【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の撮像レンズは、物体側から像側に向かって順に、光軸近傍で物体側に凸面を向けたメニスカス形状の正の屈折力を有する第1レンズと、光軸近傍で物体側に凹面を向けた負の屈折力を有する両面が非球面の第2レンズと、正の屈折力を有する両面が非球面の第3レンズと、光軸近傍で像側に凹面を向けたメニスカス形状の負の屈折力を有する両面が非球面の第4レンズとから構成されており、以下の条件式(1)、
(7)、(10)、(11a)、および(13)を満足する。
(1)0.85<ih/f<1.0
(7)0.14<|r1/r2|<0.7
(10)−0.9<f4/f<−0.6
(11a)−1.5<r5/f<−0.6
(13)9.0<(T1/f)*100<16.0
ただし、fは撮像レンズ全系の焦点距離、ihは最大像高、
r1は第1レンズの物体側の面の近軸曲率半径、r2は第1レンズの像側の面の近軸曲率半径、f4は第4レンズの焦点距離、r5は第3レンズの物体側の面の近軸曲率半径、T1は第1レンズの像側の面から第2レンズの物体側の面までの光軸上の距離である。
【0014】
上記構成の撮像レンズは、正の屈折力を有する第1レンズ、及び第3レンズによって光学全長を短く抑える構成になっている。負の屈折力を有する第2レンズは第1レンズで発生した色収差を補正するとともに、物体側に凹面を形成することで広い画角への対応を可能にしている。第3レンズ、及び第4レンズは両面に適切な非球面を形成することで軸外の非点収差の補正、及び非点隔差の縮小と歪曲収差の補正、撮像素子への主光線入射角度の制御を容易にする。
【0015】
条件式(1)は広い撮影画角を可能にするための条件であり、条件式(1)の範囲を満たすことは、全画角で80°〜90°の撮影を可能にすることを意味する。条件式(1)の上限値を上回ると、周辺部における諸収差の補正に限界が生じるため好ましくない。一方、条件式(1)の下限値を下回ると、諸収差の補正には有利になるが、広画角化が望めない。
【0016】
また、上記構成の撮像レンズは、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
(2)Fno≦2.4
ただし、FnoはFナンバーである。
【0017】
条件式(2)は撮像レンズのFナンバーを規定するものである。条件式(2)を満たすことで、近年の小型で高密度化された撮像素子に適した明るいレンズ系が得られる。
【0018】
また、上記構成の撮像レンズは、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
(3)0.1<|r3/r4|<0.6
ただし、r3は第2レンズの物体側の面の近軸曲率半径、r4は第2レンズの像側の面の近軸曲率半径である。
【0019】
条件式(3)は、第2レンズの光軸近傍における形状を規定するものである。条件式(3)の上限値を上回ると、第2レンズの屈折力が弱まるため、球面収差、及び色収差の補正が不十分になる。一方、条件式(3)の下限値を下回ると、第2レンズの屈折力が強まるため、球面収差、及び色収差の補正が過剰になり、全体の収差バランスが崩れてしまう。
【0020】
また、上記構成の撮像レンズにおいて、第4レンズは光軸近傍で像側に凹面を向けたメニスカス形状であることが望ましく、また、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
(4)1.2<(r7+r8)/(r7−r8)<2.5
ただし、r7は第4レンズの物体側の面の近軸曲率半径、r8は第4レンズの像側の面の近軸曲率半径である。
【0021】
条件式(4)は第4レンズの光軸近傍における形状を適切な範囲に規定するものである。条件式(4)の範囲を満たすことで適切なバックフォーカスを確保しながら、低背化を可能にする。
【0022】
また、本発明の撮像レンズは、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
(5) 0.15<|Sag4/D2|<0.4
ただし、Sag4は第2レンズの像側の面の最大有効径におけるSag量、D2は第2レンズの光軸上の厚みである。
【0023】
条件式(5)は第2レンズの光軸上の厚みに対する、第2レンズの像側の面の形状を適切なものに規定するものである。条件式(5)の範囲に規定することで、第2レンズの像側の面はSag量の変化が小さな非球面形状に形成される。従って、第3レンズとの空気間隔を光軸近傍から周辺部にわたって適切なものとし、低背化を容易にする。なお、第2レンズの像側の面の最大有効径とは、最大画角から入射する光線の上光線が第2レンズの像側の面を通過する位置の径として定義する。
【0024】
また、本発明の撮像レンズにおいて、第3レンズは、光軸近傍で凹面を向けたメニスカス形状であり、物体側の面の非球面形状に関して、以下の条件式(6)を満足することが望ましい。
(6) 0.02<|Sag5/D3|<0.13
ただし、Sag5は第3レンズの物体側の面の最大有効径におけるSag量、D3は第3レンズの光軸上の厚みである。
【0025】
条件式(6)は第3レンズの光軸上の厚みに対する、第3レンズの物体側の面の形状を適切なものに規定するものである。条件式(6)の範囲に規定することで、第3レンズの物体側の面はSag量の変化が小さな非球面形状に形成される。従って、第2レンズとの空気間隔を光軸近傍から周辺部にわたって適切なものとし、低背化を容易にする。なお、第3レンズの物体側の面の最大有効径とは、最大画角から入射する光線の上光線が第3レンズの物体側の面を通過する位置の径として定義する。
【0026】
なお、条件式(5)と条件式(6)を同時に満足することが望ましい。
【0028】
条件式(7)は第1レンズの光軸近傍の形状を適切な範囲に規定するものである。条件式(7)の範囲内に規定することで低背を維持し、第1レンズにおける球面収差の発生を抑制する。
【0029】
また、本発明の撮像レンズは、以下の条件式(8)を満足することが望ましい。
(8)−7.5<f2/f<−2.0
ただし、f2は第2レンズの焦点距離である。
【0030】
条件式(8)は全系の焦点距離に対する第2レンズの焦点距離を適切な範囲に規定するものである。第2レンズは4枚で構成されるレンズのうち、最も屈折力の弱い負のレンズとして配置されているが、条件式(8)の範囲を満足することで、色収差、及び球面収差の過剰な補正や製造時の誤差に対する感度を抑え、かつ色収差補正が不十分になることを抑制する。
【0031】
また、本発明の撮像レンズは、以下の条件式(9)を満足することが望ましい。
(9)0.3<f3/f<1.2
ただし、f3は第3レンズの焦点距離である。
【0032】
条件式(9)は全系の焦点距離に対する第3レンズの焦点距離を適切な範囲に規定するものである。条件式(9)の範囲を満足することで、低背、広画角を維持しつつ、全体の収差バランスの制御が容易になる。
【0033】
また、本発明の撮像レンズは、以下の条件式(10)を満足することが望ましい。
(10)−0.9<f4/f<−0.
6
ただし、f4は第4レンズの焦点距離である。
【0034】
条件式(10)は全系の焦点距離に対する第4レンズの焦点距離を適切な範囲に規定するものである。条件式(10)の範囲を満足することで、低背化を維持しつつ、適切なバックフォーカスを確保することが可能になる。
【0035】
また、本発明の撮像レンズは、以下の条件式(11)を満足することが望ましい。
(11)−1.5<r5/f<−0.5
ただし、r5は第3レンズの物体側の面の近軸曲率半径である。
【0036】
条件式(11)は第3レンズの物体側の面の近軸曲率半径を適切な範囲に規定するものである。条件式(11)の範囲を満足することで、低背化を維持しつつ、コマ収差、非点収差、歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0037】
また、本発明の撮像レンズは、以下の条件式(12)を満足することが望ましい。
(12)0.035<T3/D3<0.2
ただし、T3は第3レンズの像側の面から第4レンズの物体側の面までの光軸上の距離、D3は第3レンズの光軸上の厚みである。
【0038】
条件式(12)は、第3レンズの光軸上の厚みと第3レンズ、及び第4レンズの光軸上の間隔を適切な範囲に規定するものである。条件式(12)の範囲を満足することで、低背化を維持しつつ、非点収差、非点隔差、及び歪曲収差の良好な補正が可能になる。
【0039】
また、本発明の撮像レンズは、以下の条件式(13)を満足することが望ましい。
(13)9.0<(T1/f)*100<16.0
ただし、T1は第1レンズの像側の面から第2レンズの物体側の面までの光軸上の距離である。
【0040】
条件式(13)は、第1レンズの像側の面から第2レンズの物体側の面までの光軸上の距離を適切な範囲に規定するものである。条件式(13)の範囲は諸収差を良好に補正しつつ、広い画角の撮影を可能にするための条件である。条件式(13)の上限値を上回ると、第1レンズと第2レンズが離れすぎて、収差補正には有利になるが、広画角化、及び低背化が困難になる。一方、条件式(13)の下限値を下回ると、広画角化、及び低背化には有利になるが、特に周辺部における収差補正が困難になる。
【0041】
また、本発明の撮像レンズは、以下の条件式(14)を満足することが望ましい。
(14)0.55<TTL/2ih<0.85
ただし、TTLは光学全長である。
【0042】
条件式(14)は、撮像レンズの低背化に対する条件である。条件式(14)の範囲は、撮像素子の有効撮像面の対角線の長さに対して、撮像レンズの光学全長が十分に短いものであることを示している。条件式(14)を満足することで、近年要求される十分に低背化された撮像レンズを得ることができる。