(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の補給システムは、パチンコ玉揚送装置を介して補給するシステムであるところ、そもそも揚送装置はパチンコ玉を研磨するものでもあるから、その中にパチンコ玉が滞留する時間は極めて長い。一般に、パチンコ玉揚送装置の高さは、パチンコ遊技場の天井の高さ等に依存して異なるものであるが、概ね2.5メートルほどになる。パチンコ玉揚送装置の形式や揚送能力にもよるが、パチンコ玉を上記高さまで揚送するためには、おおむね1分強の時間が掛かる。
【0006】
一方、たとえば、いずれかのパチンコ機島において、複数の大当たり(所定要件を満たした時に遊技者が大量の賞球を獲得し得る状態)が発生し、複数の大当たりが出たパチンコ機島において複数の大当たりに応えるのに十分な玉量を有していないとすると、大当たりはしたがパチンコ機からパチンコ玉が出てこない、という事態が生じてしまう。この事態は、遊技客にとって受忍できるものであるはずがなく、したがって、強硬な苦情へとつながり、遊技場運営者は信用を失う恐れがある。上記した事態は稀であり頻繁に起こるものではないが、短時間のうちに多量のパチンコ玉を補給可能なシステムが必要とされる最大の理由である。本発明が解決しようとする課題は、パチンコ機島間のパチンコ玉の補給を、より短時間で行うことが
できるパチンコ玉補給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、次項以下で述べる構成を備えている。なお、何れかの請求項に記載した発明を説明するに当たって行う用語の定義等は、その記載順や表現等に関わりなく、可能な範囲において他の請求項に記載した発明にも適用があるものとする。
【0008】
(請求項1記載の発明の特徴)
請求項1記載の発明にかかるパチンコ玉補給システム(以下、適宜「請求項1のシステム」という)は、並列された複数のパチンコ機島と、当該パチンコ機島のそれぞれが備える上部タンクおよび当該上部タンクにパチンコ玉を揚送補給する島内揚送装置と、
当該上部タンクの各々が備える渡り玉送出口および当該渡り玉送出口の下方の渡り玉受入口と、隣接する当該上部タンク同士でパチンコ玉を当該渡り玉送出口と当該渡り玉受入口を経て相互に転動補給するための渡り樋と、当該上部タンクの各々過剰玉量を示す過剰信号を出力可能な過剰玉量センサと、当該過剰玉量センサからの信号に基づいてシステム全体を制御するためのシステム制御部と、を備えるシステムである。ここで請求項1のシステムでは、当該上部タンクの各々には、当該上部タンク内にあるパチンコ玉を、当該島内揚送装置の揚送時間よりも短い揚送時間で当該渡り玉送出口を経て当該渡り樋へ揚送補給するための上部揚送機構が設けられている。その上で、当該システム制御部は、玉量センサから過剰信号が出力されている過剰信号に係る上部タンク(以下、「過剰タンク」という)を認知した際に、当該過剰タンク以外の上部タンクであって過剰信号が出力されていない上部タンク(以下、「余剰タンク」という)を指定し、当該過剰タンクと当該指定した余剰タンクとの間にあるn個(nは0を含む自然数)の上部タンクのすべての上部揚送機構を、当該過剰タンクの上部揚送機構とともに駆動させることにより、いずれの島内揚送装置をも介さずに、当該過剰タンクの当該渡り玉送出口から当該指定した余剰タンクの当該渡り玉受入口へ所要量のパチンコ玉を転動補給可能に構成されている。
【0009】
請求項1のシステムによれば、渡り樋へパチンコ玉を揚送補給する時間が、島内揚送装置による揚送より上部揚送機構による揚送のほうが短くて済む。したがって、島内揚送装置の揚送時間と上部揚送機構の揚送時間の差分だけ補給等への補給を短時間で済ませることが出来る。補給元となる過剰タンクの上部揚送機構によって揚送されたパチンコ玉は渡り玉送出口を介して補給先となる隣接の(n=0の場合)余剰タンクの渡り玉受入口に受け入れられ、受け入れられた分だけ過剰タンクの玉量が減少する。ところで、パチンコ玉の「所要量」は、予め決めておくこともできるが、一般には、余剰タンク側で決定する。つまり、過剰タンクからパチンコ玉の補給を受けることにより、余剰タンクの玉量が増加するが、余剰タンク側の被補給量にも限界がある。余剰タンクにおいて、それ以上のパチンコ玉が補給されると過剰になってしまう時点で当該余剰タンクに対する補給を一端停止し、それでもなお当該過剰タンクの玉量が過剰なのであれば、別の余剰タンクに対し上記補給を行うようにするとよい。話しを戻すと、ここで仮に、補給先の余剰タンクが補給元の過剰タンクとの間に3個の上部タンクがある場合(n=3)は、過剰タンクから隣接する第1の上部タンクへ、第1の上部タンクから隣接する第2の上部タンクへ、さらに、第2の上部タンクから隣接する第3の上部タンクへ順繰りにパチンコ玉が補給され、最後に、第3の上部タンクから隣接する補給先の余剰タンクにパチンコ玉が補給される。これを全体から見れば、補給元の過剰タンクから3個の上部タンクを中継タンクとして最終目標となる補給先の余剰タンクへパチンコ玉が補給されたことになる。たとえば、上記3個の中継タンクを経由させる補給が島内揚送装置によって行われたのであれば、上部揚送機構との間の揚送時間の差分は益々大きくなるので、中継タンクの数が多くなればなるほど上部揚送機構を用いたパチンコ玉補給の短時間化という効果が大きくなる。上部揚送機構による搬送時間は、それが持つ揚送能力(単位時間当たりの揚送量、揚送距離等)によって異なるが、たとえば、400〜600ミリ程度の揚送距離において15〜20秒前後となる。
【0010】
(請求項2記載の発明の特徴)
請求項2記載の発明にかかるパチンコ玉補給システム(以下、適宜「請求項2のシステム」という)は、請求項1のシステムの好ましい態様として、前記渡り玉受入口のそれぞれには、閉鎖時にパチンコ玉の補給を阻止するための補給ゲートが開放可能に設けられ、前記上部タンクの指定を当該補給ゲートの開閉の組合せによって行うように構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2のシステムによれば、請求項1のシステムの作用効果に加え、補給先となる上部タンクの指定を補給ゲートの開閉によって行うことができるので、制御が極めて簡単になる。
【0012】
(請求項3記載の発明の特徴)
請求項3記載の発明にかかるパチンコ玉補給システム(以下、適宜「請求項3のシステム」という)は、請求項1または2のシステムの好ましい態様として、前記上部揚送機構は、前記上部タンク内に配された上部揚送装置を含めて構成され、前記渡り玉送出口は、パチンコ玉を当該上部揚送装置から揚送受給可能な位置に配されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3のシステムによれば、請求項1又は2のシステムの作用効果に加え、上部タンク内にあるパチンコ玉は、上部タンク内にある上部揚送装置によって渡り玉送出口を経て渡り樋へ揚送補給される。
【0014】
(請求項4記載の発明の特徴)
請求項4記載の発明にかかるパチンコ玉補給システム(以下、適宜「請求項4のシステム」という)は、請求項1または2のシステムの好ましい態様として、前記上部揚送機構は、前記上部タンク外に配された上部筐体と、当該上部筐体内部に配された上部揚送装置を含めて構成され、当該上部筐体は、前記上部タンクとの間に設けられた連通路を介して当該上部タンクからパチンコ玉を受け取り、当該上部揚送装置に供給可能に構成され、前記渡り玉送出口は、パチンコ玉を前記上部筐体の当該上部揚送装置から揚送受給可能な位置に配されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4のシステムによれば、請求項1または2のシステムの作用効果に加え、上部タンク内にあるパチンコ玉は上部タンク外にある上部揚送装置によって玉送出口を経て渡り樋へ揚送補給される。この際に、上部タンク内にあるパチンコ玉は連通路を介して上部筐体に受け入れられ、そこから上部揚送装置によって揚送される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、パチンコ機島間のパチンコ玉の補給をより短時間で行うことができる。したがって、たとえば、いずれかのパチンコ機において大当たりが発生するなどして短時間に多量のパチンコ玉を必要とする場合に、その要請に即座に対応することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
各図を参照しながら、発明を実施するための形態(以下、適宜「本実施形態」という)について説明する。
【0019】
(パチンコ玉補給システムの構造)
図1および
図2に示すように、本実施形態に係るパチンコ玉補給システム100(以下、「補給システム100」という)は、並列された複数(本実施形態では3個だが、2個でも4個以上でもよい)のパチンコ機島101a,101b,101cと、パチンコ機島101a,101b,101cのそれぞれが備える上部タンク1a,1b,1cおよび上部タンク1a,1b,1cのそれぞれにパチンコ玉を揚送補給する島内揚送装置105a,105b,105cと、上部タンク1a,1b,1cの内部にあるパチンコ玉を揚送するための上部揚送装置(上部揚送機構)21a,21b,21cと、隣接する上部タンク(たとえば、1aと1b、1bと1c)同士でパチンコ玉を相互補給するための渡り樋102,102,102および渡り樋104,104,104と、上部タンク1a,1b,1cの各々に設けられた玉量センサ61a,61b,61c(
図6)、玉量センサ61a,61b,61cそれぞれからの信号に基づいてシステム全体を制御するためのシステム制御部71(
図5)と、を備えている。以下、それぞれについて説明を行う。
【0020】
(パチンコ機島の構造)
図1に示すように、パチンコ機島101a,101b,101cは、それぞれ
図1の紙面垂直方向に並ぶ複数のパチンコ機103を備えている。パチンコ機島101a,101b,101cそれぞれの構造は基本的に共通している。そこで、以後は、特に断らない限り、
図1の中央に示すパチンコ機島101bについて説明することとし、他のパチンコ機島101a,101cについては必要な時以外それらの説明を省略する。
【0021】
上部タンク1bは、パチンコ機島101bの上部に設置されている。島内揚送装置105bは、パチンコ機島101bの長手方向中央の内部に起立設置されている(
図1に破線で示す)。島内揚送装置105bは、遊技機103等から排出されたパチンコ玉(アウト玉)や腰下タンク121b(
図1に破線で示す)に貯留されていたパチンコ玉を上部タンク1bへ研磨しながら揚送するための装置である。上部タンク1bと、これに隣接する他のパチンコ機島101a,101cの上部タンク1a,1cとは、渡り樋102,102と渡り樋104,104により連結してある。ここで、渡り樋102は、
図1に向かって右下がりの渡り樋を、渡り樋104は、同じく左下がりの渡り樋を示す。渡り樋102と渡り樋104とは、パチンコ玉を転動搬送する点で、その構造や機能について異なるものではないが、上記のとおり区別したのは、どの上部タンクの立場で見るかによってパチンコ玉搬送の意味が異なるからである。すなわち、上部タンク1bから見れば、同じ左下がりの渡り樋104であっても、上部タンク1bの左側にある渡り樋104はパチンコ玉を上部タンク1aに渡すための樋となる一方、同じく右側にある渡り樋104は上部タンク1cからパチンコ玉を受け取るための樋となる。このパチンコ玉を受け取るための渡り樋104を上部タンク1cの立場で見れば、パチンコ玉を渡すための樋である。このことは、渡り樋102についても同じである。
【0022】
(島内揚送装置の概略構造)
図1および
図2を参照しながら、島内揚送装置105bの概略構造を説明する。島内揚送装置105bは、パチンコ機島101b内の床上に起立設置した揚送塔107と、揚送塔107の内部で同心状に回転可能に支持された螺旋体109と、螺旋体109を回転させるモータ113と、図外になるが揚送塔107の下部のパチンコ玉取入機構と、を備えている。上部タンク1内に位置する揚送塔107の上部には、螺旋体109の回転により揚送されたパチンコ玉Pと研磨材Kを排出するための排出口111が開口されている。島内揚送装置105bの高さは、パチンコ遊技場の天井の高さやパチンコ機島の大きさ(パチンコ機の台数)などによって異なるが、本実施形態では床面から2400ミリ程度となっている。フル稼働させたときの島内揚送装置105bは、毎分8000発前後のパチンコ玉を揚送する能力を持っていて、最下端にあるパチンコ玉を最上端まで揚送するために要する時間は、一般に1分弱である。
【0023】
(分離傾斜路の概略構造)
図2に示す符号117は、分離傾斜路を示す。分離傾斜路117は、揚送塔107の排出口111から排出されたパチンコ玉Pと混在排出された研磨材Kとを分離する機能を担っている。図示は省略するが、分離傾斜路117の底板は下り傾斜するスノコ状になっていて、底板の隙間はパチンコ玉Pの転動を許すも研磨材Kのみを落下分離させる構造になっている。落下分離された研磨材Kは、研磨剤回収機構119によって回収される。なお、本実施形態では島内揚送装置105は研磨材研磨方式のものを採用したが、布式研磨方式またはその他の方式のものを採用することを妨げるものではない。ちなみに、島内揚送装置105と同等の揚送量を布式研磨方式の揚送装置で実現するとするなら、その揚送時間は概ね1分強ほどとなる。
【0024】
(上部揚送装置の概略構造)
図3に示すように、本実施形態で上部揚送機構を構成する上部揚送装置21bは、玉揚送口23、揚送ローラ25、湾曲揚送路27、および、起立揚送路29を、主要部材として備えている。玉揚送口23は、上方に開口し水平方向に複数列に並んだ溝(図示を省略)のそれぞれにパチンコ玉を受け入れるように構成されている。上記した複数列の溝は、玉揚送口23に繋がる湾曲揚送路27にも、さらに、その先の起立揚送路29にも、設けられている。玉揚送口23の溝に受け入れられたパチンコ玉は、その溝の下り傾斜によって
図3における揚送ローラ25の中心から見て5時の位置当たりで湾曲揚送路27の溝に引き継がれ、揚送ローラ25の回転により同じく9時の位置当たりまで数珠つなぎ状態で挟持揚送されるようになっている。その後のパチンコ玉は、起立揚送路29の溝に受け入れられ順繰りに押し上げられて頂上の排出口31(
図4)から排出されるようになっている。上部揚送装置21bは、後述するように、設置構造19を介して第2貯留房の中に設置可能に構成されている。
【0025】
(上部タンクの構造)
図2ないし
図4を参照しながら、上部タンクの構造を説明する。上部タンク1bは、
図2において横長箱状に形成された金属製のタンク本体3から外観構成されている。タンク本体3には、内部空間を二分する仕切壁5が設けられている。仕切壁5は、
図2において長手方向左から4分の1強の位置に起立してタンク本体3の内部を第1貯留房7と第2貯留房9とに仕切っている。仕切壁5の上部には戻し孔5aが、また、下部には送り孔5bが貫通形成されている。戻し孔5aは第2貯留房9から第1貯留房7へ、送り孔5bはその逆の方向へ、それぞれパチンコ玉を移動させるための孔である。第1貯留房7と第2貯留房9は、基本的にパチンコ玉を一時貯留するための空間である。第2貯留房9は、後述するように、上部揚送装置21bから揚送されたパチンコ玉を収納するための空間でもある。
【0026】
(第1貯留房の内部)
第1貯留房7の底部(第1底部7a)には、揚送塔107の上部を挿入するための挿入孔7h(揚送玉受入口)が貫通形成されている(
図2)。
図2に示すように、第1貯留房7内には、挿入孔7hを介して挿入された揚送塔107の上部とともに、先に述べたモータ113、分離傾斜路117および研磨材回収機構119などが配されている。第1底部7aの下側(外側)には、第1貯留房7に貯留されたパチンコ玉を自島のパチンコ遊技機103(
図1)に補給樋(図示を省略)を介して補給するための補給機構51が設けられている。
【0027】
(第2貯留房の内部)
図1ないし
図4を参照しながら説明を続ける。前述したように、第2貯留房9内には、第2貯留房9の底部(第2底部9a、
図2および
図3)上に設置構造19を介して設置された上部揚送装置21bが収納されている。第2底部9aの一側から起立する第2側壁9b,9b(
図1、
図2で上部揚送装置21bの奥側の側壁)のそれぞれには、その上方に渡り玉送出口9p,9pが、また、その下方に渡り玉受入口9q,9qが、それぞれ横長形状に貫通形成されている(
図4)。渡り玉送出口9p,9pは渡り樋102,104と連通させるための開口であり、渡り玉受入口9qは渡り樋104,102と連通させるための開口である。渡り玉受入口9q,9qには、図外の制御装置によって開閉制御されるゲート9g,9gが設けられている。ゲート9g,9gは、その開放によりパチンコ玉を第2貯留房9内に受入可能とし、その閉鎖により受入不能とするためのものである。受入不能とするのは、主として第2貯留房9が満杯のためそれ以上のパチンコ玉を受け入れられない状態のときや、隣接する遊技機島の上部タンクがパチンコ玉を必要とするときである。
【0028】
(合流房の内部)
図4に示すように、第2貯留房9の下部には、同図の正面から見て逆さL字状の隔壁部13,13が空間(合流房15)および上部揚送装置21bを挟んで対向配置されている。両隔壁部13,13は、互いに同じ構造に構成されているので、以下の説明は、特に断らない限り一方の隔壁部13について行う。隔壁部13は、第2貯留房9内に隔離空間としての導入房9sを形成するための部材である。導入房9sは、渡り玉受入口9qを介して上部タンク1の外部(渡り樋104および102
図1)と連通している。また、隔壁部13の一部を構成する縦辺部13aには、パチンコ玉を流入させるための玉流入孔13hが形成されている。合流房15の下方には、上部揚送装置21bの玉揚送口23が位置している。
【0029】
導入房9s内には、導入傾斜路10と流入傾斜路11が設けられている。導入傾斜路10は、渡り玉受入口9qの長手方向(
図2)に沿って設けられていて、渡り玉受入口9qから受け入れられたパチンコ玉を、上部揚送装置21bの玉揚送口23に近づく方向(
図3の左から右方向)に下り傾斜している。流入傾斜路11は、隔壁部13の一部である縦辺部13a(
図3および
図4)の玉流入孔13hを挟んで玉揚送口23と対向する位置にあり、玉揚送口23に向かって下り傾斜している。流入傾斜路11は、導入傾斜路10上を転動してきたパチンコ玉を受け取れる位置にあり、受け取ったパチンコ玉を玉流入孔13h経由で玉揚送口23に流入可能に構成されている。より詳細には、
図4に示すように流入傾斜路11の開放端11tは玉流入孔13hなる空間を上下に分ける位置にまで延びていて、上空間は玉揚送口23に向かうパチンコ玉が通過可能なように、下空間は合流房15から溢れたパチンコ玉が流入傾斜路11の下方領域側へ出られるように玉流入孔13hが形成されている。流入傾斜路11の下方領域に出たパチンコ玉は、オーバーフロー玉としてオーバーフロー路(図示を省略)を介して腰下タンク121(
図1)へ落下案内されるようになっている。
【0030】
以上の説明から理解されるように、合流房15には、上述した玉流入孔13hを経由したパチンコ玉と、第1貯留房7に貯留されていて送り孔5bを通ってくるパチンコ玉とが流入可能な状態にある。流入経路が異なるパチンコ玉が合流可能であるとき、動いているパチンコ玉が静止しているパチンコ玉に優先して流入する。これは、動いているパチンコ玉の持つ慣性によるものと思われる。
【0031】
(逆V下り傾斜路)
図3および
図4に示すように、上部揚送装置21bの排出口31の下方には、逆V下り傾斜路41が設けられている。逆V下り傾斜路41は、頂上部位43と、
図4において頂上部位43から左右に下り傾斜する(第1および第2の)下り傾斜路45,45と、を含む逆V字状に形成されている。下り傾斜路45,45のそれぞれは(第1および第2の)渡り玉送出口9p,9pを経て(第1および第2の)渡り樋102,104に連通している(
図4)。
【0032】
上記部材の相対位置を整理すると、上部揚送装置21bによって揚送されたパチンコ玉Pを、逆V下り傾斜路41の頂上部位43の上で受けて
図4に向かった左右に分流させ、右側の第1の下り傾斜路45を介して第1の渡り玉送出口9pへ、左側の第2の下り傾斜路45を介して第2の玉送出口9pへ各々転動案内するように配置されている。
【0033】
図2ないし
図4に示す符号35は、戻し傾斜路を示す。戻し傾斜路35は、戻し孔5a経由で第1貯留房7へ戻す役割を担っている。たとえば、渡り樋102の中でパチンコ玉が渋滞した際の逆V下り傾斜路41上で溢れたパチンコ玉P(
図4)や、自島で必要なため渡り樋を遮断して溢れさせた逆V傾斜路41上のパチンコ玉Pを、第1貯留房7へ戻す場合に、上記役割が必要となる。なお、逆V下り傾斜路41の溢れは、たとえば、
図4の右横の上部タンク1b(
図1)が備える渡り玉受入口9qのゲート9g(図示を省略)が閉鎖されている場合に生じる。ゲート9gが閉鎖されているのは、前述したように、たとえば上部タンク1bが満杯である場合であるが、ゲート9gの閉鎖によって渡り樋102の中でゲート9gを起点にパチンコ玉が停滞を始め、その停滞が順次上昇し下り傾斜路41に達したとき、下り傾斜路41の上にあるパチンコ玉は行き場を失い戻し傾斜路35から溢れだす。自島がパチンコ玉を必要とするときは、上部タンク1bの状況に関わらずゲート9gを閉鎖すれば、上記の手順でパチンコ玉を第1貯留房7へ戻すことができる。
【0034】
(玉量センサ)
上部タンク1bには、上部タンク1bの内部のパチンコ玉Pの量を検知するための玉量センサ61bが取り付けてある(
図6に模式的に表示)。本実施形態における玉量センサ61bは、玉量を5段階で判定できるようになっている。すなわち、センサ(過剰玉量センサ)S1は最小量を、センサ(過剰玉量センサ)S5は最大量を、それぞれ示すためのものであり、センサS2〜S4は、最小量と最大量の間を「上・中・下」の3段階で判定する。すなわち、センサS1のみ若しくはS1を含めた全てのセンサがパチンコ玉を検出しない場合、玉量センサ61bは「過少信号」を出力する。また、同様に、センサS1およびS2のみが検出される場合は「下」、センサS1〜S3のみが検出される場合は「中」、さらに、センサS5を除くセンサS1〜S4が検出される場合は「上」となる「余剰信号」を出力するように設定してある。最後に、S1〜S5のすべてが検出される場合は、「過剰信号」を出力する。上記した過剰信号および余剰信号の「上・中」は、パチンコ玉を他の上部タンクへ補給可能な状態を意味し、過少信号および余剰信号の「下」は、パチンコ玉を他の上部タンクから受給可能な状態を意味する。なお、上記した玉量センサ61bは5個のセンサを有するものであるが、たとえば、過剰と過少の何れか一方だけ検知できれば足りるのであれば少なくとも1個のセンサ(過少玉量センサ、過剰玉量センサ)としてもよい。さらに、玉量センサは、その個数だけでなく取付位置についても、上部タンクの内部のパチンコ玉の量を検知可能である範囲で適宜変更することができる。たとえば、上述したオーバーフロー路を介して上部タンクと腰下タンクとを連通させておき、この腰下タンクに設けた玉量センサが検知した腰下タンク内部のパチンコ玉量に、上部タンク内のパチンコ玉の量を係らしめることができる。腰下タンクの玉量で動作させることも可能である。
【0035】
(システム制御部の構成)
図5に示す符号71は、玉量センサ61a〜61nから出力された信号を受けてパチンコ玉補給システム100全体を制御するためのシステム制御部を示している。システム制御部71は、図示は省略するがCPU,ROM,RAMを主要部とする電子回路で構成され、少なくとも玉量センサ判定部73、上部揚送機構制御部75、ゲート制御部77および通信部79を備えている。この玉量センサ判定部73は、各パチンコ機島の上部タンク1a,1bおよび1c〜1nに設けられた玉量センサ61a,61bおよび61c〜61nから送られてくる玉量信号を受信することにより、各上部タンクが貯留するパチンコ玉の玉量を常時把握する機能を有している。なお、上記nはゼロを含む自然数(0,1,2,3・・・)である。
【0036】
上部揚送機構制御部75は、上部タンク1a,1bおよび1c〜1nに設けられた上部揚送装置21a,21bおよび21c〜21n(
図1)の稼働制御を行う役割を担っている。ゲート制御部77は、
図4に示す補給ゲート9g,9gを個別に開閉制御するための制御部である。通信部79は、島内揚送装置105a,105bおよび105c〜105nの稼働制御や、パチンコ遊技機の稼働状況等を把握・制御するためのホール制御コンピュータ81との通信を行うための機能を備えている。本実施形態では、設置・設定とメンテナンス等の容易化を主目的としてホール制御コンピュータ81とシステム制御部71とを分離しているが、システム制御部71の機能をすべてホール制御コンピュータ81に担わせることを妨げるものではない。
【0037】
(パチンコ玉補給方法)
図1、
図6を参照しながら、システム制御部71がパチンコ玉補給システム100の全体を制御する流れについて説明する。パチンコ玉補給システム100が提供するパチンコ玉補給方法は、並列された複数のパチンコ機島のそれぞれが備える上部タンクのうち、補給元となる上部タンクから補給先となる上部タンクへパチンコ玉を補給するパチンコ玉補給方法において、上部タンクに貯留されたパチンコ玉を揚送することによって与えた位置エネルギーを用いて隣接する上部タンクへ転動補給することを少なくとも1回行うことにより、当該補給元となる上部タンクから当該補給先となる上部タンクへパチンコ玉を補給するものである。パチンコ玉の揚送は、上部タンクの内部もしくは外部に配された上部揚送装置によって行われる。
【0038】
すなわち、
図6に示すように、右端にある上部タンク1cから左端にある上部タンク1aへ、中間にある上部タンク1bを経由してパチンコ玉を補給する場合を考える。まず、上部タンク1cの中に貯留されているパチンコ玉を上部揚送機構21c(
図1)で揚送して位置エネルギーを与える(矢印(1))。この揚送されたパチンコ玉は渡り樋104内に送り込まれ、与えられた位置エネルギーを放出しながら渡り樋104内で転動し上部タンク1b内に落下する(矢印(2))。次に、上部タンク1bの中に貯留されているパチンコ玉を上部揚送機構21b(
図1)で揚送して位置エネルギーを与える(矢印(3))。この揚送されたパチンコ玉は渡り樋104内に送り込まれ、与えられた位置エネルギーを放出しながら渡り樋104内で転動し上部タンク1a内に落下する(矢印(4))。以上により、上部タンク1cから上部タンク1aへのパチンコ玉搬送が完了する。この場合の揚送回数は2回(矢印(1)と矢印(3))であるが、上部タンク1cから上部タンク1bへの補給のみの場合の揚送回数は1回である。中継する上部タンクの個数に応じて揚送回数も増加する。なお、パチンコ玉の補給量は予め定めておいてもよいが、各上部タンクの玉量について予め設定した好ましい状態が実現するまで続け実現したところで補給停止とすることがパチンコ玉の安定貯留の上で好ましい。
【0039】
本実施形態において補給元となる上部タンクには、たとえば、そのままの状態を続けると玉過剰によりパチンコ玉の搬送経路に支障を与えかねない状態である過剰タンク、さらに、高い玉量のレベルと低い玉量レベルが併存する場合の当該高い玉量レベルの上部タンクがある。一方、補給先となる上部タンクには、そのままの状態を続けると玉不足により遊技に支障を与えかねない状態である過少タンク、高い玉量レベルと低い玉量レベルが併存する場合の当該低い玉量レベルの上部タンクがある。上記した過剰タンクから過少タンクへのパチンコ玉の補給は、過剰タンクからの過剰信号、または過少タンクからの過少信号のいずれをパチンコ玉補給の合図としてもよい。玉量HLから玉量LLへのパチンコ玉補給についても同じくどちらを合図としてもよい。より具体的には、以下において、
図6に示す上部タンク群を用いながら、過少タンクを合図とするもの、次に過剰タンクを合図とするもの、という順で説明を行う。
【0040】
なお、次項以下で説明する補給ゲートの開閉は、その開閉前に行われた処理の種類によりその動作の意味が異なる。すなわち、「開放(する)」は、その補給ゲートがもともと開放状態にあればそのままの状態を保ち閉鎖状態であれば開放することをいい、「閉鎖(する)」は、その補給ゲートがもともと閉鎖状態であればそのままの状態を保ち開放状態であれば閉鎖すること、をいう。
【0041】
(上部タンクが過少状態になった場合の処理)
ここでは、
図6に示す上部タンク1bが過少タンク(過少信号を出力する上部タンク)であり、上部タンク1aおよび上部タンク1bが余剰タンク(余剰信号を出力する上部タンク)となっている場合について説明する。
図7において、システム制御部71のプログラムがスタートすると、システム制御部71の玉量センサ判定部73は、全ての玉量センサ61a〜61nからの玉量信号を受け、全ての上部タンク1a〜1n内の玉量を把握しつつ過少タンク(過少信号)の有無を監視する(S1)。S1において監視を続けている最中に、玉量センサ61bから出力された過少信号を受信した玉量センサ判定部73は、玉量センサ61bに係る上部タンク1bの両隣の上部タンク1a,1cの玉量を確認する(S3)。ここで上部タンク1cのみが余剰タンクであるとしたときに、玉量センサ73は、上部タンク1cを補給元の上部タンクに指定する(S5)。
【0042】
一方、S3において、仮に両隣の上部タンク1a,1cのいずれもが余剰タンクでない場合は、両隣の上部タンク1a,1c以外の上部タンク(図示を省略)が余剰タンクであるかどうかを確認し(S7)、余剰が確認できたらその余剰に係る上部タンクを補給元の上部タンクに指定する(S9)。S7において、それでもなお余剰タンクを確認できない時、S3に戻り、余剰タンクが出現するまで上記処理を繰り返す。
【0043】
S5に戻り、S5において上部タンク1cが指定された後、ゲート制御部77は、補給方向となる上部タンク1bの補給ゲート9g(
図4)を開放させ、上部タンク1cから渡り樋104を介して上部タンク1bへパチンコ玉を補給可能な状態にする(S11)。そして、この開放に合わせ、上部揚送機構制御部75は、上部揚送装置21cを稼働させる(S13)。これによって、上部タンク1cに貯留されていたパチンコ玉は揚送され(
図6の矢印(1))、渡り樋104を経て上部タンク1bに補給される(
図6の矢印(2))。
【0044】
次は、パチンコ玉補給量の監視である。すなわち、玉量センサ判定部73は、補給元となっている上部タンク1cが過少状態とならないかを監視しながら(S15)、過少状態であった補給先となっている上部タンク1bから余剰信号が出力されないようにする処理を繰り返す(S17)。S15において、上部タンク1cの過少信号を受信したら、上部揚送機構制御部75は、稼働させている上部揚送装置21cを停止させてパチンコ玉の補給を停止させ(S19)、その後、S1に戻る。S17において、上部タンク1bの余剰信号を受信したときも同じく停止させる(S19)。もっとも、S19では、上部揚送装置21cを稼働させたまま、ゲート制御部77が上部タンク1bの補給ゲート9gを閉鎖するように設定することもできる。
【0045】
説明が戻るが、S3において、上部タンク1cだけではなく上部タンク1aをも余剰タンクであった場合は、S5において、上部タンク1cと上部タンク1aの両者を指定するように設定してもよいし、上部タンク1cと上部タンク1aのうち玉量の多い上部タンクのみを指定するように設定してもよい。上部タンク1cと上部タンク1aの両者を指定した場合のパチンコ玉補給は、両タンクから行われることになる。
【0046】
ここで、
図6に戻り、供給元はそのまま上部タンク1cであるが、補給先を上部タンク1aとした場合について説明する。この場合の上部タンク1bは、中継タンクとして機能する。この場合は、上述したS1〜S19の処理によって、上部タンク1bにパチンコ玉が補給され、これらの処理の後、もしくは並行して上部タンク1bから上部タンク1aの間において上述したS1〜S19の処理に基づきパチンコ玉が補給される。
図6に示す中継タンクは上部タンク1bの1個であるが、この中継タンクは0でもよいが、2,3,4・・・と増やすことができる。一方、このことは、視点を変えれば、電流の流れにおける正孔のように補給元となる上部タンクが補給先の上部タンクへ1個ずつずれていく、と見ることもできる。
【0047】
(上部タンクが過剰状態になった場合の処理)
ここでは、
図6に示す上部タンク1bが過剰タンク(過剰信号を出力する上部タンク)であり、上部タンク1aおよび上部タンク1bが余剰タンク(余剰信号を出力する上部タンク)となっている場合について説明する。
図8において、システム制御部71のプログラムがスタートすると、システム制御部71の玉量センサ判定部73は、全ての玉量センサ61a〜61nからの玉量信号を受け、全ての上部タンク1a〜1n内の玉量を把握しつつ過剰タンク(過剰信号)の有無を監視する(S21)。S21において監視を続けている最中に、玉量センサ61bから出力された過剰信号を受信した玉量センサ判定部73は、玉量センサ61bに係る上部タンク1bの両隣の上部タンク1a,1cの玉量を確認する(S23)。ここで上部タンク1cのみが余剰タンクであるとしたときに、玉量センサ73は、上部タンク1cを補給先の上部タンクに指定する(S25)。
【0048】
一方、S23において、仮に両隣の上部タンク1a,1cのいずれもが余剰タンクでない場合は、両隣の上部タンク1a,1c以外の上部タンク(図示を省略)が余剰タンクであるかどうかを確認し(S27)、余剰が確認できたらその余剰に係る上部タンクを補給元の上部タンクに指定する(S29)。S27において、それでもなお余剰タンクを確認できない時、S23に戻り、余剰タンクが出現するまで上記処理を繰り返す。
【0049】
S25に戻り、S25において上部タンク1cが指定された後、ゲート制御部77は、補給方向となる上部タンク1cの補給ゲート9g(
図4で図示を省略)を開放させ、上部タンク1bから渡り樋102を介して上部タンク1cへパチンコ玉を補給可能な状態にする(S31、
図1)。そして、この開放に合わせ、上部揚送機構制御部75は、上部揚送装置21bを稼働させる(S33)。これによって、上部タンク1bに貯留されていたパチンコ玉は揚送され(
図6の矢印(3)の逆方向)、渡り樋102を経て上部タンク1cに補給される。
【0050】
次は、パチンコ玉補給量の監視である。すなわち、玉量センサ判定部73は、補給元となっている上部タンク1bが過少状態とならないかを監視しながら(S35)、余剰状態であった補給先となっている上部タンク1cから過剰信号が出力されないようにする処理を繰り返す(S37)。S35において、上部タンク1bの過少信号を受信したら、上部揚送機構制御部75は、稼働させている上部揚送装置21bを停止させてパチンコ玉の補給を停止させ(S39)、その後S21に戻る。S37において、上部タンク1bの余剰信号を受信したときも同じく停止させる(S39)。もっとも、S39では、上部揚送装置21bを稼働させたまま、ゲート制御部77が上部タンク1cの補給ゲート9gを閉鎖するように設定することもできる。
【0051】
説明が戻るが、S23において、上部タンク1cだけではなく上部タンク1aも余剰タンクであった場合は、S25において、上部タンク1cと上部タンク1aの両者を指定するように設定してもよいし、上部タンク1cと上部タンク1aのうち玉量の少ない上部タンクのみを指定するように設定してもよい。上部タンク1cと上部タンク1aの両者を指定した場合のパチンコ玉補給は、両タンクに対し行われることになる。
【0052】
ここで、
図6に戻り、上部タンク1bの代わりに上部タンク1cを補給元とし、補給先を上部タンク1aとした場合について説明する。この場合の上部タンク1bは、中継タンクとして機能する。この場合は、上述したS21〜S39の処理によって、上部タンク1bにパチンコ玉が補給され、これらの処理の後、もしくは並行して上部タンク1bから上部タンク1aの間において上述したS21〜S39の処理に基づきパチンコ玉が補給される。
図6に示す中継タンクは上部タンク1bの1個である。この中継タンクは0でもよいが、2,3,4・・・と増やすことができる。一方、このことは、視点を変えれば、電流の流れにおける正孔のように補給元となる上部タンクが補給先の上部タンクへ1個ずつずれていく、と見ることもできる。
【0053】
なお、上述した上部タンクが過剰状態になった場合の処理と過少状態になった場合の処理は複合的であってもよい。つまり、同じパチンコ玉補給システムの中であるパチンコ機島同士において一部の上部タンクが過少状態になった場合、パチンコ玉供給が行われ、また、他のパチンコ機島同士で一部の上部タンクが過剰状態になった場合、パチンコ玉供給が行われることもある。さらに、異なる複数の部位において、過少状態となった上部タンクに対してパチンコ玉補給が行われたり、過剰状態となった上部タンクに対してパチンコ玉補給が行われたりすることもある。こうすることで、島内揚送装置105や上部揚送装置21b、さらに、パチンコ玉移動経路の開閉等の組合せや駆動タイミング等を適切に制御し、パチンコ玉の搬送先を決定することができる。そして、複数のパチンコ機島間におけるパチンコ玉の均衡をはかり、大当たり時にパチンコ機からパチンコ玉が出てこないというような事態を引き起こさないような対応を取ることが出来る。また、上部タンク間におけるパチンコ玉の融通によって短時間のうちに対応することで、省エネルギー化にも貢献することができる。
【0054】
(他の実施形態)
図9を参照しながら、発明を実施するための他の形態(以下、適宜「他の実施形態」という)について説明する。他の実施形態が本実施形態と異なるのは、上部タンクと上部揚送機構の構造である。そこで、以下の説明では、両者間で異なる部分を中心に説明を行い、共通する部分については可能な限り省略する。
図9に示すパチンコ玉補給システムは、
図2に示すパチンコ玉補給システムに対応する。共通部分の重複説明を避けるために、両者共通の部材については、
図2で使用した部材番号等と同じ番号を
図9において使用する場合がある。なお、他の実施形態では、説明を単純化するために、本実施形態で行ったa、b、及びcの区別を省略する。
【0055】
(上部タンクの構造)
図9には、他の実施形態に係るパチンコ玉補給システム200の一部となる上部タンク201および上部揚送機構231が示されている。上部タンク201は、
図9において横長箱状に形成された金属製のタンク本体203から外観構成されている。タンク本体203は、底部205と側壁部207を含み、その内部には島内揚送装置105を配してある。島内揚送装置105の周辺構造は、本実施形態における周辺構造と共通している。
【0056】
(上部揚送機構の構造)
上部揚送機構231は、上部筐体233と上部揚送装置271を主要部材として構成されている。上部筐体233は、底部235と側壁部237を備えている。側壁部237は、上部タンク201の側壁部207と同寸法に形成されている。これら両側壁部は、上部タンク201と上部筐体233の設置時に密着するように構成されている。両側壁部207,237には、両者を貫通する戻し連通路239と送り連通路241が形成され、これらを介して上部タンク201と上部筐体233との間でパチンコ玉の往来が可能となるように構成されている。上部揚送装置251は、底部235の上に設置構造243を介して設置されている。上部揚送装置271の構造は、本実施形態に係る上部揚送装置21a,21b,21cの構造と共通する。
【0057】
(上部筐体部の内部)
図9を参照しながら説明を続ける。前述したように、上部筐体233内には、上部揚送装置271が収納されている。符号245は渡り玉送出口を、符号247は渡り玉受入口を、それぞれ示す。いずれも渡り樋(図示を省略)と連通させるための開口である。渡り玉受入口247には、図示を省略したゲートが設けられている。符号249は隔壁部、符号251は導入傾斜路および符号253は流入傾斜路を、それぞれ示す。上部筐体部233は、本実施形態に係る第2貯留房9と共通する構成になっている。
【0058】
他の実施形態特有の効果として、上部タンク201と上部揚送機構231を別体で構成したので、上部揚送機構231の取り換えや補修等を容易に行うことができる。