(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本願において「農産物」とは、選別ラインや搬送用トレイ等に載置可能なあらゆる果実及び野菜を含む概念であり、例えばイチゴやミカン等の小型のもの、桃、梨又はリンゴ等の中型のもの、メロンやスイカ等の大型のものが挙げられる。
【0011】
まず、
図1〜
図4を参照しながら、トマト等の農産物Aを選別(判定、仕分及び集積)する選別装置の構造について説明する。選別装置の一例である選別コンベヤ10は、4本の脚11で支持される2本の略平行なコンベヤフレーム12を備えている。各コンベヤフレーム12の両端部の間に、軸13を介して遊転ローラ14を回転自在に設けている。各コンベヤフレーム12の間には、遊転ローラ14を介して2本の略平行なコンベヤベルト15を張設している。コンベヤベルト15は2つのテンションローラ16と駆動ローラ17とに掛け回している。駆動ローラ17の軸18には、プーリ19,20及びベルト21を介して電動モータ22を連結させ、電動モータ22で2本の略平行なコンベヤベルト15を同期させて同一方向に回動させるように構成している。
【0012】
コンベヤベルト15上面の送り始端側には供給台23を設けている。オペレータは、1個の農産物Aを入れた皿形のトレイ1を供給台23に載せ、供給台23上のトレイ1をコンベヤベルト15の送り始端側の上面に一列状に載せる。なお、トレイ1は、農産物Aを載せる皿部2と、皿部2を支持する胴部3とを備えている。皿部2及び胴部3の略中央部に、農産物Aよりも小径で上下に貫通する開口穴4を形成している。2本の略平行なコンベヤベルト15の設置間隔は、トレイ1の開口穴4よりも若干大きく設定している。トレイ1の胴部3には識別用のIDチップ5を埋め込んでいる。
【0013】
コンベヤベルト15の送り始端側の近くに判定部24を設けている。判定部24は、農産物Aの重量を計測するロードセル方式等の計量機器29と、農産物Aの糖度を計測する糖度計測機器30と、各トレイ1のIDチップを認識する一対の認識センサ31,32とを備えている。計量機器29及び糖度計測機器30は、農産物Aの判定用データを計測する測定機器に相当するものである。一方の認識センサ31は、計量機器29に対応した計量判定位置にトレイ1が到達したか否かを検出するものであり、他方の認識センサ32は、糖度計測機器30に対応した糖度判定位置にトレイ1が到達したか否かを検出するものである。糖度計測機器30は、農産物Aに光を照射するライト33と、ライト33から農産物Aに照射した光のうち農産物Aを透過した光を検出する透過光センサ34とを有している。計量機器29の計量データと糖度計測機器30(透過光センサ34)の透過光の検出データとに基づき、各農産物Aの重量及び糖度(階級及び等級といった区分)を判定するように構成している。
【0014】
すなわち、計量機器29の計量データと糖度計測機器30(透過光センサ34)の透過光の検出データとによって、各農産物Aの階級及び等級が例えばSサイズ等級良(低糖度)、Sサイズ等級優(中糖度)、Sサイズ等級秀(高糖度)、Mサイズ等級良、Mサイズ等級優、Mサイズ等級秀、Lサイズ等級良、Lサイズ等級優、Lサイズ等級秀というように分類される。
【0015】
実施形態の糖度計測機器30は、両コンベヤベルト15の上方に配置したライト33と、両コンベヤベルト15間の下方に配置した透過光センサ34とからなる上部照射・下部受光タイプのものである。なお、糖度計測機器30の照射方向及び受光方向は、上記の形態に限定するものではなく、例えば上部照射・側部受光タイプでもよいし、下部照射・側部受光タイプや側部照射・側部受光タイプでもよい。
【0016】
更に、コンベヤベルト15のうち判定部24よりも送り下流側に、仕分部25を備えている。
図4に示すように、仕分部25は、所定範囲の糖度の農産物Aを認識して取り出す認識センサ35、仕分シリンダ36及び仕分コンベヤ37の組合せを複数組備えている。この場合、仕分用の組合せとしては3階級×3等級の9組がある。
【0017】
すなわち、Sサイズ等級良を認識する第1認識センサ35a、第1仕分シリンダ36a及び第1仕分コンベヤ37aと、Sサイズ等級優を認識する第2認識センサ35b、第2仕分シリンダ36b及び第2仕分コンベヤ37bと、Sサイズ等級秀を認識する第3認識センサ35c、第3仕分シリンダ36c及び第3仕分コンベヤ37cと、Mサイズ等級良を認識する第4認識センサ35d、第4仕分シリンダ36d及び第4仕分コンベヤ37dと、Mサイズ等級優を認識する第5認識センサ35e、第5仕分シリンダ36e及び第5仕分コンベヤ37eと、Mサイズ等級秀を認識する第6認識センサ35f、第6仕分シリンダ36f及び第6仕分コンベヤ37fと、Lサイズ等級良を認識する第7認識センサ35g、第7仕分シリンダ36g及び第7仕分コンベヤ37gと、Lサイズ等級優を認識する第8認識センサ35h、第8仕分シリンダ36h及び第8仕分コンベヤ37hと、Lサイズ等級秀を認識する第9認識センサ35i、第9仕分シリンダ36i及び第9仕分コンベヤ37iとがある。各仕分コンベヤ37a〜37iが仕分後のトレイ1の複数個を集積する集積コンベヤを構成している。
【0018】
各仕分コンベヤ37a〜37iはベルトコンベヤ式のものであり、各仕分コンベヤ37a〜37iの仕分駆動ローラの支軸に、駆動手段としての仕分電動モータ39a〜39i(
図5参照)を連結している。各仕分電動モータ39a〜39iの駆動によって、それぞれ対応する仕分コンベヤ37a〜37iを周回駆動させるように構成している。各仕分電動モータ39a〜39iによる仕分コンベヤ37a〜37iの駆動速度は複数段階に切り換え可能になっている。実施形態の仕分コンベヤ37a〜37iでは、通常の搬送速度である高速と、中速と、低速との三段階に切り換えられる。例えば高速の場合は15m/min程度、中速の場合は10m/min程度、低速の場合は5m/min程度に設定される。また、各仕分コンベヤ37a〜37iの仕分駆動ローラの支軸には、任意の基準点からの各仕分コンベヤ37a〜37iの移動距離を検出する距離検出器としてのロータリエンコーダ40a〜40i(
図5参照)を設けている。
【0019】
各仕分コンベヤ37a〜37i上の送り下流側には、各仕分コンベヤ37a〜37iに送り込まれたトレイ1の搬送を規制する(トレイ1を一時的に堰き止める)規制部材として、例えば回動式のような可動式のストッパー41a〜41iを設けている。各ストッパー41a〜41iを規制姿勢にしておくことによって、各仕分コンベヤ37a〜37iで搬送されるトレイ1を停止させ、停止した先行のトレイ1に後続のトレイ1を次々と追突させる。その結果、各仕分コンベヤ37a〜37i上に、仕分後のトレイ1が所定個数ずつ集積される。実施形態では、各仕分コンベヤ37a〜37i上に仕分後のトレイ1を5個まで集積(滞留)可能になっている。各仕分コンベヤ37a〜37i上に滞留させた各トレイ1の農産物Aは、例えばオペレータの手作業によって透明合成樹脂製の包装パックや段ボール箱等の包装用容器にパッキング(箱詰め)される。各ストッパー41a〜41iには、自身が規制姿勢か退避姿勢(堰き止めを解除した姿勢)かを検出するストッパーセンサ42a〜42i(
図5参照)を取り付けている。
【0020】
各仕分コンベヤ37a〜37i上においてストッパー41a〜41iよりも送り上流側には、トレイ1の有無(この場合は通過の有無)を検出する検出部材として、少なくとも1つの通過検出センサ43a〜43iを配置している。通過検出センサ43a〜43iとしては、例えば投受光器一体形の光電センサ等を採用できる。また、各仕分コンベヤ37a〜37i上においてストッパー41a〜41iと通過検出センサ43a〜との間には、仕分後のトレイ1の集積状態を検出する複数の集積検出センサ44a〜44iを配置している。実施形態では、各仕分コンベヤ37a〜37i上に仕分後のトレイ1を5個まで集積(滞留)可能であるため、集積検出センサ44a〜44iは、集積状態の各トレイ1の位置に対応するように5箇所に位置している。すなわち、仕分コンベヤ37a〜37iごとに、集積検出センサ44a〜44iを5個ずつ備えている。集積検出センサ44a〜44iとしては、通過検出センサ43a〜43iと同様に、例えば投受光器一体形の光電センサ等を採用できる。各仕分コンベヤ37a〜37iでは、最上流にある集積検出センサ44a〜44iと通過検出センサ43a〜43iとの間の距離を、5個の集積検出センサ44a〜44iの並び間隔よりも長くとっている。
【0021】
選別コンベヤ10の送り終端部には、重量又は糖度(階級又は等級)の選別範囲のいずれにも属さない不適切な検出を行った農産物Aのトレイ1を投入するエラー回収ボックス26を設けている。なお、図示は省略するが、各仕分コンベヤ37a〜37iの送り終端部には、パッキング後に空になったトレイ1群を回収する空トレイ回収ボックスを設けている。
【0022】
次に、
図5を参照しながら、選別制御(判定、仕分及び集積制御の総称)のための構成の第1例について説明する。選別コンベヤ10には、農産物Aの区分(等級や階級)を選別(判定、仕分及び集積)する選別制御を司る制御装置(図示省略)を設けている。制御装置内にはコントローラとしての選果ECU50を収容している。詳細な図示は省略するが、選果ECU50は、各種演算処理や制御を実行するCPUのほか、制御プログラムやデータを記憶させるためのROM、制御プログラムやデータを一時的に記憶させるためのRAM、及び入出力インターフェイス等を備えている。
【0023】
選果ECU50には、選別コンベヤ10駆動用の電動モータ22、計量判定位置の認識センサ31、糖度判定位置の認識センサ32、ライト33、透過光センサ34、仕分位置の各認識センサ35a〜35i、第1〜第9仕分シリンダ36a〜36i、第1〜第9仕分コンベヤ37a〜37i駆動用の仕分電動モータ39a〜39i、ロータリエンコーダ40a〜40i、ストッパーセンサ42a〜42i、検出部材としての通過検出センサ43a〜43i、並びに集積検出センサ群44a〜44i等を接続している。
【0024】
次に、
図6〜
図8を参照しながら、選別制御の第1例について説明する。
図6〜
図8のフローチャートで示すアルゴリズム(プログラム)は、選果ECU50のROMに記憶されていて、当該アルゴリズムをRAMに呼び出してからCPUで実行される。選別コンベヤ10上の各農産物Aは、計量機器29及び糖度計測機器30で農産物Aの階級(重量)と等級(糖度)を測定され、測定結果に応じて選別される。
【0025】
例えば1荷口分の農産物Aの選別作業を実行する場合、1個の農産物Aを載置した各トレイ1を供給台23に載せてから、一対のコンベヤベルト15を作動させ、作業者によって供給台23上のトレイ1をコンベヤベルト15上に移動させ、一列状に並ぶトレイ1をコンベヤベルト15によって搬送する。
【0026】
トレイ1が判定部24に到達したら、
図6に示す判定制御が開始される。計量判定位置の認識センサ31がトレイ1のIDチップ5のデータを読み取り、計量判定位置に農産物Aがあることを確認すると(S01:YES)、読み取ったIDチップ5のデータからトレイ1を特定する(S02)。次いで、計量機器29で農産物Aをトレイ1と共に計量して計量結果を選果ECU50に入力して(S03)、計量結果から農産物Aの重量データを取得し(S04)、農産物Aの重量データに基づき、農産物Aの階級を判定する(S05)。
【0027】
それから、認識センサ32で糖度判定位置に農産物Aがあることを確認すると(S06)、読み取ったIDチップ5のデータからトレイ1を特定する(S07)。そして、農産物Aを透過したライト33の透過光を透過光センサ34によって検出して検出結果を選果ECU50に入力し(S08)、検出結果から農産物Aの糖度データを取得する(S09)。次いで、農産物Aの糖度データに基づき、農産物Aの等級を判定する(S10)。
【0028】
次いで、農産物Aの重量データ、階級、糖度データ及び等級をトレイ1のIDチップ5に対応させて記録する(S11)。その後は、等階級決定後の農産物Aを載せたトレイ1を下流側にある仕分部25に搬送する。農産物Aの階級及び等級を判定して記録する作業(ステップS01〜S11)は、1荷口分の農産物Aの選別作業が全て終了するまで自動的に繰り返し実行される。
【0029】
等階級決定後の農産物Aを載せたトレイ1が仕分部25に到達したら、
図7に示す仕分制御が開始される。仕分制御では、仕分位置の認識センサ35a〜35iがトレイ1のIDチップ5のデータを読み取り、仕分位置に農産物Aがあることを確認すると(S21:YES)、IDチップ5のデータに対応した農産物Aの階級及び等級を読み込む(S22)。トレイ1上の農産物AがSサイズ等級良であれば(S23:YES)、第1仕分シリンダ36aを作動させてコンベヤベルト15上のトレイ1を第1仕分コンベヤ37aに送り出す(S24)。トレイ1の農産物AがSサイズ等級優であれば(S25:YES)、第2仕分シリンダ36bを作動させてコンベヤベルト15上のトレイ1を第2仕分コンベヤ37bに送り出す(S26)。トレイ1の農産物AがSサイズ等級秀であれば(S27:YES)、第3仕分シリンダ36cを作動させてコンベヤベルト15上のトレイ1を第3仕分コンベヤ37cに送り出す(S28)。
【0030】
トレイ1の農産物AがMサイズ等級良であれば(S29:YES)、第4仕分シリンダ36dを作動させてコンベヤベルト15上のトレイ1を第4仕分コンベヤ37dに送り出す(S30)。トレイ1の農産物AがMサイズ等級優であれば(S31:YES)、第5仕分シリンダ36eを作動させてコンベヤベルト15上のトレイ1を第5仕分コンベヤ37eに送り出す(S32)。トレイ1の農産物AがMサイズ等級秀であれば(S33:YES)、第6仕分シリンダ36fを作動させてコンベヤベルト15上のトレイ1を第6仕分コンベヤ37fに送り出す(S34)。
【0031】
トレイ1の農産物AがLサイズ等級良であれば(S35:YES)、第7仕分シリンダ36gを作動させてコンベヤベルト15上のトレイ1を第7仕分コンベヤ37gに送り出す(S36)。トレイ1の農産物AがLサイズ等級優ならば(S37:YES)、第8仕分シリンダ36hを作動させてコンベヤベルト15上のトレイ1を第8仕分コンベヤ37hに送り出す(S38)。トレイ1の農産物AがLサイズ等級秀であれば(S39:YES)、第9仕分シリンダ36iを作動させてコンベヤベルト15上のトレイ1を第9仕分コンベヤ37iに送り出す(S40)。なお、Sサイズ等級良〜Lサイズ等級秀のいずれにも該当しない農産物Aを載せたトレイ1は、コンベヤベルト15の送り終端部からエラー回収ボックス26に回収される。
【0032】
各仕分シリンダ36a〜36iの作動によって、対応するトレイ1が仕分コンベヤ37a〜37iに送り出されると、
図8に示す集積制御の第1例が開始される。集積制御は仕分コンベヤ37a〜37i毎に実行されるものであり、制御態様はいずれも同様のものなので、ここでは、第1仕分コンベヤ37aでの集積制御について説明する。なお、集積制御を実行するにあたって、第1仕分コンベヤ37aは通常の搬送速度である高速で周回駆動しているものとする。
【0033】
第1例の集積制御では、Sサイズ等級良の農産物Aを載せたトレイ1を通過検出センサ43aで検出すると(S41:YES)、ロータリエンコーダ40aからのパルス数のカウントを開始し(S42)、集積検出センサ群44aのオンオフ情報から、第1仕分コンベヤ37a上にある先行トレイ1の集積状態を確認する(S43)。
【0034】
集積検出センサ群44aが全てオフで先行トレイ1が存在しない場合(S44:YES)、又は、最下流側から1〜4個の集積検出センサ44aがオンである場合(S45:YES)はステップS46に移行する。ステップS45においてNOである場合は、集積検出センサ群44aが全てオンで先行トレイ1が5個集積している状態である。このときはステップS52に移行する。
【0035】
ステップS46では、ステップS42でのカウント開始から、通過検出センサ43aで検出したトレイ1(以下、後続トレイ1という)がストッパー41a若しくは最上流に位置する先行トレイ1に衝突するまでの衝突パルス数Pcoよりも少ない切換パルス数Pswを算出する。そして、ロータリエンコーダ40aからのパルス数の計数Pが切換パルス数Pswに達すると(S47:YES)、仕分電動モータ39aを減速駆動させて、第1仕分コンベヤ37aの駆動速度を低速に切り換える(S48)。そうすると、ストッパー41aや先行トレイ1に後続トレイ1が突き当たる際には、第1仕分コンベヤ37aの駆動速度が低速に減速しているため、突き当りによる衝撃が大幅に緩和される。従って、各トレイ1やこれに載せた農産物A等の破損、変形及び転倒といった不具合を抑制できる。
【0036】
第1仕分コンベヤ37aの駆動速度を低速に切り換えた後は、前述の衝突パルス数よりも多い安定パルス数Pstを算出し(S49)、ロータリエンコーダ40aからのパルス数の計数Pが安定パルス数Pstに達すると(S50:YES)、仕分電動モータ39aを増速駆動させて、第1仕分コンベヤ37aの駆動速度を通常の搬送速度である高速に切り換え(S51)、ロータリエンコーダ40aからのパルス数のカウントをリセットする(S52)。このように必要最低限で第1仕分コンベヤ37aの駆動速度を減速させるため、第1仕分コンベヤ37aの駆動速度をできるだけ高速に維持した上で、各トレイ1やこれに載せた農産物A等の破損、変形及び転倒といった不具合を抑制すると共に、集積作業効率の維持を図れる。
【0037】
さて、ステップS45に戻り、当該ステップでNOの場合は、集積検出センサ群44aが全てオンで先行トレイ1が5個集積しているから、ステップS53に移行し、仕分電動モータ39aを減速駆動させて、第1仕分コンベヤ37aの駆動速度を高速と低速との間の中速に切り換える。このとき、パッキング作業中のオペレータは、集積状態の全トレイ1(5個の先行トレイ1)を空にした上でストッパー41aを退避姿勢にし、前述の空トレイ1群を空トレイ回収ボックスに払い出す。そして、ストッパー41aを規制姿勢に戻す。
【0038】
第1仕分コンベヤ37aの駆動速度を中速に切り換えてから、ストッパーセンサ42aがストッパー41aの退避姿勢を検出した後に規制姿勢への戻りを検出した場合(S54:YES)はステップS48に移行して、仕分電動モータ39aを更に減速駆動させて、第1仕分コンベヤ37aの駆動速度を低速に切り換える。従って、前述の空トレイ1群を空トレイ回収ボックスに払い出した後も、ストッパー41aに後続トレイ1が減速状態で突き当たり、突き当りによる衝撃が大幅に緩和される。その後は、前述したようにステップS49〜S52を実行する。なお、各仕分コンベヤ37a〜37iでの集積制御(ステップS41〜S54)は、1荷口分の農産物Aの選別作業が全て終了するまで自動的に繰り返し実行される。
【0039】
次に、
図9及び
図10を参照しながら、第2例における選別制御のための構成及び集積制御の態様について説明する。
図9に示すように、第2例の選果ECU50では、各仕分コンベヤ37a〜37iに対応した集積検出センサ群44a〜44iを省略していて、第1例の集積検出センサ群44a〜44iの機能を、検出部材としての通過検出センサ43a〜43iに担わせている。なお、第2例においても、第1仕分コンベヤ37aでの集積制御について説明する。
【0040】
第2例の集積制御では、Sサイズ等級良の農産物Aを載せたトレイ1を通過検出センサ43aで検出すると(T41:YES)、ロータリエンコーダ40aからのパルス数のカウントを開始すると共に、第1仕分コンベヤ37a上での先行トレイ1の集積状態を示す集積フラグFに、通過検出センサ43aで検出したトレイ1(以下、後続トレイ1という)に相当する「1」を加算(インクリメント)する(F←F+1、T42)。そして、集積フラグFのカウント情報から、第1仕分コンベヤ37a上にある先行トレイ1の集積状態を確認する(T43)。
【0041】
集積フラグF=1で先行トレイ1が存在しない場合(T44:YES)、又は、集積フラグF=2〜5で最下流側から1〜4個の先行トレイ1が存在する場合(T45:YES)はステップT46に移行する。ステップT45においてNOである場合は、集積フラグF=6で先行トレイ1が5個集積している状態を示している。このときはステップT52に移行する。
【0042】
ステップT46では、ステップT42でのカウント開始から、後続トレイ1がストッパー41a若しくは最上流に位置する先行トレイ1に衝突するまでの衝突パルス数Pcoよりも少ない切換パルス数Pswを算出する。そして、ロータリエンコーダ40aからのパルス数の計数Pが切換パルス数Pswに達すると(T47:YES)、仕分電動モータ39aを減速駆動させて、第1仕分コンベヤ37aの駆動速度を低速に切り換える(T48)。そうすると、第2例においても、ストッパー41aや先行トレイ1に後続トレイ1が突き当たる際には、第1仕分コンベヤ37aの駆動速度が低速に減速しているため、突き当りによる衝撃が大幅に緩和される。従って、各トレイ1やこれに載せた農産物A等の破損、変形及び転倒といった不具合を抑制できる。
【0043】
第1仕分コンベヤ37aの駆動速度を低速に切り換えた後は、前述の衝突パルス数よりも多い安定パルス数Pstを算出し(T49)、ロータリエンコーダ40aからのパルス数の計数Pが安定パルス数Pstに達すると(T50:YES)、仕分電動モータ39aを増速駆動させて、第1仕分コンベヤ37aの駆動速度を通常の搬送速度である高速に切り換え(T51)、ロータリエンコーダ40aからのパルス数のカウントをリセットする(T52)。このように第2例においても、必要最低限で第1仕分コンベヤ37aの駆動速度を減速させるため、第1仕分コンベヤ37aの駆動速度をできるだけ高速に維持した上で、各トレイ1やこれに載せた農産物A等の破損、変形及び転倒といった不具合を抑制すると共に、集積作業効率の維持を図れる。
【0044】
さて、ステップT45に戻り、当該ステップでNOの場合は、集積フラグF=6で先行トレイ1が5個集積しているから、ステップT53に移行し、仕分電動モータ39aを減速駆動させて、第1仕分コンベヤ37aの駆動速度を高速と低速との間の中速に切り換える。このとき、パッキング作業中のオペレータは、集積状態の全トレイ1(5個の先行トレイ1)を空にした上でストッパー41aを退避姿勢にし、前述の空トレイ1群を空トレイ回収ボックスに払い出す。そして、ストッパー41aを規制姿勢に戻す。
【0045】
第1仕分コンベヤ37aの駆動速度を中速に切り換えてから、ストッパーセンサ42aがストッパー41aの退避姿勢を検出した後に規制姿勢への戻りを検出した場合(T54:YES)は、集積フラグFを一旦リセットしてF←1にしてから(T55)、ステップT48に移行して、仕分電動モータ39aを更に減速駆動させて、第1仕分コンベヤ37aの駆動速度を低速に切り換える。従って、前述の空トレイ1群を空トレイ回収ボックスに払い出した後も、ストッパー41aに後続トレイ1が減速状態で突き当たり、突き当りによる衝撃が大幅に緩和される。その後は、前述したようにステップT49〜T52を実行する。なお、第2例の集積制御(ステップT41〜T55)も、1荷口分の農産物Aの選別作業が全て終了するまで自動的に繰り返し実行される。
【0046】
上記の記載並びに
図2、
図5及び
図8〜
図10から明らかなように、物品Aを載せたトレイ1の複数個を集積する集積コンベヤ37a〜37iを備えた物品集積装置において、前記集積コンベヤ37a〜37iを駆動させる駆動手段39a〜39iと、前記集積コンベヤ37a〜37i上の所定箇所で前記トレイ1の搬送を規制する規制部材41a〜41iと、前記集積コンベヤ37a〜37i上のうち前記規制部材41a〜41iよりも送り上流側で前記トレイ1の有無を検出する少なくとも1つの検出部材43a〜43iと、前記検出部材43a〜43iの検出情報に基づいて前記規制部材41a〜41i又は先行の前記トレイ1に後続の前記トレイ1が衝突する前に前記集積コンベヤ37a〜37iの駆動速度が減速するように前記駆動手段39a〜39iを作動させるコントローラ50とを備えるから、前記規制部材41a〜41iや先行の前記トレイ1に後続の前記トレイ1が突き当たる際には、前記集積コンベヤ37a〜37iの駆動速度を減速させて、突き当りによる衝撃を大幅に緩和でき、前記各トレイ1やこれに載せた前記物品A等の破損、変形及び転倒といった不具合を抑制できる。
【0047】
本願発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、様々な態様に具体化できる。また、本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限られるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。例えば等級格付けにおいて、糖度だけでなく農産物Aの色や傷を計測するものでもよい。農産物A(トレイ1)の特定するにあたっては、実施形態に示したIDチップ式のものに限らず、FIFO方式や距離追跡方式を採用してもよい。また、前述の各集積制御では、ロータリエンコーダ40a〜40iを用いたパルス制御を採用しているが、これに限らず、選果ECU50に設けたタイマーと各仕分コンベヤ37a〜37iの駆動速度とを用いたタイマー制御を採用しても差し支えない。