特許第6358905号(P6358905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝テック株式会社の特許一覧

特許6358905消色装置、記録媒体の再利用管理方法、プログラム
<>
  • 特許6358905-消色装置、記録媒体の再利用管理方法、プログラム 図000002
  • 特許6358905-消色装置、記録媒体の再利用管理方法、プログラム 図000003
  • 特許6358905-消色装置、記録媒体の再利用管理方法、プログラム 図000004
  • 特許6358905-消色装置、記録媒体の再利用管理方法、プログラム 図000005
  • 特許6358905-消色装置、記録媒体の再利用管理方法、プログラム 図000006
  • 特許6358905-消色装置、記録媒体の再利用管理方法、プログラム 図000007
  • 特許6358905-消色装置、記録媒体の再利用管理方法、プログラム 図000008
  • 特許6358905-消色装置、記録媒体の再利用管理方法、プログラム 図000009
  • 特許6358905-消色装置、記録媒体の再利用管理方法、プログラム 図000010
  • 特許6358905-消色装置、記録媒体の再利用管理方法、プログラム 図000011
  • 特許6358905-消色装置、記録媒体の再利用管理方法、プログラム 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6358905
(24)【登録日】2018年6月29日
(45)【発行日】2018年7月18日
(54)【発明の名称】消色装置、記録媒体の再利用管理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20180709BHJP
【FI】
   G03G21/00 574
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-180980(P2014-180980)
(22)【出願日】2014年9月5日
(65)【公開番号】特開2016-57333(P2016-57333A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(72)【発明者】
【氏名】松本 一男
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−010239(JP,A)
【文献】 特開2014−074929(JP,A)
【文献】 特開2008−009021(JP,A)
【文献】 特開2004−051232(JP,A)
【文献】 特開平07−020750(JP,A)
【文献】 特開平10−161493(JP,A)
【文献】 特開平10−337937(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0065056(US,A1)
【文献】 特開2010−271555(JP,A)
【文献】 特開2005−274616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の画像を読取る読取部と、
記録媒体の画像を消色する消色処理を記録媒体に行う消色部と、
記録媒体を前記読取部から前記消色部に搬送し、消色処理後に記録媒体を再び前記読取部に搬送する搬送部と、
消色処理前および消色処理後の記録媒体の画像を前記読取部により読み取り、消色処理前の記録媒体の画像に基づき消色処理前の記録媒体の地色を判定し、消色処理後の記録媒体の画像に基づき消色処理後の記録媒体の地色を判定し、記録媒体の消色処理前の地色と消色処理後の地色とが一致するか否かを判定し、前記判定結果に基づいた処理を遂行する制御部と、を有する
消色装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御部は、消色処理前の記録媒体の地色を、消色処理前の記録媒体の画像に基づき記録媒体の縁部分の領域である余白領域から判定し、消色処理後の記録媒体の地色を、消色処理後の記録媒体の画像に基づき記録媒体の余白領域を除いた領域である余白以外領域から判定する
消色装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記制御部は、消色処理後の記録媒体の画像に基づき消色処理後の記録媒体の余白以外領域が白色であるか否かを判定し、
余白以外領域が白色である場合、第1の処理を行い、
余白以外領域が白色ではない場合において、消色処理前の記録媒体の画像に基づき余白領域から判定する消色処理前の記録媒体の地色と、消色処理後の記録媒体の画像に基づき余白以外領域から判定する消色処理後の記録媒体の地色とが一致する場合、前記第1の処理を行い、不一致の場合、第2の処理を行う消色装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記制御部は、
記録媒体の地色として白色以外の色の指定を受け付け可能な地色受付画面を表示部に表示して記録媒体の地色の指定を受け付け、
消色処理後の記録媒体の余白以外領域が白色ではない場合、前記地色受付画面にて受け付けた記録媒体の地色と、消色処理後の記録媒体の画像に基づき余白以外領域から判定する消色処理後の記録媒体の地色とが一致するか否かを判定し、
一致する場合、前記第1の処理を行い、
不一致の場合において、消色処理前の記録媒体の画像に基づき余白領域から判定する消色処理前の記録媒体の地色と、消色処理後の記録媒体の地色とが一致する場合、前記第1の処理を行い、不一致の場合、前記第2の処理を行う消色装置。
【請求項5】
地色の識別情報が配置された記録媒体の画像を読取る読取部と、
記録媒体の画像を消色する消色処理を記録媒体に行う消色部と、
記録媒体を前記読取部から前記消色部に搬送し、消色処理後に記録媒体を再び前記読取部に搬送する搬送部と、
消色処理前および消色処理後の記録媒体の画像を前記読取部により読み取り、消色処理前の記録媒体の画像から前記識別情報を読み取り、消色処理前の前記記録媒体の地色として前記識別情報に対応する地色を取得し、消色処理後の記録媒体の画像に基づき消色処理後の記録媒体の地色を判定し、消色処理前の記録媒体の地色と消色処理後の記録媒体の地色とが一致するか否かを判定し、前記判定結果に基づいた処理を遂行する制御部と、を有する
消色装置。
【請求項6】
記録媒体の画像を読取る読取部と、記録媒体の画像を消色する消色処理を記録媒体に行う消色部と、前記記録媒体を前記読取部から前記消色部に搬送し消色処理後に記録媒体を再び前記読取部に搬送する搬送部と、を有する消色装置を用いた記録媒体の再利用管理方法であって、
消色処理前および消色処理後の記録媒体の画像を前記読取部により読み取り、
消色処理前の記録媒体の画像から記録媒体の地色の識別情報を読み取り、
消色処理前の前記記録媒体の地色として前記識別情報に対応する地色を取得し、
消色処理後の記録媒体の画像に基づき消色処理後の記録媒体の地色を判定し、
消色処理前の記録媒体の地色と消色処理後の記録媒体の地色とが一致するか否かを判定し、
前記判定結果に基づいた処理を遂行する
記録媒体の再利用管理方法。
【請求項7】
記録媒体の画像を読取る読取部と、記録媒体の画像を消色する消色処理を記録媒体に行う消色部と、記録媒体を前記読取部から前記消色部に搬送し消色処理後に記録媒体を再び前記読取部に搬送する搬送部と、を有する消色装置で実行するプログラムであって、
消色処理前および消色処理後の記録媒体の画像を前記読取部により読み取り、
消色処理前の記録媒体の画像に基づき消色処理前の記録媒体の地色を判定し、
消色処理後の記録媒体の画像に基づき消色処理後の記録媒体の地色を判定し、
記録媒体の消色処理前の地色と消色処理後の地色とが一致するか否かを判定し、
前記判定結果に基づいた処理を遂行する
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書に記載の実施形態は、消色装置での記録媒体の再利用管理制御技術に関し、特に、白色以外の記録媒体の印刷画像を消色する場合の再利用管理制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、消色トナーで画像形成された記録媒体(用紙)は、再利用するために消色装置で画像が消色される。消色装置は、用紙を消色部に搬送してトナーの消色処理を遂行した後、消色が完了しているかを判別し、所定水準まで消色されたものを再利用トレイに排紙することで、記録媒体の品質を維持・管理している。消色装置では、この消色完了の有無の判別を、消色動作後に再度スキャナで用紙の画像を読み込むことで行うが、一般的に地色が白色の用紙に対応していることが多い。そのため、地色が白色以外の用紙を消色装置で消色した場合、消色トナーが十分に消色されたにもかかわらず、地色を検出してしまい、消色が完了していないと誤判定し、本来再利用できる用紙が再利用トレイに排紙されなかったり、そのような消色の結果が保管用あるいは履歴データとして記録、保存されてしまう欠点(問題点)がある。
【0003】
このような従来技術を開示したものとして、下記特許文献1が知られており、これは、画像有無検知部により用紙の色が白色か否かを判別し別々に貯留するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−271555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来技術では、再利用したい白以外の記録媒体、例えば白色以外の地色の無塵紙などを、消色できなかったと誤判定し再利用することができない。
【0006】
実施形態は、地色が白色以外の記録媒体を消色する際の誤検知の発生を抑止して再利用に供することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の消色装置は、記録媒体の画像を読取る読取部と、
記録媒体の画像を消色する消色処理を記録媒体に行う消色部と、
記録媒体を前記読取部から前記消色部に搬送し、消色処理後に記録媒体を再び前記読取部に搬送する搬送部と、
消色処理前および消色処理後の記録媒体の画像を前記読取部により読み取り、消色処理前の記録媒体の画像に基づき消色処理前の記録媒体の地色を判定し、消色処理後の記録媒体の画像に基づき消色処理後の記録媒体の地色を判定し、記録媒体の消色処理前の地色と消色処理後の地色とが一致するか否かを判定し、前記判定結果に基づいた処理を遂行する制御部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】各実施形態の消色装置の構成図である。
図2】各実施形態の消色装置のブロック図である。
図3】第1実施形態の用紙の各領域を示す図である。
図4】実施形態の消色装置の動作フローチャートである。
図5】第2実施形態を示し、地色情報の設定モードを選択する画面を示す図である。
図6】第2実施形態の地色を設定する画面の一例である。
図7】地色を設定する画面の他の一例である。
図8】第3実施形態のシステム構成例を示す図である。
図9】第3実施形態の用紙の構成の一例を示す図である。
図10】第3実施形態の地色識別情報の一例を示す図である。
図11】第4実施形態の地色判定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態の消色装置は、記録媒体としての用紙上の画像を読取る読取部と、用紙上の画像を消色する消色部と、用紙を読取部から消色部に搬送し再び読取部に搬送する搬送部と、消色部による消色に先立って、用紙の地色情報を取得する地色情報取得部と、地色情報取得部で取得された消色前の用紙の地色と、読取部で読み取られた消色後の画像とを比較し、該比較結果に基づいた処理を遂行する制御部と、を有する。
【0010】
ここで、地色情報取得部地色情報を取得する構成として、
(1)消色の処理前に読取部で読み取られた画像から用紙の地色情報を取得する構成、
(2)消色実行の際にユーザが用紙の地色を設定し、該設定された地色情報を取得する構成、に大別される。(2)の構成は、消色装置にセットする用紙の地色が全て同一の場合などに好適である。
【0011】
さらに、上記(1)の構成は、
(1−1)読取部で読み取られた画像から用紙の余白領域の地色を判別して地色情報を取得する構成、
(1−2)記録媒体上に、該媒体の地色の識別情報を配置し、かかる識別情報を読み取ることで地色情報を取得する構成
が挙げられる。
【0012】
以下、図面を参照しつつ、(1−1)の構成を第1実施形態で、(2)の構成を第2実施形態で、(1−2)の構成を第3実施形態で、これらを全て備えた構成を第4実施形態で、それぞれ詳細に説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、消色装置の構成図である。第1実施形態の消色装置100は、各種画像(印字情報)が形成された用紙(記録媒体)の画像を消色し、用紙の再利用を可能とする。消色装置100は、給紙部10、第1の搬送路11、第2の搬送路12、第1の読取部13A、第2の読取部13B、消色部15、搬送ローラ16、経路変更部(切替部)17、第1の排紙部19、第2の排紙部20を有する。
【0014】
給紙部10は、再利用しようとする用紙Pの画像を消色するために消色装置100の内部へ給紙する。給紙部10は、給紙トレイ22及びピックアップローラ18を有する。給紙トレイ22は、用紙Pを積載する。ピックアップローラ18は、給紙トレイ10 から用紙Pを1枚ずつ取り出し、第1の搬送路11へ送り出す。
【0015】
第1の搬送路11、第2の搬送路12は、複数の搬送ローラ16を有し、搬送ローラ16は駆動ローラと従動ローラの対で構成される。第1の搬送路11は、一対の第1の読取部13A、及び第2の読取部13Bを有する。第1の読取部13A及び第2の読取部13Bは二次元CCDスキャナを有する。第1の読取部13Aは、給紙部10から搬送されてくる用紙Pの片面を読み取り、第2の読取部13Bは第1の読取部13Aの読み取る面の反対側の面を読み取る。第1の読取部13A及び第2の読取部13Bで読み取った画像は、記憶部であるRAM(Random Access Memory)203に保存される(図2参照)。第1の読取部13A及び第2の読取部13Bで読み取った画像の保存先は、RAM203に限らず、不図示のHDD(Hard disk drive)等の他の記憶媒体であってもよい。
【0016】
第1の読取部13A及び第2の読取部13Bで読み取った画像は、消色装置100のRAM203への保存に限らず、クライアントPC101のRAM302やプリンタ102のRAM402に保存するようにしてもよい。また、使用者を個人認証するため、ログイン、ログアウト機能を備える消色装置100であるとき、消色装置100のログアウト時に、消色装置100のRAM203に保存された画像のデータをクライアントPC101のRAM302あるいはプリンタ102のRAM402に送信し、保存するようにしてもよい。
【0017】
本実施形態の第1の読取部13A及び第2の読取部13Bは、消色処理前に、用紙Pが使用可能か否かを判断するために、及び余白領域を抽出して地色を特定するために、用紙Pの表面を読み取る。
【0018】
また、第1の読取部13A及び第2の読取部13Bは、消色処理後に、地色を特定し、用紙Pの印字が消色されたか否かを判断するために、用紙Pの表面を読み取る。
【0019】
図3は、第1実施形態の用紙の一例を示す図である。図示のように、用紙Pは、用紙全体の側部(図の上下左右方向)に、余白領域1001が形成される。この余白領域1001は、画像印刷時に用紙に対する余白幅の数値(例えば、25(mm)、30(mm)など)を指定することで設定される領域であるが、当該指定された数値が取得できない場合でも、用紙の端側でかつ画像濃度が均一な部位を余白領域として推定することができる。
【0020】
或いは、一般のプリンタで最小余白幅として要求される用紙全体の側部から5mm程度の幅を余白領域とみなす設定とすることもできる。さらに、数値で指定された余白領域以外の領域、すなわち印刷対象となる領域であっても、文字や画像が無い余白部分が多い場合には、かかる余白部分を余白領域として加えることもできる。
【0021】
以下は、消色装置で余白領域として特定された領域を余白領域1001、余白領域以外の領域として扱われる領域を余白以外領域1002と称して説明する。
【0022】
再び図1に戻って、消色装置100の構成を説明する。
第1の搬送路11は、給紙部10から、第1の排紙部19または第2の排紙部20へ接続される。第2の搬送路12は、第1の搬送路11の第1の読取部13A及び第2の読取部13Bの下流の分岐点から分岐し、第1の搬送路11の第1の読取部13A及び第2の読取部13Bの上流の合流点で合流する。分岐点には経路変更部17が配置される。
【0023】
第2の搬送路12は、搬送路中に消色部15を有する。消色部15は、ローラ対21、及びヒータ205を有する。ローラ対21はヒータ205により加熱される。ヒータ205により加熱されたローラ対21を介して、用紙Pに一定以上の温度や熱を加えることにより、消色可能な画像形成材料を用いて形成された用紙Pの画像を加熱し、色材を無色化する。消色部15はローラ対21で画像消色をすることにより、用紙Pの両面の画像消色を可能とする。
【0024】
消色装置100では、第1の読取部13A及び第2の読取部13Bによる読み取りを複数回行うことができる。すなわち、消色装置100は、図示のように円環状の搬送路を有しており、用紙Pを給紙部10から第1の搬送路11を通じて第1の読取部13A及び第2の読取部13Bで用紙両面の読み取りを行い、続いて消色部15で消色させた後に第2の搬送路12を通じて再び第1の読取部13A及び第2の読取部13Bで用紙両面の読み取りを行うことができる。
【0025】
第1の読取部13A及び第2の読取部13Bは、消色前の1回目の読み取りで、用紙Pがしわやステイプル、折れ、消色不可能なメモ書き等により使用不可能であるか否かを判定するため、及び、余白領域1001を特定(識別)し、該領域の地色を判別するために、読み取った画像を電子化して、記憶部に保存する。
【0026】
第1の読取部13A及び第2の読取部13Bは、用紙が再利用可能か否かを判定するため、消色後に2回目の読み取りを遂行する。この再利用可能か否かの判定は、消色処理の前と後とで地色が一致するか否かの基準で行われる。
【0027】
排紙部23は、第1の排紙部19及び第2の排紙部20を有する。各種処理を施した用紙Pは、第1の排紙部19または第2の排紙部20のいずれかに排紙される。本実施形態では、排紙部19及び20の一方が再利用可能な用紙Pが排紙される再利用トレイとなり、他方が再利用不可で廃棄用紙Pが排紙される廃棄トレイとなる。ユーザは、消色装置100本体側での設定操作により、或いはクライアントPC101の操作により、排紙部19及び排紙部20のいずれを再利用又は廃棄トレイとして使用するかを選択できる。以下は、第1の排紙部19が再利用トレイ、第2の排紙部20が廃棄トレイとして設定された場合について説明する。
【0028】
本実施形態では、消色装置100を使用して消色を遂行するため、基本的に、用紙上の各種画像(印刷データ)が消色可能な色材で印刷されることを想定する。したがって、以下は、図示しないプリンタを用いて、消色用の色材で各種画像(印刷データ)を印刷した後の処理について説明する。
【0029】
図3は、消色装置100のブロック図である。消色装置100の制御部であるCPU(Central Processing Unit)200は、システムバス201を介してROM(Read Only Memory)202、RAM203、第1の読取部13A、第2の読取部13BのCCDセンサ204、消色部15のヒータ205、外部装置からのデータの入力、外部装置へのデータの出力をするインターフェース(I/F)206が接続される。CPU200は、システムバス201を介して接続されたI/F206によって、ユーザ端末(クライアントPC)やネットワークプリンタなどの各種の外部装置と通信することができる。
【0030】
また、CPU200は、経路変更部17を制御する経路変更部駆動制御部207、及び搬送ローラを駆動する用紙搬送モータ209を制御する用紙搬送モータ駆動制御部208、及び操作部210、及び表示部211が接続される。
【0031】
ROM202には、CPU200を動作させるためのプログラム、再利用可否の指針とするための種々のデータ、例えば、用紙の印字率や濃度閾値、読み取った画像から余白領域1001を特定し、用紙Pの地色を判別するための色パラメータと地色の対応テーブル、などが格納される。また、各用紙の上述した余白領域の位置(数値、座標等)の初期設定データ、或いは初期設定が変更されている場合の設定データを格納することができる。さらに、1回目の画像読取でしわの深さなどを判定する場合は、しわの深さなどを判定するために利用する濃度閾値が格納される。
【0032】
RAM203は、用紙Pの画像読取時に得られる画像を格納する。CCDセンサ204は、一列のラインセンサとして配置されており、用紙Pの濃淡を検出する。ヒータ205は、IHヒータなどを用い、消色部15を用紙Pが通過する間にローラ対21を介して、用紙Pに熱を加えて色材を無色化する。
【0033】
操作部210はタッチパネル式の表示部211と各種キーを有し、例えば消去装置本体の上部に配置される。操作キーは、例えばテンキー、ストップキー、スタートキー等を有する。表示部211は、消色装置100の各種の処理モードを含む設定情報や動作ステータス、ログ情報、あるいはユーザへのメッセージを表示する。ユーザは、操作部210を介して、消色の開始や停止(中断)、上述した各用紙の余白領域の位置(数値)の設定、その他、各種の初期設定状態を変更するための設定、などを行うことができる。
【0034】
CPU200は、経路変更部駆動制御部207を制御することにより、経路変更部17を駆動して、第1の搬送路11から第2の搬送路12へ用紙Pを搬送するよう振り分けたり、第1の搬送路11から第1の排紙部19、第2の排紙部20へ用紙Pを搬送するよう振り分けたりする。
【0035】
また、CPU200は、第1の読取部13A及び第2の読取部13Bによる1回目(画像消色前)に読み取った画像から、用紙Pの余白領域1001を特定し、余白領域1001と余白以外領域1002の用紙上の座標を記憶するとともに、余白領域1001の地色を特定する。
【0036】
さらに、CPU200は、第1の読取部13A及び第2の読取部13Bによる2回目(画像消色後)に読み取った画像から、余白以外領域1002の地色を特定し、かかる地色を1回目の読み取り時に特定された余白領域1001の地色と比較する。
【0037】
図4は、実施形態の消色装置100の動作フローチャートである。以下は、消色装置100で種々の用紙が混在した状態で処理される場合、すなわち、地色が白色あるいは白色以外の各種色の用紙が給紙部10に混在して積載され、用紙に印刷された画像も消色可能な色材または非消色性の色材である場合を仮定して説明する。
【0038】
ユーザが消色装置100の操作部210或いはユーザPC101の操作部303を操作して消色処理開始の指示を入力すると、CPU200は、給紙動作のために、用紙搬送モータ駆動制御部208及び各部に制御信号を出力する。これにより、給紙部10が作動して給紙トレイ22に積載された複数の用紙のうちの上側の1枚の用紙Pが、第1の搬送路11に送り出される(ACT101)。
【0039】
給紙部10より第1の搬送路11に送り出された用紙Pは、続いてスキャナ(第1の読取部13A、第2の読取部13B)で両面の画像が読み取られ(消色前の1回目の読み取り)、読み取られた両面分の画像がRAM203に保存される(ACT102)。
【0040】
CPU200は、当該読み取られた画像から、用紙Pがしわやステイプル、折れ、消色不可能なメモ書き等により使用不可能かを判定し(ACT103)、使用不可能である場合には消色処理を行わないものとして(ACT103、No)、消色処理も2回目の画像読み取りも行わずに、廃棄用トレー(この例では第2の排紙部20)に排出するように各部を制御する(ACT104)。
【0041】
したがって、この場合、用紙Pは、第2の搬送路12を経由することなく、第1の搬送路11から第2の排紙部20に搬送されるように制御される。なお、設定や用紙の状況等により、第2の搬送路12を経由する制御としてもよいが、この場合でも消色部15による消色処理や第1の読取部13A及び第2の読取部13Bによる再度(2回目)の画像読み取りの処理はされない。
【0042】
他方、ACT103で使用可能と判定された場合(ACT103、Yes)、CPU200は、用紙Pの地色情報を取得する(ACT105)。本実施形態では、ACT102で読み取られた画像から、上述のように、
余白領域1001の特定、
余白領域1001と余白以外領域1002の用紙上の位置(座標の数値)の記憶、
余白領域1001の地色の特定、を行い、
これらのデータをRAM203に記憶する。
【0043】
続いて、CPU200は、用紙Pを消色部15に搬送するように経路変更部17及び各部を制御し、用紙Pに対する消色処理を消色部15によって遂行する(ACT106)。かかる処理によって、用紙Pが所定温度に加熱され、消色トナーなどの、消色性の色材で用紙P上に形成された画像がシート両面に亘って無色化される。他方、非消色性の色材で用紙P上に形成された画像については無色化されない。
【0044】
消色処理された用紙Pは、第2の搬送路12を経由して再び第1の搬送路11に送られ、第1の読取部13A及び第2の読取部13Bによる2回目の画像読み取りが遂行される(ACT107)。CPU200は、当該読み取られた画像に基づいて、地色が一致するか否かの判定を行い(ACT108)、判定結果がNoすなわち一致しない場合には廃棄用トレイに排紙し(ACT104)、Yesすなわち一致する場合に再利用トレイに排紙(ACT109)するように各部を制御する。
【0045】
ここで、地色が一致するか否かの判定は、第1の読取部13A及び第2の読取部13Bにより画像消色後(2回目)に読み取られた画像のうち、余白以外領域1002の画像を地色画像として抽出するとともに、かかる地色画像を、画像消色前(1回目)に読み取られた画像のうち、余白領域1001の画像と比較する。そして、CPU200は、地色画像と余白領域1001の画像との間で、色の明度、彩度、濃淡などの差異が所定の誤差ないし閾値内に収まっている場合には地色が一致すると判定し、所定の誤差ないし閾値を超えている場合には地色が一致しないと判定する。
【0046】
本実施形態は、このような処理を行うことで、用紙Pの地色が白以外の場合であっても、再利用可能か否か、すなわち正常に消色されたか否かの判定を、高い水準で行うことができる。
【0047】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態と同一の部分についての説明は適宜省略する。
【0048】
第2実施形態では、消色装置で使用する用紙の地色を消色に先立ってユーザが指定する構成である。他の主な構成は図1及び図2で説明の通りであり、以下は異なる点を説明する。
【0049】
第2実施形態では、消色処理前の用紙表面の読み取りは、専ら、用紙Pが使用可能か否かを判断するために行い、このため、第1実施形態のような余白領域抽出及び地色特定の処理を行わない。
【0050】
図5は、地色情報の設定モードを選択するために表示される画面を示す。この画面は、消色処理の実行前に、消色処理の表示部211に表示され、或いはクライアントPC101に格納されたドライバの設定画面として表示される。以下は、消色処理の表示部211に表示された場合について説明する。
【0051】
図5の表示画面から操作部210の入力操作で「テンプレートから選択」のボタン(アイコン)を選択すると、CPU200の制御により、図6に示すように、使用する用紙の地色(「白」、「茶」、「赤」、「橙」、「緑」、「青」など)を選択する地色選択画面が表示される。この地色選択画面では、図6の例に限られず、実際に色付きの用紙として市販されている各種の地色を選択可能に表示することが好ましい。
【0052】
図6の地色選択画面から操作部210の入力操作で一つの地色(例えば)「茶」)を選択して「決定」ボタンを選択すると、選択した地色に対応する地色の数値情報、例えばR、G、Bの各値(例えば0〜255の範囲の値)の情報がRAM203に記憶される。他方、「キャンセル」ボタンを選択すると、図5の画面に戻る。
【0053】
図5の表示画面から操作部210の入力操作で「数値入力」のボタン(アイコン)を選択すると、CPU200の制御により、図7に示すように、使用する用紙の地色を数値で入力する地色数値入力画面が表示される。この地色数値入力画面では、地色のRGBのそれぞれの値を0〜255の範囲の数値で入力するようになっており、操作部210のテンキー入力操作でRGBの各値を入力して「決定」ボタンを選択すると、選択した地色の情報(R、G、Bの各値)がRAM203に記憶される。他方、「キャンセル」ボタンを選択すると、図5の画面に戻る。
【0054】
以下、フローチャートを参照して動作を説明する。
ユーザは、上述した地色選択画面または地色数値入力画面を介して、使用する用紙の地色設定した後に、消色装置100の操作部210或いはユーザPC101の操作部303を操作して消色処理開始の指示を入力する。
【0055】
かかる指示に応答して、CPU200は、給紙動作のために、用紙搬送モータ駆動制御部208及び各部に制御信号を出力する。これにより、給紙部10が作動して給紙トレイ22に積載された用紙のうちの上側の1枚の用紙Pが、第1の搬送路11に送り出される(ACT101)。
【0056】
第1の搬送路11に送り出された用紙Pは、続いてスキャナ(第1の読取部13A、第2の読取部13B)で画像が読み取られ(消色前の1回目の読み取り)、読み取られ画像がRAM203に保存される(ACT102)。
【0057】
このとき、CPU200は、当該読み取られた画像から、用紙Pがしわやステイプル、折れ、消色不可能なメモ書き等により使用不可能かを判定し(ACT103)、使用不可能である場合には消色処理を行わないものとして(ACT103、No)、消色処理も2回目の画像読み取りも行わずに、廃棄用トレー(この例では第2の排紙部20)に排出するように各部を制御する(ACT104)。このACT104の処理は第1の実施形態と同様である。
【0058】
他方、ACT103で使用可能と判定された場合(ACT103、Yes)、CPU200は、用紙Pの地色情報を取得する(ACT105)。本実施形態では、用紙Pの地色情報として、ユーザが選択または数値入力してRAM203に記憶された地色情報(RGBの各数値データ)が読み出される。
【0059】
したがって、本実施形態では、1回目の読み取りの際に、上述した余白領域1001の特定、余白領域1001と余白以外領域1002の用紙上の位置(座標の数値)の記憶、余白領域1001の地色の特定等が行われない。
【0060】
また、消色処理後の2回目の読み取り後の判定(ACT108)では、第1の読取部13A及び第2の読取部13Bにより画像消色後(2回目)に読み取られた、用紙Pの全ての領域に亘る画像を地色画像として抽出するとともに、かかる地色画像を、ユーザが選択または数値入力してRAM203に記憶された地色情報(RGBの各数値データ)と比較して、地色画像の色が地色情報のRGBの各数値データの値を示しているか否か、より詳しくは、双方の色の違いが所定の許容値以内にあるかにより、地色が一致しているか否かを判定する。
【0061】
(変形例)
上述した例では、ユーザが指定できるシートの地色が1つ(1種類)のみとした。これに対して、ユーザが指定できるシートの地色を2つ(2種類)以上とすることも出来る。この場合には、ACT108の判定で、CPU200は、第1の読取部13A及び第2の読取部13Bにより画像消色後(2回目)に読み取られた、用紙Pの全ての領域に亘る画像を地色画像として抽出するとともに、かかる地色画像を、ユーザが選択または数値入力してRAM203に記憶された複数の地色情報(RGBの各数値データ)と比較して、地色画像の色がいずれかの地色情報のRGBの各数値データの値を示しているか否かを判定する。さらに、上述の例では排紙部(排紙トレイ)を2つ備えた消色装置を場合であったが排紙部(排紙トレイ)が3つ以上ある消色装置の場合には、排紙部(排紙トレイ)の一つを廃棄用トレイとして指定し、他の複数の排紙部(排紙トレイ)を、ユーザが指定したシートの地色に対応させて色毎に振り分ける指定とすることもできる。
【0062】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について説明する。上述した第1実施形態と同一の部分についての説明は適宜省略する。
【0063】
図8は、第3実施形態のシステム構成図である。消色システムは、システム構成として例えば、消色装置100、クライアントPC(Personal Computer)101、地色識別情報を印刷する印刷装置としてのプリンタ102を有する。また、システムの各コンポーネントは、ネットワーク103を介して互いに接続されている。
【0064】
第3実施形態では、消色装置100は、地色識別情報及び各種画像が形成された用紙(記録媒体)の画像を消色し、用紙の再利用を可能とする。他の主な構成は図1及び図2で説明の通りであり、以下は異なる点を説明する。
【0065】
クライアントPC101は、ネットワーク103を介して消色装置100やプリンタ102と通信を行い、消色装置100やプリンタ102に対して、消色や印刷など各種の処理を行うように指示を出力する。また、クライアントPC101は、ネットワーク103を介して消色装置100やプリンタ102に対して、各種の設定を行うことができる。これらの指示や設定については、消色装置100やプリンタ102と通信するためのソフトウエア(ドライバ)をクライアントPC101にインストールし、かかるドライバの各種画面を通じて入力操作する。
【0066】
プリンタ102は、後述する地色識別情報を用紙(記録媒体)の余白領域に印刷するためのものである。本実施形態では、使用する用紙のサイズ、用紙の余白領域の位置(座標)、地色識別情報が配置される位置、等のデータは、消色装置100及びプリンタ102間で共有されることができる。
【0067】
本実施形態では、消色装置100を使用するため、用紙上の各種画像(印刷データ)が消色可能な色材で印刷されることを想定する。他方、地色識別情報は、用紙を繰り返し再利用する観点から、非消色性の色材で印刷されることが好ましい。
【0068】
したがって、以下は、プリンタ102が非消色の色材を使用して用紙両面に画像を形成するタイプ、例えば非消色の色材を使用するレーザー方式やインクジェット方式の装置であり、かつ、プリンタ102で地色識別情報を予め用紙に印刷し、その後、図示しない他のプリンタを用いて、消色用の色材で各種画像(印刷データ)を印刷する場合を仮定する。
【0069】
但し、これに限られるものではなく、例えば、プリンタ102として、非消色の色材と消色用の色材の両方を使用できるタイプの装置を用いることもできる。この場合、プリンタ102は、非消色の色材で地色識別情報を予め用紙に印刷し、その後、消色用の色材で各種画像(印刷データ)を印刷することができる。あるいはこの逆に、消色用の色材で各種画像(印刷データ)を印刷した後に、非消色の色材で地色識別情報を用紙に印刷することもできる。
【0070】
図9は、第3実施形態の用紙の構成の一例を示す図である。図示のように、第3実施形態の用紙Pは、用紙全体の側部(図の上下左右方向)に、余白領域1001が設定される。そして、かかる余白領域内に、用紙Pの地色を示す地色識別情報1003が配置される。
【0071】
地色識別情報1003は、n×mのドットマトリクスからなる印字マーク1004が複数個設けられて構成される。図9の例では用紙表面に4個、裏面に6個の合計10個の印字マーク1004が配置されることにより、一つの地色識別情報1003とされる。図10は、印字マーク1004を拡大して示す。本実施形態では、図示のように、1つの印字マーク1004が8dot×9dotのドットマトリクスで構成される。
【0072】
本実施形態では、地色識別情報1003を構成する印字マーク1004は、用紙Pの両面の余白領域に配置され得る。より詳しくは、印字マーク1004が配置される場所は、図示のように、用紙Pの裏表の余白領域のうち、左上側及び右下側の4つである。言い換えると、印字マーク1004を検知するための第1の読取部13A及び第2の読取部13Bでの読み取り領域は、用紙Pの裏表両面の左上及び右下の合計4領域となる。また、一つの配置場所に複数の印字マーク1004が配置される場合には、用紙Pの搬送方向に沿って直線状に配置される。
【0073】
そして、本実施形態の地色識別情報1003は、地色毎に印字マーク1004の合計数または配置態様が異なるように設定される。すなわち、印字マーク1004が2個からなる色識別情報と、印字マーク1004が3個からなる色識別情報とでは、相互に異なる地色を示す。また、印字マーク1004が2個からなる場合であっても、片面に2個配置された場合と、表裏各面に1個ずつ配置された場合とでは、相互に異なる地色を示す。さらに、印字マーク1004が片面に2個配置された場合であっても、左上の領域に2個配置された場合と、左上と右下の各領域に1個ずつ配置された場合とでは、相互に異なる地色を示す。
【0074】
かかる構成とすることにより、本実施形態の地色識別情報1003は、地色毎にユニークな印字マーク1004の配置を確保しつつ、多数の地色を割り当てることができる。
【0075】
また、本実施形態では、余白領域1001内で予め定義された位置(図9参照)に地色識別情報1003が配置されているので、設定された給紙トレイ22に積載された用紙Pの表裏及び上下の状態に関わらず、地色識別情報1003の読み取り、印字マーク1004が有るか無いかの判定、及び対応する地色の特定(識別)等の処理を高い精度で行うことができる。
【0076】
なお、印字マーク1004が配置される用紙P上の場所は、余白領域1001内であり、地色毎にユニークな印字マーク1004の配置を確保できれば、特に限定されない。また、印字マーク1004を配置するために確保すべき余白領域1001の幅も、特に限定されるものではなく、一般のプリンタで最小余白幅として要求される5mm程度の幅が確保されていれば足りる。
【0077】
さらに、印字マーク1004のドットマトリクスのn×mの数については、特に限定されるものではなく、第1の読取部13A及び第2の読取部13Bで読み取り可能であり、n×mのドットマトリクスであることがCPU200で認識できればよい。本実施形態では、ドットマトリクスの読み取りを精度良く行うために、印字マーク1004の解像度を、主操作×副走査=96dpi×100dpiの設定としている。
【0078】
さらにまた、地色識別情報1003は、第1の読取部13A及び第2の読取部13Bで読み取り可能であり、特定の地色を示す地色識別情報であることがCPU200で認識できれば、例えばバーコードなどの、他の形態とすることもできる。したがって、地色識別情報の形態によっては、地色識別情報を用紙Pの片面に一つ配置する構成としてもかまわない。
【0079】
第1の読取部13A及び第2の読取部13Bは、消色前の1回目の読み取りで、用紙Pがしわやステイプル、折れ、消色不可能なメモ書き等により使用不可能であるか否かを判定するため、及び、余白領域の地色識別情報1003を読み取って地色を特定(識別)するために、読み取った画像を電子化して、記憶部(RAM203)に保存する。第1の読取部13A及び第2の読取部13Bは、用紙が再利用可能か否かを判定するため、消色後に2回目の読み取りを遂行する。
【0080】
第3実施形態の消色装置100のROM202には、CPU200を動作させるためのプログラム、再利用可否の指針とするための種々のデータ、例えば、用紙の印字率や濃度閾値、読み取った画像から用紙Pの地色を判別するための色パラメータと地色の対応テーブル、地色識別情報1003の各印字マーク1004を読み取るための、用紙の余白領域や印字マークの読取り領域、読み取った地色識別情報1003から用紙Pの地色を識別するための、印字マーク1004の配置態様と地色の対応テーブル、などが格納される。
【0081】
このうち、印字マーク1004の配置態様と地色の対応テーブルの一構成例として、印字マーク1004の配置態様と、地色名(または地色ID)と、地色を構成する色パラメータであるRGBの各数値データと、が対応付けられたテーブルが挙げられる。
【0082】
第3実施形態では、消色装置100のCPU200は、第1の読取部13A及び第2の読取部13Bによる1回目(画像消色前)に読み取った画像から、地色識別情報1003を抽出し、対応する地色名等を参照ないし取得することで、用紙全体の地色を特定する。CPU200は、第1の読取部13A及び第2の読取部13Bによる2回目(画像消色後)に読み取った画像から、余白以外領域1002の地色を特定し、かかる地色を1回目の読み取り時に特定された用紙全体の地色と比較する。
【0083】
本実施形態では、余白領域1001には印字マーク1004が非消色の色材で配置されることから、2回目(画像消色後)に読み取った画像から地色を特定する場合、用紙P全体ではなく、用紙Pの余白以外領域1002を対象とする。
【0084】
以下、図4のフローチャートを参照して、第1の実施形態と異なる点について説明する。ACT103で使用可能と判定された場合(ACT103、Yes)、CPU200は、用紙Pの地色情報を取得する(ACT105)。本実施形態では、ACT102で読み取られた画像から、上述のように、
地色識別情報1003の抽出、
各読取り領域の印字マーク1004の配置態様の特定、
対応テーブル参照による当該用紙Pの地色の特定、を行い、
これらのデータをRAM203に記憶する。
【0085】
また、消色処理後の2回目の読み取り後の判定(ACT108)では、第1の読取部13A及び第2の読取部13Bにより画像消色後(2回目)に読み取られた用紙Pの画像のうち、余白以外領域(1002)の画像を地色画像として抽出するとともに、かかる地色画像を、ACT105で特定された地色の色パラメータ(RGBの各数値データ)と比較して、地色画像の色が当該地色のRGBの各数値データの値を示しているか否かを判定する。
【0086】
かかる構成の第3実施形態によれば、上述した各実施形態と同様に、用紙Pの地色が白以外の場合であっても、再利用可能か否か、すなわち正常に消色されたか否かの判定を、高い水準で行うことができる。また、第3実施形態では、消色処理完了後も地色識別情報1003が保持されるので、用紙Pを繰り返し使用することができる。
【0087】
本実施形態では、地色識別情報1003(各印字マーク1004)の読み取り及び地色の特定等を、1回目の読み取り時の際にのみ行うが、これに限られない。すなわち、非消色性の色材で配置された地色識別情報1003(印字マーク1004)は、消色処理後も維持されることから、読み取りの時期(タイミング)は、2回目の読み取り時の際に、あるいは1回目と2回目の読み取り時の両方で行うこともできる。もっとも、2回目の読み取り時の処理の迅速化や、消色処理において用紙自体が若干痛み得ること、地色識別情報1003(印字マーク1004)が多少なりとも劣化し得る等を考慮すると、1回目の読み取り時の際にのみ行うことが好ましいと考えられる。
【0088】
(第4実施形態)
次に、上述した第1、第2、及び第3実施形態の機能を全て備えた消色装置を第4実施形態として説明する。
【0089】
この消色装置では、CPU200は、第1の読取部13A及び第2の読取部13Bによる1回目(画像消色前)の読み取り(ACT102)の際に、用紙Pが使用可能か否かを判断する(ACT103)とともに、使用可能の場合(ACT103、Yes)には、ACT105に移行する。
【0090】
ACT105で、CPU200は、第1実施形態と同様に、用紙Pの余白領域を抽出して余白領域の地色を特定する。加えて、CPU200は、余白領域抽出時に地色識別情報(印字マーク1004)が存在するかを判定し、存在する場合には、第3実施形態と同様に、当該印字マーク1004の配置態様に対応する地色情報を取得する。さらに、CPU200は、RAM203に記憶された用紙Pの地色情報、すなわち、第2実施形態で上述した、予めユーザが選択または数値入力することにより記憶された地色情報があるかを判定し、ある場合には当該地色情報(RGBの各数値データ)を取得する。
【0091】
したがって、本実施形態では、1回目の読み取りの際に、最大で3種類の地色情報、すなわち、
(1)読み取り画像から特定された用紙Pの余白領域の地色
(2)印字マーク1004の配置態様に対応する地色情報
(3)ユーザの入力操作で指定された地色情報
が取得される。取得された各地色情報は、RAM203に記憶される。
【0092】
図11は、第4実施形態でのACT108の判定の処理内容を詳細に示すフローチャートである。
【0093】
消色処理(ACT106)及び2回目の画像読み取り(ACT107)の後のACT108で、CPU200は、第1の読取部13A及び第2の読取部13Bにより画像消色後(2回目)に読み取られた画像のうち、余白以外領域1002の画像を地色画像として抽出する。
【0094】
このとき、CPU200は、先ず、余白以外領域1002の地色が白色であるか否かを判定する(ACT1081)。この判定は、余白以外領域1002内の全ての領域が白色であるか、言い換えると白色以外の色が検出されないか、により行われる。
【0095】
CPU200は、かかる判定の結果、地色が白でない場合(ACT1081、No)にはACT1082に移行する。他方、地色が白である場合(ACT1081、Yes)、CPU200は、消色前の余白領域の地色と消色後の余白以外領域の地色が一致するとみなして、用紙Pを再利用トレイに排紙するように各部を制御する。したがって、この場合には、画像消色前(1回目)に読み取られた余白領域の画像と比較することなしに、用紙Pが再利用可能と判定されて再利用トレイに排紙される。また、結果的に、地色識別情報1003やユーザが入力した地色情報は利用されない。
【0096】
ACT1082で、CPU200は、余白以外領域1002の画像を、ユーザが選択または数値入力してRAM203に記憶された地色情報(RGBの各数値データ)と比較して、余白以外領域1002の画像の色が地色情報のRGBの各数値データの値を示しているか否かを判定する。CPU200は、かかる判定の結果、余白以外領域1002の画像の色が地色情報のRGBの各数値データの値を示している場合(ACT1082、Yes)、再利用トレイに排紙するよう各部を制御する。他方、余白以外領域1002の画像の色が地色情報のRGBの各数値データの値を示していない場合、あるいはRAM203に記憶された地色情報が無い場合、CPU200はACT1083に移行する。
【0097】
ACT1083で、CPU200は、余白以外領域1002の画像を、RAM203に記憶された印字マーク1004の配置態様に対応する地色情報と比較して、余白以外領域1002の画像の色が当該地色情報のRGBの各数値データの値を示しているか否か(詳細には、双方の色の違いが所定の許容値以内にあるか)を判定する。CPU200は、かかる判定の結果、余白以外領域1002の画像の色が地色情報のRGBの各数値データの値を示している場合(ACT1083、Yes)、再利用トレイに排紙するよう各部を制御する。他方、余白以外領域1002の画像の色が地色情報のRGBの各数値データの値を示していない場合、あるいはRAM203に記憶された地色情報が無い場合、CPU200はACT1084に移行する。
【0098】
ACT1084で、CPU200は、余白以外領域1002の地色画像を、画像消色前(1回目)に読み取られた画像のうち、余白領域1001の画像と比較する。そして、CPU200は、地色画像と余白領域1001の画像との間で、色の明度、彩度、濃淡などの差異が所定の誤差ないし閾値内に収まっている場合には地色が一致すると判定し、所定の誤差ないし閾値を超えている場合には地色が一致しないと判定する。
【0099】
本実施形態は、このような処理とすることで、地色が白色である用紙Pに対しての再利用可否の判定処理を迅速に行いつつ、地色が白色以外の用紙Pに対して、各種の地色情報を利用して多面的かつ効率的に再利用可否の判定処理を行う。したがって、第4実施形態によれば、多数の用紙Pが消色処理される場合の全体の処理時間の短縮が期待される。
【0100】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0101】
100 消色装置
200 CPU、202 ROM、203 RAM、210 操作部、211 表示部、
10 給紙部、 11 第1の搬送路、12 第2の搬送路、13(13A、13B)読取部、15 消色部15、16 搬送ローラ、17 経路変更部17、19 第1の排紙部、20 第2の排紙部
P 用紙、1001 余白領域、1002 余白以外領域、1003 地色識別情報、1004 印字マーク
101 クライアントPC101
102 プリンタ(印刷装置)
103 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11