特許第6358900号(P6358900)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6358900
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】シートスライド装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/06 20060101AFI20180709BHJP
【FI】
   B60N2/06
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-172446(P2014-172446)
(22)【出願日】2014年8月27日
(65)【公開番号】特開2016-47659(P2016-47659A)
(43)【公開日】2016年4月7日
【審査請求日】2017年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】590001164
【氏名又は名称】シロキ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085187
【弁理士】
【氏名又は名称】井島 藤治
(72)【発明者】
【氏名】林 直樹
【審査官】 永安 真
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−191938(JP,U)
【文献】 特開2004−359072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロア側に設けられるロアレールと、
該ロアレールに移動可能に係合し、シートが設けられるアッパレールと、
を有するシートスライド装置において、
前記ロアレール内に突設された突出物より前記アッパレールの移動方向における前記ロアレールの中央側に位置し、前記突出物と前記アッパレール端との間に位置できる異物排出面を備える異物排出部と、
アッパレール側に形成された係止部に上下方向で対向する被係止面を備える剥離防止部と
からなる異物排出/剥離防止部材を有する
ことを特徴とするシートスライド装置。
【請求項2】
前記異物排出/剥離防止部材は、
前記ロアレールの端部に取り付けられ、
前記被係止面は異物排出面より前記端部側に位置する
ことを特徴とする請求項1記載のシートスライド装置。
【請求項3】
前記異物排出/剥離防止部材は、
弾性部を有し、
その弾性復元力により弾性部が前記ロアレールに押し当たる
ことを特徴とする請求項1または2記載のシートスライド装置。
【請求項4】
前記剥離防止部は、
常時はロアレールとの間に隙間を持って対向し、荷重作用時に前記隙間が埋まって前記ロアレールと当接し荷重を受け始める剥離防止面を備える
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載のシートスライド装置。
【請求項5】
前記剥離防止部は、
前記被係止面からロアレールの底部側に延出する縦壁面と、
該縦壁面からロアレールの長手方向に延出し前記弾性復元力によりロアレールに押し当たる押当面と、
該押当面から延出する前記剥離防止面と
を備える
ことを特徴とする請求項3に従属する請求項4記載のシートスライド装置。
【請求項6】
前記押当面は前記ロアレールの底部上面に押し当たり、
前記剥離防止面はロアレールに形成した孔を貫通して延出しロアレールの底部下面に当接可能である
ことを特徴とする請求項5記載のシートスライド装置。
【請求項7】
前記縦壁面には前記係止部が通過できる切り欠き部が形成されている
ことを特徴とする請求項5記載のシートスライド装置。
【請求項8】
前記剥離防止部が弾性部であり、
前記縦壁面は前記係止部が当接することでスライド範囲を所定量で規制するストッパとして機能することを特徴とする請求項5記載のシートスライド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロア側に設けられるロアレールと、該ロアレールに移動可能に係合し、シートが設けられるアッパレールとを有するシートスライド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フロア側に設けられるロアレールと、該ロアレールに移動可能に係合し、シートが設けられるアッパレールとを有するシートスライド装置において、ロアレールの両端は、ボルトを用いてフロアに固定されており、そのボルトの頭は、ロアレールの内部底面上に突出している。
【0003】
よって、ライターや筆記用具等の異物がロアレールの内部に入り込んだ場合、シートを例えば後方へ移動させると、アッパレールの後端面に押されて、異物が後方に移動し、最終的には、アッパレールの後端面とボルトの頭の側面とに挟まれて、異物の破損が発生することがある。
【0004】
このような異物の破損を防止するために、ボルトの頭部に隣接して設けられ、アッパレールに押された異物をボルトの頭の頂部まで案内する斜面を有する異物排出部材を備えるシートスライド装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−359072
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、シートスライド装置においては、衝突時に発生する荷重により、アッパレールがロアレールより剥離する事態を防止することが要求される。
【0007】
アッパレールのロアレールからの剥離を防止するためには、以下のような手段がある。
【0008】
(1) ロアレールと、ロアレールに係合するアッパレールとの材質を高強度なものを選定したり、ロアレール、アッパレールの板厚を厚くしたりして、剥離強度を高くする。
【0009】
(2) ロアレールと、アッパレールとに、剥離荷重が作用すると係合して、アッパレールのロアレールからの剥離を防止する部材を設ける。
【0010】
しかし、(1)、(2)の手段では、いずれもコストが高くなるという問題点がある。さらに、(2)の手段では、組み付け工数もかかり、製造コストが高くなる問題点がある。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、低コストで異物排出機能と剥離防止機能とを兼ね備えたシートトラック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映したシートトラック装置は、フロア側に設けられるロアレールと、該ロアレールに移動可能に係合し、シートが設けられるアッパレールと、を有するシートスライド装置において、前記ロアレール内に突設された突出物より前記アッパレールの移動方向における前記ロアレールの中央側に位置し、前記突出物と前記アッパレール端との間に位置できる異物排出面を備える異物排出部と、アッパレール側に形成された係止部に上下方向で対向する被係止面を備える剥離防止部とからなる異物排出/剥離防止部材を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の他の特徴は、以下に述べる発明を実施するための形態並びに添付の図面から一層明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0014】
本発明のシートトラック装置によれば、異物排出機能と剥離防止機能とを簡単な構成により両立できる。
【0015】
本発明の他の効果は、以下に述べる発明を実施するための形態並びに添付の図面から一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態のシートスライド装置の分解斜視図である。
図2図1のロアレールを除く各部品を組み立てた状態での矢印II方向矢視図である。
図3図2の切断線III−IIIでの断面図である。
図4図3の切断線IV−IVでの切断部端面図である。
図5図3の切断線V−Vでの切断部端面図である。
図6図3の切断線VI−VIでの切断部端面図である。
図7】補強部材と異物排出/剥離防止部材とを説明する分解斜視図である。
図8】アッパレール剥離荷重が作用した場合を説明する図である。
図9】アッパレールとロアレールとの噛み合いによる剥離防止と、剥離防止部材による剥離防止とが同じタイミングで作用する場合を説明する図である。
図10】剥離防止部材による剥離防止が、アッパレールとロアレールとの噛み合いによる剥離防止より遅れて作用する場合を説明する図である。
図11】他の実施形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
最初に、実施形態のシートスライド装置の発明部分以外の全体構成を説明する。
(シートスライドレール)
図1図5を用いて説明する。図1は本実施形態のシートスライド装置の分解斜視図、図2図1のロアレールを除く各部品を組み立てた状態での矢印II方向矢視図、図3図2の切断線III−IIIでの断面図、図4図3の切断線IV−IVでの切断部端面図、図5図3の切断線V−Vでの切断部端面図、図6図3の切断線VI−VIでの切断部端面図である。
【0018】
シートスライド装置は、シートとフロアとの間に一組設けられるが、構造は同じであるので、一方のシートスライド装置の構造を説明し、他方のシートスライド装置の構造は省略する。
【0019】
図1図3図6に示すように、シートスライドレール1は、フロア側に設けられるロアレール3と、ロアレール3に移動可能に係合し、シートが設けられるアッパレール5とからなっている。
【0020】
ロアレール3は、フロアと対向する底部3aと、底部3aの両側から折曲され、上方に延びる第1側壁部3b、第2側壁部3cと、第1側壁部3b、第2側壁部3cの上部から折曲し、底部3aと平行で、互いに近づく方向に延びる第1天部3d、第2天部3eと、第1天部3d、第2天部3eの先端部から折曲し、下方に向かって延びる第1垂下部3f、第2垂下部3gとからなっている。
【0021】
ロアレール3の後部の底部3aには、穴3j(図3図5参照)、穴3k(図3図6参照)が設けられ、穴3jには、フロアに対するロアレール3の位置決めを行うピン10が、穴3kには、フロアに対してロアレール3を固定するピン12がそれぞれ挿通する。
【0022】
アッパレール5は、シートクッションの底部と対向する天部5aと、天部5aの両側から折曲し、ロアレール3の第1垂下部3f、第2垂下部3gとの間の空間へ延びる第1垂下部5b、第2垂下部5cと、第1垂下部5b、第2垂下部5cの下部から折曲し、天部5aと平行で、互いに離反する方向に延びる第1底部5d、第2底部5eと、第1底部5dの先端から折曲し、ロアレール3の第1側壁部3b、第1天部3d、第1垂下部3fで囲まれた空間へ延出する第1跳ね上げ部5f、第2底部5eの先端から折曲し、ロアレール3の第2側壁部3c、第2天部3e、第2垂下部3gで囲まれた空間へ延出する第2跳ね上げ部5gからなっている。
【0023】
そして、ロアレール3の第1側壁部3bと、アッパレール5の第1跳ね上げ部5fとの間、及びロアレール3の第2側壁部3cと、アッパレール5の第2跳ね上げ部5gとの間に設けられ、リテーナ8により回転可能に保持された鋼球7により、アッパレール5はロアレール3に対して滑らかな前後方向への移動が可能となっている。
【0024】
さらに、ロアレール3の前端部、後端部には、カバー11、カバー13が装着されている。
【0025】
また、アッパレール5の後端部には、カバー15が装着されている。
【0026】
アッパレール5の天部5aには、シートクッション取り付け用のブラケット(図示せず)を取り付けるためのピン17、ピン18、ピン19、ピン20が挿通する穴5p、穴5q、穴5r、穴5sが形成されている。
(シートスライドロック)
図1図3を用いて、アッパレール5のロアレール3に対する移動をロック/アンロックする内蔵スライドロックの説明を行う。
【0027】
ロアレール3の第1垂下部3f、第2垂下部3gには、深さ方向がアッパレール5の移動方向と交差する方向の第1ロア切り欠き3h、第2ロア切り欠き3iがロアレール3の長手方向に沿って複数形成されている。
【0028】
アッパレール5の第1跳ね上げ部5f、第1垂下部5bの長手方向の中央部には、深さ方向がアッパレールの移動方向と交差する方向の複数(本実施形態では4つ)の第1アッパ切り欠き5hが、第1跳ね上げ部5f、第1垂下部5bに形成された第1ロック部5iに形成されている。
【0029】
また、アッパレール5の第2跳ね上げ部5g、第2垂下部5cの長手方向の中央部には、深さ方向がアッパレールの移動方向と交差する方向の複数(本実施形態では4つ)の第2アッパ切り欠き5jが、第2跳ね上げ部5g、第2垂下部5cに形成された第2ロック部5kに形成されている。
【0030】
尚、本実施形態では、第1ロック部5i、第2ロック部5kを形成したことによるアッパレール5の強度低下を補強するために、補強部材(リインフォースメント)51が設けられている。補強部材51は、アッパレール5の天部5aに当接する天部51aと、アッパレール5の第1垂下部5bに当接可能な第1垂下部51bと、アッパレール5の第2垂下部5cに当接可能な第2垂下部51cとを有している。
【0031】
アッパレール5の天部5aと、第1垂下部5bと、第2垂下部5cとで囲まれた空間内には、ロック部材が設けられている。本実施形態のロック部材は、可撓性を有する線材(例えば、ばね鋼鋼材)を折り曲げてなるロックばね21と、ロックレバー23とからなっている。
【0032】
ロックばね21は、アッパレール5の第1垂下部5bに沿って配置される第1延出部21aと、アッパレール5の第2垂下部5cに沿って配置される第2延出部21bと、第1延出部21a、第2延出部21bの一方の端部(車両の前後方向において、後ろ側の端部)を接続する接続部21cとからなる細長い略U字形となっている。
【0033】
第1延出部21aの一端部側は、アッパレール5の第1垂下部5bに形成された上下方向に延びる第1ツメ部5l(図2参照)により、アッパレール5に支持されている。また、第2延出部21bの一端部側は、アッパレール5の第2垂下部5cに形成された上下方向に延びる第2ツメ部5m(図2参照)により、アッパレール5に支持されている。
【0034】
第1延出部21aの中間部には、車両の幅方向に突出し、アッパレール5の第1アッパ切り欠き5h、ロアレール3の第1ロア切り欠き3hに係脱可能な第1係合部21dが形成されている。第2延出部21bの中間部には、車両の幅方向に突出し、アッパレール5の第2アッパ切り欠き5j、ロアレール3の第2ロア切り欠き3iに係脱可能な第2係合部21eが形成されている。
【0035】
アッパレール5の第1垂下部5bに形成された上下方向に延びる第3ツメ部5n(図2図3参照)により、第1延出部21aの他方の端部(車両の前後方向において、前側の端部)と、第1係合部21dとの間の部分が、アッパレール5に支持されている。また、アッパレール5の第2垂下部5cに形成された上下方向に延びる第4ツメ部5o(図2参照)により、第2延出部21bの他方の端部(車両の前後方向において、前側の端部)と、第2係合部21eとの間の部分が、アッパレール5に支持されている。
【0036】
さらに、第1延出部21aの第3ツメ部5nから他方の端部までは、所謂片持ちはり状となっている。また、第2延出部21bの第4ツメ部5oから他方の端部までは、所謂片持ちはり状となっている。
【0037】
4つのツメによりアッパレール5に支持されるロックばね21は、自然状態では、第1係合部21dは、アッパレール5の第1アッパ切り欠き5h、ロアレール3の第1ロア切り欠き3hに係合している。また、第2係合部21eは、アッパレール5の第2アッパ切り欠き5j、ロアレール3の第2ロア切り欠き3iに係合している。このため、アッパレール5のロアレール3に対する移動がロックされている。
【0038】
また、可撓性を有するロックばね21は、上下方向に延びる各ツメによりアッパレール5に支持されていることにより、アッパレール5の長手方向(水平方向)に移動可能である。 よって、ロックばね21の第1延出部21aの第1ツメ部5lと、第3ツメ部5nとで支持された箇所の間、および/または、ロックばね21の第2延出部21bの第2ツメ部5mと、第4ツメ部5oとで支持された箇所の間に、下方向の力を作用させると、ロックばね21は、水平方向に移動しつつ、下方向に撓む。よって、ロックばね21の第1係合部21dは、アッパレール5の第1アッパ切り欠き5h、ロアレール3の第1ロア切り欠き3hから離脱し、第2係合部21eは、アッパレール5の第2アッパ切り欠き5j、ロアレール3の第2ロア切り欠き3iから離脱し、アッパレール5のロアレール3に対する移動がアンロックされる。
【0039】
ロックばね21に作用していた下方向の力が無くなると、ロックばね21は自然状態に復帰し、アッパレール5のロアレール3に対する移動をロックする。
【0040】
アッパレール5の天部5aの内壁面と、ロックばね21との間には、ロックレバー23が挿入配置されている。
【0041】
ロックレバー23の中間部には、アッパレール5の天部5aの内壁に当接する突部23aが形成されている。
【0042】
ロックレバー23の一方の端部側は、ロックばね21の第1延出部21aの第1ツメ部5lと、第3ツメ部5nとで支持された箇所の間、及び、ロックばね21の第2延出部21bの第2ツメ部5mと、第4ツメ部5oとで支持された箇所の間を押接する押し部23bが形成されている。本実施形態の押し部23bは、ロックばね21の第1係合部21d、第2係合部21eに当接するように形成されている。
【0043】
ロックレバー23の他方の端部側の下部には、ロックばね21に押接し、ロックばね21の他方の端部が係合する係合溝23cが形成されている。
【0044】
そして、ロックレバー23の他方の端部には、取付部材25を介して、ループハンドル27の一方の端部が取り付けられる。ループハンドル27の中間部は、シートの前部に配置され、他方の端部は、他方のシートスライド装置のシートスライドロックのロックレバーに接続されている。よって、ループハンドル27の中間部を昇降させることにより、一組のシートスライド装置のシートスライドロックを操作することができる。
【0045】
このような構成により、ロックレバー23が突部23aを中心に回転し、その押し部23bが下方に移動して、ロックばね21の第1係合部21d、第2係合部21eを下方に押すと、ロックばね21はたわみ、その第1係合部21dは、アッパレール5の第1アッパ切り欠き5h、ロアレール3の第1ロア切り欠き3hから離脱し、その第2係合部21eは、アッパレール5の第2アッパ切り欠き5j、ロアレール3の第2ロア切り欠き3iから離脱し、アッパレール5のロアレール3に対する移動がアンロックされる。
【0046】
ロックレバー23を回転させる力を解除すると、たわんだロックばね21が元の形状に復元する。よって、ロックばね21の第1係合部21dは、アッパレール5の第1アッパ切り欠き5h、ロアレール3の第1ロア切り欠き3hに係合し、第2係合部21eは、アッパレール5の第2アッパ切り欠き5j、ロアレール3の第2ロア切り欠き3iに係合し、アッパレール5のロアレール3に対する移動がロックされる。さらに、ロックばね21が元形状に復元することにより、回転したロックレバー23も元位置に回転復帰する。
(異物排出/剥離防止部材)
次に、図1図3図7を用いて発明部分である異物排出/剥離防止部材を説明する。図7は補強部材と異物排出/剥離防止部材とを説明する分解斜視図である。
【0047】
補強部材51の天部51aには、アッパレール5の天部5aに設けられた穴5qに対向する穴51dが形成されている。そして、補強部材51は、補強部材51の穴51d、アッパレール5の穴5qを挿通し、図示しないシートクッション取り付け用のブラケットを取り付けるピン18を用いて、アッパレール5に取り付けられる。
【0048】
ロアレール3の後端部の底部3aには、異物排出/剥離防止部材61が取り付けられる。本実施形態の異物排出/剥離防止部材61は、ばね鋼からなる板材を折り曲げてなっている。
【0049】
異物排出/剥離防止部材61は、異物排出部63と剥離防止部65とからなっている。
【0050】
異物排出部63は、ロアレール3の底部3aに配置され、ロアレール3の穴3jと対向し、異物排出/剥離防止部材61のロアレール3の長手方向において中間部に位置する穴63aが形成されている。そして、異物排出/剥離防止部材61は、ロアレール3の穴3j、異物排出/剥離防止部材61の穴63aを挿通するピン10をかしめることにより、ロアレール3の底部3aに取り付けられている。穴63aを挿通するピン10の頭部10aより前側には、突部63bが形成されている。この突部63bの高さは、ピン10の頭部10aの頂部より高く設定されている。そして、突部63bの第1斜面63cは、ロアレール3内に突設された突出物(ピン10の頭部10a)とアッパレール5の端(後端)との間に位置できるように設置した異物排出面として機能する。
【0051】
剥離防止部65は、異物排出部63の穴63aを介して一方の側(後方側)に形成され、穴63aの後部から後方に向かって斜め上方に立ち上がり、第2斜面65a(異物排出面)を有する傾斜部65bと、傾斜部65bの上端からロアレール3の底部3aと略水平となるように折曲し、下面に被係止面65cが形成された頂部65dと、頂部65dの後端より折曲し、ロアレール3の底部3a方向に延出した縦壁部65eと、縦壁部65eの下端から折曲し、ロアレール3の長手方向で前方に向かって延出した押当部65fを有している。
【0052】
異物排出/剥離防止部材61は、ばね鋼からなる板材を折り曲げてなるので弾性を有する弾性部として機能し、また、異物排出/剥離防止部材61の長手方向の中間部がピン10でロアレール3の底部3aにかしめ止めされているので、ピン10(穴63a)を介して後方に形成された剥離防止部65の押当部65fの下面は、その弾性復元力でロアレール3の底部3aに押接する押当面65gとなっている。
【0053】
ロアレール3の底部3aには、異物排出/剥離防止部材61の剥離防止部65が挿通可能な穴3l(図3参照)が形成されている。
【0054】
さらに、剥離防止部65は、押当部65fの前端からロアレール3の穴3lを挿通する略U字形の剥離防止機能部65hを有している。この剥離防止機能部65hは、常時はロアレール3の底部3の下面との間に隙間を持って対向する剥離防止面65iを有している。
【0055】
次に、本実施形態では、アッパレール5に設けられる補強部材51に、異物排出/剥離防止部材61の剥離防止部65の被係止面65cに上下方向で対向する係止部を形成している。具体的には、補強部材51に、その両側部からロアレール3の底部3a方向に延出する第1アーム部51e、第2アーム部51fと、第1アーム部51eの先端から折曲し、剥離防止部65の被係止面65cに、常時は上下方向で隙間を持って対向する第1係止部51gと、第2アーム部51fの先端から折曲し、剥離防止部65の被係止面65cに、常時は上下方向で隙間を持って対向する第2係止部51hとからなっている。
【0056】
尚、本実施形態では、異物排出/剥離防止部材61の縦壁部65eには、第1アーム部51e、第2アーム部51f、第1係止部51g、第2係止部51hが干渉しないように、第1切り欠き65j、第2切り欠き65k(図4図7参照)が形成されている。
【0057】
そして、ライターや筆記用具等の異物がロアレール3の内部に入り込んだ場合、シートを後方へ移動させると、アッパレール5の後端面に押されて、異物が後方に移動し、異物排出/剥離防止部材61の第1斜面63c、第2斜面65a上を移動することにより、アッパレール5の後端面とピン10の頭部の側面とに挟まれることなく、スムーズにロアレール3の外部に排出される。
【0058】
次に、上記構成のシートスライド装置のアッパレール5に、ロアレール3から剥離するような力(以下、剥離荷重という)が作用した時の作動を図8を用いて説明する。図8はアッパレール5に剥離荷重が作用した場合を説明する図である。
【0059】
アッパレール5に剥離荷重が作用すると、先ず、アッパレール5が上方に移動し、アッパレール5の第1跳ね上げ部5f、第2跳ね上げ部5gの先端部が、ロアレール3の第1天部3d、第2天部3eの内面に当接し、この当接部分から剥離荷重はロアレール3に伝達され、剥離を防止しようとする(以下、アッパレール5とロアレール3との噛み合いによる剥離防止という)。
【0060】
剥離荷重が大きく、アッパレール5がさらに上方へ移動すると、アッパレール5に設けられた係止部としての補強部材51の第1係止部51g、第2係止部51hが、ロアレール3に設けられた被係止面としての異物排出/剥離防止部材61の剥離防止部65の被係止面65cに当接し、この当接部分からも剥離荷重はロアレール3に伝達され、それ以上のアッパレール5の移動が防止される(以下、異物排出/剥離防止部材61による剥離防止という)。
【0061】
上記構成によれば、以下のような効果が得られる。
【0062】
(1) ロアレール3に異物排出/剥離防止部材61を設けたことにより、異物排出機能と剥離防止機能とを簡単な構成で両立できる。
【0063】
(2) ロアレール3の後端部に、異物排出/剥離防止部材61を設けた。即ち、ロアレール3の後端部に、異物排出/剥離防止部材61の被係止面65cがあることにより、アッパレール5の剥離荷重に伴う移動量を小さくでき、剥離を効果的に抑止できる。
【0064】
(3) 異物排出/剥離防止部材61は、ばね鋼からなる板材を折り曲げてなるので弾性を有する弾性部として機能し、また、異物排出/剥離防止部材61の長手方向の中間部がピン10でロアレール3の底部3aにかしめ止めされているので、異物排出/剥離防止部材61はその弾性復元力でロアレール3の底部に押接する。よって、異物排出/剥離防止部材61とロアレール3との間のガタを抑制でき、他部材(ボルト、リベット 等)や他作業(溶接、接着 等)を必要としない。
【0065】
(4) 異物排出/剥離防止部材61の剥離防止機能部65hの剥離防止面65iは、常時はロアレール3の底部3の下面との間に隙間を持って対向している。よって、最初に、アッパレール5とロアレール3との噛み合いにより剥離防止がなされ、遅れて、剥離防止部材61により剥離防止がなされる。
【0066】
図9図10を用いて説明する。図9はアッパレール5とロアレール3との噛み合いによる剥離防止と、異物排出/剥離防止部材61による剥離防止とが同じタイミングで作用する場合を説明する図、図10は異物排出/剥離防止部材61による剥離防止が、アッパレール5とロアレール3との噛み合いによる剥離防止より遅れて作用する場合を説明する図である。
【0067】
各図において、縦軸はアッパレール5に作用する剥離荷重、横軸はアッパレール5のロアレール3に対する変位量(剥離量)を示している。また、破線は、アッパレール5とロアレール3との噛み合いだけによる剥離荷重とアッパレール5の剥離量との関係を示している。
【0068】
図9に示すように、アッパレール5とロアレール3との噛み合いによる剥離防止と、異物排出/剥離防止部材61による剥離防止とが同じタイミングで作用する場合、最初は、アッパレール5とロアレール3との噛み合いによる剥離防止と、剥離防止部材65による剥離防止との2つの剥離防止が作用するので、少ないアッパレール5の変位量で、大きな剥離荷重に耐えるが、アッパレール5の変位がxになると、剥離防止部材65の縦壁部65eが破断する。よって、破断した後は、アッパレール5とロアレール3との噛み合いだけによる剥離防止となり、破線に示した関係と同じになる。
【0069】
しかし、本実施形態では、図10に示すように、異物排出/剥離防止部材61による剥離防止が、アッパレール5とロアレール3との噛み合いによる剥離防止より遅れて作用する。よって、最初は、アッパレール5とロアレール3との噛み合いだけによる剥離防止、即ち、破線で示した関係であるが、アッパレール5の変位がyになると、異物排出/剥離防止部材61による剥離防止が作用し、破線よりも大きな剥離加重に耐えるようになり、最大破壊強度の向上を図れる。
【0070】
(5) 剥離防止部65は、下面に被係止面65cが形成された頂部65dと、頂部65dの後端より折曲し、ロアレール3の底部3a方向に延出した縦壁部65eと、縦壁部65eの下端から折曲し、ロアレール3の長手方向で前方に向かって延出した押当部65fと、押当部65fの前端からロアレール3の穴3lを挿通する略U字形の剥離防止機能部65hを有している。よって、剥離防止部を単一の部材で簡易に構成できる。
【0071】
(6) 剥離防止部65は、押当部65fの前端からロアレール3の穴3lを挿通する略U字形の剥離防止機能部65hを有している。この剥離防止機能部65hは、常時はロアレール3の底部3の下面との間に隙間を持って対向する剥離防止面65iを有している。
【0072】
よって、簡易な構成でロアレール3との当接関係を実現でき、またフロアへの荷重伝達効率も良い。
【0073】
(7) 異物排出/剥離防止部材61の縦壁部65eに、第1切り欠き65j、第2切り欠き65k(図4図7参照)を形成したことにより、異物排出/剥離防止部材61の縦壁部65eと、補強部材51の第1アーム部51e、第2アーム部51f、第1係止部51g、第2係止部51hとが干渉しない。
【0074】
これにより、第1係止部51g、第2係止部51hの前後長を適宜延長することで、剥離防止範囲を延長できる。
【0075】
(8) アッパレール5に剥離力が作用し、アッパレール5が上方に剥離すると、図8に示すように、アッパレール5の第1垂下部5bと、第2垂下部5cとが、天部5a側を支点として互いに近づく方向に変形する。このため、補強部材51の第1アーム部51e、第1係止部51gと、第2アーム部51f、第2係止部51hも近づく方向に変形する。よって、第1係止部51g、第2係止部51hと、異物排出/剥離防止部材61の頂部65dの被係止面65cとの当接面積が増え、剥離強度が向上する。
【0076】
さらに、補強部材51の第1アーム部51e、第2アーム部51fが、異物排出/剥離防止部材61の頂部65dに当接することで、アッパレール5の第1垂下部5bと、第2垂下部5cの過度な変形を防止できる。
【0077】
尚、本発明は、上記実施形態に限定するものではない。
【0078】
(1) 上記実施形態では、異物排出/剥離防止部材61の縦壁部65eに、第1切り欠き65j、第2切り欠き65kを形成した。しかし、図11に示すように、異物排出/剥離防止部材61の縦壁部65eに、第1切り欠き65j、第2切り欠き65kを形成せず、ロアレール3に設けられた異物排出/剥離防止部材61の縦壁部65eにアッパレール5に設けられた補強部材51の第1アーム部51e、第2アーム部51f、第1係止部51g、第2係止部51hを当てるように設定し、ロアレール3に設けられた異物排出/剥離防止部材61の縦壁部65eをアッパレール3のスライド範囲を所定量で規定するストッパとして機能させてもよい。この場合、異物排出/剥離防止部材61は、ばね鋼でなっているので、ストッパ作動時に発生する衝撃音を低下させることができる。
【0079】
(2) 異物排出/剥離防止部材61の押当部65fの押当面65gは、ロアレール3の底部3aに押接するようにしたが、押し当てる対象としては、ロアレール3の底部3a以外に、ロアレール3に形成したL字状突出部やロアレール3に別途取り付けたブラケットでも良い。
【0080】
(3) 上記実施形態では、第1係止部51g、第2係止部51hを補強部材51に形成したが、アッパレール5に形成してもよい。即ち、第1係止部51g、第2係止部51hは、補強部材(アッパレール5に取り付けられた部材)に形成される形態に限定されない。
【符号の説明】
【0081】
3 ロアレール
5 アッパレール
10a ピンの頭部
51g 第1係止部
51h 第2係止部
61 異物排出/剥離防止部材
63 異物排出部
63c、65a 異物排出面
65 剥離防止部
65c 被係止面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11