特許第6358613号(P6358613)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6358613散水板を備えなくてもシャワー体感を得られるシャワーヘッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6358613
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】散水板を備えなくてもシャワー体感を得られるシャワーヘッド
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/28 20060101AFI20180709BHJP
   B05B 1/02 20060101ALI20180709BHJP
   B05B 1/34 20060101ALI20180709BHJP
   B05B 1/18 20060101ALN20180709BHJP
【FI】
   A47K3/28
   B05B1/02 101
   B05B1/34 101
   !B05B1/18 101
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-123636(P2014-123636)
(22)【出願日】2014年6月16日
(65)【公開番号】特開2016-2196(P2016-2196A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2017年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】513026632
【氏名又は名称】株式会社micro−bub
(74)【代理人】
【識別番号】100093816
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 邦雄
(72)【発明者】
【氏名】市澤 順一
【審査官】 金高 敏康
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−057535(JP,A)
【文献】 特開2011−183125(JP,A)
【文献】 特開2003−326198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/28
B05B 1/02
B05B 1/34
B05B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道水を通すホースに一端が接続するとともに他端に開口を形成したヘッド部を有し、内部に水道水を通す流路を備え、手により把持される本体と、
前記ヘッド部の内部に固定される中央に流路となる穴が穿設された底板と、
前記底板に載置され内部にマイクロバブル生成流路を形成したマイクロバブル生成器と、
前記底板と前記マイクロバブル生成器の間に位置し前記水道水を旋回させ流速を上げる偏芯穴を備えるトルネードプレートと、
前記マイクロバブル生成器を収納した上で前記底板とともに前記ヘッド部内に固定される押さえ板と、
前記ヘッド部の開口側に嵌められ内部に前記マイクロバブル生成器を収納する筒状のキャップと、
からり、
前記底板が、
円盤状の底部と、前記底部の上面に立設し中央に前記流路となる穴を備え内部に段差部を有する筒状の内縁と、前記底部の外周に立設した外縁とからなり、
前記内縁と前記外縁の間に前記押さえ板の端部が位置するとともに、前記流路となる穴内に前記トルネードプレートが嵌められ、前記段差部で前記トルネードプレートを係止することを特徴とする散水板を備えることなく、使用者がシャワー体感を得られるシャワーヘッド。
【請求項2】
前記キャップの長さが、
前記マイクロバブル生成器の長さより長いことを特徴とする請求項1に記載の散水板を備えることなく、使用者がシャワー体感を得られるシャワーヘッド。
【請求項3】
前記マイクロバブル生成器が、
前記押さえ板の穴内に収納され、前記水道水の入口側端部から中心部にいくにしたがって内径が徐々に狭まる第一流路を備え、外周面には端部側に第二凸条、前記第二凸条より中心側に第一凸条を備え、前記第二凸条と前記第一凸条の間が窪んだ溝となる第一筒部と、
前記第一流路に接続する第二流路を備える第二筒部と、
前記第二流路に接続し出口側他端に向け内径が徐々に広がり端部が水道水をシャワー状に吐出させる噴出口となる第三流路を備える第三筒部とからなり、
前記第一凸条が前記押さえ板内に係止され、前記溝にパッキンを備え、
前記押さえ板と前記マイクロバブル生成器との隙間をシールすることを特徴とする請求項1に記載の散水板を備えることなく、使用者がシャワー体感を得られるシャワーヘッド。
【請求項4】
前記トルネードプレートが、
前記マイクロバブル生成器の第二凸条端部で押圧され、位置固定されることを特徴とする請求項3に記載の散水板を備えることなく、使用者がシャワー体感を得られるシャワーヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水からマイクロバブルを発生させるとともに、マイクロバブルを発生させる構造により、散水板を備えなくてもシャワー体感を得られる、シャワーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロバブルについての研究は、1985年頃からスタートした。マイクロバブルは、新しい技術分野であるため、解明されていない点も多い。現在、マイクロバブルについて以下の2つの現象が知られている。
【0003】
一つ目は、マイクロバブルのサイズが小さいことから繊維の網目や毛穴などの奥まで入り込み汚れを押し出す現象である。
【0004】
二つ目は、水中に吐出されたマイクロバブルが水中で、水圧に押され、さらに小さなナノバブルとなっていく現象である。マイクロバブルは液中において、30〜60秒程度で消滅あるいはナノバブルとなっていくが、ナノバブルとなったバブルは数時間から数日間、液中に滞留するといわれている。
【0005】
三つ目は、圧壊である。圧壊は、マイクロバブルが水中に吐出されることで、水中の水圧に押しつぶされ、マイクロバブルよりもさらに小さなナノバブルとなり、やがてナノバブルの内部気圧が300気圧程度になり、破壊される現象である。この圧壊が起きる時に、時速約400キロ前後の超音波が発生し、5500度近い高熱を発すると言われている。そして、この2つの現象の相乗効果により、汚れなどが取れやすくなると言われている。
【0006】
ここで、マイクロバブルを発生させる手段として、高速せん断方式、加圧圧壊方式、キャビテーション方式など、6種類ほどが知られている。その多くが、アスピレータ方式などで、外部から空気を吸引している。或いは、強制注入している。
【0007】
他方、散水板を備えないシャワーヘッドとしては、特許文献1が公開されている。特許文献1は、発明者の特許出願であり、散水板が無くても快適なシャワー体感が得られるようなスプレー状の散水が確保され、シャワーホースの先に取り付けることのできる吐水口部であって、ゴムホースの原理を応用して、通水路を絞って流速を速めるが、その前にさらに、流速が速くなるように、通水路の入口部に流水に旋回流を発生させるための部材を組み込み、水流にひねりを加えながら徐々に狭くなっていく通水路の狭隘部でさらに流速を速め、その流水を吐水口部において、急激にスプレー状に吐水させることにより、散水板がなくても快適なシャワー体感を確保することができるようにしたシャワーの吐水口を開示している。
【0008】
特許文献1においても、散水板を備えない構造を示しているが、マイクロバブルについて開示されておらず、また、ホース先端に、単に第一部品、第二部品からなる筒状物を接続したのみで、一般的なシャワーヘッドの形状でないため、シャワーヘッドとして把持しづらく、さらに筒状物による頭部への衝突による怪我、落下による筒状物の破損等が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−183125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、マイクロバブルを効果的に発生させるとともに、シャワー体感可能な把持しやすい散水板を備えなくてもシャワー体感を得られるシャワーヘッドを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために、
(1)
水道水を通すホースに一端が接続するとともに他端に開口を形成したヘッド部を有し、内部に水道水を通す流路を備え、手により把持される本体と、
前記ヘッド部の内部に固定される中央に流路となる穴が穿設された底板と、
前記底板に載置され内部にマイクロバブル生成流路を形成したマイクロバブル生成器と、
前記底板と前記マイクロバブル生成器の間に位置し前記水道水を旋回させ流速を上げる偏芯穴を備えるトルネードプレートと、
前記マイクロバブル生成器を収納した上で前記底板とともに前記ヘッド部内に固定される押さえ板と、
前記ヘッド部の開口側に嵌められ内部に前記マイクロバブル生成器を収納する筒状のキャップと、
からなることを特徴とする散水板を備えなくてもシャワー体感を得られるシャワーヘッド。
(2)
前記キャップの長さが、
前記マイクロバブル生成器の長さより長いことを特徴とする(1)に記載の散水板を備えなくてもシャワー体感を得られるシャワーヘッド。
(3)
前記マイクロバブル生成器が、
前記押さえ板の穴内に収納され、前記水道水の入口側端部から中心部にいくにしたがって内径が徐々に狭まる第一流路を備え、外周面には端部側に第二凸条、前記第二凸条より中心側に第一凸条を備え、前記第二凸条と前記第一凸条の間が窪んだ溝となる第一筒部と、
前記第一流路に接続する第二流路を備える第二筒部と、
前記第二流路に接続し出口側他端に向け内径が徐々に広がり端部が水道水をシャワー状に吐出させる噴出口となる第三流路を備える第三筒部とからなり、
前記第一凸条が前記押さえ板内に係止され、前記溝にパッキンを備え、
前記押さえ板と前記マイクロバブル生成器との隙間をシールすることを特徴とする(1)又は(2)に記載の散水板を備えなくてもシャワー体感を得られるシャワーヘッド。
(4)
前記底板が、
円盤状の底部と、前記底部の上面に立設し中央に前記流路となる穴を備え内部に段差部を有する筒状の内縁と、前記底部の外周に立設した外縁とからなり、
前記内縁と前記外縁の間に前記マイクロバブル生成器の端部を位置させるとともに、前記流路となる穴内に前記トルネードプレートを嵌め、前記段差部で係止することを特徴とする(1)〜(3)の何れか1項に記載の散水板を備えなくてもシャワー体感を得られるシャワーヘッド。
(5)
前記トルネードプレートが、
前記マイクロバブル生成器の第二凸条端部で押圧され、位置固定されることを特徴とする(1)〜(4)の何れかに記載の散水板を備えなくてもシャワー体感を得られるシャワーヘッド。
とした。
【0012】
以前から、ベルヌーイの法則にあるように絞り込んだ流水路を徐々に開放することでキャビテーションが起こることは分かっていた。しかし、そのような装置は一般家庭の水道管の給水管径、給水圧の条件のもとでは期待した量のマイクロバブルの発生を引き起こすことができるとは考えられていなかったためか、製品化されていなかった。
【0013】
さらに、一般家庭の水道管径13mm、給水圧力0.1MPaを条件とすると、マイクロバブルを発生させるためには、外部から空気を取り込んだり、圧力を加えたりする必要があると考えられていた。
【0014】
一般的な水道水からマイクロバブルを発生させるためには、給水管や内部配管の管路のどこかに、入口側から円錐状に内径が絞り込まれた後で徐々に開放されるように、その絞り込まれた管路が再び円錐状に広がっていくマイクロバブル生成路を形成し、そこへ旋回流となった水道水を通すことでキャビテーションを発生させ、その陰圧を利用してマイクロバブルを発生させる方法で検討した。
【0015】
その結果、水道管径15A(13mm)、給水圧0.1MPa程度、空気を含有した一般的な水道水という条件で、円錐と円錐の各々の先端部分をつないだ形状にすることでマイクロバブルの発生が確認できた。そこで、特許文献1の発明が完成した。なお、この時、マイクロバブル生成路の形状は上下対称である必要はない。さらに、特許文献1の発明を発展させ、本件発明を完成させるに至ったものである。
【0016】
検討で使用したマイクロバブル生成路は、黄銅製の切削加工品を利用したが、精度が確保できるなら樹脂や各種金属あるいはセラミックなどで作っても良い。また、ラッパ状の筒を二本つくり、それぞれのラッパの吹き口部分で接続してもよい。また、ラッパ状の構造を形成して給水管へネジ接続しても良い。さらには、給水管と一体で作ってもよい。また、給水管の一部分を絞り込んでマイクロバブル生成路を形成してもよい。いずれにしても、マイクロバブル生成路を備えればよい。
【0017】
一般的な水道管においても、径の異なる給水管やエルボを繋いだ場合などには、接続箇所で乱流などが発生し、キャビテーションにより気泡が発生することもあると思われるが、単なる給水配管の接続段差などではマイクロバブルの発生量も少なく、気泡の直径も大きいと思われる。水道管内に意図的にマイクロバブル発生流路を設けることで、初めて期待される量と直径のマイクロバブルの発生が確認できる。
【0018】
マイクロバブル生成器6におけるマイクロバブル生成路においては、給水圧が高くなるとマイクロバブルの発生量も増加する。しかしながら、一般家庭における水道管の圧力(0.1〜0.5MPa程度)であっても、マイクロバブル生成器6であれば十分な量と直径のマイクロバブルを確認できる。マイクロバブル生成器を導入する送液管の径が太ければ、圧力を高め、送液管の管径が細ければ圧力を低くすることもできる。また、液流体の圧力は、0.1〜0.15Mpaの低圧、0.4〜0.5MPa程度の高圧でも十分マイクロバブルを生成することができる。
【0019】
ここでは、一般的な水道水でのマイクロバブルの生成について記述しているが、送液管の中を流れる液体は水道水に限定されない。
【0020】
送液管を流れる液体の空気含有量が少ない場合はマイクロバブルの発生量は減少する。また、送液管の中を流れる液体が気体を含有していない場合は、マイクロバブルは発生しない。それらの場合でも、マイクロバブル生成器に液体が通過する手前で、液体に気体を混入させることでマイクロバブルを生成することのできる液体とすることも可能である。
【0021】
また、給水の温度が高くなると、含有空気量は減少するものの、含有空気(溶存空気)の状態が不安定になるためであるか、ある一定温度近辺でのマイクロバブルの生成量は増加する。また、温水と冷水を混合すると、一層マイクロバブルが生成する。例えば、温水60℃、冷水10℃をミックスした40℃混合水などが好適である。
【0022】
また、本発明であるマイクロバブル生成器6におけるマイクロバブル生成路において、給水中に含まれる含有空気の量によってもマイクロバブルの生成量は影響される。しかしながら、一般家庭に供給されている水道水(通常以上に加圧、空気注入などしていない、空気を自然溶解している状態の水道水)であっても、十分な量と直径のマイクロバブルを確認することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、従来のシャワーヘッドと同様に把持部2aを備えるため把持し易い。ヘッド部2eに、底板3及び押さえ板5で、マイクロバブル生成器6を固定するため、組み立てが容易である。マイクロバブル生成器6を備えるため、水道水からマイクロバブルを生成させることができる。トルネードプレート4及びマイクロバブル生成器6の形状によって、噴出口6mからの噴射水はシャワー或いはスプレー状に噴射される。散水板がないため、散水板の穴の目詰まりの心配がなく、シャワー感を得られる。
【0024】
従来のシャワーヘッドは散水板がないと、シャワー状にならないため、散水板を取り付けていたが、散水板の穴に汚れなどが詰まり、メンテナンスの必要があった。特に、不特定多数の方が利用する大浴場のシャワーでは、散水板の詰まりは施設メンテナンスにとって負荷の大きなものであった。散水板が不要なシャワーヘッドはそのような負担を軽減する重要な要素である。
【0025】
本発明のシャワーヘッドは、マイクロバブル生成路の入口付近で流入水を旋回流とすることで、ラッパ状に広がったマイクロバブル生成路から吐水が回転しながらスプレー状に広がる。これにより、散水板がなくても、快適なシャワー体感が確保でき、散水板による吐水の圧損をなくして、低水圧の場合でも従来以上の強いシャワー体感を獲得することが可能となる。
【0026】
市場では、散水板による圧損でのシャワー体感の減少を向上させるため、散水板の穴を細くして、シャワースピードを増して、シャワー体感を向上させている製品もあるが、穴を細くすることにより目詰まりが多くなるデメリットがある。
【0027】
ただし、元々、給水給湯圧の強いシャワーでは散水板がないとシャワー体感が痛く感じることもあり、散水板の取り付けも可能な構造としてある。散水板は、キャップの端部に螺合、或いは嵌着させればよい。
【0028】
キャップ7を備え、マイクロバブル生成器6全体がキャップ7内に収納されることで、頭部への怪我、マイクロバブル生成器6の落下等による破損を防止することができる。
【0029】
また、パッキン5m、6kを備えることで、マイクロバブル生成器6との隙間をシールし、水道水の全量をマイクロバブル生成器6に通すことができ、流路の送液圧力の損出を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明である散水板を備えないシャワーヘッドの斜視図である。
図2図1のA−A‘断面図である。
図3図1のB−B‘拡大断面図である。
図4図1のC−C‘拡大断面図である。
図5図5(A)は本体の正面図、(B)は本体の背面図、(C)は右側面図である。
図6図6(A)は図5のA−A‘断面図、図6(B)は図5のB−B‘断面図である。
図7図7(A)は底板の正面図、(B)は背面図、(C)は正面斜視図、(D)は背面斜視図、(E)は(A)のA−A‘断面図である。
図8図8(A)はトルネードプレートの正面図、(B)は斜視図、(C)は(A)のA−A‘断面図である。
図9図9(A)は左側面図、(B)は正面図、(C)は背面図、(D)は(A)のA−A‘断面図である。
図10図10(A)は正面斜視図、(B)は背面斜視図である。
図11図11(A)は正面図、(B)は背面図、(C)は左側面図、(D)は(A)のA−A‘断面図である。
図12図12(A)は正面図、(B)は背面図、(C)は左側面図、(D)は(A)のA−A‘断面図、(E)は正面斜視図、(F)背面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面に基づき本発明について詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0032】
図1−12に示すように、本発明である散水板を備えなくてもシャワー体感を得られるシャワーヘッド1は、本体2と、底板3と、トルネードプレート4と、押さえ板5と、マイクロバブル生成器6と、キャップ7とからなる。ただし、底板3とトルネードプレート4、及び押さえ板5とマイクロバブル生成器6とはそれぞれ一体で成形しても良い。
【0033】
他方、それらの部品を、別体、組み立て式とすれば、水道圧により、好適な螺旋角度のトルネードプレート4への変更、マイクロバブル生成器の流路を変更するだけで、その他の部品は共通にできるので、製造コストを押さえ、汎用性の高いマイクロバブル生成シャワーヘッドを提供することができる。
【0034】
本体2は、主に図5、6に示すように、手の把持に適した把持部2aと、把持部2aの一端の水道水を流すホース(図示省略)に螺合接続する第一ネジ部2dと、把持部2aの他端に把持部2aに対して略直角に屈曲して開口2fを備えるとともに外周に第二ネジ部2kを備えるヘッド部2eと、第一ネジ部2dの端部から把持部2a、ヘッド部2eの内部を通り開口2fまで挿通する流路2iと、ヘッド部2eの底部から突出し内部にネジ穴2hを備える複数本の突起2gとからなる。
【0035】
第一ネジ部2dにはパッキン2mが嵌められ、ホースとの接続部をシールする。把持部2aは、把持に適し、滑止ともなる凹凸部2b、2cを備える。
【0036】
底板3は、主に図7に示すように、ヘッド部2eの突起2gの上に載置され、突起2gのネジ穴2hに対応する貫通孔3cを備える円盤状の底部3aと、底部3aの上面に立設し中央に流路3bを備え内部に上側が広く下側が狭い段差部3iを有する筒状の内縁3gと、底部3aの外周に立設した外縁3hとからなる。
【0037】
底部3aの上面の貫通孔3cの左右には、突起3dが突出して底部3aの強度を保つ。さらに、底部3aの底面には内縁3gの底部を円形に囲う第一突条3e、第一突条3eに接続するとともに貫通孔3cをU字状に囲む第二突条3fが隆起し、成型後、金型から底板3を型抜きする際の底部3aの歪みを防止する。
【0038】
底板3の段差部3iより上側の広い径の部分にトルネードプレート4が収納され、段差部3iで係止された上で、底部3aの上面の内縁3gと外縁3hの間の底部3aには、図3、4等に示すように、押さえ板5がマイクロバブル生成器6を装着して嵌められ、留具2nでヘッド部2eの内部の突起2gに固定される。
【0039】
トルネードプレート4は、主に図8に示すように、円盤状の本体4aと、本体4aを上下に貫通し水道水に回転を加え旋回流にさせ流速を上げるため、例えば15°偏芯した4つの穴4bとからなる。本体4aは、例えば、樹脂などを成型して作ることができる。トルネードプレート4は、底板3の内縁3g内の段差部3iに係止され底板3内に嵌められる。
【0040】
押さえ板5は、主に図9、10に示すように、底板3の貫通孔3c及びヘッド部2eの突起2gのネジ穴2hに対応した貫通穴5b、中央に穴5dを備える円盤状のプレート部5aと、プレート部5aの上面の中央に立設し内部に穴5d及び第一内段差部5iを備える筒部5cと、プレート部5aの底面の穴5d周辺に第二内段差部5kを形成して立設した内縁5eと、プレート部5aの底面の外周に段差部5g形成して立設した外縁5fと、外縁5fと同じ高さまで突出した貫通穴5b周辺に立設した凸条5hとからなる。凸条5hは貫通穴5bを形成し、その周辺の強度確保として機能する。
【0041】
第一内段差部5iには、図3、4に示すように、マイクロバブル生成器6の第一凸条6gが係止される。第二内段差部5kは、図3、4に示すように、底板3の内縁3gが係止される。内縁5e及び外縁5fは、底板3の底部3aに嵌る。段差部5gには、図3、4に示すように、パッキン5mが嵌り、押さえ板5とヘッド部2eとの隙間をシールする。
【0042】
マイクロバブル生成器6は、主に図11に示すように、押さえ板5の穴5d内に収納され、水道水の入口側端部から中心部にいくにしたがって内径が徐々に狭まる第一流路6bを備え、外周面には端部側に第二凸条6h、第二凸条6hより中心側に第一凸条6gを備え、第二凸条6hと第一凸条6gの間が窪んだ溝6iとなる第一筒部6aと、第一流路6bに接続する第二流路6dを備える第二筒部6cと、第二流路6dに接続し出口側他端に向け内径が徐々に広がり端部が水道水をシャワー状に吐出させる噴出口6mとなる第三流路6fを備える第三筒部6eとからなる。
【0043】
図3、4に示すように、第一凸条6gは、押さえ板5の第一内段差部5iに係止され、溝6iにはパッキン6kが嵌められ、押さえ板5とマイクロバブル生成器6との隙間をシールする。
【0044】
第二凸条6hにはトルネードプレート4が係止され、留具2nで、押さえ板5をヘッド部2eの突起2gのネジ穴2hに固定することで、マイクロバブル生成器6及びトルネードプレート4が位置固定される。
【0045】
トルネードプレート4及びマイクロバブル生成器6の形状に伴い、噴出口6mから吐出された水道水は、散水板がなくとも、シャワー状或いはスプレー状になり、利用者は、一般的なシャワー水と同様なシャワー感を得ることができる。
【0046】
キャップ7は、主に図12に示すように、内部空洞7eで両端が開口7c、7dしたシャワー噴出側が狭い筒状の本体7aと、反噴出側の一端の内部に設けられたネジ部7bと、噴出側の外側に設けられたネジ部7fとからなる。
【0047】
ネジ部7bは、図3、4に示すように、本体2のヘッド部2eの第二ネジ部2kに螺合し、内部空洞7eにマイクロバブル生成器6を収納する。キャップ7の長さは、マイクロバブル生成器6よりも長い。これによりマイクロバブル生成器6が、頭部に当たり怪我することを防ぎ、床などにぶつかり破損することを防ぐ。
【0048】
このようにしてなる散水板を備えなくてもシャワー体感を得られるシャワーヘッド1は、把持しやすく、また、水道水に外部から空気を吸引、注入されることなく、また水道水を高圧に加圧することなく、その他マイクロバブル生成のための特別な処理をすることなく、水道水からマイクロバブルを発生させるとともに、また組み立てが容易で、シャワー体感可能な散水板を備えなくてもシャワー体感を得られるシャワーヘッドとなる。
【0049】
本願シャワーヘッドの構造は散水板を備えなくてもシャワー体感を得られることができることを特徴としているが、給水給湯圧が高い場合や、もっと優しいシャワー体感が必要に場合を想定して、散水板を取り付けることも可能な構造としてある。
【0050】
なお、シャワー圧の低減を図るとともに、散水板ではなく、メッシュ状の網などをキャップ7の先端部に螺合等で着脱可能に固定することもできる。例えば、線径20、40ピッチのメッシュ状の網を取り付ければシャワーが線状ではなく、水玉状となって吐水され、快適なマイクロバブルのシャワー圧が得られる。このような、メッシュ状の網を通常はシャワーヘッドの散水板とはいわない。
【符号の説明】
【0051】
1 散水板を備えなくてもシャワー体感を得られるシャワーヘッド
2 本体
2a 把持部
2b 凹部
2c 凸部
2d 第一ネジ部
2e ヘッド部
2f 開口
2g 突起
2h ネジ穴
2i 流路
2k 第二ネジ部
2m パッキン
2n 留具
3 底板
3a 底部
3b 流路
3c 貫通孔
3d 突起
3e 第一突条
3f 第二突条
3g 内縁
3h 外縁
3i 段差部
4 トルネードプレート
4a 本体
4b 穴
5 押さえ板
5a プレート部
5b 貫通穴
5c 筒部
5d 穴
5e 内縁
5f 外縁
5g 段差部
5h 凸条
5i 第一内段差部
5k 第二内段差部
5m パッキン
6 マイクロバブル生成器
6a 第一筒部
6b 第一流路
6c 第二筒部
6d 第二流路
6e 第三筒部
6f 第三流路
6g 第一凸条
6h 第二凸条
6i 溝
6k パッキン
6m 噴出口
7 キャップ
7a 本体
7b ネジ部
7c 開口
7d 開口
7e 空洞
7f ネジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12