特許第6358764号(P6358764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6358764デュアルチャンバ混合シリンジ用アクチュエーション機構
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6358764
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】デュアルチャンバ混合シリンジ用アクチュエーション機構
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/28 20060101AFI20180709BHJP
   A61M 5/32 20060101ALI20180709BHJP
   A61M 5/31 20060101ALI20180709BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20180709BHJP
【FI】
   A61M5/28 520
   A61M5/32 510H
   A61M5/31 510
   A61M5/315 500
   A61M5/31 540
【請求項の数】15
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2016-517964(P2016-517964)
(86)(22)【出願日】2014年6月4日
(65)【公表番号】特表2016-520400(P2016-520400A)
(43)【公表日】2016年7月14日
(86)【国際出願番号】US2014040917
(87)【国際公開番号】WO2014197602
(87)【国際公開日】20141211
【審査請求日】2017年6月2日
(31)【優先権主張番号】61/831,017
(32)【優先日】2013年6月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517295698
【氏名又は名称】ユーエヌエル ホールディングス エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】UNL Holdings LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネッソン,ロバート イー.
(72)【発明者】
【氏名】ダンガー,ピーター ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,モリー エム.
(72)【発明者】
【氏名】フェルソヴァリイ,フローラ
【審査官】 芝井 隆
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0060232(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/060541(WO,A1)
【文献】 特開2006−068531(JP,A)
【文献】 米国特許第05041088(US,A)
【文献】 特表2012−502761(JP,A)
【文献】 特表2007−503853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/178 − 5/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジ用混合装置に取り外し可能にマウント可能なアクチュエート装置であって、前記混合装置は1つ又は複数の封止材を備え、前記アクチュエート装置は、ハウジングと、回転可能なトリガ部材と、付勢部材と、前記トリガ部材の開口を通過する送達プランジャと、初期ロック状態では前記トリガ部材と解放可能に係合されていて、前記混合装置の前記1つ又は複数の封止材のうちの少なくとも1つと係合可能である混合プランジャと、を備え、前記回転可能なトリガ部材は、前記1つ又は複数の封止材と係合された場合に、前記付勢部材が前記混合プランジャの押下を生じさせることが可能となるように構成されている、アクチュエート装置。
【請求項2】
前記トリガ部材を回転させると、前記混合プランジャが前記トリガ部材から係合解除されて、前記付勢部材が、前記1つ又は複数の封止材のうちの前記少なくとも1つと係合された場合に、前記混合プランジャの押下を生じさせることが可能となり、これによって、前記混合装置内の複数の物質が混合される、請求項1に記載のアクチュエート装置。
【請求項3】
前記混合プランジャは1つ又は複数のプロングを備え、前記トリガ部材は、1つ又は複数のスロット部材を備え、前記1つ又は複数のプロングは、初期状態では前記スロット部材と係合していて、前記スロット部材との係合から外れて回転することが可能であり、これによって、前記付勢部材が、前記1つ又は複数の封止材のうちの前記少なくとも1つと係合された場合に、前記混合プランジャの押下を生じさせることが可能となり、これによって、前記混合装置内の前記複数の物質が混合される、請求項1又は2に記載のアクチュエート装置。
【請求項4】
前記ハウジングは、1つ又は複数の当接部を備え、前記送達プランジャは、1つ又は複数のチャネルを備え、前記初期ロック状態では、前記1つ又は複数の当接部は、前記チャネルと位置合わせされておらず、これによって、前記送達プランジャの軸方向移動が防がれており、前記トリガ部材が前記送達プランジャを回転させて、前記ハウジングの前記1つ又は複数の当接部を前記送達プランジャの前記チャネルと位置合わせし、これによって、前記送達プランジャの軸方向移動が可能になる、請求項1から3のいずれか一項に記載のアクチュエート装置。
【請求項5】
前記トリガ部材は、1つ又は複数のトリガロック部材を備え、前記ハウジングは、1つ又は複数のハウジングロック部材を備え、前記トリガ部材の回転後、前記1つ又は複数のトリガロック部材は、前記1つ又は複数のハウジングロック部材と、それぞれ係合することにより、前記トリガ部材の更なる回転を防ぐことが可能である、請求項1から4のいずれか一項に記載のアクチュエート装置。
【請求項6】
前記付勢部材は、初期状態では、前記トリガ部材と前記混合プランジャとの間で、エネルギ蓄積状態で保持されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のアクチュエート装置。
【請求項7】
前記付勢部材は、初期状態では、前記トリガ部材の内部チャンバ内で保持されている、請求項6に記載のアクチュエート装置。
【請求項8】
前記混合プランジャが前記トリガ部材から係合解除されると、前記混合プランジャは、前記付勢部材のエネルギ蓄積状態からの伸長によって軸方向に平行移動し、前記混合プランジャは、軸方向に平行移動すると、前記混合装置の前記1つ又は複数の封止材のうちの少なくとも1つにのしかかり、これを軸方向に平行移動させる、請求項1から7のいずれか一項に記載のアクチュエート装置。
【請求項9】
シリンジ用自動混合装置であって、1つ以上の混合プランジャ封止材と、前記自動混合装置にマウントされた、請求項1から8のいずれか一項に記載のアクチュエート装置と、を備える前記自動混合装置。
【請求項10】
外側バレル及び内側バレルであって、前記内側バレルと前記外側バレルとの間に位置する外側チャンバと略同軸又は略同心の関係にある前記内側バレルと前記外側バレルを備え、前記1つ又は複数の封止材は、前記外側チャンバ内で軸方向に可動である、請求項9に記載の自動混合装置。
【請求項11】
前記1つ又は複数の封止材は、前記外側チャンバ内で可動である近位封止材及び遠位封止材を備える、請求項10に記載の自動混合装置。
【請求項12】
前記内側バレルは1つ以上の流体経路を備え、前記流体経路を通って、前記外側チャンバ内の第1の混合物質が前記内側バレル内の内側チャンバに入って、第2の混合物質との混合物を形成することが可能である、請求項10に記載の自動混合装置。
【請求項13】
動作前の前記自動混合装置の無菌を維持する、取り外し可能な封止メンブレンを備える、請求項9から12のいずれか一項に記載の自動混合装置。
【請求項14】
前記送達プランジャによって係合されている送達プランジャ封止材を備える、請求項9から13のいずれか一項に記載の自動混合装置。
【請求項15】
請求項9から14のいずれか一項に記載の混合装置と、針アセンブリと、を備え、前記針アセンブリは、引き込み式針と、前記針を引き込むように動作可能な1つ又は複数の付勢部材を備える、自動混合シリンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンジ用混合装置に関する。具体的には、本発明は、1つ以上の薬剤物質の保管、混合、及び注射を可能にするデュアルチャンバ混合シリンジ用アクチュエーション機構に関する。
【背景技術】
【0002】
注射の前に送達可能物質を混合する混合装置を含むシリンジを提供することが知られている。これにより、例えば、脱水乾燥、凍結乾燥、乾燥保存、又は粉末化された活性物質に、注射直前に希釈液を加えることが可能になり、このことは特に、水和状態で保管されると劣化したり活性が失われたりしやすい物質に対して有用である。
【0003】
大多数のシリンジ用混合装置は、シーケンシャルチャンバを利用し、この場合、シリンジは1つのバレルを有し、バレルは、第1の近位チャンバ及び第2の遠位チャンバを有し、これらのチャンバは、例えば、メンブレン又はエラストマ封止材で隔てられている。そのようなシーケンシャルチャンバ混合シリンジの幾つかは、バレルの一区間においてバイパス突起を利用することにより、近位チャンバ内の流体が境界メンブレンをバイパスして遠位チャンバ内の流体又は粉末と混ざり合うことを可能にしている。
【0004】
しかしながら、幾つかの混合シリンジは、同心バレル構成を利用している。しかしながら、今までの同心バレル混合シリンジは、複雑な組立部品、ユーザによる複数の操作ステップ、或いは、他の、製造、組立、又は操作をしにくくする特殊なニュアンスを必要とする。例えば、幾つかの既存の同心バレル混合シリンジは、互いに対して選択的に回転可能な同心の内側バレル及び外側バレルが必要であり、流路手段を中に含む1つ以上の封止リングが必要である。これらのバレルは、内側バレルの穴と封止リング内の流路手段とを位置合わせするように回転させなければならない。封止リング内の流路手段は、封止リングを貫通して半径方向に延びる開口と、その半径方向に延びる開口から封止リングの長手方向に延びる溝と、を含む。この構成は、溝が外側バレルと半径方向に延びる開口とをつなぎ、半径方向に延びる開口が溝と内側バレル内の穴とを選択的につなぐようになっている。これによって、流体が外側バレルから内側バレルに流れ込んで内側バレル内の物質と混ざり合うことが可能になる。そのような構成は、複雑な構成要素を必要とし、且つ、ユーザにとっては装置の面倒な操作が必要になる。
【0005】
別の同心バレル設計では、バレルの内側に設置されて長手軸と同軸である外側テレスコープ式管状要素及び内側テレスコープ式管状要素を利用する。外側管状要素及びバレルは、液体リザーバを保持するチャンバを形成する。外側管状要素は、その中に流体流路を有し、この流体流路は、液体がチャンバから内側環状要素に流れ込むことを可能にする。内側環状要素は、注射ポートのそばに端部を有し、端部上に封止材があり、封止材にはオリフィスがある。この内側環状要素は、プランジャの端部を弾性封止材で受ける。従って、そのような混合シリンジ構成は、3つの管状要素を必要とし、第3のバレルの内側に同心の外側チャンバ及び内側チャンバがある。
【0006】
混合シリンジ構成に同心バレルを使用することは、多くの複雑さを伴う。上述されたことに加えて、同心バレルを利用する混合シリンジは、容器の無菌の維持、封止の為の構成要素間の相互作用、通気要件、内力の分布などの因子にも対処しなければならない。幾つかのデュアルチャンバ式シリンジは、同心の内側バレル及び外側バレルを有し、これらのバレルは、流体を保持する環状空間を形成し、内側バレルと外側バレルとの間の1つ以上のアパーチャを利用して、液体が環状空間から内側バレルに流れ込むことにより、液体が内側バレル内の物質と混ざり合うことを可能にする。環状空間において摺動可能に可動であるプランジャが押下されることにより、液体は環状空間から内側バレルに流れ込むことになる。第1及び第2の封止バンドが、環状空間内の内側バレルの周囲で摺動可能に受けられ、環状空間に沿って相互に間隔を置いて配置される。これらの封止バンドの位置によって、流体経路の無菌がどのようにに維持されるか、内力がどのように分布するか、並びに、通気がどのように行われるか、が決定されうる。例えば、両方の封止バンドが初期状態ではアパーチャの上方に配置されて、最初の液体構成要素の為の封止された環状空間を形成してよい。この構成の為、第2の封止バンドより遠位の、滅菌されるべき環状空間に空気があった場合、この空気をプランジャの押下時にアパーチャを通じて追い出すことを可能にする為に、アパーチャは通気孔としても動作しなければならない。この通気要件は、困難を引き起こす可能性があり、追加の設備及び処理ステップが必要になる可能性があり、例えば、真空下で内側チャンバを充填することにより、全ての空気を内側チャンバと外側バレルの第2の再構成封止材の下の遠位部分とから除去することが必要になる可能性がある。
【0007】
一般に、先行技術の、複数の同心バレルを含む混合装置は、構造が複雑であり、多くの場合、バレルを回転させて1つ以上のアパーチャを位置合わせすることにより、液体物質が1つのチャンバから別のチャンバに流れ込むことを可能にすることが必要である。これに加えて、様々な無菌、封止、及び通気の構成が使用されてきたが、これらは、混合装置の製造及び操作のしやすさに関して深刻な制約を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、背景技術の課題を解決するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明の目的は、(例えば上記で参照されたような)先行技術の混合装置及び/又はシリンジに関連付けられる問題のうちの1つ以上を軽減する自動混合装置及び/又はこの自動混合装置を含むシリンジを提供することである。
【0010】
本発明の一態様は、シリンジ用混合装置に取り外し可能にマウント可能なアクチュエート装置を提供し、前記混合装置は1つ又は複数の封止材を含み、アクチュエート装置は、混合装置に解放可能に接続可能なハウジングと、回転可能なトリガ部材と、付勢部材と、送達プランジャと、初期ロック状態ではトリガ部材と解放可能に係合されていて、混合装置の1つ又は複数の封止材のうちの少なくとも1つと係合可能である混合プランジャと、を含み、前記回転可能なトリガ部材は、前記1つ又は複数の封止材のうちの前記少なくとも1つと係合された場合に、前記付勢部材が前記混合プランジャの押下を促進することを開始するように動作可能である。
【0011】
本発明の別の態様は、シリンジ用自動混合装置を提供し、前記混合装置は、前記混合装置に取り外し可能にマウント可能なアクチュエート装置を含み、前記混合装置は1つ又は複数の封止材を含み、アクチュエート装置は、混合装置に解放可能に接続可能なハウジングと、回転可能なトリガ部材と、付勢部材と、送達プランジャと、初期ロック状態ではトリガ部材と解放可能に係合されていて、混合装置の1つ又は複数の封止材のうちの少なくとも1つと係合可能である混合プランジャと、を含み、前記回転可能なトリガ部材は、前記少なくとも1つの封止材と係合された場合に、前記付勢部材が前記混合プランジャの押下を促進することを開始するように動作可能である。
【0012】
本発明の更に別の態様は、混合装置と、混合装置に取り外し可能にマウントされるアクチュエート装置と、針アセンブリと、を含む自動混合シリンジを提供し、前記混合装置は1つ又は複数の封止材を含み、アクチュエート装置は、混合装置に解放可能に接続可能なハウジングと、回転可能なトリガ部材と、付勢部材と、送達プランジャと、初期ロック状態ではトリガ部材と解放可能に係合されていて、混合装置の1つ又は複数の封止材のうちの少なくとも1つと係合可能である混合プランジャと、を含み、前記回転可能なトリガ部材は、前記少なくとも1つの封止材と係合された場合に、前記付勢部材が前記混合プランジャの押下を促進することを開始するように動作可能である。
【0013】
適切なことには、アクチュエート装置は、初期ロック状態では、混合装置にマウント可能かマウントされている。適切なことには、トリガ部材は、前記少なくとも1つの封止材と係合された場合に、前記付勢部材が前記混合プランジャの押下を促進することを開始する為に、時計回り且つ/又は反時計回りに回転可能である。
【0014】
一実施形態では、混合プランジャは、初期状態では初期ロック状態のトリガ部材と係合される1つ以上のプロングを含む。好ましくは、この係合は、プロング又はプロングの一部分と1つ以上のトリガ係合部材との間の係合可能な相互作用を通して行われる。トリガ係合部材は、スロット、レッジ、凹部、デテントなどであってよい。適切なことには、付勢部材は、初期状態では、トリガ部材と混合プランジャとの間でエネルギ蓄積状態で保持されている。少なくとも1つの実施形態では、付勢部材は、初期状態では、トリガ部材の内部チャンバ内で保持されており、混合プランジャのスリーブプラトーにのしかかっている。トリガ部材が回転すると、混合プランジャは、トリガ部材から係合解除され、これによって、付勢部材の、そのエネルギ蓄積状態からの伸長によって軸方向に平行移動する。混合プランジャが遠位方向に軸方向平行移動すると、混合装置の前記少なくとも1つの封止材が軸方向に平行移動する。好ましくは、前記少なくとも1つの封止材は近位封止材である。好ましい一形態では、トリガ部材が回転すると、混合プランジャの1つ以上のプロングが、対応するそれぞれのトリガ部材スロットからそれぞれ係合解除され、これによって、混合プランジャは、付勢部材の、そのエネルギ蓄積状態からの伸長によって軸方向に平行移動する。好ましくは、混合プランジャは、1つ以上のスリーブ部材を含む。混合プランジャが遠位方向に軸方向平行移動すると、スリーブ部材は、上述のように、混合装置の前記少なくとも1つの封止材にのしかかり、これを軸方向に平行移動させる。
【0015】
ハウジングは内部ロック面を含んでよく、内部ロック面は、初期ロック状態では送達プランジャの軸方向移動を防ぐか妨げる。内部ロック面は、1つ以上の当接部、突起、ベーン、タブなどを含んでよく、これらは、初期状態では、送達プランジャと係合して送達プランジャの軸方向移動を防ぐか妨げることができ、その後、送達プランジャ内のそれぞれのチャネルと摺動可能に係合することによりプランジャの軸方向移動を可能にすることができる。一実施形態では、アクチュエート装置を活性化させる際にトリガ部材を回転させると、プランジャ部材が協調的に回転するように、送達プランジャはトリガ部材と結合される。適切なことには、この回転により、プランジャが、ハウジングの内部ロック面がプランジャチャネルと摺動可能に係合している位置又は向きに動いて、送達プランジャの軸方向移動が可能になる。
【0016】
一実施形態では、トリガ部材の更なる回転は、混合が活性化するところまで回転したところで防がれるか妨げられてよい。一特定実施形態では、トリガは、1つ以上のトリガロック部材を含み、これらは、1つ以上のそれぞれ相補型であるハウジングロック部材と係合可能である。適切なことには、アクチュエート装置を活性化させている際にトリガ部材を回転させると、トリガロックが回転してハウジングロック部材と係合し、これによって、トリガ部材の更なる回転を防ぐか妨げる。
【0017】
一実施形態では、ハウジングに対する混合プランジャの回転が、少なくとも部分的に妨げられたり防がれたりすることが可能である。適切なことには、これは、混合プランジャ及びハウジングが、1つ又は複数のリッジ、リブ、チャネル、溝などのような相互作用部材を含むことにより達成可能である。
【0018】
少なくとも1つの実施形態では、混合装置及び/又は自動混合シリンジは、動作前の混合装置の無菌を維持する封止メンブレンを含み、前記メンブレンは、アクチュエート装置、混合装置、及び/又は自動混合シリンジの動作によって、又はこれらの運用中に、取り外し可能である。好ましくは、封止メンブレンは取り外し可能である。封止メンブレンは、ユーザによるプルタブ動作によるなど、手動で取り外されてよい。別の実施形態では、封止メンブレンは、ユーザの間接動作によって取り外されてよく、例えば、ユーザがアクチュエート装置を活性化させることによって取り外されてよい。そのような一実施形態では、ユーザがアクチュエート装置を活性化させると、スリーブ部材などの、アクチュエート装置の構成要素が軸方向に平行移動して、メンブレンを混合装置から少なくとも部分的に取り外したり、メンブレンに穴をあけたりする。追加又は代替として、アクチュエート装置の構成要素、例えば、送達プランジャの遠位先端が、メンブレンの穴あけに使用されてよい。そのような構成によって、アクチュエート装置の動作前又は自動混合シリンジの使用前の混合装置の無菌を維持することが可能になる。好ましい一形態では、封止メンブレンは、円盤状であり、送達プランジャによる穴あけが可能である。特に、送達プランジャは、アクチュエート装置の一構成要素である。そのような構成によって、アクチュエート装置、混合装置の動作前又は自動混合シリンジの使用前の混合装置の無菌を維持することが可能になる。
【0019】
一特定実施形態では、混合装置は更に、略同軸関係にある外側バレル及び内側バレルを含む。好ましくは、外側バレル及び内側バレルは同心である。適切なことには、内側バレル及び外側バレルは、互いに対して回転可能ではない。適切なことには、アクチュエート装置は、外側バレルに取り外し可能にマウント可能かマウントされている。一特定実施形態では、外側バレルは、アクチュエート装置が取り外し可能にマウント可能かマウントされているバレル延長部を含む。取り外し可能なマウントは、スナップ嵌合又は干渉嵌合、ねじ込み又は差し込み結合によって行われてよいが、これらに限定されない。バレル延長部は、外側バレルにマウントされてよく、或いは、外側バレルと一体成形されてよい。バレル延長部は、任意選択で、フィンガフランジ又はグリップを含んでよく、或いは、代替として、任意選択のフィンガフランジ又はグリップが接続されていてよい。
【0020】
一実施形態では、内側バレルは内側チャンバを含む。一実施形態では、内側バレルと外側バレルとの間の環状空間に外側チャンバが位置する。この実施形態によれば、外側チャンバ内で、混合装置の1つ以上の封止材が軸方向に可動である。適切なことには、前記混合装置は、複数の混合物質を含むことが可能である。適切なことには、外側チャンバ内には少なくとも第1の混合物質が配置可能であり、前記内側バレル内の内側チャンバ内には少なくとも第2の混合物質が配置可能である。一実施形態では、内側バレルは、1つ以上の流体経路を含み、これらを通って、第1の混合物質が内側バレル内の内側チャンバに入って、第2の混合物質との混合物を形成することが可能である。
【0021】
この1つ以上の流体経路は、1つ以上のアパーチャ、穴、ボア、ポート、貫通口、又は導管を含んでよい。これらは、任意の好適な形状、構成、配列、及び/又は個数であってよい。好ましくは、流体経路は複数のアパーチャを含む。アパーチャは、半径方向ボア(即ち、バレル軸に垂直)、角度付きボア(即ち、バレル軸に対して角度が付いている)、らせん状(例えば、バレル壁の厚さを横断する際の経路が角度付き且つ半径方向)、又は他の様々な構成であってよい。アパーチャの個数及び配置は、配置間隔及び配列に関して、所望の混合特性に応じて調節されてよい。従って、これらのアパーチャのパラメータは、所望の混合特性、希釈特性、及び他の、混合シリンジの流体流特性を推進するように構成されてよい。適切なことには、混合装置は、あらゆる目的のために参照により全体が本明細書に含まれている国際公開WO2013/020170に記載の1つ以上の構成要素を含んでよい。
【0022】
第1及び第2の混合物質は、1つ以上の流体、又は1つ以上の固体を含んでよい。外側チャンバ内に配置可能な第1の混合物質は、流体であってよい。この流体は、薬学的に活性である流体であってよく、又は希釈液のような、薬学的に不活性である流体であってもよい。内側チャンバ内に配置可能な第2の混合物質は、薬学的に活性である固体であってよく、或いは、薬学的に活性又は不活性である流体であってもよい。一実施形態では、内側チャンバは、薬学的に活性である固体を収容し、外側チャンバは、薬学的に不活性である希釈液(水など)を収容し、これによって、希釈液が1つ以上のアパーチャを通って外側チャンバから内側チャンバに入ると、薬学的に活性である固体との混合が促進される。希釈液と薬学的に活性である固体との間の相互作用により、薬学的に活性である固体が、その後の患者への送達に向けて再構成されることが可能になる。別の実施形態では、内側チャンバは、薬学的に活性である固体を収容し、外側チャンバは、薬学的に活性である流体を収容し、これによって、流体が1つ以上のアパーチャを通って外側チャンバから内側チャンバに入ると、内側チャンバ内で薬学的に活性である固体との混合が促進される。薬学的に活性である流体と薬学的に活性である固体との間の相互作用により、薬学的に活性である固体が、その後の患者への送達に向けて再構成されることが可能になる。更に別の実施形態では、内側チャンバは、第1の薬学的に活性である流体を収容し、外側チャンバは、第2の薬学的に活性である流体を収容し、これによって、第1の薬学的に活性である流体が1つ以上のアパーチャを通って外側チャンバから内側チャンバに入ると、内側チャンバ内で第2の薬学的に活性である流体との混合が促進される。アクチュエート装置、混合装置、及び自動混合シリンジの動作は、流体が外側チャンバから内側チャンバに移動する場合に関して記述されているが、そのような記述は、外側チャンバと内側チャンバとの間の例示的な流体移動を表しているに過ぎず、反対向きの移動も可能である。従って、本発明は、内側チャンバから外側チャンバへの流体の移動を促進する装置及びシリンジにも備えるものである。更に、内側チャンバと外側チャンバとの間での流体移動は、本発明の実施形態によって可能な「閉じたシステム」構成により、一度、又は繰り返し行われるように構成されてよい。これらの構成のうちの別の構成では、第1の薬学的に活性である流体と第2の薬学的に活性である流体との間の相互作用により、これらの薬学的に活性である流体同士の混合が、その後の患者への送達に向けて行われることが可能になる。同様に、液体希釈剤と液体である薬学的に活性である流体とが保管され、これらが、その後の患者への送達に向けて混合されて、薬学的に活性である流体の希釈が行われてよい。従って、混合装置は、複数成分の製薬物質を外側チャンバ及び内側チャンバに保管することを推進することが可能であり、これによって、輸送中及び長期保管時の各製薬物質の安定性及び有効性を維持することが可能である。
【0023】
更なる一実施形態では、混合装置は、前記外側チャンバと流体連通する1つ以上のベントを含む。好ましくは、この1つ以上のベントは、外側チャンバ内で混合プランジャ及び遠位封止材が摺動可能に動かされたときに、外側チャンバ内の空気を外へ排出することを促進するように動作可能である。1つ以上のベントは、前記外側バレル内に一体成形されてよく、或いは、前記内側バレル及び/又は外側バレルにマウントされるか取り付けられるベントキャップであってよい。いずれの実施形態でも、導管、穴、多孔質メンブレン、折りたたみ式の構成要素などが利用されてよい。例えば、少なくとも1つの実施形態では、ベントキャップは、1つ以上のベント導管を含むプラスチックベントキャップであり、このプラスチックベントキャップは、外側バレルの遠位端で外側チャンバを閉鎖する一方、混合プランジャの押下時には空気が1つ以上のベント導管を通って外に出ることを可能にする。
【0024】
適切なことには、混合装置は、前記外側チャンバ内に位置する前記少なくとも1つの封止材を含み、この封止材は、内側バレル内の前記1つ以上の流体経路と封止係合している第1の位置から、前記1つ以上の流体経路と前記1つ以上のベントとの間に少なくとも部分的にある第2の位置まで軸方向移動することが可能である。好ましい一形態では、混合装置は複数の封止材を含む。特定の一形態では、この複数の封止材は、近位封止材及び遠位封止材を含む。適切なことには、前記少なくとも1つの封止材は遠位封止材である。好ましい一実施形態では、複数の封止材は、近位封止材及び前記遠位封止材を含み、近位封止材は、混合プランジャの1つ以上のスリーブと、係合可能又は接続可能に結合されるか、接続可能であるか、取り付けられるか、他の方法で近接し、且つ、外側チャンバ内で摺動可能に可動であり、前記遠位封止材は、初期状態では、内側バレル内の前記1つ以上の流体経路と封止係合している第1の位置にあり、外側チャンバ内で、1つ以上の流体経路との封止係合から、前記1つ以上の流体経路と前記ベントとの中間にあるか、少なくとも部分的にそれらの間にある第2の位置まで摺動可能に可動である。混合プランジャの1つ以上のスリーブ部材が動くと、スリーブ部材が係合しているか近接している近位封止材が動く。この動きは、外側チャンバ内の第1の混合物質に伝わり、同様に、遠位封止材にも伝わる。少なくとも1つの実施形態では、1つ以上のスリーブ部材、近位封止材、及び、従って、外側チャンバ内の第1の混合物質の動きは、混合プランジャ封止材の動きによって第1の混合物質内に発生した空気の圧力又は力によって、遠位封止材に伝わる。従って、1つ以上のスリーブ部材の軸方向の動きは、遠位封止材の前記第2の位置への軸方向の動きを間接的に(即ち、直接接触を必要とせずに)促進する。
【0025】
本発明の1つ以上の実施形態はベントキャップを含み、このベントキャップは、任意選択で、混合装置の動作中の遠位封止材の所望の位置決めを促進する内部ベントキャップ機能を有してよい。内部ベントキャップ機能は、外側チャンバ内の平行移動があったときに、1つ以上のアパーチャに対して遠位封止材を正しく位置決めすることにより、外側チャンバ内の第1の物質のほぼ全量が内側チャンバへ通り抜けることを可能にするように構成された、例えば、ポスト、プロング、フレックスアームなどであってよい。外側チャンバと内側チャンバとの間のアパーチャは、第1の物質のほぼ全量が混合プランジャ封止材によって外側チャンバから押し出されるまで、第1の物質が動くことを可能にする為に開いたままであることが必要とされる。これは、封止材自体の圧縮性によって達成可能である。追加又は代替として、内部ベントキャップ機能の寸法及び曲がりやすさは、外側チャンバ内の第1の物質のほぼ全量が内側チャンバへ確実に通り抜けるように遠位封止材とアパーチャとを位置合わせするように構成されてよい。
【0026】
適切なことには、アクチュエート装置の1つ以上のスリーブ部材は、外側チャンバ内で外側バレルと内側バレルとの間を軸方向に動くことが可能である。混合プランジャの1つ以上のスリーブ部材は、少なくとも第1の混合物質が内側バレル内の内側チャンバに入ることを促進することが可能であり、且つ、前述のように、内側バレル内の前記1つ以上の流体経路と封止係合している第1の位置から、前記1つ以上の流体経路と前記ベントとの中間にあるか、少なくとも部分的にそれらの間にある前記第2の位置まで遠位封止材が軸方向に動くことを促進することが可能である。
【0027】
一実施形態では、自動混合シリンジは更に、1つ以上の取り外し可能な安全キャップを含む。好ましくは、取り外し可能な安全キャップは、混合装置の不要な動作を妨げる。少なくとも1つの実施形態では、取り外し可能な安全キャップは、具体的には、使用前(例えば、輸送中)の遠位封止材の望ましくない動きを防ぐ。安全キャップが取り外し可能であることにより、混合装置の機能及び遠位封止材の動きによる混合が完了した後、混合装置の更なる機能が可能であってよい。取り外し可能な安全キャップは、遠位封止材と近接又は接触するように、それぞれのベント導管に挿入可能な複数の突起を含んでよい。
【0028】
少なくとも1つの実施形態では、混合シリンジは更に、1つ以上のカバーを含む。例えば、混合シリンジは、近位カバー及び遠位カバーを含んでよい。少なくとも1つの実施形態では、安全キャップの取り外しを容易にする為に、取り外し可能な安全キャップに、任意選択で、遠位カバーを接続してよい。近位カバーは、独立した使い捨て構成要素であってよく、運用時にトリガ部材及びプランジャを露出させる為に取り外されてよく、或いは、トリガ部材及び/又はプランジャと一体化された構成要素であってよい。例えば、少なくとも1つの実施形態では、上述のように、トリガ部材を回転させてアクチュエート装置を活性化させる為に、近位カバー自体が回転可能であってよい。
【0029】
シリンジは、患者の治療の為の1つ以上の混合物質の保管、輸送、混合、及び注射に利用されてよい。後で詳述するように、シリンジは更に、使用後の針を引き込む安全機能を含んでよく、これは、望ましいことに針刺しの防止になり、又、シリンジの再使用の防止になる。適切なことには、アクチュエート装置のプランジャは、混合装置の内側バレル内で摺動可能に取り外し可能であり、これによって、混合された物質又は混合物の、ユーザ、患者、又は他の受容者への送達が促進される。
【0030】
一実施形態では、自動混合シリンジは、引き込み式の針又は針アセンブリを含んでよく、本明細書では「引き込み式シリンジ」と称される。更なる一実施形態では、送達プランジャは、自動混合シリンジの引き込み機構を活性化させることに利用されてよい。
【0031】
当然のことながら、引き込み式シリンジは、本明細書に開示の発明とともに動作可能な任意の針引き込み機構を含んでよい。例えば、針引き込み機構は、国際公開WO2006/119570、国際公開WO2006/108243、国際公開WO2009/003234、及び国際公開WO2011/075760、及び/又は、米国特許第8,702,653号及び国際公開PCT/US2014/024781に記載されているとおりであってよく、これらに限定されない。
【0032】
広い一形態では、自動混合シリンジは、針アセンブリを含む引き込み式シリンジであり、針アセンブリは、例えば、混合装置又はシリンジの内側チャンバの遠位端においてシリンジにマウントされており、針アセンブリは、エネルギ蓄積状態の付勢部材(例えば、圧縮されたばね)を含み、前記付勢部材が解放されると、引き込み式針の引き込みが促進される。一特定実施形態では、引き込み式針は、針引き込み機構の一構成要素であって、カニューレと、カニューレが中を通って延びるオーバーモールド型針と、を含む針サブアセンブリを含む。針引き込み機構は、少なくとも一部分が、バレル先端にマウントされたバレルアダプタに収容されてよい。適切なことには、引き込み式針は、針がバレル遠位端又はバレル先端から延びる注射位置から、針の少なくとも一部分がバレル内又はバレル先端内に配置される引き込み済み位置まで動くように適合される。アクチュエータサブアセンブリが、針封止材と、押し棒と、少なくとも1つのアクチュエート面と、を含み、押し棒は、少なくとも一部分が、針封止材より近位に配置される。アクチュエータサブアセンブリは更に、少なくとも1つの付勢部材(例えば、圧縮されたばね)と、アクチュエート可能なロック構成と、を含み、アクチュエート可能なロック構成は、ロックされたときに、付勢部材をエネルギ蓄積位置に保持するように配置される。適切なことには、ロック構成を解放するように操作すると、付勢部材が解放され、付勢部材は、エネルギ蓄積位置から解放されたときに針を注射位置から引き込み済み位置まで動かすように配置されている。適切なことには、ロック構成は、プランジャの押下、並びにプランジャ封止材と押し棒との接触により、アクチュエート可能である。この実施形態の非限定的な例が、国際出願PCT/US2014/024781に記載されている。
【0033】
この広い形態の一代替実施形態では、針アセンブリは、米国特許第8,702,653号に開示されているものと同様であってよく、これは針ボディを必要とせず、送達プランジャ封止材と針封止材との間の接触を通してカニューレの引き込みを活性化させる。
【0034】
別の広い形態では、自動混合シリンジは引き込み式シリンジであり、送達プランジャ、又は送達プランジャ封止材が引き込み式針と係合することが可能であり、これによって、アクチュエート装置の少なくとも部分的にエネルギ蓄積された付勢部材が解放されると(即ち、混合の活性化後に)、送達プランジャによって係合されている引き込み式針の引き込みが促進される。適切なことには、送達プランジャは、送達プランジャ封止材と係合されているか、係合可能である。好ましくは、トリガ部材が利用されて、遠位封止材が軸方向に平行移動して、流体の混合が行われた後に、送達プランジャ封止材は、アクチュエート装置のプランジャにマウント可能かマウントされ、その後に、送達プランジャは、混合された流体を針を通して送達することに利用され、その後、針の引き込みの活性化又は促進に利用される。好ましくは、送達プランジャは、引き込み式針を引き込む為に針と係合することが可能である。一実施形態では、送達プランジャは、フレキシブルハウジングプロングを、初期ロック状態の、トリガ部材との係合から切り離すことが可能である。そのような係合解除が行われると、付勢部材は、そのエネルギ蓄積状態又は部分的エネルギ蓄積状態(又はエネルギ低減状態)から近位方向に伸長することが可能になり、これによって、トリガ部材は近位方向に軸方向平行移動する。
【0035】
好ましくは、針アセンブリは更に、引き込み式針を保持する針封止材を含んでよく、引き込み式針のカニューレは、針封止材を貫通することにより、混合された物質又は混合物の、ユーザ、患者、又は他の受容者への送達を可能にする。適切なことには、引き込み式シリンジは、送達プランジャ封止材が引き込まれて、これに針が係合された後に、針が遠位方向に軸方向平行移動するのを防ぐ為に、1つ以上の送達プランジャロックシステムを含む。
【0036】
本明細書に記載のように、混合プランジャの1つ以上のプロングは、トリガ部材と協調して、付勢部材を初期エネルギ蓄積状態に保持する。1つ又は複数のプロングがトリガ部材から係合解除されると、付勢部材からの蓄積エネルギの解放が促進される。一実施形態では、混合プランジャは更にアームを含み、アームは、混合プランジャがハウジングに対して軸方向に動いている間などにハウジングの内壁の溝と摺動可能に係合する突起を含む。一実施形態では、混合プランジャのボディ部分が、混合プランジャがハウジングに対して軸方向に動いている間などにハウジングの内壁の溝と摺動可能に係合する1つ以上のガイドを含む。これらの突起又はガイド、及びこれらの、ハウジングの内壁との摺動可能な係合は、ハウジングに対する混合プランジャの軸回転を防ぐ為に利用されてよい。
【0037】
この広い形態による針引き込み機構の非限定的な例が、国際公開WO2006/119570、国際公開WO2006/108243、国際公開WO2009/003234、及び国際公開WO2011/075760に記載されている。一実施形態によれば、引き込み式シリンジは、引き込み式針を含む針アセンブリを含み、引き込み式針は、カニューレと、プランジャインナーにマウントされたプランジャ封止材によって係合可能な針封止材と、を含む。好ましくは、針封止材が引き込み式針を保持し、引き込み式針のカニューレが、針封止材を貫通することにより、混合された物質又は混合物の、ユーザ、患者、又は他の受容者への送達を可能にするように、針アセンブリが構成されている。一実施形態では、針アセンブリは、国際公開WO2011/075760に開示されているものと同様であって、シリンジのバレル内又は内側チャンバ内への引き込みの為に、送達プランジャ封止材によって、送達プランジャ封止材内の凹部内などに捕捉又は係合されることが可能な針ボディを含む。
【0038】
更に別の態様では、本発明は、自動混合装置を含むシリンジの組立方法を提供し、本方法は、アクチュエート装置をシリンジの混合装置に取り外し可能にマウントすることによって、アクチュエート装置スリーブが混合装置の混合プランジャ封止材を押下するように動作可能であるようにするステップを含む。一実施形態では、本方法は、アクチュエート装置のハウジングを混合装置の外側バレルに解放可能に接続又は結合するステップを含む。一実施形態では、本方法は、アクチュエート装置のハウジングを混合装置の外側バレルに解放可能に接続又は結合するステップを含む。一実施形態では、本方法は更に、ステップ(i)の前に、1つ以上のベントを含むベントキャップを、内側バレルの、1つ以上のアパーチャより遠位に位置する部分に取り付けるステップを含む。好ましくは、外側バレルの遠位端はベントキャップに接続される。更なる一実施形態では、本方法は更に、アクチュエート装置を混合装置に取り付ける前に、取り外し可能又は穴あけ可能なメンブレンを混合装置の内側バレルの近位端に取り付けるステップを含む。好ましい一実施形態では、取り外し可能又は穴あけ可能なメンブレンは、アクチュエート装置のスリーブの動作、即ち、スリーブの遠位方向の軸方向平行移動によって自動的に取り外されるように取り付けられる。好ましくは、本方法は更に、1つ以上のアパーチャより遠位に位置する内側チャンバに針アセンブリを挿入するステップを含む。
【0039】
更なる一態様では、本発明は、シリンジにマウントされた混合装置にアクチュエート装置を取り外し可能にマウントするステップを含む、シリンジの製造方法を提供する。
【0040】
更なる一態様では、本発明は、自動混合装置を含むシリンジの操作方法を提供し、前記方法は、
(i)複数の物質の混合を促進するように自動混合装置のアクチュエート装置を操作するステップと、
(ii)アクチュエート装置のプランジャを混合装置の送達プランジャ封止材に接続するステップと、
(iii)ステップ(i)で混合された物質を受容者に送達するようにプランジャを操作するステップと、を含む。
【0041】
好ましくは、アクチュエート装置を操作することにより、混合装置に取り付けられたメンブレンが取り外されるか、これに穴があけられる。一実施形態では、本方法は、ステップ(iii)の前にプランジャをロック解除するステップを含む。プランジャのロック解除は、本発明の少なくとも1つの実施形態ではステップ(i)とステップ(ii)の間に行われてよく、本発明の他の実施形態ではステップ(ii)とステップ(iii)の間に行われてよい。
【0042】
別の実施形態では、自動混合装置を含むシリンジの操作方法は更に、(iv)針をシリンジ内に引き込む為に針引き込み機構を活性化させるステップを含む。好ましくは、針引き込み機構の活性化は、物質のほぼ全量が受容者に送達された後に行われる。
【0043】
本明細書に記載の様々な態様及び実施形態によれば、「付勢部材」は、例えば、アクチュエート装置付勢部材及び送達プランジャ付勢部材の文脈において参照されている。当然のことながら、付勢部材は、エネルギを蓄積したり解放したりできる任意の部材であってよい。非限定的な例として、コイルばねや板ばねをはじめとするばね、弾性圧縮可能な、又は伸縮性のバンドなどの部材があってよい。好ましくは、付勢部材は、圧縮可能なばねなどのばねである。
【0044】
アクチュエート装置及び自動混合装置に関する実施形態では、ばねは、初期圧縮状態が維持される。この実施形態によれば、ばねが減圧されると、スリーブがハウジングに対して軸方向に動いて混合プランジャと当接し、これによって、混合プランジャが押下される。少なくとも1つの実施形態では、ばねは、引き込み機構を活性化させて針アセンブリを混合装置のバレル内に引き込んだ後、プランジャを軸方向に平行移動させることにも利用される。この実施形態によれば、ばねが減圧されると、送達プランジャ封止材、及びこれと結合された引き込み式針の引き込みが行われる。
【0045】
本明細書を通して、特に断らない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprising)」は、排他的ではなく包含的に使用され、これにより、記述された整数又は整数の集合が、1つ以上の他の記述されていない整数又は整数の集合を含んでよい。
【0046】
本明細書では、以下の図面を参照しながら、本発明の非限定的な実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明の一実施形態による、混合装置と結合されたアクチュエート装置を含む自動混合シリンジの実施形態の等角図である。
図2図1に示されたアクチュエート装置の分解組立図である。
図3A図2に示された実施形態の断面図であって、アクチュエート装置のトリガ部材がロックされていることを示す図である。
図3B図3Aに示された実施形態の等角図である。
図3C図3Bに示された実施形態の断面図である。
図3D】アクチュエート装置の一実施形態のトリガ部材と混合プランジャとの間の結合の端面図である。
図4A図1に示された実施形態の側面図であって、混合プランジャがアクチュエート装置によって活性化される前を示す図である。
図4B図4Aに示された実施形態の断面図である。
図5A図1に示された実施形態の側面図であって、混合プランジャがアクチュエート装置によって活性化された後を示す図である。
図5B図5Aに示された実施形態の断面図である。
図6A】ベントキャップの一実施形態を示す図である。
図6B】ベントキャップの別の実施形態を示す図である。
図7】自動混合装置にマウントされた封止メンブレンの一実施形態を示す図である。
図8A】初期状態において軸方向に移動しないようにハウジングに係合されている送達プランジャを示す図である。
図8B】ハウジングに対して相対的な、軸方向の移動が可能とされる位置まで回転された送達プランジャを示す図である。
図8C】トリガ部材が回されて混合が活性化された後にトリガ部材とハウジングとの間に形成される回転ロックの一実施形態を示す図である。
図9A】単一ばねを含む付勢部材を有する針アセンブリを含む針引き込み機構の一実施形態の分解組立断面図である。
図9B】単一ばねを含む付勢部材を有する針アセンブリを含む針引き込み機構の一実施形態の断面図である。
図9C】第1及び第2のばねを含む付勢部材を有する針アセンブリを含む針引き込み機構の一実施形態の分解組立断面図である。
図9D】第1及び第2のばねを含む付勢部材を有する針アセンブリを含む針引き込み機構の一実施形態の断面図である。
図9E図9C及び図9Dの実施形態の、引き込まれた位置での断面図である。
図10A】送達プランジャ封止材によって係合可能な引き込み式針を含む針アセンブリの一代替実施形態を示す図である。
図10B図10Aの実施形態の断面図であって、アクチュエート装置の付勢部材が、送達プランジャ封止材と係合された場合に、引き込み式針の引き込みを促進することを示す図である。
図10C図10Aの実施形態の断面図であって、送達プランジャが、送達プランジャ封止材と係合された場合に、ハウジングと係合して、アクチュエート装置の付勢部材を解放することにより、引き込み式針の引き込みを促進することを示す図である。
図10D】アクチュエート装置の一実施形態の断面図であって、シリンジの混合された内容物の混合及び送達の後にトリガ部材及び送達プランジャがロック構成にあることを示す図である。
図11A】乃至
図11B】任意選択のカバーが更にマウントされた自動混合シリンジの一実施形態を示す図である。
図12A】乃至
図12B】任意選択のカバーである針シールド構成要素の一代替実施形態を更に含む自動混合シリンジの一実施形態を示す図である。
図13】近位カバー及び遠位カバーを有する自動混合シリンジの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明は、一体化されたプランジャを有するアクチュエート装置を提供し、このアクチュエート装置は、薬剤物質を保管し、輸送し、混合し、混合された薬剤物質を患者に注射する為のデュアルチャンバ混合装置にマウントされるか他の方法で接続されてよい。アクチュエート装置は、自動混合装置及び/又はシリンジの一部として組み込まれてよく、自動混合シリンジを製造する為に混合装置に取り外し可能に取り付けられてもよい。これらの実施形態のうちの1つ以上において、アクチュエート装置及び/又はそのプランジャは、混合装置の近位端においてメンブレンを動かすこと、メンブレンに穴をあけること、又はメンブレンを取り外すことを容易にする為に利用されてよい。メンブレンは、本明細書において詳述するように、本装置の動作前の混合装置の容器保全性を維持する為に利用される滅菌障壁であってよい。従って、本発明の新規なアクチュエート装置は、混合装置の無菌を維持すること、並びに、薬剤注射の為に本装置及び/又はシリンジを運用する前にメンブレンを少なくとも部分的に動かしたり、メンブレンに穴をあけたり、メンブレンを取り外したりすることを支援するものである。
【0049】
本明細書に記載の実施形態は、自動混合シリンジ、アクチュエート装置、及び混合装置の特定の構成要素を独立した構成要素として記載している場合があるが、これらは、一体成形された構成要素又は単一構成要素として製造されることが容易に可能である。同様に、本明細書に記載の実施形態は、自動混合シリンジ、アクチュエート装置、及び混合装置の特定の構成要素を一体成形された構成要素又は単一構成要素として記載している場合があるが、これらは、独立した構成要素として製造された後、使用前に組み立てられることが容易に可能である。
【0050】
図1を参照すると、自動混合シリンジ10が、アクチュエート装置100、混合装置200、及び針アセンブリ300を含む。混合装置200は、デュアル同心の内側バレル210及び外側バレル220を有する。内側バレル210内には内側チャンバ230があり、外側バレル220と内側バレル210との間には外側チャンバ240がある。更に図2を参照すると、アクチュエート装置100の一実施形態の分解組立図が示されており、アクチュエート装置100は、ハウジング110と、ハウジング110にマウント可能なトリガ部材120とを含み、更に図3Aから図3Cを参照すると、組み立てられたアクチュエート装置100が示されている。ハウジング110は更に、開口111、フックアーム112A、112B、フランジ113、及びハウジングマウント114を含む。送達プランジャ130がシャフト131を含み、シャフト131はボタン132及び封止係合部材133を含む。送達プランジャ130は、後で詳述するように、開口、例えば、トリガ部材120の軸方向開口121、及びハウジング110の軸方向開口111を通り抜けて、軸方向に平行移動することが可能であるように構成されている。トリガ部材120は更に、内部チャンバ122及びロック/トリガスロット123A、123Bを含む。混合プランジャスリーブ140が、スリーブ部材141A、141B、プロング142A、142B、及びスリーブプラトー143を含む。この実施形態における付勢部材150はばねであり、このばねは、アクチュエート装置100が活性化される前の初期状態では圧縮されている(即ち、エネルギが蓄積されている)。図1を再度参照すると、当然のことながら、プランジャ130は混合装置200の内側チャンバ230内で軸方向の平行移動が可能であり、混合プランジャ140は混合装置200の外側チャンバ240内で軸方向の移動が可能であるが、これは、初期状態では、トリガ部材120の回転が行われるまで妨げられる。これについては後述する。図3Aから図3Cに示されるように、本発明の少なくとも1つの実施形態では、トリガ部材120の少なくとも一部分がアクチュエート装置100のハウジング110上にマウントされており、且つ、トリガ部材120はハウジング110とほぼ同心にマウントされており、これによって、トリガ部材120は、ハウジング110上で軸を中心に回転可能であり、且つ/又は、軸方向に平行移動可能である。図3A及び図3Cは、混合プランジャ140とトリガ部材120との間の解放可能なロック構成を示す。混合プランジャ140は、初期状態では、プロング142A、142Bと対応するトリガ部材スロット123A、123Bとの間の解放可能に係合可能な相互作用によって、トリガ部材120と係合されている。付勢部材150は、初期状態では、トリガ部材120と混合プランジャスリーブ140との間でエネルギ蓄積状態で保持されている。少なくとも1つの実施形態では、付勢部材150は、初期状態では、トリガ部材120の内部チャンバ122内で保持されており、混合プランジャ140のスリーブプラトー143にのしかかっている。
【0051】
トリガ部材120は回転可能(即ち、時計回り又は反時計回りに回転可能)であるが、図3Dによれば、ハウジング110内のリブ117A、117B、117C、117Dが混合プランジャ140内の相補形リッジ143A、143B、143C、143Dと係合することによって混合プランジャ140の回転が妨げられており、これによって、トリガ部材120が回転しても混合プランジャ140は回転しない。
【0052】
更に図1を参照すると、スリーブ部材141A、141Bは、混合装置200の外側バレル220と内側バレル210との間の外側チャンバ240内にある近位封止材250とつながるか、当接するか、接触するように構成されている。混合装置200の外側バレル220と内側バレル210との間の外側チャンバ240内には遠位封止材260も配置されており、その機能については後で詳述する。混合装置200には更に、ベントキャップ270がマウントされている。この実施形態では、遠位封止材260は、内側バレル210のアパーチャ211A、211Bより近位に配置され、アパーチャ211A、211Bは、外側チャンバ240と内側チャンバ230との間の流体経路をそれぞれ形成する。ベントチャンバ280が遠位封止材260より遠位に位置する。後で詳述するように、アクチュエート装置100を操作及び運用することにより、外側チャンバ240に収容された第1の物質を、内側チャンバ230に収容された第2の物質と混合することが容易になる。混合された物質が、送達プランジャ130の軸方向平行移動によって、針アセンブリ300を通って注射されることにより、患者への薬剤送達が行われる。
【0053】
図4A及び図4Bは、図1及び図2に示された実施形態の側面図及び側面断面図を示しており、例えば保管時又は輸送時に利用可能な、初期状態のロックされた構成を示している。トリガ部材120の回転が行われるまで、プランジャ130は混合装置200の内側チャンバ230内で軸方向に平行移動できず、混合プランジャ140は混合装置200の外側チャンバ240内で軸方向に移動できない。これについては後述する。この状態では、剛体の針シールド15がカニューレ311を取り外し可能に覆っている。アクチュエート装置100は、自動混合シリンジ10の製造の為に、あらかじめ混合装置200と一緒に成形されてよく、或いは、アクチュエート装置100及び混合装置200は、接続されるか他の方法で一緒にマウントされる別々の構造体であってよい。後者の実施形態では、混合装置200は、アクチュエート装置100のハウジング110をその上に接続できるマウントを含んでよい。少なくとも1つの実施形態では、そのマウントは、混合装置200の外側バレル220の近位端Pに位置する。上述のように、アクチュエート装置100の混合プランジャ140は、少なくとも一部分が混合装置200の外側チャンバ240内にあって軸方向に平行移動するように構成されている。混合プランジャスリーブ140が軸方向に平行移動すると、近位封止材250が軸方向に平行移動し、これによって、流体が混合装置200の外側チャンバ240から内側チャンバ230に移動する。これについては本明細書で詳述する。スリーブ140は、トリガ部材120の動作によって軸方向に平行移動する。
【0054】
図5A及び図5Bは、図1に示された実施形態の側面図及び側面断面図を示しており、トリガ部材120のロックが解除されてアクチュエート装置100が活性化された後の様子を示している。図示されるように、ユーザがトリガ部材120を時計回り又は反時計回りに回転させることにより、アクチュエート装置100を活性化させることが可能である。活性化されると、混合プランジャ140は、例えばプロング142A、142Bとトリガスロット123A、123Bとの間の係合が解除されることによって、トリガ部材120から外れ、付勢部材150がその初期のエネルギ蓄積状態から伸長することによって、遠位方向に軸方向平行移動する。混合プランジャ140がそのように軸方向に平行移動すると、スリーブ部材141A、141Bは、混合装置100の近位封止材250と接触し、近位封止材250を軸方向に平行移動させる。従って、アクチュエート装置100のプランジャ部材140が遠位方向に動くと、スリーブ部材141A、141Bが係合されているか当接している近位封止材250が動く。外側バレル220と内側バレル210との間の外側チャンバ240内であって、外側チャンバ240内の近位封止材250と遠位封止材260との間に、第1の混合物質が収容されてよい。遠位封止材260は、初期状態では、少なくとも一部分が、外側チャンバ230と内側チャンバ240との間の内側バレル210にある1つ以上のアパーチャ211A、211Bより上方(即ち、近位)の第1の位置にあってよい。混合プランジャ140及び近位封止材250の動きは、外側チャンバ240内の第1の混合物質に伝わり、同様に、遠位封止材260に伝わる。少なくとも1つの実施形態では、スリーブ140、近位封止材250、従って、外側チャンバ240内の第1の混合物質の動きは、近位封止材250の動きによって第1の混合物質内に発生する空気圧又は力によって遠位封止材260に伝わる。従って、混合プランジャ140の軸方向の動きは、遠位封止材260が第2の位置まで軸方向に動くことを間接的に(即ち、直接の接触を必要とせずに)推進する。遠位封止材260が第2の位置まで(即ち、図4Aのハッチング矢印の方向に)動くと、外側チャンバ240に収容されている第1の混合物質は、1つ以上のアパーチャ211A、211Bを通り抜けて内側バレル210の内側チャンバ230に入ることが可能である。
【0055】
実施形態によっては、ベントキャップ270は、基本的には、国際公開WO2013/020170又は国際公開WO2013/020170に記載されているとおりであってよい。ベントキャップ270の他の実施形態が図15A及び図15Bに示されており、ベントキャップ270は、任意選択で、混合装置100の動作中に遠位封止材260の所望の位置決めを容易にする、外側チャンバ240内に配置可能な「内部」ベントキャップ機能を有してよい。この「内部」ベントキャップ機能は、例えば、外側チャンバ240内の第1の物質のほぼ全量が内側チャンバに通り抜けることを可能にする為に、外側チャンバ240内での軸方向平行移動時に遠位封止材260を、1つ以上のアパーチャ211A、211Bに対して正しく位置決めするように構成された、ポスト、プロング、フレックスアームなどのような突起物であってよい。図6Aは、ベント271A、271B、271C、271D及びポスト272A、272B、272C、272Dを有するベントキャップ270の一実施形態を示しており、これらのベント及びポストは外側チャンバ240の内側で内向きに位置することになる。図6Bは、フレックスアーム273A、273B、273Cを有するベントキャップ270の一実施形態を示しており、これらのフレックスアームは外側チャンバ240の内側で内向きに位置することになる。外側チャンバ240と内側チャンバ230との間のアパーチャ211A、211Bは、第1の物質のほぼ全量が近位混合プランジャ封止材250によって外側チャンバ240から押し出されるまで、第1の物質が動くのを可能にする為に開いたままであることが望ましい。これは、近位封止材250自体の圧縮性によって達成可能である。追加又は代替として、外側チャンバ240内の第1の物質のほぼ全量が確実に内側チャンバ230へ通り抜けるように、内部ベントキャップ機能の寸法及び屈曲性は、遠位封止材250とアパーチャ211A、211Bとを位置合わせするように構成されてよい。従って、近位混合プランジャ封止材250が遠位封止材260と接触して、第1の物質のほぼ全量が、近位混合プランジャ封止材250によって外側チャンバ240から押し出されて内側チャンバ230に入るまで、アパーチャ211A、211Bが開いたままであるように遠位封止材260はアパーチャ211A、211Bに対して浮くか自己調節されることが可能にされている。
【0056】
当然のことながら、遠位封止材260とベントキャップ270との間のベントチャンバ280は、混合装置200内のいかなる物質とも接触することがない為、ベントチャンバ280内を無菌に保つことは不要である。ベントチャンバ280は空気が充填されてよく、この空気は、近位封止材250が押下され、遠位封止材260が軸方向に動くと、外側バレル220と内側バレル210との間、並びに、ベントキャップ270のベント271と遠位封止材260との間の環状空間から追い出される。更に、初期状態では遠位封止材260が内側バレル210のアパーチャ211A、211Bを覆っている為、混合装置200の使用中は、外側チャンバ240と内側チャンバ230との間のこの流体経路の無菌が維持される。外側バレル220及び内側バレル210の非無菌部分と接触する可能性があるのは遠位封止材260だけであり、これは、流体は非無菌部分と接触することなく外側チャンバ230から内側チャンバ230に流れ込むことになる為である。
【0057】
又、当然のことながら、自動混合シリンジ10は「閉じたシステム」であり、これは、注射針による以外に流体経路のベントを行うことができないことを意味する。従って、送達プランジャ封止材160は、スリーブ140の遠位方向の動きに対する応答として、内側チャンバ230内を近位方向に軸方向移動することが可能である。これは、近位封止材250に対してスリーブ140が遠位方向に動くことによって、液体が外側チャンバ240から内側チャンバ230に流れ込むこととなり、内側チャンバ230内の圧力及び/又は流体体積が増える為である。剛体の針シールド15が針を覆って閉じたままの状態では、内側チャンバ230内で送達プランジャ封止材160を近位方向に動かす以外に体積拡大の余地はない。これは、混合が完了したこと、並びに注射を開始してよいことをユーザに視覚的且つ触覚的に示すものであり、望ましい応答である。
【0058】
上述のように、初期状態では、混合装置200の近位端、例えば、内側バレル210の近位端に、封止メンブレン290があってよく、これは、組み立てられて物質が充填された後であってアクチュエート装置100に接続される前に、バレル210、220の近位端を覆うためである。封止メンブレン290は、医療機器業界や製薬業界で使用されている様々な無菌ファブリック及び無菌材料のいずれか(例えばタイベック)であってよい。封止メンブレン290は、アクチュエート装置100の動作によって、又は操作中のシリンジユーザによって自動的に、取り外されるか、穴をあけられるか、他の方法でバイパスされてよい。図7に示される一実施形態によれば、スリーブ140は、外側チャンバ240内を軸方向に平行移動して、近位封止材250と接触し、これを移動させる。封止部材290は、図7に示されるように、内側バレル210の近位端を封止し、スリーブ部材141A、141Bの軸方向平行移動によって取り外されるように構成されている。この動作と並行して、前述のように、近位封止材250が混合装置200の外側バレル220の外側チャンバ240内を軸方向に摺動可能に動くことが可能であり、これによって、外側チャンバ240の内容物が、内側バレル210の1つ以上のアパーチャ211A、211Bを介して、内側チャンバ230に送達される。一代替実施形態では、封止メンブレン290は、円盤状であってよく、外側チャンバ240に延びたり、他の方法で一部分が外側チャンバ240内にあったりせずに内側チャンバ230内に位置してよく、混合プランジャ140が接触可能であってよい。この実施形態では、封止メンブレン290は、送達プランジャ130で穴をあけたり送達プランジャ130を突き刺したりすることが可能であり、混合プランジャ140とは接触しない。そのような機能の為に構成された送達プランジャ130が図9Eに示されており、これは、例えば、封止メンブレン290に穴をあけて送達プランジャ封止材160と係合する為の鋭い遠位先端を有する。
【0059】
トリガ部材120と混合プランジャ140との係合を解除する為にトリガ部材120を回転させている間は、トリガ部材120と接続されている送達プランジャ130も回転する。この接続によって、トリガ部材120を回転させたときにそれによって送達プランジャ130が軸回転し、送達プランジャ130がハウジング110からロック解除されたときにトリガ部材120内で送達プランジャ130が軸方向に摺動可能に移動することが可能になる。図8Aに示された、アクチュエート装置100の初期ロック状態においては、ハウジング110の当接部115A、115Bが送達プランジャ130に当接して、送達プランジャ130の軸方向移動を防ぐ。送達プランジャ130は、トリガ部材120を回転させると送達プランジャ130も回転するように、トリガ部材120と結合されている。この結合は、何らかの相補形嵌合部分を含んでよく、これによって、送達プランジャ130がトリガ部材120内を軸方向に摺動可能に動くことが可能になる。図8Bは、トリガ部材120を回転させて(即ち、時計回り又は反時計回りに回転させて)混合プランジャ140を活性化させたときに、この回転によって更に、送達プランジャ130のスロット134A、134Bがそれぞれ、ハウジング110の当接部115A、115Bと位置合わせされ、これによって、送達プランジャ130が軸方向に移動して混合物質を内側チャンバ230から受容者に送達することが可能になることを示している。当然のことながら、当接部115A、115Bが有する長手方向の形状によって、当接部115A、115Bはそれぞれ、送達プランジャ130のスロット134A、134Bに嵌め込まれ、摺動可能に係合することが可能である。
【0060】
一実施形態では、トリガ部材120が回転すると、1つ以上のトリガロック部材が1つ以上の相補形ハウジングロック部材と係合して、トリガ部材120の更なる回転を防ぐ。これは、トリガ部材120と混合プランジャスリーブ140との係合が解除された後のばね150の伸長の結果としてのトリガ部材120の近位方向の動きによって促進されてよい。図8Cに示される一特定実施形態では、ハウジングロック部材は、ロックチャネル116である。適切なことには、1つ以上のトリガロック部材126が、ハウジング110内で1つ以上の相補形ロックチャネル116と係合して、トリガ部材120の更なる回転を防ぐ。ロックチャネル116は、ロック状態では、トリガ部材120の軸回転及び/又はトリガ部材120の軸方向平行移動を防ぐように構成されている。
【0061】
送達プランジャ130は送達プランジャ封止材160にマウントされており、送達プランジャ封止材160は、混合装置200の内側バレル110の内側チャンバ230内で軸方向に摺動可能に可動であり、これによって、内側チャンバ230の混合された内容物が送達される。送達プランジャ130の、送達プランジャ封止材160との結合は、図10A及び図10Bに示されるように、相補形ねじ133及び161のねじ込み係合によって行われてよく、或いは、図9Eに示されるような、別の形式の接触係合によって行われてよい。この段階では、自動混合シリンジ10は、その混合された物質を送達する準備が整っている。剛体の針シールド15が取り外され、引き込み式針310のカニューレ311が受容者に挿入され、送達プランジャ130が押下されて、内側チャンバ230の混合された流体内容物が受容者に送達される。標準的な医療行為、例えば、物質の混合を更に促進する為に自動混合シリンジ10を手動で攪拌すること、及び/又は、残留している空気を注射前に全て除去する為にシリンジに呼び水を差すことが、針挿入及び流体内容物の注射の前に行われてよい。本明細書に記載の、一体化されたプランジャ130を有するアクチュエート装置100は、自動混合シリンジ10のうちのそれ以外の部分とは別個に組み立てられてよい。これが望ましいと考えられるのは、例えば、製薬会社が、シリンジ10への薬剤物質の充填を自社の標準的な充填仕上げラインで実施し、そのような充填済み構成要素を封止して、最終組み立ての為に別の会社に出荷したい場合である。更に、これは、出荷、輸送、又は他の幾つかの理由で望ましい場合がある。更に、複数の構成要素を別々に安全且つ効率的に廃棄する為に、アクチュエート装置100を、自動混合シリンジ10の混合装置200とは別の構成要素として有することが望ましい場合がある(即ち、使用して汚染された部分だけを安全鋭利物容器に廃棄する必要があり、それ以外の構成要素は別個に廃棄してよい)。
【0062】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、アクチュエート装置100は、針引き込み機構を有する自動混合シリンジ10とともに利用される。
【0063】
好ましい一針引き込み機構は、針引き込みを促進する1つ以上の付勢部材を含む針アセンブリ300を含む。図9Aから図9Eに示されるように、後述される一実施形態とは異なり、針アセンブリ300は、送達プランジャ130によってアクチュエート可能な1つ以上の付勢部材340を含み、送達プランジャ封止材160と引き込み式針310は係合しておらず、針アセンブリ300の付勢部材340が解放されると、引き込み式針310の引き込みが引き起こされる。図9A及び図9Bに示された実施形態は、針アセンブリ300において単一の付勢部材340(例えば、単一のばね)を有し、図9Cから図9Eに示された実施形態は、ばね342、344を含む付勢部材340を有する。
【0064】
図9A及び図9Bは、本発明の一実施形態による断面図を示す。針アセンブリ300は、引き込み式針310を含み、引き込み式針310は、オーバーモールド型針(「NOM」)322と、カニューレ311と、任意選択で、引き込み後にカニューレ311をブロックするように適応された針ブロック機構と、を含む。図示された実施形態では、針ブロック機構はクリップ324を含む。クリップ324は、初期状態では、摺動可能又は取り外し可能にNOM322と係合してよく、これは、例えば、クリップアーム324AとNOM係合面322Aとの間の係合において行われてよい。カニューレ301が引き込まれ、NOM322が近位方向に軸方向平行移動すると、クリップアーム324Aは、内向きに(即ち、軸Aに向かって)曲がって、針ブロック構成内のNOM先端322Dと接触することが可能である。そのような針ブロック構成は、引き込み後の遠位方向の軸方向移動を防ぎ、カニューレ311をほぼバレル先端330内且つ/又はシリンジ10のバレル内に保持する。
【0065】
図9Aを参照すると、針アセンブリ300は更に、アクチュエータサブアセンブリによってアクチュエートされてカニューレ311が引き込まれるまで付勢部材340をエネルギ蓄積位置に保持するように配置されたアクチュエート可能なロック構成を含む。図示された実施形態では、バレル先端330は、ばねガイド330Aを含む。付勢部材340をその初期エネルギ蓄積位置に保持する為に、NOM322は、初期状態では、バレル先端330と係合して配置されて、エネルギ蓄積状態の付勢部材340を、NOM322の1つ以上のレッジ322Cと、バレル先端330の係合面330Cとで挟んでよい。アクチュエート可能なロック構成のそのような一実施形態では、バレル先端330のばねガイド330Aは、例えばNOM122のロックプロング322Bを受けるように適応された、1つ以上のロック凹部又はロックレッジ330Bを含んでよい。後で詳述するように、流体経路、即ち、針310からの薬剤送達がほぼ完了したら、アクチュエート可能なロック構成は、ロックプロング322Bを内向きに動かしてバレル先端330のロック凹部330Bから解放するように、アクチュエータサブアセンブリによってアクチュエートされてよく、それによって、付勢部材340のエネルギが放出されて、NOM322のレッジ322Cに力が作用して針310が引き込まれることが可能になる。
【0066】
アクチュエータサブアセンブリ370は、アクチュエート可能なロック構成をアクチュエートして、付勢部材340がエネルギを放出して針310を引き込むことを可能にするように配置される。図示された実施形態では、アクチュエータサブアセンブリ370は、針封止材316、押し棒312、及びアクチュエータ314を含む。実施形態によっては、押し棒312は、針封止材316に対して摺動可能に配置される。少なくとも1つの実施形態では、押し棒312は、少なくとも一部分が針封止材316の近位端内にあって、針封止材316より遠位にあるアクチュエータ314と接触している。そのような構成において押し棒を押下することにより、アクチュエータ314と接触し、アクチュエータ314を押下する(又は遠位方向に軸方向平行移動させる)ことが可能である。例えばユーザの身体に針を挿入する為の、少なくとも一初期構成では、アクチュエータサブアセンブリ310は、針サブアセンブリ320より近位にあってよく、針サブアセンブリ320と接触しているか近接していてよい。
【0067】
少なくとも1つの実施形態では、押し棒312は、近位接触面312A及び1つ以上の力伝達要素312Bを含み、これらの力伝達要素312Bは、針封止材316内の対応する貫通路316Bを通って延びる。組み立て時には、針封止材316を貫通して延びる力伝達要素312Bは、押し棒312が軸方向に動くとアクチュエータ314が軸方向に動くように、アクチュエータ314と係合する。この点において、押し棒312及びアクチュエータ314は、組立工程中に係合及び結合されてよく、或いは、これらの構成要素は、押し棒312がアクチュエータ314と係合してアクチュエータ314を軸方向に動かす前に、押し棒312を多少軸方向に動かすことが可能であるように、そのような組み立てにおいて配置されてよい。なお、針封止材316は更に、カニューレ311の近位端が貫通して延びて薬剤送達用経路を確立する開口316Aを含んでよい。
【0068】
アクチュエータ314は、アクチュエート可能なロック構成と係合してこれをアクチュエートすることにより針引き込み機構311をアクチュエートするように配置された1つ以上のアクチュエート面314Aを含む。動作を容易にする為に、図示された実施形態では、アクチュエート面314Aは傾斜が付いており、NOM322のロックプロング322Bの対応する傾斜が付いた面322Eと係合するように配置される。このように、アクチュエータ314が軸方向に動くと、アクチュエート面314Aがロックプロング322Bの傾斜が付いた面322Eに沿って摺動して、ロックプロング322Bを半径方向内向きに押し、これによってロックプロング322Bがバレル先端330のロック凹部330Bから係合解除される。その結果、付勢部材340は、少なくとも一部のエネルギを放出してカニューレ311を引き込むことが可能になる。
【0069】
言い換えると、動作中、送達プランジャ封止材160(図示せず)は、押し棒312との接触を引き起こされる。その結果、薬剤送達中にプランジャ封止材160が更に押下されると、押し棒312が遠位方向に軸方向平行移動して、少なくとも一部分が針封止材316を貫通するか、或いは更に多くの部分が貫通する。押し棒312がアクチュエータ314と接触していると、押し棒312が軸方向に平行移動することにより、アクチュエータ314も軸方向に平行移動する。アクチュエータ314が軸方向に平行移動すると、NOM122のロックプロング322Bと接触し、ロックプロング322Bが曲がって、ロックプロング322Bが、ばねガイド330Aの対応するロック凹部330Bから係合解除される。
【0070】
ロックプロング322B間のロック構成が、対応するロック凹部330Bから係合解除されると、付勢部材340は、その初期エネルギ蓄積状態からエネルギ低減状態又はエネルギ放出状態へと近位方向に伸長することが可能になる。この、付勢部材340の近位方向の伸長によってNOM322のレッジ322Cが押され、これによって、NOM322及びカニューレ311が近位方向に平行移動して引き込まれた状態になる。上述のように、針101が引き込まれ、NOM322が近位方向に軸方向平行移動すると、クリップアーム324Aは、内向きに(即ち、軸Aに向かって)曲がって、針ブロック構成内のNOM先端322Dと接触することが可能である。そのような針ブロック構成は、引き込み後の遠位方向の軸方向移動を防ぎ、針310をほぼバレル先端330内且つ/又はシリンジのバレル内に保持する。本発明の少なくとも1つの実施形態では、押し棒312及びアクチュエータ314は、一体型又は単一の構成要素である。
【0071】
図9Cから図9Eを参照すると、針アセンブリ300の別の実施形態が示されており、これは、バレル先端330、針サブアセンブリ320、針引き込みサブアセンブリ360、及びアクチュエータサブアセンブリ370を含む。針サブアセンブリ320は、カニューレ311及びオーバーモールド型針(NOM)322を含む。アクチュエータサブアセンブリ370は、針封止材316及び押し棒312を含む。針サブアセンブリ320は、針封止材316と係合されており、カニューレ311の近位端が針封止材316の開口316Aを貫通して延びる。NOM322は、任意の適切な方式で針封止材316と確実に結合されてよい。例えば、図示された実施形態では、NOM322は、複数のフランジを含み、第1のそのようなフランジ322Fが針封止材316の内部フランジ316Cと係合し、第2のそのようなフランジ322Gが針封止材316の下面に沿って配置される。NOMの更なる特徴については、針引き込みサブアセンブリ360とアクチュエータサブアセンブリ370との関係に関して後述する。
【0072】
押し棒312は、近位接触面312Aと、少なくとも1つの従属力伝達要素312Bと、を含む。ここで、一対の力伝達要素312Bが、針封止材316内の貫通路を通って延びる。組み立て時には、近位接触面312Aは、針封止材316の近位側に配置される。しかしながら、図9A及び図9Bの実施形態とは異なり、押し棒312の力伝達要素312Bは、アクチュエート面312Cを含み、これは、ここでは角度が付いた面である。言い換えると、この実施形態は、独立したアクチュエータを含まない。代わりに、押し棒312とアクチュエータは一体型の構成要素である。
【0073】
針引き込みサブアセンブリ360は、少なくとも1つの付勢部材340と、アクチュエート可能なロック構成と、を含む。この実施形態では、付勢部材340は、一対のばね342、344を含む。ばね342、344は平行に配置されていて、これらのばねが同時にエネルギ放出位置に向かって動くように支持構造が与えられているが、代替として、ばね342、344は、これらのばねが順次、エネルギ放出位置に向かって動くように配置及び支持されてよい。配置が直列であっても並列であっても、2つ以上のばねを含むことにより、バレルアダプタ350の全体パッケージサイズを低減することにおいて一定の利点を提供しうる。ただし、当然のことながら、並列のばね342、344を支持することは、これらの利点を更に強化しうる。
【0074】
この実施形態では、バレル先端330は、複数の構成要素を含む。即ち、ばねガイド330Aは、先端部分330Dとは別個に成形され、ばねガイド330Aと先端部分330Dは組み立て時に結合される。付勢部材340、即ち、ばね342、344は、ばねガイド330Aの周辺部で受けてよい。針サブアセンブリ320及びアクチュエータサブアセンブリ310のアセンブリをばねガイド330Aに挿入すると、針サブアセンブリ320とばねガイド330Aは結合されて、付勢部材340を、係合面330Cとレッジ322Cとの間のエネルギ蓄積位置で保持することが可能である。第1の実施形態とは異なり、この実施形態では、ばねガイド330Aは、少なくとも1つのロックプロング330B、ここでは一対のロックプロング330Bを含み、NOM322は、ロックレッジ322Bを含む。従って、当然のことながら、薬剤投与の最終時点で押し棒312にプランジャ封止材160(図示せず)が接触すると、押し棒312のアクチュエート面312Cは、ばねガイド330Aのロックプロング330Bを外向きに押して、それらをNOM322のロックレッジ322Bから係合解除する。その結果、付勢部材340は、図9Eに示されるように、エネルギを放出して針サブアセンブリ320をバレル内に引き込むことが可能になる。そのような実施形態では、トリガ部材120が近位方向に実質的に動かなくても針サブアセンブリ320の引き込みが可能になる。これは、押し棒312が、内側バレル210内への針サブアセンブリの直接の引き込みを活性化する為である。
【0075】
一代替実施形態では、引き込み式針310は、送達プランジャ封止材160との係合によって引き込まれ、それによって、アクチュエート装置100の付勢部材150は、引き込み式針310の引き込みを促進する。図10A及び図10Bに示される特定実施形態では、送達プランジャ130は、シャフト131及び封止係合部材133を含み、封止係合部材133は、この実施形態ではねじ込み凸部であり、これは、送達プランジャ封止材160の相補形ねじ込み凹部161と係合する。この、引き込み式針310が送達プランジャ封止材160との係合によって引き込まれる実施形態では、送達プランジャ封止材160は更に、針係合部又は凹部162を含む。少なくとも1つの実施形態では、針アセンブリ300は引き込み式針310を含み、引き込み式針310は、カニューレ311及び針ボディ394と、アーム391A、391B及びフック端部392A、392Bを有する保持部391と、針封止材393と、イジェクタリング396を有するイジェクタ395と、を含む。図10A及び図10Bに示された針引き込み機構は、本質的には、WO2011/075760に記載のものと同様である。流体内容物の送達中、送達プランジャ130及び結合された送達プランジャ封止材160は、内側チャンバ230内を、図10Aから図10Cのハッチング矢印の方向に軸方向移動する。送達プランジャ封止材160は針封止材314と当接し、針封止材314はイジェクタ395と当接する。これに加えて、イジェクタリング396は、保持部391のアーム391A、391Bのフック端部392A、392Bを、図10Aの塗りつぶし矢印の方向に半径方向外向きに動かし、これによって、針ボディ394が保持部390から係合解除されて引き込み式針310が解放され、その後、引き込まれる。この時点では、送達プランジャ封止材160の針係合部又は凹部162は、引き込み式針ボディ394と係合しており、カニューレ311の流体端部3111を受けている。これにより、引き込み式針310は、送達プランジャ封止材160及び送達プランジャ130と実質的に結合される。
【0076】
図10Bに示されるように、流体内容物の送達終了時に引き込み式針310を引き込む為に、付勢部材150は、その部分的エネルギ蓄積状態又はエネルギ低減状態からエネルギを放出しなければならない。上述のように、付勢部材150は、初期状態では、スリーブ140を押下して(即ち、遠位方向に軸方向平行移動させて)第1の物質と第2の物質の混合を促進することに利用される。本明細書及びWO2011/075760に記載のように引き込み式針310を捕捉するなどして引き込み機構が適切に活性化されたら、付勢部材150は、引き込み式針310を引き込む(近位方向に軸方向平行移動させる)ことに利用されてもよい。初期状態では、図11Cに示されるように、トリガ部材120は、トリガ部材120の対応する保持スロット125A、125Bと係合するハウジングプロング112A、112Bによって解放可能に係合されて保持される。薬剤送達の終了時に、これらの構成要素の係合解除が、プランジャ130及び/又はボタン131の近位端によって促進される。流体を内側チャンバ230から注射する為にプランジャ130及び/又はボタン131がほぼ完全に押下されると(即ち、遠位方向に軸方向平行移動すると)、プランジャ130及び/又はボタン131の一方又は両方がハウジングプロング112A、112Bと接触することが可能である。この接触を通して、ハウジングプロング112A、112Bは、塗りつぶし矢印の方向に半径方向に動かされて、トリガ部材120の対応する保持スロット125A、125Bとの係合から外れる。この係合解除によって、不完全に圧縮されていた付勢部材150が更に減圧されてトリガ部材120を押すことが可能になり、これによって、プランジャ130が押されて引き込まれる。引き込み式針310に結合されている送達プランジャ封止材160は、付勢部材150の減圧によって、近位方向に軸方向平行移動して、図10Bに示されるように、引き込み式針310を引き込む。トリガ部材120は、近位方向に軸方向平行移動して、送達プランジャ130、送達プランジャ封止材160、及びこれに接続されていた引き込み式針310を引き込むことになる。図10Bに示されるように、保持部390、イジェクタ395、及び針封止材393は、内側チャンバ230の遠位端にとどまる。図10Dに示されるように、トリガ部材120、プランジャ130、送達プランジャ封止材160、及び引き込み式針310の引き込みの終了時に、トリガ部材120及び送達プランジャ130(並びにこれに接続されている関連構成要素)は、トリガ部材120の1つ以上のロックレッジ127、及びハウジング110の1つ以上のそれぞれのスナップアーム118によってロックアウトされてよい。針が混合装置のバレル内に引き込まれることに加えて、このロックアウトによって、自動混合シリンジ10の再使用又は不正使用が防がれ、自動混合シリンジ10が安全に廃棄されるようになる。同じく図10Dに示されるように、トリガ部材120の1つ以上のロックレッジ127と、ハウジング110の1つ以上のそれぞれのタブ119との間の相互作用によって、ハウジング110に対して相対的な、トリガ部材の軸方向移動が制限され、これによって、トリガ部材120とハウジング110との意図されない結合解除が防がれる。
【0077】
本発明の自動混合シリンジ10は、任意選択のカバーを有してよく、このカバーは、シリンジの混合段階の動作が正常に行われた場合のみ、自動的に係合解除されて除去される。図11A及び図11Bは、遠位カバー16を有する一実施形態を示す。図11A及び図11Bに示されるように、遠位カバー16は1つ以上のフレキシブルな逆棘アーム161を含み、混合プランジャ140の、塗りつぶし矢印で示された方向の軸方向移動の結果として混合段階が正常に終了した場合のみ、逆棘アーム161がハウジング110から係合解除されてよく、これによって、遠位カバー16の除去が可能になる。そのようなカバーは、混合シリンジの不注意な操作を防ぐ為に、安全キャップ及び/又は剛体の針シールドと一体であるか、これとともに動作してよい。図12A及び図12Bは、混合シリンジの別の実施形態を示しており、これはスタンドアロンのカラー式安全キャップ17を有する。物質の混合中に遠位封止材260が塗りつぶし矢印の方向に変位すると、遠位封止材260は、カラー式安全キャップ17に当接して、これを係合解除することにより、混合終了時の針シールド15の除去が可能になる。本明細書に開示の実施形態では、混合段階が正常に終了した場合に限り、安全キャップ16、17が除去可能であって、それによって、剛体の針シールド15を除去してカニューレ311を注射の為に露出することが可能になるように、安全キャップ16、17を構成することが可能である。
【0078】
図13に示される少なくとも1つの実施形態では、自動混合シリンジ10は、遠位カバー18及び近位カバー19を含んでよい。そのようなカバーは、既知の様々な形状及び構成をとってよく、例えば、円錐形、円筒形、矩形などであってよい。この実施形態は、凍結乾燥させたインシュリン又はグルカゴンのような、血糖を調整する物質を迅速又は緊急に混合して送達する場合に特に有用又は適用可能であろう。この実施形態では、近位カバー18を回すかねじると、トリガ部材120が協調的に回転して、上述の物質の混合を活性化させるように、近位カバー18がトリガ部材120と結合されている。その後、遠位カバー19を取り外すと、少なくとも1つの実施形態では、剛体の針シールド15が「自動的に」外れることが可能であり、それによってカニューレ311が露出して使用可能になるように、遠位カバー19が剛体の針シールド15と結合されている。その後、近位カバー18を取り外して、送達プランジャ130を操作することにより、混合物質を注射によって受容者に送達することを可能にすることができる。この実施形態は、典型的には糖尿病によって発生するような緊急時に使える、非常に迅速で安全で操作が簡単な混合送達システムを提供する。そのような実施形態では、カバー18、19は、自動混合シリンジ10の全体パッケージング及び機能面の両方としての役割を果たす。
【0079】
上述の内容から理解されるように、本明細書に開示のアクチュエート装置、自動混合装置、及び自動混合シリンジは、複数の物質をシリンジによって送達する前に混合する為の、効率的で操作が簡単な自動システムを提供する。既に説明されたもののような多くの先行技術の混合装置と異なり、複数の流体経路を開いたり位置合わせしたりする為に内側バレル及び外側バレルを使用前に回転させたり、別の方法で方向づけたりする必要はない。外側バレルのベント、及び内側バレルのアパーチャに対する遠位封止材の相対的位置決めにより、適切な通気が行われる一方で混合装置の内容物が無菌に保たれ、この点は、既に説明されたような多くの先行技術の混合装置と異なる。
【0080】
アクチュエート装置、自動混合装置、引き込み式シリンジ、又はどの個別構成要素の組み立て及び/又は製造においても、当該技術分野における様々な既知の材料及び方法を利用してよい。例えば、構成要素及び/又は装置の洗浄には、イソプロピルアルコールやヘキサンなど、様々な既知の洗浄液を使用してよい。製造工程では、様々な既知の接着剤又は粘着剤を同様に使用してよい。更に、新規な構成要素及び装置の製造時には、既知のシリコン処理液及び処理工程を用いてよい。内側バレルに1つ以上のアパーチャを追加する際には、機械式穿孔やレーザ穿孔などの既知の穿孔方法や穴あけ方法を用いてよい。更に、最終製品を確実に無菌化する為に、1つ以上の製造段階又は組立段階において、既知の滅菌処理を用いてよい。
【0081】
更に別の態様では、本発明は、自動混合装置を含むシリンジの組立方法を提供し、この方法は、シリンジの混合装置にアクチュエート装置を取り外し可能にマウントするステップを含み、このマウントは、アクチュエート装置のスリーブが混合装置の混合プランジャ封止材を押下するように動作可能であるように行われる。一実施形態では、本方法は、アクチュエート装置のハウジングを混合装置の外側バレルに解放可能に接続又は結合するステップを含む。一実施形態では、本方法は、アクチュエート装置のハウジングを混合装置の外側バレルに解放可能に接続又は結合するステップを含む。一実施形態では、本方法は更に、ステップ(i)の前に、内側バレルの、1つ以上のアパーチャより遠位に位置する部分に、1つ以上のベントを含むベントキャップを取り付けるステップを含む。好ましくは、外側バレルの遠位端は、ベントキャップに接続される。更なる一実施形態では、本方法は更に、混合装置にアクチュエート装置を取り付ける前に、混合装置の内側バレルの近位端に封止メンブレンを取り付けるステップを含む。好ましい一実施形態では、封止メンブレンは、その少なくとも一部分が送達プランジャの動作によって穴をあけられるか貫通されるように取り付けられる。別の実施形態では、封止メンブレンは、アクチュエート装置のスリーブの動作、即ち、スリーブの遠位方向の軸方向平行移動によって自動的に取り外されるように取り付けられる。好ましくは、本方法は更に、1つ以上のアパーチャより遠位に位置する内側チャンバに針アセンブリを挿入するステップを含む。
【0082】
更なる一態様では、本発明は、シリンジの製造方法を提供し、本方法は、シリンジにマウントされた混合装置にアクチュエート装置を取り外し可能にマウントするステップを含む。
【0083】
更なる一態様では、本発明は、自動混合装置を含むシリンジの操作方法を提供し、前記方法は、
(i)複数の物質の混合を促進するように自動混合装置のアクチュエート装置を操作するステップであって、アクチュエート装置の操作によって、混合装置に取り付けられた取り外し可能なメンブレンが取り外される、アクチュエート装置を操作するステップと、
(ii)混合装置の送達プランジャ封止材にアクチュエート装置のプランジャを接続するステップと、
(iii)ステップ(i)で混合された物質を受容者に送達するようにプランジャを操作するステップと、を含む。
【0084】
一実施形態では、本方法は、ステップ(iii)の前にプランジャをロック解除するステップを含む。プランジャのロック解除は、本発明の少なくとも1つの実施形態ではステップ(i)とステップ(ii)の間の行われてよく、本発明の他の実施形態ではステップ(ii)とステップ(iii)の間の行われてよい。
【0085】
一代替実施形態では、自動混合装置を含むシリンジの操作方法は、
(iv)複数の物質の混合を促進するように自動混合装置のアクチュエート装置を操作するステップと、
(v)封止メンブレンに穴をあけて混合装置の送達プランジャ封止材と係合するようにアクチュエート装置のプランジャを操作するステップと、
(vi)ステップ(i)で混合された物質を受容者に送達するようにプランジャを操作するステップと、を含む。
【0086】
本方法は更に、ステップ(iii)の前にプランジャをロック解除するステップを含んでよい。プランジャのロック解除は、本発明の少なくとも1つの実施形態ではステップ(i)とステップ(ii)の間に行われてよく、本発明の他の実施形態ではステップ(ii)とステップ(iii)の間に行われてよい。
【0087】
少なくとも1つの実施形態では、自動混合装置を含むシリンジの操作方法は更に、(iv)針をシリンジ内に引き込む為に針引き込み機構を活性化させるステップを含む。好ましくは、針引き込み機構の活性化は、物質のほぼ全量が受容者に送達された後に行われる。
【0088】
上述のように、本発明の幾つかの態様が、別々の構成要素によって推進されてよい。或いは、本発明の1つ以上の構成要素が、一体型構成要素であってよく、且つ/又は、そのような1つ以上の構成要素の機能が一体型構成要素によって達成されてよい。例えば、トリガ部材、及び幾つかの他の構成要素は、単一の一体型構成要素であってよく、或いは、複数のより小さな副構成要素で構成されてよい(例えば、トリガ部材の内面、具体的にはトリガ部材の内部近位端にある構成要素は、互いにスナップ係合されるか他の方法で1つの構成要素として機能する複数の副構成要素であってよい)。当業者であれば容易に理解されるように、そのような構成要素は、特許請求される本発明の広さ及び範囲を逸脱しない限り、例えば製造しやすさの為に、一体型構成要素であってよく、複数の別々の副構成要素で構成されてもよい。
【0089】
シリンジ製造工程の充填ステップを達成する為に、様々な既知の充填処理及び充填機器が利用されてよい。一実施形態では、第2の流体物質は、液体物質として充填されてよく、特定のバレル伝熱機器を用いて現場で凍結乾燥されてよい。これらの製造工程及び組立工程において記述された針アセンブリ、送達プランジャ、及び他の構成要素は、上述のとおりであってよく、或いは、それらの構成要素と同じ機能性を達成する幾つかの同様の構成要素であってよい。
【0090】
本明細書を通してのねらいは、本発明をいかなる1つの実施形態又は特定の機能集合体にも限定することなく、本発明の好ましい実施形態を記述することであった。記述及び図示された実施形態に対しては、本発明から逸脱しない限り、様々な変更や修正が行われてよい。
【0091】
本明細書において参照されている特許文書、科学文書、コンピュータプログラム、及びアルゴリズムのそれぞれの開示は、参照によってその全内容が組み込まれている。
〔付記1〕
シリンジ(10)用混合装置(200)に取り外し可能にマウント可能なアクチュエート装置(100)であって、前記混合装置は1つ又は複数の封止材(250、260)を備え、前記アクチュエート装置は、前記混合装置(200)に解放可能に接続可能なハウジング(110)と、回転可能なトリガ部材(120)と、付勢部材(150)と、送達プランジャ(130)と、初期ロック状態では前記トリガ部材(120)と解放可能に係合されていて、前記混合装置(200)の前記1つ又は複数の封止材(250、260)のうちの少なくとも1つと係合可能である混合プランジャ(140)と、を備え、前記回転可能なトリガ部材(120)は、前記1つ又は複数の封止材(250、260)と係合された場合に、前記付勢部材(150)が前記混合プランジャ(140)の押下を促進することを開始するように動作可能である、アクチュエート装置。
〔付記2〕
前記トリガ部材(120)を回転させると、前記混合プランジャ(140)が前記トリガ部材(120)から係合解除されて、前記付勢部材(150)が、前記1つ又は複数の封止材(250、260)のうちの前記少なくとも1つと係合された場合に、前記混合プランジャ(140)の押下を促進することが開始され、これによって、前記混合装置(200)内の前記複数の物質が混合される、付記1に記載のアクチュエート装置。
〔付記3〕
前記混合プランジャ(140)は1つ又は複数のプロング(142A、142B)を備える、付記1又は2に記載のアクチュエート装置。
〔付記4〕
前記トリガ部材(120)は、1つ又は複数のスロット部材(123A、123B)を備える、付記1から3のいずれか一項に記載のアクチュエート装置。
〔付記5〕
前記初期ロック状態では、前記1つ又は複数のプロング(142A、142B)は、初期状態では前記スロット部材(123A、123B)と係合していて、前記スロット部材(123A、123B)との係合から外れて回転することが可能であり、これによって、前記付勢部材(150)が、前記1つ又は複数の封止材(250、260)のうちの前記少なくとも1つと係合された場合に、前記混合プランジャ(140)の押下を促進することが開始され、これによって、前記混合装置(200)内の前記複数の物質が混合される、付記3又は4に記載のアクチュエート装置。
〔付記6〕
前記ハウジング(110)は、1つ又は複数の当接部(115A、115B)を備える、付記1から5のいずれか一項に記載のアクチュエート装置。
〔付記7〕
前記送達プランジャ(130)は、1つ又は複数のチャネル(134A、134B)を備える、付記1から6のいずれか一項に記載のアクチュエート装置。
〔付記8〕
前記初期ロック状態では、前記1つ又は複数の当接部(115A、115B)は、前記チャネル(134A、134B)と位置合わせされておらず、これによって、前記送達プランジャ(130)の軸方向移動が防がれている、付記6又は7に記載のアクチュエート装置。
〔付記9〕
前記トリガ部材を回転させることにより、前記送達プランジャを回転させて、前記ハウジングの前記1つ又は複数の当接部を前記送達プランジャの前記チャネルと位置合わせすることが可能であり、これによって、前記送達プランジャの軸方向移動が可能になる、付記8に記載のアクチュエート装置。
〔付記10〕
前記トリガ部材(120)は、1つ又は複数のトリガロック部材(126)を備える、付記1から9のいずれか一項に記載のアクチュエート装置。
〔付記11〕
前記ハウジング(120)は、1つ又は複数のハウジングロック部材(116)を備える、付記1から10のいずれか一項に記載のアクチュエート装置。
〔付記12〕
前記トリガ部材(120)の回転後、前記1つ又は複数のトリガロック部材(126)は、前記1つ又は複数のハウジングロック部材(116)と、それぞれ係合することにより、前記トリガ部材(120)の更なる回転を防ぐことが可能である、付記10又は11に記載のアクチュエート装置。
〔付記13〕
前記付勢部材(150)は、初期状態では、前記トリガ部材(120)と前記混合プランジャ(140)との間で、エネルギ蓄積状態で保持されている、付記1から12のいずれか一項に記載のアクチュエート装置。
〔付記14〕
前記付勢部材(150)は、初期状態では、前記トリガ部材(120)の内部チャンバ(122)内で保持されている、付記13に記載のアクチュエート装置。
〔付記15〕
前記混合プランジャ(150)が前記トリガ部材(120)から係合解除されると、前記混合プランジャ(150)は、前記付勢部材(150)の、そのエネルギ蓄積状態からの伸長によって軸方向に平行移動する、付記1から15のいずれか一項に記載のアクチュエート装置。
〔付記16〕
前記混合プランジャ(140)は、軸方向に平行移動すると、前記混合装置(200)の前記1つ又は複数の封止材(250、260)のうちの少なくとも1つにのしかかり、これを軸方向に平行移動させる、付記15に記載のアクチュエート装置。
〔付記17〕
前記混合プランジャ(140)が遠位方向に軸方向平行移動すると、前記混合プランジャ(140)は、前記混合装置(200)の前記少なくとも1つの封止材(250、260)にのしかかり、これを軸方向に平行移動させることが可能になる、付記16に記載のアクチュエート装置。
〔付記18〕
シリンジ(10)用自動混合装置(200)であって、1つ以上の混合プランジャ封止材(250、260)と、前記自動混合装置(200)にマウントされた、付記1から17のいずれか一項に記載のアクチュエート装置(100)と、を備える前記自動混合装置(200)。
〔付記19〕
略同軸又は略同心の関係にある外側バレル(220)及び内側バレル(210)を更に備える、付記18に記載の自動混合装置(200)。
〔付記20〕
前記内側バレル(210)と前記外側バレル(220)との間に位置する外側チャンバ(240)を備える、付記18又は19に記載の自動混合装置(200)。
〔付記21〕
前記1つ又は複数の封止材(250、260)は、前記外側チャンバ(240)内で軸方向に可動である、付記20に記載の自動混合装置(200)。
〔付記22〕
前記外側チャンバ(240)内で可動である近位封止材(250)及び遠位封止材(260)を備える、付記21に記載の自動混合装置(200)。
〔付記23〕
前記内側バレル(210)は1つ以上の流体経路(211A、211B)を備え、前記流体経路(211A、211B)を通って、前記外側チャンバ内の第1の混合物質が前記内側バレル(210)内の内側チャンバ(230)に入って、第2の混合物質との混合物を形成することが可能である、付記22に記載の自動混合装置(200)。
〔付記24〕
動作前の前記自動混合装置(200)の無菌を維持する、取り外し可能な封止メンブレン(290)を備える、付記18から23のいずれか一項に記載の自動混合装置(200)。
〔付記25〕
前記取り外し可能な封止メンブレン(290)は、手動で取り外し可能であるか、前記混合プランジャ(140)の軸方向平行移動によって自動的に取り外し可能であるか、且つ/又は、前記送達プランジャ(130)の軸方向平行移動によって自動的に取り外し可能である、付記24に記載の自動混合装置。
〔付記26〕
前記プランジャ(130)にマウントされているかマウント可能である送達プランジャ封止材(160)を備える、付記18から25のいずれか一項に記載の自動混合装置(200)。
〔付記27〕
前記送達プランジャ封止材(160)は、引き込み式針(310)と係合することが可能である、付記26に記載の自動混合装置(200)。
〔付記28〕
付記20から27のいずれか一項に記載の混合装置(200)と、針アセンブリ(300)と、を備える自動混合シリンジ(10)。
〔付記29〕
前記針アセンブリ(300)は引き込み式針(310)を備える、付記28に記載の自動混合シリンジ(10)。
〔付記30〕
前記針アセンブリ(300)は、前記針を引き込むように動作可能な1つ又は複数の付勢部材(342、344)を備える、付記29に記載の自動混合シリンジ(10)。
〔付記31〕
前記針アセンブリ(300)は、前記1つ又は複数の付勢部材(342、344)による前記引き込み式針(310)の引き込みを活性化する為に前記送達プランジャ(130)又は前記送達プランジャ封止材(16)によって係合可能な押し棒(312)を備える、付記30に記載の自動混合シリンジ(10)。
〔付記32〕
前記引き込み式針(310)は、前記送達プランジャ(130)にマウントされた送達プランジャ封止材(160)によって係合可能である、付記28又は29に記載の自動混合シリンジ(10)。
〔付記33〕
前記アクチュエート装置(100)の前記付勢部材(150)は、前記送達プランジャ封止材(160)と係合された場合に、前記引き込み式針(310)の引き込みを活性化させるように動作可能である、付記32に記載の自動混合シリンジ(10)。
〔付記34〕
自動混合装置(200)を備えるシリンジ(10)の組立方法であって、付記1から17のいずれか一項に記載のアクチュエート装置(100)を前記シリンジ(10)の前記自動混合装置(200)に取り外し可能にマウントすることによって、前記アクチュエート装置(100)の前記混合プランジャ(140)が前記混合装置(200)の少なくとも1つの封止材(250、260)を押下することによって前記混合装置(200)内の複数の物質を混合するように動作可能であるようにするステップを含む方法。
〔付記35〕
前記アクチュエート装置(100)のハウジング(110)を前記混合装置(200)の外側バレル(220)に解放可能に接続又は結合するステップを含む、付記34に記載の方法。
〔付記36〕
ステップ(i)の前に、前記1つ以上のベント(271A、271B、271C、271D)を備えるベントキャップ(270)を、前記混合装置(200)の内側バレル(210)の、前記内側バレル(210)内の1つ以上の流体経路(211A、211B)より遠位に位置する部分に取り付けるステップを更に含む、付記34又は35に記載の方法。
〔付記37〕
前記アクチュエート装置(100)を前記混合装置(200)に取り付ける前に、取り外し可能な封止メンブレン(290)を前記混合装置(200)に取り付けるステップを更に含む、付記34から36のいずれか一項に記載の方法。
〔付記38〕
前記取り外し可能な封止メンブレン(290)は、手動で取り外し可能であるか、前記混合プランジャ(140)の軸方向平行移動によって自動的に取り外し可能であるか、又は、前記送達プランジャ(130)の軸方向平行移動によって自動的に取り外し可能であるように取り付けられる、付記37に記載の方法。
〔付記39〕
前記1つ以上の流体経路(211A、211B)より遠位に位置する前記内側チャンバ(230)に針アセンブリ(300)を挿入するステップを更に含む、付記34から38のいずれか一項に記載の方法。
〔付記40〕
自動混合装置(200)を備えるシリンジ(10)の操作方法であって、
a)複数の物質の混合を促進するように前記自動混合装置(200)のアクチュエート装置(100)を操作するステップであって、前記混合装置(200)に取り付けられた取り外し可能な封止メンブレン(290)を取り外すように前記アクチュエート装置(100)を操作する前記ステップと、
b)前記アクチュエート装置(100)の送達プランジャ(130)を前記混合装置(200)の送達プランジャ封止材(160)に接続するステップと、
c)ステップ(a)で混合された前記物質を受容者に送達するように前記送達プランジャ(130)を操作するステップと、
を含む方法。
〔付記41〕
(d)引き込み式針(310)を前記シリンジ(10)内に引き込むように針引き込み機構を活性化させるステップを更に含む、付記40に記載の方法。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図12A-12B】
図13