(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記二酸化炭素選択分離ユニットが、非晶質フッ素樹脂膜、非晶質ペルフルオロポリマー膜、ランダムフルオロコポリマー膜、全フッ素置換コポリマー膜、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載の濃縮装置。
前記酸性ガス流体が、メルカプタン、チオール、硫化カルボニル、二硫化炭素、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される汚染物質を更に含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の濃縮装置。
前記硫化水素富化流体を、前記硫化水素選択分離ユニットと流体連通する二酸化炭素選択分離ユニットに供給し、前記二酸化炭素選択分離ユニットが、前記硫化水素富化流体を分離するように作動可能であるステップと、
前記硫化水素富化流体を分離して、二酸化炭素富化透過分および硫化水素富化残留分を生成し、前記硫化水素富化残留分が硫化水素濃度を有するステップと、
前記硫化水素富化残留分を、前記クラウスユニットの前記炉に供給するステップと、
を更に備える、請求項9に記載の方法。
前記二酸化炭素選択分離ユニットが、非晶質フッ素樹脂膜、非晶質ペルフルオロポリマー膜、ランダムフルオロコポリマー膜、全フッ素置換コポリマー膜、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
前記炭化水素富化流体を、前記炭化水素富化流体から炭化水素を回収するように作動可能であるBTX回収工程に供給するステップを更に含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
前記酸性ガス流体が、メルカプタン、チオール、硫化カルボニル、二硫化炭素、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される汚染物質を更に含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
クラウスユニットは、硫化水素を含有する酸性ガス流体から硫黄元素形態の硫黄を回収するための一次処理システムである。硫化水素ガスは、天然ガスで自然に発生するか、ガス処理システムで副産物として発生する。硫化水素は毒性が非常に高く、流体ガス流体からの除去および処理が必要である。排出を削減し、厳格化する燃料規制に合致させ、ますます深まる環境への懸念に対応するためには、硫化水素や他の硫黄含有化合物を効率的に処理する必要性が高まっている。硫黄含有種から回収する極限状態は硫黄元素である。
【0003】
クラウスユニットでは、硫化水素を含有する酸性ガス供給流と空気等の酸素供給源を炉に供給する。酸性ガス供給流体は広範な組成を有する。多くの酸性ガス供給流体は、アミン吸収等の溶媒吸収工程から始まる。
【0004】
吸収工程では、石油精製、天然ガス処理、および他の工業処理の副生ガスから硫化水素を抽出する。酸性ガス供給流体はまた、サワー水ストリッピングユニット(硫黄酸化物含有水の軽質留分除去装置)に由来する場合もある。
【0005】
硫化水素は、炉に供給されると、部分燃焼を起こして、硫黄、二酸化硫黄、および水を形成する。クラウス反応を効率的に実施できるよう、炉の温度プロファイルは、850〜1,200℃の範囲に維持する。汚染物質を完全に燃焼するため、950℃を超える温度が必要である。到達温度は、二酸化炭素(CO
2)、水(H
2O)、炭化水素、および他の硫黄含有化合物等の、供給中に存在する他の成分により異なる。可燃性ガスは、燃焼により温度を上昇させやすく、不活性ガスは、希釈により温度を低下させやすい。硫化水素の硫黄への変換は温度作用によるため、温度は重要な工程パラメータであるが、圧力が果たす役割は少ない。炉での滞留時間は、典型的にはおよそ0.5秒である。
【0006】
燃焼生成物の比率は、炉で利用可能な酸素量により異なる。炉で形成される他の生成物としては、水素、硫化カルボニル、および二硫化炭素を挙げることができる。炉では、酸性ガス流体に存在するメルカプタン等の汚染物質も分解される。
【0007】
反応生成物を第1の凝縮器に供給し、硫黄元素を凝縮、分離し、硫黄ピットに収集する。ガス生成物を再加熱し触媒コンバータに供給する。触媒コンバータは、約305℃の平均温度に維持する。触媒床破損回避のため出口温度を制限する必要があり、温度には制限がある。触媒コンバータでは、硫化水素が二酸化硫黄と触媒の存在下で反応して、硫黄元素および水を形成する。触媒コンバータからの生成物を再び凝縮器に供給し、硫黄元素を凝縮し、硫黄ピットに収集する。工程の最後に、焼却炉を設ける。
【0008】
加熱段階、触媒段階、および凝縮段階は、繰り返すことができる。従来のクラウスユニットでは、こうした段階は最大で3回繰り返され、硫化水素ガス変換率は、供給組成に応じて96〜98%となる。改変型クラウスユニットでは、工程の最後には、最終触媒コンバータと焼却炉との間に排ガス処理ユニットを設けている。排ガス処理ユニットを有する構成では、加熱段階、触媒段階、および凝縮段階は、通常2回しか繰り返さない。排ガス処理ユニットを有する改変型クラウスユニットでは、硫化水素の硫黄元素への変換は、最大99.9%を達成することができる。排ガス処置ユニットにより、焼却炉からの二酸化硫黄排出が最小限に抑えられる。
【0009】
全体的なエネルギー効率を向上させるため、廃熱ボイラおよび凝縮器の蒸気発生等の熱捕捉工程をクラウスユニットと組み合わせることができる。
【0010】
硫黄元素への反応および他の汚染物質の破壊を確実に行うため、炉の温度を維持することが重要である。上述のように、炉温度は供給流体の組成に影響を受けるが、特に供給流体の硫化水素濃度に著しい影響を受ける。酸性ガス流体の硫化水素濃度が約55体積%未満であると、炉の温度プロファイルが低下する。硫化水素濃度は、酸性ガスの汚染物質量により変化する。汚染物質の種類や量は、酸性ガス発生の供給源や、クラウスユニットで処理する酸性ガスを生成した処理工程により変化する。
【0011】
供給流体の汚染物質としては、炭化水素が挙げられる。炭化水素は、クラウスユニットで各種問題を発生させる。第1に、C−H結合は一般的にS−H結合よりも強いため、炭化水素が完全に燃焼するか不明であり、炭化水素が炉から触媒ユニットに持ち越される場合がある。第2に、炭化水素は競合副反応に寄与し、一酸化炭素(CO)、二硫化炭素(CS
2)、硫化カルボニル(COS)、および炭素元素を生成する可能性がある。第3に、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、またはキシレン(BTEXまたはBTX)を含むもの等の炭化水素燃焼工程の場合、炉を高温に維持しなければならない。硫化水素濃度が低いため炉温が低くなり過ぎると、温度が十分ではなく、BTEX分解反応が生じない場合がある。BTXは、触媒コンバータの触媒に閉塞効果を示すため、BTXを除去しておくことが重要である。触媒床にて触媒が炭素化合物により被毒すると、活性の喪失および高い圧力損失がもたらされ、頻繁な触媒の再生および置換が必要となる。
【0012】
現在、こうした懸念に取り組む工程が存在するが、全て欠点を有する。供給流体の硫化水素濃度が低い場合、酸性ガスバイパスまたは分流を使用する。分流操作は、流体の一部をクラウスユニットの炉に送出し、残りの流体は、触媒コンバータに直接送出する。分流には2つの欠点がある。第1に、バイパスには供給ガスの3分の2という上限があり、抑制条件下で炉を作動させる必要がある。第2に、汚染物質の存在量が増加することにより、触媒コンバータの効率が低下し、触媒の不活化および閉塞に繋がる。
【0013】
工程流からBTEXを分離するため活性炭を使用できる。しかし、活性炭の再生が必要となり、再生工程中にクラウスユニットへの供給条件を変更するか、供給を完全に停止しなければならない。硫化水素濃度を高めるためアミンや溶媒濃縮工程で溶媒吸収を使用する。しかし、アミン濃縮工程では液体を導入するため、大がかりな保守が必要となり、作動および溶媒再生に大量のエネルギーが必要となる。
【0014】
酸素濃縮または空気濃縮によりクラウスユニットの火炎温度を上昇させることができるが、追加の酸素および酸素回収ユニットの費用が必要となる。また、天然ガスを炉に注入すると温度を上昇させることができるが、供給に混入する汚染物質や潜在的な競合副反応成分量が増加する場合があり、クラウスユニットが大型になる場合がある。供給ガスを予熱して炉の温度を確保する方法では、更なるエネルギー消費が必要であり、コストが大幅に増加する。
【0015】
したがって、酸性ガス流体の硫化水素濃度を濃縮し、過剰のエネルギー、設備、材料、工程停止を必要とせずに汚染物質を除去する工程が求められている。好ましくはそのような工程により、クラウスユニットの全体的な硫黄容量を維持すると共に、汚染物質の除去や低減により全体的な硫黄回収効率を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
幾つかの実施形態を用いて本発明を説明することになるが、関連分野の当業者であれば、本明細書に記載されている装置および方法の多くの例、改変、および変更は、本発明の範囲および趣旨内にあることを認識すると理解されたい。したがって、本明細書に記載されている本発明の例示的な実施形態は、特許請求されている発明の一般性を一切失うことなく、特許請求されている発明に限定を課すことなく示されている。
【0032】
図1は濃縮装置100の工程フロー図であり、酸性ガス流体10の硫化水素濃度を濃縮して、硫化水素富化流体18を生成し、クラウスユニット200に供給するフローを示す。酸性ガス流体10を濃縮装置100に供給する。酸性ガス流体10は、硫化水素(H
2S)を含有する任意のガス流体である。本発明の少なくとも1つの実施形態では、酸性ガス流体10は、アミンユニットの排出口からの流体である。本発明の少なくとも1つの実施形態では、酸性ガス流体10は、H
2Sを約55体積%未満含有する。本発明の幾つかの実施形態では、酸性ガス流体10はH
2Sを、約15体積%〜約55体積%、約15体積%〜約40体積%、約15体積%〜約30体積%、約15体積%〜約25体積%、15体積%〜約20体積%、約25体積%〜約40体積%含有する。本発明の少なくとも1つの実施形態では、酸性ガス流体10は、約15体積%を超えるH
2Sを含有する。酸性ガス流体10は、H
2S、二酸化炭素(CO
2)、炭化水素、および他の汚染物質を含有する。本発明の少なくとも1つの実施形態では、酸性ガス流体10に存在する炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、およびキシレンが挙げられ、これらは、BTEXまたはBTXと総称される。本明細書で使用される場合、BTEXは、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、およびキシレンの組み合わせが流体中に存在することを意味し、これら成分の1つまたは複数が存在しない場合も含まれることを意味する。本発明の幾つかの実施形態では、酸性ガス流体10に存在する炭化水素としては、アルカン、アルケン、オレフィン、およびBTEXが挙げられる。本発明の幾つかの実施形態では、酸性ガス流体10に存在する汚染物質としては、メルカプタン、チオール、硫化カルボニル、二硫化炭素、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0033】
濃縮装置100は、酸性ガス流体10の成分を分離して、CO
2が豊富な流体、炭化水素が豊富な流体、およびH
2Sが豊富な流体を生成する。本発明の少なくとも1つの実施形態では、CO
2が豊富な流体は、硫化水素希薄流体16であり、炭化水素が豊富な流体は、炭化水素富化流体14であり、H
2Sが豊富な流体は、硫化水素富化流体18である。硫化水素希薄流体16は、H
2Sおよび他の成分に加えて、CO
2を含有する。硫化水素希薄流体16は、約50体積%〜約99体積%のCO
2、約75体積%〜約99体積%のCO
2、約96体積%を超えるCO
2を含有する。本発明の少なくとも1つの実施形態では、硫化水素希薄流体16には、BTEX成分が存在しない。硫化水素希薄流体16をクラウスユニット200の触媒段階220の触媒コンバータ(非表示)に供給する。硫化水素希薄流体16を触媒コンバータに直接供給することにより、触媒コンバータに希釈ガスを提供し、炉で硫化カルボニル(COS)および二硫化炭素(CS
2)を形成する炭素源を除去できる。硫化水素希薄流体16を供給するクラウスユニット200の触媒コンバータは、希薄流体16の硫化水素の濃度または触媒コンバータ内での希釈必要性に作用する。
【0034】
炭化水素富化流体14は、酸性ガス流体10に存在するBTEXを含む。炭化水素富化流体14は、C
2+アルカン、アルケン、オレフィン、および芳香族化合物等の他の炭化水素、H
2S、CO
2、および酸性ガス流体10に存在する他の汚染物質を含む。炭化水素富化流体14をクラウスユニット200の炉210に供給する。本発明の幾つかの実施形態では、炭化水素富化流体14は、焼却炉等の代替処分操作へ送る。幾つかの実施形態では、炭化水素富化流体14をBTX回収工程(非表示)に送り、さらに炭化水素を回収する。ΒTΧ回収工程は、工程流体からBTEXおよび他の炭化水素を分離可能な任意の工程である。BTX回収工程で炭化水素回収処理ユニットとしては、凝縮ユニット、吸着ユニット、吸収ユニットが挙げられる。回収したBTEXは、更に処理してもよく、販売用に加工してもよく、または貯蔵所に送ってもよい。
【0035】
硫化水素富化流体18をクラウスユニット200の炉210に供給する。硫化水素富化流体18は、CO
2および炭化水素に加えて、酸性ガス流体10に存在するH
2Sを含有する。硫化水素富化流体18は、酸性ガス流体10と比較して、より高い濃度のH
2Sを有する。本発明の幾つかの実施形態では、硫化水素富化流体18中のH
2S濃度は、約25体積%より高く、約30体積%より高く、約35体積%より高く、約40体積%より高く、約45体積%より高く、約50体積%より高く、約55体積%より高く、約56体積%より高く、約57体積%より高く、約58体積%より高く、約60体積%より高い。
【0036】
クラウスユニット200では、炉210の供給空気60を使用して、炭化水素富化流体14および硫化水素富化流体18を処理する。本発明の幾つかの実施形態では、炭化水素富化流体14および硫化水素富化流体18は、別々にクラウスユニット200の炉210に導入することができる。本発明の幾つかの実施形態では、炭化水素富化流体14および硫化水素富化流体18は、クラウスユニット200の炉210の上流で混合して、1つの混合流体をクラウスユニット200に供給することができる。クラウスユニット200では、廃ガス流体70および硫黄元素流体80を生成する。
【0037】
当業者であれば、クラウスユニットは周知の処理システムであり、クラウスユニットに関連するシステム設備は、工程現場の必要性および配置に基づいて設計できることを認識する。本発明は、既存のクラウスユニットと共に、または改造クラウスユニットの一部として使用することができる。したがって、本発明では、クラウスユニット200が、当業者に公知の類似の基本要素を含むことが企図される。
【0038】
本発明の幾つかの実施形態では、炭化水素富化流体14および硫化水素富化流体18は、炉210に供給される前に混合できる(非表示)。流体を混合する実施形態では、混合流体の硫化水素濃度は、約25体積%より高く、約30体積%より高く、約35体積%より高く、約40体積%より高く、約45体積%より高く、約50体積%より高く、約55体積%より高く、約56体積%より高く、約57体積%より高く、約58体積%より高く、約60体積%より高い。
【0039】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、炭化水素富化流体14は、950℃を超える、あるいは1000℃を超える、さらに1050℃を超える温度を有する炉210の区画に供給できる。本発明の実施形態によると、濃縮装置100は、炭化水素富化流体14のBTEXおよび他の汚染物質を濃縮し、硫化水素富化流体18の硫化水素を濃縮し、硫化水素希薄流体16の二酸化炭素を濃縮する。種々の流体の成分を濃縮することにより、クラウスユニットの適所に誘導供給でき、必要に応じて成分を除去または回収できる。例としては、炭化水素富化流体14中の炭化水素および他の汚染物質を濃縮することにより、950℃を超える温度を有する炉210の区画に流体を直接供給できる。硫化水素富化流体18の硫化水素が濃縮されているため、炉210の区画を、950℃を超える温度に維持することが容易になる。
【0040】
図2は、濃縮装置100の一実施形態を提供する。炭化水素選択分離ユニット102は、酸性ガス流体10を炭化水素富化流体14と精製酸性ガス流体12とに分離する。本発明の少なくとも1つの実施形態では、炭化水素選
択分離ユニット102は、ゴム状膜である。本明細書で使用される場合、「ゴム状」は、10
5〜10
7Pa(10
6〜10
8dyn/cm
2)の範囲のヤング率を有するポリマーを指す。本発明の少なくとも1つの実施形態では、炭化水素選択分離ユニット102は、シリコーンゴムポリジメチルシロキサン(PDMS)型ゴム状ポリマーである。本発明の少なくとも1つの実施形態では、二酸化炭素のゴム状膜の透過度は、3,200バーラー(Barrer)であり、二酸化炭素に対するトルエンの選択率は456である。本発明の少なくとも1つの実施形態では、炭化水素選択分離ユニット102は、圧力スイング吸着(PSA)工程である。少なくとも1つの実施形態では、PSA工程では、吸着剤として活性炭を使用する。本発明の少なくとも1つの実施形態では、炭化水素選択分離ユニット102は、温度スイング吸着(TSA)工程である。本発明の少なくとも1つの実施形態では、TSA工程では、吸着剤として活性炭を使用する。本発明の少なくとも1つの実施形態では、炭化水素選択分離ユニット102は、凝縮吸収工程である。
図1を参照して説明したようにクラウスユニット200に炭化水素富化流体14を供給する。
【0041】
精製酸性ガス流体12は、酸性ガス流体10に存在するH
2SおよびCO
2のほとんどを含有する。精製酸性ガス流体12を硫化水素選択分離ユニット106に供給する。硫化水素選択分離ユニット106は、精製酸性ガス流体12を、透過分流体としての硫化水素富化流体18および残留分流体としての硫化水素希薄流体16に分離する。
【0042】
硫化水素選択分離ユニット106は、酸性ガス流体10から硫化水素を分離することが可能な任意の膜である。例示的な膜としては、ポリホスファゼン、ポリエーテル−ポリアミドコポリマー、イオン性液膜、およびイオン性液膜コンタクタに基づく膜が挙げられる。
【0043】
イオン性液膜は、液体イオン化合物でドープされている膜である。液体イオン化合物は、硫化水素に優先的な溶解性を有する。液体イオン化合物は、以下の構造式を有する。
【化1】
(式I)
【0044】
式中、R
1は、−H、−CH
2−CH
2−CF
3、−CH
2−CH
2−CH
2F、−CH
3、−CH
2−CH
3、プロピル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、C
9−C
18アルキル、アルケニル、およびシクロアルキルからなる群から選択され、R
2は、−H、−CH
2−CH
2−CF
3、−CH
2−CH
2−CH
2F、−CH
3、−CH
2−CH
3、プロピル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、C
9−C
18アルキル、アルケニル、およびシクロアルキルからなる群から選択され、Xは、BF
4、PF
6、(CF
3SO
2)N、CF
3(CO)Oからなる群から選択される。
【0045】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、式Iの液体イオン化合物は、R
1が、水素またはC
1−C
18アルキル基から選択され、R
2が、C
1−C
18アルキル基、C
2−C
6アルケニル、C
3−C
6シクロアルキル、C
3−C
8シクロアルケニル、アリール、置換アリール、アリール(C
1−C
4アルキル)、または置換アリール(C
1−C
4アルキル)から選択され、Xが、水酸化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ホウ酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、銅酸塩、Cu(I)Cl
2陰イオン、リン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヘキサフルオロアンチモン酸塩、過塩素酸塩、亜硝酸塩、硝酸塩、硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩、スルホンアミド、およびホスホン酸塩からなる群から選択される陰イオンである。
【0046】
用語「アリール“aryl”」は、酸素、窒素、および硫黄等の1つまたは複数のヘテロ原子を随意に含む、フェニル、ナフチル、およびピリジル等の環式芳香族ラジカルを指す。
【0047】
用語「置換アリール“substituted aryl”」は、アリールの1個から約3個までの水素原子が、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、アルキルアミノ、アルカノイル、シアノ、およびニトロ等の一価基で置換されている、本明細書に記載のアリールを指す。
【0048】
陰イオンとして有用なカルボン酸塩としては、酢酸塩等のアルキルカルボン酸塩、乳酸塩等の置換アルキルカルボン酸塩、およびトリフルオロ酢酸塩等のハロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
【0049】
陰イオンとして有用なスルホン酸塩としては、メシル酸塩等のアルキルスルホン酸塩、トリフル酸塩およびノナフル酸塩等のハロアルキルスルホン酸塩、ならびにトシル酸塩およびメシチル酸塩等のアリールスルホン酸塩等が挙げられる。
【0050】
陰イオンとして有用なスルホンイミドは、メタンスルホンイミドおよびビス−エタンスルホンイミド等の一置換または二置換スルホンイミド、ビス−トリフルオロメタンスルホンイミド等の随意にハロゲン化されているスルホンイミド、およびビス−(4−メトキシベンゼン)スルホンアミド等のアリールスルホンイミド等であってもよい。
【0051】
好ましい実施形態では、硫化水素選択分離ユニット106は、非求核性陰イオンを有する1つまたは複数のフッ素化液体イオン化合物を含浸させたイオン性液膜を含む。
【0052】
本発明に有用な例示的な液体イオン化合物としては、イミダゾリウム塩、ピラゾリウム塩、オキサゾリウム塩、チアゾリウム塩、トリアゾリウム塩、ピリジニウム塩、ピリダジニウム塩、ピリミジニウム塩、およびピラジニウム塩が挙げられる。そのような化合物の例は、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、l−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、l−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、l−オクチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、l−オクチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、l−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフラート、l−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート、およびl−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)、1−トリフルオオプロイル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホンイミド、l−トリフルオオプロイル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファート、1−トリフルオオプロイル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、およびl−トリフルオオプロイル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセタート等である。好ましい実施形態では、イオン性液膜に使用されるフッ素化液体イオン化合物は、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラートである。
【0053】
当業者であれば、硫化水素選択分離ユニット106のサイズ、透過度、および選択率は、システム要件に基づく設計特徴であることを認識するだろう。膜の種類は、膜の所望の透過度および選択率ならびに酸性ガス供給組成を考慮して選択される。硫化水素選択分離ユニット106としての使用に好適な膜は、H
2S/CO
2選択率が約3.0〜約9.5、約3.0〜約7.0、約3.0〜約5.0を有する膜である。
【0054】
図1を参照して説明した通り、硫化水素富化流体18および硫化水素希薄流体16をクラウスユニット200に送る。
【0055】
図3は濃縮装置100の代替実施形態を図示する。上述の要素を参照すると、精製酸性ガス流体12を二酸化炭素選択分離ユニット104に供給する。二酸化炭素選択分離ユニット104は、精製酸性ガス流体12を分離して、透過分に二酸化炭素富化流体30、残留分に二酸化炭素希薄流体32を生成する。二酸化炭素希薄流体32は、CO
2および炭化水素に加えて、酸性ガス流体10に存在するH
2Sを含有する。二酸化炭素希薄流体32をクラウスユニット200の炉に供給する。特定の理論に束縛されるものではないが、二酸化炭素希薄流体32および炭化水素富化流体14を別々に炉に供給することにより、流体を火炎と混合することが可能になり、それにより燃焼が増加し、汚染物質破壊が最大化される。幾つかの実施形態では、二酸化炭素希薄流体32を炉の上流で炭化水素富化流体14と混合し、1つの流体を炉に供給する。本発明の少なくとも1つの実施形態では、二酸化炭素希薄流体32中のH
2Sの濃度は55体積%よりも高い。
【0056】
二酸化炭素選択分離ユニット104は、酸性ガス流体10から二酸化炭素を分離することが可能な任意のタイプの分離膜であってもよい。二酸化炭素選択分離ユニット104の例示的な膜としては、非晶質フッ素樹脂膜、非晶質ペルフルオロポリマー膜、およびランダムフルオロコポリマー膜が挙げられる。本発明の少なくとも1つの実施形態では、二酸化炭素選択分離ユニット104は、ガラス状非晶質フッ素樹脂膜、特に2,2ビス(トリフルオロ−メチル)−4,5ジフルオロ−1,3ジオキソール膜である。本発明の少なくとも1つの実施形態では、二酸化炭素選択分離ユニット104は、ペルフルオロポリマー膜、特にテトラフルオロエチレンおよびペルフルオロメトキシジオキソールのペルフルオロコポリマーである。本発明の少なくとも1つの実施形態では、二酸化炭素選択分離ユニット104は、テトラフルオロエチレンおよびペルフルオロメチルビニルエーテルのゴム状ランダムフルオロコポリマー膜である。二酸化炭素選択分離ユニット104としての使用に好適な膜は、CO
2/H
2S選択率が約3.0から約8.0を有する膜である。
【0057】
二酸化炭素富化流体30は、CO
2、H
2S、炭化水素、および他の汚染物質を含有する。本発明の少なくとも1つの実施形態では、二酸化炭素富化流体30のCO
2の濃度は、70体積%より高く、75体積%より高く、80体積%より高く、85体積%より高く、90体積%より高く、95体積%より高い。二酸化炭素富化流体30をクラウスユニット200の触媒コンバータに供給する。二酸化炭素富化流体30を触媒コンバータに直接供給することにより、触媒コンバータに希釈ガスを提供し、炉でCOSやCS
2を形成する炭素源を除去する。二酸化炭素富化流体30を供給するクラウスユニット200の触媒コンバータは、二酸化炭素富化流体30の二酸化炭素の濃度または触媒コンバータ内での希釈の必要性に作用する。
【0058】
図4は、濃縮装置100の代替実施形態を図示する。上述の要素を参照すると、精製酸性ガス流体12を硫化水素選択分離ユニット106に供給する。硫化水素選択分離ユニット106は、精製酸性ガス流体12を、透過分の硫化水素富化流体18と残留分の硫化水素希薄流体16とに分離する。硫化水素富化流体18を第2の硫化水素選択分離ユニット108に供給する。第2の硫化水素選択分離ユニット108は、硫化水素富化流体18を、透過分の濃縮硫化水素流体22と残留分の二酸化炭素残留分20とに分離する。濃縮硫化水素流体22および炭化水素富化流体14を、クラウスユニット200の炉に供給する。硫化水素希薄流体16および二酸化炭素残留分20は、クラウスユニット200の触媒コンバータに供給する。
【0059】
図5は、濃縮装置100の代替実施形態を図示する。上述の要素を参照すると、濃縮硫化水素流体22および炭化水素富化流体14を混合し、混合炉供給流体24としてクラウスユニット200の炉に供給する。硫化水素希薄流体16および二酸化炭素残留分20を混合し、混合触媒コンバータ供給流体26としてクラウスユニット200の触媒コンバータに供給する。
【0060】
図6は、濃縮装置100の代替実施形態を図示する。上述の要素を参照すると、精製酸性ガス流体12を、二酸化炭素選択分離ユニット104に供給する。二酸化炭素選択分離ユニット104は、精製酸性ガス流体12を、透過分の二酸化炭素富化流体30と残留分中の二酸化炭素希薄流体32とに分離する。二酸化炭素富化流体30を硫化水素選
択分離ユニット106に供給する。硫化水素選
択分離ユニット106は、二酸化炭素富化流体30を、透過分の硫化水素富化透過分34と残留分の二酸化炭素富化残留分36とに分離する。二酸化炭素希薄流体32、硫化水素富化透過分34、および炭化水素富化流体14をクラウスユニット200の炉に供給する。二酸化炭素富化残留分36は、クラウスユニット200の触媒コンバータに供給する。
【0061】
図7は、濃縮装置100の代替実施形態を図示する。上述の要素を参照すると、精製酸性ガス流体12を、硫化水素選択分離ユニット106に供給する。硫化水素選択分離ユニット106は、精製酸性ガス流体12を、透過分の硫化水素富化流体18と残留分の硫化水素希薄流体16とに分離する。硫化水素富化流体18を、二酸化炭素選択分離ユニット104に供給する。二酸化炭素選
択分離ユニット104は、硫化水素富化流体18を、透過分の二酸化炭素富化透過分38と残留分の硫化水素富化残留分40とに分離する。炭化水素富化流体14および硫化水素富化残留分40を、クラウスユニット200の炉に供給する。硫化水素希薄流体16および二酸化炭素富化透過分38は、クラウスユニット200の触媒コンバータに供給する。
【0062】
硫化水素選択分離ユニットや二酸化炭素選択分離ユニット(以下、「分離ユニット」)の総個数や透過分流体、残留分流体の流路を含む分離ユニットの配置は、酸性ガス流体10の組成、および炉や触媒コンバータへ供給する流体に含まれるCO
2やH
2Sの目標濃度により異なる。本発明の少なくとも1つの実施形態では、2個を超える分離ユニットを直列で配置する。
【0063】
本発明の膜には、メタノールは存在していない。本発明の少なくとも1つの実施形態では、硫化水素選択分離ユニット106に選択溶媒吸収工程は存在しない。本発明の少なくとも1つの実施形態では、本発明の膜には、定常状態操作の一部としての再生ステップは存在しない。
【0065】
実施例の多種分離ユニットで使用する膜の種類を参照する。表1は、本発明の分離ユニットに有用な膜の例を挙げ、特定の特性を一覧に示す。表1のデータは、独立して測定したデータから収集した。ポリエーテル−ポリアミドコポリマーの例は、Pebax(登録商標)ポリマーで製作した膜である。非晶質フッ素樹脂の例は、DuPont(商標)テフロン(登録商標)樹脂を使用して製作した膜である。ポリホスファゼン1、2、3は、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール(MEE)、4−メトキシフェノール、および2−アリフェノールとのコポリマーである。
【0067】
表2は、実施例で使用する炭化水素選択分離ユニット102の透過係数を示す。
【0069】
[実施例1]
実施例1は、
図2に示す構成に基づいてシミュレートした。37.78℃で29.70psiaのアミン分離工程からの酸性ガス流体10を、248.52MMscfd(292.66Msm
3/h)の速度で炭化水素選択分離ユニット102に供給した。炭化水素選択分離ユニット102は、H
2S/CO
2選択率が1.6でBTX透過度が100cm
3/(cm
2・s・psia)を有するPDMS型ゴム状ポリマー膜として形成した。成分の透過係数については、表2を参照されたい。炭化水素選
択分離ユニット102は、透過分中の炭化水素富化流体14および残留分中の精製酸性ガス流体12を生成した。その後、精製酸性ガス流体12を硫化水素選択分離ユニット106に供給した。硫化水素選択分離ユニット106の特性は、Pebax(登録商標)1657、またはH
2S/CO
2選択率1.6でBTX透過度100cm
3/(cm
2・s・psia)を有するポリホスファゼン型膜に基づいて形成した。硫化水素選択分離ユニット106は、精製酸性ガス流体12を、透過分の硫化水素富化流体18と残留分の硫化水素希薄流体16とに分離した。硫化水素富化流体18および炭化水素富化流体14を、クラウスユニット200の炉に供給した。硫化水素希薄流体16を、クラウスユニット200の触媒コンバータに供給した。炉への流体は、総H
2S濃度が28%を超えていた。特定の流体について得た成分濃度vol%を表3に示す。
【0071】
[実施例2]
実施例2は、
図2および実施例1に記載のシミュレーションパラメータを参照して、H
2S/CO
2選択率が3.18を有するゴム状型膜として硫化水素選択分離ユニット106を形成した。特定成分についての硫化水素選
択分離ユニット106の透過係数を表4に示す。炭化水素富化流体14および硫化水素富化流体18をクラウスユニット200の炉に供給した。流体の総H
2S濃度は30%を超えていた。特定の流体について、得られた成分濃度をvol%で表5に示す。
【0074】
[実施例3]
実施例3は、
図2および実施例1に記載のシミュレーションパラメータを参照して、H
2S/CO
2選択率5.0を有するPebax(登録商標)型膜として硫化水素選択分離ユニット106を形成した。特定成分についての硫化水素選択分離ユニット106の透過係数を表6に示す。炭化水素富化流体14および硫化水素富化流体18をクラウスユニット200の炉に供給した。流体の総H
2S濃度は約40%を超えていた。特定の流体について、得られた成分濃度をvol%で表7に示す。
【0077】
[実施例4]
実施例4は
図3に示す通り、一工程の二酸化炭素選択分離ユニット104と接続した炭化水素選択分離ユニット102としてシミュレートした。37.78℃で29.70psiaの酸性ガス流体10を、炭化水素選択分離ユニット102に供給した。炭化水素選
択分離ユニット102は、H
2S/CO
2選択率1.6でBTX透過度100cm
3/(cm
2・s・psia)有するPDMS型ゴム状ポリマー膜として形成した。炭化水素選択分離ユニット102の透過係数は、表2を参照されたい。炭化水素選
択分離ユニット102は、酸性ガス流体10を、透過分の炭化水素富化流体14と残留分の精製酸性ガス流体12とに分離した。精製酸性ガス流体12を、二酸化炭素選
択分離ユニット104に供給した。二酸化炭素選
択分離ユニット104は、CO
2/H
2S選択率が6のガラス状型膜として形成した。特定成分について、二酸化炭素選択分離ユニット104の透過係数を表8に示す。二酸化炭素選
択分離ユニット104は、精製酸性ガス流体12を、透過分の二酸化炭素富化流体30と残留分の二酸化炭素希薄流体32とに分離した。二酸化炭素希薄流体32および炭化水素富化流体14を、クラウスユニット200の炉に供給した。二酸化炭素富化流体30を、クラウスユニット200の触媒コンバータに供給した。炉への流体の総H
2S濃度は30%を超えていた。特定の流体について、得られた成分濃度を表9に示す。
【0080】
[実施例5]
実施例5は、
図4に示す工程図の配置を使用してモデル化した。37.78℃で29.70psiaのアミン分離工程からの酸性ガス流体10を、248.47MMscfd(274.23Msm
3/h)の速度で炭化水素選択分離ユニット102に供給した。炭化水素選択分離ユニット102は、H
2S/CO
2選択率1.6でBTX透過度100cm
3/(cm
2・s・psia)を有するPDMS型ゴム状ポリマー膜として形成した。特定成分の透過係数については、表2を参照されたい。炭化水素選択分離ユニット102は、酸性ガス流体10を、透過分の炭化水素富化流体14と残留分の精製酸性ガス流体12とに分離した。その後、精製酸性ガス流体12を、硫化水素選択分離ユニット106に送出した。硫化水素選択分離ユニット106の特性は、Pebax(登録商標)1657、またはH
2S/CO
2選択率3.99を有するポリホスファゼン型膜に基づいて形成した。硫化水素選択分離ユニット106における特定成分の透過係数を表10に示す。硫化水素選
択分離ユニット106は、精製酸性ガス流体12を、透過分の硫化水素富化流体18と残留分の硫化水素希薄流体16とに分離した。硫化水素富化流体18を、第2の硫化水素選択分離ユニット108に供給した。第2の硫化水素選択分離ユニット108の特性は、Pebax(登録商標)1657、またはH
2S/CO
2選択率3.99を有するポリホスファゼン型膜に基づいて形成した。第2の硫化水素選択分離ユニット108における特定の成分の透過係数を表10に示す。第2の硫化水素選択分離ユニット108は、硫化水素富化流体18を透過分中の濃縮硫化水素流体22と残留分中の二酸化炭素残留分20とに分離する。
【0082】
濃縮硫化水素流体22および炭化水素富化流体14を、クラウスユニット200の炉に供給した。硫化水素希薄流体16および二酸化炭素残留分20を、クラウスユニット200の触媒コンバータに供給した。炉への流体の総H
2S濃度は55%を超えていた。表11に特定流体の組成をvol%で示す。
【0084】
[実施例6]
実施例6は、
図5および実施例5を参照して説明したシミュレーションパラメータについて、硫化水素選択分離ユニット106および第2の硫化水素選択分離ユニット108を、Pebax(登録商標)4011、Pebax(登録商標)1074、ポリホスファゼン型膜あるいはH
2S/CO
2選択率5.0を有するイオン性液膜/イオン性液膜コンタクタ型膜に基づいて形成した。表12に硫化水素選択分離ユニット106および第2の硫化水素選択分離ユニット108の透過係数を示す。
【0086】
濃縮硫化水素流体22および炭化水素富化流体14を混合し、混合炉供給流体24としてクラウスユニット200の炉に供給する。混合炉供給流体24のH
2S濃度は55%を超える。硫化水素希薄流体16および二酸化炭素残留分20を混合し、混合触媒コンバータ供給流体26としてクラウスユニット200の触媒コンバータに供給する。特定流体について、得られた成分濃度を体積%で表13に示す。
【0088】
[実施例7]
実施例7は、
図6に示す構成に基づいてシミュレートした。37.78℃で29.70psiaの酸性ガス流体10を、248.5MMscfd(292.66Msm
3/h)の速度で炭化水素選択分離ユニット102に供給した。炭化水素選択分離ユニット102は、H
2S/CO
2選択率1.6でBTX透過度100cm
3/(cm
2・s・psia)のを有するPDMS型ゴム状ポリマー膜として形成した。炭化水素選択分離ユニット102は、酸性ガス流体10を、透過分の炭化水素富化流体14と残留分中の精製酸性ガス流体12とに分離した。その後、精製酸性ガス流体12を、二酸化炭素選択分離ユニット104に供給した。二酸化炭素選択分離ユニット104は、CO
2/H
2S選択率6を有するガラス状型膜として形成した。二酸化炭素選択分離ユニット104は、精製酸性ガス流体12を、透過分の二酸化炭素富化流体30と残留分の二酸化炭素希薄流体32とに分離した。二酸化炭素富化流体30を、硫化水素選択分離ユニット106に供給する。硫化水素選
択分離ユニット106は、Pebax(登録商標)4011、Pebax(登録商標)1074、ポリホスファゼンに基づく、イオン性液膜、またはH
2S/CO
2選択率5.0を有するイオン性液膜コンタクタ型膜である。特定成分について、二酸化炭素選択分離ユニット104および硫化水素選択分離ユニット106の透過係数を表14に示す。硫化水素選択分離ユニット106は、二酸化炭素富化流体30を、透過分の硫化水素富化透過分34と残留分の二酸化炭素富化残留分36とに分離した。二酸化炭素希薄流体32、硫化水素富化透過分34、および炭化水素富化流体14を、クラウスユニット200の炉に供給した。二酸化炭素富化残留分36を、クラウスユニット200の触媒コンバータに供給した。炉への流体の総H
2S濃度は40%を超えていた。特定流体について、得られた成分濃度を表15に体積%で示す。
【0091】
[実施例8]
実施例8は、
図7に示す構成に基づいてシミュレートした。37.78℃で29.70psiaの酸性ガス流体10を、248.5MMscfd(292.66Msm
3/h)の速度で炭化水素選択分離ユニット102に供給した。炭化水素選択分離ユニット102は、H
2S/CO
2選択率1.6でBTX透過度100cm
3/(cm
2・s・psia)を有するPDMS型ゴム状ポリマー膜として形成した。炭化水素選択分離ユニット102は、酸性ガス流体10を、透過分の炭化水素富化流体14と残留分の精製酸性ガス流体12とに分離した。その後、精製酸性ガス流体12を、硫化水素選択分離ユニット106に供給した。硫化水素選択分離ユニット106の特性は、Pebax(登録商標)4011、Pebax(登録商標)1074、H
2S/CO
2選択率5.0を有するポリホスファゼン型膜、イオン性液膜、またはイオン性液膜コンタクタ型膜に基づいて形成した。硫化水素選択分離ユニット106は、精製酸性ガス流体12を、透過分の硫化水素富化流体18と残留分の硫化水素希薄流体16とに分離した。硫化水素富化流体18を、二酸化炭素選択分離ユニット104に供給した。二酸化炭素選択分離ユニット104は、CO
2/H
2S選択率6.0を有するガラス状型膜として形成した。硫化水素選択分離ユニット106および二酸化炭素選択分離ユニット104の透過係数を表16に示す。二酸化炭素選択分離ユニット104は、硫化水素富化流体18を、透過分の二酸化炭素富化透過分38と残留分の硫化水素富化残留分40とに分離した。炭化水素富化流体14および硫化水素富化残留分40を、クラウスユニット200の炉に供給した。硫化水素希薄流体16および二酸化炭素富化透過分38を、クラウスユニット200の触媒コンバータに供給した。炉への流体の総H
2S濃度は68%を超えていた。特定流体について、得られた成分濃度を表17に体積%で示す。
【0094】
[実施例9]
実施例9は、特定流体の成分濃度に対する膜表面の効果を観察した。
図7、および実施例8を参照して説明したシミュレーションパラメータを参照して、実施例9では、硫化水素選択分離ユニット106および二酸化炭素選択分離ユニット104に使用する膜を、実施例8で使用した表面積の1.55倍の全表面積で形成した。炉への流体の総H
2S濃度は58%を超えていた。触媒コンバータへの流体の総H
2Sは7.2%未満であった。
【0096】
本発明を詳細に記載したが、本発明の原理および範囲から逸脱せずに、それに種々の変更、置換、および改変をなすことができることが理解されるべきである。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲およびその適切な法的均等物により決定されるべきである。
【0097】
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「この(the)」は、状況が明白にそうではないと示さない限り、複数の指示物を含む。
【0098】
「随意の」または「随意に」は、その後に記載される事象または状況が、生じてもよく、または生じなくともよいことを意味する。この記載は、事象または状況が生じる場合および生じない場合を含む。
【0099】
範囲は、本明細書中では、およそ1つの特定の値から、および/またはおよそ別の特定の値までとして表されている。そのような範囲を表す場合、別の実施形態は、上記範囲内のあらゆる組み合わせに加えて、一方の特定の値からおよび/または他方の特定の値までであることが理解されるべきである。
【0100】
本明細書で使用される場合、および添付の特許請求の範囲では、単語「備える(comprise)」、「有する(has)」、および「含む(include)」、ならびにそれらのあらゆる文法的変異形の各々は、追加要素またはステップを除外しない開放の非限定的な意味を有することを意図する。
【0101】
本明細書で使用する場合、「第1」および「第2」等の用語は、任意に割り当てられており、装置の2つ以上の部品を区別することを意図するに過ぎない。単語「第1」および「第2」は、他の目的で使用することはなく、部品の名称または説明の一部ではなく、必ずしも部品の相対的位置または位置決めを規定するものではないことが理解されるべきである。更に、用語「第1」および「第2」の単純使用は、いかなる「第3」の部品の存在を必要とするものではないが、その可能性は、本発明の範囲に基づいて企図されていることが理解されるべきである。