特許第6358637号(P6358637)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニチユ三菱フォークリフト株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6358637-配車システム 図000002
  • 特許6358637-配車システム 図000003
  • 特許6358637-配車システム 図000004
  • 特許6358637-配車システム 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6358637
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】配車システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20180709BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20180709BHJP
   G08G 1/123 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   G08G1/00 X
   G08G1/09 V
   G08G1/123 A
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-143681(P2017-143681)
(22)【出願日】2017年7月25日
【審査請求日】2017年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 絢介
【審査官】 平野 貴也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−210417(JP,A)
【文献】 特開2010−117965(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0339928(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 − 99/00
G01C 21/00 − 21/36、
23/00 − 25/00
G05D 1/00 − 1/12
G06T 1/00、
7/00、
11/60 − 13/80、
17/05、
19/00 − 19/20
B60W 10/00、
10/02、
10/04 − 10/06、
10/08、
10/10、
10/101− 10/18、
10/184− 10/26、
10/28、
10/30、
30/00 − 50/16
B66F 9/00 − 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有人運転モードと無人運転モードとを切り替え可能な複数の有人無人兼用車と、
所定の配車要求場所の画像データを生成するカメラと、
前記有人無人兼用車のそれぞれと相互に通信可能な管理装置と、
を備え、
前記管理装置は、
前記有人無人兼用車を前記有人運転モードで利用する権限を有する適格者の外観上の特徴に関する適格者特徴データを含む識別情報を予め記憶している記憶部と、
前記画像データに基づいて、第1および第2の利用者が前記有人無人兼用車の配車を要求しているか否かを判定する配車要求判定部と、
前記画像データから前記第1および第2の利用者の外観上の特徴に関する利用者特徴データを抽出する利用者特徴データ抽出部と、
前記配車要求判定部によって前記第1の利用者が前記配車を要求していると判定されたとき、前記第1の利用者の前記利用者特徴データと前記適格者特徴データとを照合することによって前記第1の利用者が前記適格者であるか否かを判定し、前記配車要求判定部によって前記第2の利用者が前記配車を要求していると判定されたとき、前記第2の利用者の前記利用者特徴データと前記適格者特徴データとを照合することによって前記第2の利用者が前記適格者であるか否かを判定する適格者認証部と、
前記適格者認証部によって前記第1の利用者が前記適格者であると判定されたとき、前記複数の有人無人兼用車のうちの1台である第1の有人無人兼用車に前記第1の利用者に対応する前記適格者の前記識別情報の少なくとも一部および前記配車要求場所に向かうことを指示するための配車信号を送信し、前記適格者認証部によって前記第2の利用者が前記適格者であると判定されたとき、前記複数の有人無人兼用車のうちの別の1台である第2の有人無人兼用車に前記第2の利用者に対応する前記適格者の前記識別情報の少なくとも一部および前記配車信号を送信する指令部と、
前記第1および第2の有人無人兼用車に前記配車信号が送信された後に生成された前記画像データに基づいて、前記第1および第2の利用者が前記配車の変更を要求しているか否かを判定する変更要求判定部と、
を有し、
前記指令部は、前記変更要求判定部によって前記第1の利用者が前記配車の変更を要求していると判定されたとき、前記第2の有人無人兼用車に前記第1の利用者に対応する前記適格者の前記識別情報の少なくとも一部を送信するとともに、前記第1の有人無人兼用車に前記第2の利用者に対応する前記適格者の前記識別情報の少なくとも一部を送信する
ことを特徴とする配車システム。
【請求項2】
前記指令部は、さらに、前記変更要求判定部によって前記第1の利用者が前記配車の変更を要求していると判定されたとき、前記第1の利用者が前記第2の利用者よりも後に前記配車を要求した者であれば、前記第1の利用者に配車した前記第1の有人無人兼用車に前記配車を取り止めるための取り止め信号を送信するとともに、前記複数の有人無人兼用車のうちのさらに別の1台である第3の有人無人兼用車に前記第1の利用者に対応する前記適格者の前記識別情報の少なくとも一部および前記配車信号を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の配車システム。
【請求項3】
前記指令部は、さらに、前記変更要求判定部によって前記第1の利用者が2度目の前記配車の変更を要求していると判定されたとき、前記第2の有人無人兼用車に前記配車を取り止めるための取り止め信号を送信するとともに、前記複数の有人無人兼用車のうちのさらに別の1台である第3の有人無人兼用車に前記第1の利用者に対応する前記適格者の前記識別情報の少なくとも一部および前記配車信号を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の配車システム。
【請求項4】
前記配車要求判定部は、前記画像データに基づいて、前記第1および第2の利用者の動作を検出するとともに、当該動作が予め定められた前記配車を要求するための配車要求特定挙動であるとき、当該配車要求特定挙動を行った前記第1および第2の利用者が前記配車を要求していると判定する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の配車システム。
【請求項5】
前記配車要求判定部は、前記画像データに基づいて、前記第1および第2の利用者の位置を検出するとともに、当該位置が予め定められた前記配車を要求するための特定位置であるとき、当該特定位置にいる前記第1および第2の利用者が前記配車を要求していると判定する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の配車システム。
【請求項6】
前記変更要求判定部は、前記画像データに基づいて、前記第1および第2の利用者の動作を検出するとともに、当該動作が予め定められた前記配車の変更を要求するための変更要求特定挙動であるとき、前記変更要求特定挙動を行った前記第1および第2の利用者が前記配車の変更を要求していると判定する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の配車システム。
【請求項7】
前記有人無人兼用車は、
前記指令部から送信された前記識別情報を記憶する識別情報記憶部と、
前記識別情報記憶部に記憶された前記識別情報に基づいて、搭乗しようとする前記第1および第2の利用者が前記適格者であるか否かを判定する利用者認証部と、
を有する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の配車システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の元へ有人無人兼用車を配車する配車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者の手動操作により動作する有人運転モードと、利用者の手動操作によらず自律して動作する無人運転モードとを切り替え可能な有人無人兼用車が知られている(例えば、特許文献1参照)。利用者は、必要なときに有人無人兼用車を呼び出し、無人運転モードで移動してきた有人無人兼用車を有人運転モードに切り替えて利用することができる。
【0003】
この種の有人無人兼用車の呼び出し方法として、携帯端末を利用した呼び出し方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。この方法では、利用者が携帯端末を操作することにより配車管理サーバに配車が要求されると、当該要求を受け付けた配車管理サーバによって有人無人兼用車の配車がなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−222108号公報
【特許文献2】特開2016−210417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の方法では、利用者が携帯端末等を操作しなければならないため、配車を要求するのに非常に手間がかかる。また、上記従来の方法では、利用者は、携帯端末を紛失すると、配車を要求することができない。
【0006】
さらに、上記従来の方法では、利用者の元に当該利用者の希望に沿わない有人無人兼用車が配車された場合のことが考慮されていない。このため、利用者は、動作に不慣れなタイプの有人無人兼用車を用いて作業を行わざるを得ない場合がある。これは、作業効率の点で好ましくない。
【0007】
したがって、本発明の課題は、利用者が簡単に配車を要求することができ、しかも、利用者が希望どおりの有人無人兼用車を用いることができる配車システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る配車システムは、有人運転モードと無人運転モードとを切り替え可能な複数の有人無人兼用車と、所定の配車要求場所の画像データを生成するカメラと、前記有人無人兼用車のそれぞれと相互に通信可能な管理装置と、を備え、前記管理装置は、前記有人無人兼用車を前記有人運転モードで利用する権限を有する適格者の外観上の特徴に関する適格者特徴データを含む識別情報を予め記憶している記憶部と、前記画像データに基づいて、第1および第2の利用者が前記有人無人兼用車の配車を要求しているか否かを判定する配車要求判定部と、前記画像データから前記第1および第2の利用者の外観上の特徴に関する利用者特徴データを抽出する利用者特徴データ抽出部と、前記配車要求判定部によって前記第1の利用者が前記配車を要求していると判定されたとき、前記第1の利用者の前記利用者特徴データと前記適格者特徴データとを照合することによって前記第1の利用者が前記適格者であるか否かを判定し、前記配車要求判定部によって前記第2の利用者が前記配車を要求していると判定されたとき、前記第2の利用者の前記利用者特徴データと前記適格者特徴データとを照合することによって前記第2の利用者が前記適格者であるか否かを判定する適格者認証部と、前記適格者認証部によって前記第1の利用者が前記適格者であると判定されたとき、前記複数の有人無人兼用車のうちの1台である第1の有人無人兼用車に前記第1の利用者に対応する前記適格者の前記識別情報の少なくとも一部および前記配車要求場所に向かうことを指示するための配車信号を送信し、前記適格者認証部によって前記第2の利用者が前記適格者であると判定されたとき、前記複数の有人無人兼用車のうちの別の1台である第2の有人無人兼用車に前記第2の利用者に対応する前記適格者の前記識別情報の少なくとも一部および前記配車信号を送信する指令部と、前記第1および第2の有人無人兼用車に前記配車信号が送信された後に生成された前記画像データに基づいて、前記第1および第2の利用者が前記配車の変更を要求しているか否かを判定する変更要求判定部と、を有し、前記指令部は、前記変更要求判定部によって前記第1の利用者が前記配車の変更を要求していると判定されたとき、前記第2の有人無人兼用車に前記第1の利用者に対応する前記適格者の前記識別情報の少なくとも一部を送信するとともに、前記第1の有人無人兼用車に前記第2の利用者に対応する前記適格者の前記識別情報の少なくとも一部を送信することを特徴とする。
【0009】
上記配車システムの前記指令部の好ましい構成としては、例えば、前記変更要求判定部によって前記第1の利用者が前記配車の変更を要求していると判定されたとき、前記第1の利用者が前記第2の利用者よりも後に前記配車を要求した者であれば、前記第1の利用者に配車した前記第1の有人無人兼用車に前記配車を取り止めるための取り止め信号を送信するとともに、前記複数の有人無人兼用車のうちのさらに別の1台である第3の有人無人兼用車に前記第1の利用者に対応する前記適格者の前記識別情報の少なくとも一部および前記配車信号を送信する、との構成が考えられる。
【0010】
上記配車システムの前記指令部の別の好ましい構成としては、例えば、前記変更要求判定部によって前記第1の利用者が2度目の前記配車の変更を要求していると判定されたとき、前記第2の有人無人兼用車に前記配車を取り止めるための取り止め信号を送信するとともに、前記複数の有人無人兼用車のうちのさらに別の1台である第3の有人無人兼用車に前記第1の利用者に対応する前記適格者の前記識別情報の少なくとも一部および前記配車信号を送信する、との構成が考えられる。
【0011】
上記配車システムの前記配車要求判定部の具体的な構成としては、例えば、前記画像データに基づいて、前記第1および第2の利用者の動作を検出するとともに、当該動作が予め定められた前記配車を要求するための配車要求特定挙動であるとき、当該配車要求特定挙動を行った前記第1および第2の利用者が前記配車を要求していると判定する、との構成が考えられる。また、上記配車システムの前記配車要求判定部の別の具体的な構成としては、例えば、前記画像データに基づいて、前記第1および第2の利用者の位置を検出するとともに、当該位置が予め定められた前記配車を要求するための特定位置であるとき、当該特定位置にいる前記第1および第2の利用者が前記配車を要求していると判定する、との構成が考えられる。
【0012】
上記配車システムの前記変更要求判定部の具体的な構成としては、例えば、前記画像データに基づいて、前記第1および第2の利用者の動作を検出するとともに、当該動作が予め定められた前記配車の変更を要求するための変更要求特定挙動であるとき、前記変更要求特定挙動を行った前記第1および第2の利用者が前記配車の変更を要求していると判定する、との構成が考えられる。
【0013】
上記配車システムの前記有人無人兼用車の好ましい構成としては、例えば、前記指令部から送信された前記識別情報を記憶する識別情報記憶部と、前記識別情報記憶部に記憶された前記識別情報に基づいて、搭乗しようとする前記第1および第2の利用者が前記適格者であるか否かを判定する利用者認証部とを有する、との構成が考えられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、利用者が簡単に配車を要求することができ、しかも、利用者が希望どおりの有人無人兼用車を利用することができる配車システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る配車システムの概要図である。
図2図1に示した配車システムの機能ブロック図である。
図3】(a)は、図1に示した実施形態の変形例に係る配車システムにおける特定位置の一例を示す図であり、(b)は、特定位置の別の一例を示す図である。
図4図1に示した実施形態の変形例に係る配車システムの概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る配車システムSの概要図である。本実施形態に係る配車システムSは、複数のフォークリフト1と、配車要求場所Pと、カメラ2と、管理装置3と、無線通信装置4と、報知装置5とを備えている。配車システムSは、配車要求場所Pに存在する利用者(図1では、利用者H1、H2)からの配車の要求に応じて、利用者H1、H2にフォークリフト1を配車するよう構成されている。
【0018】
配車要求場所Pは、利用者H1、H2がカメラ2に向けて配車の要求を行うための位置と、フォークリフト1が停車するための停車位置Qとを含んでいる。
【0019】
フォークリフト1は、搭乗者(例えば、フォークリフト1に搭乗している利用者H1)の手動操作により動作する有人運転モードと、手動操作によらずに自律して動作する無人運転モードとを切り替え可能な有人無人兼用車である。
【0020】
カメラ2は、配車要求場所Pを撮影するように建屋の天井に設けられており、配車要求場所Pを撮影して画像データを生成する。配車要求場所Pに利用者H1、H2が存在する場合、カメラ2は、利用者H1、H2の画像データを生成することになる。
【0021】
管理装置3は、カメラ2によって生成された画像データに基づいて、利用者H1、H2を検知するとともに利用者H1、H2の動作が予め定められた複数の特定挙動のいずれかであるか否かを判定することにより、利用者H1、H2の要求(例えば、配車の要求)を受け付ける。さらに、管理装置3は、利用者H1、H2の要求に対応する動作(例えば、停車位置Qへの移動)を行うようフォークリフト1に指令する。
【0022】
図2に示すように、管理装置3は、配車要求判定部31、利用者特徴データ抽出部32、記憶部33、適格者認証部34、車情報記憶部35、指令部36、および変更要求判定部37を有している。
【0023】
(1)まず、配車要求場所Pに存在する利用者H1、H2からの配車の要求に応じてフォークリフト1を配車する場合の管理装置3の各部の動作について説明する。
【0024】
配車要求判定部31は、カメラ2で生成された画像データに基づいて、利用者H1、H2が配車を要求しているか否かを判定する。
【0025】
本実施形態では、配車要求判定部31は、カメラ2で生成された画像データに基づいて、利用者H1、H2を検知するとともに利用者H1、H2の動作を検出し、検出した動作が予め定められた配車を要求するための特定の挙動(以下、「配車要求特定挙動」という)であるとき、利用者H1、H2が配車を要求していると判定する。利用者H1、H2の動作の検出は、例えば、カメラ2によって生成された画像データに基づいて、利用者H1、H2の身体上の関節点(首、肩、肘、および手首の関節点)の2次元座標をデータ化するとともに身体の各部位または身体全体がどのように動作しているのかを数値的に分析する方法によって行う。なお、本発明において利用者H1、H2の動作を検出する方法は、特に限定されない。
【0026】
本実施形態では、配車要求判定部31は、検出した動作が手または腕を継続して頭よりも高く挙げる挙手動作であるとき、配車要求特定挙動であると判定する。
【0027】
利用者特徴データ抽出部32は、カメラ2で生成された画像データに基づいて、利用者H1、H2の外観上の特徴(本実施形態では、顔の特徴)に関する利用者特徴データを抽出する。
【0028】
記憶部33には、フォークリフト1に搭乗する権限を有する適格者(以下、単に「適格者」という)の外観上の特徴に関する適格者特徴データを含む識別情報(本実施形態では、各適格者の顔の特徴に関する第1の適格者特徴データ、および各適格者の指紋の特徴に関する第2の適格者特徴データ)が予め記憶されている。
【0029】
適格者認証部34は、配車要求判定部31によって利用者H1、H2が配車を要求していると判定されたとき、利用者H1、H2が適格者であるか否かを判定する。
【0030】
本実施形態では、適格者認証部34は、利用者特徴データ抽出部32で抽出された利用者H1、H2の利用者特徴データと記憶部33に記憶されている第1の適格者特徴データとを照合して両データの一致度を算出し、当該一致度が予め定められた閾値よりも高ければ、利用者H1、H2が適格者であると判定する。
【0031】
車情報記憶部35には、各フォークリフト1が荷物Nの搬送中であるか否かの情報、および各フォークリフト1から停車位置Qまでの距離に係る情報を含む車情報が記憶されている。なお、車情報記憶部35に記憶された車情報は、所定の時間が経過する度(例えば、数秒ごと)に最新の情報に更新されていく。
【0032】
指令部36は、適格者認証部34によって利用者H1、H2が適格者であると判定されたとき、車情報記憶部35に記憶されている最新の車情報に基づいて、複数のフォークリフト1から停車位置Qへ速やかに移動させることが可能なフォークリフト11、12を選択する。
【0033】
本実施形態では、指令部36は、利用者H1からの配車の要求に応じて、荷物Nを搬送していないフォークリフト1のうち、停車位置Qに最も近いフォークリフト11を選択する。また、指令部36は、利用者H1からの配車の要求の後に行われた利用者H2からの配車の要求に応じて、フォークリフト11の次に停車位置Qに近い場所にいるフォークリフト12を選択する。なお、全てフォークリフト1が荷物Nを搬送している場合、指令部36は、全てのフォークリフト1と停車位置Qとの距離に基づいて選択を行う。
【0034】
また、指令部36は、記憶部33を参照し、選択したフォークリフト11に利用者H1に対応する適格者の識別情報の少なくとも一部と、配車要求場所Pに向かうことを指示するための配車信号(以下、単に「配車信号」という)とを送信する。同様に、指令部36は、記憶部33を参照し、選択したフォークリフト12に利用者H2に対応する適格者の識別情報の少なくとも一部と、配車信号とを送信する。
【0035】
本実施形態では、指令部36は、識別情報の一部として、利用者H1、H2に対応する適格者の指紋の特徴に関する第2の適格者特徴データを送信する。
【0036】
(2)次に、利用者H1、H2から配車の変更の要求があった場合の管理装置3の各部の動作について説明する。
【0037】
変更要求判定部37は、利用者H1、H2に配車がなされた後(すなわち、フォークリフト11、12に配車信号が送信された後)に、利用者H1、H2のいずれかが配車の変更を要求しているか否かを判定する。
【0038】
本実施形態では、変更要求判定部37は、利用者H1、H2に配車がなされた後に、カメラ2によって生成された画像データに基づいて、配車要求判定部31が利用者H1、H2の動作を検出する手法と同様の手法で利用者H1、H2の動作を検出し、検出した動作が配車の変更を要求するための予め定められた特定の挙動(以下、「変更要求特定挙動」という)であるか否かを判定する。
【0039】
本実施形態では、変更要求判定部37は、検出した利用者H1、H2の動作が両手を頭上で交差させて×(バツ)の文字を表現する動作であるとき、変更要求特定挙動であると判定する。
【0040】
指令部36は、変更要求判定部37によって利用者H1、H2のいずれか(例えば、利用者H1)の動作が変更要求特定挙動であると判定されたとき、利用者H1に対して配車したフォークリフト11に利用者H2に対応する識別情報の少なくとも一部を送信するとともに、利用者H2に対して配車したフォークリフト12に利用者H1に対応する識別情報の少なくとも一部を送信する。言い換えると、指令部36は、利用者H1、H2のいずれかから配車の変更の要求があれば、利用者H1、H2に対するフォークリフト11、12の割り当てを入れ替える。
【0041】
(3)次に、利用者H1から配車の変更の要求があった後に、利用者H1から2度目の配車の変更の要求があった場合の管理装置3の各部の動作について説明する。
【0042】
変更要求判定部37は、指令部36によって利用者H1、H2に対するフォークリフト11、12の割り当てが入れ替えられた後に、カメラ2によって生成された画像データに基づいて、利用者H1が2度目の配車の変更の要求をしているか否かを判定する。
【0043】
指令部36は、変更要求判定部37によって利用者H1が2度目の配車の変更の要求をしていると判定されたとき、この時点において利用者H1に割り当てられているフォークリフト12に配車を取り止めるための信号(以下、「取り止め信号」という)を送信する。
【0044】
また、このとき、指令部36は、2度目の配車の変更を要求した利用者H1に別のフォークリフト1を配車する。
【0045】
本実施形態では、指令部36は、最新の車情報に基づいて、配車したフォークリフト11、12を除く複数のフォークリフト1から停車位置Qへ速やかに移動させることが可能な1台のフォークリフト1を選択し、当該フォークリフト1に配車の変更を要求した利用者H1に対応する適格者の識別情報の少なくとも一部と、配車信号とを送信する。
【0046】
利用者H1、H2は、希望どおりのフォークリフト1が配車されるまで、何度も配車の変更を要求することができる。指令部36は、配車の変更が要求される度に代替のフォークリフト1を選択し、利用者H1、H2に対して代替のフォークリフト1を配車する。
【0047】
再び図1を参照して、無人のフォークリフト1は、管理装置3(無線通信装置4)が送信した配車信号を受信すると、停車位置Qに向かって移動する。配車信号を受信したフォークリフト1は、荷役作業中でなければ直ちに停車位置Qへ向かって移動を開始し、荷役作業中であれば当該作業完了後に移動を開始する。また、停車位置Qへ移動している最中のフォークリフト1は、管理装置3(無線通信装置4)が送信した取り止め信号を受信すると、当該移動を直ちに停止する。
【0048】
図2に示すように、フォークリフト1は、識別情報記憶部101、利用者認証部102、および運転モード切り替え部103を有している。
【0049】
識別情報記憶部101は、指令部36によって送信された識別情報(すなわち、利用者H1、H2に対応する適格者の識別情報の少なくとも一部。本実施形態では、第2の適格者特徴データ)を記憶する。識別情報記憶部101は、指令部36によって新たな識別情報が送信されると、それまでに記憶していた識別情報を破棄し、当該新たな識別情報を記憶する。
【0050】
利用者認証部102は、フォークリフト1が停車位置Qに停車した後、搭乗しようとする利用者H1、H2が識別情報記憶部101に記憶された識別情報に対応する適格者であるか否かを判定する。言い換えると、利用者認証部102は、このフォークリフト1を割り当てられた利用者H1、H2(以下、「特定利用者」という)であるか否かを判定する。
【0051】
本実施形態では、利用者認証部102は、利用者H1、H2の指紋を読み取る指紋センサーを含む。利用者認証部102は、指紋センサーによって読み取った指紋と識別情報記憶部101に記憶された識別情報(第2の適格者特徴データ)とを照合して両データの一致度を算出し、当該一致度が予め定められた閾値よりも高ければ、利用者H1、H2が特定利用者であると判定する。
【0052】
本実施形態では、運転モード切り替え部103は、有人運転モードと無人運転モードとを切り替えるためのスイッチまたはレバーである。本実施形態では、運転モード切り替え部103は、一旦、有人運転モードから無人運転モードへの切り替えがなされると、無人運転モードから有人運転モードへの切り替えができないように利用者認証部102によってロックがなされる。
【0053】
利用者認証部102は、利用者H1、H2が特定利用者であると判定したとき、運転モード切り替え部103のロックを解除する。
【0054】
再び図1を参照して、無線通信装置4は、フォークリフト1と無線通信可能な場所に設けられており、管理装置3とフォークリフト1との通信を中継することによって、管理装置3から送信された配車信号、識別情報、および取り止め信号を、フォークリフト1に無線で送信する。
【0055】
報知装置5は、配車要求場所Pの近傍に設けられている。報知装置5は、管理装置3が利用者H1、H2の配車要求または配車の変更の要求を受け付けたことを視覚的または聴覚的方法により利用者H1、H2に報知する。本発明では、報知方法は特に限定されない。
【0056】
以上のように構成された配車システムSによれば、以下の効果が得られる。
【0057】
(1)利用者H1、H2の動作が、手または腕を挙げる配車要求特定挙動であると判定され、かつ、利用者H1、H2が適格者であると判定されると、利用者H1、H2に対してフォークリフト1が配車される。このため、利用者H1、H2は、携帯端末等を操作することなく、配車要求場所Pで手または腕を挙げるだけで配車を要求することができる。
【0058】
(2)利用者H1、H2に配車がなされた後の利用者H1、H2のいずれかの動作が変更要求特定挙動であると判定されると、利用者H1に割り当てられていたフォークリフト11と、利用者H2に割り当てられていたフォークリフト12とが入れ替えられる。このため、希望に沿わないフォークリフト1が配車された場合であっても、利用者H1、H2は、簡単に配車の変更を要求して希望に沿ったフォークリフト1を利用することができる。しかも、利用者H1、H2に割り当てられたフォークリフト11、12が入れ替えられることによりフォークリフト11、12の停車位置Qへの移動が無駄にならない。
【0059】
(3)変更要求を行った利用者(例えば、利用者H1)から2度目の配車の変更の要求があったと判定されると、利用者H1に配車されていたフォークリフト1(例えば、フォークリフト12)の配車が取り止められる。このため、利用者H1、H2に利用されないフォークリフト12は、すぐに次の荷役作業を行うことができる。
【0060】
(4)変更要求を行った利用者(例えば、利用者H1)から2度目の配車の変更の要求があったと判定されると、利用者H1にフォークリフト11、12以外の代替のフォークリフト1が配車される。このため、利用者H1は、希望に沿ったフォークリフト1が配車されるまで、繰り返し配車の変更を要求することができる。
【0061】
(5)利用者H1、H2は、配車されたフォークリフト1に搭乗しなくとも、配車の変更を要求できる。このため、利用者H1、H2は、停車位置Qに向かって移動してくるフォークリフト1が自身の希望するフォークリフト1ではないことが視認できた時点で、すぐに配車の変更を要求することができる。
【0062】
(6)利用者H1、H2が配車を要求する際、およびフォークリフト1に搭乗しようとする際に本人認証が行われる。このため、搭乗する権限のない者への配車、および搭乗する権限のない者の搭乗を防止することができる。
【0063】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記構成を適宜変更することもできる。例えば、上記実施形態に、以下の変更を適用してもよいし、以下の変更を組み合わせて適用してもよい。
【0064】
[変形例1]
配車要求判定部31は、配車要求場所Pに設けた特定位置Rに利用者H1、H2が存在する場合に、利用者H1、H2が配車を要求していると判定してもよい。
【0065】
この場合、図3(a)に示すように、特定位置Rは、例えば、配車要求場所Pの地面に印された所定の径を有するリング形状の印Mに取り囲まれた円形状を有する。特定位置Rは、少なくとも大人2人が同時に立つことができる広さを備えていることが好ましい。
【0066】
また、この場合、配車要求判定部31は、例えば、カメラ2によって生成された画像データに基づいて、利用者H1、H2を検知するとともに利用者H1、H2の位置と印Mの位置(すなわち、特定位置Rの位置)とを検出し、検出した利用者H1、H2の位置と印Mの位置との比較を行って、利用者H1、H2の位置が特定位置Rであるか否かを判定する。そして、配車要求判定部31は、利用者H1、H2の位置が特定位置Rであるとき、利用者H1、H2が配車を要求していると判定する。配車要求判定部31は、利用者H1、H2の位置と印Mの位置との重なりの程度に基づいて、利用者H1、H2の位置が特定位置Rであるか否かを判定してもよい。
【0067】
この変形例によれば、利用者H1、H2は、携帯端末等を操作することなく、特定位置Rに立つだけで配車を要求することができる。
【0068】
[変形例2]
変形例1における特定位置Rは、1つまたは複数の様々な形状の印Mによって構成されていてもよい。例えば、図3(b)に示すように、3つの矩形が連続する升目状の印Mの各矩形に取り囲まれた特定位置R1、R2、R3としてもよい。
【0069】
[変形例3]
指令部36は、変更要求判定部37によって利用者H1が配車の変更の要求をしていると判定されたとき、利用者H1が利用者H2よりも後に配車を要求した者であれば、利用者H1、H2に割り当てたフォークリフト1を入れ替えなくてもよい。この変形例によれば、例えば、先に配車の要求をした利用者H2のための配車が、後から配車の要求をした利用者H1による一方的な配車の変更の要求により、利用者H1のための配車よりも後になることを回避することができる。
【0070】
この場合、指令部36は、利用者H1に配車したフォークリフト11に取り止め信号を送信するとともに、最新の車情報に基づいて、フォークリフト11、12を除く複数のフォークリフト1から停車位置Qへ速やかに移動させることが可能な1台のフォークリフト1を選択し、当該フォークリフト1に利用者H1に対応する識別情報の少なくとも一部と、配車信号とを送信する。
【0071】
[変形例4]
配車要求特定挙動として判定される動作は、手または腕を挙げる動作に限定されない。例えば、配車要求判定部31は、利用者H1、H2の手を叩く動作や、利用者H1、H2の手または腕を振る動作を配車要求特定挙動として判定してもよい。
【0072】
[変形例5]
変更要求特定挙動として判定される動作は、両手を頭上で交差させて×(バツ)の文字を表現する動作に限定されない。例えば、変更要求判定部37は、(i)後ろに下がる、(ii)両手を胸の前で交差させる、(iii)手を横に振る、(iv)首を振る、等といった動作の少なくとも1つ、または、これらの動作の組み合わせを変更要求特定挙動として判定してもよい。
【0073】
[変形例6]
車情報記憶部35には、さらに、各フォークリフト1の車種、各フォークリフト1の年式、および各フォークリフト1の適格者ごとの使用頻度等が車情報として記憶されていてもよい。指令部36は、利用者H1、H2に配車するフォークリフト1を選択する際に、これらの情報を参照してもよい。
【0074】
[変形例7]
カメラ2は、配車要求場所Pを異なる角度から撮影する複数のカメラで構成されていてもよい。この場合、配車要求判定部31は、各カメラによって生成された複数の画像データに基づいて、利用者(例えば、利用者H1)の身体上の関節点(首、肩、肘、手首、腰、膝、足首の少なくとも1つを含む関節点)の3次元座標をデータ化するとともに身体の各部位または身体全体がどのように動作しているのかを数値的に分析することによって、利用者の動作をより正確に検知することができる。
【0075】
[変形例8]
利用者H1、H2がフォークリフト1に搭乗しようとする際に行う本人認証は、例えば、利用者H1、H2の指紋以外の他の身体的特徴に関する生体認証、利用者H1、H2が有する知識に関する知識認証、または利用者H1、H2の所持物に関する所持物認証といった認証方式を利用してもよいし、これらの認証方式を組み合わせて利用してもよい。
【0076】
生体認証を利用した本人認証を行う場合は、記憶部33に、適格者の身体的特徴(例えば、静脈パターン、虹彩、声紋、および網膜の特徴)に関する適格者特徴データを予め記憶しておくとともに、各フォークリフト1の利用者認証部102に、当該身体的特徴に対応する取得手段(例えば、近赤外線照射用LED、カメラ、およびマイク)を含めておけばよい。
【0077】
知識認証を利用した本人認証を行う場合は、記憶部33に、適格者が有する知識(例えば、ID、パスワード、および合い言葉)に関するデータを識別情報として予め記憶しておくとともに、各フォークリフト1の利用者認証部102に、当該データに対応する取得手段(例えば、テンキー、キーボード、およびタッチパネル)を含めておけばよい。
【0078】
また、所持物認証を利用した本人認証を行う場合は、記憶部33に、適格者の所持物(例えば、ICカード、USBキー、およびUSBトークン)に関するデータを識別情報として予め記憶しておくとともに、各フォークリフト1の利用者認証部102に、当該データに対応する取得手段(例えば、カードリーダー、およびUSBリーダー)を含めておけばよい。
【0079】
[変形例9]
図4に示すように、配車システムSは、複数の配車要求場所Pおよび各配車要求場所Pを撮影するように設けられた複数のカメラ2を備えていてもよい。
【0080】
この場合、管理装置3は、配車要求場所P1を撮影するカメラ21で生成された画像データに基づいて、利用者H1、H2の動作を配車要求特定挙動であると判定し、かつ、利用者H1、H2が適格者であると判定したとき、配車要求場所P1に対応する停車位置Q1にフォークリフト1を配車する。報知装置51は、配車を受け付けたことを利用者H1、H2に報知する。同様に、管理装置3は、配車要求場所P2を撮影するカメラ22で生成された画像データに基づいて、利用者H1、H2の動作を配車要求特定挙動であると判定し、かつ、利用者H1、H2を適格者であると判定したとき、配車要求場所P2に対応する停車位置Q2にフォークリフト1を配車する。報知装置52は、配車を受け付けたことを利用者H1、H2に報知する。また、この場合、フォークリフト1に送信される配車信号には、配車先の位置情報(すなわち停車位置Q1または停車位置Q2の位置情報)が含まれ、配車信号を受信したフォークリフト1は、配車先の位置情報に基づいて、停車位置Q1または停車位置Q2へ移動する。
【0081】
[変形例10]
利用者H1、H2に対して配車すべきフォークリフト1を選択する際に、フォークリフト1が荷物Nの搬送中であるか否かの車情報を参照しなくてもよい。また、利用者H1、H2に対して配車すべきフォークリフト1が予め設定されていてもよい(例えば、利用者H1に対してはフォークリフト11が必ず配車され、利用者H2に対してはフォークリフト12が必ず配車され、・・・)。
【0082】
[変形例11]
配車される有人無人兼用車は、フォークリフト1に限定されない。
【符号の説明】
【0083】
H1,H2 利用者
P,P1,P2 配車要求場所
R、R1,R2,R3 特定位置
Q,Q1,Q2 停車位置
S 配車システム
1,11,12 フォークリフト(有人無人兼用車)
2,21,22 カメラ
3 管理装置
4 無線通信装置
5,51,52 報知装置
31 配車要求判定部
32 利用者特徴データ抽出部
33 記憶部
34 適格者認証部
35 車情報記憶部
36 指令部
37 変更要求判定部
101 識別情報記憶部
102 利用者認証部
103 運転モード切り替え部
【要約】
【課題】利用者が簡単に配車を要求することができ、しかも、利用者が希望どおりの有人無人兼用車を用いることができる配車システムを提供する。
【解決手段】配車システムSは、複数のフォークリフト1と、カメラ2と、管理装置3とを備える。カメラ2が生成した画像データに基づいて、利用者H1、H2が配車を要求しているか否かを判定し、利用者H1、H2が配車を要求していれば、利用者H1、H2が適格者であるか否かを判定する。管理装置3は、利用者H1、H2が適格者であれば、複数のフォークリフト1のうちの2台に利用者H1、H2に対応する適格者の識別情報と配車要求場所Pに向かうことを指示するための配車信号とを送信する。管理装置3は、利用者H1が配車の変更を要求しているか否かを判定し、利用者H1が配車の変更を要求していれば、利用者H1、H2に割り当てたフォークリフト1を入れ替える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4