(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記地震警報処理装置は、第1閾値を超える地震動指標の領域があると判断すると、第1閾値より低い第4閾値を超える観測点が他にあるか否かが判定され、ない場合は警報を発しないことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の地震警報システム。
前記地震警報処理装置は、それぞれの領域に必ずしも隣接しない領域(広域隣接領域)を記憶する広域隣接領域データを記憶する記憶部を有し、第1閾値よりも高い第5閾値を超える地震動指標の領域があると判断すると、極めて強い地震が発生したと判断して、前記記憶部に記憶される第5閾値を超えた領域の広域隣接領域に4種警報を発することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の地震警報システム。
前記地震警報処理装置は、それぞれの領域に必ずしも隣接しない領域(広域隣接領域)を記憶する広域隣接領域データを記憶する記憶部を有し、第6閾値を超える領域が一定数以上になったと判断すると、巨大地震が発生したと判断して、前記記憶部に記憶される第1閾値を超えた領域の広域隣接領域に5種警報を発することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の地震警報システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような地震警報システムの成否は、震源決定の精度に因っており、震源決定の結果が大きな誤差を持つ場合は適切に警報が出されない。さらに、二つ以上の地震が同時に発生した場合には現行方法では対応できない。また、上下動加速度100ガル以上を観測した場合に震度5弱以上とする判定方法は大きな誤差を含んでいる。
【0005】
本来、警報というものは、より安全サイドにたった観点でなされるべきものであるにも関わらず、従来の地震警報システムはそのようなものでない、という課題を有している。本発明は、前記課題を解決するために、震源決定を行うこと無く、実測された地震記録から計算された地震動指標を用いて、地震警報を発する方法およびシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る発明は、警報の対象とする領域を複数の領域に分割し、各領域に1つ以上の観測点を配置
すると共に、領域の中には複数の観測点が配置された領域も設け、各観測点に地震動指標を即時に概算する装置(地震動指標概算装置)を備え、前記地震動指標概算装置から各観測点における地震動指標(観測点地震動指標)を受信し
、同一領域内に複数の観測点がある場合には、複数の観測点による地震動指標(観測点地震動指標)の最大値、又は、平均値、又は、中央値のいずれかによって、各領域を代表する地震動指標(領域地震動指標)を計算する受信部を有し、さらに、それぞれの領域に隣接する領域を記憶する隣接領域データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されたデータと、受信部が計算した領域地震動指標に基づきデータ処理を行うデータ処理部と、前記データ処理部の処理結果に応じて警報を発する配信部を有する地震警報処理装置からなる地震警報システムにおいて、前記地震警報処理装置は、第1閾値を超える地震動指標の領域があると判断すると、第1閾値を超える地震動指標の領域に1種警報を発し、第1閾値より低い第2閾値を超える地震動指標の領域があると判断すると、第2閾値を超える地震動指標の領域に2種警報を発し、前記記憶部に記憶される隣接領域データに基づいて、第1閾値を超える地震動指標の領域に隣接する領域に3種警報を発することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、警報の対象とする領域を複数の領域に分割し、各領域に1つ以上の観測点を配置
すると共に、領域の中には複数の観測点が配置された領域も設け、各観測点に加速度を検出する加速度計を備え、前記加速度計から各観測点における加速度を受信する受信部と、前記受信部で受信された加速度に基づいて各観測点における地震動指標(観測点地震動指標)を概算し、
同一領域内に複数の観測点がある場合には、複数の観測点による地震動指標(観測点地震動指標)の最大値、又は、平均値、又は、中央値のいずれかから各領域を代表する地震動指標(領域地震動指標)を計算する地震動指標概算部を有し、さらに、それぞれの領域に隣接する領域を記憶する隣接領域データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されたデータと、地震動指標概算部が計算した領域地震動指標に基づきデータ処理を行うデータ処理部と、前記データ処理部の処理結果に応じて警報を発する配信部を有する地震警報処理装置からなる地震警報システムにおいて、前記地震警報処理装置は、第1閾値を超える地震動指標の領域があると判断すると、第1閾値を超える地震動指標の領域に1種警報を発し、第1閾値より低い第2閾値を超える地震動指標の領域があると判断すると、第2閾値を超える地震動指標の領域に2種警報を発し、前記記憶部に記憶される隣接領域データに基づいて、第1閾値を超える地震動指標の領域に隣接する領域に3種警報を発することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の地震警報システムにおいて、前記地震警報処理装置は、第2閾値より低い第3閾値を全ての領域で下回ると、警報を解除することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の地震警報システムにおいて、前記地震警報処理装置は、第1閾値を超える地震動指標の領域があると判断すると、第1閾値より低い第4閾値を超える観測点が他にあるか否かが判定され、ない場合は警報を発しないことを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の地震警報システムにおいて、前記地震警報処理装置は、それぞれの領域に必ずしも隣接しない領域(広域隣接領域)を記憶する広域隣接領域データを記憶する記憶部を有し、第1閾値よりも高い第5閾値を超える地震動指標の領域があると判断すると、極めて強い地震が発生したと判断して、前記記憶部に記憶される第5閾値を超えた領域の広域隣接領域に4種警報を発することを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の地震警報システムにおいて、前記地震警報処理装置は、それぞれの領域に必ずしも隣接しない領域(広域隣接領域)を記憶する広域隣接領域データを記憶する記憶部を有し、第6閾値を超える領域が一定数以上になったと判断すると、巨大地震が発生したと判断して、前記記憶部に記憶される第1閾値を超えた領域の広域隣接領域に5種警報を発することを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の地震警報システムにおいて、地震動指標として計測震度概算値を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係わる地震警報システムによれば、より安全サイドにたった観点で地震警報を配信することが可能となる。また、本発明に係る地震警報システムは、震源決定によらないため、二つ以上の地震の発生や広域な震源域をもつ地震に対しても対応可能である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の第1の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る地震警報システム300の主要構成を示す図である。本発明において地震動指標はSI値や最大加速度などどのようなものでもよいが、本実施形態では計測震度概算値を用いる。したがって地震動指標概算装置としては計測震度概算装置を用いる。なお、気象庁の定める震度(計測震度)はリアルタイムで演算できないものであるから、震度を対象とした地震警報システムを実現するには計測震度概算値を用いる他はない。
【0016】
まず、地震警報システム300における領域の分割について説明する。
図2は領域分割の概念を説明する図である。地震警報システム300では、北海道を例に取ると、例えば、
図2に示すような領域A
1、A
2、A
3、A
4、A
5、A
6、A
7、・・・・というように最
低一つの観測点が配置されるような領域毎に分割している。ここで、このような領域を一般化すると、領域A
n(n=1〜N)とすることができる。すなわち、地震警報システム
300では、日本全国をN個の領域に分割している。
【0017】
領域A
n(n=1〜N)の中には最低一つの観測点が設けられ、それぞれの観測点には
、
図1に示すように、計測震度概算装置1が設置される。計測震度概算装置1では、計測震度の概算値を演算し、これをリアルタイムでセンターに設置される地震警報処理装置200に、通信ネットワークを介して送信するようになっている。このようにして、各観測点における計測震度概算値を即時に監視できるようにする。
【0018】
ここで、計測震度概算装置1については、計測震度概算装置1は本発明者らによる開発された装置であり、強震計(不図示)で観測された加速度記録によって、計測震度の概算を行うものである。この計測震度概算装置1については、特許4229337号公報に記載のものを用いることができる。
【0019】
なお、本明細書においては、計測震度概算装置1の関する具体的な構成などについては、特許4229337号公報に記載の全ての事項を参照して援用するものとする。
【0020】
地震警報処理装置200は、センター(複数であっても一つであってもよい)に設置される情報処理装置であり、例えば、汎用のサーバーを用いることができる。地震警報処理装置200は、計測震度概算装置1によって概算された、それぞれの観測点の計測震度概算値(観測点震度)を受信する受信部201を有する。受信部は同一領域に属する観測点の観測点震度から領域を代表する計測震度概算値(領域震度)を計算する。これには、安全サイドに立って、同一領域中の観測点震度の最大値を領域震度として用いるが、同一領
域中の観測点数が十分に多い場合は平均値や中央値などの値を用いることもできる。
【0021】
また、地震警報システム300では、どの領域がどの領域と隣接しているかに係る隣接領域データを保持している。地震警報処理装置200の記憶部202には、このようなデータが記憶保持されている。
図3は隣接領域データのデータ構造を示す図である。
図2を参照すると、例えば、領域A
1は、領域A
2、領域A
4と隣接しており、このことが、
図3
のような形式でデータ化されている。
【0022】
また、地震警報処理装置200におけるデータ処理部203は、記憶部202に記憶されたデータや、受信部201で計算した領域震度に基づきデータ処理を行い、必要に応じて、配信部204に対して警報を配信するように制御するものである。
【0023】
また、地震警報処理装置200における配信部204は情報端末(携帯電話、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、テレビ、ラジオなど)やサーバーなどに地震警報を配信する。
【0024】
次に、以上のように構成される地震警報処理装置200の処理について説明する。
図4は地震警報処理装置200の主処理のフローチャートを示す図である。
【0025】
なお、以下のフローチャートでは、
第1閾値を震度5弱(計測震度概算値4.5)、
第2閾値を震度4(計測震度概算値3.5)、
第3閾値を震度1(計測震度概算値0.5)とする。
なお、閾値はここに示した値に限らない。
【0026】
また、1種警報は、警報レベルが最も高く、2種警報は1種警報の次に警報レベルが高く、3種警報は2種警報の次に警報レベルが高いものとする。
【0027】
地震警報システム300では、いずれかの領域で第1閾値を超えることが予想される地震が発生した場合に、第2閾値を超えることが予想される地域すべてに警報を発することが目的となる。
【0028】
ステップS100で地震警報処理装置200の主処理が開始されると、続く、ステップS101では、変数nに1がセットされる。
【0029】
ステップS102では、領域A
nに属する観測点に配備された計測震度概算装置1から
送信された計測震度概算値(観測点震度)の最大値から、領域A
nを代表する計測震度概
算値(領域震度)を算出する。
【0030】
ステップS103では、n=Nであるか否かが判定される。ステップS103の判定がNOであるときには、ステップS110でnを1インクリメントして、再び、ステップS102をループする。
【0031】
一方、ステップS103の判定がYESとなると、ステップS104に進む。なお、上記のようなループ(n=1からn=Nまで)は1秒程度以内で完了することが好ましい。
【0032】
次に、ステップS104においては、 いずれかの領域に第1閾値(震度5弱)を超える領域があるか否かが判定される。ステップS104の判定ステップは、本発明に係る地震警報システム300にとり、警報を開始するかどうかを決定する警報トリガーの判定ステップである。
【0033】
ステップS104における判定がNOである場合には、再び、ステップS101に戻り、全ての領域A
nの領域震度を取得するループを再開する。一方、ステップS104にお
ける判定がYESである場合には、ステップS105に進み警報を開始する。
【0034】
ステップS105では、第1閾値を超えた全ての領域に対して、1種警報を発する。
【0035】
続く、ステップS106では、いずれかの領域に第2閾値(震度4)を超える領域があるか否かが判定される。ステップS106の判定がNOであれば、ステップS108に進み、YESであればステップS107に進み、ステップS107において、第2閾値を超えた領域のうち、1種警報が出ていない領域に2種警報を発する。
【0036】
一方、ステップS108では、隣接領域データを参照して、第1閾値(震度5弱)を超えた領域に隣接する全ての領域を取得し、ステップS109で、取得された領域のうち、警報が出ていない領域に3種警報を発する。
【0037】
ステップS111では、警報切り替え処理へと進む。
【0038】
次に、警報切り替え処理について説明する。
図5は地震警報処理装置200の警報切り替え処理のフローチャートを示す図である。
【0039】
ステップS200で地震警報処理装置200の警報切り替え処理が開始されると、続く、ステップS201では、変数nに1がセットされる。
【0040】
ステップS202では、領域A
nに属する観測点に配備された計測震度概算装置1から
送信された計測震度概算値(観測点震度)の最大値から、領域A
nを代表する計測震度概
算値(領域震度)を算出する。
【0041】
ステップS203では、n=Nであるか否かが判定される。ステップS203の判定がNOであるときには、ステップS210でnを1インクリメントして、再び、ステップS202をループする。
【0042】
一方、ステップS203の判定がYESとなると、ステップS204に進む。なお、上記のようなループ(n=1からn=Nまで)は1秒程度以内で完了することが好ましい。ステップS204においては、1種警報が出ていない領域で、第1閾値(震度5弱)を超える領域があるか否かが判定され、この判定がYESであれば、ステップS205に進み、該当する領域の警報を1種警報に切り替えるか、新たに1種警報を発する。一方、ステップS204の判定がNOであれば、続いてステップS206に進む。
【0043】
ステップS206においては、1種警報及び2種警報のいずれも出ていない領域で、第2閾値(震度4)を超える領域があるか否かが判定され、この判定がYESであれば、ステップS207に進み、該当する領域の警報を2種警報に切り替えるか、新たに2種警報を発する。一方、ステップS206の判定がNOであれば、続いてステップS208に進む。 ステップS208においては、隣接領域データを参照して、第1閾値(震度5弱)を超えた領域に隣接する全ての領域を取得し、ステップS209で、取得された領域のうち、警報が出ていない領域に3種警報を発する。
ステップS111では、警報終了判定処理へと進む。
【0044】
次に、警報終了判定処理について説明する。
図6は地震警報処理装置200の警報終了判定処理のフローチャートを示す図である。
【0045】
ステップS300で地震警報処理装置200の警報切り替え処理が開始されると、続く、ステップS301では、変数nに1がセットされる。
【0046】
ステップS302では、領域A
nに属する観測点に配備された計測震度概算装置1から
送信された計測震度概算値(観測点震度)の最大値から、領域A
nを代表する計測震度概
算値(領域震度)を算出する。
【0047】
ステップS303では、n=Nであるか否かが判定される。ステップS303の判定がNOであるときには、ステップS306でnを1インクリメントして、再び、ステップS302をループする。
【0048】
一方、ステップS303の判定がYESとなると、ステップS304に進む。なお、上記のようなループ(n=1からn=Nまで)は1秒程度以内で完了することが好ましい。
【0049】
ステップS304では、全ての領域で第3閾値(震度1)を下回ったか否かが判定される。この判定がNOである場合には、ステップS307に進み、再び、
図5に示した警報切り替え処理へと進む。
【0050】
一方、ステップS304の判定がYESであれば、ステップS305に進み、全ての警報を解除した上で、ステップS308に進み、再び、
図4に示した地震警報処理装置の主処理へと進む。
【0051】
図7は、平成20年岩手・宮城内陸地震時に独立行政法人防災科学技術研究所が観測した計測震度概算値データを基に、本発明に係る地震警報システム300をシミュレーションした結果を図示したもので、8時43分53秒までの計測震度概算値データを用いた場合の警報発表状況である。この時間にはまだ気象庁から緊急地震速報(警報)は発表されておらず、本発明に係る地震警報システム300によればいち早く警報を配信することがわかる。なお、本発明に係わる地震警報システム300による警報が発せられた領域では実際に震度4以上が記録されている。このように、本発明に係る地震警報システム300では、震源決定を全く行う事無く、現行の方法より速く警報を出すことができることがわかる。
【0052】
以上、本発明に係る地震警報システム300によれば、より安全サイドにたった観点で地震警報を配信することが可能となる。また、本発明に係る地震警報システム300は、震源決定によらないため、二つ以上の地震の発生や広域な震源域をもつ地震に対しても対応可能である。
【0053】
次に、本発明の第2の実施形態に係る地震警報システム300について説明する。この実施形態では、一つの領域に、複数の観測点があり、これら複数の観測点に計測震度概算装置1が設けられていることを前提としている。
【0054】
このような場合、より確実性が高い警報を配信することができる。
図8は第2の実施形態に係る地震警報システム300における地震警報処理装置200の主処理のフローチャートを示す図である。
【0055】
図8の処理が、
図4の処理と異なる点は、ステップS104がYESである場合に進むステップとして、ステップS112が設けられている点である。そして、第2の実施形態においては、ステップS104とステップS112とで、警報を開始するかどうかを決定する警報トリガーの判定ステップを構成している。
【0056】
ステップS112では、第1閾値(震度5弱)を超える領域があると判断された場合に、第1閾値より低い第4閾値(例えば、震度3(計測震度概算値2.5))を超える観測点が他にあるか否かが判定され、ステップS112での判定がYESとなり警報を配信するステップに進むが、NOであれば警報の配信は行わない。
【0057】
このような実施形態によれば警報が発せられる時間は遅れるものの、ノイズ等による誤警報を避けることが可能になる。
【0058】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態では、領域震度が第1閾値を超えて、第5閾値(例えば、震度7(計測震度概算値6.5))に達した場合は、極めて強い地震が発生したものと判定して、あらかじめ定義された第5閾値を超えた領域の広域隣接領域(例えば、隣接領域および隣接領域の隣接領域等で構成される。記憶部202に記憶されているものとする。)に4種警報を発するようにする。このような実施形態によっても、これまで説明した実施形態と同様の効果を享受することができる。なお、4種警報は、1種警報と同レベルの警報レベルまたは、1種警報以上の警戒レベルとすることが好ましい。
【0059】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態では、1種警報が発せられた場合に、第6閾値(例えば震度4(計測震度概算値3.5))を超えた領域の数が一定数以上になった場合は、広域に地震動をもたらす巨大地震が発生したものとして、あらかじめ定義された1種警報が発せられた領域の広域隣接領域(例えば、隣接領域および隣接領域の隣接領域等で構成される。記憶部202に記憶されているものとする。)に5種警報を発するようにする。このような実施形態によっても、これまで説明した実施形態と同様の効果を享受することができる。なお、5種警報は、1種警報と同レベルの警報レベルまたは、1種警報以上の警戒レベルとすることが好ましい。
【0060】
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
図9は本発明の第5の実施形態に係る地震警報システム300の主要構成を示す図である。
【0061】
これまでの実施形態においては、複数の観測点に計測震度概算装置1が設けられ、計測震度概算装置1が計測震度概算値を地震警報処理装置200に送信するようにしていたが、本実施形態では、複数の観測点には加速度計150を設置しておき、加速度計150が加速度データを地震警報処理装置200に送信し、地震警報処理装置200における計測震度概算部205で、加速度データから各観測点における計測震度概算値(観測点震度)を算出するようにしている。このような実施形態によれば、これまで説明した実施形態と同様の効果に加え、複数の観測点に設けるものは加速度計150のみでよく、より安価にシステムを構成できるメリットがある。
【0062】
なお、以上の全ての実施形態において、観測点が周辺と異なる地盤増幅度をもち、観測された計測震度概算値が、常に過大もしくは過小な場合は、観測された計測震度概算値に対し補正値を加え、地盤増幅度の影響の低減を行うこともできる。
【0063】
以上、本発明に係る地震警報システムによれば、より安全サイドにたった観点で地震警報を配信することが可能となる。また、本発明に係る地震警報システムは、震源決定によらないため、二つ以上の地震の発生や広域な震源域をもつ地震に対しても対応可能である。