(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本出願人は、本開示における全ての引用された文献の全内容を具体的に組み込む。さらに、量、濃度、または他の値またはパラメーターが範囲、好ましい範囲、または高い側の好ましい値および低い側の好ましい値のリストのいずれかとして与えられるとき、これは、範囲が別々に開示されているかどうかに関係なく、任意の範囲上限または好ましい値と任意の範囲下限または好ましい値との任意の対から形成されたすべての範囲を具体的に開示するものとして理解されなければならない。数値の範囲がここに記載される場合、別記しない限り、範囲は、それらの端点、および範囲内のすべての整数および分数を含めるものとする。範囲を規定するときに記載された特定の値に本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0011】
定義
本明細書中で用いられるとき、用語「ポリマー」は一般に、限定されないが、ホモポリマー、コポリマー(例えば、ブロック、グラフト、ランダムおよび交互共重合体など)、ターポリマー等、ならびにそれらのブレンドおよび変性物を包含する。さらに、別に具体的に限定されなければ、用語「ポリマー」は、材料の全てのあり得る幾何学配置を包含するものとする。これらの配置には、限定されないが、アイソタクチック、シンジオタクチック、およびランダムシンメトリーなどが含まれる。
【0012】
本明細書中で用いられるとき、用語「ポリオレフィン」は、炭素および水素だけから構成される一連の一般に飽和した高分子炭化水素のいずれかを意味することが意図される。典型的なポリオレフィンには、限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンの他、モノマーのエチレン、プロピレン、およびメチルペンテンの様々な組み合わせなどが含まれる。
【0013】
本明細書中で用いられるとき、用語「ポリエチレン」は、エチレンのホモポリマーだけでなく、例えばエチレンとアルファ−オレフィンとのコポリマーなどの反復単位の少なくとも85%がエチレン単位であるコポリマーを包含することを意図する。好ましいポリエチレンには、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、および直鎖高密度ポリエチレンなどが含まれる。好ましい直鎖高密度ポリエチレンは、約130℃〜140℃の融点範囲上限、約0.941〜0.980グラム/立方センチメートルの範囲の密度、および0.1〜100、好ましくは4未満のメルトインデックス(ASTM D−1238−57T Condition Eよって定義されるとき)を有する。
【0014】
本明細書中で用いられるとき、用語「ポリプロピレン」は、プロピレンのホモポリマーだけでなく反復単位の少なくとも85%がプロピレン単位であるコポリマーを包含することが意図される。好ましいポリプロピレンポリマーには、アイソタクチックポリプロピレンおよびシンジオタクチックポリプロピレンなどが含まれる。
【0015】
本明細書中で用いられるとき、用語「不織布シート」は、メリヤス生地の場合のように、識別できるパターンのない平面材料を形成するように不規則な方法で配置される単一繊維または糸の構造物を意味する。
【0016】
本明細書中で用いられるとき、用語「プレキシフィラメント(plexifilament)」は、不規則な長さの多数の薄い、リボン状の、フィルムフィブリル要素の三次元一体網目構造またはウェブを意味する。典型的に、これらは約4マイクロメートル未満の平均フィルム厚さおよび約25マイクロメートル未満のメジアンフィブリル幅を有する。数学的に円形面積に変換される場合に平均フィルムフィブリル断面積は、約1マイクロメートル〜25マイクロメートルの有効直径が得られる。プレキシフィラメント状構造物において、フィルムフィブリル要素は、構造物の長さ、幅および厚さの全体にわたって様々な場所において不規則な間隔で不連続に結合および分離して連続した三次元網目構造を形成する。
【0017】
「スルホン化」は、繊維が含むポリマーの少なくとも一部分への、硫黄含有部分の化学結合を指す。スルホン化は、当業者に公知の任意の方法によって実施することができる。例えば、スルホン化は、米国特許第3,684,554号明細書に記載されたウェブの蒸気相表面スルホン化を使用して実施することができる。基本的な方法は、乾燥ポリマーウェブを、高速度(100〜200ft/sec)において連続的に流れることができる気体SO
3(乾燥不活性ガス中に2〜15%の体積)の連続ブラストと接触させる工程を必要とする。スルホン化ポリマーウェブを脱イオン水で洗浄することができる。また、スルホン化は、濃硫酸を使用して米国特許第6,403,265号明細書に記載の方法によって実施されてもよい。
【0018】
説明
本発明は、現在使用されているセパレーターに伴う問題を克服し、アルカリバッテリーにおいて使用可能である、所望の引張強さ、アンモニア吸収特性、電解質吸収性および電気絶縁性を有する湿潤性シート材料を提供する。
【0019】
したがって、本発明の目的は、アルカリバッテリーにおいてセパレーターとして有用な湿潤性シート材料を提供することである。本発明の別の目的は、電解質によって湿潤することができアルカリバッテリー系において良い電解質吸収性およびアンモニア吸収性を有するシート材料を提供することである。
【0020】
従って、本発明は、アルカリバッテリー、特に、ニッケル金属水素化物バッテリーのためのセパレーター材料に関する。一実施形態において、この材料は、ポリマー繊維を含む少なくとも1つの不織布シートを含み、不織布シートは、約0.5〜約1.5m
2/gの表面積を有し、不織布シートは、平均流れ細孔径の2.5倍以上であり最小細孔径の11倍超である最大細孔径を有する。さらなる実施形態において、ポリマー繊維がスルホン化され、少なくとも0.67重量%の硫黄を含有する。さらなる実施形態において、セパレーターは、スルホン化を受けないときの材料に比べてその縦方向(MD)の引張強さの少なくとも70%を保持する。
【0021】
ポリマー繊維は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアラミド、ポリスルホン、ポリイミド、フッ素化ポリマーおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含んでもよい。ポリマー繊維がポリオレフィンから製造されるとき、ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンおよびポリメチルペンテンからなる群から選択されてもよい。
【0022】
また、アルカリバッテリーのセパレーターにおいて使用するために適したポリマーには、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、ビニルアルコール、セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアセチル、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、芳香族ポリアミドならびにそれらのブレンド、混合物およびコポリマーなどが含まれる。アルカリバッテリーのセパレーターに使用するために特に適しているポリマーには、ビニルアルコール、セルロース、脂肪族ポリアミドおよびポリスルホンなどが含まれる。
【0023】
ポリマー繊維は、プレキシフィラメント状繊維ストランドであり得る。さらに、ポリマー繊維は、円形でない断面を有してもよい。
【0024】
さらなる実施形態において、不織布シートは、延伸が縦方向に行なわれている一軸延伸不織布シートである。さらに不織布シートは、約0.5〜約1.0m
2/gの表面積を有してもよい。
【0025】
さらに別の実施形態において不織布シートは、繊維の100%に対して繊維の数平均直径が1マイクロメートル超である繊維からなる。
【0026】
不織布シートは、0.20mmole/gのアンモニア捕捉および少なくとも16ニュートン/センチメートル(N/cm)の縦方向引張強さの残率を有してもよい。
【0027】
本発明はさらに、電気化学セルのためのセパレーター材料を製造するための方法に関する。この方法は、
(i)ノルマルペンタンとシクロペンタンとの混合物からなる紡糸剤中の12重量%〜24重量%のポリエチレンの溶液を約205℃〜220℃の紡糸温度においてフラッシュ紡糸してプレキシフィラメント状繊維ストランドを形成し、プレキシフィラメント状繊維ストランドを非接着ウェブ状に集める工程と、
(ii)約5cm〜約30cm離して配置された約124℃〜約154℃の温度の加熱引取ロールの間で非接着ウェブを縦方向に一軸延伸して約3%〜25%延伸し、延伸ウェブを形成する工程と、
(iii)延伸ウェブを約124℃〜約154℃の温度の加熱接着ロールの間で接着して不織布シートを形成する工程であって、不織布シートが、約0.5〜約1.5m
2/gの表面積および平均流れ細孔径の2.5倍超であり最小細孔径の11倍超である最大細孔径を有する工程とを含む。
【0028】
セパレーター材料を製造するための方法は、延伸ウェブを接着した後に不織布シートをスルホン化する工程をさらに含んでもよい。
【0029】
さらに本発明は、ポリマー繊維を含む少なくとも1つの不織布シートをさらに含むセパレーター材料を含むアルカリバッテリーである電気化学セルに関し、不織布シートが、約0.5〜約1.5m
2/gの表面積を有し、不織布シートが、平均流れ細孔径の2.5倍以上であり最小細孔径の11倍超である最大細孔径を有し、ポリマー繊維がスルホン化され、少なくとも0.67重量%の硫黄を含有し、セパレーターが、スルホン化を受けないときの材料に比べてその縦方向(MD)の引張強さの少なくとも70%を保持する。
【0030】
バッテリーは、アルカリ一次バッテリー、例えば、アノードが亜鉛でありカソードが酸化マンガン(MnO
2)である亜鉛−酸化マンガンすなわちZn−MnO
2バッテリー、またはアノードが亜鉛でありカソードが空気である亜鉛−空気バッテリーであってもよく、またはそれは、アルカリ二次バッテリー、例えば、アノードがカドミウムでありカソードがオキシ水酸化ニッケル(NiOOH)であるニッケルカドミウムバッテリー、アノードが亜鉛でありカソードがNiOOHであるニッケル亜鉛すなわちNi−Znバッテリー、アノードが金属水素化物(例えばLaNi
5)でありカソードがNiOOHまたはニッケル−水素であるニッケル金属水素化物(NiMH)バッテリーまたはアノードが水素(H
2)でありカソードがNiOOHであるNiH
2バッテリーであってもよい。他のタイプのアルカリバッテリーには、アノードが亜鉛でありカソードが酸化水銀(HgO)である亜鉛/酸化第二水銀、アノードがカドミウムでありカソードが酸化水銀であるカドミウム/酸化第二水銀、アノードが亜鉛でありカソードが酸化銀(AgO)である亜鉛/酸化銀、アノードがカドミウムでありカソードが酸化銀であるカドミウム/酸化銀などが含まれる。これらのバッテリーのタイプの全てが、電解質として30〜40%の水酸化カリウムを使用する。
【0031】
本発明のこの実施形態のアルカリバッテリーは、1KHzにおいて35%の水酸化カリウム電解質溶液中で測定されるときにイオン耐性が約300ミリオーム−cm
2未満、好ましくは200ミリオーム−cm
2未満、最も好ましくは100mohms−cm
2未満であるセパレーターを備えることができる。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態において、多孔性構造を維持すると共に電解質中のセパレーターの構造統合性を改良するためにポリマー微細繊維を架橋結合することが好ましい場合がある。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態において、30〜40%のKOH電解質中での湿潤性および吸上性質を改良するためにバッテリーに形成する前にセパレーターを界面活性剤でコートすることが好ましい場合がある。界面活性剤は、イオン性界面活性剤など、強アルカリ環境において安定している界面活性剤である。あるいは、セパレーターは、アクリル酸グラフト化が行なわれてセパレーターの湿潤性を改良することができる。
【実施例】
【0034】
試験方法
KOH電解質中のイオン耐性は、イオン流に対するセパレーターの耐性の尺度であり、以下のように定量される。試料を小片(1インチ×1インチ)に切り分け、35%の水酸化カリウムに一晩浸漬して、完全な湿潤を確実にする。試料を露出する1cm
2のウインドウがある2つのテフロン(登録商標)シムの間に試料を挟んだ。テフロン(登録商標)シムと試料とのサンドイッチを2つの白金電極を有する抵抗セル内に置き、ウインドウが2つの電極に対向しているようにした。HPミリオームメーターを使用して1KHzにおいて抵抗を測定した。テフロン(登録商標)シムの間のセパレーターが全く無いままで測定を繰り返した。2つの読取値の間の差は、試料の抵抗(ミリオーム)である。次に、セパレーター抵抗を電極の面積(この場合、1cm
2)で乗じ、結果をミリオーム−cm
2単位で記録する。
【0035】
基本重量をASTM D−3776(その内容を参照によって本願明細書に組み入れる)によって定量し、g/m
2単位で記録する。
【0036】
多孔度を計算するために、g/m
2単位の試料の基本重量をg/cm
3単位のポリマー密度で割り、そしてマイクロメートル単位の試料厚さで割り、100で乗じ、その後、100%から引く、すなわち、パーセント多孔度=100−基本重量/(密度×厚さ)×100。
【0037】
繊維の直径は以下のように定量された。各々の微細繊維層の試料について5,000倍の倍率の10で走査電子顕微鏡(SEM)画像を撮った。11の明確に識別可能な微細繊維の直径を写真から測定し、記録した。欠陥は含まれなかった(すなわち、微細繊維の塊、ポリマーの滴り、微細繊維の交繊)。各々の試料の平均の繊維直径を計算した。
【0038】
厚さをASTM D1777(その内容を参照によって本願明細書に組み入れる)によって測定し、ミル単位で記録し、マイクロメートルに換算する。
【0039】
平均流れ細孔径をASTM DesignationE1294−89、「自動化液体ポロシメーターを使用する膜フィルターの細孔径特性の標準試験法」に従って測定したが、これは、毛管流ポロシメーター(型番CFP−34RTF8A−3−6−L4、Porous Materials,Inc.(PMI),Ithaca,NY)を使用してASTM Designation F 316の自動化バブルポイント方法を使用して0.05μm〜300μmの細孔径の直径を有する膜の細孔径特性を概算で測定する。個々の試料(直径8、20または30mm)を低表面張力流体(16ダイン/cmの表面張力を有する、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロペン、または「Galwick」)で湿潤した。各々の試料をホルダー内に置き、空気の差圧を適用し、流体を試料から除去した。湿潤流が乾燥流(湿潤溶剤のない流れ)の2分の1に等しい差圧を使用し、与えられたソフトウェアを使用して平均流れ細孔径を計算する。
【0040】
引張強さをASTM D5035−95、「編織布の破断力および伸びの標準試験法(ストリップ法)」に従って測定し、kg/cm
2単位で記録した。
【0041】
BET法を使用して表面積を測定した。Branaur,Emmet and Teller(BET)理論は、固体表面上のガス吸着量を表面積に関連づける。1グラムの試料を試料チャンバ内に置き、液体窒素中に置いて真空下で脱気した。一切の表面吸着ガスが試料表面から除去された後、窒素を試料に導入する。表面吸着によって消費される窒素の体積が測定され、表面積に関連づけられる。
【0042】
アンモニア捕捉量は、ASTM D7129−09「バッテリーのグラフト化セパレーターのアンモニア捕捉を定量するための標準試験法」によって測定された。試験は、予め決められた量のセパレーターおよび水酸化アンモニウム(ammonia hydroxide)が制御された温度において1日間状態調節されるときにセパレーターによって保持されるアンモニアの量を測定する。
【0043】
延伸接着不織布ウェブ上の4つの異なったレベルのスルホン化が、1972年8月15日に発行された米国特許第3,684,554号明細書に記載されたウェブの蒸気相表面スルホン化を使用して実施された。基本的な方法は、乾燥ポリマーウェブを、高速度(100〜200ft/sec)で連続的に流れることができる気体SO
3(乾燥不活性ガス中に2〜15%の体積)の連続ブラストと接触させる工程を必要とする。スルホン化ポリマーウェブを脱イオン水で洗浄した。
【0044】
スルホン化試料の硫黄の%が、Micro−Analysis,Inc(Wilmington DE.)によって測定された。硫黄分析は、2つの手順のうちの1つによって実施された。Carlo Erba 1108硫黄自動分析器において、試料を電子微量天秤で秤量し、次に、自動分析器に導入し、それをヘリウムのキャリヤーガスで正圧下に維持する。強いフラッシュ燃焼が酸素雰囲気中約1400℃において行なわれる。定量的燃焼を達成するために、ガス混合物をアルミナ上のタングステン酸無水物の上に送って一切のフッ素を除去し、次いで酸化剤タングステン酸無水物の上に送った。次に、混合物を銅上に送り、過剰な酸素を除去すると共に窒素の酸化物を元素窒素に還元する。得られた混合物を、60℃〜80℃の範囲の恒温に維持されるPerapak PQS保有カラムに誘導し、単一成分を分離し、硫黄を二酸化硫黄として溶離する。二酸化硫黄は熱伝導率検出器で測定され、その信号は、データ処理のためにコンピュータに送られる。
【0045】
LECO CHNS・932分析器を使用するとき、CHNS分析において燃焼生成物は、CO
2、H
20、NO
x、およびSO
xである。ガスは、ヘリウムキャリアによって系を通って搬送され、WO
3および銅が充填された酸化管を通って洗い流される。銅は、過剰な酸素を除去して、SO
2への変換を終了させる。窒素酸化物はN
2に還元される。酸化管混合物は、H
2O赤外線検出セルを通って洗い流され、次に、水トラップを通過され、H
2Oが除去される。次に、残りのガス混合物がSO
2、およびCO
2赤外線セルをそれぞれ通過される。次に、SO
2とCO
2が除去され、N
2が熱伝導率検出器を通過される。信号がデータ処理のためにコンピュータに送られる。
【0046】
本発明の不織布シートを示す実施例1および2は、参照によって本願明細書に組み込まれる米国特許第7,744,989号明細書に開示されたフラッシュ紡糸により製造されるが、シートの接着前に熱延伸をさらに実施する。非接着不織布シートが、60重量パーセントのノルマルペンタンと40重量パーセントのシクロペンタンとの紡糸剤中の(190℃および2.16kgの負荷においてASTM D−1238に従って測定された)0.7g/10分のメルトインデックスを有する20重量パーセントの濃度の高密度ポリエチレンからフラッシュ紡糸された。実施例1および2の非接着不織布シートが延伸され、全表面が接着された。シートの各面に対して1つのロールで、シートを146℃の予備加熱ロール、146℃の2対の接着ロール、そして85〜90のショアーAのジュロメーターを満たす調合ゴムによって製造された146℃の支持ロールおよび2つの冷却ロールの間に送った。実施例1および2を146℃の接着温度で30.5m/分の速度において10cmのスパン長を有する2つの予備加熱ロールの間で20%延伸した。実施例1を500PLIのニップ圧力でカレンダー処理し、実施例2をカレンダー処理をせずに作製した。比較例Aは、Tyvek(登録商標)1056D(DuPont(Wilmington,DE)から入手可能)、基本重量54.4gsmの市販のフラッシュ紡糸不織布シート製品であった。シートの物理的性質を表1および2に示す。
【0047】
シートの延伸を実施しなかったことを除いて、比較例Bを実施例1および2と同様に作製した。非接着不織布シートは、米国特許第7,744,989号明細書に開示されているように全表面が接着された。シートの各面は359kPaの蒸気圧および91m/分の速度において平滑なスチームロールの上に送られた。
【0048】
比較例CおよびDは、Midwest Filtration Co.(Cincinnati,OH)から購入された市販のスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)積層製品であり、比較例Eは、ポリプロピレンから製造された市販の不織布であり、NiMHバッテリーのためのセパレーターとして使用される。
【0049】
表1および2は、比較例と比べて本発明の実施例が試験された方法を示す。表1および2のデータは、スルホン化されなかった試料に関するデータである。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
表3は、スルホン化の前と後に得られた結果を示す。実施例1−1および2−1は、スルホン化後にすぐれたアンモニア捕捉を示し、引張強さの低下はごくわずかであった。
【0053】
【表3】
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕ポリマー繊維を含む少なくとも1つの不織布シートを含む電気化学セルのためのセパレーター材料であって、前記不織布シートが、0.5〜1.5m2/gの表面積を有し、前記セパレーターが、スルホン化を受けないときの前記材料に比べてその縦方向(MD)の引張強さの少なくとも70%を保持する、セパレーター材料。
〔2〕前記ポリマー繊維がスルホン化され、少なくとも0.67重量%の硫黄を含有する、前記〔1〕に記載のセパレーター材料。
〔3〕前記ポリマー繊維が、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアラミド、ポリスルホン、ポリイミド、フッ素化ポリマーおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるポリマーを含む、前記〔1〕に記載のセパレーター材料。
〔4〕前記ポリマー繊維が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンおよびポリメチルペンテンからなる群から選択されるポリオレフィンポリマーから製造される、前記〔3〕に記載のセパレーター材料。
〔5〕前記ポリマー繊維が、円形でない断面を有する、前記〔1〕に記載のセパレーター材料。
〔6〕前記ポリマー繊維が、プレキシフィラメント状繊維ストランドである、前記〔1〕に記載のセパレーター材料。
〔7〕前記不織布シートが、前記縦方向に一軸延伸された不織布シートである、前記〔1〕に記載のセパレーター材料。
〔8〕前記不織布シートが、0.5〜1.0m2/gの表面積を有する、前記〔1〕に記載のセパレーター材料。
〔9〕前記不織布シートが、繊維の100%に対して繊維の数平均直径が1マイクロメートル超である繊維からなる、前記〔1〕に記載のセパレーター材料。
〔10〕前記不織布シートが、0.20mmole/gのアンモニア捕捉量および少なくとも16ニュートン/センチメートル(N/cm)の縦方向引張強さの残率を有する、前記〔1〕に記載のセパレーター材料。
〔11〕前記不織布シートが、平均流れ細孔径の2.5倍以上であり最小細孔径の11倍超である最大細孔径を有する、前記〔1〕に記載のセパレーター材料。
〔12〕電気化学セルのためのセパレーター材料を製造するための方法であって、
ノルマルペンタンとシクロペンタンとの混合物からなる紡糸剤中の12重量%〜24重量%のポリエチレンの溶液を205℃〜220℃の紡糸温度においてフラッシュ紡糸してプレキシフィラメント状繊維ストランドを形成し、前記プレキシフィラメント状繊維ストランドを非接着ウェブ状に集める工程と、
5cm〜30cm離して配置された124℃〜154℃の温度の加熱引取ロールの間で前記非接着ウェブを縦方向に一軸延伸して3%〜25%延伸し、延伸ウェブを形成する工程と、
前記延伸ウェブを124℃〜154℃の温度の加熱接着ロールの間で接着して不織布シートを形成する工程であって、前記不織布シートが、0.5〜約1.5m2/gの表面積を有し、平均流れ細孔径の2.5倍超であり最小細孔径の11倍超である最大細孔径を有する工程とを含む、方法。
〔13〕前記延伸ウェブを接着した後に前記不織布シートをスルホン化する工程をさらに含む、前記〔12〕に記載のセパレーター材料を製造するための方法。
〔14〕バッテリーまたはキャパシタのどちらかである、前記〔1〕に記載の電気化学セル。
〔15〕ポリマー繊維を含む少なくとも1つの不織布シートをさらに含むセパレーター材料を含むアルカリバッテリーである電気化学セルであって、前記不織布シートが、0.5〜1.5m2/gの表面積を有し、前記不織布シートが、平均流れ細孔径の2.5倍以上であり最小細孔径の11倍超である最大細孔径を有し、前記ポリマー繊維がスルホン化され、少なくとも0.67重量%の硫黄を含有し、前記セパレーターが、スルホン化を受けないときの前記材料に比べてその縦方向(MD)の引張強さの少なくとも70%を保持する、電気化学セル。