(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第一の実施形態>
以下、本発明の第一の実施形態による座席管理システムを
図1〜
図6を参照して説明する。
図1は第一の実施形態による座席管理システムの概略図である。
図1は例えば図書館における閲覧室を示している。
図1において、座席管理システムは、座席テーブル10、付帯設備11、電力ケーブル12、電力供給制御装置13、通信ケーブル14、利用者カードリーダ15、通信ケーブル16、サーバ20、端末21、通信ケーブル22、利用者カードリーダ23、椅子30からなっている。
【0018】
座席テーブル10は、図書館の利用者が使用することができるテーブルである。座席テーブル10は、閲覧室などの図書館内の所定の位置に備えられており、後に説明する通り利用者が空いている座席を予約して利用する運用形態となっている。座席テーブル10には利用者が着席して図書を閲覧できるように椅子30が備えられている。座席テーブル10や椅子30は、電動で高さ調整が可能であってもよい。
【0019】
付帯設備11は、座席テーブル10の作業環境を快適にするために備えられた備品である。具体的には照明ユニット、電源コンセント、ワイヤレス給電装置などである。これら個々の設備については、
図2を用いて説明する。付帯設備11は、電力ケーブル12で電力供給制御装置13と接続されている。
電力供給制御装置13は、各座席テーブル10に備えられた付帯設備11に電力を供給するか否かを制御する装置である。電力供給制御装置13は、通信ケーブル14を介してサーバ20と接続されている。電力供給制御装置13は、どの座席テーブル10の付帯設備11に電力を供給するかを指示する情報をサーバ20から取得して、電力供給が必要な座席の付帯設備11に電力ケーブル12を介して電力を供給する。
【0020】
利用者カードリーダ15は、利用者の所有する利用者カードに記録された情報を読み取る装置である。利用者カードリーダ15は、例えば電波による個体識別を行う技術であるRFID(Radio Frequency Identification)の技術によって予め利用者カードが内蔵するIC(Integrated Circuit)チップに記録されたその利用者の識別情報(利用者ID)などを取得する手段である。具体的には、利用者カードリーダ15は磁界を発生させ所定の距離内に存在する利用者カードのICチップに電力を供給しICチップを稼働させる。そして利用者カードリーダ15は、ICチップと通信を行うことによってのICチップに記録された利用者の識別情報などを取得する。
利用者カードリーダ15は、座席テーブル10ごとに作業面上の所定の場所に設置されている。利用者カードリーダ15は、通信ケーブル16でサーバ20と接続されており、読み取った利用者IDと自分自身の識別情報(利用者カードリーダ15のID)とをサーバ20へ送信する。
【0021】
サーバ20は、例えば一般的なPCサーバである。サーバ20は、座席テーブル10の利用予約を管理する機能を有している。そしてサーバ20は、利用者カードリーダ15から取得した利用者IDとその利用者カードリーダ15が備えられた座席を予約した利用者のIDとが一致した場合、電力供給制御装置13に対してその座席の付帯設備11に電力を供給するように指示する。
端末21は、例えば一般的なPCやタブレット型の携帯端末装置である。端末21は、通信ケーブル22を介してサーバ20と接続されており、サーバ20の有する座席テーブル10を予約する機能を利用者に提供するクライアント端末である。端末21には利用者カードリーダ23が接続されており、利用者がこの利用者カードリーダ23に自分の利用者カードを接近させると利用者カードリーダ23は、利用者IDを読み取る。
【0022】
図2は、本実施形態による座席の概略図である。
図2を用いて付帯設備11について説明する。
符号17は照明ユニットを示している。照明ユニット17は、調光可能で後述する人感センサ24や温湿度センサ25によって検出された情報に基づいて点灯制御を行うことができる照明器具である。調光可能とは、利用者が自分の好みに応じて明るさや色温度を調整できることを意味する。また、照明ユニットとは利用者が明るさを調整すると無線通信でその照度がサーバ20へ送信される仕組みと一体となっていることを意味している。また、照明ユニット17は、電力供給制御装置13から照明を点灯するかどうかの指示情報を取得し、電力供給制御装置13から点灯する旨の信号を取得すると照明を点灯し、消灯する旨の信号を取得すると照明を消灯する。
【0023】
符号18は電源コンセントユニットを示している。電源コンセントユニット18は、座席テーブル10に埋め込まれていて自動開閉式の蓋で覆われている。そして電力供給制御装置13が給電を行うと蓋が開状態となり、利用者が電源コンセントを利用できる状態になる。
符号19はワイヤレス給電装置(Qi)である。ワイヤレス給電装置19とは、電磁誘導の仕組みを利用した充電器である。ワイヤレス給電装置19は、充電用のケーブルが不要で、スマートフォンなどの電子機器をその上に置くだけで充電が可能である。電力供給制御装置13がワイヤレス給電装置19に電力を供給すると利用者はこの充電機能を利用することができるようになる。
【0024】
符号24は、人感センサを示している。人感センサ24は、赤外線や超音波などにより人の存在を検出し、利用者1の存在を検出したか否かを示す信号を人感センサ情報取得部108へ出力する。
符合25は、温湿度センサを示している。温湿度センサ25は検出した温度や湿度の情報を温度湿度取得部106へ出力する。
本実施形態において座席テーブル10は、これらの付帯設備のうち少なくとも一つを備えているものとする。
【0025】
図3は本発明の第一の実施形態による座席管理システムのシステム構成図である。
利用者情報取得部100は、端末21に接続されている利用者カードリーダ23から利用者IDを取得し、予約受付部101へ出力する。また、利用者情報取得部100は、各座席テーブル10に設定されている利用者カードリーダ15から利用者IDと利用者カードリーダ15のIDを取得し、利用者判定部102へ出力する。
【0026】
予約受付部101は、端末21において予約操作を行った利用者の利用者IDを利用者情報取得部100から取得し、その利用者IDが利用者DB300へ登録されているかどうかをチェックする。また、予約受付部101は利用者による予約操作の結果として、利用者ID,座席テーブルの識別情報(座席テーブルID)、予約受付時間を後述する予約実績DB302の「予約実績ログ」へ記録する。
また、予約受付部101は、利用者が座席テーブル10の使用を終えたときに利用者から利用終了操作を受け付ける。予約受付部101は、利用者による利用終了操作を受け付けた時刻を予約実績DB302の「予約実績ログ」へ記録する。
【0027】
利用者判定部102は、予約操作を行った利用者のIDと利用者情報取得部100が取得した利用者IDとを比較して座席テーブル10を使用しようとする利用者が、その座席テーブル10を予約した利用者であるかどうかを判定する。具体的には、まず利用者判定部102は、利用者情報取得部100から利用者IDと利用者カードリーダ15のIDとを取得する。そして利用者判定部102は、取得した利用者IDと利用者カードリーダ15のIDとを用いて予約実績DB302の「予約実績ログ」を参照して、その利用者IDが示す利用者が、利用者カードリーダ15の設置してある座席テーブル10をその時間に予約しているかどうかを判定する。
判定の結果、利用者が予約していた場合、利用者判定部102は、利用者IDの取得時間をその利用者が座席テーブル10を使用開始した時刻であると判断し、「予約実績ログ」に使用開始時刻を記録する。
また、利用者判定部102は、判定の結果にかかわらず、利用者ID、判定した対象の座席テーブル10のIDと判定結果とを座席環境制御部103へ出力する。
【0028】
座席環境制御部103は、利用者判定部102から取得した利用者が自分が予約した座席を利用しようとしているか否かの判定に従って、利用者判定部102から取得した座席テーブルIDが示す座席テーブル10の付帯設備11に電力を供給する制御を行う。利用者が自分が予約した座席を利用しようとしている場合、座席環境制御部103は、その座席テーブル10の付帯設備11へ電力供給を行う指示を電力供給制御装置13に対して行う。逆に予約を行っていない利用者がその座席を利用しようとしている場合、座席環境制御部103は、その座席テーブル10の付帯設備11へ電力供給を行わない指示を電力供給制御装置13に対して行う。また、座席環境制御部103は、利用者IDを用いて座席環境DB303に格納されたその利用者が設定した照明の照度を示す情報を取得し、電力供給制御装置13に出力する。電力供給制御装置13は、取得した照度情報に基づいてその利用者が使用する座席テーブル10の照明ユニット17の照度を調整する。
また、座席環境制御部103は、ある座席テーブル10へ給電を開始した時間をサーバ20が備える記憶部に記録しておき、所定時間(例えば2時間)が経過すると給電を停止する機能を有している。このようにすることで1人の利用者に連続して座席テーブルを占有することを防ぐことができる。
また、座席環境制御部103は、人感センサ情報取得部108から利用者1が存在するか否かの情報に基づいて例えば、利用者1が存在する旨の信号を取得した場合に照明ユニット17をオンにし、そうでなければ照明ユニット17をオフにする指示を電力供給制御装置13に対して行う。それによって照明ユニット17による省エネ効果を得ることができる。
また、座席環境制御部103は、温度湿度取得部106から取得した温度湿度の情報を座席テーブルIDと対応付けて座席環境DB303に格納する。格納した温度湿度の情報はどの座席が暑いかなどの統計情報を算出するのに用いることができる。
【0029】
照度取得部104は、付帯設備11の照明ユニット17から利用者が設定した照明の明るさを示す情報を取得する。明るさを示す情報は例えば、照明ユニット17の最大照度に対して0〜100%の割合で示した値であってもよい。また、照度取得部104は、照明ユニット17から利用者が設定した照明の色温度を示す情報を取得する。色温度とは照明器具の光の色あいを示す情報である。
利用者設定情報記録部105は、利用者が設定した照明ユニット17の照度や色温度を照度取得部104から取得し、利用者IDと対応付けて座席環境DB303に格納する。利用者設定情報記録部105が座席環境DB303に格納するタイミングは、例えば利用者が照明ユニット17の照度や色温度を変更したときでよい。なお、利用者設定情報記録部105は、利用者が設定した照度や色温度を利用者ID及び座席テーブルIDと対応付けて格納してもよいし、さらに時刻と組み合わせて格納してもよい。座席テーブルIDと対応付けることで座席テーブル10が設置された位置によって明るさが異なる空間にも対応が可能である。また、時刻を組み合わせることで日中と夕方で明るさが異なる位置に座席テーブル10が備えられていても、それに応じて利用者が設定した照度を記録することができる。
【0030】
温度湿度取得部106は、温湿度センサ25が測定した各座席テーブルにおける温度及び湿度を取得し、予約受付部101及び座席環境制御部103へ出力する。
人感センサ情報取得部108は、各座席テーブルに利用者1が存在するか否かを座席環境制御部103へ出力する。
【0031】
これら利用者情報取得部100、予約受付部101、利用者判定部102、座席環境制御部103、照度取得部104、利用者設定情報記録部105、温度湿度取得部106、人感センサ情報取得部108は、サーバ20においてCPU(Central Processing Unit)がプログラムを実行することにより備わる機能である。
【0032】
利用者DB300は、利用者のID、年齢、性別、住所などの情報を保有している。
座席テーブルDB301は、各座席テーブル10ごとに座席テーブル10とその座席テーブル10が備える付帯設備11(照明ユニット17、電源コンセントユニット18、ワイヤレス給電装置19)及び座席テーブル10に設置された利用者カードリーダ15との対応関係を定義した情報を保有している。また、座席テーブルDB301は、どの座席テーブル10が予約済みであるかの情報も保有している。
予約実績DB302は、座席テーブルごとの予約履歴と利用実績が記録された「予約実績ログを保有している。
座席環境DB303は、利用者IDごとその利用者が設定した照度情報や色温度情報を保有している。また、座席環境DB303は、座席テーブルが備えられた空間の環境条件に応じて予め設定された環境設定情報を保持していてもよい。環境条件とは例えば明るさや温度である。環境設定情報とは、例えば照明ユニット17の照度や色温度、座席テーブル10、椅子30の高さなどである。
座席環境DB303は、座席テーブル10が備えられた場所に応じた適切な照度情報を各座席テーブル10ごとに保有していてもよい。例えば日が当たらない位置にある座席には高い照度が設定されていてもよい。また、座席環境DB303は、各座席テーブル10ごとに時刻に応じた照度情報を保有していてもよい。例えば、14時以降日当たりが悪くなる座席テーブル10については、14時以降にそれまでの時刻よりも高い照度が設定されていてもよい。また、利用者ごとに椅子30や座席テーブル10の高さなどを保有していてもよい。
なお、利用者DB300、座席テーブルDB301、予約実績DB302、予約実績DB302、座席環境DB303は、サーバ20が備える記憶部に備えられていてもよいし、サーバ20と接続された外部記憶装置に備えられていてもよい。
【0033】
図4は本発明の第一の実施形態による座席管理システムの動作の一例を説明する第一の図である。なお、
図1と同じ機能部には同じ符号を付して説明する。
図4は、本実施形態における端末21において利用者1が座席テーブル10を予約する操作を示している。
利用者1は、利用者カード70を所有している。利用者カード70は、ICチップが備えられており、そこには利用者1の識別情報(利用者ID)が記録されている。
端末21においては、端末21が備える記憶部に格納されたプログラムが稼働し、そのプログラムが端末21を利用者カード70を用いた認証無しには利用者1による操作を受け付けない状態に制御していてもよい。また、そのプログラムが端末21の画面に、例えば「利用者カードを利用者カードリーダにかざしてください」といったメッセージを表示してもよい。
まず、利用者1は自分が所有している利用者カード70を端末21に接続された利用者カードリーダ23にかざす(符号72)。すると、利用者カードリーダ23は、利用者カード70と通信を行い利用者1のIDを取得し、端末21へ出力する。端末21は、利用者1のIDを通信ケーブル22を介してサーバ20へ送信する。サーバ20では、利用者情報取得部100がその情報を受信し、予約受付部101へ出力する。予約受付部101は利用者DB300に格納された情報を読み込んで、利用者情報取得部100から取得した利用者IDが登録済みであるか否かを判定し、その結果を端末21へ送信する。結果を受信した端末21では、プログラムが稼働し、その利用者IDが登録されていないときは例えば「利用者IDが未登録です」などのメッセージを端末21の画面に表示してもよい。一方、利用者IDが登録されている場合は、端末21のプログラムは、端末21がアクティブ(操作を受け付ける状態)となるよう制御し、端末21の画面に利用者メニューを表示させてもよい。利用者メニューには例えば「蔵書検索」、「座席テーブル予約」などの選択肢が表示され、利用者1が「座席テーブル予約」を選択すると、予約受付部101が端末21の画面に
図4の符号200が示すような複数の座席テーブル10が表示された画面を表示してもよい。さらに予約受付部101は利用者1に座席テーブル10の予約を促すようなメッセージを表示してもよい。
【0034】
図4において符号200は、端末21の画面に出力される座席テーブル10の予約ページの一例を示している。この予約画面200は、サーバ20の予約受付部101を構成する1つ又は複数のプログラムが実行されることで生成される画面イメージであってもよい。又は端末21に備えられたプログラムが実行され、予約受付部101から座席テーブルの予約に必要な情報を受信することで生成される画面イメージであってもよい。
予約画面200に表示されているのは例えば現在の座席テーブル10の利用状況を表示する画面である。符号201は、既に他の利用者によって予約された座席テーブルを示している。符号202は現在空いている座席テーブルを示している。利用者1は、現在予約されていない座席202から利用したい席を選択する。利用者1が座席202の中から1つを選択すると、端末21は、その選択した座席の情報を予約受付部101へ送信する。予約受付部101は、新しく予約された座席の色を変更し、その画面イメージを端末21へ送信する。また、利用者1が一度選択した席を変更したいときには、既に選択した座席をマウス等でクリックしたり、あるいは端末21の画面がタッチパネルであれば指で選択してその選択を解除し、利用者1は、再度予約したい席を選択してもよい。
【0035】
符号203は、利用者1が予約した内容を確定するときに押下するボタンである。利用者1がボタン203を押下すると予約受付部101は予約した内容を確定する。このとき端末21は、その選択した座席の情報とボタン203が押下された旨の情報を予約受付部101へ送信する。予約受付部101はその座席情報と利用者1の利用者IDとを対応付けて座席テーブルDB301に格納する。
符号204は、利用者1が予約した内容を取り消すときに押下するボタンである。利用者1がボタン204を押下すると、端末21はボタン204が押下された旨の情報を予約受付部101へ送信する。予約受付部101は選択した座席情報を破棄する。
予約受付部101は、ボタン203、ボタン204が押下された旨の情報を取得するとメニュー画面へ戻るように画面制御を行う。
符号205は、座席テーブル10に備えられた付帯設備11の詳細を表示するボタンである。利用者1がボタン205を押下すると、予約受付部101は各座席テーブル10が備える付帯設備11含む情報を座席テーブルDB301から取得して端末21へ送信し、どの座席テーブル10がどのような付帯設備11を備えているかを端末21の画面に表示する。例えば利用者1が、PC等を利用する場合、電源コンセントユニット18が備えられた座席テーブルが必要である。利用者1は、付帯設備11の情報を参照しながら、どの座席テーブル10を使用するかを選択することができる。
符合206は、座席テーブル10の環境情報を表示するウインドウ画面である。利用者1が例えば符号201の閲覧テーブルを選択するとウインドウ画面206がポップアップ表示されてもよい。ウインドウ画面206には照明ユニット17の照度や色温度、温度湿度取得部106が取得した温度や湿度が表示されてもよい。これにより利用者1は自分の好きな明るさの照明ユニット17が備えられた座席や自分の好む温度や湿度にある座席を選択できる。
なお、予約受付部101は、利用者1が予約画面200で予約した座席を予約時間から所定の時間経過しても次に
図5で説明する動作によって予約した座席テーブル10の使用を開始しない場合は、予約をキャンセルする機能を有している。
【0036】
図5は本発明の第一の実施形態による座席管理システムの動作の一例を説明する第二の図である。なお、
図1と同じ機能部には同じ符号を付して説明する。
図5は、本実施形態において利用者1が予約した座席テーブル10を利用するときの操作を示している。
利用者1は、予約した座席テーブル10において、利用者カードリーダ15に利用者カード70をかざす(符号72)。すると利用者カードリーダ15は、利用者カード70から読み取った利用者1の利用者IDと利用者カードリーダ15のIDとを通信ケーブル16を介してサーバ20へ送信する。サーバ20では、利用者情報取得部100がその情報を受信し、利用者判定部102へ出力する。利用者判定部102は、座席テーブルDB301に格納された、座席テーブル10と利用者カードリーダ15と付帯設備11との関係を定義した表を参照して、取得した利用者カードリーダ15のIDから利用者1が使用しようとしている座席テーブル10のIDを求める。そして利用者判定部102は、座席テーブル10のIDと利用者IDとを用いて予約実績DB302に記録された「予約実績ログ」にその座席テーブルIDと利用者IDとを含む予約情報が記録されているかどうかを検索する。「予約実績ログ」に記録されていた場合、利用者判定部102は、電力供給制御装置13にその座席テーブル10が備える付帯設備11に電力を供給するよう指示を行う。すると座席テーブル10に備えられた例えば照明ユニット17が点灯し、利用者1は、その座席テーブル10を使用することができるようになる。
【0037】
一方、「予約実績ログ」に記録がなかった場合、その座席テーブル10の付帯設備11には電力が供給されず、利用者1はその座席を使用しずらい状況になる。
なお、利用者が予約していない座席にて利用者カードをかざした場合、利用者判定部102は、図書館運営者へその旨を通知してもよい。例えば、図書館運営者の利用するPC端末の画面に「座席テーブルNo.XXは、予約のない利用者ID:YYYYのユーザに使用されています。」というメッセージを表示してもよい。それによって図書館運営者がその利用者に警告するなどして、付帯設備11が使えないにもかかわらずその座席を使用しないように管理してもよい。
最後に利用者1が座席テーブル10の利用を終了すると、利用者1は端末21において座席テーブル10の使用が完了したことを示す利用終了操作を行う。利用終了操作とは、利用者1が利用者カード70を利用者カードリーダ23にかざした後に
図4で示した予約画面200において自分が利用していた座席を選択する操作をいう。利用者1が利用終了操作を行うと予約受付部101は予約実績DB302の保持する「予約実績ログ」に利用者1が座席テーブル10を利用し終えた時刻を記録する。
なお、この例では端末21に対して座席の予約操作や利用終了操作を行ったが、サーバ20の利用予約を管理する機能がWebアプリケーションで提供されており、利用者は自分の所有する携帯端末などからこの機能を利用できるようになっていてもよい。その場合の認証方法は、利用者カードによる認証ではなく、一般的な利用者のユーザーアカウントとパスワードによる認証方式であってもよい。
【0038】
図6は本実施形態による座席管理システムにおける表及びログ情報の一例を示す図である。
図6(a)は、座席テーブルDB301に格納された、座席テーブル10と付帯設備11(照明ユニット17、電源コンセントユニット18、ワイヤレス給電装置19)との関係を定義した表の一例である。例えば、
図5において利用者判定部102が、利用者カードリーダのIDを用いてこの表を検索し、その利用者カードリーダがどの座席テーブル10に設置されているかを求める。また、座席環境制御部103は、座席テーブル10のIDを用いてこの表を検索し、その座席テーブル10に備えられている付帯設備11のIDを求め、電力供給制御装置13にその付帯設備11へ電力を供給するように指示を行う。
【0039】
図6(b)は、予約実績DB302に格納された「予約実績ログ」の一例である。予約受付部101は、利用者1が予約を行うと、利用者IDと予約した座席テーブル10のIDと予約を受け付けた時刻とを「予約実績ログ」に出力する。また、利用者判定部102は、利用者1が座席テーブル10の利用者カードリーダ15に利用者カード70をかざすと、「予約実績ログ」の当該予約を示すレコードを特定し「使用開始時刻」欄にその時の時刻を記録する。また、予約受付部101は、利用者1が利用終了操作を行うと、「予約実績ログ」の当該予約を示すレコードを特定し「使用終了時刻」欄に使用終了時刻を記録する。
レコードを特定する方法は、まず、利用者カードリーダ15が読み取った利用者IDと、
図6(a)で例示した表を参照して求めた利用者カードリーダ15のIDに対応する座席テーブルのIDとがそれぞれ「予約実績ログ」の「利用者ID」欄、「座席テーブルID」欄の値と一致するレコードを探し出す。次に利用者判定部102が使用開始時刻を記録するときは「使用開始時刻」欄に記録がないレコードを選択し、予約受付部101が使用終了時刻を記録するときは「使用終了時刻」欄に記録がないレコードを選択すればよい。
【0040】
図7は、本実施形態による座席管理システムにおける座席の作業環境を制御する処理のフロー図である。
前提として、利用者1は予め座席テーブル10を予約しているものとする。
まず、利用者1が座席テーブル10に設置された利用者カードリーダ15に利用者カード70をかざす。すると利用者カードリーダ15は利用者カード70と通信を開始し、利用者カード70に記録された利用者1のIDを取得する(ステップS1)。そして利用者カードリーダ15は取得した利用者IDと利用者カードリーダ15自身のIDとを利用者判定部102へ出力する。次に利用者判定部102は、利用者カードリーダ15のIDを用いて座席テーブルDB301の
図6(a)で例示した表を検索し、その利用者カードリーダ15が設置されている座席テーブル10のIDを取得する。次に利用者判定部102は、予約実績DB302が保持する「予約実績ログ」を参照し、利用者IDと座席テーブル10のIDとの組み合わせで予約が登録されているかどうかを検索し、その利用者が正しい利用者か否かを判定する(ステップS2)。
【0041】
利用者判定部102が正しい利用者であると判定した場合(ステップS2=Yes)、利用者判定部102は、利用者ID、座席テーブルIDを座席環境制御部103へ出力する。座席環境制御部103は、座席テーブルIDを用いて、
図6(a)の表から当該座席テーブル10に備えられた付帯設備11のIDを読み取る。そして座席環境制御部103は、電力供給制御装置13へ、付帯設備11のIDと給電の指示情報とを出力する。また、座席環境制御部103は、座席環境DB303から利用者IDを用いてその利用者が設定した照明ユニット17の照度や色温度を取得する。ここで、座席環境DB303が照度等を利用者ID、座席テーブルIDごとに保持している場合は、利用者ID及び座席テーブルIDを用いて座席環境DB303に格納された照度情報を取得してもよい。さらに時刻ごとに設定照度が記憶されている場合、同様に利用者IDと時刻などを用いて照度情報を取得してもよい。あるいは、利用者ごとの照度が設定されていない場合、座席環境制御部103は、座席環境DB303が保持する座席テーブル10ごと又は座席テーブル及び時刻ごとの照度等を取得してもよい。
【0042】
座席環境制御部103は、取得したその利用者が過去に設定した照度等の情報を電力供給制御装置13へ、出力する。電力供給制御装置13は、座席環境制御部103から取得したIDが示す付帯設備11への給電を開始し、利用者1が付帯設備11を使用できるようにする(ステップS3)。また、電力供給制御装置13は、取得した照度情報や色温度情報に基づいて照明ユニット17の照度、色温度を調整する。
利用者判定部102が正しい利用者でないと判定した場合(ステップS2=No)、利用者判定部102は、利用者ID、座席テーブルIDを座席環境制御部103へ出力し、後述するステップS5の処理に進む。
【0043】
次に予約受付部101は、利用者1が座席テーブル10の使用を終了したかどうかを判定する(ステップS4)。利用者1が端末21において利用終了操作を行うと、予約受付部101は、利用者1が座席テーブル10の使用を終了したと判定する。利用者1が端末21において利用終了操作を行わない間は、予約受付部101は、利用者1が座席テーブル10を使用中であると判定する(ステップS5=No)。この場合、本処理フローはステップS4からの処理を繰り返す。
【0044】
予約受付部101が使用を終了したと判定した場合(ステップS4=Yes)、端末21は利用者1の利用者ID、利用者1が使用していた座席テーブル10のIDを予約受付部101に出力する。予約受付部101は、それら2つの情報から予約実績DB303の「予約実績ログ」を検索し、
図6(b)で例示した「予約実績ログ」の終了時刻が記入されていないレコードを特定する。そして予約受付部101は、特定したレコードの終了時刻に現在の時刻を記録する。また、予約受付部101は、座席環境制御部103に利用者が使用を終えた座席テーブル10のIDと使用終了を示す情報とを出力する。座席環境制御部103は取得した座席テーブル10のIDを用いて、
図6(a)の表から当該座席テーブル10に備えられた付帯設備11のIDを読み取る。そして座席環境制御部103は、電力供給制御装置13へ、付帯設備11のIDと給電停止の指示情報とを出力する。電力供給制御装置13は、座席環境制御部103から取得したIDが示す付帯設備11への給電を終了し、利用者1が付帯設備を使用できるようにする(ステップS5)。
以上で本処理フローを終了する。
【0045】
本実施形態によれば、座席テーブル10に備えられた付帯設備11を、利用者がその座席を使用しているときだけ使用可能な状態に制御することで、図書館の運営者が座席に備えられた付帯設備11の電源のオンオフを管理する労力が軽減され、付帯設備11の省エネ化も達成することができる。また、利用者がその座席を予約したか否かに応じて使用可能又は不可能な状態に制御することで予約を行った正当な利用者による座席の利用を促進することできる。また、予約を行った利用者は付帯設備11を自動で利用できるので、利用者に管理されているという心理的な負担を与えることなく座席の管理が可能になる。また、正当な利用者であっても所定の時間が経過すると付帯設備11を使用不可能な状態にすることで、1人の利用者による座席の占有を防ぐことができ、多くの利用者に平等に座席を利用してもらうことができる。また、利用者にとっても空席があるかどうか、座席を利用できるかどうかが明瞭で座席を利用しやすくなる。
また、座席テーブル10の配置された場所や利用者の好みに応じて照明ユニット17の照度、色温度を自動的に調整することでより快適な環境を利用者に提供することができる。
また、「利用実績ログ」に蓄積された情報には、座席テーブルID、利用者ID、利用開始時刻、利用終了時刻が含まれているため、図書館運営者は、どのような利用者がどれぐらい座席テーブル10を利用しているかを把握することができる。例えば利用者IDを用いて利用者DB300を参照することでその利用者の性別や年齢を取得することが可能なので男女別や年代別の座席テーブル10の利用状況を算出することが出来る。
また、座席テーブル10の利用率などを座席テーブル10が設置された座席の場所や利用日時ごとに集計し、利用状況のパターンを把握して効率の良い運営に活かしたり、座席の稼働状況から座席の増減を計画するのに役立てることができる。さらに利用状況を分析して1回の予約に対する適切な制限時間の設定を行うことができる。
【0046】
<第二の実施形態>
以下、本発明の第二の実施形態による表示装置を
図8を参照して説明する。
図8は第二の実施形態による座席管理システムのシステム構成図である。
図8で示すように、本実施形態によるサーバ20は、空調制御部107を備えている点で第一の実施形態と異なる。また、空調制御部107は、座席テーブル10が設置された空間の空調を調整する1つ又は複数の空調機とネットワークを通じて接続されている。第二の実施形態による座席管理システムのその他の構成は、第一の実施形態と同様である。
空調制御部107は、サーバ20においてCPUがプログラムを実行することにより備わる機能部である。
【0047】
温度湿度取得部106は、温湿度センサ25が測定した各座席テーブルにおける温度及び湿度を取得し、温湿度センサ25のIDと共に空調制御部107へ出力する。
空調制御部107は、取得した情報に基づいて座席テーブル10が設置された空間の温度、湿度の状況を把握し、温度湿度取得部106から取得する温度及び湿度が予め定められた設定温度湿度範囲内に収まるように空調方式を決定する。そして空調制御部107は、決定した空調方式に従って各空調機に各制御信号を送信し、空調機は制御信号に基づいて空調機が備えられた場所に応じた個別の制御を行う。なお、設定温度湿度は座席環境DB303に保持されているものとする。
【0048】
本実施形態によれば、座席テーブル10に備えられた照明ユニット17の照度等だけではなく、温湿度センサ25から取得した温度や湿度の情報から座席テーブル10が設置された空間の空調を利用者にとって快適な状態に維持することができる。
【0049】
なお、上述したサーバ20の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0050】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0051】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、利用者カードは磁気ストライプカードであってもよい。また、利用予約を管理する機能は、利用開始時刻を指定する機能を有していて、利用者が30分後に図書館に着く場合、30分後から2時間利用することが予約できてもよい。また、座席テーブル10が電動による高さ調整が可能で、利用者が設定した高さ情報を座席環境DBが保有しており、座席環境制御部103がその情報を用いて自動で座席テーブル10の高さを調整してもよい。