【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために、
(1)
水道水を通すホースに一端が接続するとともに他端に開口を形成したヘッド部を有し、内部に水道水を通す流路を備え、手により把持される本体と、
前記ヘッド部の内部に固定される中央に
流路となる穴が穿設された底板と、
前記底板に載置され内部にマイクロバブル生成流路を形成したマイクロバブル生成器と、
前記底板と前記マイクロバブル生成器の間に位置し前記水道水を旋回させ流速を上げる偏芯穴を備えるトルネードプレートと、
前記マイクロバブル生成器を収納した上で前記底板とともに前記ヘッド部内に固定される押さえ板と、
前記ヘッド部の開口側に嵌められ内部に前記マイクロバブル生成器を収納する筒状のキャップと、
からなることを特徴とする散水板を備えなくてもシャワー体感を得られるシャワーヘッド。
(2)
前記キャップの長さが、
前記マイクロバブル生成器の長さより長いことを特徴とする(1)に記載の散水板を備えなくてもシャワー体感を得られるシャワーヘッド。
(3)
前記マイクロバブル生成器が、
前記押さえ板の穴内に収納され、前記水道水の入口側端部から中心部にいくにしたがって内径が徐々に狭まる第一流路を備え、外周面には端部側に第二凸条、前記第二凸条より中心側に第一凸条を備え、前記第二凸条と前記第一凸条の間が窪んだ溝となる第一筒部と、
前記第一流路に接続する第二流路を備える第二筒部と、
前記第二流路に接続し出口側他端に向け内径が徐々に広がり端部が水道水をシャワー状に吐出させる噴出口となる第三流路を備える第三筒部とからなり、
前記第一凸条が前記押さえ板内に係止され、前記溝にパッキンを備え、
前記押さえ板と前記マイクロバブル生成器との隙間をシールすることを特徴とする(1)又は(2)に記載の散水板を備えなくてもシャワー体感を得られるシャワーヘッド。
(4)
前記底板が、
円盤状の底部と、前記底部の上面に立設し中央に
前記流路
となる穴を備え内部に段差部を有する筒状の内縁と、前記底部の外周に立設した外縁とからなり、
前記内縁と前記外縁の間に前記マイクロバブル生成器の端部を位置させるとともに、前記流路
となる穴内に前記トルネードプレートを嵌め、前記段差部で係止することを特徴とする(1)〜(3)の何れか1項に記載の散水板を備えなくてもシャワー体感を得られるシャワーヘッド。
(5)
前記トルネードプレートが、
前記マイクロバブル生成器の第二凸条端部で押圧され、位置固定されることを特徴とする(1)〜(4)の何れかに記載の散水板を備えなくてもシャワー体感を得られるシャワーヘッド。
とした。
【0012】
以前から、ベルヌーイの法則にあるように絞り込んだ流水路を徐々に開放することでキャビテーションが起こることは分かっていた。しかし、そのような装置は一般家庭の水道管の給水管径、給水圧の条件のもとでは期待した量のマイクロバブルの発生を引き起こすことができるとは考えられていなかったためか、製品化されていなかった。
【0013】
さらに、一般家庭の水道管径13mm、給水圧力0.1MPaを条件とすると、マイクロバブルを発生させるためには、外部から空気を取り込んだり、圧力を加えたりする必要があると考えられていた。
【0014】
一般的な水道水からマイクロバブルを発生させるためには、給水管や内部配管の管路のどこかに、入口側から円錐状に内径が絞り込まれた後で徐々に開放されるように、その絞り込まれた管路が再び円錐状に広がっていくマイクロバブル生成路を形成し、そこへ旋回流となった水道水を通すことでキャビテーションを発生させ、その陰圧を利用してマイクロバブルを発生させる方法で検討した。
【0015】
その結果、水道管径15A(13mm)、給水圧0.1MPa程度、空気を含有した一般的な水道水という条件で、円錐と円錐の各々の先端部分をつないだ形状にすることでマイクロバブルの発生が確認できた。そこで、特許文献1の発明が完成した。なお、この時、マイクロバブル生成路の形状は上下対称である必要はない。さらに、特許文献1の発明を発展させ、本件発明を完成させるに至ったものである。
【0016】
検討で使用したマイクロバブル生成路は、黄銅製の切削加工品を利用したが、精度が確保できるなら樹脂や各種金属あるいはセラミックなどで作っても良い。また、ラッパ状の筒を二本つくり、それぞれのラッパの吹き口部分で接続してもよい。また、ラッパ状の構造を形成して給水管へネジ接続しても良い。さらには、給水管と一体で作ってもよい。また、給水管の一部分を絞り込んでマイクロバブル生成路を形成してもよい。いずれにしても、マイクロバブル生成路を備えればよい。
【0017】
一般的な水道管においても、径の異なる給水管やエルボを繋いだ場合などには、接続箇所で乱流などが発生し、キャビテーションにより気泡が発生することもあると思われるが、単なる給水配管の接続段差などではマイクロバブルの発生量も少なく、気泡の直径も大きいと思われる。水道管内に意図的にマイクロバブル発生流路を設けることで、初めて期待される量と直径のマイクロバブルの発生が確認できる。
【0018】
マイクロバブル生成器6におけるマイクロバブル生成路においては、給水圧が高くなるとマイクロバブルの発生量も増加する。しかしながら、一般家庭における水道管の圧力(0.1〜0.5MPa程度)であっても、マイクロバブル生成器6であれば十分な量と直径のマイクロバブルを確認できる。マイクロバブル生成器を導入する送液管の径が太ければ、圧力を高め、送液管の管径が細ければ圧力を低くすることもできる。また、液流体の圧力は、0.1〜0.15Mpaの低圧、0.4〜0.5MPa程度の高圧でも十分マイクロバブルを生成することができる。
【0019】
ここでは、一般的な水道水でのマイクロバブルの生成について記述しているが、送液管の中を流れる液体は水道水に限定されない。
【0020】
送液管を流れる液体の空気含有量が少ない場合はマイクロバブルの発生量は減少する。また、送液管の中を流れる液体が気体を含有していない場合は、マイクロバブルは発生しない。それらの場合でも、マイクロバブル生成器に液体が通過する手前で、液体に気体を混入させることでマイクロバブルを生成することのできる液体とすることも可能である。
【0021】
また、給水の温度が高くなると、含有空気量は減少するものの、含有空気(溶存空気)の状態が不安定になるためであるか、ある一定温度近辺でのマイクロバブルの生成量は増加する。また、温水と冷水を混合すると、一層マイクロバブルが生成する。例えば、温水60℃、冷水10℃をミックスした40℃混合水などが好適である。
【0022】
また、本発明であるマイクロバブル生成器6におけるマイクロバブル生成路において、給水中に含まれる含有空気の量によってもマイクロバブルの生成量は影響される。しかしながら、一般家庭に供給されている水道水(通常以上に加圧、空気注入などしていない、空気を自然溶解している状態の水道水)であっても、十分な量と直径のマイクロバブルを確認することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、従来のシャワーヘッドと同様に把持部2aを備えるため把持し易い。ヘッド部2eに、底板3及び押さえ板5で、マイクロバブル生成器6を固定するため、組み立てが容易である。マイクロバブル生成器6を備えるため、水道水からマイクロバブルを生成させることができる。トルネードプレート4及びマイクロバブル生成器6の形状によって、噴出口6mからの噴射水はシャワー或いはスプレー状に噴射される。散水板がないため、散水板の穴の目詰まりの心配がなく、シャワー感を得られる。
【0024】
従来のシャワーヘッドは散水板がないと、シャワー状にならないため、散水板を取り付けていたが、散水板の穴に汚れなどが詰まり、メンテナンスの必要があった。特に、不特定多数の方が利用する大浴場のシャワーでは、散水板の詰まりは施設メンテナンスにとって負荷の大きなものであった。散水板が不要なシャワーヘッドはそのような負担を軽減する重要な要素である。
【0025】
本発明のシャワーヘッドは、マイクロバブル生成路の入口付近で流入水を旋回流とすることで、ラッパ状に広がったマイクロバブル生成路から吐水が回転しながらスプレー状に広がる。これにより、散水板がなくても、快適なシャワー体感が確保でき、散水板による吐水の圧損をなくして、低水圧の場合でも従来以上の強いシャワー体感を獲得することが可能となる。
【0026】
市場では、散水板による圧損でのシャワー体感の減少を向上させるため、散水板の穴を細くして、シャワースピードを増して、シャワー体感を向上させている製品もあるが、穴を細くすることにより目詰まりが多くなるデメリットがある。
【0027】
ただし、元々、給水給湯圧の強いシャワーでは散水板がないとシャワー体感が痛く感じることもあり、散水板の取り付けも可能な構造としてある。散水板は、キャップの端部に螺合、或いは嵌着させればよい。
【0028】
キャップ7を備え、マイクロバブル生成器6全体がキャップ7内に収納されることで、頭部への怪我、マイクロバブル生成器6の落下等による破損を防止することができる。
【0029】
また、パッキン5m、6kを備えることで、マイクロバブル生成器6との隙間をシールし、水道水の全量をマイクロバブル生成器6に通すことができ、流路の送液圧力の損出を防ぐことができる。