【0018】
この針状毛44の列は、
図4の断面図に示したように、成形ブラシ部42の長手方向の中央領域(
図3に於けるC矢視部)において、毛足の短い短毛列群45と、この短毛列群45よりも毛足の長い長毛列群46に分けて設けている。また、長毛列群46は横方向から見ると、
図3のように、成形ブラシ部42の中央領域(C矢視部)の針状毛44の毛足が最も長く、その両側が短いアーチ状をしている。この長毛列群46の先端61側の短毛部位63(D矢視部)の基部43における長手方向の長さは、1.0mm乃至10.0mm程度である。そして短毛列群45は、液状化粧料Aをまつ毛に塗布する塗布部47となり、長毛列群46の中央領域(毛足の長い部分、C矢視部)は、液状化粧料Aが付着したまつ毛をとかすコーム部62となり、長毛列群46の短毛部位63は、まつ毛の細部に塗布する微細塗布部48となっている。
【実施例1】
【0021】
次に、本発明のマスカラ用アプリケータを実施する場合について説明する。まず、本発明のマスカラ用アプリケータの素材であるが、熱可塑性樹脂、熱硬化性エラストマー樹脂を用いることが望ましい。この熱可塑性樹脂としては、具体的に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアセテートなどの樹脂、更には、エチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、アミド系などの熱可塑性エラストマー樹脂を用いることができる。また、熱可塑性エラストマーとしては、具体的に、ウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、ニトリル系ゴム、クロロプレン系ゴム、ポリブタジエン系ゴムなどの合成ゴムを用いることができる。
【0022】
成形ブラシ部42の基部43に設けられた針状毛44の列は、4列乃至32列程度と述べたが、最適では
図4に示したように16列程度である。この針状毛44の列は、基部43の軸心B方向に並んでいればよく、必ずしも直線状である必要も、軸心Bと平行である必要も、列同士が平行に並ぶ必要もない。
【0023】
また、列中の針状毛44の間隔(毛と毛の間の長さ)Gは、0.05mm乃至1.0mmと述べたが、最適では0.5mm程度である。更に、隣り合った列の針状毛44は、
図6に示したように、千鳥状に交互に配置し、針状毛44が重ならないようにしている。そのため、必要に応じて列中の針状毛44の間隔を変えて対応する。
【0024】
また、針状毛44の列を周方向に16列設けた場合には、長毛列群46を5列、短毛列群45を残り11列にする。そして、
図4に示したように、針状毛44の列(16列)を基部43周方向全周に均等に配設した場合には、針状毛44の列の周方向の角度間隔は22.5°となる。更に、全16列中の長毛列群46と短毛列群45の列数を、前述のようにそれぞれ5列及び11列にした場合には、長毛列群46の周方向に対しての広がりの角度Eは90°、短毛列群45の周方向に対しての広がりの角度Fは225°となる。
【0025】
また、針状毛44の列を基部43の全周に不均等に配置した一例を
図7によって説明する。
図7に於ける長毛列群46と短毛列群45の配置は、長毛列群46と短毛列群45の間に隙間64を設けたものである。具体的には、長毛列群46は5列、その周方向に対しての角度間隔が15°、その広がりが60°、短毛列群45は11列、その周方向に対しての角度間隔が22.5°、その広がりが225°、長毛列群46と短毛列群45との間の周方向に対しての角度隙間64がそれぞれ37.5°としている。
【0026】
針状毛44の長さであるが、短毛列群45中の針状毛44の長さは、0.5mm乃至3.0mm、最適では、1.0mm乃至2.2mm程度である。長毛列群46中の針状毛44の長さは、最も長い部位(
図3に於けるC矢視部)で、1.0mm乃至5.0mm、最適では、2.0mm乃至4.0mm程度である。長毛列群46中の短毛部位63の針状毛44の長さは、0.5mm乃至4.0mm、最適では、1.0mm乃至3.0mm程度である。なお、長毛列群46中の短毛部位63の針状毛44の長さは、短毛列群45の針状毛44の長さに制約を受けず、短毛列群45の針状毛44の長さよりも短くても、長くても良い。
【0027】
なお、長毛列群46と短毛列群45中の針状毛44の長さは、
図7に示したように明確に区別しても良く、逆に
図4に示したように短毛列群45の、長毛列群46との接した部分の針状毛44の長さを徐々に長くし、短毛列群45と長毛列群46の間に段差を無くす事もできる。この場合、長毛列群46と短毛列群45の区別が不明瞭となるが、その境を明確する必要がなく、
図4の断面図に示したように、成形ブラシ部のほぼ中央部分で、およそ毛の長さがモヒカン状になった部分が長毛列群46と考えればよい。
【0028】
次に微細塗布部48の実施例について説明する。微細塗布部48の基部43における長手方向の長さは、1.0mm乃至10.0mm程度であると述べたが、最適では3.0mm乃至7.0mm程度である。また、
図6に於いては、5列ある長毛列群46の中央の1列が中心列49であり、両側のそれぞれ2列が収束列40となる。この収束列40は、コーム部62では中心列49と平行であるが、短毛部位63になると中心列49の方向に向かって湾曲している。また、4列ある収束列40のうち、中心列49に近い側の収束列40(内側の収束列40a)よりも外側の収束列40bの方が曲率(曲がる量)が大きく、微細塗布部48の先端61に近づくにつれ収束率が高くなり、針状毛44の密度が高くなる。
【0029】
更に、
図8に示した微細塗布部48の他の実施例について説明する。中心列49の両側の収束列40は、直線状であり、コーム部62より中心列49の先端61方向に収束している。つまり、中心列49と収束列40は平行ではなく、先端61に行くほどその間隔が狭まるよう、角度を変えて配置している。したがって、内側の収束列40aよりも外側の収束列40bの方が中心列49に対しての傾きが大きく、先端部61に近づくにつれ、針状毛44の密度が高くなる。
【0030】
本発明に於いて中心列49は、長毛列群46の中央の列に設定したが、長毛列群46のどちらかに片寄って設けることも可能である。また、中心列49の列の本数も、0若しくは1本以上が可能であると述べたが、長毛列群46の列の本数によっては複数列でも良い。また、中心列49の本数が0とは、中心列49を針状毛44のない空白部分を中心列とすることある。更に、収束列40は、中心列49を挟んで同じ本数を設ける必要もなく、一方の本数を多くし、収束列40を偏在させても良い。
【0031】
微細塗布部48の最小構成は、中心列49が針状毛44の列の場合には、中心列49及び収束列40が各1列で、中心列49が針状毛44のない空白列の場合には、収束列40が2列でそれぞれ構成可能である。したがって、長毛列群46の全ての列を使用して微細塗布部48を構成する必要もなく、部分的に一部の列を利用して微細塗布部48を設けることも可能である。