(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接続面側に、前記同軸ケーブルを嵌合することにより前記同軸ケーブルを配列させる、幅が前記同軸ケーブルの外径と同一である溝部が形成されたケーブル配列部材を有し、
前記ケーブル配列部材は、前記固定部により前記同軸ケーブルとともに接着して固定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のケーブル実装構造体。
前記固定部内に存在する前記被覆部の軸方向の長さは、前記固定部の軸方向の長さの1/4以上1/2以下であることを特徴とする請求項1に記載のケーブル実装構造体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、同軸ケーブルの端面と回路基板とを対向させて接続し、さらにその周辺を接着剤で補強することにより、通常の使用状態における接続の確実性を維持することはできる。しかしながら、芯線を覆う内部絶縁層には滑り性のよいフッ素系樹脂が使用されることが多いため、接続部周辺を接着材で補強したとしても、芯線は十分な補強効果を得られず、同軸ケーブルの外部から大きな力が繰り返し加えられた場合、同軸ケーブルの芯線に、該芯線を回路基板から引き剥がす方向の負荷が発生し、芯線と電極との間の接続が損なわれてしまうおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、同軸ケーブルと回路基板との間の接続の信頼性を保持しうるケーブル実装構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるケーブル実装構造体は、基板の接続電極に接続されるケーブル実装構造体であって、導体によって形成された芯線と、前記芯線の周囲に絶縁体によって形成された内部絶縁層と、前記内部絶縁層の周囲に導体によって形成されたシールド線と、前記シールド線の周囲に絶縁体によって形成された外部絶縁層とを有する、少なくとも1つの同軸ケーブルと、封止樹脂からなり、前記同軸ケーブルの一端部を覆う固定部と、を備え、前記固定部内の同軸ケーブルは、前記内部絶縁層、前記シールド線、および前記外部絶縁層が、前記芯線の周面の少なくとも一部が露出し、かつ前記シールド線の少なくとも一部が残存するように除去された露出部と、前記芯線の周囲に前記内部絶縁層、前記シールド線および前記外部絶縁層が残存する被覆部とからなり、前記固定部の前記基板と対向する接続面は平面状をなし、前記接続面には前記芯線および前記シールド線の端面が露出することを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかるケーブル実装構造体は、上記発明において、前記露出部は、前記固定部の接続面側に形成されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかるケーブル実装構造体は、上記発明において、前記露出部は、前記芯線の周面の半分以上が露出していることを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかるケーブル実装構造体は、上記発明において、前記露出部は、前記芯線の周面全体が露出していることを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかるケーブル実装構造体は、上記発明において、前記固定部を形成する封止樹脂は、金属に対する接着性を有するものであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかるケーブル実装構造体は、上記発明において、前記芯線の周面が露出する側に、露出した前記芯線を覆うようにグランドバーが設けられたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかるケーブル実装構造体は、上記発明において、前記接続面側に、前記同軸ケーブルを嵌合することにより前記同軸ケーブルを配置させる溝部が形成されたケーブル配列部材を有し、前記ケーブル配列部材は、前記固定部により前記同軸ケーブルとともに固定されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかるケーブル実装構造体は、上記発明において、前記ケーブル配列部材は、前記同軸ケーブルの露出部をレーザ加工により形成する際、レーザを遮蔽するマスクとして機能することを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかるケーブル接続構造体は、接続電極が形成された基板と、前記基板の接続電極に電気的に接続される上記のいずれか一つに記載のケーブル実装構造体と、を備え、前記ケーブル実装構造体は、端面に露出した前記芯線および前記シールド線を介して前記接続電極と接続されることを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかる内視鏡装置は、接続電極が形成された基板と、前記基板の接続電極に電気的に接続される上記のいずれか一つに記載のケーブル実装構造体と、前記基板に形成された電極に接続された撮像素子と、備え、前記ケーブル実装構造体は、端面に露出した前記芯線および前記シールド線を介して前記接続電極と接続されることを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかるケーブル実装構造体の製造方法は、位置決め部材の溝部に同軸ケーブルを嵌合する嵌合ステップと、前記位置決め部材の外部からレーザ照射して、前記同軸ケーブルの芯線の周面の少なくとも一部が露出し、かつ前記同軸ケーブルのシールド線の少なくとも一部が残存した露出部を形成する除去ステップと、封止樹脂により、前記露出部を含む前記同軸ケーブルおよび前記ケーブル配列部材を固定する固定ステップと、前記固定部を所定箇所で切断し、前記芯線および前記シールド線の端面を露出させる切断ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、固定部によって芯線を含む同軸ケーブルを固定しているので、基板に接続された後、同軸ケーブルの芯線に引っ張り負荷が作用した場合であっても、芯線の端面と基板の接続電極との接続が破壊されることを防止し、ケーブルと基板との間の接続の信頼性を保持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1にかかるケーブル実装構造体を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態1にかかるケーブル接続構造体を説明する斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2のケーブル接続構造体のケーブル軸方向と平行、かつ鉛直な面での断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態1の変形例1にかかるケーブル実装構造体を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態1の変形例2にかかるケーブル実装構造体を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態1の変形例3にかかるケーブル実装構造体を示す斜視図である。
【
図7A】
図7Aは、
図6のケーブル接続構造のケーブル軸方向と平行、かつ鉛直な面での断面図である。
【
図7B】
図7Bは、本発明の実施の形態1の変形例4にかかるケーブル実装構造体のケーブル軸方向と平行、かつ鉛直な面での断面図である。
【
図7C】
図7Cは、本発明の実施の形態1の変形例5にかかるケーブル実装構造体のケーブル軸方向と平行、かつ鉛直な面での断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施の形態2にかかるケーブル接続構造を説明する斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施の形態2にかかるケーブル接続構造の製造方法を説明するフローチャートである。
【
図10A】
図10Aは、本発明の実施の形態2にかかるケーブル接続構造の製造方法を説明する図である。
【
図10B】
図10Bは、本発明の実施の形態2にかかるケーブル接続構造の製造方法を説明する図である。
【
図10C】
図10Cは、本発明の実施の形態2にかかるケーブル接続構造の製造方法を説明する図である。
【
図11】
図11は、内視鏡装置の概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解し得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。すなわち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかるケーブル実装構造体を示す斜視図である。
図2は、本発明の実施の形態1にかかるケーブル実装構造体と基板とを接続してなるケーブル接続構造体を説明する斜視図であり、
図3は、
図2のケーブル接続構造体のケーブル軸方向と平行、かつ鉛直な面での断面図である。
図1に示すケーブル実装構造体10は、同軸ケーブル1と、封止樹脂からなり、同軸ケーブル1の一端部を覆う固定部6と、を備える。実施の形態1では、
図1に示すように、3本の同軸ケーブルが1個の固定部6により固定された構造を例として説明するが、これに限定されるものではなく、1以上の同軸ケーブルを使用するものであればよい。
【0023】
同軸ケーブル1は、導体によって形成された芯線2と、芯線の周囲に絶縁体によって形成された内部絶縁層3と、内部絶縁層3の周囲に導体によって形成されたシールド線4と、シールド線4の周囲に絶縁体によって形成された外部絶縁層5とが同心円状に配置された構造を有している。
【0024】
ケーブル実装構造体10において、固定部6内の同軸ケーブル1は、芯線2の周囲に形成される内部絶縁層3、内部絶縁層3の周囲に形成されるシールド線4、およびシールド線4の周囲に形成される外部絶縁層5が、芯線2の周面の少なくとも一部が露出し、かつシールド線4の少なくとも一部が残存するように除去された露出部11と、芯線2の周囲に内部絶縁層3、シールド線4および外部絶縁層5が残存する被覆部12とを有する。固定部6の後述する基板と対向する接続面9は平面状をなし、接続面9には芯線2およびシールド線4の端面が露出する。実施の形態1では、露出部11は、固定部6内であれば固定部6の中央部に形成されてもよいが、接続の信頼性、確実性の観点から、接続面9側に形成されることが好ましい。また、固定部6内での軸方向の長さの半分以上が露出部11であることが好ましいが、接続の信頼性、確実性の観点から、固定部6内に被覆部12が存在することが好ましく、したがって、露出部11の固定部6内での軸方向の長さは、3/4以下であることが好ましい。
【0025】
固定部6は、電気絶縁性の封止樹脂からなり、芯線2の材料である金属、例えば、銅、銀めっき銅、銅被覆鋼、錫めっき銅等に接着性を有する封止樹脂であることが好ましい。接着性を有する封止樹脂とは、例えば、フッ素系樹脂を除くその他の樹脂を意味する。実施の形態1においては、固形部6は直方体に形成されているが、接続面9が平面であれば、円柱状、楕円柱状等であってもよい。
【0026】
ケーブル実装構造体10は、同軸ケーブル1をケーブル配列部材に整列させた状態で仮固定し、露出部11となる部分の外部絶縁層5をレーザ加工機等により除去する。その後、シールド線4、および内部絶縁層3を、略半分が残存するようマスクした状態でレーザを照射して、順次、シールド線4、および内部絶縁層3を除去して露出部11を形成する。ついで、同軸ケーブル1の露出部11および被覆部12となる部分に封止型を取り付け、封止型内に封止樹脂を充填し、硬化させて、封止型を取り外した後、同軸ケーブル1の端部が露出する様に固定部6を切断して、芯線2およびシールド線4の端面が露出した接続面9を形成する。なお、固定部6内での同軸ケーブル1を所定間隔で配列させるために、2つのケーブル配列部材により同軸ケーブル1を整列させた状態で、露出部11、および固定部6を形成することが好ましい。実施の形態1では、露出部11は外部絶縁層5が除去されているが、外部絶縁層5も、シールド線4および内部絶縁層3と同様に、略半分が残存するようマスクした状態でレーザを照射することにより、略半分を残してもよい。また、実施の形態1の同軸ケーブル1の露出した周面はすべて同方向(上部)に形成されるが、複数の同軸ケーブル1のレーザ加工のマスクの位置を調整することにより、芯線2の露出する周面の位置を変えてもよい。
【0027】
ケーブル実装構造体10は、
図2および
図3に示すように、基板20と接続されて、ケーブル接続構造体100をなす。基板20の同軸ケーブル1との接続面25には、芯線2との接続用の電極21と、シールド線4との接続用の電極22が形成される。電極21は、ケーブル実装構造体10内の芯線2に対向する位置に、芯線2と同数形成され、電極22は、複数のシールド線4と対向する位置に直線状に形成され、複数のシールド線4と一括して接続される。電極22は、複数のシールド線4に対向した形状を有していれば、例えば曲線などの、直線以外の形状でも良い。
【0028】
ケーブル実装構造体10と基板20とは、半田や金(Au)等によって形成された接続バンプ31a及び32bを介して電気的に接続されている。さらに、ケーブル実装構造体10の接続面9と基板20の接続面25との間及び固定部6の側面にはエポキシ樹脂等の補強用樹脂32が充填・塗布されており、両者の接続をさらに確実にしている。
【0029】
実施の形態1では、芯線と接着性のよい封止樹脂からなる固定部により、直接芯線を固定できるため、同軸ケーブルに外力が加えられた場合でも、固定部が芯線を強固に保持して、芯線抜けを確実に防止することができる。
【0030】
実施の形態1において、ケーブル実装構造体10の露出部11は、芯線2の周面が略半分露出しているが、芯線2の周面の露出を半分より多くすることもできる。
図4は、本実施の形態1の変形例1にかかるケーブル実装構造体の斜視図である。
【0031】
図4に示すように、変形例1にかかるケーブル実装構造体10Aは、芯線2の周面の2/3が露出している。変形例1では、露出部分を周面の半分より多くすることで、シールド線4の間隔が広くなるため、固定部6を形成する際に封止樹脂が浸透、充填されやすくなり、故障の発生原因となりうる気泡の発生を防止することができる。また、変形例1では、露出部11Aの軸方向の長さを実施の形態1と同程度とした場合には、芯線2と固定部6との接触面積が増加するため、芯線2と固定部6との接着力をさらに向上でき、接着力を同程度とした場合には、露出部11Aの軸方向の長さを短くすることができるため、硬質部分となる固定部6の軸方向の長さを短くできる。なお、芯線2の周面の3/5以上露出することが好ましい。
【0032】
さらに、芯線2の露出する部分を増やして固定部6との接続強度を向上するとともに、シールド線4の電極22との接続性を確保するために、露出部11Bの内部絶縁体3をすべて除去してもよい。
図5は、本実施の形態1の変形例2にかかるケーブル実装構造体の斜視図である。
【0033】
図5に示すように、変形例2にかかるケーブル実装構造体10Bは、露出部11Bの内部絶縁体3がすべて除去され、露出部11B内の芯線2の周面は全体が露出している。露出部11Bの内部絶縁体3の除去は、マスクした状態でレーザ照射して芯線2の略半分が露出し、内部絶縁体3およびシールド線4が略半分残存した状態とした後、芯線2とシールド線4には影響を与えず内部絶縁体3のみを選択的に除去可能なレーザ(例えばCO2レーザ)を照射することで、芯線2及びシールド線4を残存させながら内部絶縁体3を除去すればよい。変形例2では、芯線2の全周を露出させることができるので、芯線2と固定部6との接続をさらに向上させることができ、これにより芯線2と電極21との接続の信頼性をより一層向上しうる。
【0034】
また、芯線2の周面が露出する側に、露出した芯線2を覆うようにグランドバーを設けてもよい。
図6は、本実施の形態1の変形例3にかかるケーブル接続構造体を説明する斜視図である。
図7は、
図6のケーブル接続構造体のケーブル軸方向と平行、かつ鉛直な面での断面図である。
【0035】
変形例3にかかるケーブル実装構造体10Cは、芯線2の周面が露出する側、すなわち、
図6では芯線2の上部に、露出した芯線2を覆うようにグランドバー7が設けられている。グランドバー7は、
図7Aに示すように、露出した芯線2の長さ以上、すなわち、露出部11Cの軸方向の長さ以上とすることが好ましい。ケーブル実装構造体10Cと接続される基板20Cの、接続面25のグランドバー7と対向する位置には、グランドバー接続用の電極23が形成される。変形例3にかかるケーブル実装構造体10Cは、内部絶縁体3およびシールド線4の除去後、グランドバー7を所定箇所に位置決めする治具にて固定した後、封止型に封止樹脂を充填し、固定部6を形成すればよい。グランドバー7を位置決めする治具により、芯線2とグランドバー7とが接触しないよう調整する。変形例3では、シールド線を除去した側で発生するノイズの芯線への影響を、グランドバーにより除去することができるため、ケーブル接続構造体の電気特性を向上することができる。
【0036】
また、グランドバーは、
図7Bに示すような構造であってもよい。
図7Bは、本発明の実施の形態1の変形例4にかかるケーブル実装構造体のケーブル軸方向と平行、かつ鉛直な面での断面図である。変形例4にかかるケーブル実装構造体10Dのグランドバー7Dは、シールド線4の断面部と接触するように厚いものが使用される。
図7Bに示すように、グランドバー7Dはシールド線4に接触または電気的に接続している方がよりノイズ除去効果が得られるため、望ましい。なお、グランドバー7Dの厚さは、グランドバー7Dの下面の位置が、シールド線4の内側表面と同じ位置となる厚さとすることが好ましい。グランドバー7Dの下面位置をシールド線4の内側表面と同じ位置とすることにより、露出部11Dと被覆部12Dの電気特性が近くなるためである。また、グランドバーは、
図7Cに示すような構造であってもよい。
図7Cは、本発明の実施の形態1の変形例5にかかるケーブル実装構造体のケーブル軸方向と平行、かつ鉛直な面での断面図である。変形例5にかかるケーブル実装構造体10Eのグランドバー7Eは、軸方向の厚さが一様ではなく、接続面9からほぼ半分は均一な厚さで、その後被覆部12Eに近づくにつれて厚さが徐々に厚くなる形状を有している。
図7Bに示すように、グランドバー7Eは接続面9に近づくに従って厚さが薄くなる構造である方が、グランドバー7Eと封止樹脂9の線膨張係数差による反りが発生しにくいため、望ましい。
【0037】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2にかかるケーブル接続構造について説明する。
図8は、本実施の形態2にかかるケーブル接続構造体を説明する斜視図である。
【0038】
実施の形態2にかかるケーブル接続構造体100Dは、ケーブル実装構造体10Dと基板20Dとが接続されてなる。ケーブル実装構造体10Dは、接続面9側に、同軸ケーブル1を嵌合することにより、同軸ケーブル1を配列させる溝部8bが形成されたケーブル配列部材8を有する。溝部8bの幅および高さは、同軸ケーブル1の外径と略同一に形成される。実施の形態2では、溝部8bの軸方向に直交する断面形状は、底面が同軸ケーブル1と接するように円状をなしているが、幅方向を同軸ケーブル1の外径と同一にすれば、断面矩形であってもよい。また、溝部8bの軸方向の長さは露出部11Dの長さと同一である。溝部8bの間隔は、所望する同軸ケーブル1、すなわち、芯線2の間隔に合わせて形成される。ケーブル配列部8は、固定部6により同軸ケーブル1とともに固定されている。
【0039】
ケーブル配列部材8の外周部の対向する面には、凹状の位置決め部8aが形成されている。また、基板20Dの接続面25の、位置決め部8aと対向する部分には、位置決め部8aに嵌め合せ可能な、凸状の位置決め部24が設けられている。一般に、同軸ケーブルの端面に露出する芯線と基板の電極とを接続する際、二視野の撮像系により芯線と電極の位置を位置合わせしている。ケーブル実装構造体10Dのケーブル配列部材8と基板20Dに、それぞれ位置決め部8aおよび位置決め部24を予め形成することにより、撮像系により位置合わせを行うことを省略することができる。位置決め部8aおよび位置決め部24の形状は、嵌め合せることにより位置決め可能であれば、凹凸に限定されるものではない。
【0040】
次に、図面を参照して、実施の形態2にかかるケーブル接続構造体100Dの製造方法を説明する。
図9は、本発明の実施の形態2にかかるケーブル接続構造体100Dの製造方法を説明するフローチャートである。
図10A〜
図10Cは、本発明の実施の形態2にかかるケーブル接続構造体100Dの製造方法を説明する図である。
図10A〜
図10Cは、同軸ケーブル1の芯線2が露出する端面側の側面図である。
【0041】
まず、
図10Aに示すように、同軸ケーブル1をケーブル配列部材8の溝部8bに嵌合させて、同軸ケーブル1を配列させる(ステップS1)。なお、固定部6内で同軸ケーブルを所定の間隔で配列するために、2つのケーブル配列部材8で同軸ケーブル1を固定することが好ましい。
【0042】
同軸ケーブル1を配列後(ステップS1)、
図10Bに示すように、レーザをケーブル配列部材8の斜め上方から照射して、同軸ケーブル1の外部絶縁体5、シールド線4および内部絶縁体3の略上半分を除去して露出部11Dを形成する(ステップS2)。なお、ケーブル配列部材8に嵌め合せられた部分以外の同軸ケーブル1には、レーザを照射しないか、外部絶縁体5等が除去されないようマスクによりレーザを遮蔽した状態で露出部11Dを形成する。同軸ケーブル1の上半分を除去することにより、芯線2の周面の略半分が露出する。なお、ケーブル配列部材8の材質は、レーザを遮光するマスクとして機能する材料から形成され、溝部8bの高さ、およびレーザの照射角度を調整することにより、同軸ケーブル1の上半分である外部絶縁体5、シールド線4および内部絶縁体3を除去することができる。
【0043】
露出部11Dを形成後(ステップS2)、
図10Cに示すように、封止樹脂により同軸ケーブル1とともにケーブル配列部材8を固定し(ステップS3)、同軸ケーブル1の端面側を切除し、芯線2およびシールド線4が露出した接続面を形成する(ステップS4)。
【0044】
同軸ケーブル1の切除後(ステップS4)、ケーブル実装構造体10Dと基板20Dとを、位置決め部8aおよび位置決め部24とを嵌め合せることにより位置決めし、芯線2と電極21、シールド線4と電極22とをバンプ等によりそれぞれ接合する(ステップS5)。
【0045】
ケーブル実装構造体10Dと基板20Dとの接合後(ステップS5)、接合部の周辺に封止樹脂を注入し、硬化させて接合部を封止する(ステップS6)。
【0046】
以上説明したケーブル接続構造体100Dの製造方法によれば、マスクとなるケーブル配列部材8の溝部8bの高さと、レーザの照射角度とを適宜設定することにより、芯線2の周面の露出の割合を簡易に調整することができる。また、ケーブル配列部材8と基板20Dに、それぞれ位置決め部8aおよび位置決め部24を設けたので、芯線2と電極21との位置合わせを容易に行うことができる。
【0047】
上記の実施の形態1および2においては、同軸ケーブル1の芯線2及びシールド線3を電極21及び22にバンプ接続しているが、例えば、ACP(anisotropic conductive paste)やACF(anisotropic conductive film)等の異方性導電材料を用いることにより、両者を電気的に接続しても良い。
【0048】
以上説明した実施の形態1および2は、例えば、同軸ケーブルの先端に撮像モジュールが設けられた内視鏡装置等に適用することができる。以下に、
図1に示すケーブル実装構造体10を、被検体内に導入されて体腔内を撮像する医療用内視鏡装置に適用した例を説明する。
【0049】
図11は、内視鏡システムの全体構成を模式的に示す図である。
図11に示すように、内視鏡装置51は、内視鏡52と、ユニバーサルコード56と、コネクタ57と、光源装置59と、プロセッサ(制御装置)60と、表示装置63とを備える。
【0050】
内視鏡52は、可撓管部64である挿入部54を被検体の体腔内に挿入することによって、被検体の体内画像を撮像し撮像信号を出力する。ユニバーサルコード56内部の電気ケーブル束は、内視鏡52の挿入部54の先端まで延伸され、挿入部54の先端部61に設けられる撮像モジュールに接続される。
【0051】
コネクタ57は、ユニバーサルコード56の基端に設けられて、光源装置59およびプロセッサ60に接続され、ユニバーサルコード56と接続する先端部61の撮像装置が出力する撮像信号に所定の信号処理を施すとともに、撮像信号をアナログデジタル変換(A/D変換)して画像信号として出力する。
【0052】
光源装置59は、例えば、白色LEDを用いて構成される。光源装置9が点灯するパルス状の白色光は、コネクタ57、ユニバーサルコード56を経由して内視鏡52の挿入部54の先端から被写体へ向けて照射する照明光となる。
【0053】
プロセッサ60は、コネクタ57から出力される画像信号に所定の画像処理を施すとともに、内視鏡装置51全体を制御する。表示装置63は、プロセッサ60が処理を施した画像信号を表示する。
【0054】
内視鏡52の挿入部54の基端側には、内視鏡機能を操作する各種ボタン類やノブ類が設けられた操作部55が接続される。操作部55には、被検体の体腔内に生体鉗子、電気メスおよび検査プローブ等の処置具を挿入する処置具挿入口67が設けられる。
【0055】
挿入部54は、撮像装置が設けられる先端部硬質61と、先端硬質部61の基端側に連設された複数方向に湾曲自在な湾曲部62と、この湾曲部62の基端側に連設された可撓管部64とによって構成される。湾曲部62は、操作部55に設けられた湾曲操作用ノブの操作によって湾曲し、挿入部54内部に挿通された湾曲ワイヤの牽引弛緩にともない、たとえば上下左右の4方向に湾曲自在となっている。
【0056】
内視鏡52には、光源装置59からの照明光を伝送するライトガイドバンドル(不図示)が配設され、ライトガイドバンドルによる照明光の出射端に照明レンズ(不図示)が配置される。この照明レンズは、挿入部54の先端部61に設けられており、照明光が被検体に向けて照射される。
【0057】
図1に示す同軸ケーブル1の一方の端部は、操作部55においてスイッチの電極に接続されている。また、同軸ケーブル1のもう一方の端部であるケーブル実装構造体10は、挿入部54及び湾曲部62を通って先端硬質部61に到達し、先端硬質部61内において、撮像素子が配置された基板20に形成された電極21に接続され、ケーブル実装構造体100をなす。このようにケーブル実装構造体10を適用することにより、挿入部54及び湾曲部62に収容された同軸ケーブル1の変形によって同軸ケーブル1内の芯線10に引っ張り負荷が発生しても、固定部6が露出した芯線2を強固に保持するため、芯線2と電極21との間の接続の確実性を維持することができる。