」という)の回遊行動を支援又は補助(以下単に「支援」という)するような技術提案は、これまでのところほとんどなされていない。歩行健常者だけではなく、歩行困難者も回遊できるような環境が整備されれば、さらなる地域の活性化や消費拡大などにつながると考えられる。
【0005】
そこで、本発明は、歩行健常者はもちろん、歩行困難者の回遊行動をも支援することのできる回遊支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によると、回遊支援システムは、閉ループ路を含み、予め設定された複数の地点を経由する走行路と、前記走行路上を低速で自走し、走行中に前記走行路における任意の位置で利用者の乗降が可能な複数の小型移動体と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
前記回遊支援システムにおいて、利用者は、走行路上を低速で自走する小型移動体に乗車するだけで予め設定された複数の地点のそれぞれに順次移動することができる。また、利用者は、必要があれば、任意の位置で小型移動体から降車することができ、その後、小型移動体に再度乗車して移動することもできる。このため、前記回遊支援システムによれば、歩行健常者はもちろん、歩行困難者の回遊行動をも支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態による回遊支援システムの全体構成の概略図である。
図2】前記第1実施形態による回遊支援システムを構成する小型移動体の外観構成の一例を示す図である。
図3】前記第1実施形態による回遊支援システムを構成する小型移動体の制御系を示すブロック図である。
図4】本発明の第2実施形態による回遊支援システムの全体構成の概略図である。
図5】前記第2実施形態による回遊支援システムを構成する小型移動体の外観構成の一例を示す図である。
図6】前記第2実施形態による回遊支援システムを構成する小型移動体の制御系を示すブロック図である。
図7】前記第2実施形態による回遊支援システムを構成する走行路に設定された複数の回遊ルートの例を示す図である。
図8】前記回遊支援システムを構成する走行路の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
本発明による回遊支援システムは、例えば、街中を含む所定の地域やショッピングモールを含む商業施設など(以下単に「施設等」という)に適用され、これらにおける人の回遊行動を支援して回遊性を向上させる。
【0010】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明による回遊支援システムの第1実施形態を示している。図1に示すように、第1実施形態による回遊支援システム1Aは、前記施設等に設置された走行路10Aと、走行路10A上を自走する複数の小型移動体20Aと、を含む。
【0011】
走行路10Aは、小型移動体20A専用に設けられたものであり、例えば路面電車などの軌道と同様に、平行な二本のレール(図示省略)によって構成されている。本実施形態において、走行路10Aは、前記施設等における予め設定された複数の地点Pを経由する閉ループ路として形成されている。複数の地点Pのそれぞれは、例えば、サービス提供場所、店舗、観光スポット又はこれらの近傍の地点であり、前記施設等に応じて適宜設定され得る。また、図示省略するが、走行路10Aは、地面や床面などの利用者が歩行する歩行面から一段凹んだ凹部の内底面に、すなわち、前記歩行面よりも低い位置に設けられている。なお、ここでは、走行路10Aが略矩形状に形成されているが、走行路10Aは閉ループ路として形成されていればよく、走行路10Aの全体形状は前記施設等に応じて適宜決定され得る。
【0012】
小型移動体20Aは、一人から四人程度の少人数の人が乗車可能な移動体である。小型移動体20Aは、図1に示すように、互いに所定の間隔をあけて走行路10A上を矢印方向に低速で自走する。ここで、低速とは、高齢者を含む利用者の多くが、小型移動体20Aに乗車することができ、及び、小型移動体20Aから降車することができる程度の速度をいい、例えば人の歩行速度又はそれよりも遅い速度(例えば、5km/h以下、好ましくは、2〜3km/h程度)に設定される。
【0013】
図2は、小型移動体20Aの外観構成の一例を示す斜視図であり、図3は、小型移動体20Aの制御系を示すブロック図である。
図2,3に示すように、小型移動体20Aは、移動体本体21Aと、駆動ユニット22Aと、バッテリー23と、着座部24と、利用者操作部25と、位置検出部26と、制御ユニット27Aと、を有する。
【0014】
移動体本体21Aは、走行路10A(具体的には前記レール)上を転動する四つの車輪211(図2ではそのうちの三つが示されている)を有している。そして、小型移動体20Aは、四つの車輪211が走行路10A(前記レール)上に位置するときに、移動体本体21Aの上面が前記歩行面とほぼ同じ高さとなるように、すなわち、利用者が乗車する移動体本体21Aの上面と前記歩行面との間に段差が生じないように、構成されている。
【0015】
また、本実施形態では、四つの車輪211のうち後方側の二つの車輪211が駆動輪となっている。但し、これに限るものではなく、四つの車輪211の全てや前方側の二つの車輪211を駆動輪としてもよい。さらに、移動体本体21Aの前端部には、小型移動体20Aが前方の障害物(走行路10A内に進入した人や他の小型移動体20Aを含む)に接近したことを非接触で検出する近接センサ31が設けられている。この近接センサ31の検出信号は、制御ユニット27Aに出力される。
【0016】
駆動ユニット22Aは、移動体本体21Aの底面に取り付けられている。駆動ユニット22Aは、図示省略の駆動モータを有しており、前記駆動モータを作動させて前記駆動輪を回転駆動することによって小型移動体20Aを走行させる。また、駆動ユニット22Aは、前記駆動モータを制御することで小型移動体20Aの走行速度(自走速度)を減速(低下)させ、前記駆動モータを停止することで小型移動体20Aを停止させる。
【0017】
バッテリー23は、駆動ユニット22Aと同様に、移動体本体21Aの底面に取り付けられており、電力を必要とする小型移動体20Aの各部に電力を供給する。
【0018】
着座部24は、小型移動体20A(移動体本体21A上)に乗車した利用者が着座可能に構成されている。本実施形態において、着座部24は、移動体本体21A上の左右方向の中央部分に設置されており、移動体本体21A上の着座部24を挟む左右両側には、利用者が小型移動体20A(移動体本体21Aの上面)に容易に乗車し、及び/又は、小型移動体20A(移動体本体21Aの上面)から容易に降車することができるように、設置物のない所定のスペースが確保されている。また、着座部24には、利用者の着座の有無、換言すれば、小型移動体20Aに利用者が乗車しているか否かを検出するための着座センサ32が設けられている。この着座センサ32の検出信号は、制御ユニット27Aに出力される。なお、本実施形態においては、二つの着座部24が前後方向に並んで設けられているが、着座部24の個数や配置は任意に設定可能である。
【0019】
利用者操作部25は、移動体本体21A上の前部左右のそれぞれに立設された支柱部の上面に配置されている。利用者操作部25は、主として、利用者が小型移動体20Aに乗車する際に、及び/又は、利用者が小型移動体20Aから降車する際に、利用者によって操作(ここでは押圧操作)される。このような利用者操作部25の配置により、小型移動体20Aに乗車中の利用者はもちろん、走行路10Aの内側にいて小型移動体20Aに乗車しようとする利用者や走行路10Aの外側にいて小型移動体20Aに乗車しようとする利用者による操作を容易にしている。そして、利用者操作部25は、利用者によって操作されると操作信号を制御ユニット27Aに出力する。
【0020】
位置検出部26は、移動体本体21A上の所定の位置に設けられている。位置検出部26は、例えばGPSセンサを含み、小型移動体20Aの位置情報を検出する。但し、これに限るものではなく、位置検出部26は、GPSセンサ以外の構成によって小型移動体20Aの位置情報を検出するように構成されてもよい。位置検出部26によって検出された小型移動体20Aの位置情報は、制御ユニット27Aに出力される。
【0021】
制御ユニット27Aは、走行路10Aに関する情報が格納されたメモリ271Aと、制御部272Aと、を有している。走行路10Aに関する情報は、前記複数の地点Pの位置情報や各地点P間の距離などを含む。制御部272Aは、近接センサ31の検出信号、着座センサ32の検出信号、利用者操作部25からの操作信号、位置検出部26からの位置情報などを入力し、入力された各種信号や情報に基づき、主に駆動ユニット22Aを制御することで小型移動体20Aの動作を制御する。
【0022】
次に、回遊支援システム1Aの作用を説明する。
まず、回遊支援システム1Aにおいて、複数の小型移動体20Aは互いに所定の間隔をあけて走行路10A上を低速で自走している。すなわち、制御ユニット27A(制御部272A)は、通常、駆動ユニット22Aを制御して小型移動体20Aをあらかじめ設定された所定速度(低速)で走行させる。
【0023】
そして、利用者は、走行路10Aのいずれの位置においても、他の利用者が乗車していない小型移動体20Aに乗車することができ、乗車中の小型移動体20Aから降車することができる。つまり、利用者は、小型移動体20Aに乗車するだけで前記複数の地点Pのそれぞれに移動することができる。ここで、小型移動体20Aは、移動体本体21Aの上面と前記歩行面との間に段差が生じないように構成されており、利用者の小型移動体20Aへの乗車及び小型移動体20Aからの降車が容易である。なお、利用者は、必ずしも目的をもって小型移動体20Aに乗車する必要はなく、例えば特定の目的のない散歩的な移動に小型移動体20Aを利用することも可能である。
【0024】
また、利用者は、小型移動体20Aに乗車する際や小型移動体20Aから降車する際に小型移動体20Aに設けられた利用者操作部25を操作することができる。利用者操作部25が操作されると、小型移動体20Aはその自走速度を所定時間低下させる。具体的には、利用者操作部25が操作されると、その操作信号が制御ユニット27A(制御部272A)に入力される。すると、制御ユニット27A(制御部272A)は、駆動ユニット22を制御して小型移動体20Aの自走速度を所定時間だけ低下させる。これにより、利用者の小型移動体20Aへの乗車及び小型移動体20Aからの降車がさらに容易になる。このため、例えば歩行困難者であっても、小型移動体20Aに容易に乗車し、小型移動体20Aから容易に降車することが可能である。なお、小型移動体20Aの自走速度を所定時間だけ低下させることに代えて、小型移動体20Aを所定時間だけ停止させてもよい。
【0025】
ここで、小型移動体20Aが自走速度を低下させる(又は小型移動体20Aを停止させる)前記所定時間は、前記施設等の特質などに応じて適宜設定され得るが、着座部24と同数の利用者が小型移動体20Aに乗車し又は小型移動体20Aから降車するのに十分な時間(例えば利用者一人当たり30秒程度の時間)とすることができる。また、前記所定時間を、利用者操作部25が操作されてから利用者操作部25が再度操作されるまでの時間としたり、利用者操作部25が操作されてから着座センサ32によって利用者の着座が検出されるまでの時間としたりすることも可能である。
【0026】
また、小型移動体20Aは、前記複数の地点Pを通過する際の自走速度を低下させる。具体的には、制御ユニット27A(制御部272A)は、位置検出部26によって検出された位置情報及びメモリ部271Aに格納された走行路10Aに関する情報に基づいて小型移動体20Aの走行路10A上における現在位置を検出している。そして、制御ユニット27A(制御部272A)は、小型移動体20Aの現在位置が各地点Pの所定距離だけ手前の位置になると駆動ユニット22Aを制御して小型移動体20Aの自走速度を低下させ、小型移動体20Aの現在位置が各地点Pを所定距離だけ通過した位置になると駆動ユニット22Aを制御して小型移動体20Aの自走速度を元に戻す。これにより、小型移動体20Aに乗車中の利用者には、当該利用者が各地点Pに立ち寄ったような効果を与えることができると共に、各地点Pでの利用者の小型移動体20Aへの乗車及び小型移動体20Aからの降車を容易にすることができる。なお、このとき利用者操作部25が操作された場合には、制御ユニット27A(制御部272A)は、小型移動体20Aの自走速度をさらに低下させるようにしてもよい。
【0027】
また、小型移動体20Aは、前方の障害物に接近すると走行を停止する。具体的には、制御ユニット27A(制御部272A)は、近接センサ31の検出信号に基づいて小型移動体20Aが前方の障害物に接近したことを検出すると、駆動ユニット22Aを制御して小型移動体20Aの走行を停止させ、前記障害物との接近が解消されるまで小型移動体20Aの停止状態を維持する。これにより、小型移動体20Aと前記障害物との衝突が回避される。なお、小型移動体20Aは、前記障害物との接近が解消されると、停止前の走行速度に戻る。
【0028】
以上説明した第1実施形態によると、利用者は、走行路10A上を低速で自走する小型移動体20Aに乗車するだけで前記施設等内を移動することができる。このため、複数の地点Pが例えば観光スポットであれば、利用者は着座したまま各観光スポットにおける景色等を次々と眺めて楽しみながら前記施設等内を回遊することができ、複数の地点が例えば店舗であれば、利用者は着座したまま各店舗に陳列された各商品を次々と眺めて楽しみながら前記施設等内を回遊することができる。また、小型移動体20Aは、複数の地点Pのそれぞれを通過する際に自走速度を低下させるので、小型移動体20Aに乗車した利用者に対して各地点Pに立ち寄ったような効果を与えることができる。さらに、利用者は、必要があれば、走行路10Aの任意の位置で小型移動体20Aから降車することができ、その後、小型移動体20Aに再度乗車することもできる。このため、回遊支援システム1Aは、利用者の回遊行動を支援することができ、前記施設等における回遊性を向上することができる。
【0029】
ここで、小型移動体20Aは、利用者が乗車する移動体本体21Aの上面と利用者が歩行する歩行面との間に段差が生じないように構成されている。また、小型移動体20Aは、利用者操作部25が利用者によって操作されると、及び/又は、各地点Pを通過する際に、自走速度を低下させるように構成されている。このため、歩行困難者であっても小型移動体20Aに容易に乗車し、小型移動体20Aから容易に降車することが可能である。これにより、歩行健常者はもちろん、歩行困難者の回遊行動をも支援することができる。
【0030】
また、小型移動体20Aは、前方の障害物(人や他の小型移動体20Aなど)との接近が検出されると、当該障害物との接近が解消されるまで走行を停止する。このため、各小型移動体20Aは、障害物との衝突を回避して走行路10A上を安全に走行することができる。
【0031】
〔第2実施形態〕
次に、本発明による回遊支援システムの第2実施形態について説明する。なお、前記第1実施形態と共通する要素については同じ符号を用いてその説明は適宜省略する。
【0032】
図4は、本発明による回遊支援システムの第2実施形態を示している。図4に示すように、第2実施形態による回遊支援システム1Bも、第1実施形態による回遊システム1Aと同様、前記施設等に設置された走行路10Bと、走行路10B上を自走する複数の小型移動体20Bと、を含む。
【0033】
走行路10Bは、小型移動体20B専用に設けられたものであり、複数(ここでは二つ)の閉ループ路11,12と、閉ループ路11,12間を接続する複数(ここでは二つ)の接続路13,14と、を有する。本実施形態において、接続路13は、閉ループ路11から分岐して閉ループ路12に合流する経路として構成され、接続路14は、閉ループ路12から分岐して閉ループ路11に合流する経路として構成されている。なお、走行路10Bは、第1実施形態における走行路10Aと同様、平行な二本のレールによって構成され、前記施設等における予め設定された複数の地点Pを経由するように形成されている。また、走行路10Bは、利用者が歩行する歩行面から一段凹んだ凹部の内底面に、すなわち、歩行面よりも低い位置に設けられており、走行路10Bの全体形状は、前記施設等に応じて適宜決定され得る。
【0034】
ここで、図示省略するが、走行路10Bにおける分岐部及び合流部は、例えば対応するレール間を小型移動体20Bの車輪211が走行可能な走行面で接続して構成してあり、これにより、当該分岐部及び合流部においては、走行路10B(前記レール)による小型移動体20Bの走行方向の規制が解除されるようになっている。このため、小型移動体20Bの車輪(後述する操舵輪)を操舵することによって小型移動体20Bの進路を変更できるようになっている。具体的には、閉ループ路11を走行中の小型移動体20Bが接続路13に進入し、その後、閉ループ路12に進入できるようになっており、同様に、閉ループ路12を走行中の小型移動体20Bが接続路14に進入し、その後、閉ループ路11に進入できるようになっている。但し、これに限るものではなく、小型移動体20Bが閉ループ路11(12)から閉ループ路12(11)へと接続路13(14)を介して移動できるように構成されていればよい。
【0035】
小型移動体20Bは、第1実施形態における小型移動体20Aと同様、少人数の人が乗車可能な移動体であり、互いに所定の間隔をあけて(すなわち、互いに衝突することなく)走行路10B上を図中の矢印方向に低速で自走する。
【0036】
図5は、小型移動体20Bの外観構成の一例を示す斜視図であり、図6は、小型移動体20Bの制御系を示すブロック図である。
図5,6に示すように、小型移動体20Bは、移動体本体21Bと、駆動ユニット22Bと、バッテリー23と、着座部24と、利用者操作部25と、位置検出部26と、制御ユニット27Bと、情報入力部28と、を有する。
【0037】
移動体本体21Bの構成は、基本的には第1実施形態における移動体本体20Aの構成と同様である。すなわち、移動体本体21Bは、走行路10B(前記レール)上を転動する四つの車輪211を有している。但し、本実施形態においては、四つの車輪211のうち後方側の二つの車輪211が駆動輪となっており、前方側の二つの車輪211が操舵輪となっている。そして、小型移動体20Bは、四つの車輪211が走行路10B(前記レール)上に位置するときに、移動体本体21Bの上面が歩行面とほぼ同じ高さとなるように、すなわち、利用者が乗車する移動体本体21Bの上面と前記歩行面との間に段差が生じないように、構成されている。また、移動体本体21Bの前端部には、近接センサ31が設けられている。
【0038】
駆動ユニット22Bは、第1実施形態における駆動ユニット22Aと同様の機能を有することに加えて、前記操舵輪を駆動する機能を有している。すなわち、駆動ユニット22Bは、図示省略の駆動モータを作動させて前記駆動輪を回転駆動することによって小型移動体20Bを走行させる。また、駆動ユニット22Bは、前記駆動モータを制御することで小型移動体20Bの走行速度を制御し、前記駆動モータを停止することで小型移動体20Bの走行を停止させる。さらに、駆動ユニット22Bは、前記操作輪を駆動することで小型移動体20Bの進行方向を変更する。
【0039】
情報入力部28は、小型移動体20Bに乗車した利用者に関する情報(以下「利用者情報」という)を入力する。本実施形態において、情報入力部28は、移動体本体21上の着座部24近傍に立設された支柱部の上面に設置されており、前記施設等で使用可能な利用者のICカード(会員カードなど)に記録された各種の利用者情報を読み取るカードリーダで構成されている。前記ICカードに記録された利用者情報は、利用者の性別や年齢、前記施設等が商業施設である場合の買い物行動情報などを含む。但し、これに限るものではない。情報入力部28は、小型移動体20Bに乗車した利用者に関する情報を入力できればよい。例えば、情報入力部28は、カメラセンサで利用者の性別や年齢層を判別する構成とされてもよい。
【0040】
制御ユニット27Bは、走行路10Bに関する情報が格納されたメモリ271Aと、制御部272Bと、を有している。走行路10Bに関する情報は、前記複数の地点Pの位置情報、各地点P間の距離、閉ループ路11から接続路13が分岐する分岐位置情報、接続路13が閉ループ路12に合流する合流位置情報、閉ループ路12から接続路14が分岐する分岐位置情報、接続路14が閉ループ路11に合流する合流位置情報などを含む。制御部272Bは、近接センサ31の検出信号、着座センサ32の検出信号、利用者操作部25からの操作信号、位置検出部26からの位置情報、情報入力部28からの利用者情報など入力し、入力された各種信号や情報に基づいて、主に駆動ユニット22Bを制御することで小型移動体20Bの動作を制御する。
【0041】
次に、回遊支援システム1Bの作用を説明する。
まず、回遊支援システム1Bにおいて、複数の小型移動体20Bは互いに所定の間隔をあけて走行路10B上を自走している。すなわち、制御ユニット27B(制御部272B)は、通常、駆動ユニット22Bを制御して小型移動体20Bをあらかじめ設定された所定速度(低速)で走行させる。
【0042】
そして、利用者は、走行路10Bのいずれの位置においても、他の利用者が乗車していない小型移動体20Bに乗車することができ、乗車中の小型移動体20Bから降車することができる。なお、第1実施形態と同様、小型移動体20Bは、移動体本体21Bの上面と歩行面との間に段差が生じないように構成されており、利用者の小型移動体20Bへの乗車及び小型移動体20Bからの降車が容易である。
【0043】
ここで、本実施形態においては、走行路10Bに複数の回遊ルートが設定されている。具体的には、図7に示すように、走行路10には、小型移動体20Bが閉ループ路11のみを走行する実線で示される第1回遊ルートと、小型移動体20Bが閉ループ路12のみを走行する破線で示される第2回遊ルートと、小型移動体20Bが接続路13,14を介して閉ループ路11及び閉ループ路12を走行する一点鎖線で示される第3回遊ルートと、が設定されている。そして、小型移動体20Bは、そこに乗車した利用者に応じて、前記第1〜第3回遊ルートを選択的に走行(自走)するように構成されている。
【0044】
具体的には、小型移動体20Bに乗車した利用者が、自身の所有する前記ICカードをカードリーダで構成された情報入力部28にかざすと、情報入力部28は、前記ICカードに記録された利用者情報が情報入力部28に読み取って制御ユニット27B(制御部272B)に入力する。すると、制御ユニット27B(制御部272B)は、入力された利用者情報に基づいて前記第1〜第3回遊ルートのいずれかを選択し、駆動ユニット22Bを制御して選択した回遊ルートに沿って小型移動体20Bを走行させる。
【0045】
例えば、前記第1回遊ルートが男性用の回遊ルートとして設定され、前記第2回遊ルートが女性用の回遊ルートとして設定されている場合、制御ユニット27B(制御部272B)は、小型移動体20Bに男性のみが乗車すると前記第1回遊ルートを選択し、小型移動体20Bに女性のみが乗車すると前記第2回遊ルートを選択し、小型移動体20Bに男性及び女性が乗車すると前記第3回遊ルートを選択する。なお、前記第1、第2回遊ルートが年齢層別に設定されている場合も同様である。また、前記施設等が商業施設である場合、制御ユニット27B(制御部272B)は、前記買い物行動情報に基づき、例えば過去に買い物をした店舗が多く存在する回遊ルートを選択する。
【0046】
そして、制御ユニット27B(制御部272B)は、例えば小型移動体20Bが閉ループ路12(前記第2回遊ルート)に位置しているときに前記第1回遊ルートが選択された場合には、次のようにして小型移動体20Bを前記第1回遊ルート(閉ループ路11)へと移動させる。すなわち、制御ユニット27B(制御部272B)は、位置検出部26によって検出された位置情報及びメモリ部271Bに格納された走行路10Bに関する情報に基づいて小型移動体20Bの走行路10B上における現在位置を検出している。そして、制御ユニット27B(制御部272B)は、小型移動体20Bの現在位置が、閉ループ路12から接続路14が分岐する分岐位置になると、駆動ユニット22Bを制御して前記操舵輪を駆動し、これにより、小型移動体20Bを接続路14に進入させる。その後、制御ユニット27B(制御部272B)は、小型移動体20Bの現在位置が、接続路14が閉ループ路11に合流する合流位置になると、駆動ユニット22Bを制御して前記操舵輪を駆動し、これにより、小型移動体20Bを閉ループ路11に進入させる。なお、説明は省略するが、小型移動体20Bが閉ループ路11(前記第1回遊ルート)に位置しているときに前記第2回遊ルートが選択された場合や前記第3回遊ルートが選択された場合においても同様にして、小型移動体20Bの閉ループ路11と閉ループ路12との間の移動が行われる。したがって、本実施形態においては、制御ユニット27B(制御部272B)が本発明の「ルート選択部」としての機能を有する。
【0047】
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様、小型移動体20Bは、利用者操作部25が操作されるとその自走速度を所定時間だけ低下させ又は走行を停止する。また、小型移動体20Bは、前記複数の地点Pのそれぞれを通過する際にも自走速度を低下させる。さらに、小型移動体20Bは、前方の障害物に接近すると走行を停止し、前記障害物との接近が解消されるまで停止状態を維持する。
【0048】
以上説明した第2実施形態によっても、前記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、回遊支援システム1Bにおいても、歩行健常者はもちろん、歩行困難者の回遊行動も支援することができ、前記施設等における回遊性を向上することができる。また、小型移動体20Bは、障害物との衝突を回避して走行路10B上を安全に走行することができる。
【0049】
さらに、第2実施形態においては、走行路10Bに複数の回遊ルートが設定され、小型移動体20Bは、複数の回遊ルートを選択的に自走可能に構成されている。具体的には、小型移動体20Bは、乗車した利用者に関する情報を入力する情報入力部28を有しており、情報入力部28に入力された情報に基づいて第1〜第3回遊ルートのいずれかを選択して自走する。このため、利用者に応じた回遊行動を支援することができ、また、前記施設等における経済活動の活性化や誘発による効果的に寄与することが可能となる。
【0050】
以上、本発明の実施形態(第1実施形態、第2実施形態)について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形や変更が可能である。
【0051】
例えば、図8に示すように、前記走行路が所定の建物内の複数階にわたって一つの閉ループ経路を形成するようにしてもよい。この場合、前記建物の各階を繋ぐ前記走行路の部分は傾斜路とならざるを得ないが、例えばラック式鉄道に準じた方式を採用することによって、各小型移動体は、より安全かつ確実に前記傾斜路を走行することが可能となる。例えば、各傾斜路には、ラックレールが二本のレールの間に設けられ、各小型移動体には、前記ラックレールに噛み合うピニオンギヤが設けられる。前記ピニオンギヤは、前記駆動輪(及び前記操舵輪)と同様、駆動ユニットによって回転駆動される。前記ピニオンギヤは、常時駆動されてもよいし、前記移動体が前記傾斜経路の直前までに移動したときに駆動されてもよい。このようにすれば、例えば複数階建ての商業施設において、利用者は、前記小型移動体に乗車することで前記商業施設(建物)内の各階を移動することができ、また、所望の階の所望の位置で前記移動体から降車することができる。
【0052】
また、前記第2実施形態において、小型移動体20Bは、情報入力部28を介して入力された利用者情報に応じて、複数の回遊ルートのいずれかを選択して走行(自走)するように構成されている。しかし、これに限るものではなく、小型移動体20Bに回遊ルート選択部を設け、小型移動体20Bに乗車した利用者が前記回遊ルート選択部を操作することによって複数の回遊ルートのいずれかを選択するように構成してもよい。
【0053】
また、前記第2実施形態において、情報入力部28は、カードリーダで構成されているが、情報入力部28をカードリーダライターで構成してもよい。この場合、小型移動体20Bに乗車した利用者が自身の所有する前記ICカードを情報入力部28にかざすと、情報入力部28は、前記ICカードに記録された前記利用者情報を読み取ると共に、前記ICカードに所定の情報を書き込むように構成することができる。例えば、情報入力部28は、小型移動体20Bに乗車した旨の記録(乗車記録)を前記ICカードに書き込む。そして、前記乗車記録が書き込まれた前記ICカードを前記施設等におけるサービス提供場所、店舗、観光スポットなどで使用又は提示することにより、当該ICカードを所有する利用者が所定のサービスや料金割引などを受けられるようにする。このようにすると、小型移動体20Bへの乗車のインセンティブを付与することができ、前記施設等におけるさらなる回遊促進を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0054】
1A,1B…回遊支援システム
10A、10B…走行路
11,12…閉ループ路
13,14…接続路
20A,20B…小型移動体
21A,21B…移動体本体
22A,22B…駆動ユニット
23…バッテリー
24…着座部
25…利用者操作部
26…位置検出部
27A,27B…制御ユニット
28…情報入力部
31…近接センサ
32…着座センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8