(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の自動開閉装置では、窓に固定されるラックと、モータの出力軸に固定されるピニオンとが常時噛み合っている。そのため、ラックが固定された窓を手動で開閉する際に、窓枠に対して窓をスライドさせるための力に加えて、電流が供給されていない状態のモータを回転させるための力を窓に加えないと、窓を開閉することができない。すなわち、特許文献1に記載の自動開閉装置では、モータの影響によって、ラックが固定された窓を手動で開閉する際の負荷が大きくなり、窓を開閉しにくくなる。
【0005】
そこで、本発明の課題は、建具を自動で開閉するための建具の自動開閉装置が設けられていても、建具を手動で容易に開閉することが可能となる建具の自動開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の建具の自動開閉装置は、開閉可能な
第1建具に固定される
第1ラックと、
第1建具と引き違いになるように配置されるとともに開閉可能な第2建具に固定される第2ラックと、第1ラックと噛み合う第1ピニオンと、第2ラックと噛み合う第2ピニオンと、第1ピニオン
および第2ピニオンを回転駆動する回転駆動機構と、
第1ピニオンを回転可能に保持する第1保持部材と、第2ピニオンを回転可能に保持する第2保持部材と、第1保持部材および第2保持部材を回動させる移動機構とを備え、
第1ラックおよび第2ラックは、第1建具および第2建具の開閉方向とその長手方向とが一致するように配置され、第1保持部材は、
第1ラックと
第1ピニオンとが噛み合う
第1噛合い位置と
第1ラックと
第1ピニオンとの噛合いが解除される
第1解除位置との間で
回動可能となっており、
第2保持部材は、第2ラックと第2ピニオンとが噛み合う第2噛合い位置と第2ラックと第2ピニオンとの噛合いが解除される第2解除位置との間で回動可能となっており、移動機構は、第1噛合い位置と第1解除位置との間で第1保持部材を回動させ、かつ、第2噛合い位置と第2解除位置との間で第2保持部材を回動させるとともに、第1保持部材および第2保持部材を回動させて、第1噛合い位置に第1保持部材がありかつ第2解除位置に第2保持部材がある第1噛合い状態と、第1解除位置に第1保持部材がありかつ第2噛合い位置に第2保持部材がある第2噛合い状態と、第1解除位置に第1保持部材がありかつ第2解除位置に第2保持部材がある解除状態との切替を行い、第1噛合い位置に
第1保持部材があるときに回転駆動機構の動力で
第1ピニオンが回転すると、
第1建具が自動で開閉
し、第2噛合い位置に第2保持部材があるときに回転駆動機構の動力で第2ピニオンが回転すると、第2建具が自動で開閉することを特徴とする。
【0007】
本発明の建具の自動開閉装置では、
第1ピニオンを回転可能に保持する
第1保持部材が、
第1ラックと
第1ピニオンとが噛み合う
第1噛合い位置と
第1ラックと
第1ピニオンとの噛合いが解除される
第1解除位置との間で
回動可能となって
おり、第2ピニオンを回転可能に保持する第2保持部材が、第2ラックと第2ピニオンとが噛み合う第2噛合い位置と第2ラックと第2ピニオンとの噛合いが解除される第2解除位置との間で回動可能となっている。そのため、本発明では、
第1保持部材が
第1解除位置にあれば、
第1建具を手動で開閉する際に、回転駆動機構に起因する負荷が
第1建具に作用しない。
また、第2保持部材が第2解除位置にあれば、第2建具を手動で開閉する際に、回転駆動機構に起因する負荷が第2建具に作用しない。したがって、本発明では、
第1保持部材を
第1解除位置へ移動させておくことで、
第1建具を手動で開閉する際の負荷を低減することが可能にな
り、第2保持部材を第2解除位置へ移動させておくことで、第2建具を手動で開閉する際の負荷を低減することが可能になる。その結果、本発明では、
引き違いになるように配置される第1建具および第2建具を自動で開閉するための建具の自動開閉装置が設けられていても、
第1建具および第2建具を手動で容易に開閉することが可能になる。
【0009】
また、本発明
では、建具の自動開閉装置は、
第1噛合い位置と第1解除位置との間で第1保持部材を回動させ、かつ、第2噛合い位置と第2解除位置との間で第2保持部材を回動させる移動機構を備え
ているため、第1噛合い位置と
第1解除位置との間で
第1保持部材を自動で
回動させ
、第2噛合い位置と第2解除位置との間で第2保持部材を自動で回動させることが可能になる。
【0010】
また、本発明
の建具の自動開閉装置は
、第1ピニオンを回転可能に保持するとともに
第1噛合い位置と
第1解除位置との間で回動可能な第1保持部材と、第2ピニオンを回転可能に保持するとともに
第2噛合い位置と
第2解除位置との間で回動可能な第2保持部材とを備え
ており、移動機構は、第1保持部材および第2保持部材を回動させて、噛合い位置に第1保持部材がありかつ解除位置に第2保持部材がある第1噛合い状態と、解除位置に第1保持部材がありかつ噛合い位置に第2保持部材がある第2噛合い状態と、解除位置に第1保持部材がありかつ解除位置に第2保持部材がある解除状態との切替を行う
ため、第1ピニオンを保持する第1保持部材と第2ピニオンを保持する第2保持部材とを個別に回動させることが可能になる
。したがって、1つの保持部材に第1ピニオンおよび第2ピニオンが保持されている場合と比較して、解除状態を作り出しやすくなる。
【0011】
本発明において、移動機構は、
第1噛合い位置と
第1解除位置との間で第1保持部材を回動させるための第1カム溝が形成される第1カム部材と、
第2噛合い位置と
第2解除位置との間で第2保持部材を回動させるための第2カム溝が形成される第2カム部材と、第1カム部材および第2カム部材を直線状にスライドさせる駆動源とを備え、第1保持部材は、第1カム溝に係合する第1カムフォロアを備え、第2保持部材は、第2カム溝に係合する第2カムフォロアを備え、駆動源は、第1カム部材に連結され、第1カム部材には、第1噛合い状態において第1保持部材が
第1解除位置に向かって回動する方向へ第1カム部材がスライドするときに、第1カム部材が所定量スライドした後に第2カム部材に接触して、
第2解除位置にある第2保持部材が
第2噛合い位置に向かって回動するように第2カム部材を押す第1接触部と、第2噛合い状態において第1保持部材が
第1噛合い位置に向かって回動する方向へ第1カム部材がスライドするときに、第1カム部材が所定量スライドした後に第2カム部材に接触して、
第2噛合い位置にある第2保持部材が
第2解除位置に向かって回動するように第2カム部材を押す第2接触部とが形成されていることが好ましい。このように構成すると、第1カム部材と第2カム部材とが一体化されている場合と比較して、第1カム部材および第2カム部材のスライド方向において第2カム部材を小型化しつつ、
第1解除位置に第1保持部材がありかつ
第2解除位置に第2保持部材がある解除状態を作り出すことが可能になる。
【0012】
本発明において
、第1建具は、室外側に配置され、第2建具は、室内側に配置され、第1ピニオンは、室内側から第1ラックと噛み合うように配置され、第2ピニオンは、室内側から第2ラックと噛み合うように配置され、移動機構は、
第1噛合い位置と
第1解除位置との間で第1保持部材を回動させるための第1カム溝が形成されるとともに直線状にスライド可能な第1カム部材と、第1カム部材に接触して、
第1噛合い位置にある第1保持部材が
第1解除位置に向かって回動する方向へ第1カム部材をスライドさせる回動可能なレバー部材を備え、レバー部材は、第1噛合い状態において、閉じている第2建具が開く方向へ移動すると、第2建具が接触する位置に配置され、第1カム部材のスライド方向は、第1建具および第2建具の開閉方向と一致しており、第1噛合い状態において、閉じている第2建具が開く方向へ移動してレバー部材に接触すると、レバー部材が回動して、
第1噛合い位置にある第1保持部材が
第1解除位置まで回動するように第1カム部材をスライドさせることが好ましい。このように構成すると、第1ラックと第1ピニオンとが噛み合っている第1噛合い状態において、閉じている第2建具が手動で開かれても、第1ラックと第1ピニオンとの噛合いを解除することができる。したがって、第1噛合い状態において、閉じている第2建具が手動で開かれても、第1ピニオンと第2建具との接触を防止して、第1ピニオンや第2建具等の損傷を防止することが可能になる。
【0013】
本発明において、回転駆動機構は、1個のモータと、1個のモータの動力を第1ピニオンおよび第2ピニオンに伝達する動力伝達機構とを備えることが好ましい。このように構成すると、第1ピニオンと第2ピニオンとを共通のモータによって回転させることができるため、回転駆動機構の構成を簡素化することが可能になる。
【0014】
本発明において、建具の自動開閉装置は
、第1保持部材および第2保持部材を回動可能に支持する回動中心軸を備え、動力伝達機構は、回動中心軸に回転可能に保持されるギヤを備えることが好ましい。このように構成すると、第1保持部材と第2保持部材とを共通の回動中心軸によって支持することができるため、建具の自動開閉装置の構成を簡素化することが可能になる。また、このように構成すると、回動中心軸に保持される共通のギヤを使用してモータの動力を第1ピニオンおよび第2ピニオンへ伝達することが可能になるため、回転駆動機構の構成を簡素化することが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明では、建具を自動で開閉するための建具の自動開閉装置が設けられていても、建具を手動で容易に開閉することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(建具の自動開閉装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる建具の自動開閉装置1が引き違い窓2に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【0019】
本形態の建具の自動開閉装置1(以下、「自動開閉装置1」とする)は、開閉可能な建具である窓を自動で開閉するための装置である。自動開閉装置1は、
図1に示すように、水平方向に開閉する引き違い窓2に取り付けられている。引き違い窓2は、室外側に配置される建具としての外窓3と、室内側に配置される建具としての内窓4と、開閉可能な外窓3および内窓4が内側に配置される窓枠5とを備えている。外窓3および内窓4は、長方形状の窓ガラスと、この窓ガラスの周囲を囲む框とから構成されている。窓枠5は、外窓3および内窓4をその開閉方向へ案内するガイドを備えている。自動開閉装置1は、外窓3および内窓4を自動で開閉する。本形態の外窓3は、第1建具であり、内窓4は、第2建具である。
【0020】
以下の説明では、外窓3および内窓4の開閉方向(
図1等のX方向)を左右方向とし、外窓3および内窓4の厚さ方向(
図1等のY方向)を前後方向とする。また、X1方向側を「右」側、X2方向側を「左」側、Y1方向側を「手前(前)」側、Y2方向側を「奥(後ろ)」側とする。本形態では、引き違い窓2が閉まっているときに、外窓3は左側に配置され、内窓4は右側に配置されている。すなわち、本形態では、左方向は、外窓3が閉じる方向(外窓3の閉方向)であるとともに内窓4が開く方向(内窓4の開方向)である。また、右方向は、外窓3が開く方向(外窓3の開方向)であるとともに内窓4が閉じる方向(内窓4の閉方向)である。また、本形態では、手前側は室内側であり、奥側は室外側である。また、以下の説明では、上側から見たときの時計回りの方向を「時計方向」とし、上側から見たときの反時計回りの方向を「反時計方向」とする。
【0021】
自動開閉装置1は、外窓3に固定される第1ラックとしてのラック10と、内窓4に固定される第2ラックとしてのラック11と、ラック10と噛み合う後述のピニオン16(
図2参照)およびラック11と噛み合う後述のピニオン17(
図2参照)を有する開閉駆動部12とを備えている。ラック10は、外窓3の框の上端部分に固定され、ラック11は、内窓4の框の上端部分に固定されている。また、ラック10は、外窓3の框の手前側の面に固定され、ラック11は、内窓4の框の手前側の面に固定されている。さらに、ラック10は、ラック10の長手方向と左右方向とが一致するように外窓3に固定され、ラック11は、ラック11の長手方向と左右方向とが一致するように内窓4に固定されている。すなわち、ラック10、11は、外窓3および内窓4の開閉方向とその長手方向とが一致するように配置されている。
【0022】
開閉駆動部12のケース体13は、窓枠5の上端部分を構成する上端部5aに取り付けられている。また、ケース体13は、左右方向における上端部5aの中心位置に固定されている。すなわち、開閉駆動部12は、左右方向において、閉じている状態の外窓3の右端側部分および閉じている状態の内窓4の左端側部分と一致するように配置されている。また、ケース体13は、ラック10、11よりも手前側に配置されており、外窓3および内窓4よりも手前側に配置されている。
【0023】
(開閉駆動部の構成)
図2は、
図1に示す開閉駆動部12の、ケース体13等を取り外した状態の斜視図である。
図3は、
図2に示す回転駆動機構20の構成を説明するための斜視図である。
図4〜
図8は、
図2に示す開閉駆動部12の構成および動作を説明するための平面図である。
【0024】
開閉駆動部12は、ラック10と噛み合う第1ピニオンとしてのピニオン16と、ラック11と噛み合う第2ピニオンとしてのピニオン17と、ピニオン16を回転可能に保持する第1保持部材としての保持部材18と、ピニオン17を回転可能に保持する第2保持部材としての保持部材19と、ピニオン16、17を回転駆動する回転駆動機構20とを備えている。開閉駆動部12の本体フレーム(図示省略)には、保持部材18、19を回動可能に支持する回動中心軸としての固定軸21が固定されている。固定軸21は、その軸方向と上下方向とが一致するように本体フレームに固定されている。
【0025】
保持部材18は、固定軸21を中心にして、ラック10とピニオン16とが噛み合う噛合い位置18A(
図6参照)と、ラック10とピニオン16との噛合いが解除される解除位置18Bとの間で回動可能となっている。保持部材19は、固定軸21を中心にして、ラック11とピニオン17とが噛み合う噛合い位置19A(
図7参照)と、ラック11とピニオン17との噛合いが解除される解除位置19Bとの間で回動可能となっている。すなわち、保持部材18は、噛合い位置18Aと解除位置18Bとの間で移動可能となっており、保持部材19は、噛合い位置19Aと解除位置19Bとの間で移動可能となっている。開閉駆動部12は、噛合い位置18Aと解除位置18Bとの間で保持部材18を回動させるとともに、噛合い位置19Aと解除位置19Bとの間で保持部材19を回動させる移動機構22を備えている。
【0026】
保持部材18は、金属板を所定形状に折り曲げることで形成された保持板23を備えている。保持板23は、上下方向から見たときの形状が略L形状となるように形成されている。保持板23の一端側は、固定軸21に回動可能に支持されている。保持板23の他端側は、保持板23の一端側よりも左側に配置されている。また、保持板23は、上下方向で所定の間隔をあけた状態で配置される平板状の2枚の保持部23aを備えている。
【0027】
上下方向から見たときの形状が略L形状となる保持板23の折り曲げ部には、軸24が取り付けられている。軸24は、その軸方向と上下方向とが一致するように保持板23に取り付けられており、軸24の上端側は、一方の保持部23aに保持され、軸24の下端側は、他方の保持部23aに保持されている。ピニオン16は、軸24に回転可能に支持されている。また、ピニオン16は、2枚の保持部23aの間に配置されている。
【0028】
保持板23の他端側には、軸25が取り付けられている。軸25は、その軸方向と上下方向とが一致するように、保持板23の他端側に取り付けられている。軸25の両端側は、2枚の保持部23aよりも上下方向の外側へ突出している。2枚の保持部23aよりも上下方向の外側へ突出する軸25の両端側部分は、移動機構22を構成する後述のカム部材41に形成されるカム溝45bに係合しており、カム溝45bに沿って移動するカムフォロアとして機能している。本形態の軸25は、第1カムフォロアである。
【0029】
保持部材19は、金属板を所定形状に折り曲げることで形成された保持板28を備えている。保持板28は、上下方向から見たときの形状が略直線状となるように形成されている。保持板28の一端側は、固定軸21に回動可能に支持されている。保持板28の他端側は、保持板28の一端側よりも右側に配置されている。また、保持板28は、上下方向で所定の間隔をあけた状態で配置される平板状の2枚の保持部28aを備えている。なお、上下方向において、2枚の保持部28aの間隔は、2枚の保持部23aの間隔よりも広くなっており、固定軸21に支持される保持板23の一端側と保持板28の一端側とは上下方向で重なっている。また、保持板28の一端側は、保持板23の一端側よりも上下方向の外側に配置されている。
【0030】
上下方向から見たときの形状が略直線状となる保持板28の中間部分には、軸29が取り付けられている。軸29は、その軸方向と上下方向とが一致するように保持板28に取り付けられており、軸29の上端側は、一方の保持部28aに保持され、軸29の下端側は、他方の保持部28aに保持されている。ピニオン17は、軸29に回転可能に支持されている。また、ピニオン17は、2枚の保持部28aの間に配置されている。
【0031】
軸29の両端側は、2枚の保持部28aよりも上下方向の外側へ突出している。2枚の保持部28aよりも上下方向の外側へ突出する軸29の両端側部分は、移動機構22を構成する後述のカム部材42に形成されるカム溝52cに係合しており、カム溝52cに沿って移動するカムフォロアとして機能している。本形態の軸29は、第2カムフォロアである。
【0032】
回転駆動機構20は、駆動源となる1個のモータ32と、モータ32の動力をピニオン16、17に伝達する動力伝達機構33とを備えている。モータ32は、開閉駆動部12の本体フレームに固定されている。モータ32の出力軸には、ウォーム32aが形成されている。動力伝達機構33は、固定軸21に回転可能に保持されるギヤ34と、モータ32の動力をギヤ34に伝達するギヤ列35とを備えている。ギヤ列35は、複数のギヤによって構成されている。ギヤ列35の入力側端のギヤは、ウォーム32aと噛み合うウォームホイール36である。
【0033】
ギヤ34は、2枚の保持部23aの間に配置されている。このギヤ34は、ピニオン17と噛み合っている。また、ギヤ34は、ギヤ37を介してピニオン16と噛み合っている。そのため、モータ32が回転すると、ピニオン16、17は同方向へ回転する。ギヤ37は、保持板23に取り付けられる軸38に回転可能に支持されている。軸38は、その軸方向と上下方向とが一致するように保持板23に取り付けられており、軸38の上端側は、一方の保持部23aに保持され、軸38の下端側は、他方の保持部23aに保持されている。
【0034】
移動機構22は、第1カム部材としてのカム部材41と、第2カム部材としてのカム部材42と、カム部材41、42をスライドさせる駆動源としてのモータ43と、モータ43の動力をカム部材41に伝達する動力伝達機構44とを備えている。カム部材41、42は、左右方向へ直線状にスライド可能となっている。すなわち、カム部材41、42のスライド方向は、外窓3および内窓4の開閉方向と一致している。
【0035】
カム部材41は、上下方向に所定の間隔をあけた状態で配置される2枚のカム板45と、2枚のカム板45を繋ぐ連結部材46とを備えている。カム板45は、平板状に形成されており、その厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。また、カム板45は、左右方向に長い略五角形状に形成されている。カム板45の右端面45aは、前後方向と上下方向とから構成される平面と平行になっている。連結部材46は、2枚のカム板45の前端側部分を繋いでいる。なお、
図2では、連結部材46の図示を省略している。
【0036】
カム板45には、噛合い位置18Aと解除位置18Bとの間で保持部材18を回動させるための第1カム溝としてのカム溝45bと、カム部材41を左右方向へ案内するためのガイド溝45cと、カム部材42を構成する後述の軸53が係合する係合溝45dと、固定軸21との干渉を防止するための切欠き溝45eと、ギヤ列35を構成するギヤの支持軸との干渉を防止するための切欠き溝45fとが形成されている。
【0037】
カム溝45bは、カム板45の左端側に形成されている。このカム溝45bは、右側に向かうにしたがって奥側へ向かうように傾斜する円弧状の円弧部と、この円弧部の両端から左右方向の外側へ直線状に伸びる2個の直線部とから構成されている。カム溝45bには、軸25の両端側部分が係合している。本形態では、カム部材41が左方向へスライドすると、
図6に示すように、ラック10とピニオン16とが噛み合う噛合い位置18Aへ固定軸21を中心に保持部材18が回動し(すなわち、保持部材18が時計方向へ回動し)、その後、噛合い位置18Aに保持部材18が留まるように、かつ、カム部材41が右方向へスライドすると、
図4、
図7に示すように、ラック10とピニオン16との噛合いが解除される解除位置18Bへ固定軸21を中心に保持部材18が回動し(すなわち、保持部材18が反時計方向へ回動し)、その後、解除位置18Bに保持部材18が留まるように、カム溝45bが形成されている。また、本形態では、ピニオン16は、手前側から(すなわち、室内側から)ラック10と噛み合う。
【0038】
ガイド溝45cは、ガイド板45の前端側に形成されている。このガイド溝45cは、左右方向へ伸びる直線状に形成されている。ガイド溝45cには、ガイド軸47(
図2参照)が挿通されている。ガイド軸47は、その軸方向と上下方向とが一致するように、開閉駆動部12の本体フレームに固定されている。係合溝45dは、カム板45の右端側に形成されている。この係合溝45dは、左右方向へ伸びる直線状に形成されている。切欠き溝45eは、カム板45の奥端側に形成されている。この切欠き溝45eは、左右方向へ伸びる直線状に形成されている。切欠き溝45fは、前後方向において、ガイド溝45cと係合溝45dとの間に形成されている。この切欠き溝45fは、左右方向へ伸びる直線状に形成されている。なお、切欠き溝45e、45fは、カム部材41を左右方向へ案内するためのガイド溝としての機能も果たしている。
【0039】
連結部材46には、連結部材46の下端から下側へわずかに突出する突出部と、この突出部の下端から奥側に伸びる当接部46aとが形成されている。当接部46aは、左右方向における連結部材46の中心から右側へわずかにずれた位置に形成されている。また、当接部46aは、平板状に形成され、その厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。この当接部46aは、下側に配置されるカム板45よりも下側に配置されている。また、当接部46aには、後述のレバー部材57が当接する。
【0040】
モータ43は、開閉駆動部12の本体フレームに固定されている。動力伝達機構44は、
図2に示すように、カム部材41の前端側かつ上端側に固定されるラック50と、モータ43の動力をラック50に伝達するギヤ列51とを備えている。すなわち、モータ43は、ラック50およびギヤ列51を介してカム部材41に連結されている。ラック50は、ラック50の長手方向と左右方向とが一致するようにカム部材41に固定されている。ギヤ列51は、複数のギヤによって構成されている。
【0041】
カム部材42は、金属板を所定形状に折り曲げることで形成されたカム板52と、カム板52に取り付けられる軸53とを備えている。カム板52は、上下方向で所定の間隔をあけた状態で配置される平板状の2枚の平面部52aと、2枚の平面部52aを繋ぐ連結部52bとから構成されている。平面部52aは、左右方向に長い略長方形状に形成されており、その厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。連結部52bは、2枚の平面部52aの前端同士を繋ぐ平板状に形成されている。上下方向における2枚の平面部52aの間隔は、2枚のカム板45の間隔よりも狭くなっており、上下方向において、カム板52は、2枚のカム板45の間に配置されている。
【0042】
平面部52aには、噛合い位置19Aと解除位置19Bとの間で保持部材19を回動させるための第2カム溝としてのカム溝52cと、カム部材42を左右方向へ案内するためのガイド溝52dと、固定軸21との干渉を防止するための切欠き溝52eとが形成されている。また、平面部52aの右端には、上下方向の外側へ突出する突出部52fが形成されている。突出部52fは、前後方向と上下方向とから構成される平面と平行になっている。突出部52fは、カム板45の右端面45aよりも右側に配置されている。また、突出部52fは、上下方向において、右端面45aが左側から接触可能な位置に配置されている。
【0043】
カム溝52cは、平面部52aの左端側に形成されている。このカム溝52cは、右側に向かうにしたがって前側へ向かうように傾斜する傾斜部と、この傾斜部の両端から左右方向の外側へ直線状に伸びる2個の直線部とから構成されている。カム溝52cには、軸29の両端側部分が係合している。本形態では、カム部材42が右方向へスライドすると、
図7に示すように、ラック11とピニオン17とが噛み合う噛合い位置19Aへ固定軸21を中心に保持部材19が回動し(すなわち、保持部材19が反時計方向へ回動し)、その後、噛合い位置19Aに保持部材19が留まるように、かつ、カム部材42が左方向へスライドすると、
図4、
図6に示すように、ラック11とピニオン17との噛合いが解除される解除位置19Bへ固定軸21を中心に保持部材19が回動し(すなわち、保持部材19が時計方向へ回動し)、その後、解除位置19Bに保持部材19が留まるように、カム溝52cが形成されている。また、本形態では、ピニオン17は、手前側から(すなわち、室内側から)ラック11と噛み合う。
【0044】
ガイド溝52dは、平面部52aの右端側かつ奥端側に形成されている。このガイド溝52dは、左右方向へ伸びる直線状に形成されている。ガイド溝52dには、ガイド軸54(
図2参照)が挿通されている。ガイド軸54は、その軸方向と上下方向とが一致するように、開閉駆動部12の本体フレームに固定されている。切欠き溝52eは、平面部52aの左端から右端側に向かって直線状に伸びるように形成されている。なお、切欠き溝52eは、カム部材42を左右方向へ案内するためのガイド溝としての機能も果たしている。
【0045】
軸53は、その軸方向と上下方向とが一致するようにカム板52に取り付けられており、軸53の上端側は、一方の平面部52aに保持され、軸53の下端側は、他方の平面部52aに保持されている。軸53は、平面部52aの前端側に取り付けられている。また、軸53は、左右方向において、平面部52aの略中心位置に取り付けられている。軸53の両端側は、2枚の平面部52aよりも上下方向の外側へ突出している。2枚の平面部52aよりも上下方向の外側へ突出する軸53の両端側部分は、カム板45の係合溝45dに係合している。
【0046】
移動機構22では、モータ43が回転すると、モータ43の動力がギヤ列51を介してラック50に伝達され、ラック50と一緒にカム部材41が左右方向へスライドする。カム板45の右端面45aが突出部52fの左側面よりも左側に配置されており、右端面45aと突出部52fの左側面とが離れているときにカム部材41が右方向へスライドすると、右端面45aが突出部52fの左側面に接触するまで、カム部材42はスライドせず、右端面45aが突出部52fの左側面に接触すると、カム部材41と一緒にカム部材42が右方向へスライドする。
【0047】
また、右端面45aが突出部52fの左側面に接触しているときには、カム部材41の係合溝45dの右端よりも軸53の右端が左側に配置されており、係合溝45dの右端と軸53の右端とが離れている。係合溝45dの右端と軸53の右端とが離れているときにカム部材41が左方向へスライドすると、係合溝45dの右端が軸53の右端に接触するまで、カム部材42はスライドせず、係合溝45dの右端が軸53の右端に接触すると、カム部材41と一緒にカム部材42が左方向へスライドする。なお、軸53および係合溝45dは、カム部材42を左右方向へ案内する機能も果たしている。
【0048】
また、移動機構22は、カム部材41に接触して、カム部材41を右方向へスライドさせるレバー部材57を備えている。すなわち、移動機構22は、カム部材41に接触して、噛合い位置18Aにある保持部材18が解除位置18Bに向かって回動する方向へカム部材41をスライドさせるレバー部材57を備えている。このレバー部材57は、開閉駆動部12の本体フレームに固定される固定軸58に回動可能に支持されている。固定軸58は、その軸方向と上下方向とが一致するように本体フレームに固定されている。この固定軸58は、前後方向において、固定軸21よりもわずかに奥側に配置されている。また。固定軸58は、左右方向において、固定軸21よりもわずかに左側に配置されている。
【0049】
レバー部材57は、固定軸58に支持される軸支持部57aと、軸支持部57aから一方側へ伸びる内窓接触部57bと、軸支持部57aから他方側へ伸びるカム部材接触部57cとから構成されている。前後方向において、内窓接触部57bは、固定軸58よりも奥側に配置され、カム部材接触部57cは、固定軸58よりも手前側に配置されている。レバー部材57は、下側に配置されるカム板45よりも下側に配置されている。また、レバー部材57は、閉じている状態から左方向へ移動する内窓4が内窓接触部57bに右側から接触可能になるとともに、左方向へスライドするカム部材41の当接部46aがカム部材接触部57cに右側から接触可能になるように配置されている。
【0050】
(自動開閉装置の動作)
以上のように構成された自動開閉装置1では、外窓3を開閉するときには、モータ43が一方向へ回転して、カム部材41が左方向へスライドする。カム部材41が左方向へスライドして停止すると、
図6に示すように、噛合い位置18Aに保持部材18が配置される。噛合い位置18Aに保持部材18が配置されているときには、保持部材19は、解除位置19Bにあり、ラック11とピニオン17との噛合いが解除されている。この状態で、モータ32が回転すると、ピニオン16が回転して、外窓3が右方向または左方向へ(すなわち、開く方向または閉じる方向へ)移動する。すなわち、噛合い位置18Aに保持部材18があるときに回転駆動機構20の動力でピニオン16が回転すると、外窓3が自動で開閉する。
【0051】
なお、この状態では、ピニオン17は、空転している。また、この状態では、カム部材41の係合溝45dの右端が軸53の右端に接触し、かつ、カム板45の右端面45aと突出部52fの左側面とが離れている。さらに、この状態では、カム部材41の当接部46aがレバー部材57のカム部材接触部57cに接触しており、レバー部材57の内窓接触部57bは、閉じている内窓4が左方向へ移動すれば、内窓4が接触する位置に配置されている。
【0052】
この状態から、モータ43が他方向へ回転して、カム部材41が右方向へスライドすると、保持部材18は、固定軸21を中心に反時計方向へ回転して、噛合い位置18Aから解除位置18Bへ移動する。また、右端面45aが突出部52fの左側面に接触するまでカム部材41が右方向へスライドすると、その後、カム部材42がカム部材41と一緒に右方向へスライドする。解除位置18Bまで保持部材18が移動し終わったときには、
図4に示すように、保持部材19も解除位置19Bにある。すなわち、解除位置18Bまで保持部材18が回動し終わったときには、ラック10とピニオン16との噛合いが解除され、かつ、ラック11とピニオン17との噛合いが解除されている。そのため、この状態では、手動によって、外窓3および内窓4を容易に開閉することができる。
【0053】
この状態から、さらにモータ43が他方向へ回転して、カム部材41、42が右方向へスライドして停止すると、
図7に示すように、保持部材19は、固定軸21を中心に反時計方向へ回転して、解除位置19Bから噛合い位置19Aへ移動し、噛合い位置19Aに配置される。噛合い位置19Aに保持部材19が配置されているときには、保持部材18は、解除位置18Bにあり、ラック10とピニオン16との噛合いが解除されている。この状態で、モータ32が回転すると、ピニオン17が回転して、内窓4が右方向または左方向へ(すなわち、開く方向または閉じる方向へ)移動する。すなわち、噛合い位置19Aに保持部材19があるときに回転駆動機構20の動力でピニオン17が回転すると、内窓4が自動で開閉する。なお、このときには、ピニオン16は、空転している。また、このときには、カム板45の右端面45aが突出部52fの左側面に接触し、係合溝45dの右端と軸53の右端とが離れている。
【0054】
この状態から、モータ43が一方向へ回転して、カム部材41が左方向へスライドし、係合溝45dの右端が軸53の右端に接触すると、その後、カム部材42がカム部材41と一緒に左方向へスライドする。カム部材42が左方向へスライドすると、保持部材19は、固定軸21を中心に時計方向へ回転して、噛合い位置19Aから解除位置19Bへ移動する。解除位置19Bまで保持部材19が移動し終わったときには、
図4に示すように、保持部材18も解除位置18Bにあり、ラック10とピニオン16との噛合いが解除され、かつ、ラック11とピニオン17との噛合いが解除されている。また、この状態から、さらにモータ43が一方向へ回転して、カム部材41が左方向へスライドして停止すると、噛合い位置18Aに保持部材18が配置される。また、このときには、保持部材19は、解除位置19Bにある。
【0055】
このように、本形態では、移動機構22は、保持部材18、19を回動させて、噛合い位置18Aに保持部材18がありかつ解除位置19Bに保持部材19がある第1噛合い状態と、解除位置18Bに保持部材18がありかつ噛合い位置19Aに保持部材19がある第2噛合い状態と、解除位置18Bに保持部材18がありかつ解除位置19Bに保持部材19がある解除状態との切替を行う。すなわち、本形態では、保持部材18、19が移動すると、ラック10とピニオン16とが噛み合いかつラック11とピニオン17との噛合いが解除される第1噛合い状態と、ラック11とピニオン17とが噛み合いかつラック10とピニオン16との噛合いが解除される第2噛合い状態と、ラック10とピニオン16との噛合いおよびラック11とピニオン17との噛合いが解除される解除状態とに切り替わる。
【0056】
また、本形態のカム板45の右端面45aは、第1噛合い状態において保持部材18が解除位置18Bに向かって回動する方向へカム部材41がスライドするときに、カム部材41が所定量スライドした後にカム部材42に接触して、解除位置19Bにある保持部材19が噛合い位置19Aに向かって回動するようにカム部材42を押す第1接触部である。また、本形態の係合溝45dの右端は、第2噛合い状態において保持部材18が噛合い位置18Aに向かって回動する方向へカム部材41がスライドするときに、カム部材41が所定量スライドした後にカム部材42に接触して、噛合い位置19Aにある保持部材19が解除位置19Bに向かって回動するようにカム部材42を押す第2接触部である。
【0057】
また、噛合い位置18Aに保持部材18があってラック10とピニオン16とが噛み合っているときに、閉じている内窓4を手動で開くと(すなわち、内窓4が左方向へ移動すると)、
図8に示すように、レバー部材57の内窓接触部57bに内窓4が右側から接触して、レバー部材57が固定軸58を中心にして反時計方向へ回動する。レバー部材57が反時計方向へ回動すると、カム部材接触部57cがカム部材41の当接部46aを右方向へ押すため、カム部材41が右方向へスライドして、保持部材18が噛合い位置18Aから解除位置18Bへ回動する。すなわち、噛合い位置18Aに保持部材18がありかつ解除位置19Bに保持部材19がある第1噛合い状態において、閉じている内窓4が開く方向へ移動してレバー部材57に接触すると、レバー部材57が回動して、噛合い位置18Aにある保持部材18が解除位置18Bまで回動するようにレバー部材57がカム部材41をスライドさせる。
【0058】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、移動機構22は、保持部材18、19を回動させて、噛合い位置18Aに保持部材18がありかつ解除位置19Bに保持部材19がある第1噛合い状態と、解除位置18Bに保持部材18がありかつ噛合い位置19Aに保持部材19がある第2噛合い状態と、解除位置18Bに保持部材18がありかつ解除位置19Bに保持部材19がある解除状態との切替を行う。そのため、本形態では、解除状態において、外窓3や内窓4を手動で開閉しても、回転駆動機構20に起因する負荷が外窓3および内窓4に作用しない。したがって、本形態では、解除状態にしておくことで、外窓3および内窓4を手動で開閉する際の負荷を低減することが可能になり、その結果、本形態では、外窓3および内窓4を自動で開閉するための自動開閉装置1が設けられていても、外窓3および内窓4を手動で容易に開閉することが可能になる。
【0059】
本形態では、ピニオン16は、保持部材18に保持され、ピニオン17は、保持部材18と別体で形成される保持部材19に保持されている。また、本形態では、保持部材18は、カム部材41のスライド動作に応じて噛合い位置18Aと解除位置18Bとの間で回動し、保持部材19は、カム部材41と別体で形成されるカム部材42のスライド動作に応じて噛合い位置19Aと解除位置19Bとの間で回動する。さらに、本形態では、噛合い位置18Aに保持部材18がありかつ解除位置19Bに保持部材19がある第1噛合い状態において、カム部材41が右方向へスライドすると、カム部材41が所定量スライドした後にカム板45の右端面45aがカム部材42に接触してカム部材42が右方向へ動き出し、解除位置18Bに保持部材18がありかつ噛合い位置19Aに保持部材19がある第2噛合い状態において、カム部材41が左方向へスライドすると、カム部材41が所定量スライドした後に係合溝45dの右端がカム部材42の軸53に接触してカム部材42が左方向へ動き出す。
【0060】
そのため、本形態では、保持部材18と保持部材19とを個別に回動させることが可能になる。したがって、本形態では、1つの保持部材にピニオン16、17が保持されている場合と比較して、解除位置18Bに保持部材18がありかつ解除位置19Bに保持部材19がある解除状態を作り出しやすくなる。また、本形態では、カム部材41とカム部材42とが一体化されている場合と比較して、左右方向においてカム部材42を小型化しつつ、解除位置18Bに保持部材18がありかつ解除位置19Bに保持部材19がある解除状態を作り出すことが可能になる。
【0061】
本形態では、噛合い位置18Aに保持部材18がありかつ解除位置19Bに保持部材19がある第1噛合い状態において、閉じている内窓4が開く方向へ移動してレバー部材57に接触すると、レバー部材57が回動して、噛合い位置18Aにある保持部材18が解除位置18Bまで回動するようにレバー部材57がカム部材41をスライドさせる。そのため、本形態では、ラック10とピニオン16とが噛み合っている第1噛合い状態において、閉じている内窓4が手動で開かれても、ラック10とピニオン16との噛合いを解除することができる。したがって、本形態では、第1噛合い状態において、閉じている内窓4が手動で開かれても、ピニオン16と内窓4との接触を防止して、ピニオン16や内窓4の損傷を防止することが可能になる。
【0062】
本形態では、動力伝達機構33によって伝達される1個のモータ32の動力で、2個のピニオン16、17を回転させている。そのため、本形態では、ピニオン16を回転させるモータとピニオン17を回転させるモータとが別個に設けられている場合と比較して、回転駆動機構20の構成を簡素化することが可能になる。また、本形態では、共通のギヤ34およびギヤ列35を使用してモータ32の動力をピニオン16およびピニオン17に伝達することができるため、回転駆動機構20の構成をより簡素化することが可能になる。
【0063】
本形態では、保持部材18および保持部材19は、共通の固定軸21に回動可能に支持されている。そのため、本形態では、保持部材18を回動可能に支持する固定軸と保持部材19を回動可能に支持する固定軸とが別個に設けられている場合と比較して、自動開閉装置1の構成を簡素化することが可能になる。
【0064】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0065】
上述した形態では、モータ43は、カム部材41に連結されている。また、上述した形態では、第1噛合い状態においてカム部材41が右方向へスライドするときにカム部材41が所定量スライドした後に、カム板45の右端面45aがカム部材42に接触して、解除位置19Bにある保持部材19が噛合い位置19Aに向かって回動するようにカム部材42を押し、第2噛合い状態においてカム部材41が左方向へスライドするときにカム部材41が所定量スライドした後に、係合溝45dの右端がカム部材42に接触して、噛合い位置19Aにある保持部材19が解除位置19Bに向かって回動するようにカム部材42を押している。この他にもたとえば、モータ43がカム部材42に連結されるとともに、第2噛合い状態においてカム部材42が左方向へスライドするときにカム部材42が所定量スライドした後に、カム部材42の一部がカム部材41に接触して、解除位置18Bにある保持部材18が噛合い位置18Aに向かって回動するようにカム部材41を押し、第1噛合い状態においてカム部材42が右方向へスライドするときにカム部材42が所定量スライドした後に、カム部材42の一部がカム部材41に接触して、噛合い位置18Aにある保持部材18が解除位置18Bに向かって回動するようにカム部材41を押しても良い。
【0066】
上述した形態では、保持部材18は、固定軸21を中心に回動して噛合い位置18Aと解除位置18Bとの間を移動し、保持部材19は、固定軸21を中心に回動して噛合い位置19Aと解除位置19Bとの間を移動する。この他にもたとえば、保持部材18が噛合い位置18Aと解除位置18Bとの間を直線的に移動し、保持部材19が噛合い位置19Aと解除位置19Bとの間を直線的に移動するように、移動機構22が構成されても良い。
【0067】
上述した形態では、移動機構22は、カム部材41、42をスライドさせる駆動源としてのモータ43を備えている。この他にもたとえば、移動機構22は、モータ43に代えて、カム部材41、42をスライドさせるソレノイド等の他の駆動源を備えていても良い。また、移動機構22は、カム部材41、42をスライドさせる駆動源を備えていなくても良い。この場合には、カム部材41、42を手動でスライドさせれば良い。また、上述した形態では、開閉駆動部12は、移動機構22を備えているが、開閉駆動部12は、移動機構22を備えていなくても良い。この場合には、噛合い位置18A、19Aと解除位置18B、19Bとの間で保持部材18、19を手動で回動させれば良い。
【0068】
上述した形態では、カム部材41、42にカム溝45b、52cが形成され、カム溝45b、52cに係合する軸25、29が保持部材18、19に設けられている。この他にもたとえば、保持部材18、19にカム溝が形成され、このカム溝に係合する軸がカム部材41、42に設けられても良い。
【0069】
上述した形態では、ピニオン16は、保持部材18に保持され、ピニオン17は、保持部材18と別体で形成される保持部材19に保持されているが、ピニオン16とピニオン17とが共通の保持部材に保持されても良い。また、上述した形態では、カム部材41とカム部材42とが別体で形成されているが、カム部材41とカム部材42とが一体で形成されても良い。さらに、上述した形態では、保持部材18と保持部材19とが共通の固定軸21に回動可能に支持されているが、保持部材18が回動可能に支持される軸と保持部材19が回動可能に支持される軸とが別個に設けられても良い。また、上述した形態では、共通のモータ32の動力で、2個のピニオン16、17を回転させているが、ピニオン16を回転させるモータとピニオン17を回転させるモータとが別個に設けられても良い。
【0070】
上述した形態では、外窓3および内窓4の両方が開閉可能な引き違い窓2に自動開閉装置1が取り付けられている。この他にもたとえば、内窓4のみが開閉可能な引き違い窓に自動開閉装置1が取り付けられても良い。この場合には、ラック10、ピニオン16、保持部材18、カム部材41およびレバー部材57等が不要になる。また、この場合には、ラック50がカム部材42に固定される。また、外窓3のみが開閉可能な引き違い窓に自動開閉装置1が取り付けられても良い。この場合には、ラック11、ピニオン17、保持部材19およびカム部材42等が不要になる。
【0071】
また、上述した形態では、水平方向に開閉する引き違い窓2に自動開閉装置1が取り付けられているが、上下方向に開閉する上げ下げ窓に自動開閉装置1が取り付けられても良い。また、上述した形態では、窓を自動で開閉する自動開閉装置1を例に本発明にかかる建具の自動開閉装置の実施例を説明しているが、本発明が適用される建具の自動開閉装置は、扉、網戸あるいは雨戸等の窓以外の建具を自動で開閉するものであっても良い。たとえば、本発明が適用される建具の自動開閉装置は、引き違いになるように配置される扉、網戸あるいは雨戸等の窓以外の建具を自動で開閉するものであっても良い。
【0072】
また、上述した形態では、2枚建の建具である引き違い窓2に1個の自動開閉装置1が取り付けられているが、3枚建の建具に2個の自動開閉装置1が取り付けられても良い。この場合には、2個の自動開閉装置1のうちの一方の自動開閉装置1によって、閉じている状態で右端に配置される建具と真ん中に配置される建具の開閉が可能になり、かつ、2個の自動開閉装置1のうちの他方の自動開閉装置1によって、閉じている状態で左端に配置される建具と真ん中に配置される建具の開閉が可能になるように、2個の自動開閉装置1が取り付けられる。また、4枚建の建具に2個の自動開閉装置1が取り付けられても良い。この場合には、2個の自動開閉装置1のうちの一方の自動開閉装置1によって、閉じている状態で右側に配置される2枚の建具の開閉が可能になり、かつ、2個の自動開閉装置1のうちの他方の自動開閉装置1によって、閉じている状態で左側に配置される2枚の建具の開閉が可能になるように、2個の自動開閉装置1が取り付けられる。さらに、4枚建の建具に3個の自動開閉装置1が取り付けられても良い。この場合には、3個の自動開閉装置1のうちの1つ目の自動開閉装置1によって、閉じている状態で右端に配置される建具と右端から2番目に配置される建具の開閉が可能になり、3個の自動開閉装置1のうちの2つ目の自動開閉装置1によって、閉じている状態で真ん中に配置される2枚の建具の開閉が可能になり、3個の自動開閉装置1のうちの残りの1個の自動開閉装置1によって、閉じている状態で左端に配置される建具と左端から2番目に配置される建具の開閉が可能になるように、3個の自動開閉装置1が取り付けられる。また、5枚建以上の建具に複数の自動開閉装置1が取り付けられても良い。