(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のサイレントピリオドの検出方法では、測定者自らが、表示装置上の筋電位波形を拡大したりして解析を行う必要があるため、サイレントピリオドの見落としや、誤判断をすることがあり、正しく一定の指標で解析を行うことができなかった。
また、臨床現場では検査後に、できるだけ早く患者に症状および治療方針等を説明する必要があるが、このような従来のサイレントピリオドの検出方法では、複数のサイレントピリオドを特定し、解析するのに時間を要した。また、測定者が、過去のサイレントピリオドの解析データと最新のサイレントピリオドの解析データを比較し、患者の咬合状態および顎機能状態の変化を短時間で確認し患者に説明することはできなかった。
非特許文献1、2では、サイレントピリオドの自動解析が報告されているがサイレントピリオドの発現時期をタッピング音から0.005秒後と固定していることから、タッピング音を測定する必要があった。よってタッピング音の無い筋電位データからサイレントピリオドのデータの統計値や発現率などを取得する方法が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は時間単位の筋電位サンプルを有する筋電位データからサイレントピリオドの統計値を算出するサイレントピリオド統計値算出方法であって、
筋電位データ内の最大値と最小値の電位差の20%以内で任意に設定されたサイレントピリオド発現電位範囲であって0.002秒〜0.04秒の範囲で任意に設定されたサイレントピリオド持続時間範囲にある筋電位データ中のデータ群をサイレントピリオドデータ群とし、
サイレントピリオドデータ群の個数、最大時間、最小時間、平均値(時間)、中央値(時間)、最頻値(時間)、標準偏差の内の少なくとも一つ以上を算出し表示するサイレントピリオド統計値算出方法である。
【0008】
本発明は筋電位データからサイレントピリオドデータ群の発現率を算出するサイレントピリオド発現率算出方法であって、
筋電位データ内の最大値と最小値の電位差の20%以内で任意に設定されたサイレントピリオド発現電位範囲であって0.002秒〜0.04秒の範囲で任意に設定されたサイレントピリオド持続時間範囲にある筋電位データ中のデータ群をサイレントピリオド群とし、
サイレントピリオドデータ群の個数をサイレントピリオド回数とし、
筋電位データ内の最大値と最小値の電位差の20%以内で任意に設定された筋電位未発現範囲であって0.02秒〜60秒の範囲で任意に設定された筋電位未発現時間範囲以上である筋電位データ中のデータ群を筋電位未発現データ群とし、
筋電位未発現データ群の個数から1つ少ない数をタッピング回数とし、
単位タッピング回数あたりのサイレントピリオドの回数としてサイレントピリオドの発現率を算出し表示するサイレントピリオド発現率算出方法である。
【0009】
本発明はサイレントピリオド発現率算出方法で算出された複数のサイレントピリオドの統計値もしくは発現率の差を算出し表示するサイレントピリオド変化量算出方法である。
【0010】
本発明は筋電位データからサイレントピリオドの統計値を算出するサイレントピリオド統計値算出プログラムであって、
筋電位データ内の最大値と最小値の電位差の20%以内で任意に設定されたサイレントピリオド発現電位範囲であって0.002秒〜0.04秒の範囲で任意に設定されたサイレントピリオド持続時間範囲にある筋電位データ中のデータ群をサイレントピリオドデータ群とし、
サイレントピリオドデータ群の個数、最大時間、最小時間、平均値(時間)、中央値(時間)、最頻値(時間)、標準偏差の内の少なくとも一つ以上を算出し表示するサイレントピリオド統計値算出プログラムである。
【0011】
本発明は筋電位データからサイレントピリオドの発現率を算出するサイレントピリオド発現率算出プログラムであって、
筋電位データ内の最大値と最小値の電位差の20%以内で任意に設定されたサイレントピリオド発現電位範囲であって0.002秒〜0.04秒の範囲で任意に設定されたサイレントピリオド持続時間範囲にある筋電位データ中のデータ群をサイレントピリオドデータ群とし、
サイレントピリオドデータ群の個数をサイレントピリオド回数とし、
筋電位データ内の最大値と最小値の電位差の20%以内で任意に設定された筋電位未発現範囲であって0.02秒〜60秒の範囲で任意に設定された筋電位未発現時間範囲以上である筋電位データ中のデータ群を筋電位未発現データ群とし、
筋電位未発現データ群の個数から1つ少ない数をタッピング回数とし、
単位タッピング回数あたりのサイレントピリオドの回数としてサイレントピリオドの発現率を算出し表示するサイレントピリオド発現率算出プログラムである。
【0012】
本発明は、サイレントピリオド発現率算出プログラムで算出された複数のサイレントピリオドの統計値もしくは発現率の差を算出し表示するサイレントピリオド変化量算出プログラムである。
【0013】
本発明は筋電位データからサイレントピリオドの統計値を算出する記憶装置、演算装置、入力装置、表示装置を有するサイレントピリオド統計値算出装置であって、
入力装置を用いて、記憶装置に保存された筋電位データをソフトウェアにて読み出し、演算装置にて、筋電位データ内の最大値と最小値の電位差の20%以内で任意に設定されたサイレントピリオド発現電位範囲及びその持続時間を算出し、その持続時間が0.002秒〜0.04秒の範囲で任意に設定されたサイレントピリオド持続時間範囲にある場合、その筋電位データ中のデータ群をサイレントピリオドデータ群と認定し、
認定されたサイレントピリオドデータ群からサイレントピリオド群の個数、最大時間、最小時間、平均値(時間)、中央値(時間)、最頻値(時間)、標準偏差の内の少なくとも一つ以上を算出し表示するサイレントピリオド統計値算出装置である。
【0014】
本発明は筋電位データからサイレントピリオドの発現率を算出する記憶装置、演算装置、入力装置、表示装置を有するサイレントピリオド発現率算出装置であって、
入力装置を用いて、記憶装置に保存された筋電位データをソフトウェアにて読み出し、演算装置にて、筋電位データ内の最大値と最小値の電位差の20%以内で任意に設定されたサイレントピリオド発現電位範囲及びその持続時間を算出し、その持続時間が0.002秒〜0.04秒の範囲で任意に設定されたサイレントピリオド持続時間範囲にある場合、その筋電位データ中のデータ群をサイレントピリオドデータ群と認定し、
認定されたサイレントピリオドデータ群の個数をサイレントピリオド回数とし
演算装置を用いて、筋電位データ内の最大値と最小値の電位差の20%以内で任意に設定された筋電位未発現範囲及びその持続時間を算出し、その持続時間が0.02秒〜60秒の範囲で任意に設定された筋電位未発現時間範囲にある場合、そのデータ群を筋電位未発現データ群とし、
筋電位未発現データ群の個数から1つ少ない数をタッピング回数とし、
単位タッピング回数あたりのサイレントピリオドの回数としてサイレントピリオドの発現率を算出し表示するサイレントピリオド発現率算出装置である。
【0015】
本発明は算出された複数のサイレントピリオドの統計値もしくは発現率の差を算出し表示するサイレントピリオド変化量算出装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によるサイレントピリオドの統計値、発現率及びその変化量算出方法、これらのプログラム及び装置を用いて、サイレントピリオド統計値、発現率、複数のサイレントピリオドの統計値、発現率の変化量を算出および、検出し、表示装置に表示することで、人為的なエラーや測定者の個人差などを排除した一定のデータを取得することができ、患者に症状および治療方針を短時間に説明することが可能になる。
これまでの頭頸部の筋肉の研究では上下顎の接触時の歯牙接触音(タッピング音)を頼りにサイレントピリオドの発現時期を予測していたが、本発明でではタッピング音は利用せずにサイレントピリオドの発現時期を正しく予測することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
筋電位データとは人体から入手した筋電位であって、時間単位の筋電位サンプルの集合である。人体は筋肉を動かすときに筋電位を生じ、この筋電位を筋電位計測装置で計測することにより筋電位データを取得することができる。また、本発明はサイレントピリオドの有無を調べることを目的とするため、本発明に用いる筋電位データは臨床的にサイレントピリオドを有する部位から取得した筋電位データであればよいが、頭頸部の筋肉の筋電位データであることが好ましい。筋電位データは、サンプリング周期0.002秒以下で取得されたデータ群であることが好ましい。このサンプリング周期は筋電位計測装置のスペックで決まるものである。
筋電位データは、1回の筋活動のデータでも良いが、本発明は複数回繰り返された筋活動をまとめたものであっても測定することができる。10〜100回の筋活動のデータであることが好ましい。
【0018】
初めに、筋電位データの最大値と最小値の電位差を検出する。次に筋電位データ内の最大値と最小値の電位差の20%以内で任意に設定された範囲をサイレントピリオド発現電位範囲として認定する。サイレントピリオド発現電位範囲の閾値は、記憶装置から読み込まれた筋電位データに含まれるノイズ成分と信号成分を明確に区別するため、筋電位データ内の最大値と最小値の電位差の20%であることが好ましい。
好ましいサイレントピリオド発現電位範囲の認定方法を次に説明する。
筋電位計測装置によって決まる筋電位データの出力レンジの半分である基準電位を検出する。次に、筋電位データ内の出力レンジの最大値と最小値の電位差の−10%〜10%以内で任意に設定された範囲が、基準電位に対して上下対称にある範囲をサイレントピリオド発現電位範囲として認定する。このサイレントピリオド発現電位範囲は、基準電位に対して−0.5mV〜0.5mVの範囲以下であることが好ましい。このサイレントピリオド発現電位範囲は設計者もしくは測定者が決定するものである。
【0019】
0.002秒〜0.04秒の範囲内で決められる任意の時間をサイレントピリオド持続時間範囲として認定する。このサイレントピリオド持続時間範囲は設計者もしくは測定者が決定するものである。
予め決められた任意のサイレントピリオド持続時間範囲は0.002秒〜0.02秒の範囲であることが好ましい。
筋電位データがサイレントピリオド発現範囲かつサイレントピリオド持続時間範囲にある場合、これらの筋電位データの集合がサイレントピリオドデータ群となる。
【0020】
サイレントピリオドデータ群から、サイレントピリオドデータ群の個数、最大時間、最小時間、平均値(時間)、中央値(時間)、最頻値(時間)、標準偏差などの統計値を算出することができ、それらの内一つでも表示することが好ましい。特に、個数と平均値(時間)、中央値(時間)、最頻値(時間)のいずれかを算出し表示することが好ましい。本発明は前記方法を用いてサイレントピリオドの統計値を算出し表示するサイレントピリオド統計値算出方法である。
【0021】
次にサイレントピリオドの発現率を算出する為に、タッピング回数を算出する方法を説明する。
尚、サイレントピリオドの発現率を算出するには前記サイレントピリオドの個数も用いる。サイレントピリオドの個数はサイレントピリオドデータ群の個数である。
【0022】
初めに、筋電位データの最大値と最小値の電位差を検出する。次に筋電位データ内の最大値と最小値の電位差の20%以内で任意に設定された範囲を筋電位未発現範囲として認定する。好ましい筋電位未発現範囲の認定方法を次に説明する。
筋電位計測装置によって決まる筋電位データの出力レンジの半分である基準電位を検出する。次に、筋電位データ内の出力レンジの最大値と最小値の電位差の−10%〜10%以内で任意に設定された範囲が、基準電位に対して上下対称にある範囲を筋電位未発現範囲として認定する。この筋電位未発現範囲は、基準電位に対して−0.5mV〜0.5mVの範囲以下であることが好ましい。
【0023】
0.02秒〜60秒の範囲内で決められる任意の時間を筋電位未発現時間範囲として認定する。この筋電位未発現時間範囲は設計者もしくは測定者が決定するものである。好ましくは、0.03秒〜0.1秒である。
【0024】
筋電位データが筋電位未発現範囲でかつ筋電位未発現時間範囲以上にある場合、これらの筋電位データの集合が筋電位未発現データ群となり、その個数から1つ少ない数をタッピング回数とする。
単位タッピング回数あたりのサイレントピリオドの回数としてサイレントピリオドの発現率を算出し表示するサイレントピリオド発現率算出方法である。
発現率の表示として、特に限定するものではないが、(サイレントピリオドの回数/単位タッピング回数)として、分数や小数で表示してもよいが、%で表現することが考えられる。
また、前記方法で算出された複数のサイレントピリオドの統計値もしくは発現率の変化量を算出し表示するサイレントピリオド変化量算出方法であることが好ましい。
【0025】
前記方法をプログラムで再現することは好ましい。以下に、サイレントピリオド統計値を算出するステージ毎にプログラムの実行方法を説明する。
(ステージ1)筋電位データを読み込む。
(ステージ2)筋電位データ内の最大値と最小値の電位差の20%以内で任意に設定されたサイレントピリオド発現電位範囲と、0.002秒〜0.04秒の範囲で任意に設定されたサイレントピリオド持続時間範囲と、出力レンジを設定する。
(ステージ3)設定したサイレントピリオド発現電位範囲とサイレントピリオド持続時間範囲にある筋電位データ中のデータ群からサイレントピリオドデータ群を算出する。
または、基準電位に対して上下対称に設定したサイレントピリオド発現電位範囲とサイレントピリオド持続時間範囲にある筋電位データ中のデータ群からサイレントピリオドデータ群を算出する。
(ステージ4)サイレントピリオドデータ群から、サイレントピリオドの統計値の内の少なくとも一つを算出する。
【0026】
次に、サイレントピリオドの発現率を算出するステージ毎にプログラムの実行方法を説明する。
(ステージ1)筋電位データを読み込む。
(ステージ2)筋電位データ内の最大値と最小値の電位差の20%以内で任意に設定されたサイレントピリオド発現電位範囲と、0.002秒〜0.04秒の範囲で任意に設定されたサイレントピリオド持続時間範囲と、出力レンジを設定する。
(ステージ3)設定したサイレントピリオド発現電位範囲とサイレントピリオド持続時間範囲にある筋電位データ中のデータ群からサイレントピリオドデータ群を算出する。
または、基準電位に対して上下対称に設定したサイレントピリオド発現電位範囲とサイレントピリオド持続時間範囲にある筋電位データ中のデータ群からサイレントピリオドデータ群を算出する。
【0027】
(ステージ4)サイレントピリオドデータ群から、その個数を算出する。
(ステージ5)筋電位データ内の最大値と最小値の電位差の20%以内で任意に設定された筋電位未発現範囲と、0.02秒〜60秒の範囲で任意に設定された筋電位未発現時間範囲と、出力レンジを設定する。
(ステージ6)設定した筋電位未発現範囲と筋電位未発現時間範囲以上にある筋電位データ中のデータ群の個数から1つ少ない数をタッピング回数として算出する。
または、基準電位に対して上下対称に設定した筋電位未発現範囲と筋電位未発現時間範囲以上にある筋電位データ中のデータ群の個数から1つ少ない数をタッピング回数として算出する。
(ステージ7)単位タッピング回数あたりのサイレントピリオドの回数としてサイレントピリオドの発現率を算出する。
但し、ステージ5、6はステージ2の前に実施してもよい。
【0028】
次に、サイレントピリオド変化量を算出するステージ毎にプログラムの実行方法を説明する。
(ステージ1)複数の筋電位データから前記方法にて算出されたサイレントピリオドの統計値や発現率の変化量を表示する。
複数の筋電位データは同一人物の時間が異なる筋電位データであることや、異なる人物のデータである。
【0029】
前記方法や前記プログラムが実行できる装置であって、サイレントピリオドの統計値や発現率、変化量を算出するための装置は少なくとも記憶装置、演算装置、入力装置、表示装置を有する。次にサイレントピリオドの統計値、発現率、変化量を算出するための装置の作動方法を説明する。
(ステージ1)記憶装置に保存された筋電位データを演算装置に読み込む。
(ステージ2)筋電位データ内の最大値と最小値の電位差の20%以内で任意に設定されたサイレントピリオド発現電位範囲と、0.002秒〜0.04秒の範囲で任意に設定されたサイレントピリオド持続時間範囲と出力レンジを、入力装置を用いて設定する。
(ステージ3)設定したサイレントピリオド発現電位範囲とサイレントピリオド持続時間範囲にある筋電位データ中のデータ群からサイレントピリオドデータ群を、演算装置で算出する。
または、基準電位に対して上下対称に設定したサイレントピリオド発現電位範囲とサイレントピリオド持続時間範囲にある筋電位データ中のデータ群からサイレントピリオドデータ群を、演算装置で算出する。
(ステージ4)サイレントピリオドデータ群からサイレントピリオドの統計値の内の少なくとも一つを演算装置で算出し、表示装置に表示し、記憶装置に保存する。
【0030】
次にサイレントピリオド発現率を算出するための装置の作動方法を説明する。
(ステージ1)記憶装置に保存された筋電位データを演算装置に読み込む。
(ステージ2)筋電位データ内の最大値と最小値の電位差の20%以内で任意に設定されたサイレントピリオド発現電位範囲と、0.002秒〜0.04秒の範囲で任意に設定されたサイレントピリオド持続時間範囲と出力レンジを、入力装置を用いて設定する。
(ステージ3)設定したサイレントピリオド発現電位範囲とサイレントピリオド持続時間範囲にある筋電位データ中のデータ群からサイレントピリオドデータ群を、演算装置で算出する。
または、基準電位に対して上下対称に設定したサイレントピリオド発現電位範囲とサイレントピリオド持続時間範囲にある筋電位データ中のデータ群からサイレントピリオドデータ群を、演算装置で算出する。
【0031】
(ステージ4)サイレントピリオドデータ群からその個数を演算装置で算出する。
(ステージ5)筋電位データ内の最大値と最小値の電位差の20%以内で任意に設定された筋電位未発現範囲と、0.02秒〜60秒の範囲で任意に設定された筋電位未発現時間範囲と、出力レンジを、入力装置を用いて設定する。
(ステージ6)設定されたもしくは設定できるモードから設定した筋電位未発現範囲と筋電位未発現時間範囲以上にある筋電位データ中のデータ群の個数から1つ少ない数をタッピング回数として演算装置を用いて算出する。
または、基準電位に対して上下対称に設定した筋電位未発現範囲と筋電位未発現時間範囲以上にある筋電位データ中のデータ群の個数から1つ少ない数をタッピング回数として演算装置を用いて算出する。
(ステージ7)単位タッピング回数あたりのサイレントピリオドの回数としてサイレントピリオドの発現率を演算装置で算出し、表示装置に表示し記憶装置に保存する。
但し、ステージ5、6はステージ2の前に実施してもよい。
【0032】
次に、サイレントピリオドの変化量を算出するための装置の作動方法を説明する。
(ステージ1)複数の筋電位データから前記方法にて算出されたサイレントピリオドの統計値や発現率の変化量を演算装置で算出し、表示装置に表示し、記憶装置に保存する。
【0033】
本発明に用いる好ましいサイレントピリオドの統計値、発現率及びその変化量算出方法、これらのプログラム及び装置にいついて説明する。
本装置は、記憶装置、演算装置、入力装置、表示装置、本発明のプログラム等を搭載する。また本発明の装置は、筋電位計測装置に組み込まれていてもよい。
記憶装置は、筋電位計測装置で測定された筋電位データを保存する機能を有しているものであれば何でもよいが、好ましくはHDD、更に好ましくは、ICタイプのメモリやSDカード、MicroSDカード、USBメモリなどのフラッシュメモリのような外部記憶装置で大容量のものである。
演算装置は、筋電位データ中からサイレントピリオドデータ群を検出し、サイレントピリオドの統計値、発現率を算出する機能を有する。
また、複数の筋電位データ中のサイレントピリオドの統計値、発現率の変化量を算出する機能を有するものであれば何でも良いが、好ましくはコンピュータのCPUである。
入力装置は、測定者が操作できるものであれば何でも良いが、好ましくはキーボード、タッチパネル、マウス等である。
表示装置は、筋電位データを表示する機能を有するものであればなんでも良いが、好ましくはディスプレイである。
【0034】
好ましいサイレントピリオドの統計値、発現率及びその変化量算出方法、これらのプログラム及び装置について具体的に
図3をもとに以下に説明する。
本発明による記憶装置を備えた筋電位計測装置には、筋電位計測用の生体電極を備えても良い。
まず初めに、記憶装置を取り付けた筋電位計測装置に接続された生体用電極を被験者の側頭筋または咬筋に貼り付ける。
次に、被験者に少なくとも複数回タッピング運動を行ってもらい、被験者から発現した筋電位をA/D変換器を用いて、任意のサンプリング周期でA/D変換を行い、筋電位データとして記憶装置に保存する。
次に、入力装置を用いて、本発明のプログラムを立ち上げ、サイレントピリオド発現電位範囲、サイレントピリオド持続時間範囲、筋電位未発現範囲、筋電位未発現時間範囲の設定を行う。なお、これらの設定条件は任意に変更することができる。
次に、プログラム上の「ファイル」タブを選択実行し、「開く」タブを選択実行し、記憶装置に保存された筋電位データを読み出し、筋電位データを横軸に時間、縦軸に筋電位を表した筋電位波形、出力レンジ、基準電位を表示装置に表示する。また、筋電位計測装置で筋電位データの測定開始時点および、測定終了時点も表示することもできる。
次に、プログラム上の「解析」タブを選択実行し、サイレントピリオドの統計値、発現率の内の少なくとも一つ以上を算出し表示する。
次に、「保存」タブを選択実行し、前記結果を記憶装置に保存する。
次に、前記方法から続けて複数の異なる時期に測定した筋電位データのサイレントピリオドの統計値、発現率を比較する場合は、まず初めに、「ファイル」タブを選択実行し、「開く」タブを選択実行し、記憶装置に保存されている所望の筋電位データを読み出し筋電位波形及びまたはサイレントピリオドの統計値、発現率を表示する。このとき、サイレントピリオドの統計値、発現率を算出した日付も表示する。
次に「データの比較」タブを選択実行し、サイレントピリオドの統計値、発現率の変化量を表示する。
次に「保存」タブを選択実行し、前記サイレントピリオドの統計値、発現率の変化量を記憶装置に保存する。