特許第6358736号(P6358736)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6358736
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】ドライコート材
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/10 20060101AFI20180709BHJP
   B22D 41/02 20060101ALI20180709BHJP
   C04B 35/66 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   B22D11/10 310J
   B22D41/02 A
   C04B35/66
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-57242(P2014-57242)
(22)【出願日】2014年3月19日
(65)【公開番号】特開2015-178128(P2015-178128A)
(43)【公開日】2015年10月8日
【審査請求日】2017年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】592144593
【氏名又は名称】興亜耐火工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108486
【弁理士】
【氏名又は名称】須磨 光夫
(72)【発明者】
【氏名】是信 敏朗
【審査官】 川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−039597(JP,A)
【文献】 特表平05−505589(JP,A)
【文献】 特開2010−137279(JP,A)
【文献】 特開2013−032247(JP,A)
【文献】 特開昭61−132568(JP,A)
【文献】 特開2000−176612(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0157724(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/10,41/02
C04B 35/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐火性骨材と、フェノール樹脂を含む低温域硬化材と、結晶水を有する無機鉱物の1種又は2種以上を含む中温域硬化材とを含み、さらに、FeO、CaCl、及び長石から選ばれる1種又は2種以上の高温域硬化材とを含み、前記高温域硬化材の配合量が、前記高温域硬化材を除いたドライコート材の全量100質量部に対して、0.5〜2.0質量部の範囲にあるドライコート材。
【請求項2】
前記耐火性骨材が、マグネシア、ドロマイト、ニッケルスラグ、アルミナ、シリカから選ばれる1種又は2種以上の耐火性骨材である請求項1記載のドライコート材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドライコート材に関し、詳細には、ビレット、ブルーム、スラブ等の連続鋳造に用いられるタンディッシュ(中間鍋)の表面をコートするドライコート材に関する。
【背景技術】
【0002】
ビレット、ブルーム、スラブ等を連続鋳造する連続鋳造設備においては、通常、溶鋼を収容した取鍋から注入される溶鋼を一時的に貯留し、制御された鋳込み速度で鋳型へと流し込むために、タンディッシュと呼ばれる中間鍋が配置されている。
【0003】
タンディッシュには、取鍋から注入される溶鋼流の物理的力に対する抵抗性を高めるため、耐久性のある内張と、さらにその内張を保護する耐火物コート材によるコーティングが一般的に施される。耐火物コート材としては、鏝塗布材、吹付けコート材などの水を含んだ湿式のコート材が用いられることが多いが、予熱での水分除去が不完全である場合には、水素[H]が鋼中に取り込まれ、製造される鋼の品質に悪影響を与える、いわゆる水素ピックアップの問題が指摘され、近年では、水を用いないドライコート材の使用が増えており、これまでにも幾つかの提案が為されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、マグネシア等の耐火物骨材に加えて、フェノール樹脂の低温結合剤と、ナトリウムとリン酸塩を含む化合物、アルカリ金属の珪酸塩化合物と金属粉末との混合物などの中間温度結合剤を含む乾式の耐火物用組成物が開示され、特許文献2には、粒度調整された耐火物骨材に対しメタ珪酸塩の水和物を添加したタンディッシュ用表面被覆材が開示されている。さらに、特許文献3には、α−石英を鉱物に含む膨張性骨材を添加することによって焼結収縮を低減させるとともに、アルミナ超微粉とアルミナセメントを規定された量比で含むことにより強度の向上を目指したアルミナ・シリカ質のタンディッシュ内張り用キャスタブルが開示され、特許文献4には、マグネシア質骨材を主成分とする骨材及び粉末フェノールレジンとともに、酸化硼素、硼酸、及び金属硼酸塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上を配合してなるドライコーティング材が開示されている。
【0005】
これら従来のドライコート材は、タンディッシュ側壁と内金枠との間に粉末形態で充填された後、金枠内部を加熱することによって脱枠に必要な強度を熱硬化性フェノール樹脂を代表とする有機樹脂によって発現させる。次いで、脱枠後の昇温により、有機樹脂が酸化消失し強度低下した後、メタ珪酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、MgSO、硼酸等の結晶水を有する無機鉱物が放出する結晶水と骨材との反応によって施工体であるコート層の強度が保持されるが、結晶水が消失する800℃を超える温度域では、コート層の強度は専ら骨材のセラミックとしての強度発現に依存している。しかし、コート層の受鋼前の予熱温度は、経済性等の理由から通常1200℃程度に止まり、この程度の温度の予熱では骨材のセラミックとしての強度発現が十分でない場合がある。このため、受鋼前予熱をし、強度発現させたコート層を備えるタンディッシュであっても、結晶水が消失する温度から骨材のセラミック結合が十分に強度発現するまでの温度域での強度低下が避けられず、実用に供すると、湯落ち煉瓦付近、側壁下部に溶鋼注入時の溶鋼流によると思われる損傷がみられることが多かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2567770号公報
【特許文献2】特許第3342427号公報
【特許文献3】特開2005−152908号公報
【特許文献4】特開2013−39597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記した従来のドライコート材の欠点を解消するために為されたもので、予熱温度が1200℃程度であっても、実使用時には十分な強度を発現し、溶鋼流の物理的圧力に対する抵抗性が高いドライコート材を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明者は、FeO、CaCl、及び長石は、結晶水が消失する温度から骨材のセラミック結合が十分に強度発現するまでの温度域である800℃〜1200℃程度の温度域で、耐火性骨材であるMgOやSiO、その他の成分と反応性が良いことを見出した。そして、これらFeO、CaCl、又は長石を、高温域硬化材としてドライコート材に添加することによって、予熱温度が1200℃程度であっても、実使用時には十分な強度を発現し、溶鋼流の物理的圧力に対する抵抗性が高いドライコート材を提供することができることを確認して本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、耐火性骨材と、低温域硬化材としてフェノール樹脂と、中温域硬化材として結晶水を有する無機鉱物の1種又は2種以上とを含み、さらに、FeO、CaCl、及び長石から選ばれる1種又は2種以上の高温域硬化材とを含むドライコート材を提供することによって上記課題を解決するものである。
【0010】
高温域硬化材の添加量は、施工体としてのコート層に実用上支障のない強度を付与することができる限り特段の制限はないが、余りに少ないと強度発現のレベルが所期のレベルに達せず、また、多すぎると構築されるコート層の耐食性や製造される鋼の品質に悪影響を及ぼす恐れがあるので、高温域硬化材を除いたドライコート材の全量100質量部に対して、0.5〜2.0質量部の範囲にあるのが望ましい。
【0011】
本発明のドライコート材に含まれる耐火性骨材としては、通常、コート材に使用される耐火性骨材であればどのようなものを使用しても良いが、例えば、汎用されているマグネシア、ドロマイト、ニッケルスラグ、アルミナ、シリカから選ばれる1種又は2種以上の耐火性骨材を使用することができる。
【0012】
本発明のドライコート材は、主としてタンディッシュのコート材として使用されるが、本発明のドライコート材の施工対象はタンディッシュに限られず、取鍋であっても良く、その他、高温の溶鋼が注入される各種容器の内張コート材として使用することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のドライコート材によれば、予熱温度が1200℃程度であっても、実使用時には十分な強度を発現し、溶鋼流の物理的圧力に対する抵抗性が高いコート層を乾式で構築することができるという利点が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のドライコート材は、耐火性骨材と、フェノール樹脂を含む低温域硬化材と、結晶水を有する無機鉱物の1種又は2種以上を含む中温域硬化材とを含み、さらに、FeO、CaCl、及び長石から選ばれる1種又は2種以上の高温域硬化材とを含むドライコート材である。
【0015】
耐火性骨材としては、マグネシア、ドロマイト、ニッケルスラグ、アルミナ、シリカから選ばれる1種又は2種以上の耐火性骨材を使用することができ、好ましくは、マグネシアを50質量%以上含有し、これに他の耐火性骨材を添加したマグネシア骨材を主成分とする耐火性骨材が用いられる。なお、マグネシアとしては天然マグネシア、電融マグネシア、焼結マグネシアのいずれであっても良く、それらの混合物であっても良い。耐火性骨材の粒度には特段の制限はないが、通常、3mm以下であるのが好ましく、より好ましくは2mm以下である。
【0016】
低温域硬化材としては、熱硬化性のフェノール樹脂、特に粉末フェノール樹脂を用いることができ、粉末レゾール樹脂を用いるのが好ましい。低温域硬化材の添加量は、後述する高温域硬化材を除いたドライコート材の全量を100質量%としたとき、1質量%〜5質量%の範囲にあるのが好ましい。
【0017】
中温域硬化材としては、結晶水を含む無機鉱物の1種又は2種以上を用いることができ、好ましくは、メタ珪酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等の水和物の1種又は2種以上を用いることができる。中温域硬化材の添加量は、後述する高温域硬化材を除いたドライコート材の全量を100質量%としたとき、1質量%〜6質量%の範囲にあるのが好ましい。
【0018】
高温域硬化材としては、FeO、CaCl、及び長石から選ばれる1種又は2種以上を用いることができ、これらは粉末形態で用いられるのが好ましい。FeOはマグネシア骨材中に含まれる不純物であるSiOと反応性が良く、CaClはマグネシア骨材との反応性が良い。また、長石はマグネシア系及びその他の耐火性骨材とも1200℃近辺で反応し焼結を促進させる効果がある。なお、長石としては、カリ長石、ソーダ長石のいずれを用いても良い。高温域硬化材の添加量は、施工体としてのコート層に実用上支障のない強度を付与することができる限り特段の制限はないが、余りに少ないと強度発現のレベルが所期のレベルに達せず、また、多すぎると構築されるコート層の耐食性や製造される鋼の品質に悪影響を及ぼす恐れがあるので、高温域硬化材を除いたドライコート材の全量100質量部に対して、0.5〜2.0質量部の範囲にあるのが望ましい。
【0019】
本発明のドライコート材には、上記の成分に加えて、ドライコート材に従来から使用されている成分、例えば、ボール粘土、カオリン粘土、ベントナイト、及びそれらの混合物を添加しても良い。
【0020】
以下、実験により本発明をさらに詳細に説明する。
<実験>
下記表1に示す材料及び配合組成を有する試験例1〜9のドライコート材及び比較例1〜2のドライコート材を調製した。
【0021】
【表1】
【0022】
試験例1〜9及び比較例1〜2のドライコート材のそれぞれを、縦45mm、横25mm、高さ55mmの金枠に振動充填し、200℃で2時間加熱乾燥し、試験体1〜9、及び比較試験体1、2を作成した。作成した各試験体の加熱乾燥後の圧縮強度を下記要領で測定するとともに、同様に作成した各試験体を1200℃で2時間、又は1500℃で2時間焼成し、加熱乾燥後の試験体と同じ要領で圧縮強度を測定するとともに、下記要領で焼成収縮率を測定した。結果を表2に示す。
【0023】
<圧縮強度測定>
試験体に高さ方向(55mmの方向)の圧力を掛け、破壊したときの応力をもって圧縮強度(MPa)とした。
<焼成収縮率>
試験体の縦45mmの方向の焼成前後の長さを、高さ55mmの中間位置(高さ27.5mmの位置)において前面と背面の2箇所で測定し、平均値をとり、下記計算式により焼成収縮率(%)を求めた。
焼成収縮率(%)={(焼成前の長さ−焼成後の長さ)/(焼成前の長さ)}×100
【0024】
【表2】
【0025】
表2に示されるとおり、耐火性骨材、低温域硬化材、中温域硬化材、及びその他添加材の合計100質量部に対し、それぞれ0.5質量部、1.0質量部、及び2.0質量部のCaClを添加した試験例1、2、3のドライコート材を用いて作成された試験体1、2、3は、200℃、2時間加熱乾燥後の圧縮強度においては、CaClを含まない比較例1、2のドライコート材を用いて作成された比較試験体1、2とほぼ同じ値を示したが、1200℃で2時間焼成後の圧縮強度においては、1.4MPa、2.3MPa、2.5MPaとCaClの添加量に依存して増大する圧縮強度を示し、比較試験体1、2の同条件下での圧縮強度0.5MPa及び0.9MPaを大きく上回った。
【0026】
1500℃で2時間焼成後の圧縮強度においても同様の傾向がみられ、試験体1、2、3の1500℃で2時間焼成後の圧縮強度は、それぞれ、4.7MPa、7.8MPa、8.6MPaとCaClの添加量に依存して大きく増大し、比較試験体1、2の同条件下での圧縮強度0.8MPa、1.4Paを大きく上回った。
【0027】
また、耐火性骨材、低温域硬化材、中温域硬化材、及びその他添加材の合計100質量部に対し、それぞれ0.5質量部、1.0質量部、及び2.0質量部のFeOを添加した試験例4、5、6のドライコート材を用いて作成された試験体4、5、6は、200℃、2時間加熱乾燥後の圧縮強度においては、FeOを含まない比較例1、2のドライコート材を用いて作成された比較試験体1、2の圧縮強度をやや下回る値を示したが、1200℃で2時間焼成後の圧縮強度においては、2.1MPa、2.3MPa、2.7MPaとFeOの添加量に依存して増大する圧縮強度を示し、比較試験体1、2の同条件下での圧縮強度0.5MPa及び0.9MPaを大きく上回った。
【0028】
1500℃で2時間焼成後の圧縮強度においても同様の傾向がみられ、試験体4、5、6の1500℃で2時間焼成後の圧縮強度は、それぞれ、2.2MPa、2.8MPa、3.5MPaとFeOの添加量に依存して増大し、比較試験体1、2の同条件下での圧縮強度0.8MPa、1.4MPaを大きく上回った。
【0029】
さらに、耐火性骨材、低温域硬化材、中温域硬化材、及びその他添加材の合計100質量部に対し、それぞれ0.5質量部、1.0質量部、及び2.0質量部のカリ長石を添加した試験例7、8、9のドライコート材を用いて作成された試験体7、8、9は、200℃、2時間加熱乾燥後の圧縮強度においては、カリ長石を含まない比較例1、2のドライコート材を用いて作成された比較試験体1、2の圧縮強度をやや下回る値を示したが、1200℃で2時間焼成後の圧縮強度においては、1.6MPa、2.3MPa、3.1MPaとカリ長石の添加量に依存して増大する圧縮強度を示し、比較試験体1、2の同条件下での圧縮強度0.5MPa及び0.9MPaを大きく上回った。
【0030】
1500℃で2時間焼成後の圧縮強度においても同様の傾向がみられ、試験体7、8、9の1500℃で2時間焼成後の圧縮強度は、それぞれ、3.1MPa、4.1MPa、5.3MPaとカリ長石の添加量に依存して増大し、比較試験体1、2の同条件下での圧縮強度0.8MPa、1.4MPaを大きく上回った。
【0031】
以上の結果から、高温域硬化材であるCaCl、FeO、又はカリ長石の0.5質量部〜2.0質量部の添加は、1200℃及び1500℃焼成時の圧縮強度を増大させるのに極めて有効であることがわかった。
【0032】
一方、焼成収縮率をみると、CaCl及びFeOに関しては、添加量が2.0質量部である試験体3及び試験体6では、1500℃、2時間焼成時の収縮率が5%を超え、やや劣る結果となった。このことから、収縮率を加味した場合には、CaCl及びFeOの好ましい添加量は、耐火性骨材、低温域硬化材、中温域硬化材、及びその他添加材の合計100質量部に対し、0.5質量部〜1.0質量部の範囲であるといえる。
【0033】
カリ長石に関しては、添加量が2.0質量部である試験体9においても、1500℃、2時間焼成時の収縮率は5.0%未満に止まり、収縮率を加味した場合であっても、カリ長石の好ましい添加量は、耐火性骨材、低温域硬化材、中温域硬化材、及びその他添加材の合計100質量部に対し、0.5質量部〜2.0質量部の範囲であるといえる。なお、カリ長石に代えてソーダ長石を用いて同様のドライコート材及び試験体を調製し、同様の試験を行ったが、圧縮強度、及び圧縮強度に収縮率を加味した場合のいずれにおいても、耐火性骨材、低温域硬化材、中温域硬化材、及びその他添加材の合計100質量部に対し、0.5質量部〜2.0質量部の範囲が好ましいという結果が得られた。
【0034】
なお、上記の実験においては、高温域硬化材として、CaCl、FeO、またはカリ長石のいずれかを単独で添加したが、いずれか2種又は3種を、合計で、耐火性骨材、低温域硬化材、中温域硬化材、及びその他添加材の合計100質量部に対し、0.5質量部〜2.0質量部の範囲で添加しても良いことは勿論である。
【実施例1】
【0035】
試験例2のドライコート材と同じ配合組成でドライコート材を調製し、タンディッシュ内に設置した内金枠とタンディッシュ側壁との間に約50mm厚み投入後振動充填し、550℃で2時間加熱後、脱枠し、さらに、1100℃〜1200℃で4〜5時間加熱後、直ちにこのタンディッシュ内に取鍋から溶鋼80トンの受鋼を行った。連続して2回受鋼を繰り返した後、残湯等を排出した。残湯等排出後のタンディッシュ側壁を観察したが、コート層に溶鋼流圧力による損傷はみられなかった。また、鋼を分析したが、鋼組成に変化はみられず、本例のドライコート材は鋼製品に悪影響を及ぼさないことが確認された。
【実施例2】
【0036】
試験例2のドライコート材に代えて、試験例8のドライコート材と同じ配合組成でドライコート材を調製し、実施例1におけると同様にタンディッシュの内張上に厚さ約50mmのコート層を構築した。このタンディッシュ内に80トン取鍋から溶鋼を2回受鋼し鋳込み後、排出した。溶鋼排出後のタンディッシュ側壁を観察したが、コート層に溶鋼流圧力による損傷はみられなかった。また、排出し、冷却した鋼を分析したが、鋼組成に変化はみられず、本例のドライコート材は鋼製品に悪影響を及ぼさないことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明のドライコート材は、1200℃程度の予熱温度であっても、注湯される溶鋼の物理的力に十分対抗し、損傷を受ける恐れのないコート層を構築することができるドライコート材であり、省エネルギーで優れた経済効果をもたらすことができる。また、本発明のドライコート材は、鋼製品の品質に悪影響を及ぼすことがなく、安心してタンディッシュ等の内張のコート材として使用することができる。本発明のドライコート材は、製鋼分野、特に連続鋳造の分野において、大いなる産業上の利用可能性を有するものである。