【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明の目的は、(例えば上記で参照されたような)先行技術の混合装置及び/又はシリンジに関連付けられる問題のうちの1つ以上を軽減する自動混合装置及び/又はこの自動混合装置を含むシリンジを提供することである。
【0010】
本発明の一態様は、シリンジ用混合装置に取り外し可能にマウント可能なアクチュエート装置を提供し、前記混合装置は1つ又は複数の封止材を含み、アクチュエート装置は、混合装置に解放可能に接続可能なハウジングと、回転可能なトリガ部材と、付勢部材と、送達プランジャと、初期ロック状態ではトリガ部材と解放可能に係合されていて、混合装置の1つ又は複数の封止材のうちの少なくとも1つと係合可能である混合プランジャと、を含み、前記回転可能なトリガ部材は、前記1つ又は複数の封止材のうちの前記少なくとも1つと係合された場合に、前記付勢部材が前記混合プランジャの押下を促進することを開始するように動作可能である。
【0011】
本発明の別の態様は、シリンジ用自動混合装置を提供し、前記混合装置は、前記混合装置に取り外し可能にマウント可能なアクチュエート装置を含み、前記混合装置は1つ又は複数の封止材を含み、アクチュエート装置は、混合装置に解放可能に接続可能なハウジングと、回転可能なトリガ部材と、付勢部材と、送達プランジャと、初期ロック状態ではトリガ部材と解放可能に係合されていて、混合装置の1つ又は複数の封止材のうちの少なくとも1つと係合可能である混合プランジャと、を含み、前記回転可能なトリガ部材は、前記少なくとも1つの封止材と係合された場合に、前記付勢部材が前記混合プランジャの押下を促進することを開始するように動作可能である。
【0012】
本発明の更に別の態様は、混合装置と、混合装置に取り外し可能にマウントされるアクチュエート装置と、針アセンブリと、を含む自動混合シリンジを提供し、前記混合装置は1つ又は複数の封止材を含み、アクチュエート装置は、混合装置に解放可能に接続可能なハウジングと、回転可能なトリガ部材と、付勢部材と、送達プランジャと、初期ロック状態ではトリガ部材と解放可能に係合されていて、混合装置の1つ又は複数の封止材のうちの少なくとも1つと係合可能である混合プランジャと、を含み、前記回転可能なトリガ部材は、前記少なくとも1つの封止材と係合された場合に、前記付勢部材が前記混合プランジャの押下を促進することを開始するように動作可能である。
【0013】
適切なことには、アクチュエート装置は、初期ロック状態では、混合装置にマウント可能かマウントされている。適切なことには、トリガ部材は、前記少なくとも1つの封止材と係合された場合に、前記付勢部材が前記混合プランジャの押下を促進することを開始する為に、時計回り且つ/又は反時計回りに回転可能である。
【0014】
一実施形態では、混合プランジャは、初期状態では初期ロック状態のトリガ部材と係合される1つ以上のプロングを含む。好ましくは、この係合は、プロング又はプロングの一部分と1つ以上のトリガ係合部材との間の係合可能な相互作用を通して行われる。トリガ係合部材は、スロット、レッジ、凹部、デテントなどであってよい。適切なことには、付勢部材は、初期状態では、トリガ部材と混合プランジャとの間でエネルギ蓄積状態で保持されている。少なくとも1つの実施形態では、付勢部材は、初期状態では、トリガ部材の内部チャンバ内で保持されており、混合プランジャのスリーブプラトーにのしかかっている。トリガ部材が回転すると、混合プランジャは、トリガ部材から係合解除され、これによって、付勢部材の、そのエネルギ蓄積状態からの伸長によって軸方向に平行移動する。混合プランジャが遠位方向に軸方向平行移動すると、混合装置の前記少なくとも1つの封止材が軸方向に平行移動する。好ましくは、前記少なくとも1つの封止材は近位封止材である。好ましい一形態では、トリガ部材が回転すると、混合プランジャの1つ以上のプロングが、対応するそれぞれのトリガ部材スロットからそれぞれ係合解除され、これによって、混合プランジャは、付勢部材の、そのエネルギ蓄積状態からの伸長によって軸方向に平行移動する。好ましくは、混合プランジャは、1つ以上のスリーブ部材を含む。混合プランジャが遠位方向に軸方向平行移動すると、スリーブ部材は、上述のように、混合装置の前記少なくとも1つの封止材にのしかかり、これを軸方向に平行移動させる。
【0015】
ハウジングは内部ロック面を含んでよく、内部ロック面は、初期ロック状態では送達プランジャの軸方向移動を防ぐか妨げる。内部ロック面は、1つ以上の当接部、突起、ベーン、タブなどを含んでよく、これらは、初期状態では、送達プランジャと係合して送達プランジャの軸方向移動を防ぐか妨げることができ、その後、送達プランジャ内のそれぞれのチャネルと摺動可能に係合することによりプランジャの軸方向移動を可能にすることができる。一実施形態では、アクチュエート装置を活性化させる際にトリガ部材を回転させると、プランジャ部材が協調的に回転するように、送達プランジャはトリガ部材と結合される。適切なことには、この回転により、プランジャが、ハウジングの内部ロック面がプランジャチャネルと摺動可能に係合している位置又は向きに動いて、送達プランジャの軸方向移動が可能になる。
【0016】
一実施形態では、トリガ部材の更なる回転は、混合が活性化するところまで回転したところで防がれるか妨げられてよい。一特定実施形態では、トリガは、1つ以上のトリガロック部材を含み、これらは、1つ以上のそれぞれ相補型であるハウジングロック部材と係合可能である。適切なことには、アクチュエート装置を活性化させている際にトリガ部材を回転させると、トリガロックが回転してハウジングロック部材と係合し、これによって、トリガ部材の更なる回転を防ぐか妨げる。
【0017】
一実施形態では、ハウジングに対する混合プランジャの回転が、少なくとも部分的に妨げられたり防がれたりすることが可能である。適切なことには、これは、混合プランジャ及びハウジングが、1つ又は複数のリッジ、リブ、チャネル、溝などのような相互作用部材を含むことにより達成可能である。
【0018】
少なくとも1つの実施形態では、混合装置及び/又は自動混合シリンジは、動作前の混合装置の無菌を維持する封止メンブレンを含み、前記メンブレンは、アクチュエート装置、混合装置、及び/又は自動混合シリンジの動作によって、又はこれらの運用中に、取り外し可能である。好ましくは、封止メンブレンは取り外し可能である。封止メンブレンは、ユーザによるプルタブ動作によるなど、手動で取り外されてよい。別の実施形態では、封止メンブレンは、ユーザの間接動作によって取り外されてよく、例えば、ユーザがアクチュエート装置を活性化させることによって取り外されてよい。そのような一実施形態では、ユーザがアクチュエート装置を活性化させると、スリーブ部材などの、アクチュエート装置の構成要素が軸方向に平行移動して、メンブレンを混合装置から少なくとも部分的に取り外したり、メンブレンに穴をあけたりする。追加又は代替として、アクチュエート装置の構成要素、例えば、送達プランジャの遠位先端が、メンブレンの穴あけに使用されてよい。そのような構成によって、アクチュエート装置の動作前又は自動混合シリンジの使用前の混合装置の無菌を維持することが可能になる。好ましい一形態では、封止メンブレンは、円盤状であり、送達プランジャによる穴あけが可能である。特に、送達プランジャは、アクチュエート装置の一構成要素である。そのような構成によって、アクチュエート装置、混合装置の動作前又は自動混合シリンジの使用前の混合装置の無菌を維持することが可能になる。
【0019】
一特定実施形態では、混合装置は更に、略同軸関係にある外側バレル及び内側バレルを含む。好ましくは、外側バレル及び内側バレルは同心である。適切なことには、内側バレル及び外側バレルは、互いに対して回転可能ではない。適切なことには、アクチュエート装置は、外側バレルに取り外し可能にマウント可能かマウントされている。一特定実施形態では、外側バレルは、アクチュエート装置が取り外し可能にマウント可能かマウントされているバレル延長部を含む。取り外し可能なマウントは、スナップ嵌合又は干渉嵌合、ねじ込み又は差し込み結合によって行われてよいが、これらに限定されない。バレル延長部は、外側バレルにマウントされてよく、或いは、外側バレルと一体成形されてよい。バレル延長部は、任意選択で、フィンガフランジ又はグリップを含んでよく、或いは、代替として、任意選択のフィンガフランジ又はグリップが接続されていてよい。
【0020】
一実施形態では、内側バレルは内側チャンバを含む。一実施形態では、内側バレルと外側バレルとの間の環状空間に外側チャンバが位置する。この実施形態によれば、外側チャンバ内で、混合装置の1つ以上の封止材が軸方向に可動である。適切なことには、前記混合装置は、複数の混合物質を含むことが可能である。適切なことには、外側チャンバ内には少なくとも第1の混合物質が配置可能であり、前記内側バレル内の内側チャンバ内には少なくとも第2の混合物質が配置可能である。一実施形態では、内側バレルは、1つ以上の流体経路を含み、これらを通って、第1の混合物質が内側バレル内の内側チャンバに入って、第2の混合物質との混合物を形成することが可能である。
【0021】
この1つ以上の流体経路は、1つ以上のアパーチャ、穴、ボア、ポート、貫通口、又は導管を含んでよい。これらは、任意の好適な形状、構成、配列、及び/又は個数であってよい。好ましくは、流体経路は複数のアパーチャを含む。アパーチャは、半径方向ボア(即ち、バレル軸に垂直)、角度付きボア(即ち、バレル軸に対して角度が付いている)、らせん状(例えば、バレル壁の厚さを横断する際の経路が角度付き且つ半径方向)、又は他の様々な構成であってよい。アパーチャの個数及び配置は、配置間隔及び配列に関して、所望の混合特性に応じて調節されてよい。従って、これらのアパーチャのパラメータは、所望の混合特性、希釈特性、及び他の、混合シリンジの流体流特性を推進するように構成されてよい。適切なことには、混合装置は、あらゆる目的のために参照により全体が本明細書に含まれている国際公開WO2013/020170に記載の1つ以上の構成要素を含んでよい。
【0022】
第1及び第2の混合物質は、1つ以上の流体、又は1つ以上の固体を含んでよい。外側チャンバ内に配置可能な第1の混合物質は、流体であってよい。この流体は、薬学的に活性である流体であってよく、又は希釈液のような、薬学的に不活性である流体であってもよい。内側チャンバ内に配置可能な第2の混合物質は、薬学的に活性である固体であってよく、或いは、薬学的に活性又は不活性である流体であってもよい。一実施形態では、内側チャンバは、薬学的に活性である固体を収容し、外側チャンバは、薬学的に不活性である希釈液(水など)を収容し、これによって、希釈液が1つ以上のアパーチャを通って外側チャンバから内側チャンバに入ると、薬学的に活性である固体との混合が促進される。希釈液と薬学的に活性である固体との間の相互作用により、薬学的に活性である固体が、その後の患者への送達に向けて再構成されることが可能になる。別の実施形態では、内側チャンバは、薬学的に活性である固体を収容し、外側チャンバは、薬学的に活性である流体を収容し、これによって、流体が1つ以上のアパーチャを通って外側チャンバから内側チャンバに入ると、内側チャンバ内で薬学的に活性である固体との混合が促進される。薬学的に活性である流体と薬学的に活性である固体との間の相互作用により、薬学的に活性である固体が、その後の患者への送達に向けて再構成されることが可能になる。更に別の実施形態では、内側チャンバは、第1の薬学的に活性である流体を収容し、外側チャンバは、第2の薬学的に活性である流体を収容し、これによって、第1の薬学的に活性である流体が1つ以上のアパーチャを通って外側チャンバから内側チャンバに入ると、内側チャンバ内で第2の薬学的に活性である流体との混合が促進される。アクチュエート装置、混合装置、及び自動混合シリンジの動作は、流体が外側チャンバから内側チャンバに移動する場合に関して記述されているが、そのような記述は、外側チャンバと内側チャンバとの間の例示的な流体移動を表しているに過ぎず、反対向きの移動も可能である。従って、本発明は、内側チャンバから外側チャンバへの流体の移動を促進する装置及びシリンジにも備えるものである。更に、内側チャンバと外側チャンバとの間での流体移動は、本発明の実施形態によって可能な「閉じたシステム」構成により、一度、又は繰り返し行われるように構成されてよい。これらの構成のうちの別の構成では、第1の薬学的に活性である流体と第2の薬学的に活性である流体との間の相互作用により、これらの薬学的に活性である流体同士の混合が、その後の患者への送達に向けて行われることが可能になる。同様に、液体希釈剤と液体である薬学的に活性である流体とが保管され、これらが、その後の患者への送達に向けて混合されて、薬学的に活性である流体の希釈が行われてよい。従って、混合装置は、複数成分の製薬物質を外側チャンバ及び内側チャンバに保管することを推進することが可能であり、これによって、輸送中及び長期保管時の各製薬物質の安定性及び有効性を維持することが可能である。
【0023】
更なる一実施形態では、混合装置は、前記外側チャンバと流体連通する1つ以上のベントを含む。好ましくは、この1つ以上のベントは、外側チャンバ内で混合プランジャ及び遠位封止材が摺動可能に動かされたときに、外側チャンバ内の空気を外へ排出することを促進するように動作可能である。1つ以上のベントは、前記外側バレル内に一体成形されてよく、或いは、前記内側バレル及び/又は外側バレルにマウントされるか取り付けられるベントキャップであってよい。いずれの実施形態でも、導管、穴、多孔質メンブレン、折りたたみ式の構成要素などが利用されてよい。例えば、少なくとも1つの実施形態では、ベントキャップは、1つ以上のベント導管を含むプラスチックベントキャップであり、このプラスチックベントキャップは、外側バレルの遠位端で外側チャンバを閉鎖する一方、混合プランジャの押下時には空気が1つ以上のベント導管を通って外に出ることを可能にする。
【0024】
適切なことには、混合装置は、前記外側チャンバ内に位置する前記少なくとも1つの封止材を含み、この封止材は、内側バレル内の前記1つ以上の流体経路と封止係合している第1の位置から、前記1つ以上の流体経路と前記1つ以上のベントとの間に少なくとも部分的にある第2の位置まで軸方向移動することが可能である。好ましい一形態では、混合装置は複数の封止材を含む。特定の一形態では、この複数の封止材は、近位封止材及び遠位封止材を含む。適切なことには、前記少なくとも1つの封止材は遠位封止材である。好ましい一実施形態では、複数の封止材は、近位封止材及び前記遠位封止材を含み、近位封止材は、混合プランジャの1つ以上のスリーブと、係合可能又は接続可能に結合されるか、接続可能であるか、取り付けられるか、他の方法で近接し、且つ、外側チャンバ内で摺動可能に可動であり、前記遠位封止材は、初期状態では、内側バレル内の前記1つ以上の流体経路と封止係合している第1の位置にあり、外側チャンバ内で、1つ以上の流体経路との封止係合から、前記1つ以上の流体経路と前記ベントとの中間にあるか、少なくとも部分的にそれらの間にある第2の位置まで摺動可能に可動である。混合プランジャの1つ以上のスリーブ部材が動くと、スリーブ部材が係合しているか近接している近位封止材が動く。この動きは、外側チャンバ内の第1の混合物質に伝わり、同様に、遠位封止材にも伝わる。少なくとも1つの実施形態では、1つ以上のスリーブ部材、近位封止材、及び、従って、外側チャンバ内の第1の混合物質の動きは、混合プランジャ封止材の動きによって第1の混合物質内に発生した空気の圧力又は力によって、遠位封止材に伝わる。従って、1つ以上のスリーブ部材の軸方向の動きは、遠位封止材の前記第2の位置への軸方向の動きを間接的に(即ち、直接接触を必要とせずに)促進する。
【0025】
本発明の1つ以上の実施形態はベントキャップを含み、このベントキャップは、任意選択で、混合装置の動作中の遠位封止材の所望の位置決めを促進する内部ベントキャップ機能を有してよい。内部ベントキャップ機能は、外側チャンバ内の平行移動があったときに、1つ以上のアパーチャに対して遠位封止材を正しく位置決めすることにより、外側チャンバ内の第1の物質のほぼ全量が内側チャンバへ通り抜けることを可能にするように構成された、例えば、ポスト、プロング、フレックスアームなどであってよい。外側チャンバと内側チャンバとの間のアパーチャは、第1の物質のほぼ全量が混合プランジャ封止材によって外側チャンバから押し出されるまで、第1の物質が動くことを可能にする為に開いたままであることが必要とされる。これは、封止材自体の圧縮性によって達成可能である。追加又は代替として、内部ベントキャップ機能の寸法及び曲がりやすさは、外側チャンバ内の第1の物質のほぼ全量が内側チャンバへ確実に通り抜けるように遠位封止材とアパーチャとを位置合わせするように構成されてよい。
【0026】
適切なことには、アクチュエート装置の1つ以上のスリーブ部材は、外側チャンバ内で外側バレルと内側バレルとの間を軸方向に動くことが可能である。混合プランジャの1つ以上のスリーブ部材は、少なくとも第1の混合物質が内側バレル内の内側チャンバに入ることを促進することが可能であり、且つ、前述のように、内側バレル内の前記1つ以上の流体経路と封止係合している第1の位置から、前記1つ以上の流体経路と前記ベントとの中間にあるか、少なくとも部分的にそれらの間にある前記第2の位置まで遠位封止材が軸方向に動くことを促進することが可能である。
【0027】
一実施形態では、自動混合シリンジは更に、1つ以上の取り外し可能な安全キャップを含む。好ましくは、取り外し可能な安全キャップは、混合装置の不要な動作を妨げる。少なくとも1つの実施形態では、取り外し可能な安全キャップは、具体的には、使用前(例えば、輸送中)の遠位封止材の望ましくない動きを防ぐ。安全キャップが取り外し可能であることにより、混合装置の機能及び遠位封止材の動きによる混合が完了した後、混合装置の更なる機能が可能であってよい。取り外し可能な安全キャップは、遠位封止材と近接又は接触するように、それぞれのベント導管に挿入可能な複数の突起を含んでよい。
【0028】
少なくとも1つの実施形態では、混合シリンジは更に、1つ以上のカバーを含む。例えば、混合シリンジは、近位カバー及び遠位カバーを含んでよい。少なくとも1つの実施形態では、安全キャップの取り外しを容易にする為に、取り外し可能な安全キャップに、任意選択で、遠位カバーを接続してよい。近位カバーは、独立した使い捨て構成要素であってよく、運用時にトリガ部材及びプランジャを露出させる為に取り外されてよく、或いは、トリガ部材及び/又はプランジャと一体化された構成要素であってよい。例えば、少なくとも1つの実施形態では、上述のように、トリガ部材を回転させてアクチュエート装置を活性化させる為に、近位カバー自体が回転可能であってよい。
【0029】
シリンジは、患者の治療の為の1つ以上の混合物質の保管、輸送、混合、及び注射に利用されてよい。後で詳述するように、シリンジは更に、使用後の針を引き込む安全機能を含んでよく、これは、望ましいことに針刺しの防止になり、又、シリンジの再使用の防止になる。適切なことには、アクチュエート装置のプランジャは、混合装置の内側バレル内で摺動可能に取り外し可能であり、これによって、混合された物質又は混合物の、ユーザ、患者、又は他の受容者への送達が促進される。
【0030】
一実施形態では、自動混合シリンジは、引き込み式の針又は針アセンブリを含んでよく、本明細書では「引き込み式シリンジ」と称される。更なる一実施形態では、送達プランジャは、自動混合シリンジの引き込み機構を活性化させることに利用されてよい。
【0031】
当然のことながら、引き込み式シリンジは、本明細書に開示の発明とともに動作可能な任意の針引き込み機構を含んでよい。例えば、針引き込み機構は、国際公開WO2006/119570、国際公開WO2006/108243、国際公開WO2009/003234、及び国際公開WO2011/075760、及び/又は、米国特許第8,702,653号及び国際公開PCT/US2014/024781に記載されているとおりであってよく、これらに限定されない。
【0032】
広い一形態では、自動混合シリンジは、針アセンブリを含む引き込み式シリンジであり、針アセンブリは、例えば、混合装置又はシリンジの内側チャンバの遠位端においてシリンジにマウントされており、針アセンブリは、エネルギ蓄積状態の付勢部材(例えば、圧縮されたばね)を含み、前記付勢部材が解放されると、引き込み式針の引き込みが促進される。一特定実施形態では、引き込み式針は、針引き込み機構の一構成要素であって、カニューレと、カニューレが中を通って延びるオーバーモールド型針と、を含む針サブアセンブリを含む。針引き込み機構は、少なくとも一部分が、バレル先端にマウントされたバレルアダプタに収容されてよい。適切なことには、引き込み式針は、針がバレル遠位端又はバレル先端から延びる注射位置から、針の少なくとも一部分がバレル内又はバレル先端内に配置される引き込み済み位置まで動くように適合される。アクチュエータサブアセンブリが、針封止材と、押し棒と、少なくとも1つのアクチュエート面と、を含み、押し棒は、少なくとも一部分が、針封止材より近位に配置される。アクチュエータサブアセンブリは更に、少なくとも1つの付勢部材(例えば、圧縮されたばね)と、アクチュエート可能なロック構成と、を含み、アクチュエート可能なロック構成は、ロックされたときに、付勢部材をエネルギ蓄積位置に保持するように配置される。適切なことには、ロック構成を解放するように操作すると、付勢部材が解放され、付勢部材は、エネルギ蓄積位置から解放されたときに針を注射位置から引き込み済み位置まで動かすように配置されている。適切なことには、ロック構成は、プランジャの押下、並びにプランジャ封止材と押し棒との接触により、アクチュエート可能である。この実施形態の非限定的な例が、国際出願PCT/US2014/024781に記載されている。
【0033】
この広い形態の一代替実施形態では、針アセンブリは、米国特許第8,702,653号に開示されているものと同様であってよく、これは針ボディを必要とせず、送達プランジャ封止材と針封止材との間の接触を通してカニューレの引き込みを活性化させる。
【0034】
別の広い形態では、自動混合シリンジは引き込み式シリンジであり、送達プランジャ、又は送達プランジャ封止材が引き込み式針と係合することが可能であり、これによって、アクチュエート装置の少なくとも部分的にエネルギ蓄積された付勢部材が解放されると(即ち、混合の活性化後に)、送達プランジャによって係合されている引き込み式針の引き込みが促進される。適切なことには、送達プランジャは、送達プランジャ封止材と係合されているか、係合可能である。好ましくは、トリガ部材が利用されて、遠位封止材が軸方向に平行移動して、流体の混合が行われた後に、送達プランジャ封止材は、アクチュエート装置のプランジャにマウント可能かマウントされ、その後に、送達プランジャは、混合された流体を針を通して送達することに利用され、その後、針の引き込みの活性化又は促進に利用される。好ましくは、送達プランジャは、引き込み式針を引き込む為に針と係合することが可能である。一実施形態では、送達プランジャは、フレキシブルハウジングプロングを、初期ロック状態の、トリガ部材との係合から切り離すことが可能である。そのような係合解除が行われると、付勢部材は、そのエネルギ蓄積状態又は部分的エネルギ蓄積状態(又はエネルギ低減状態)から近位方向に伸長することが可能になり、これによって、トリガ部材は近位方向に軸方向平行移動する。
【0035】
好ましくは、針アセンブリは更に、引き込み式針を保持する針封止材を含んでよく、引き込み式針のカニューレは、針封止材を貫通することにより、混合された物質又は混合物の、ユーザ、患者、又は他の受容者への送達を可能にする。適切なことには、引き込み式シリンジは、送達プランジャ封止材が引き込まれて、これに針が係合された後に、針が遠位方向に軸方向平行移動するのを防ぐ為に、1つ以上の送達プランジャロックシステムを含む。
【0036】
本明細書に記載のように、混合プランジャの1つ以上のプロングは、トリガ部材と協調して、付勢部材を初期エネルギ蓄積状態に保持する。1つ又は複数のプロングがトリガ部材から係合解除されると、付勢部材からの蓄積エネルギの解放が促進される。一実施形態では、混合プランジャは更にアームを含み、アームは、混合プランジャがハウジングに対して軸方向に動いている間などにハウジングの内壁の溝と摺動可能に係合する突起を含む。一実施形態では、混合プランジャのボディ部分が、混合プランジャがハウジングに対して軸方向に動いている間などにハウジングの内壁の溝と摺動可能に係合する1つ以上のガイドを含む。これらの突起又はガイド、及びこれらの、ハウジングの内壁との摺動可能な係合は、ハウジングに対する混合プランジャの軸回転を防ぐ為に利用されてよい。
【0037】
この広い形態による針引き込み機構の非限定的な例が、国際公開WO2006/119570、国際公開WO2006/108243、国際公開WO2009/003234、及び国際公開WO2011/075760に記載されている。一実施形態によれば、引き込み式シリンジは、引き込み式針を含む針アセンブリを含み、引き込み式針は、カニューレと、プランジャインナーにマウントされたプランジャ封止材によって係合可能な針封止材と、を含む。好ましくは、針封止材が引き込み式針を保持し、引き込み式針のカニューレが、針封止材を貫通することにより、混合された物質又は混合物の、ユーザ、患者、又は他の受容者への送達を可能にするように、針アセンブリが構成されている。一実施形態では、針アセンブリは、国際公開WO2011/075760に開示されているものと同様であって、シリンジのバレル内又は内側チャンバ内への引き込みの為に、送達プランジャ封止材によって、送達プランジャ封止材内の凹部内などに捕捉又は係合されることが可能な針ボディを含む。
【0038】
更に別の態様では、本発明は、自動混合装置を含むシリンジの組立方法を提供し、本方法は、アクチュエート装置をシリンジの混合装置に取り外し可能にマウントすることによって、アクチュエート装置スリーブが混合装置の混合プランジャ封止材を押下するように動作可能であるようにするステップを含む。一実施形態では、本方法は、アクチュエート装置のハウジングを混合装置の外側バレルに解放可能に接続又は結合するステップを含む。一実施形態では、本方法は、アクチュエート装置のハウジングを混合装置の外側バレルに解放可能に接続又は結合するステップを含む。一実施形態では、本方法は更に、ステップ(i)の前に、1つ以上のベントを含むベントキャップを、内側バレルの、1つ以上のアパーチャより遠位に位置する部分に取り付けるステップを含む。好ましくは、外側バレルの遠位端はベントキャップに接続される。更なる一実施形態では、本方法は更に、アクチュエート装置を混合装置に取り付ける前に、取り外し可能又は穴あけ可能なメンブレンを混合装置の内側バレルの近位端に取り付けるステップを含む。好ましい一実施形態では、取り外し可能又は穴あけ可能なメンブレンは、アクチュエート装置のスリーブの動作、即ち、スリーブの遠位方向の軸方向平行移動によって自動的に取り外されるように取り付けられる。好ましくは、本方法は更に、1つ以上のアパーチャより遠位に位置する内側チャンバに針アセンブリを挿入するステップを含む。
【0039】
更なる一態様では、本発明は、シリンジにマウントされた混合装置にアクチュエート装置を取り外し可能にマウントするステップを含む、シリンジの製造方法を提供する。
【0040】
更なる一態様では、本発明は、自動混合装置を含むシリンジの操作方法を提供し、前記方法は、
(i)複数の物質の混合を促進するように自動混合装置のアクチュエート装置を操作するステップと、
(ii)アクチュエート装置のプランジャを混合装置の送達プランジャ封止材に接続するステップと、
(iii)ステップ(i)で混合された物質を受容者に送達するようにプランジャを操作するステップと、を含む。
【0041】
好ましくは、アクチュエート装置を操作することにより、混合装置に取り付けられたメンブレンが取り外されるか、これに穴があけられる。一実施形態では、本方法は、ステップ(iii)の前にプランジャをロック解除するステップを含む。プランジャのロック解除は、本発明の少なくとも1つの実施形態ではステップ(i)とステップ(ii)の間に行われてよく、本発明の他の実施形態ではステップ(ii)とステップ(iii)の間に行われてよい。
【0042】
別の実施形態では、自動混合装置を含むシリンジの操作方法は更に、(iv)針をシリンジ内に引き込む為に針引き込み機構を活性化させるステップを含む。好ましくは、針引き込み機構の活性化は、物質のほぼ全量が受容者に送達された後に行われる。
【0043】
本明細書に記載の様々な態様及び実施形態によれば、「付勢部材」は、例えば、アクチュエート装置付勢部材及び送達プランジャ付勢部材の文脈において参照されている。当然のことながら、付勢部材は、エネルギを蓄積したり解放したりできる任意の部材であってよい。非限定的な例として、コイルばねや板ばねをはじめとするばね、弾性圧縮可能な、又は伸縮性のバンドなどの部材があってよい。好ましくは、付勢部材は、圧縮可能なばねなどのばねである。
【0044】
アクチュエート装置及び自動混合装置に関する実施形態では、ばねは、初期圧縮状態が維持される。この実施形態によれば、ばねが減圧されると、スリーブがハウジングに対して軸方向に動いて混合プランジャと当接し、これによって、混合プランジャが押下される。少なくとも1つの実施形態では、ばねは、引き込み機構を活性化させて針アセンブリを混合装置のバレル内に引き込んだ後、プランジャを軸方向に平行移動させることにも利用される。この実施形態によれば、ばねが減圧されると、送達プランジャ封止材、及びこれと結合された引き込み式針の引き込みが行われる。
【0045】
本明細書を通して、特に断らない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprising)」は、排他的ではなく包含的に使用され、これにより、記述された整数又は整数の集合が、1つ以上の他の記述されていない整数又は整数の集合を含んでよい。
【0046】
本明細書では、以下の図面を参照しながら、本発明の非限定的な実施形態を説明する。